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1952-05-08 第13回国会 参議院 農林委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月八日(木曜日)    午後一時四十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            加賀  操君            山崎  恒君            岡村文四郎君    委員           池田宇右衞門君            瀧井治三郎君            宮本 邦彦君            赤澤 與仁君            片柳 眞吉君            三浦 辰雄君            小林 孝平君            三橋八次郎君            小林 亦治君            松永 義雄君   政府委員    食糧庁長官   東畑 四郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○食糧管理法の一部を改正する法律案  (内閣送付)   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。  食糧管理法の一部を改正する法律案につきまして、昨日に引続いて質疑を続行願います。
  3. 小林孝平

    小林孝平君 この法案と直接関係ありませんけれども、二十六年産米超過供出の問題でありますが、匿名供出に対する課税免除の問題につきまして政府から方針が示され、この匿名供出の分だけの免税というのはおかしいというので、一般超過供出についても免税措置をすべきであるという要求をいたしました。これは農林大臣から直接これに対しては善処をするということになつておるのでございます。ところがその後この問題について何ら具体的の措置が発表されないので、末端においては非常に混乱を来たし、又農林省はこれをうやむやにするのではないか、こういうことが言われておるのでありまして、末端におきまして、県庁あたり税務署あたりに相談しましても、税務署あたりはこの前の通牒に基いてこれが措置されるのだから、匿名供出以外の一般超過供出には免税措置がないというようなことを言うものですから、ますます混乱をしておる状態ですから、その後この経過がどうなつておるかということをここではつきりさして頂きまして、できればその経過のあらましを末端まで通牒なり、その他の形で徹底させて頂いたほうがいいのじやないかと思いますが、その点を一つ伺いたいと思います。
  4. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 匿名によらざる超過供出につきまして、政府としては農林大臣を通して大蔵大臣と話合つていることはこれは事実であります。そのことにつきましては、いずれ農林大臣からお話があると思いますが、事務的には国税庁、主計局ともたびたび話合いをいたしております。そういたしまして、省令を改正いたしましたのが二月二日でありますので、二月二日前の超過供出につきましては、事務的な取扱いはどうするかという話合いを確定はいたしておりませんが、しておる。二月二日以後にも超過供出がどのくらいあるか、これは匿名によらざる超過供出があるかということを今調べておる、根本趣旨については異議がありませんけれども、最後の決定までにはまだ行つておらないのであります。我々としましては、匿名供出匿名によらざる供出と同じような措置をとるべく更に努力をいたしておる次第でございます。
  5. 小林孝平

    小林孝平君 ちよつと言い違えたかも知れませんけれども、二月二日以前のものについては匿名免税措置を講ずる、こういうわけですか。
  6. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 二月二日以前のものについては、そういう措置を講じても、二月二日以後に匿名によらざる超過供出がありますので、それについてはどうするかということについても、なお研究を重ねておる次第でございます。
  7. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 ちよつとお伺いいたしたいのですが、要綱というのはただその政府部内の内規のようなものですか、又それ以外に何か要綱のことがあるのですか、例えばここに統制廃止後の麦類需給調整対策要網というのがありますが、その要綱というものは単なる政府部内の内規のようなものか、又はこれが外へ向つたりするものか、どういうものかお聞きしておきたいと思います。
  8. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 要綱という名前だけではちよつとなかなか御説明できないのでありますが、具体的に麦類統制廃止に関する要綱というのは、こりの法案を出すについて政府決定をいたしたものであります。その要綱は外部に対してもこういう要綱法案を作りますということを言つておるのであります。
  9. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 それから法律を見ると、要綱というのはこれとは随分違うものですから、法律だけを楯にとられると随分不審な点があるのであります。要綱を見ると、もう少し多くて細かく書いてある、例を挙げて申上げますと、法律を見るとまあ無制限買入というようなことは何にもありません。要綱には限度を示さんと書いてあるが、これには買入を何ぼするという数字は書いてないと思います。それでほかにもありますが、そういうわけで要綱というのをここで我々は審議をし、あとでも要綱を楯にとつてとやこう言える形のものか、これは単なる要綱でお前らの知つたことでないので、政府部内で法律を作るときに、これによつてやりますという閣議で決定しただけのもので、何らの効力がないものであるということであるのか、その点なんであります。
  10. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) お配りしました要綱につきましては、これは法律と矛盾はいたしておらないのでありますが、例えば無制限買入ということは要綱に書いてありますが、法律では農民の申込みに応じて買入れることを要すということでそれを表現しておるのでありまして、法律の条文としては、そこに反映しておるのでありますが、この要綱全部が法律事項でない場合もありますので、それは法律なつていない場合もあると思います。その要綱政府としまして、この法律を施行するに際して、これは必ずこれを実行するということであります。その点等は又政令なり、省令なりで書くべきことははつきり記載したいと、こう考えております。
  11. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 後日法律によつて政府がものを言う時分に、我々は要綱によつて食違いが生じた時分に、要綱を相手にして政府にいろいろ異議じやありませんが、話をするにしても効力があると考えていいわけですか。
  12. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 本要綱に関する限りさよう御了承願いたいと思います。
  13. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 この間の小林委員からのお話資料が整いませんので、それを見てから更に追加したほうがいいかも知れませんが、この提案理由の中で、非常に最近は需給が安定して特に麦は配給辞退が多いということを言つておるんですけれども、又「輸入食糧も十分確保し得ると存ぜられますので、」という言葉がありますが、この配給辞退の問題について一つお尋ねしたいのは、この配給辞退について府県別並び辞退をした階層別と言いましようか、受けるほうの職種別といつたようなことが出ているかどうか、私はこれが一つ欲しいと思うのです。その点一つ……。
  14. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 配給辞退の中に二種類ございまして、一つは明らかに通帳で断わつておるという場合が一つ、それから現実問題として通帳まではなかなかわかりませんが、卸売業者が、政府売却予定をしておりますけれども取りに来ない、そういう場合とございます。それまでは政府としては大体把握できるのでありますが、末端における階層別とか、職種別というものは、そういう集計を実はいたしておりませんので、どういう層がそういうことになるかというようなことの的確なることを申上げる材料は今遺憾ながら持つておりません。
  15. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 私は今の卸売の段階でという問題については、いわゆる府県別配給辞退数字で推せば或る程度想像される面があるが、更に私は今の職種別といつたような、卸売のほうは配給するつもりで一応取つたけれども、事実は配給しようとしたら取りに来ない、或いはいわゆる辞退をする、そこで売るほうの卸売のほうはたまたま手に入れておるというようなことを聞くのでありますが、職種別辞退というものはわからないということも私のほうとしては残念であります。といいうのは、一面において米という問題がいろいろと政府が苦心をして供出をお願いをし、それについて或る程度数量は満たされておるとは言うものの、要するに米というものはあるけれども、隠れ米といつたものが相当にあるから、そういうふうに或る部分ではいわゆる卸売商自身もこれを辞退するといつたような現象が起る。殊に麦と米との関連において出るけれども、麦をこういうふうにして行く場合には、果していわゆる今までの辞退というものの関係がはつきりしていないことには、ちよつとこの法案を判断するのにわからないので、何とかしてサンプル的でもいいから、あると思いますが、ありませんか。
  16. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 遺憾ながら配給辞退の実体の把握いうものは今申上げるだけの資料を持つておりません。ただ配給辞退と申上げますのは、例えば麦で申上げますと、政府が一応計画いたしましたものに対する売却実績が非常に少なかつた場合、その差引が配給辞退量ということにもなるのでありますけれども、これは現実需給計画等準備需要量というものを切詰めておりますので、それだけは政府ストツクが殖えておるというわけではございません。計画実績とが食い違つたものを配給辞退量と申しておるのであります。例えば米で申上げますと、本年の当初におきまして、飯米用その他全部含めまして五百十三万トン程度売却計画をいたしておつたのであります。今の見通しは五百万トン程度済むんじやないか、これは人口の移動その他推算の問題が相当ありますので、若干食い違いをしておるのでありますが、勿論その中には配給辞退というものも織込まれて来るのであります。その配給辞退の中には只今申上げましたように、現実末端における辞退政府計画通り取りに来なかつたという問題もあるわけでふります。そこらは若干推定になるのでありますが、末端の層の分析というものは実はなかなかわからないのでありまして、むしろCPS等大量観察から我々は食糧消費実態なり価格実態をつかんで行くというような計画をいたしたのであります。
  17. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 それは上から見たらそんな説明でも一応できるかも知らんけれども、いわゆる国民の食べるほうの側、個々の面から見ればそういうことで一体ここに言う需給が安定したとかいうようなことにまで強く言えるかどうか、私は非常にその点が疑問だと思う。だけれども、そういうのはわからん、CPSみたいなもので想像してもらうほかないということでありますから、残念であるが、私としては考えなければならん点で、なかなか了解できないんですが、その次の問題として輸入の問題、これも将来のことだから見通しがなかなか付かないというようなことになるかも知れませんが、成る新聞の報ずるところでは、「今年は戦後最大世界小麦不作に見舞われているので多少事情が違つている。それは日本輸入先カナダオーストラリアアメリカアルゼンチンのうち、カナダ収穫期日本向け輸出地帯に大雪が降り、相当不作で、昨年四十万トン入つたものが今年は三月末で二十三万トンしか入らず、多くを期待できない、濠洲は羊毛の値上りで麦の作付が二〇%も減少し、輸出能力は激減し、昨年の百八十二万トンに比べて今年三月までに僅か一万五千トン、契約量を入れても五万五千トンにすぎない。アルゼンチンは早魃のため今年は一粒の麦も入荷しておらず、契約もしていない、ただアメリカだけは大体平年作だが、世界輸入国買付が全部アメリカ麦へ殺到したため価格値上り、昨年百四十二万トン入つたのが今年は三月末で三十七万トン程度しか契約されていない、また昨年までアメリカから輸入したものには占領地救済資金相当つたが、これが打切られたので、今後は自力で買付を行わねばならないといつた悩みはある、」、まあ国際小麦協定で五十万トンという問題があるとは言いながら、若しこういうようなことであるとすれば、同様にここに輸入食糧も十分確保し得ると存ぜられますが、現に米についても根本大臣経済安定本部からということではあるが、ともかく日本の代表のようなことで米の懇請に行つた。それは非常に米が足りないのであることを率直に世界に発表し、そして値が上つても何でもこれは買つて行かなければ日本としては困るんだということを、むしろ表明しに行つたようなものでありまして、その結果は必ずしも庶幾したような、いわゆる全面的な協力というものが得られたかどうか疑問の節もある、こういつたように伝えられている向きもあるわけであります。でありますから、私は先ず米もそうでありますが、麦のいわゆる輸入関係がどういうふうに確保し得られそうか、この点と、米についての見通しの点、これのお話を願いたいと思います。
  18. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 物量の問題についてえらい御心配のようでありますが、政府の今持つておる資料その他から見まして、全然実は心配はいたしておらないのであります。麦について、カナダの麦が非常に悪いという情報は、一月頃実は食糧庁商社筋を通しまして、そういう情報を持つたこともあります。それがカナダ収穫時期に雨が多かつたために水つぽい麦が多いという情報を得まして、注意をしておつたのであります。最近の情報を申上げますと、数量だけをはつきり申上げたほうがよくわかると思いますが、二十七米穀年度になりましてから到着いたしましたものが、小麦で五十一万トンございます。これはアメリカカナダからであります。すでに買付けましたものが、このほかに九十万三千トンになつております。四月以後新会計年度になりましてから、五、六十万トンの買付をいたしております。合計いたしまして百四十一万三千トンということになつております。本米穀年度といたしましては、我々の見積りでは百六十八万トン程度を入れれば麦の需給は十分である、残りは二十七万トン程度であります。アメリカカナダも八月以後又新麦が出廻ります。目下値がだんだん下つておりますので、我々はむしろ買付を控えまして、八月以後入れましても、国内のものもとれますので十分であるというので、むしろ麦の買付を控えておるような情勢でありまして、買おうといたしますれば、いつでもこれは買える状態なつております。物量の点については、本年の需要としては心配は要らないということは断言いたして差支えございません。ただオーストラリアアルゼンチンにつきましては、三浦さんのおつしやいましたように、オーストラリア等生産力が非常に減退いたしましたことと、英国等相当参りますために、遺憾ながらオーストラリア小麦日本の用に確保いたしますことはなかなか困難であります。従いましてこれはカナダアメリカに依存をするという条件はちつとも変りありません。ただアメリカは七百万トン以上のストツクを持つております。カナダ相当ストツクを持つておりまして、若干のその年による季節的な豊凶がございますけれども、只今のところは相当ストツクを持つておりまして、日本の百四十万トン乃至百六十万トン程度輸入については、全然量的な心配はないと思います。外貨の問題は別でございます。米について申上げますと、この前農林委員会で申上げました以後、又買付けが済みまして、若干数量が殖えておりますので、この点だけ申上げておきます。最新のデータで申上げますと、全体としまして、十一月から四月末までに到着しましたものが四十八万トンであります。これは念のために申上げますが、精米でございます。玄米で申上げますと、五十万八千トン、需給推算玄米換算で申上げますと、五十万八千八百トン、精米で四十八万トン到着いたしております。なお買付済みのものが三十六万二千トン、これは精米でございます。玄米で申上げますと、三十八万三千七百トン、合計いたしまして、到着及び確保しましたものが八十四万二千トンということになるのであります。玄米で申上げますと、約九十万トン弱、八十九万二千五百トンが玄米換算日本確保した数字であります。予算で百一万トンということでありますが、我々は国内供出と見合いまして、この輸入の問題につきましては、彈力的に実は考えて行くべきであると思いますので、なお確保に努めておる。対ビルマにつきましては、根本使節お話は、これはもう私から申上げる筋合ではないと思いますが、事務的に申上げますと、非常に実は好転いたしておるのであります。そのはつきりしたことを申上げたいのでありますけれども、まだ正式に申上げることは御遠慮いたしておるのでありますが、三浦さん御心配の点もありますけれども、只今のところ、これが確保には非常に我々は朗らかになつておるのであります。本日長谷川課長も飛行機で帰りました。帰つた上で又はつきりと申上げてもいいと思いますが、徒らに国際価格を刺戟してはいけませんから、正式な数字は控えさして頂きたいと思います。その他まだ若干世界各国に米の輸出力のある国もありますので、問題は貿易協定の進行と絡み合いますので、我々は買控えておる。本年に関する限りは、決して楽ではございませんが、最大のベストを尽しまして、米の確保を最小限度図りたいというようにいたしておる次第でございます。
  19. 松永義雄

    松永義雄君 アメリカちよつとあれですけれども、アメリカ生産制限は今度又増産のほうへ転向したような事情ですが、これは世界情勢に対する見通しの結果であろうと思うのですが、あなたに国際外交上の問題をお聞きするのも見当違いかと思いますが、世界情勢と麦との関係は、アメリカ側においてはやや悲観的であつて生産制限でなく、生産増加のほうに移りつつあるのですが、その点はどういうことなのでしようか。
  20. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) アメリカ生産制限はしておりませず、むしろやはり松永さんのおつしやいますように、大いに生産を上げておるのじやないかというように考えております。ストツク等につきましては、やはり七百万トン以上の常時ストツクを持つておるようであります。このストツク量が減退しておるような事情ではございません。ただ本年はインド等が非常に食糧不足であつたために、米の輸入が困難で、カナダアメリカ等から相当小麦を入れておるということが新らしい本年の特殊事情であつたかと思います。常時そういうことはなかつたのであります。アメリカ自体としてはやはり麦の生産を制限するという方向ではないと私は聞いております。
  21. 松永義雄

    松永義雄君 私の心配というか、一応生産制限に移つたものが、今度生産増加に又転向して来たという点なのです。これは世界情勢に対するアメリカ側見通しの結果であろうと想像するのです。それで各国はここ二、三年来盛んに貯蔵をやつておる、食糧貯蔵をやつておる。それで只今三浦委員から御質問があつたように、又あなたの御答弁においてアルゼンチンだとか、或いは濠洲だとかは余り当てにしてはおらん。アメリカに主として供給を仰ぐと、こういうことを言われた。ただ私の言いたいことは、最近の世界情勢見通し食糧問題というものについては相当考えなければならんことになつて来るのじやないかと思うのです。それに日本だけが野放しにするということはどうかという点に尽きるのです。その点はまああなたに聞くのもどうかと思うのですけれども、外交情勢を……。併し事実は食糧外交を十分にそういうふうに結び付けて、食糧に対して非常にアメリカ側としては警戒的になつて来て、どうしても増産しなけりやならんというような状態に移りつつある、こういつた情勢というものに対してどういうふうにお考えになるのかということです。
  22. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 松永さんの御質問は大変大きな問題でありまして、私からなかなかお答えしにくいのでありますが、小麦そのものにつきましては、私は国際的な割当をやるとか、それほどのことは到底考えられない。相当大きなストツクアメリカは持つております。勿論これは食糧でありますので、生産を制限するという方向じやなくて、大いに世界市場等を見て生産を上げようというのであろうと思うのでありますが、米につきましては、この前申上げましたように、まだまだ四百三十万トンの輸出力より世界にありませんので、この確保につきましては、食糧庁といたしましても相当努力をいたしております。麦そのものにつきましては、我々としましては外貨の点は別といたしまして、量そのものにつきましては何らの実は不安を感じていないのです。むしろ遠い将来のことは私から答弁する限りではありませんが、本日の問題としましては、何ら量の確保につきましては不安を持つていないというのが現実の姿であります。
  23. 松永義雄

    松永義雄君 簡単に私の考え方を述べておきたいのですが、そのように世界情勢が、各国に対してその推移を見ておるといつたような、こういつた何か抑えられているような状態に、日本だけが気楽な気持になつていいのかどうかという点です。それで終ります。
  24. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 これは長官にお聞きしても、大体長官としてこの問題はわかると思うのですが、食糧が安定したということは大体現在はそう言えると思うのです。それで麦の配給辞退相当数起つた、それから闇値が下つたと言いますか、闇がなくなつたと言いますか、闇がなくなつたからということなんですが、一体その麦の配給辞退をするということは食わないでいる勘定はないと思うのですから、どういうふうにして配給辞退が一体起つておるのか、それから米も麦も同じ食塩として日本では将来重要視しなければならん国柄であり、そうなくてはならんと思うのだが、今後食糧に対して食糧庁としてどういう一体指導と言いますか、国民に対する態度で行かなければならんという考えで行くのか、二つお聞きしたいと思うのです。
  25. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 麦の配給辞退と実際国民消費量という問題について、国民消費量全体を掴むことは誠に困難でありますけれども、いわゆるCPSを分析いたしますと、二十四年に比べまして二十六年はそれほど減つていないのであります。要するに配給、非配給の問題になると思います。現実に移動しますことはあることはこれは事実であります。配給辞退が起る現象はどういうことかと言いますと、我々の見ますところでは遺憾ながら今の直接統制全国プール一つ統制基準の枠内において物の需給が安定して参りますと、問題は価格なつて来るのであります。政府買入価格と売払価格の幅の間に、政府買入価格より若干差がある、政府配給価格より若干安い価格形成というものが強権でやる以外の形として起つて来る。これは野菜においても、魚におきましても、そういう現象が起つて来て、順次マル公闇値が同じになりまして、実効価格統制を解いて行つて安定して来ておるのであります。それと同じ現象が今の統制技術としては遺憾ながら起つてつておるのでありまして、それが闇を……、経済的な闇が政府よりもらうより安いという形で行われているというのが一つの大きな現象でないかと思うのであります。そこでどうしても政府からもらわないで、もつといいものを安く買えるという地帯生産地帯等で起つて参りました。それがこういう形として崩れて行つたのであります。これは見解のいろいろ相違もあると思います。私はそういうふうに実は考えております。従いまして実際の消費量というものは、やはり配給以外で食つておるのだということで、従つてそのときの需要量というものを勘案しまして、やはり計画は推し進めておるわけであります。輸入量等も順次百万トン以上玄米換算確保して間接統制価格政策のほうへ移行する、こういうふうに実は考えておるのであります。
  26. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 私どもの心配は、如何にも食糧が非常に緩和され、豊富にできたのだから麦はどうでもいいのだと、こういうような生産者に感じを持たせはしないかという心配一つと、そこで御承知のように米は現在以上に増産をするのには相当な金と相当な技術を要さなければ、なかなかそう簡単に急の増産は非常に困難だと思います。例えば一反歩で六俵とれますときに、半年作でこれを七俵とるということは大した金も技術も要らないでとれますが、それをもう一俵増して八俵とろうとするのには非常な努力と、総体的に価格上つて参りまして、結局百姓は算盤がとれんという結果になるから、これはなかなか行いがたいことになるのでありますが、麦の場合は他の作物に転換をする憂が非常に濃いのでありまして、ここで今のように、若し一般の農家が食糧が非常に順調になつたのだから、統制をはずすという印象を私は与えたくないし、それを与えるべきものじやないと思うのですが、事実において野放しではありませんが、需給調整を図る態度にいたしますると、そういう心配が実際において、心配じやなく、事実において行われますと、常にそうでなくとも輸入をしなければならん国でありまするから、麦を作るところで、他のものに転換をしないような方法を講じなければならんと思いますが、要は価格の問題であろうと思います。私は麦の統制を廃し、需給の調整を図る程度にするということに全部の反対は持つておりませんが、どうしてこれを、そう安い価格なつたということにしないで、作つてもどうにか引き合う価格にするにはどうすればいいかということに骨を折つて考えおりますが、なかなか簡単に参りません。二重価格がいいと思つておりますが、何だか衆議院では二重価格になりそうなことで、それならよかろうということを同意いたしておりましたが、そういうことにもないそうでもないし、これはどうなるか、現在のまま、そのままで生産者にこれを与えると、麦はどうでもいいのだと、こういう感じをきつと与えると思います。そこで政府としては何らかそうでなくて手を打つお考えを、食糧庁ではやれないが、農政局のほうでやるということになつておるかどうか、聞きたいと思います。
  27. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 国内の麦の生産力の問題でありますが、我々といたしましては、価格面だけを担当いたします面から言いますと、今の供出制度による価格政策でありますよりは、この法案にありますような一つ価格安定政策をやり、その上に有利なる地帯におきましては、より高き価格を農民が確保せられるという制度のほうが、より生産力が上る価格政策ができるということを、これははつきり申上げてもいいと思います。そういう面におきましては麦の価格は勿論高くなる。如何なる価格が合理的であるかという問題になりますと、これはいろいろ意見の相違のある点だと思います。この法案の内容を御検討下さいますれば、我我は決して麦の価格がそんなに不利になるということは考えておりません。殊に衆議院の御決議にありまするようなベースを基準にいたしますれば、これは私は明らかに政府といたしましては赤字が出るのであります。初めから二重価格を意図しているものではございません。伴し赤字が出ることだけは事実でございます。この赤字は要するに農家に行く赤字であります。従いまして麦の生産力そのものを上げる点につきましては、価格政策としても実は当然と考えているのであります。価格政策以外の問題等につきましては、これは農政局なりの担当責任者からお聞きを願いたいと思います。
  28. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 価格政策が一番大事だと考えておりますが、長官お話のようになかなか赤字があるのでありまして、この赤字を本当に出すのなら……、まあ出して見なければわかりませんが、相当の赤字が出るものだと思つておりましたが、一体衆議院の決議された、この決議というものを尊重するか聞きたい。どうもこの決議というやつは如何にも効果がなくて、今まで何度やつても単なる決議でとまつている。そこでこの決議だけが本当に効力を発生するということになるのかどうか。この決議には赤字の補填をしなければならない。その赤字は消費者にも生産者にも負担をさせないで、これは単なる決議という形にならんようにというようになつておりますが、この決議の尊重なんですが、今までの国会の決議案が、本会議で決議をしても、どうも単なる決議で、その効力を発生したというようなことが殆んどない。あとから見ると気休めだ。うまく行くというと、まあ決議が如何にも尊重されたように言われる。これはやられるということにお話になれば、成るほどそうかということになるが、今までの例から見ると考えられないが、東畑長官がおられるうちは、あの決議を尊重してやられるということになるかも知れませんが、又代られて、決議を尊重されないということでは困る。それを聞いておきたい。本当に尊重される御意思があるのか。あなたのおられるうちはおやりになるのか、それだけのことをお聞きしたいと思います。
  29. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 御決議がありましたことにつきましては、衆議院で農林大臣から実は答弁をいたしました。私は事務当局でありますが、答弁の趣旨によつてこれを当然実行をいたします。ただ私は衆議院で、麦の価格につきまして二十六年を基準にしました新パリテイ方式によつて計算をする、従いまして政府としましては二十七年度の予算でありますが、予算価格とこれとの見合いにおきまして、一応初めから赤字が出るものとしております結果から見まして、不利な事態が起る。併し飽くまで政府は二十六年度を基準にした新パリテイ方式で計算するということをずつと説明して参つたのでありますが、それでは農家の再生産確保に困る。米価審議会等の意見もあつて、二十五年、二十六年の平均価格をベースにしようという議会の御意思があつたのであります。それが要するに再生産確保するという大きな現われだと私は考えておりますので、これは私としましては実行すべきである、又実行したいと考えております。米価審議会等にこれを御諮問して善処したいと思つております。だからこれは政令なり、省令なりにはつきりと書かざるを得ない事項になりますので、私個人がどうなろうが、政府として確立しておくべき事項であると考えております。
  30. 小林孝平

    小林孝平君 政府は麦の輸入については非常に楽観的な見方をされておるのでありまして、今ロンドンで開かれております国際小麦協定の定時会は、その様子は日本側の代表から政府に入つた報告によりますると、アメリカ側はその協定価格の大幅の引上げを提案いたしまして、これに賛成する輸出国と、これに反対する輸入国との間に相当意見の対立があつて、なかなか困難の状態を呈しておるようでありますが、私はこの内容がどういうふうになつておるかということを詳細一つ御報告願いたいと思うのであります。
  31. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) まだ正式に私は公電というものでどうなつておるかということを受取つておりませんので、ロンドンにおける会議の内容等につきましては、お答え申上げます資料を持つていないのでありますが、ただ従来の小麦協定は来年で終るのでありますが、その価格は今日から見ますると非常に実は安くきまつておりますために、これを輸出する国が財政負担で出しておるのでありますそのこと等から考えまして、価格問題につきましては相当論議があるというようには間接的には承知をいたしております。現実日本に参りますものも、小麦協定で参りますもの自体は非常に安い、八十四、五ドル程度で参つておりまするが、現実は百ドル弱の価格をとつております。その差額は小麦協定に加盟の輸出国が財政負担で出しておるという関係等もありまして、その価格を上げるという方向なつておるように聞いております。それ以上の具体的な問題はまだ公電に接していないので申上げるわけに参らないと思います。
  32. 小林孝平

    小林孝平君 今の問題でありますが、今の協定価格がもともと安過ぎるということであるかも知れませんけれども、政府輸入価格というものは、その現在の価格を基礎にして立てられてあるのじやないかと思います。そこで今度伝えられるところによれば、約四〇%以上も一挙に値上りアメリカ側の提案によるとされるようでありますが、そういうことになれば、この輸入価格は非常に狂つて来るのではないか。こういうように思うのですが、その点どういうようにお考えですか。
  33. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 小麦協定の更改は来年の七月からでありまして、本年度はやはり前の四年の継続でありまして、本年度は、二十六年に算定いたしたものにつきましては狂いはないということになるわけであります。
  34. 松永義雄

    松永義雄君 小麦協定の話がありましたが、小麦協定は日本が入りたくて入つて、五十万トンでは少いと、こう言つておる。逆に例えばアルゼンチンのごときは、小麦協定に入つてつておれのところは損をするのだ、その一半に長官は答弁で触れられておつたが、アルゼンチンのごときは政府の負担金が多くなるものだから小麦を出したがらん。だから小麦協定から抜けられれば抜けたほうがいいというところまでも、アルゼンチン小麦生産が少くて困つておるというような事情にあるようであります。従つて只今小林委員の御心配のあつたように、小麦協定そのものが果して円滑に運営されて、日本の要求通り五十万トン、その通り必ず入るかどうかという点でありますが、先ずその点を一つお伺いいたします。
  35. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 問題は価格の問題でありますが、量の問題としましては百ドル程度、八十四、五ドルの差がありますが、八十四、五ドルでは安いじやないか、これはCIFであるというので、それをもう少し上げるということを聞いております。五十万トンということは明年の七月までの約束で、今のところ五十万トンということになつております。今の量につきましては、今ロンドンで日本の代表者が交渉中でありまして、見通し等についてはまだ経過を申上げるわけには参りません。
  36. 松永義雄

    松永義雄君 余り心配することもどうかと思うのですが、長官お話によると、アメリカだけが頼りになるお話のようですが、アメリカ生産の麦だけについて主として頼りにされるようであります。ところが今言つたように濠州にしても、アルゼンチンにしても、不作のために、又価格の点について農民がどうも供出というか、出したがらない、それで只今のようなお話があつたと思うのですが、日本が余りに輸入を楽観的に見るということはどうかと思うのであつて従つて只今出ておるような法案がここに出されるということは、仮にそれが私どもはいいとしても、少し早過ぎるのではないかという感じがいたすのであります。あちらこちらからそういう難点が出ておるという事実を我々は見逃すことができないのでありまして、世界情勢及び各国の麦の生産量から見て、これを手放しに楽観的に入るだろう、必ず入るような推定の下にいろいろ計画を立てられることは危険ではないかと、こう思うのであります。
  37. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 濠州は勿論輸出力相当あるのでありますが、御承知の通りに、これは英国等に全部参りますので、ポンド地域から日本確保することはなかなか英国等に輸出する以外にないということを申上げておるのであります。日本の期待するのはカナダアメリカである。たびたび申上げますように、アメリカ七百万トン、カナダ五百万トン程度輸出力を持つておるのでありますから、日本の百六、七十万トンの輸入の量としての確保につきましては、私は何らの実は懸念を持つておらないのであります。米の事情とその点は若干事情が違うということを御了承願いたいと思います。
  38. 山崎恒

    ○山崎恒君 大臣も政務次官も見えませんので……。
  39. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ちよつと御発言の前にお断わりして置きますが、大臣等は、問題の所在点を皆さんで御検討願つた上、後日日を改めて出席を求めたいと思いますので御了承を願います。
  40. 山崎恒

    ○山崎恒君 事務的の点で一応お伺いいたしますが、今回の政府小麦、大麦、裸麦等につきまして、現在政府生産者、又は生産者の委託を受けて政府買入れ得られるだろうという数量はおよそどのくらいに見ておるか。推定として一つお伺いいたしたいと思います。
  41. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) これは具体的の価格との関連において推定をいたしませんと、単なる架空の推定になりますので、今いろいろパリテイの推定をいたしましてやつておるのであります。何しろ五月末のパリテイを基準にいたしまして、二十五、二十六年を基準にいたしまして価格決定しなければなりませんので、今にわかに買入価格の改訂等の見通しができませんので、その幅等が集荷量の問題に関係するのでありまして、予算でいつております八百万石集まるとは考えておりません。最低どのくらいということは、今私から発表するだけの資料は遺憾ながらありません。
  42. 山崎恒

    ○山崎恒君 政府の当初考えておりました麦価の基準は、二十六年度の麦価を基準として考えておられるのでありますが、衆議院の委員会におきましての修正通りに、二十五年、二十六年度の価格を基準とした平均を以て買入れるということにいたしますというと、大体小麦におきましては、一俵当り七十円乃至八十円、大麦において二十円乃至三十円の増額を生ずるということになりますというと、これから生ずるところの政府買入推定というものと、この差額というものを睨み合せてどのくらいの赤字が殖えるか、その推定も併せて一つ、これは推定でいいですが、お伺いいたしたいと思います。
  43. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 買入数量等の推定をいたしました上でお答えを申上げたいと思います。
  44. 松永義雄

    松永義雄君 この法案が出るということは、二十七年度の予算に予想して予算を立てておるのですか。
  45. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) この法案が出ることを予想されて二十七年度予算は組んでおる次第でございます。
  46. 松永義雄

    松永義雄君 それで只今質問がありましたけれども、買入数量は追つてきめるということでありますが、どれぐらいの金を、何と言いますか、運用して行くか、買入の量はこれは計画が立つておるか。
  47. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 実は無制限買入という制度で考えておりますので、予算では玄米換算で八百万石ということで、昨年の通り組んでおるのであります。この価格が二十六年を実は基準にしました価格で一応推定しておるのであります。衆議院の御決議通りといたしますると、これが又相当上るということになりますと、若干そこに差があると思うのでありますが、資金面から申しますと、政府の糧券の発行というもので、政府資金によるのでありますが、政府に集まつて参りますのは前渡金という形で糧券から中金を通して出るのでありますが、協同組合等に集まりますのは、国庫余裕金から農林中央金庫を通しまして、これが出ようと思います。その財源はすべて国庫資金でありまして、政府に集まります金が少い場合には余裕金が出るわけであります。それを民間のほうへ農林中央金庫から流して行くという話合は大蔵省とできておるわけであります。
  48. 松永義雄

    松永義雄君 そうすると、その八百万にすると、どれくらいの金額ということになるのですか。三百億それくらいでしようか。
  49. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) ちよつと今計算をいたしております。
  50. 山崎恒

    ○山崎恒君 恐らくこの八百万石と推定いたしましても、赤字を見て推定される額も恐らく相当の額になつていると思いまするが、そうなりますというと、大体実質は二重価格じやないということを昨日あたりの片柳委員質問に対しましても言われておりまするが、政府相当大きな赤字が出る、その赤字は一般会計から補填するのだというようなことになりますというと、事実一応は消費者に対するところの価格というものは、現在の価格を基準として押えるということでありまして、買入価格というものは二十五年度、二十六年度の平均の基準をとりますから、これ又三、四十億の恐らく幅が出るということになりますと、実質上の問題につきましては、二重価格の制度と同様な点になろうと思いますが、その点の見解は如何でございますか、その点を一つお伺いいたします。
  51. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) この点は昨日政務次官が申しましたと同じことを申上げるほかないのであります。政府としましては二重価格を意図してはおらなかつたし、又今もしておりません。結果としては、これは確実に赤字が出ることだけは二十五—二十六の平均からいたしますれば出るわけであります。結果として赤字が出る。その赤字は生産者にも消費者にも負担させないという趣旨であります。
  52. 山崎恒

    ○山崎恒君 結果から見るというと、事実この一般会計から補填ずるのでありますが、これは表向きは、政務次官も昨日二重価格の制度はとらない、こう言われておるのですが、内容においてはもう二重価格と同様な結論に行つておることはこれは否めないのでありますが、そういうふうに解釈してよろしうございますか。
  53. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 解釈は自由でございますが、政府はそういう解釈をいたしません。
  54. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 提案理由に、食糧事情が何らの不安なく推移し得るものと見込まれる次第であります、ということを書いてありますが、この不安なくということは具体的には一体どういうことなんでございますか。
  55. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 具体的にはと申しますとなかなかむずかしいのでありますが、CPS等において、最近における実効価格というものが非常に マル公と殆んど変りないという一つの指標というものは、これは需給の緩和と、価格が非常に消費者のためにも安定をしておるという一つの客観的なデータによるのであります。更に輸入の問題等につきましてはたびたび悲観的なお話があつたのでありますが、政府はそう悲観をした見通しを麦についてはつけておりません。従いまして今後国内の麦の生産が上るか上らないかという問題になつて参りますと、我々といたしましては、この法案考えておりますような価格制度は決して日本の麦の生産力を低めるものでない。今よりももつと上る一つ価格政策ができるのじやないかと存じております。こういう面から別段不安はないというようなことが具体的の考え方であります。
  56. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今のお話を伺いますと、やはり輸入ということにかなり重点をおかれておるように考えるのでありますが、現在の食糧事情におきまして、海外の食糧に依存しております米、大麦、小麦の依存率がおわかりでありましたら、お聞かせ願いたいと思います。
  57. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 依存率と申しますと、消費者の面から見た食系統の問題ですか。もう一遍おつしやつて頂きたいと思います。
  58. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 消費者でよろしうございます。
  59. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) そのデータがあるかどうか、ちよつとにわかに返答は苦しいのでありますが、世界各国のものを調べましてからお答え申上げたいと思います。
  60. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 私の持つているデータでは、これは間違つておるかも知れませんが、昭和二十六年におきまして米は七・六%、小麦は四八・四%、大麦が四六・一%というようなことになつております。このデータを見ましても非常に海外の食糧に依存しておる度合が大きいのでございますが、こういうような食糧事情を以ちまして、国内食糧事情が安定したと言いましても、国民が果して納得するものであるかどうかということが疑われるのでございます。丁度よその米櫃を当てにしまして、自分のところの食糧が豊かになつたというような気持で麦の統制を撤廃するというようなことは、これはこの国内食糧事情というものから考えましても、本当の独立というようなことから、経済の自立ということを考えましても、成るべくこの依存度を少くしまして依存度の少い時期になりましたら食糧事情が安定したと言つてもいいのですけれども、こういうような事情食糧事情が安定したからというような言葉が使われるかどうかというふうに考えられるのでありますが、その辺如何でございますか。
  61. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 安定という言葉でございますが、我々としましては今日の段階においては麦に関する限り不安定的なものはない、こういう一つ考えであります。勿論今日の食生活が楽であるというような楽観的なものは考えておりませんので、米の統制等につきましては今後も継続をするということを申上げておる次第であります。
  62. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 量的のことにつきましては、海外の食糧事情からして楽観ができるというようなことをおつしやつておりますが、量だけありましてもただで持つて来られるわけではございませんし、やはり国際収支上の制約というものがあるわけでございます。日本の工業生産品はポンド地域に輸出されまして、食糧はドル地域から多量に輸入する。こういうような事情で量的に見て、量がたくさんあるから安心だと言いましても、国際収支の関係から辻棲の合わなかつた場合におきましては、指をくわえて人の食糧を見なければならんということになるのでありますが、この国際収支上の制約の状況ということはどういうようになつておるのでありますか。
  63. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 国際収支の問題等につきましては、私から実は答弁するのもどうかと思いますが、安本長官が本国会で資料をお出しになつておつしやつておるのを一つ引用する以外にないのでありますが、麦の大体輸入としましては二億ドル程度考えております。二億ドル程度は今日の日本のドル資金から見まするとそう多くはない。輸出によるドルそのものはそう多くはありませんですが、貿易外の收入その他を加えますと相当のドル資金が実はあるわけであります。そのうちの約二億ドル、これは勿論価格によつて若干狂いますが、この程度のドル資金というものは今日のところ心配は要らないという認識に立つておるわけであります。
  64. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 日本輸入総金額に対する食糧輸入の金額というものは、最近どのくらいのパーセンテージになつておりますか。
  65. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 約二十一億ドル程度考えております。そのうちの四億二千万ドル、そのうちドルが二億五千万ドルで、ポンド、オープン・アカウント地域も合せまして四億二千万ドル程度と一応推定しておるのでありますが、価格等の関係で若干狂いは生ずると思います。
  66. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 法案のほうでございますが、第四条の二のほうに政府は「政令ノ定ムル所ニ依リ」とありますが、その政令の内容というものはどういうものでございましようか。
  67. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 政令事項をお配りいたしたのでありますが、それを御覧願いたいと思います。
  68. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 昨日配付された資料の中にありますので、御覧願いたいと思います。
  69. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 その次は、政府の買上げは生産農家の希望に応じて無制限に買上げるとあつて、財政事情とか、又は食糧事情その他の理由に籍口いたしまして買入数量に制限を加えるということは絶対にないものと信じておりますが、政府の責任ある御答弁をお願いしたいと思います。
  70. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) いわゆる無制限買入という概念に言われまする農民の希望するだけ、どれだけでも買うということについては変りはございません。ただ買上げ事務の手続上まとめて買いたいということが事務的に必要だと思うのです。農協等が出します場合は、単位二十俵程度にまとめて一つ買上げをするということ等を実は考えておるのであります。予算上でありますとか、量を故意に制限するということは毛頭考えておりません。この法案の趣旨は、売渡しの申込に応じて買入れをするということでありますので、予算がないから買わないということは、一切この法案では考えられない事項にしておる次第であります。
  71. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今回のこの麦の需給調整制度の実施に当つては、食糧管理特別会計は大体において赤字を覚悟しなければならないと思われますが、この赤字は一般会計から負担し、米麦の生産者又は消費者に絶対に転嫁しないように措置せられるべきであると思います。この点衆議院の農林委員会でも決議されておりますが、先ほども質問があつたようでございますけれども、政府の決意は如何でございますか。
  72. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) この法案を率直に申上げますと、立案をした当時におきましては赤字が出ることは考えていなかつたのであります。勿論農家で非常に遠隔の地で集まつて来るものは距離の関係で赤字が出る虞れがありますが、制度として赤字は考えなかつたのでありますが、衆議院の御意思を尊重してきめますと、それは明かに赤字が出ることだけは確実であります。この赤字につきましては、御承知のように食糧管理特別会計の損益計算書上の赤になるわけでございます。年度末に至りまして千二百四十億を堅持するかどうかという問題とからんで参りました場合には、これは一般会計の負担になる場合もあるというように考えておる次第であります。
  73. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 西日本のほうにおきましてはもう直ぐ新麦が出る時候となるようでありますが、今年の麦の買入価額はいつ頃御決定でありますか。
  74. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) この制度は、法律上は生産事情という言葉を参酌することになるのであります。具体的右適用といたしましては、この前申上げたように凶作の場合における、凶作による農家の所得を保持するという意味におきまして、値を上げて買おうという制度になつておりまして、それが六月一日現在で収穫予想高をとるわけであります。その間事務的に若干集計等で遅れますので、米価審議会等に諮りますと六月十五日でなければきめられないというように実は考えております。勿論その前に若干九州等においては出廻りますので、この間は止むなく凶作等を考えない一つの暫定価格というものをきめて、あとから本価格がきまつたときに精算をするということをやらざるを得ないのじやないか。それは生産事情というものを考えますことが農家のためでもあると考えまして、止むを得ず十五日まで価格決定が遅れるということになる次第であります。
  75. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 その場合におきまして、仮り価格政府買入れましたものをあとで本当の価格決定いたしましてから、追加払いをするというような場合に、米と同じようにそれに対して利子を払うというようなお考えはございませんか。
  76. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 米と違いまして、その期間は実は極く僅かな期間ではないかと考えておりますので、只今のところそういう根拠もございません。利子は払う考えは持つておりません。
  77. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 利子を払う意思はないということでありますが、これは西日本の特に四国、九州のほうにおきましては、たばこの間作などで相当早麦を作つておるものがあるのでありまして、恐らく価格決定前に相当の期間があつて供出するものがあると思うのでありますが、期間が僅かだからとか長いからとか言われますが、一体期間がそれならばどれくらいならばおきめになるのでありますか。
  78. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 麦と米とは若干違うのでございますが、米は供出制度でありますので、暫定価格をきめたものは、これは全部政府に出してもらうわけでございますので、その間利子を支払うことがあるのでありますが、麦は今後は政府に出すということについては全く自由でございますので、仮に暫定価格をきめましたあと、政府にその価格で売るか売らないかは全く自由であります。本年の経験等を一つ参酌いたしませんと、政府も決心がつきかねる次第であります。
  79. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 我が国の食糧政策の要諦は、やはり国内における食糧生産の増強とこれが生産費の引下げにあると思われます。而して我が農業政策の地方の事実から見まするときは、今後畑作の改善、特に畑地の灌漑、畑地の地方の培養及び土壌浸蝕防止というような、こういうようなこと、並びに畑作の機械化というようなことが極めて重要であり、それにつきましては思い切つた施策を講ずる必要があると思われるのでありますが、これは食糧庁長官だけではお答えできにくいと思われるのでありますが、こういうことに対して政府のお考えは如何でございますか。
  80. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 畑地の灌漑とかエロージヨンの御質問でございますが、我々としましては畑作農業が日本において遅れておること、又非常にエロージヨン等の問題を防止することによつて生産力が伸びることも実は承知しております。食糧庁としましても、必ず政策の面につきまして、成るべく畑作につきまして生産ができるような農業政策をとるべきである、かように考えておるのでありますが、財政投資その他の問題は一つ責任当局からお聞取りを願いたいと思います。
  81. 山崎恒

    ○山崎恒君 今東畑長官の答弁の中に、麦の価格は当初は、二十六年度の計算で行くというと大体バランスはとれる計算であつたが、二十五年の麦価を入れるというと相当赤字が出るであろうと、又売渡し価格は現行価格を維持するとすれば相当な赤字が出るであろうというようなことを言われたようですが、その点は現行価格を維持するということは、これは衆議院の農林委員会で厳として決議された問題でありますが、現在の配給政府が売渡す価格というものは、現在の価格以上になつてはならないということをはつきり決議されていると思うのですが、そういう点についてなお念のためにはつきりと私どもお聞きしておかなくちや、これからの質問にいろいろ支障を来たしますので、その点をはつきり、現在よりも売渡し価格は上げないのだということを一つお聞かせ願いたいと思います。
  82. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 昨日も申上げましたように、末端における現在四百八十五円という小麦粉の相場はマル公でございます。歩留り七〇%、これを今後はクーポン、その他でやりますので、又マル公もなくなるわけでございます。この水準を維持するためには相当量の操作をうまくやらなければならない。この点につきましても昨日いろいろ御意見があつたのであります。我々は原麦の操作等によりましてこれをやつて行く、こういうことを申上げたのであります。我々は本年に関する限り二十五—二十六を基準にいたしましても、現行の価格水準を維持するということには変りはございません。
  83. 山崎恒

    ○山崎恒君 では続いて御質問しますが、政府は、今年度の麦を政府が買上げまして売渡しますまでの、配給業者が一般消費者に売渡すまでの即ちマージン全部見て、幾らに見ておくか、その点を一つお聞きいたしたいと思います。
  84. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) トンで申上げてよろしうございますか。
  85. 山崎恒

    ○山崎恒君 どうぞ。
  86. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 政府経費、いわゆる中間経費でございますが、それがトン当り大麦三千百十五円でございます。裸麦三千九十五円小麦が三千二百二円であります。その他に一・六%程度のロスがございます。それが大麦五百十四円、裸麦六百三十六円、小麦五百六十四円でございます。このほかにバツク・ペイがあります。予算としましては一応大麦五百五十六円、裸麦六百六十七円、小麦六百三十三円ということを考えておつたのであります。これが現実は若干殖えたのであります。概略申上げますと、従来麦類だけで八億程度考えておつたのでありますが、大体十億になつて、約三億殖えておるのでもう少しこれが多くなるということが実績であります。予算といたしまして、今申上げました数字はいわゆる全部の費用であります。
  87. 山崎恒

    ○山崎恒君 その只今の全部の費用は小麦、大麦、裸麦でおのおの一俵当り乃至は十キロ当り幾らになるかという点を刷物によつて一つ次の委員会までに御配付願いたい、こう思うのであります。次に、現在の買上げて配給するところの中間諸経費よりも、今日の統制を外されたところのもので政府が買上げて売渡すところの、意図しておる費用というものの差は相当圧縮されると、かように思われるのですが、さよう解釈してよろしうございますか。
  88. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 金利の点でありますとか、或いは運賃等につきましては、この見積りよりは相当圧縮されるというように考えております。ただバツク・ぺイ等がこれよりは若干上るというように実は考えておる次第であります。
  89. 山崎恒

    ○山崎恒君 そこで政府は、例えば昨日片柳委員からもそれに触れた御質問があつたのですが、政府買入れる考え方は、例えば生産者なり或いは生産者から委託を受けた農協等が政府に売渡すものと、生産地帯に工場を有するところの業者が買上げる価格というものとはそこに開きが出るのじやないかと、こう思われますが、それは政府の買上げるものが売渡されるまでの諸経費と、それよりも業者は幾らか安くしてもその中間経費というものは、やはり相当生産者に有利であるというような価格が出るのじやないか。こういうふうになるというと大体生産地帯にあるところの工場等は、生産者は殆んどその工場に売つてしまうということになると、政府に売るものは、非常に僻陬の土地のもののみが政府に売渡すということになるというと、従いまして運搬費とか或いは倉庫にも相当期間入つておるというようなことで、倉庫料とかいうような諸経費が嵩むということになつて、相当そこに政府は、悪条件な所のみ政府買入れるのだということになつて、一方麦の生産地帯であり、而も工場が大体その生産地帯附近にあるので、そうした所には政府を通さずに売つてしまうというものが相当多くなるのじやないか、こう思われますが、その点見解如何ですか。
  90. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 当然そういう現象が起るということも想像されます。それがどれくらいの範囲を占めるかにつきましては、具体的に価格決定しませんとわかりませんが、ただ不利な事態等は、これは要するに政府でありまするが故に、農家のために高く買うという、いわゆる最低価格安定施策の妙味であろうと思います。この点は結果として赤字が出ることも止むを得ないというふうに考えております。ただ有利な事態は、政府が買いますよりも有利な価格形式が行われることがこれは望ましいと考えますが、供出制度であれば低い価格政府供出させるのでありまして、それ以上の価格が形成されることは当然起るのでありまして、それ以上のことを政府になさしめる必要がないというふうに考えております。ただ農家自身やはりその麦を一つの幅の間で安定して有利に出荷するということにつきましては、金融その他の措置で十分考えて参りたいというように考えております。
  91. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 一定数量をお聞きしようと思つたが、二十俵くらいというお話があつたから、それはそれとして、そこで問題は、政府買入れるものの基準は検査料を含めた銘柄別にきめるとあるのですが、この銘柄というのは種類ではなくて銘柄だと思うのですが、政府考え方は大麦、小麦、裸麦、こういうような銘柄だと思うのですが、そうかどうか一応承わりたい。
  92. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 種類は大麦、小麦、裸麦でございます。銘柄は産地銘柄と品種銘柄とございます。農産物検査法に基きます銘柄でございます。
  93. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 実はこの間種苗法をきめる時分にこれが議論されたのであります。それで私の心配は、今長官お話では、私の考えておるような銘柄でお買いになるということでありまするから、それはそうなくてはならんと思いますが、産地別、銘柄別に価格をきめるということにいたしませんと、大麦、裸麦は割合にそういうことが、ないとは申上げませんが、避け得られます。一番それの必要なのは小麦であります。もう一つお聞きしておきたいことは、生産者の委託を受けた者から買入れると、こう書いてありますが、商人が実際には買取つた、或いは工場が買取つた、ところが委託を受けたというので政府に売込みをするのではないかと思いますが、問題は工場が買取りますと、銘柄によつて、歩留りのよい優良品質のものは工場に取る、そうでないものは政府に売るということが、だんだん経済が細かくなつて参りまして、あり得ると思います。それで問題は、その銘柄の差をどれくらい付けるお見込であるかということでありますが、実はこの間種苗のことでお聞きした時分には、そこまで考えておらんというので、それを考えなければいかんじやないかということを盛んにその提案者に話をいたしましたが、提案者がわからないので、そこまで考えておられんようなお話でございました。今長官にお聞きいたしますると、そこまで考えておられるようでありまするから、非常に生産上よいことだと思いまするが、委託ということの問題が協同組合だけならわかります。商人が実際は買取つたと、だんだんすぐつてみて、そうして歩留りの悪いものは政府に委託と称して売つて、歩留りのよいものは自分でやるということになりますと、非常にその後の競争入札なり或いは指定入札で売り払つたものが迷惑なことになりますが、要は銘柄の差の価格の問題であります。それを一体どれくらい付けようとお考えなつているか、それをお開きしたいと思います。
  94. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 小麦につきましては、現在政府は産地銘柄は、兵庫、岡山、香川の各県で生産されたものにつきましては産地銘柄を付けておるのでありますが、その他種類につきましては、普通小麦強力小麦等につきましても十分今後検討して行かなければならん問題かと思つております。格差の問題につきましては、只今事務的に検討いたしておるのであります。価格決定いたしますまでには勿論これははつきりするのであります。ここにまだ格差の金額まで申上げる段階に至つておらないことは甚だ残念であります。
  95. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 産地銘柄のお話がありましたが、これはこれから西に多いのでありまして、本当に麦の産地がございます。産地からの希望がありますから、産地の銘柄は特にそういうことを銘記して改良してもらいたいのであります。銘柄の問題は、非常な歩留りの差がありますが、それを実は食糧庁お話をしたのではおかしいのですが、食糧庁のほうから農政局のほうへ、現在の希望として、今後、日本の麦の配給辞退があるようでありますから、麦そのものでなくて小麦を成るたけ多く作つて、外国小麦に負けないような小麦を作つてパンの製造をすることがよいことでありますから、是非買入価格はそれ相当に差がありませんと、何を作つても同じだということになると、さつぱり優良品種の価値がありませんから、まだお考えなつておらないようでありますが、私に言わせますと是非相当な差を付けてもらいたい。そう申上げますことは、優良品種だからあながち収量が多いとはきまつておりません。場合によりますと、非常な硬質小麦の質のよいものは収穫が少いのであります。併しながら、それを補う意味で価格の差があれば、喜んで作るようになり、パン食の非常な激励にもなると思います。価格のことは食糧庁のほうでお作りになるのでありますから、是非そういう価格の差は十分付けてもらいたいと思います。
  96. 松永義雄

    松永義雄君 先ほどの御答弁を……。
  97. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 約四百五十億程度の予算がつけてございます。
  98. 松永義雄

    松永義雄君 その命は日本銀行からでも借りるのか、資金運用部の金からでもやるのですか。
  99. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 糧券は預金部と国庫余裕金から借りて交付いたしておるのであります。その金が四百五十億程度であります。これは先ほど申上げましたように、玄米換算八百万石の予算で編成をいたしておるのでありますが、国に集まる量がこれより減りますと、糧券の発行の限度が減つて参ります。国庫余裕金等が余つて参りますと、それを今度は食糧証券という形ではなしに、中央金庫に国が預託をいたしまして、これを信連の系統を通して末端の協同組合に流して行こうと、これがいわゆる民間による集荷資金に代るわけであります。
  100. 松永義雄

    松永義雄君 先ほど配給辞退の話がありましたが、食糧庁の提出されました麦の統制廃止に関する資料第一頁に、配給辞退量及び配給辞退率の記載がありますが、ただこの配給辞退をするという層は一体どういう層であるか、どういう地域の人たちが多いか、即ち都会方面のかたが多いのか、或いは農村のかたもあるのか。それから配給辞退したからといつて、一体麦なら麦を使わないというわけではないのであつて、我々としましては、例えばうどんを食べるとか何とか代替させておるわけであります。実際の麦が食糧として統制撤廃後にどういう変化が来るかという、その大体の数字見通し、更に農林大臣は非常に酒の量を殖やすことに嬉々としておられるのですが、ビール麦といつたような方面に流れて行く虞れが相当生産上あるのではないか。一体統制撤廃後における実際の食糧はどういうふうに進んで行くか、何かそういうものの見通しに関する数字がありましたら一つ御提出願いたいと思います。
  101. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) この第一頁の配給辞退昂というのは、少し誤解を招く数字で恐縮でございますが、これは政府売却計画に対する売却実績というものを一応配給辞退と、こう数字にしたのでございますが、この辞退量は、だから下から積上げたものでございませず、政府のプランとして持つておりまするものに対する実績でありまするので、下から積上げた数字ではございません。下から積上げましたものはどういう層であるかということは、三浦さんにお答えしましたように、的確にはわからないのでございますが、麦に関する限りCPSの都市の全階層に関する調査がございますが、これは各階層とも全部非配給ということを持つておるのでありまして、その非配給というものとマル公とが実効価格でありまして、小麦につきましてはその差が一キロ八銭の差より見ないということは、殆んどマル公実効価格は同じであるという現象でございます。これは配給辞退とは関係ございませんが、そういう形で実効価格が形成されておるという数字から見まして、マル公配給を受けないで闇で買つておる層というものは、もう各階層全部に亘つておる現象でございます。
  102. 松永義雄

    松永義雄君 私の質問の要点は、自由販売になつた結果として、ビールなんかがたくさんできるような結果になつて、実際の食糧に向う量が減つて来るのではないか。その数字見通しというものを一つお聞きしたいと、こういう点でございます。
  103. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 三橋さんの資料をお配りした中のたしか工業用ですか、加工用という数字がそうでございます。政府見通しでありますが、その松永さんのおつしやるように、ビールが大体特約形態で従来ともやつておりまして、統制が外れたが故に、急にビール大麦をやるという現象は、右効需要等の関係からないものであるというように実は考えております。
  104. 松永義雄

    松永義雄君 それから先ほども質問がありましたが、仮り払をしておいて、あとで追払をすると、こういう話なんですが、この契約価格とかいうようなものは、ビール会社と例えばビール麦の生産者と……、そういう場合には価格というのはあらかじめ定められるのですか、実情は……。
  105. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 現実のビール取引の形の契約ということは、私詳しくは存じないのでございますが、特約の形としてはそういう事前にその価格自体をきめる場合と、米にリンクしてきめる場合いろいろあるようでございます。現実のビール大麦についてはどういう特約形態をいたしておりますか、私はまだ了承しておりません。
  106. 松永義雄

    松永義雄君 その点一つ調べて御報告願いたいと思います。関連いたしまして、例えば農家が金詰りになつて来ますと、青田売りだとか、黒田売りだとかいうことが昔行われたのでありまするけれども、政府に買つてもらえばいいには違いないですが、金詰りということから、好まざることであるけれども売らなければならんといつたような状態がこの統制撤廃の結果予想されるのではないか。
  107. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 統制撤廃の結果金詰りが起ると私案は考えておりません。統制撤廃いたしましても、こういう条件である場合は、供出よりよほど有利な価格になるのであります。政府に売りました場合は、これはこの価格形成方式でやるのでありますが、政府に売らない場合はこれ以上になるわけで、最低価格を保証いたしておりますので、農家が金詰りで政府以下に売るということは、これはよほどやはり指導その他によつて徹底いたしますれば、政府はすぐ金を払うわけであります。又買入れる期間も約一年、厳密に申上げると十ヶ月でございます。翌年の四月の末まで門戸を開放して、いつでも買おうという政策をいたしておりますので、政府の最低価格で売るなれば、いつでも買うわけでござざいます。それ以上に価格がなるというときは勿論ありますので、それ以上のことを期待しておるわけであります。政府の売買価格以下に下るということ自体は、これは農民自身の組織でやり、指導によつて行く以外に方法はないと、こういうように実は考えております。
  108. 松永義雄

    松永義雄君 只今お話は、麦ができてからのお話で、麦ができない前もうすでに肥料を買入れるとか、前年においてすでに農家が疲弊して来て、どうしても先売しなければならんといつたような状態が、この法案の結果として起きることが予想されるのじやないか。それをあなたが今指導によつてこれを導くのだと、こういうふうに言われたが、その指導によつて導かなければならんような状態が起きて来るのではないか。
  109. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 農家が青田売買をやりましたり、黒田売買をするという現象は、これは或る意味におけるそういう現象が起りますれば、これはやはり農政そのものの貧困であります。我々といたしましては、あらゆる農家経済保護の政策、施策を以ちまして、そういう現象の起らざることを希望するのでありますが、この法案とその問題とは私は全く別個の問題ではないか。この法案自体がそういう現象を推進することに何ら関係はないのでありまして、これは又別個の農民対策と言いますか、農業政策を実施して、農家の経済の安定を図る以外に方法はないのじやないかというように実は考える次第であります。
  110. 松永義雄

    松永義雄君 それは、そうなると見解の相違になるのですが、自由主義というものはそこまで行くのではないかという点ですが、私の考えは……。
  111. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 他にまだ御質問もおありになることでありますし、又今後継続して委員会をやるわけでありますが、二、三の委員のかたがそれぞれ御都合があつて時間に制約されているようでありますので、本日はこの程度にいたしたいと思います。  本日はこれを以て散会いたします。    午後三時二十八分散会