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1952-05-09 第13回国会 参議院 農林委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月九日(金曜日)    午後一時三十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            加賀  操君            山崎  恒君            岡村文四郎君    委員           池田宇右衞門君            瀧井治三郎君            宮本 邦彦君            赤澤 與仁君            飯島連次郎君            片柳 眞吉君            三浦 辰雄君            小林 孝平君            三橋八次郎君   政府委員    農林政務次官  野原 正勝君    食糧庁長官   東畑 四郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○食糧管理法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。  昨日に引続きまして食糧管理法の一部を改正する法律案について質疑を続行願います。
  3. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 今日は野原政務次官おいでになつておりますので、事務的でなくて政府のお考えを聞きたいと思いますが、今度の食糧管理法の一部を改正によります麦の統制撤廃でございますが、趣旨説明によりますと食糧が安定をしたということであります。自給の面が安定をしたのか生産の面が安定をしたのかそれは区分されておりませんが、現在の日本の実情でどうにか配給の面が安定をしておるということだろうと考えますが、我々非常に遺憾なことには、日本食糧を麦と米より考えておられんという形がはつきりと現われましたことと、麦食に対します国民考えも非常に誤つてはおりますが、政府当局日本食糧の安定をしたというその基礎をどこまでお調べになり、どこまで自信があつて安定をしたというお考えをお持ちになつておりますか。御承知のような島国で八千三百万の国民を擁しましてこの狭い所で若しということがありますと、それを前々からいつも島国の我々は考えての食糧政策でなければならんと思つておりまするために、安定の度合、どこまでどうなつてもどうする、こういう政府見解を一応お聞きしたいと思います。
  4. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) 食糧事情が安定して参つたという安定の度合でありまするが、これは比較対照の問題でありまして、岡村さんからの御質問にもありましたように、生産の面においては遺憾ながら未だ絶対量は足りないというのでありまして、外国からの輸入食糧依存をしておる現状から見ますれば、これは安定というかそういう表現はどうかと思うのであります。併し配給事情等から見ますればあの窮迫いたしました食糧事情、いわゆる配給クーポンを持つて店頭に小半日も並んでおるというような時代もございましたが、最近におきましてはそういうようなことをしなくても十分に手に入る。而も漸次供給方面におきましては安定を見て参りまして最近ではその安定の度がクーポンをもらつても要らないというかたが相当出て参つた。全体から見まして約三割くらいだと思いますが折角のクーポンが無駄になるというようなことで、配給を絶対受けなければならんというような事態というものが大分変つて参つたのであります。そういう面からこれを取上げますと甚だしく緩和されて参つたというふうにも見ゆるのでありますが、今回の問題をとらえました立場から行きますれば、いわゆる国内における配給事情、需要の問題から見まして非常に安定をしておる。供給の面においては依然として遺憾ながら外国からの輸入に待たなければならないというようなことになつておりまして、その点につきましてはやはり食糧自給態勢確立強化自給度を向上せしむるという積極的な施策の断行がやはりより強力に要請をされておるのでございまして、その線に向つて我々の農政は今後も強力に食糧増産確保するという線においてますます強化されるべきものである。これは政府の一応立案いたしておりまする食糧生産確保に対する十カ年計画、或いは又これをより圧縮いたしまして、五カ年計画等によつてできるだけ早く、外国依存の姿から脱却したいという考え方で進めておるような次第であります。
  5. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 野原政務次官から一応のお話は承わりましたが、見解相違ではないと思いますが、配給部面が確かに緩和されたし又配給辞退のあることも数字的にも知つておりますし、あることも事実だと考えます。で問題は農家かたがたはきびしい作付、出荷の統制を決してうれしく好んではおらんと思います。併しながら若し一朝間違いますと又そういう目に会いはしないかという心配を多分に持つておるわけであります。ところが今度自由になりますと、現在の面積が持続されますと今計画しておりますような食糧自給考えられましようが、とかく生産をするためには收入考えなければなりません。ために、私最近よく見受けますが、これから東北方面の太平洋に面した部分ではあれほどなたねはなかつたのでございます。今はちよつと過ぎたかも知れませんが、飛行機に乗つて通りますと実になたねが畠にたくさん見えます。これは必ず麦畠がなたねに変つておることはいなむことのできない事実でありますが、西のほうもそれと同様に変つておりますので、これが採算上そうなつて参りますと、今政務次官お話では、生産を成るだけ強化するように方針も建て、年次の実施すべき計画を建てておる、それはその通りであり、そうなくてはならんのであります。ところが計画をお建てになつてお進みになりましても、農家自体のほうでこのほうがいいということになりますとそれはなかなか思うようになりませんし、又望むことは不可能であります。問題は、日本食糧輸入というものに頼り過ぎておる嫌いがたくさんございます。それを何とか考えるのでなければ、日本の麦作の奬励というものは大よそ不可能でないかと思います。昨日も御質問がございましたが、小麦協定会議が今開こうとされておるようでありますが四割の値上を要求をいたしております。そこで今は八十四ドルから八十五ドルできめられた数量は入つて来るようでございますが、若し八十ドルの四割にいたしますと三十二ドルが上ります。そういうわけでだんだん向うも上つてまいります。小麦協定の値段が上りますとために当然一般の麦の価格も上つて参りますが、日本農家でも採算がどうにか間に合つて行くと、こういうことになりさえすれば何もなたねに変つたり或いはほかのものに変る必要もありませんし、食糧を作れば日本国民を養い得ると、こういうことは知つておりますからその方面十分政府で心をして重いウエイトを置かなければ、今のような現在建てておられるような増産方針では私は減産をすると思います。そこが非常な見解相違でなくて事実だと思うのですが、どういうふうにしてそれを一体おやりになつて行こうとするのか、お伺いしたいと思います。
  6. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) 今日日本のとつております食糧政策は、極力国内においての食糧自給度を向上いたしまして国内増産を実現する、止むを得ず不足いたします分は外国からの輸入に待たなければならん。それもできるだけ安いものというので国際小麦協定等にも加入しまして、できるだけ安いものを入れるようなことに対しまして努力をしているわけでございます。併し問題はいつまでもそういう外国依存をするというようなことは、一旦国際情勢等が非常に窮迫をするような事態もこれは想像でありまするけれども万一の場合もやはり考えなければならんという点をおもんばかりますと、どうしてもこれは国内においての食糧増産の問題になつて参るのであります。そこで米麦だけの食糧政策ではいけないので、御指摘のごとくあらゆる観点から総合食糧政策とも申すべき問題としていもの問題もありましようし、或いは又酪農の問題もありましようし、或いは又漁類等による蛋白給源の問題もあるのであります。いろんな面から見ましての総合食糧自給度の向上という点を狙つているわけであります。ただ問題は只今端的に御指摘を頂きました、政府がいくらやろうとしても麦の作付面積が減るようなことではいけない、これを農民が安心して作付けをやり、大いに増殖の効果が上るようにしなければならん。当然麦を作れる所に今日なたねが非常に殖えているではないかというような御指摘でございまして誠に御尤もでございます。で、問題は適正なる価格政策ということになるだろうと思います。で、衆議院農林委員会で非常に問題になつたのでありまするが、端的に言うならば適正な価格とは何ぞや、いろいろとらえ方によつて問題がそれて参りますが、再生産費を十分償いそうして再生産を可能ならしむる価格でなければならんという一点にこれは帰着するわけであります。我々としましては、再生産確保という点に特に主眼をおくことにいたしまして、衆議院のほうではその点を特に考え法案の修正もなされたのでありまするが、この最低補償価格とも申すべき価格の設定につきましては、特に再生産確保するという点を十分考え価格にいたしておきまして、最低価格以上の場合は自由に売買ができるわけでありますが、市場価格等が再生産を可能ならしめないような価格に下落をするというような場合におきましては、当然政府の補償いたします価格で以て無制限に希望に応じて買上げをするという、米作農家を保護するとも申すべき一つの社会政策的な農政をこの際考えているわけでございます。で、この法案の内容をいろいろ御審議を頂きますならば十分その点がわかると思うのであります。又私どもはこの法案によつて窮屈な、いわゆる農民が余り好まなかつた供出割当制度というような点は緩和いたしまして、食糧管理方式は相当大幅の変更を見るわけでありますけれども、これを質的に見るならばやはり大きな観点から農業政策としてはやはり生産農民を保護する。又価格或いは生産消費の面におきましてそれぞれの立場から生産者消費者の双方とも十分納得もされ又国民生活に対して余り大きな変化のないように、十分その辺を考慮いたしまして需給の調節を図り、価格に対しましてもそういう点は十分考えて操作をするということでありまして、又価格の問題につきましてはできるだけこれを高く買上げるということに結果としては相成るわけであります。又売る場合においてはできるだけ消費者価格を変動させないように大体現行価格で売渡すということに考えておりますので、その間におきまして或る程度食管特別会計は赤字を生ずるということもあらかじめ、実は麦に関する場合だけにおきましては決心をしているわけであります。併しそういつたような観点から麦の生産につきましては、この法案改正によりましてますます生産は増強されるものである、十分農民には理解されるものであるという確信を以て臨んでいるような次第でございます。
  7. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 政務次官からいろいろと御説明がありましたが、又それについての質問もありますが次の機会に讓りたいと思います。問題は日本国民食生活というものにもう少し目を向けなければ非常に困りやせんか。そこで食糧庁長官にはそんなことを聞いてもしようがないので、今日は政府の責任ある次官がおいでになつているからお聞きいたします。現在のように配給辞退をする。そこで麦というものが一体我々人間にどういうものかという答えを……、御承知のように我々が昔軍隊に入つた時分には必ず麦食をさせられた、それはその当時の国の経費の支出が大きくなるということばかりではございません、或る程度麦を混ぜて食わすことが最も人間の健康にいいといういろんな権威者の研究の結果、野外に出れば別でございますが、平時において国内にいるうちは必ず四分六の麦飯食つたのであります。そこで肉付きも減りもしないし、活動力も劣らんし、脚気にはかからんし、あらゆる面にどうもいいし非常によかつたのでありますが、どうも余りに米というもののみに重きを置くような傾きが非常に強い国民性でございまするから、政府のほうで食生活の強い指導をするのでなければ又相も変らん結果を生んで何にもならん。だんだんと米ばかり食いたいような考えを持つて来やせんかと思います。  そこで問題は池田大蔵大臣の言われますように、金のある者は米を食え、ない者は麦を食え、こういうのではいかんと思います。そこはそうではなくて、あつてもなくても麦を食わなければいかん、実際に健康な国民作つてこそ最もいいのでありまして実は厚生大臣に来てもらつて本当に掘下げて聞こうと思つておりますが、そこまで今日は行きませんが。担当の農林当局はこれを一体どういうふうにお考えになつておるか。現在さえもそういう辞退者があるということは我々といたしまして残念であり遺憾であるのであります。私はそういう場所には全体の食糧配給量を減してみてはどうであろう。少しは政府のほうでも辞退をするほうには全面的に少し強く、食糧に対する考えをしてもらうような方法もありましようし、指導もあると思うのですが、このままで起きますと、だんだん米々ということになりまして政府が折角供出要請いたしましても非常に困難な事態になりはしないかという心配を持つておりますが、一体政府はどうお考えになつておるか、お聞きします。
  8. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) 岡村先生から麦に対する非常に強力な御意見がございまして私どもも全く同感でございまして、その点につきましては我々もかねがね日本の我々国民が米というものに対する嗜好というものが非常に根強いものがあるのでありまして、米食率を引下げるなという声はあらゆる方面から強く要請されておるのでありまして、勿論米食率現状程度で進めて行く決心でございまするけれども、何と申しましても米に対しましては非常に根強い要請があるかたわら、一方においては麦のクーポンに対してはこれが配給辞退するというようなことは、日本における食糧が米だけでみんなが満足できるような情勢でなくどうしても麦に頼らなければならんといつたような面から見ますれば、今までの国民の米に対する考え方というふうなものはよほど変えてもらわなければならんじやないか。全く御同感でございます。ただその点は何と申しましても非常に根強いものがありますので、一朝一夕に米食の率を現状以上に減らすというようなことは、これは一つの社会問題になるのでありまして余ほど慎重に考えませんといけないのでありますが、ただ我々は麦を食うほうが健康のためにもなり或いは又家庭経済の上にもいいというようなことが十分理解されまして、そうして麦飯或いは又粉食というような食生活がだんだん馴れて行くということによつて均衡のある米と麦との食生活に対する割合がうまくとれるということになることを一日も早く実現することを望んでおるのですが、農村地帯特に単作地帯等におきましては殆んど米ばかり食べておる地帯も相当ございます。併しそういう地帯へ行きますと我々見ておりまするとうどんなどをむしろ御馳走の分としてたべておられる、非常に喜んでおる向も少くはないわけであります。そういう地帯に対しまして、米の生産地帯であるから食糧配給というものは、今までは自家保有米で十分な所には殆んどやらない、そういうものに対しましてこれは麦が自由に干めんなり或いはおいしいパンなりが十分農村生活の中に取入れられるようになりますと、勢い自家保有米に対しましても或る程度余裕が出て参ります。そういう余裕については、それは追加供出等によつて進んで供出を願うというようなことになつて自然農村米作地帯等米食の率が現在よりも自然に下つて行く。そうして麦が入つて行くというふうなことになつて、一方米に対していろいろな強い要望を持つておられる都市或いは工場労働といつたような方面に米のほうが多少でも多く廻つて行くということになると、非常に国全体としてバランスのとれたいい形になるのではないか。そういうふうに我々としてはまあ政策として持つて行きたい。  特に御承知でもありましようが、本年学校給食の問題がいわゆる文部省の方面では、予算の問題から困難ということになりましたが、幸い農林省では食生活を改善するという一つ政策からいたしまして、学校児童等に対しまして一つ粉食を大いに馴れてもらうという点。それから又忙しい農村において、少くも昼はパン等による、紛食によるということになりますとこれは家庭の主婦の手も省けますし、非常に進んだ農村ではすでにそれはもう相当やつております。現に岩手県などでもあの単作地帯においてもパン工場が最近続々とできておる。あれも非常に指導しておりますが、そういう形で従来パン等に殆んど縁がなかつたと思われるような地帯で、すでにパン工場等によつて昼飯だけはパンにしようじやないかというような動きが民間から盛り上つて来ておる、これは非常にうれしい現象だと思うのです。それでも食生活の改善、又麦食粉食に対する国民食生活食習慣を漸次直して行くというようなことを一つ考えまして、学校給食に対しましては、農林省一つ政策の一環として実は取上げたわけなんでありまして、そういう考え方の下に実は米食率等も全国的に成るべく均衡を得るようにということで努力をするというつもりであるのであります。これを今直ちにすべてを均一にするというふうなことは困難でありましようけれども、その困難な問題と取組んで漸次これを修正して行くというような努力を図りたいと思つております。
  9. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 もう一つお伺いしたいと思います。なかなか野原政務次官岩手であり農村には理解があるものですからいいお話をされまして非常に結構だと思いますが、甚だ足らん点が大分あると思います。要は上のほうで範を示すようにしなければいかんと思うのです。米はいけないということは、秋田県の横堀村に二年ばかり前でございますが、視察に参りましたが、水田一方で畑が一つもございません。そこで平均どれだけ一体米を食べているかと聞きますと九合食つている。大したどうもことだと思う。そこでこの女の人の話ではどうもここでは非常に中風の人が多くてどうにもならんので、どういうものかというので仙台の大学の先生に来てもらつて一週間見てもらつたところが、米食が原因だということがはつきりわかりました。こういつた村長さんのお話がございましたが、そういう所では粉なりつぶし麦なりやることが非常に私はいいと思う。それから米を作つているからやらなくてもいいというのじやなくて、そこには米を出してもらつて麦をやると非常に喜びもするし、それは価格の点も大分違いますから農家家庭もよくなると思いますが、それは一つの話なんです。そういうふうにお考え願いたいということと、上のほうで金のある者は米を食え、ない者は麦を食つておれというのじやとても私の今の話は通らん。そこで私に言わせますと、ここの食堂なんかで麦を食わすと文句を言う人がありましよう、ありましようがそれくらいでなくちやいかんと思う。だから少しかまうことはないですから、それくらいはらをきめて麦を食わすということでなければいかんと思う。私のほうは田はありません、殆んど畑地帯に育つたし、現在もおりますが、私が帰りますとうちの嫁が父さん帰つたというので麦をたかなければだめたというのに、どうもお客さまのような扱いをするから米をたきます、日本人間はそれが誤りです。麦を食う習慣をつけなければならんのでありますが、役所におりますかたがたパン食はどうかと聞きますと非常にいいです。今一食やつておるが二食にしてもいいのだと言う。ところが考えなければならんことは副食物が高くてだめだと言う。そこで何とか副食物を安くしてもらえばそれでも結構だと、こう言うのでそれはいろいろ方法もありましようと思いますから、そういうふうに上のほうでこれは範を示してもらつてお互いパンを持つて来て毎日食堂食つて食堂が上つたりというふうに……、吉田内閣は非常に指導をきらう、指導というものは非常に封建的だというので、民主主義じやないのであつて自然にわき上つて来ないと民主主義じやないとお考えになつておるから非常に遅い。だから私に言わせますと極端な意見でございますが、それくらいに農林省ははらをきめてもう上のほうから範を示して、そうして麦食というものをパンなりつぶし麦なり或いはそういうめん類なりいろいろの方法で示してやるという御意思を持たんものかどうか。その点をお聞きしたい。
  10. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) 非常に強力な御意見でございまして全く同感の点が多いのであります。ただ何と申しましても御承知のごとく現在は民主主義という形の制度でございますので、政府のほうからこうやるべきであるというような命令であるとか或いは強制であるとかいうふうなことは、ときに又折角立派な案でありながら非常な反撥を食うというようなこともあるのでありまして、そういうような非常に正しい意見につきましても政府が先にそれを国民に押し付けたというようなことは甚だ又問題になるのであります。岡村さんの御意見は非常にこれは傾聴すべき案でございますので、一つ参議院等において是非これはいろいろな議会によく御決議でも頂きまして、大いに卒先して参議院食堂などで大いに(笑声)麦を食わして頂きたい。我々も実は家庭では麦を食べておるのでありますが、一つ是非御協力を頂きたいと思います。
  11. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 只今岡村さんから、実に国民食生活の安定を通じまして、国民食生活に対する非常な結構な御質問がありまして私ども感激しております。政府が米の配給制度を施行されて以来、私は実際米の取れない地方まで米を配給する関係上、そこに非常な国民全般食生活の上において米の必要量が増して来たということはよくお知りの通りでございますが、その増した程度がどのくらいの程度になつておるか。  それから、従来米がなくて麦食を或いは粉食或いはつぶし麦その他野菜等を入れて、麦を主食としておられたところのかたがたの健康が却つて米を主体とするところの食生活の変革によつて健康がだんだん弱体化したという実例も見つられます。若し慾を言うならば、私ども羽生さんもそうだろうと思いますが、小学校時代お互い弁当麦飯の握り飯、或いは麦飯を詰めて行つたんだが、最近はだんだん麦を弁当箱に詰めて行けば笑われてしまうというような状態であります。恐らく今後の日本はこの年々人口の増加を見るときにおいては、先ず岡村さんの言葉に更に蛇足をそえるの感がありますけれども、公務員及び小学校の生徒、農村かたがたは少くとも麦飯弁当くらいは持参するというところであつて初めてこれが実用をなすだろうと思います。先ず参議院食堂について政務次官が我々に言うと同時に、農林省全体の関係者、殊に農村の第一線にあるところの検査員などは、農村麦混入弁当箱を持つて行くときには非常に農村人も感激すると、これだけの決意が政務次官より食糧庁長官を通じて食糧庁にそういう考えがあるかどうか。(笑声)  それから米の統制によりまして麦の産地に米が配給されるような結果になりまして、健康の如何及び数量においてどの程度に増しておるかということを御調査になつておりますかどうか。  それから農村が最近は今岡村さんが言つた通り、私ども農村の者は必ず晩には粉食、それから昼間は裸麦等を混ぜたところの混食であつたのが、だんだん夜まで米食になつて来るというのが農村のいい結果であるか、悪い結果であるか。その点から言えばいろいろ論議の余地があるけれども、まあ農村は少くとももつと混食の使用を拡大すると同時に、むしろ私ども子供時分勤労大衆と言われる労働者階級は米の御飯を食べて、そうして今の金持階級というかそうした労働をしない階級には混食のほうが身体の持ちがいい、いわゆる健康であるというような実例が、米麦統制によりまして非常に日本国民食生活に大変化を来してしまつた。その結果都会においてはこれを補う副食物をだんだんに要求するようになつて来た。更に野菜果物を要求しなければ補填がつかなくなつて国民生活はだんだん向上し、冗費は増加するというようなことに相成つたことはすでにお知りの通りであります。少くとも麦の統制を廃止する、いわゆるこれは事務上の廃止と申しますかどうか知りませんけれども、いわゆる供出制度配給制度を廃止するというような構想の下に対して十分これらの点を御勘考下さいまして、この機会に国民の健康を増進し、国民生活において極めて健康に進む食糧を以て事足りるような方策を講じなければならん。これらの計画について食糧長官はどうお考えになつておるか。少くとも野原政務次官は廣川農相が朝から麦飯を食べておるところの実例から只今の御答弁によつて実行されておるということは私もよく聞いておりますから、次官からでなくて実務に当るがたがたから今後の方針を承わりたい、こう思います。
  12. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 国民生活改善のお話でありますが熱烈なる御要望であります。農林省といたしましても、食生活の改善につきましては今後ますます実行可能なる案を作るべく努力をいたしておるのであります。今日米食そのものが日本全体としますると昔にくらべまして、総体としましては非常に減つておるのであります。それに代りまして粉食それから精麦等が相当の需要を見ておるということは現実であります。昔は所得の多い人がむしろ粉食のほうの傾向を持つたのでありますが、今日におきましては所得の多い人が米を食うということになるのでありますけれども、こういうこと自体はやはり米の絶対量が足りないことと、粉食の増加量とがマツチいたさないのが原因であります。この問題等につきましては価格その他の問題との均衡を図ることによつて又これを解決いたさなければならんと実は考えておるのであります。食糧行政を担当いたしております役人は全員謙虚なる気持でこの趣旨でおのおのの良識に訴えまして実行をいたしつつあります。又いたすべきであると考えております。
  13. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 輸入食糧生産確保せられて主食の需給が安定の域に達したということが提案理由の中にあるわけなんでございますが、先ず最初に食糧庁長官に昨年の十月、十一月頃と現在とではその状況はどうなつておるか。
  14. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 食生活のうち特に麦類につきまして非常に安定をいたしておるという提案をいたしたのであります。米につきまして昨年の十月、十一月と只今との状況につきましては、私のほうといたしましては米食でを減らさないという根本方針に副いまして極力努力をいたしております。内地米食率等につきましては若干変更をいたしております。幸い本年は外米の中のいわゆる準内地米というものの輸入量が相当多うございますから、外米の中のそういうものを補填いたしまして維持に努力をいたしておるのであります。闇価格等は只今のところ大きな変動をいたしておりません。米自体はやはり非常な不足物資でございますので、万全の措置を講じておりますので、只今のところ特に大きな変化というものはないのでありますが、ただ東北、北陸等に十月、十一月の配給辞退ということが起つたのであります。その後超過供出を相当多くいたしました結果といたしまして只今のところ配給辞退的現象がなくなつたということが一つの米に対する変化だと思います。  それから麦等につきましては別段さしたる変化はないのでありますが、売却をいたしまして以後どちらかと申しますと、今まで委託加工をいたしました品物のうち比較的品質の悪いものがなかなか売れないという減少が起つておりますが、輸入等につきまして十一月、十二月頃と今日とはアメリカその他の価格が若干原麦そのものが値下つておるということ運賃等が相当の値下りをいたしました関係上、輸入のコストが百ドル以下になつておるということが一つの現象でございますが、内地価格の麦等につきましては統制中でございましてさしたる変化はない、こういうことであります。
  15. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 それは大体需給の上においては余り変化がないと、こう了解してよいわけですか。
  16. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) はい。
  17. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 それでは次に政務次官にお尋ねしますが、昨年の十一月でございましたかあの当時におきましては需給に安定ができたと、そういう点からいたしまして自由党並びに自由党政府は主要食糧米麦統制撤廃をなさろうといたされたはずなんであります。今日は麦だけの統制撤廃法律案を出されておりますわけでありますがどういうわけか、その点をお尋ねいたします。
  18. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) 昨年の十一月に政府が米、麦の統制撤廃を閣議で一応決定をしたのでありますが、その当時と現在と情勢にさしたる変化のないことは事実でありますが、当時から問題になりましたのは、いわゆる統制を撤廃するための前提要件が十分整備されることが一つ考え方の中心であつたのであります。それで昨年の夏に統制の問題が出ました当時は、そういう前提要件を十分整備した上で統制をはずすということが一つの基本方針としてこれはきまつたことであります。ところがその後米に対するいろいろな問題、そういつた前提要件が未だ整備されないうちに統制撤廃という問題が大きく批判の対象になりましたので、我々としましてはそうした前提要件を十分考えてその上で初めて統制撤廃が正式に持ち上ると考えておつたのが逆になりまして、前提要件が十分整備されないうちに統制撤廃という問題が政府方針としてきまつて、それに対する世論の抵抗が非常に甚だしかつたのであります。それで私どもは十分愼重に考えた結果政府の内部にも愼重論と断行論があつたことはおわかりの通りであります。一応問題を白紙に返しましてそうしてその後慎重に検討を加えました結果、今日の段階におきましては麦に対する問題は従来の管理方式を変更するという考え方で行つてもあえて支障はないという結論でありました。ただ米に対しましてはまだその前提要件としての問題が完全に整備されない、もう少し一つ考えて十分に情勢の推移を見て愼重に整備して行きたいということで米を切り離してやつたのであります。私はあえてあの当時と麦そのものの事情はさほどの変化はない、我々の考え方の上ではそういう情勢に対する認識と又その扱う態度に対して愼重にこれを考えるという態度に変つて参つたという点で御了承願いたいと思います。
  19. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 お話で大体わかりましたが、こう了解していいわけでございましようか。米の統制撤廃をする前提条件の整備がまだできておらないのでそれを努めて今いたしたのちにおいて改めて考えたいというようなふうに最初了解いたしておりましたのですが、最後のお話でありますとその前提条件が備わつておらない、こういうことでありますと米の統制撤廃を口にしたことが誤りであるということの裏書になるわけでありますが、そういうように私は只今了解いたしましたわけなんでありますが、この点はこの点で打切つておきますが、違つておりましたら御訂正を願います。
  20. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) その点の御解釈は自由でございまするが、私の申上げました考え方は決して間違つてはいけなかつたと思います。即ち前の根本農林大臣が米麦統制を撤廃するということは自由党の年来の主張である漸次統制を撤廃すべき段階が来たら撤廃するということの内容であつたのが誤り伝わつたということもありましようが、或いは又撤廃するには撤廃するだけの十分の前提要件を整備して、そうして愼重に撤廃するという考え方であつたのでありますが、その統制を撤廃するという政府の基本方針も、もとより統制撤廃しても差支えないという十分な前提要件を整備しての上で撤廃するということであつたのでありまするが、その前提要件なるものが十分まだ正式に取り上げられないうちに撤廃の問題が大きく取上げられたために世論の反撃があつたということなんでありまして、政府考えておつたことはその当時といえどもやはりその前提要件がたくさんあつた、その前提要件を十分整備した上で撤廃をするという考え方であつたと思うのであります。今日に至りますればあの当時まだ米に対しましての考え方は少し甘過ぎたということに反省をされたと申しますが、今日では慎重に考えて行けばよろしいというふうに考えておるのであります。
  21. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 甘く見ておつたという言葉でそれ以上は追求いたしません。  次に自給度を高めなければならんというお言葉でありますが、それぞれ政府の施策といたしまして本年度の予算におきましても、相当御考慮に相成つておるわけなんでございますが、先般農林省の顧問会議その他で一応考えられました増産十カ年計画と申しますか、五カ年計画と申しますか、千百五十万石程度増産計画があつて何かと御相談があつたように承わつておりますわけでありますが、その問題のその後の経過はどうなつておりますか。この際承わつておきたいと思います。
  22. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) 食糧増産計画が顧問会議において一応の試案が提示されましてそうしてそれが一応十カ年という考え方が最初あつたのでありますが、この十カ年ではとてもいかんというので五年というようなわけで又それが改正をされ、それを中心にいたしまして今二十八年度の予算要求の問題に一つ強力に食糧増産するところの線をうち出そうとして今作業をしておるわけでありまして、我々としましては是非この五カ年の食糧増産基本計画は予算の面においての裏付けによつて飽くまでこれを確保いたしたい。農林省是非とも明年度の予算におきましては、そういつた問題が真劍に取上げられて国会の承認を得まして予算化することを要望しておるわけでございます。いずれ細かな計画等は又御批判を頂くようなことにしたいと思います。
  23. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 次に統制撤廃に関しまする要望の一つといたしまして、今度希望買上制を取入れられんということにつきましては我々は多とするものでございますが、この希望買上制度なるものが従来とその性格を異にいたしまして、最低価格を保障するというような意味合いがこれに含まれておるように存じますわけでございますがさよう了解していいかどうか、食糧庁長官一つ
  24. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 最低価格というのは決して低いという意味ではございませんで、政府がきめました価格以下に農家が売らないように無制限に買上げしようという考え方でありまして、おつしやる通りな意味がこの制度にはございます。
  25. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 価格支持政策としての意味合いがこれに含まれておるということは結構なことでございますが、そういたしますと今日これと別になりますがいも並びにでん粉につきまして相当問題があつたわけでありますし又今日もあるわけなんでありますが、政府がこのでん粉の買上につきまして一番最近どういう工合にお考えになつていらつしやいますかを一つ
  26. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 価格支持政策という意味でございますが、価格支持政策と申しますとよくパリテイの八割で買うとか九割で買うという思想と混同される虞れがありますので、食糧におきましてはこの価格政策を、支持庁政策でも結構なんでありますが、特に最低価格を保障するという意味で特にパリテイその他のアルフアを付けて買うわけです。いわゆるパリテイの八割とかいう関係ではないのでありますから支持政策ということを使つておる言葉を御了承願いたいと思います。  でん粉の問題でございますがこれを買うという方針は決定をいたしております。価格その他の量の問題とからみ合いまして政府内で今ねつておるので、ごく近くの機会に正式に決定をする段取まで行つておることを御了承願います。
  27. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 何とかの意味合いを以ちまして政府の施策といたしまして、現在でん粉につきましても考慮を払わなければならない段階であるということは結局いもについてもそういうことが言い得ると思うのであります。そういたしました場合に現行法におきましていもにつきましても希望買上制というような事柄があるわけなんでございますが、そういうような実態は私は今日におきましても失われておらんと思うわけなんでありますが、今日このいもの希望買上制に関しまする条文を削除しようとする事柄は実態から見まして事実と離れておるような気持がいたしますわけなんであります。この点についてお伺いいたします。
  28. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) でん粉を買上げます問題は大体今年産のいも作農家等についていもの価格そのものも余り低落させたくないという趣旨も含まれておると推察いたすのであります。いも自体の価格をどういう形で支持するかということにつきまして只今のところ生いもについては政府米麦のごとき操作をいたしまして価格政策をやるということには考えておりませんのであります。差当り本条文を削除したような次第であります。
  29. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 本法によらずして何らか別途に将来のいもの価格の安定と申しますか、そういう方面の施策を講ずるお考えであるかどうか。
  30. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) いもの価格安定は結局いもの需要の問題なり、いもから出ましたでん粉そのものの需要の問題でございまして、この使用等につきましてもまだまだもつと高度な利用の形態というものも相当研究もいたしております。例えば砂糖化するとかいろいろな問題等に発展し検討を加えつつあります。いも価格安定そのものにつきましては十分検討を加えて行く必要がある問題だということは十分了承いたしております。この食糧管理法も従来のように不足食糧としてのいもを取上げるという関係方式で行くかどうかというようなことにつきましては、今にわかに決定をいたしかねる次第でございます。
  31. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 麦の買入制度と同じような意味合いにおきまして、この条項を削除するということが現段階におきまする現状からいたしまして適当であるかどうかということにつきまして私どもはこの判断が付きかねるわけなんであります。恐らくでん粉を買上げるというようなことが講ぜられるといたしますと、それはやはりこの食管会計で操作される以外に現段階におきましては途がないと思うわけなのであります。そういたします場合におきましてはやはりこの条文を置いておくことにようまして、只今政府考えられておりまするような麦類の希望買上制度のこの意味合いにおける制度として置いておいてもあえて差支えないのじやなかろうかと、こういうような気持がいたしますわけなのであります。この点はこの程度にして本日はこれで終えておきたいと思います。  次に米食率の問題でありますが、この問題については私共としてはその均一化を希望いたすわけでありますが、食糧庁長官におかれては技術的にこれはなかなか困難であつて均衡化の事柄については相当考慮を払つておるというお話であつたわけでありますが、私共といたしましてはただ均衡化を図るに努めるということではなしに、現在におきましても生産面においては一応この希望買入制というような制度をお作りになりましたと同じような意味合におきまして、ここで配給を打切るという場合に、こういうような矛盾があるとすると均一化の方向に向つての何らかの手段、方法というものが同時に考えられて然るべきものだと思うわけであります。それにつきましては東畑長官初め食糧庁にはエキスパートのかたがおられるわけでありますので、やはりそういうような何とか施策なり制度なりを必要とするということであればできんことはなかろうと思うわけでありますが、何とかこれについての手段方法について御検討があつたと思うが、検討した結果できないというのか、又検討しつつあるのか、又何らか一つの案があるか、この点を一つお願いいたします。
  32. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 赤澤さんのお説につきましていろいろ検討をいたしておるのであります。現在いわゆる十五日配給消費地区というものが全体の配給量、人口の七四・四九%を実は占めておるのであります。二十日地区というのが一三・〇六%、十九日地区が一・八五%、十八日地区が一〇・六〇%というような比率になつておりまして、従つて十五日地区は七五%弱になるわけであります。先ほど政務次官が申されたように、米作地帯等では実情は米を食つておるわけでありますが、この米食率をきめますること自体は同時に裏打となる本当に米以外の麦その他の製品を喜んで食べるという慣習なり、それとマツチして参りませんと、これを削減することが実施上いろいろな困難を伴う問題であることも御了承を願えると思う。そこで我々といたしましてこの十五日地区につきましてどうするかという問題につきまして、何らか均衡化を図る措置につきましては配給技術的な問題も相当実はあるのでございます。目下一日あたりの基準量等につきましても検討を加えつつあるのでございまして、大きなる不安定を与えない、而も十五日地区を若干でも上昇させる方法はないかと思いましていろいろ実は案ができておるのでございますけれども、この案等につきましてもつと検討を進める必要がありますのでまだまだ決定をいたしかねておる次第でございます。ただ全部を均一化しましてもとても十六日にもならないような比率になりますので、その政策的効果という問題もこれを考えてみなくちやならんというように実は考えておる次第でございます。
  33. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 只今赤澤委員の発言のありましたでん粉の問題について私食糧庁長官政務次官にお尋ねしたいと思うのであります。それから麦については後日改めて御質問することにいたしまして、本日は発生して参りましたので、でん粉の問題を特にお願いしたい。  由来断を好む自由党内閣が工場の手持でん粉の買上げの方針を決定して、而ももう荏苒一ヶ月にもなんなんとする現在において、なお断を下さないで研究中というのは如何にも我々としては腑におちない。そのために只今でん粉並びに水飴業界に新しい混乱が起りつつあることは長官始め御承知通りであります。一体どういう事情方針だけがきまつておるにもかかわらず買上の価格数量が決定をされないのか、その辺の実情を一つつておきたいと、こう思うのであります。
  34. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 一応買上の方針が内定いたしましたにかかわらず、責任ある食糧庁として買上を発動いたしませんことは誠に申訳ない次第でございます。食糧片といたしましては時価で買上をするという一つの基本方針を実は持つております。時価とは何ぞやという問題になりますと、語句政府の買上値段即ち時価を形成するという結果にも相成ると思います。この価格自体は農家、でん粉業界、水飴業界に相当影響のある価格でございますので、均衡のあることにこれを形成するのは政府の責任であるというように農林省としては考えております。他の役所等との関係もありましていろいろ事務的に折衝に日を重ねた次第でございます。近く決定をみるように図りたいと思います。
  35. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 近くと申しましても近くといつただけではいつのことか見当がつきませんので、承るところによりますと本日か或いは今明日の閣議において云々ということも仄聞しておりますが、次官はその辺の経緯をたつぷり御承知のはずでありますから、今日若しくは明日或いはここもう一日猶予をみたとしても両三日中に決定をするかどうか。決定をするとすれば大体価格数量の見通しは如何、これを一つ次官から御答弁を願いたいと思います。
  36. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) 非常に微妙な問題でございまして、私も実は確たることは承知しておりません。恐らく買上その他の方針はつきり閣議できまりますのは今週中はちよつと困難な状態であろう。来週中には必ずできる、来週の何日頃ということはちよつと申上げられませんが、来週中には大体きまると思つております。又値段の問題は影響する点が多いのでありますが、これは食糧庁のほうでいろいろ計数等を整理いたしましてお答えいたします。でん粉業者或いはいもに対する関係、或いは水飴業者、砂糖との関係等を考慮した線で買上をするということになるのでありますが、価格の問題も今日のところはちよつとはつきりしたことはお答えできないことを遺憾に思います。
  37. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それではもう一度長官にお尋ねいたします。来週中には大体決定されるというお見通しのようでありますが、価格数量に関しては、価格は十貫目の価格にして二千三百円、数品に関しては一千万貫を下らないということを期待をしておりますが、そういうふうに大体了解をして差支えはありませんか。
  38. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 価格数量と兼ねあう問題でございますが、こういう問題は微妙な影響がございますので、食糧庁長官という資格では決定いたしますまでは申上げるわけには相成らないと実は思うのであります。そういう解釈をされること自身も一つおやめ願いたい。かように考えます。
  39. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それでは解釈をやめるということはこちらの自由でございますが、期待だけは十分持つておりますからさよう御承知の上で善処されんことを一つお願いいたします。
  40. 小林孝平

    ○小林孝平君 今度の衆議院の修正並びに決議のうち最も重要なものはこの決議の第二項でありまして、この問題については先般いろいろ御説明がありましたけれども、私たちは常識的に考えればこの項目は明らかに二重価格制を採用するものであるとこういうふうに解釈するんであります。これは常識的に虚心坦懐に考えれば誰でもそう考える。ところが政務次官は、これは二重価格制でないということを強く主張されておるんでありますけれども、本日の新聞の報ずるところによれば衆議院は決議において二重価格綱を決議したとこういうふうに出ております。そういたしますと、政府の解釈というものは今回の法案全部を通じてみますと、ともかく何でもかまわない、通ればいいとこういう考えかたのように思うのでありまして、もつと常識的な誰が見ても間違いがない解釈をする必要があると思うのです。だからこれは二重価格制を自由党内閣は採用するということをきめたのかどうか、それをはつきりお伺いいたします。
  41. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) 衆議院における決議案の第二項を見まするとまあ第一項に関係がありまするが、買上のほうは二十五年、二十六年のパリテイを基準として、それにいろいろな豊凶係数であるとか再生産を可能ならしめるというようないろいろな経済事情等も十分勘案いたしまして最低の価格が決定をされるわけであります。第二項で売渡すほうは現行価格水準を以て売渡すということにはつきり決議をされまして、大臣からその御決議の趣旨を尊重してもらうということを申上げたんであります。その決議の第一、第二項を通じて考えられますことは、結果として相当程度の赤字が発生をするということに我々も決意をしております。これは結果として麦に対しましてはそういう結果になるのであります。これは二重価格制をとるというようなはつきりした線でお考えになることはどうかと思うんであります。私どもはそういうふうな御解釈は自由でありますけれども我々の考え方といたしましては、やはり食管特別会計というものの根本的な性格からいたしまして、やはり特別会計としてやつている以上は歳入歳出のバランスを考えておるわけでありまして、できるだけ高く買つて成るべく安く売る、その中間のいろいろな食管特別会計の必要な経費というふうな面の圧縮、できるだけ経費の節約を図るというふうなことで行かなければならないのでありますが、御承知通り食管特別会計は麦だけをやつておるのでないのでありまして、只今も問題になりましたでん粉の問題もございます、或いは砂糖の買上のほうもやるわけであります。それから又外麦或いは又外米というものもことごとく食管特別会計の中でやるのでありまして、いずれの面から赤字が出るか、或いは又多少プラスになる面も出て参るのであります。今年に限りましてはあの決議を我我は忠実に履行いたす決心でございますので、麦だけから取上げますと或る程度の赤字の出ることはこれは事実であろうと思います。その点は否定いたしませんが、さればといつて政府が、食管特別会計そのものがいわゆる二重価格制度というものをはつきり取上げたのだというふうに御解釈下さることはこれはどうも少し困るのでありまして、我々は二重価格制度に切替えたという建前をとつておりません。やはり依然として食管特別会計は原則としては赤字はできるだけ少いように努力いたしました結果において赤字ができた、その場合はもとより一般会計から繰入れまして赤字を補填するという結果になるわけであります。まあその点は一つよろしきように御解釈を頂きたいと思うのであります。
  42. 小林孝平

    ○小林孝平君 解釈は自由でよろしきように解釈せいということでは困るので、これで決議をしてこれを尊重するというのですから両者の間に解釈の相違があつては困るのです。これはだから特にこの前に申上げたように衆議院においては、改進党は今までこの問題については反対の態度をとつておられたのをこの法案を一部修正し更にこの決議をすることによつて今回賛成の態度をとられた。そういう態度をとられたのは、この解釈は相当はつきりした解釈をとられてやられたのだろうと思うのであります。現に私たちはその趣旨をこの委員会において衆議院の方から来て頂いて説明を伺おうとこう考えたのでありまするけれども、それでは余りに政府をないがしろにした、政府を余りに疑つているとこういう考え方からそれをとりやめてある状態なのに、あなたがたは勝手に解釈せい、こつちはこつちだ、こういうことでは誠に困ると思うのでありまして、現に新聞などは全国民が見る、それが明らかに二重価格制を決議した、とこういうふうに書いてあるのです。そういうふうに解釈しないのは自由党の現在の政府だけだ、こういうふうに私たちは解釈いたさざるを得ないと思うのです。ですからそういうことでなくはつきりこの解釈をして頂きたい、こう思うのであります。  それからこの食管の赤字の問題はこれは当然赤字のないようにするのが当然だ、こういう決議を尊重してやれば当然赤字が出て来ることは明らかでありますから、これを補填するということは当然だと思うのであります。それでこの際政府はこの決議に基いて忠実にやつたら今年幾らの赤字が出るのであるか、一般会計からどれだけ補填するか、という数字を一つお示し願いたいと思うのであります。先ほどの政務次官は今年は明らかに赤字が出るとこうおつしやいましたから、その明らかに出る赤字はどれだけであるかということをお尋ねいたしたいと思います。  それからこれに関連いたしまして、先ほども政務次官説明は極めて懇切丁寧でありますけれども、解釈は君のほうは君のほうで勝手にやれ、おれのほうはおれのほうだ、こういうお話でありました。その一端は今回の改正法律案の中に全般的に見られるのでございまして、先ほどのこの第三条の二のいも類の問題のごときは非常に重要な規定である、これは先般私から申上げて、本日又赤澤委員、飯島委員からもお話がありましたように重大なるいも類の管理制度の廃止という問題であります。これを先ほどの政務次官お話によりますと、今回の改正法律案は各方面の希望を入れてそうしてこれを改正した、こういうふうに御説明になつておるのでありますが、この第三条の二のいも類の管理制度を廃止するということは誰が一体希望したのか、誰がやつてくれと言つたのか、ということを一つお伺いいたしたい。
  43. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) 御解釈は御自由にと申上げたことがどうもお気にさわつたようでありますが、実は政府立場といたしましては繰返すようでありますが、特別会計という建前から行きましてあらかじめ赤字が出ます、出ますからそれはこれだけこの特別会計では賄つて行けないのだということをはつきり申してしまいますとこれは実もふたもなくなつてしまうのでありまして、それならばそういう特別会計は作つちやいかんということになるのであります。特別会計として一応歳入歳出がきまつておりまするこの範囲内で操作をする以上は、これは明らかにそういうはつきりした二重価格制をとるというようなことは我々としては言明できないのでありますが、御解釈の面から行きますと小林委員のおつしやるような或る意味において軽い意味での二重価格というふうに御解釈をされても私は差支えないというふうに考えておるのであります。我々といたしましてはやはり極力努力をいたしまして、食管特別会計は建前としてはできるだけ赤字を少くするように努力する、結果として赤字ができてしまえば、これは努力の結果といえども赤字が出る場合もありますのでこの場合は一般会計から埋めてもらわなければならんというふうなわけでありまして、その点は一つ政府立場という点で御了察が頂けるものと考えているのであります。  それからいものごとを削つたのは誰がやつたかということでありますが、いもについては先ほど長官からも縷々御説明があつたようでありますが、いもは今日政府が直接これを買上げるというような計画を持つておりませんので、買上げることの計画のないものを買上げる条文を載せておくことは徒らに、ことによつたら買上げてくれるのじやないかと考えていわゆるそのことを条文にあるから買上げるのだというようなことになりましても、これは却つて誤解を招く虞れもあろうから、はつきり買上げるような計画がきまればこれは別でありますが、今のところ政府はいもに対して買上げるという意向を持つておりません。別にその条文を除きましても政府考え方としては何ら矛盾はないことだと考えております。
  44. 小林孝平

    ○小林孝平君 今のいもの問題は誠に御説明はおかしいのでありまして、法文にありましてそれに基いて政府計画を立てなければならん、それを自分のほうは法律はこうあるけれどもこれはやらないつもりだ、つもりだからこの法律もやめるんだと、これは非常に論理的におかしいと思う。こういうことであれば、この前も申上げましたけれども、麦についても法律はこれと同じ形になるのであるけれども麦は買うつもりはないのだ、だからこれは今度削除する、こういうことにだんだんなつて来る。法律は何のためにあるかわからない、こういうことになつて来ると甚だ政務次官は簡単に言われるのですがそんな簡単な問題じやないのです。而もこういう重大なる問題を、この間あなたがおいでにならんときに申上げましたが提案理由に一行も書いてない。これはちよつと例がないのじやないか。最近非常につまらん法律案がたくさん出て二枚も三枚も提案理由が書いてある、その例を以てすればこれだけでも二、三枚も書かなければならんのに一行も書いてない。まあみんなよくわからんからこの際こそこそやつてしまおう、この意味でやつたのか、どうもその意味でしかとれない。米価の問題なんかにしても皆あいまいもことして表現されておる。政務次官は先ほどの衆議院法案の修正も再生産確保するを旨とするということを非常に強調して言われておりますけれども、この間の食管長官の話では余り大した重要性はないように説明されているのです。重要性が本当にあるならこれは米の価格にも適用しなければいかん、こういうことになるので、どうもこの法案全体が首尾一貫していない。もう一度よく練り直して出して来たらどうかとこう思うのですがどうですか。
  45. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) まあいもにつきまして提案理由にも詳しくここで懇切丁寧に説明すればよかつたかも知れませんが、御承知通りいもはもう暫らく買上げるという事実がちよつとないのでありまして、もとはいものこともやつたのでありますがまああえてやらなくても置いたつていいじやないかと言えばそれまででありますが、条文があつても事実上いもについては買上をするまでのこともないというような状態でございましたので、実はもう余つてもさほど事実上大したそれによつて買うというふうなことはなかつたのであります。まあ殆んど空文化しておつたとも申すべきものでありまして、まして今後又この現在の事態におきましても麦でさえも割当制度をやめるというふうな段階でありますし、いもについては暫くもう以前からたしか二十五年からでありますが買上をやめておりますので、この条文はあえてことわるまでもなく、今までも実はそれは問題にならなかつたのであります。二十六年度においてもいもをなぜ買わないかというような問題は殆んど論議の中心になつたことはないのでありまして、恐らく条文をとりましてもさほどのことはなかろうというので実はいもの分は除いたわけであります。ただ先ほど小林さんから再生産確保を旨としという点をえらい……、食糧庁長官は大したことはないというお話だつたというのでありますが、私も聞いておりませんからわかりませんが、これは大したことはないどころじやない、私は非常に大したものだと思うのであります。やはりこの問題は特に改進党が非常に力を入れた問題でありまして、我我もその趣旨を体しまして大いにその再生産確保を旨とするのその「旨とする」があの決議案の三カ条になつたという程度でありまして、これが大変まあ大きな問題であるのでありまして、その修正された部分だけを見ますと、これは成るほどただ解釈したら大したことにはなりそうもないのでありますが、その内容に対してあの決議案まで発展されたという実相を考えますと、これはやはり非常に大きな意義を持つておるものだというふうに私は解釈しております。
  46. 小林孝平

    ○小林孝平君 政務次官が非常に重要な意義を持つていると解釈されますのはそれは当然だろうと思うのです。そこでこの前も、あなたがおいでになりませんけれども、米と麦というものは何といつても米のほうに重点があるということは当然だろうと思う。ところが麦については非常に再生産確保するを旨とするというような規定が入つたのに、米については同じ食管法の改正でありながらそれがこちらに入つてなかつた。そこで麦にこういう強い規定を入れるなら当然米についてはこれより更に強い規定を入れるのが当然じやないか。従つてこれはすでに政府は提案された後の修正でありますから、こういう修正がなされたなら政府としては当然米についてもこれ以上強い規定か、修正をする必要があると、こういうふうにお考えになるのが当然だろうと思いますが、政務次官はどう考えられますか。現在のままでいい、米は勝手に今まで通りでいい、麦についてだけこういう規定を置いておけばいい、こういうふうにお考えになりますか。こういう改正をすれば当然米についても少くともこれ以上の修正をする必要があると、こういうふうにお認めになりますか、お伺いいたします。
  47. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) 米に対する価格決定の考え方が第三条にありますように、「生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シテ」ということで非常に簡単に書いてあるという点が問題になろうと思います。これは御承知通り米は或る一つ生産される時期、出廻る時期を押えてその生産費をパリテイ指数によるところのその時期のあれをとつてきめるわけでありますが、麦の場合はこれはいろいろな条案を書いておりまして、それに対しましてあとから次の再生産のときまでの物価指数というふうなものがこれが変つて参りますと、これに対しまして従来もある基準のパリテイと、生産費を出したときのパリテイというものを計算しまして、その間に違いが出て来ればあとから後払い、バツク・ペイという制度を今までやつておりますし、今後も恐らくパリテイ方式をとるとすればどうしてもそういうバツク・ペイをするようなことになるのは当然であろうと思うのであります。麦の場合はこれは買切りでありまして別にあとからバツク・ペイということはこれは事実上できない。そうしますと、あらかじめときの経済事情或いは再生産確保するという観点を十分考えられましてそうして適当な値段にきめませんと、あとから経済事情が変つたような場合に困るという点で多少のそこに考え方相違があり、それが文字となつて表現された場合にそういうふうな違いになつたのではないかというふうに私どもは解釈しております。米はどうなつてもよろしいというふうなわけではないのでありまして、米につきましては慎重に考え生産者価格をきめたいと考えております。
  48. 小林孝平

    ○小林孝平君 政務次官の只今の御説明は非常にこれは問題だろうと思うのです。先ほど折角再生産確保するを旨とするというのは、非常に重大な意義を与えられて改進党のかたがたを満足させた、ところがそれから直ちにそれを否定されてますよ。あなたの御説明によりますと、再生産確保するを旨とするというのは米価の決定の際のバツク・ペイに大体相当するのだ、こういう御説明になります。これは速記録を御覧になるとはつきりすると思いますが、そういう説明がこれは衆議院の修正の精神を根本的に蹂躙しておる、こういうふうに解釈せざるを得ないと思うのです。まあこの点につきましては又日を改めてやることにいたします。  もう一つちよつとこれからそれますけれども、昨日米の超過供出の免税の問題について食糧庁長官にお尋ねいたしましたところ、非常な御努力で一般の匿名外の超過供出についても免税の措置を講ずる、但し二月一日以降の匿名制度が始まつてあとの分については一般の超過供出がどれだけあるか調査してそれは考える、大体この程度になつておる。こういうふうな説明で今までのいろいろの要求のかなりの部分がそれで満足されたと思うのでありますが、そういうふうになつておるなら非常にこれは末端では混乱を来たしておる。先般国税庁並びに食糧庁から出ました通牒が非常に誤解を与え、且つ特に末端の税務署はあの通牒を厳重に解釈して農民に話しておるものですから非常に困つておるのでありますから、直ちに通牒を出して現在の経過を、この二月一日以前の一般の超過供出については免税をするという点、並びに二月一日以降も今後調査をして免税の措置を講ずるということを通牒される必要があると思うのですが、それをおやりになるかどうか一つ
  49. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 昨日申上げました小林さんの交渉の経緯を率直に言えという御発言でございましたので交渉の経緯を申上げまして、そういう話合いを事務当局としていたしておるのでありますが、実は最後決定は政府の問題でございます。これを通牒の形でやりますかどういう形でやりますか、或いは立法的措置か行政的措置かという問題になりますのでまだその段階に至りませんので確約をいたすわけには実は参りません。昨日申上げましたのは我々事務当局の交渉の経緯を率直に申上げた次第であります。
  50. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 私は先ほど来の答弁を聞いておりまして、又私もこの前質問いたしまして、やはりわからない点は二重価格制の問題で、どうも政府の答弁を聞きましても果してはつきりやるのかどうか極めて不明瞭である。この点は最も法案を審議する際の極めてキー・ポイントでありますので、更にこの問題で質問はいたしたいと思つておりますが、ただ我々今審議をしておりますのは衆議院の修正案を審議をいたしておるわけであります。従つてこの解釈は勿論これは勝手であつてはならんのであつて解釈は自由では困るのであつて、これを運用するのは国会で決定した線に沿つて行政官庁が運用するわけでありますから、解釈が自由である、解釈は勝手であるということではこれは困るのであります。我々の解釈を一定してその線で政府が運用してもらわなければならん、こう思うのでありますが、そこで委員長に要求しておきたいと思いますのは、今審議をしておりますのは衆議院の修正案を審議しておるわけでありまするから、従つて衆議院でこの修正案を出されました責任者にここへ来て頂いて、それで一体再生産を旨として云々ということはどういう趣旨なんだか、特に食管法の第三条の米の価格とは少くとも文章が相当違つておりますから違つた点はどういう違いがあるのかという点を明確にしておきたい。それから結果においてこういう修正案をした結果、附帯決議にあるようなこれは解釈上当然にこれは二重価格制というものは起り得る、起ると断言するわけではないのでありますが起り得るという点を明確にして頂きたいのであります。我々はこの審議に更に入りたいと思うのでありますが、なるべく    〔委員長退席、理事山崎恒君委員長席に着く〕  早い機会に衆議院のほうで修正案を提出されたかたの責任ある答弁を一つ求めたいと思います。然るべくこれは御処置を頂きたいと思うのであります。  それからその次に政府の当局に質問したい点でありますが、これはこの法案の根本論でありまして私もすでに一応の質問はいたした点でありますが、更に今少し突込んで質問してみたいと思うのでありますが、今度の改正案を出されました新らしい管理方式を設定するという理由は、一言で言いますれば食糧事情が安定して来ておる、こういうことが基本的な説明だと思いますが、更にこれを分けて考えますれば、第一にはCPS等の調査に関して、麦の実効価格は公価格と殆んど違わない、開きがないということを東畑長官も答弁をされておりますし、それからもう一つの理由としては配給辞退が相当多いのだ、こういうことが第二の理由としても挙げておるようでありますし、又輸入関係も大体心配がないと、こういうことを総合して要するに食糧需給は安定をしたということが基本的な政府説明だと私は了解をいたすわけでありますが、そこでこの問題は他の委員のかたからも触れた問題でありまするが、大体その配給辞退があるとか、或いは実効価格配給価格と殆んど変りがないと、こういうようなことを政府は理由にしておりまするが、大体私どもの見るところではまあ一昨年も相当よくありましたが特に去年の麦が近来にない大豊作であつた。而も政府の麦の供出割当は非常に実はあまかつたことはこれは政府も認めておるところであります。従つて去年の麦は相当多量の麦が横流しをしておることはもう公然たる事実であると思うのであります。過般私は予算委員会で国警当局に食管法の違反の検挙件数の調べを出してもらつたわけでありまするが、例えば二十五年は米の検挙件数が三十五万千二百一件と、麦の違反検挙件数が三万八千七百六十七件、ところが二十六年になりますると、米は大体同じ程度の取締をしておりまして検挙件数が二十六万五千八百十七件でありまするが、麦のほうは僅かに五千四百三十一件で、国警当局自身の御説明でも確かに麦の点は米に対しても大分それは取締の手心は加えておるということを言つておるのであります。従つて現在実効価格配給価格に近ずいておる、言葉を換えて言えば麦の統制は殆んど崩壊にひとしいという実態であるということは私は言いたくはないのでありますけれども、これはむしろ去年の麦が非常に豊作であつたということと、政府それ自身が殆ど取締をあえてしておらないというところから起きた現象であつて政府が自分で取締をしないでそれで麦の統制は崩壊しておる、実効価格は殆んど公に近いという説明をされることは私は理解がちよつとしがたいのであります。而も去年のような豊作が毎年続くというわけには行かんのでありまして、現に今年の麦の面積は七万町歩近いものが大量に減反をしておるのであります。従つて昨年を中心とした豊作或いは取締を殆んどしておらん。こういう客観情勢を以て今後を律して全体の主要食糧、特に麦の需給は安定しておるのだということは私はやはり最近の特にいい年をとらえての事実で将来を推すことであつて、その辺に私はやはり更に慎重に検討をいたすべき点があるのではないだろうかという点が第一点でありまして、これに対する政府見解を重ねてお伺いいたしたいと思います。  その次に配給辞退の問題でありまするが、まあ現在の二合七勺でむしろ足りないというのが従来の国民の声でもありましたのでありまするが、でありまするから配給する主要食糧辞退しても辞退した数量を食べないというわけではないのであつて、それは結局闇の米なりもつと良質な麦製品を買つて食べておるということだと私は理解しなければならんと思いまするが、政府はどう見ておりまするか、配給辞退の多いということはこれ又さつき言つたような食糧管理が殆んど取締がされておらないというところから闇で或る程度手に入つてその結果が配給辞退である。それに加えて政府の麦製品の品質も悪いというようなことも一つ。それから麦の配給価格が米に対して割高であるということも原因かと思いまするが、そこでこれはこの前も我孫子君にも言つたのですが、これは本当に米の配給辞退が十万トンとか二十万トンとかであれば、貴重な外貨を使つて輸入食糧を入れておるわけでありまするから、本当に要らんものであれば、これはむしろ貴重な外貨を浪費をすることになりまするから、本当に要らんものであれば輸入計画から切つたらどうかということを私は申上げておるわけでありまするが、そこまでの決意はないので、    〔理事山崎恒君退席、委員長着席〕  或いはこの辺が……昨日私が言つた輸入計画というものはかような新管理方式になれば絶対不足量を入れることは勿論でありまするけれども、或る程度需給調整なり価格調整をやるとすれば、プラス、アルフアーの予備量を持たなければ、絶対不足量だけを入れたのではそういう需給調整ができない。従つてこの配給辞退を入れてありながらあえて輸入計画から落さんということは、これは或る程度アルフアーのリザーブと見る趣旨であれば理解できますが、そうでなければ、貴重な外貨を使つて国民配給辞退をするものを、これを入れる必要はないと思いまするが、それは先にも御質問いたしました絶対不足量プラス、アルフアーを入れなければこの新管理方式の価格調整、需給調整はでき得ないという見地から私は質問をいたすわけでありまするが、それをどういうふうに考えておられまするか。  第三点は、先ほども他の委員からも御質問がありましたが、特に赤澤委員からは去年の十月、十一月頃の政府の見ておつた食糧の需給見通しと、現在の我々が審議しておる昨今の情勢と大して情勢の変化がないかということで、それに対してはないという御答弁であつたのでありまするが、私どもはどうも或る程度の変化がむしろある。輸入関係は確かに船賃等も安くなつたことは一つのプラスと思いまするけれども、併し外国から買いまする米なり、或いは麦にしても、向うの国内相場が相当上つておることは事実であつて、それが故に今度の国際小麦協定でも四割の値段を上げるというような問題も真劍に討議されておるのであつて、従つて私は輸入関係はむしろ去年よりそういう点からは悪いのではないだろうか。而も外貨の蓄積も、私は安本長官が言われたような外貨の蓄積は現在までのところでは相当むずかしいのではないかという感じを持つわけでありまするが、従つてどうも食糧事情が安定をしたと……確かに或る程度の安定して来ておりまするが、今言つたような去年大豊作であつた麦作を中心としての客観的情勢で今後をいつまでも見るということは、一つの私は心配の点があるのではないだろうか。その他配給辞退等の問題についても、今言つた三点につきまして、まじめな意味で一つこれは政府のお考え方を納得行くようにお聞かせを願いたいと思います。
  51. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 先ほど麦類、特に関東、東北におきましては大豊作でありまして、供出割当に対しまして実収高が相当多いのであります。従いまして相当その意味における供出が多かつたことは、統計上はつきりいたしますので、これは政府としても認めざるを得ないのであります。従つて供出をもつとやるかどうか、こういう問題になつて参りますると、片柳さんと私ども若干意見が違うかと思うのでありますが、だんだん需給が安定をして参りますると、政府供出価格配給価格に、御承知のように全国プールの関係上相当な幅がありまして、その幅を持つた取引が経済的に、農家のほうからも消費者のほうからも当然行われることが、日本のような生産地帯が非常に細長くなつて地区々々による事情が異なりますので、どうしても避け得られないことが統制技術上起り得る現象であります。昨年の麦も然りでありますし、麦類全体はそういう傾向を持つて来ており、本年の東北における米の配給辞退というものも、配給辞退という形で、ただ別箇の形の経済取引が行われて、やはり米を食つているということであろうと存じております。そこでこういうものを強化いたしましてやることは、今の全国プールの考え方では、経済的になかなか無理が出る。経済自体が、政府から買うよりも安い、政府よりも高く売れて安く買える。こういう形でありますと、如何にも統制技術方式では崩れて来るのであります。もの自体が需給が大体見合いますと問題は価格政策になるのでありますが、そこの限界をどういう方向でこれを展開するかという形によりまして、将来の見通しその他も慎重にこれは考慮しなくちやならんのでありますが、我々といたしましては、昨日申上げましたいろいろなデーター等からなお分析いたしまして、いわゆる政府が間接的な管理政策価格統制政策を持ち、而も相当の量を麦類が持つわけであります。そういう形において、これを末端における統制を外しましても、農民消費者等に迷惑をかけないのじやないか。むしろ農家生産力はそれで決して衰えるのではなしに、供出以上に生産力を上げるフアクターになるのではないかというので仕事をいたした次第でありまして、昨年が非常に豊作であつたからどうだという問題だけからこれを見ていないのであります。そのこと自体はCPSの分析をいたしましたのでありますが、実を申上げますと、CPSの元の資料をもう少し綿密にやつてみる必要があるのでありますが、外食の問題等があつてこのうちの麺類、パン類をどの程度食つているかという問題であります。大体の資料から申上げますると、配給量も相当食つているわけであります。CPSと食管の持つているものとは全然関係がございませんのでありますが、大都市におきまする押麦でありますとか、大麦及び小麦製品等の配給は実は相当あります。非配給も勿論あるのでありますが、全体の量としては決して小麦を食わないわけじやありません。小麦の製品も相当食つている。それからもう一つ厚生省が栄養調査というものをやつているのでありますが、それは全然別個の調査でありますが、それによりますと、CPS以上に相当カロリーを摂つております。殊に大麦におきましても小麦におきましても、二十五年よりは二十六年が非常に多くの量を摂りまして、主食全体としては二千五百六十九カロリーという実は厚生省の栄養調査となつております。おのおのの目的が違い、対象が違いますので、これに一致しないのは止むを得ないのでありますが、そういうデーター等から見ましても、麦類辞退は決して消費が減退しているのではなくて、むしろ食つているのでありまして、又政府から配給を受けている麦も、CPSから見ますると、そう減つているわけでも実はないということと、若干のいわゆる配給辞退というものは、現実の配給辞退でなくて、配給なんというものと配給実績の差ということも先ほど申上げたのでありますが、厳密な意味では配給辞退ではないのであります。その数字をつかみますことはなかなか困難な問題でありますが、諸般の情勢から見ましても、麦そのものの消費は絶対に減つたということは申上げることでないと思います。従いまして輸入の問題等を削減する必要は毛頭ないのでありまして、麦そのものの消費は、やはりこの統計から見ますと若干微増しつつある。厚生省の栄養調査から見ますと非常に殖えているというようなことになつております。従いまして、我々は統制を撤廃するに際しましても、これはやはり需給の安全弁から見ましても相当量の輸入確保いたしまして配給統制をなくする、こういうことに実は考えている次第であります。  それから輸入の問題等につきましては、昨日も三浦さんの御質問に対しまして数字を挙げましてお答え申上げたのでありますが、率直に申上げまして、米の確保は本年は千五百五十というような供出量が少かつたために昨年に比べまして相当実は輸入を厖大にいたしましたために、我々事務当局も非常に苦労をして実は……。又日本の買付け方等が統一がとれなかつたために、相当国際価格等も値上げをした一つの原因になるということもこれは率直に認めざるを得ないと思います。何分にも世界の米につきましては、輸出量が四百三十万トン程度でありまして、そのうちの百万トン以上を日本が買うということでありますので、相当の日本の購買力というものがウエイトを占めるわけであります。我々はその点で慎重な購入をいたしておるのでありますが、数字等は、昨日申上げましたように、我々は期待量以上に只今のところは非常に多くの量を確保できたことを喜んでおるのでありますが、問題はタイ、ビルマの米を、今後あと僅かでありますが、どういう形でこれを合理的に買うかということに努力をいたしておる次第であります。麦自体につきましては、今年の麦作は非常なカナダ、アメリカ等も豊作であります。昨年カナダの麦は雨が多かつたために多少水つぽいのでありますが、本年は豊作でありますし、国際価格等も下落しております。事実問題として、これの確保は只今のところちつとも困つていないので、むしろ食糧庁といたしましては八月以後の新麦を買つたほうがより安く買えるのではないかとも思い、むしろ買控えいたしまして、昨日も申上げましたように、すでに百四十一万トンも買つておるのであります。十一月まではあと二、三十万トンでいい、それぐらいのものは当然今でも買えるのでありますが、もう少し新穀の出廻り期に買つたほうが安くていいのじやないかというような情勢でありまして、麦の購買力そのものにつきましては、本年のところちつとも実は心配をいたしていないという事情でございます。外貨の点等につきましては、米が率直に言いますと予定よりは少し高いということは誠に遺憾であります。予算で見ましたよりは高いものは二百四ドル、五ドルという相場で実は買つたものもございます。タイ等のものはそうでもございません。タイ等の米を確保いたしますればもう少し安くなるのでありますが、従いましてその点は相当外貨で買つておるということは言えるのでありますが、麦類等につきましては、只今のところは百ドルペースを割つておる状態でありますので、予算よりは少くて済めるのじやないかという状態であります。日本人から見ますと同じ主食でございますが、米の事情と麦類の事情が国際的に見ましても、国内事情から見ましても、若干性格が違うのじやないかというところがこの法案を提出しました裏付けにもなる一つの資料であります。
  52. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 現在の、現行通りの管理制度で行けば、麦についてはやはり立地条件その他でどうしても何といいますか、政府に出る以外のものが相当横に流れる、或いは米についても、生産地帯はそういう現象が起つておるということは私も認めるわけであります。それだからこそ私どもはさつき言つた自由価格制という問題もそこから、実は議論しておるのであつて、私も現在のような、生産者価格をできるだけよくして、而も若干その他の中間経費を加えて売るということでは、これはむしろ闇で買つたほうが安いということになるのであつて、現在の配給辞退なりも、先ほど申上げましたように麦が比較的割高であるという点が  一つの大きな私は原因をなしておると思います。従つて現行制度では確かにお話のように実際上はがつちりした管理ができ得ないということは、私はそれは同感であります。だからこそ消費者が或る程度容易に買い得るような、消費者生産者価格との二重価格制という問題を、そういう点からも実は強く主張いたしておるわけでありますが、それはそういうことで、先ほど委員長にもお願いいたしましたような、衆議院の提案者の意見を聞いた上で更にこの議論は保持して行きたいと思いますが、そこで実際上は麦は足りているのだということ、これも私も実際はそうだと思います。そうなつて来ると、これも前の質問でちよつと触れた点でありまするが、米麦を合計して二百七十億円の補給金を出しながら実際の消費者が買う価格は必ずしも現行価格と同じものは保しがたいということはですね、これはもう法案それ自身でこれは言つておるのでありまして、相当量国内麦なり、それから随時放出する政府の手持ち麦も、どうしてもなお価格が上がるという場合を想定しておりまするから、そこで更にそういう場合には手持ちの麦を更に追つかけて放出をしてそれで市価を下げる。下げるということは上がるということを前提としておるのであつて、従つて最終的には下がるかも知れません。下がるまでの過程においては補給金をもらつておる麦については麦でありながら消費者は比較的高いものを買つておる、こういうことが起るのであつて、貴重な予算の中から、相当巨額な二百七十億という補給金を出しながら、而も消費者は必ずしも一定価格で買うという保障がないということは、私はやはり一つの弱点ではないかと思うのであります。特に私ども考えでは日本人としては、先ほどこれは岡村さんその他から御意見がありましたが、実際には食生活は麦には慣れておらないのであつて、従つて或る程度政府配給制度を続けながら麦の食生活に慣らさせる、こういうことも私は一つの必要があるのじやないだろうかと思うのです。今この時期で外せば結局麦の階級と米の階級とが分れてしまうのであつて、それは貧乏人ですから或いは安く麦が食べられるかも知れませんが、併し食生活の構成からすれば、先ほど岡村さんなり池田さんが麦食大いに大奬励という意見を出されましたけれども、これは賛成でありますが、併しこれも程度問題であつて、そういう点からもちよつとまだ時期は早いというような消費者面からの感覚がいたすわけであります。どうも特に二百七十億という巨額な補給金を使いながら消費者がそれに保障されておらんということは、これは非常な大きな問題ではないかと思うのですが、これは政務次官は、昨日はお出でにならないので、この辺につきまして、政務次官からそれに対しまするお答えを頂きたいと思います。
  53. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) 外国からの輸入のものに対しましては、輸入補給金を出しておる、それで相当の補給金を出しておるのであるから、消費者に対してそれが安く食えるようにはつきりした保障と申しますか、形でそれが放されなければいかんというようなことでございます。結果においてはそういうことになるのでありまして、この食糧管理法考え方も直接的にはそれをはつきりと麦に対しまして配給制度をしないということになりまするから、配給制度がないというと自由に或る程度の売買ができるわけでありますから、この点は輸入補給金との関連が一見非常に弱くなるというふうにおとりになると思いますけれども、事実は長官からも説明があつたと思いますが、やはり輸入補給金は末端における消費者の麦を買入れる価格に端的に響くものであると考えております。技術的には十分検討されまして、政府がこれを放出する場合に売渡しの方式なり或いは又これが不当に高くなつた場合にはこれを需給の調整等でどんどん価格の安定と申しますか、不当な価格を引下げるというような措置を講ずることが前提になつております。それを大いにやるつもりでおりますので、その点は輸入補給金との関係が十分活かされて、消費者は安い麦が食えるという結論になるものと信じておるわけであります。  それから先ほどはつきりした二重価格という問題をどうもはつきりしないのは遺憾だというような御意見でありますが、これは農業政策としては、実は私のほうもかねてから二重価格という制度を実は主張もして来た一人なんでありますけれども、今現実の問題としての扱い方から行つて、先ほど来私小林さんのときにもお答え申上げましたように、食管特別会計という建前がやはりあらかじめはつきりした二重価格制度ということを言い切るというと、そこに問題になつて来る点があると思いますので、これは言えないわけでありますが、これは従来食管特別計会は絶対に赤字を出さない建前だということで来ておつたのが、まあ或る程度出ることは止むを得ないということまで呑んでしまつた今日においては、これは農業政策としては一つの大きな転換とお考えになつても差支えなかろうと思うのであります。これが将来二霊価格制度はつきりしたものになるということは私どもは実は賛成なんであります。農業政策の面から行けば賛成はするのでありますが、今までいろいろ御質問がありましたけれども、今政府がこの食管特別会計食糧管理法の一部改正において或る程度二重価格制をとつたんだと言い切るには、いろいろ立場上その点が言明できない。その点を一つ御了承願いたいと思います。
  54. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  55. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 速記を始めて。
  56. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 只今の政務次官の御答弁でありまするが、ただこの食糧管理法の従来の実施の経過を辿つてみますると、現行法で、曾つてはいわゆるドツジさんのインベントリー・フアイナンスを強行される前までは、現行法で毎年二重価格制を実はやつておつたんです。これは明瞭な過去の同じ法案でやつておつたわけですから、これは実はそういう点からすれば、これは今更ここで取上げてやるのが、むしろおかしいくらいに思うのですが、併し実際の運営は二重価格制をやらないという、むしろ財政的な理由からそういう方向に向つておりますので、実は駄目を押しておるわけでありまして、これは私は過去のドツジさんが厳密なる均衡予算を強行する前までは、毎年二重価格制をとつておつたわけであります。その意味で当然私はでき得るものと今でも確信をいたしておりまして、今度の麦の法案をどうきめようが当然これはでき得るものという解釈で、ただ何でもかんでも赤字を出していいということではないのであつて生産者価格消費者価格との間においてはこれが全然別に計算されれば現状においては、結果においては相当な赤字が出る公算が多いのではないか。ですから生産者もよくし、これは又東畑長官も苦労されたと思いますが、生産者もよくするし、消費者もよくするということは二重価格制という閂を入れなければできないことは明瞭で、あつちが立たなければこつちが立たんことは明瞭でありますから、まあそういう点を申上げておるのでありますから、これは一つ先ほど言つたような衆議院の修正者の意見を聞きまして、更に議論を展開して行きたいと思います。  それから補給金の点はこれはどうもやはりはつきりしないわけです。これも要するに価格の調整を図る。手持の麦を放出をして価格の調整を図るということになりますと、そうするとやはり或る場合には値段が相当上るということをこれは当然予定しておりますから、そういうことを予定しておりまするから、そう高くなつた場合に更に追つかけて出して下げるというのでありますから、その結果平均値が、大体現行価格と大差がないという御説明であれば、これは一応観念論としては納得をいたすわけでありますが、とにかく或る時期に下るということがなければ、価格を下げる、調整するという必要はないわけでありますから、当然私は或る時期においては補給金をもらつた外麦についてもこれは或る程度高くなる、政府の補給金算出価格よりも高くなるということが言えるのではないかと思いますが、それともう一つは、そういう非常に平均値としては大体現在通り価格を維持できるということになりますれば、私はよほど相当多量のストツクを持つておらんと、これは実際上心理的にも、又具体的にも私は困難ではなかろうか。その意味で私は現在の三百五十一万トンというものは二合七勺の配給を基準としての絶対不足量だけしか輸入をしない建前でありましたが、これは絶対不足量はこれはます毎月適当量出すべきであつて、それを出しても或いは三百五十一万トンというのは計画配給をしてどこにもよどみができないで、公平に国民配給して、三百五十一万トンでありますから、これが自由ルートで流れて来れば、どつかに偏在して、或る所に足らんという現象が起きて来るのでありましようし、そうすると足らん所には相場が上つて来る、それを調整するには絶対不足量プラス相当多量の手持ちをしておる、或いは輸入関係もありましようから、手持ちができんでも、それだけの輸入計画政府がやるんだという、そういうことがあれば或る程度そうむちやな上げ方はしないと思うのであつて、これは先ほどやはりプラス・アルフアーというものをどうしても持たなければならんという感じもいたすわけであります。なおいろいろありまするが、時間も今日ありませんものですから、以上の点を重ねてお伺いします。
  57. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 価格調整と数量調整という問題はなかなかこれは複雑な概念でありますが、価格とつまり数量とのからみ合いでありますが、技術的にはやはり数量調整と価格調整とは観念的にはまあ分れるのであります。末端における公制度がなくなりますので、市価というものは流動いたすのであります。政府としましては、その水準というものを維持するということであります。その水準を維持するためにはやはり量の問題が当然必要でありますので、又量の調整以外にはないわけであります。そこで数量をどれくらいコントロール下に把握しておれば市価そのものの安定になるかということも、政府の持つておるものと今後の計画的に入つて来るものがどうであるかという今の問題と二つ分けなくちやならんと思います。我々といたしましては、資料にも出しましたような、麦年度の始まるときに相当量、百万トン以上の玄米換算の原麦を把握いたしておりますことと、昨日も申上げましたように、未到着のものが順次相当量のものが毎月計画的に入つて来るのであつて、こういう形におけるストツク量というものを持つておりますれば、その政府コントロールになります数量そのものが、やはり市価そのものに対する相当の牽制になります。又思惑的現象もなくなるのではないか、殊に自由ということになりますと、企業そのものの競争というものが、場合によりましてはこれがつり上げになる発端になりますけれども政府の或るコント  ロール下におきましては、これが合理的な値下りの要素になるわけであります。我々は麦類に関する限り、なるべく後者の形でこれの運用を希望し、又そうすべきものであると思います。こういう問題であります。何分にも麦の配給統制供出というものと、政府のこういう大きな市価調整という制度は今回が初めてであります。この点は慎重を期してこれは勿論運用をいたしたいと思いますが、只今のところ或る程度の大量の量を確保し、而も今の見通しでは漸次計画的に入りますし、而も又政府の売払方も当分の間は割当配給をいたしまして、又事前に相当早く計画的に売払数量等も発表をいたすということをいたしますれば、原麦操作を以つて十分製品の市価安定を期し得るのではないかというように考えるのであります。ただ地域的に非常に不便な地帯日本には多いのでありますから、そういう点と、或いは勤労者等の組織等に対しまして特に必要のあるという場合におきましては、これは委託加工をしました製品を随時流して行くという制度をやはり持つておるのであります。この二つをかね合せれば輸入、補給金がやはり安全に運用せられるものであるというようにやはり考えまして、この制度を実は考えた次第であります。
  58. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 さつき小林さん、片柳さんですか、衆議院におきます附帯決議でしようか、決議、麦類の価格米食率及び食管特別会計の不足金の処理に関する件、これについていわゆる原案者の衆議院の方から来てよく説明を聞きたいということの要求が委員長にあつたわけです。私は更にそれに附加えて、この三つの中の一、二或いは三このいずれもが相当これはこの特別会計の赤字に関連すること多大だと思うわけであります。米が一粒もないような、余り米のない際にその裏打ちと言いますか、ようやくやつて来た二合七勺下において配給辞退があるとか、或いは輸入状況がいいとか、生産の増強を図るとかいつたような、かなりいろいろな問題をからみ合せてではあるが、いずれもがいろいろな議論があるように、納得のなかなかむつかしい中にこれをこういうふうな扱いにしようというのだから、見方によつては今の値上りで二百七十億がどうなるといつたような問題があるという一面において、農家かたがたは上つていいと思うけれども、一面においては、これは金融の問題やら、施設の問題やら、又これは農家側ばかりでなくて、中間業者に対する金融その他の関係からして、叩かれるじやないかと言つて、或る程度の買上げの最低価格、再生産を保障する程度価格以下になれば買つて欲しいという要望のあるのは御承知通りであります。私はこれを考えた場合に、それは高低ありましようけれども、再生産を保障すると言いますか、できるような価格でいつも売れるようには行かない。だからそういうときには、買つてくれ、買つてくれと言つて生産者が買つてくれと言つたときには、その特別会計で買つたほうの政府というものは儲かるはずはありはしない。儲かるような状況ならば、それは一々政府の手などは煩わしはせん。だから私は赤字というものに一、二、三とも関係が多いと思う。そこで単にさつきの提案者の意向を聞くばかりでなしに、農林省は勿論ですが、特に大蔵省、安本等と十分御相談になつて、一応政府としてこの附帯決議に対してどういうふうに考えておられるか、これを明らかにしてもらわなければならない。それは従来の例によりますというと附帯決議で尤もなことを言われる。現に私など役人をしておりました場合に、附帯決議に対して随分純情的な意味から言つて、議会を尊重する意味から言つて、それを早く実現しなければならんと心がけたにかかわらず、政府部内のほうのいろいろな意見のためにそれが実現できなかつた事実がある。そうなるというと、これを何とか一応の理窟を通すために、こういう恰好をつけたというただ単にゼスチユアに終つてしまう。だから、これは次回になりますか、説明衆議院から頂く際に、政府側のこの決議案に対する本当の率直な要するに意見を、ただ言葉で成るべく尊重するようにいたしますなどということでなしに、一つそういう点から誰か政府側の責任ある答弁ができるような人を呼んでおいたほうがいいと思う、そういう点を申上げます。
  59. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 先ほど私の中座中に片柳委員から、只今又三浦委員から本法案に関する衆議院の一部修正、並びに附帯決議について、衆議院の提案者並びに政府関係当局を本委員会に呼んだ上、適当に考究すべきであるという御発言でありますので、この件についてちよつと御相談をいたしたいと思います。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  60. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは速記を始めて。御懇談の結果につきましては、本法律案衆議院における修正案の提案者並びに関係政府当局を次回に当委員会に招いて事情を聴取することにいたしたいと思います。  なお明土曜日は委員会を休みまして、月曜日は委員会を行いたいと思いますので、御多忙の際と思いますけれども、極力御出席をお願いいたします。  本日はこの程度で散会いたします。    午後四時七分散会