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1952-04-17 第13回国会 参議院 農林委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月十七日(木曜日)    午後一時四十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            加賀  操君            山崎  恒君            岡村文四郎君    委員            瀧井治三郎君            宮本 邦彦君            飯島連次郎君            片柳 眞吉君            島村 軍次君            三浦 辰雄君            三橋八次郎君            松永 義雄君   衆議院議員           藥師神岩太郎君   政府委員    大蔵省主計局長 河野 一之君    農林省農政局長 小倉 武一君   事務局側    常任委員会專門    員       安樂城敏男君    常任委員会專門    員       中田 吉雄君   説明員    農林省農地局災    害復旧課長   堀  直治君    農林事務官    (水産庁漁政部    漁業調整第一課    勤務)     安福 数夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○急傾斜地帶農業振興臨時措置法案  (衆議院提出)   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。昨日に引続きまして急傾斜地帶農業振興臨時指置法案について審議を続行いたしたいと思います。昨日各位の御要望のあつたところは本法律案予算的裏付け如何ということでありましたので、取りあえず本日は大蔵省河野主計局長の御出席を得て各位からそれぞれ意のあるところを御開陳願うことにいたしましたのであります。御了承願います。
  3. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 それでは昨日の質問簡單河野さんお見えですから申しますと、これは議員立法であつていわゆる通常いう政府側としてはどうも迷惑という字を使いたいほどの案だとも言えるのでありますが、いろいろ提案者のほうの昨日来伺つておりますと、池田大蔵大臣などは特に広島でありこの地帶が非常に低位生産である、非常に過重な労力使つてるのに收穫物が少い、全くこれは同情に値いする最たるものであるから、これが出れば相当自分としても骨を折るというような、これは個人的な立場であつたそうでありますが言われたということで、提案者側は勇気を非常につけられておるわけなんであります。又一方事当局におかれましてもよく事情はわかるということで、極めてこれ又好意的な態度であることを喜んでそれを期待してこの法案が説明されて来ておるのでありますが、併し私は必ずしもそれだけで安心していいのかどうか、この法案通りますとこの地帶に当るところの農民の諸君は必ずや非常な期待を持つて誠に有難い法が出た、早ければ本年度補正機会、遅くとも来年度においては相当手厚いところの国家財政の援助を得、更には相当の資金の融通斡旋というものも得られるであろうというふうに私は喜び勇み待つていることだと思うのであります。ところが果してそういうふうになるかどうか。殊にこの第二條にございますいわゆる急傾斜地帶定義がございます。即ち「土地傾斜度及び土じよう浸しよく度が政令で定める基準以上であつて、且つ、過重な労働を必要とする農地が集団的に存在する地帶をいう。」という定義があつて、これに対しましておよそまあ概略十五万町歩ぐらいあるだろうというふうに言つておられるのですけれども、併し未だこの地に必要であるところの、いわゆるこの法案でいう農業振興計画というものも一部愛媛等におきますパンフレツトを見ますと出ておりまするけれども、全部はそうなつていない。そういう際に当つて政府はどの程度までこの法案が通つた際にいわゆる力を入れておられるか。もとより来年度予算の骨格といつたようなものがわからない際に当つておよそこのくらいですということも事実言えないだろうと思う。衆議院では農林事務当局がおよそこれをやるのには七十億ぐらいかかる見込だということを速記録で拜見しましたが、まあおよそそういつたような規模であるかも知れない、或いはもつと多くなるかも知れない。そこで私としてはこういうものを折角議員立法で出され、そうしてそれをお互いに期待して出したところがあにはからんや財政都合等においてぬか喜びに経つて、非常に恵みの薄いこの段々畑地帶農民に非常な期待をさした、いわゆる極めて單純気持で非常に喜んでおつた、その喜ばしたところまではいいけれども、その喜びが案外恨みの声になるというようなことも考えられる。而もこの地帶といえども従来の農政の対象であつた土地であり新らしい世界じやない。従つて従来の農政費というものはこの地にも多くではないけれども或る程度及んでいた。又今後ますます農政費等も今日の段階から言えば予算的にも厚くなろうとするときでありましようが、これができたために更にこの目標のために相当厚くできるということが私ども何か納得のできる線が出ませんと、これを審議していて非常にただ書いてあることだけはいいのだからということだけで通すということについては、愼重に審議しなきやならんという意味から一つ主計局長にお出ましを願つて大蔵省として財政をお扱いになる立場としての御意見を率直に伺いたいというのが質問趣旨でございます。
  4. 河野一之

    政府委員河野一之君) 急傾斜地帶つまりいわゆる段々畑の問題は、日本の農業特殊性を象徴するともいうべきものでありまして、従来からいろいろ問題があつたことは私よく承知しております。従来こういうことについての全然予算がなかつたわけではないのでありまして、昭和二十七年度予算の中にも土壤保全に関する経費としてたしか二千万円近く入つておると思います。これは主としてこの段々畑地帶に出されるものだと思つております。それから従来小規模土地改良はいわゆる單作地帶に限つておりました。経済條件の同じような所につきましては積雪寒冷地以外においても小規模土地改良をやつたらどうかということを現在のところ考えております。こういつたことにそういつた予算が優先的に使われ、生産條件も余りよくありませんし、殊に労働條件というものは非常に過重な状況にある、こういつた農民の負担が重いといつた所に相当経費が優先的に出されることを我々として希望するわけであります。折角議員のほうで御提案になりました法律でありますから、勿論この法律通りますればこの法律従つてこの趣旨を尊重いたしまして、財政的、予算的な処置をするのが私は当然だろうと思います。ただ、只今三浦さんがおつしやいましたように、こういう農業振興に関する計画がたくさんいろい出て来ます、そこの総合調整の問題、これが非常に厄介なことになるのではないかと思うのであります。急傾斜地帶或い積雪寒冷地域い特殊土壤地帶いろいろ農業振興計画もあるのであります。これにはおのおのその地帶計画特殊性、つまりその地帶であるが故に特にこうしてやらねばならんといつた計画を立てる。そうしてそれに対しての財政的処置をするのが望ましいのでありまして、單に法律作つたから予算がたくさん要るのだという感覚でなしに、その地帶振興のためにどうするのが最も適切であるか、そういう関係睨み合せにおいてこの問題を考えベきじやないか。つまりこれについて予算が多くとれるかとれないかという御質問のようでありましたが、要するにそれは農業振興計画の定め方、その財源及びその内容の如何によるのであろうと思います。一般農業と同じような振興計画であるならば、これは一般農業計画の中に入つてしまうということになりかねないとも思う次第であります。私ども事務当局としてはつまりこの計画を尊重いたしましてやつて行く考え方には変りございません。
  5. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 大体想像していたような御答弁で誠にそつのない御答弁であります。私は主計局長は忙しいから先ずこの問題だけに切離してという注意がありましたので專らそれだけに集中するのですが、今の特殊土壌いわゆるシラス等のあの法案、これにも農業改良事業が載つており、積雪寒冷地のほうにも御承知の通りにあり、速記録に出ておる趣旨を見てみますと主たる地域はおのずからありますけれどもこれは全国的に延びております。ところが狙いに端的にプラスアルフアを当然期待しておる。これでは私は非常に期待のみ多くて得るところの薄い有名無実といつた形になる慮れが非常にあると思うのです。大体寒冷地で言えば、近頃だんだんとあの寒冷地單作地帶振興臨時措置法が出たからあの名前で予算を或る程度組みになつているけれども、やがてあれはならすという意味じやありませんけれども一般の中に入れて、全体的なそうしてそれでれの特殊事情を入れた農業行政が行われるようなものに持つて行きたいというふうな意向があるように思うのでありますが、若し間違つてつたら御訂正願いたい。そういう傾向がもうそろそろ見えかけているらしい。そうなつて来ると、これが出ると今度はこれは一、二年はちよつぴりながら或いは他の所を抑えてくつつけるかも知れんけれども、やがて又その後立体的ということが影が消えるようになくなつてしまい、どうも人騒がせの非常に期待ばかりさせてどうも実の伴わないというようなことになつたのでは、どうも審議している我々としても誠に恥かしい次第と思うのですが、その点について私は今と同じようなうまい答弁をされると思うのですが、一つお聞きしましよう。これは施行の日はすぐ通つた日からとなつているのですが、予算をお組みなつたというか、予算の取れたときから施行するというのですね、施行の日を特定付けて、前の植物防疫法の改正の際にそういうことがありましたが、こういうふうにして行くというふうにしたほうが実効が少しでも上るのじやないか。こうもとれるのですが、その点については單にどういうふうにされるのか、そうされたのじや私のほうじや困るということになるか、その辺をお聞きしたいと思います。
  6. 河野一之

    政府委員河野一之君) 先ほど私も申上げましたように、段々畑については予算というものは全然二十七年度にはないわけではないのでございます。ただここに拜見いたしますると、農業振興対策審議会というものを作つてそれについての振興計画を定めるということになつておりますので、当面の問題としましてはこの審議会をお作りになるのだろうと思います。これも金は大したことじやないだろうと思いますから、私は場合によりましては予備金によつて出すということも考えられると思います。その上でこの振興計画ができましてこれを実施するという意味において予算の問題が起つて来るのじやないか。殊に積雪寒冷地につきましても同様な関係にありまして、たしか法律通りまして私どもも幹事になつたのでありますが、そうしていろいろ練つてから予算というものを考える、こういうふうになつておるわけであります。従いましてこの法律公布の日から施行されて予算あとで付くということになりましても、別にその点は法文上私見たところは差支える点はないかと思います。勿論予算が十分にとれてそれでそれとマツチすればいいわけでありますが、少くとも進行の順序はそういうふうになつておるので、一応それでよろしいというふうに考えます。
  7. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 それは條文上早く公布をしてもらつたほうが大蔵省としては差障りが少いというような点でそういう御期待だということは私も想像しておりました。それはわかりましたが、今御答弁の中で予備金をこの審議会というものについてこの程度なら出してもというお話がありましたが、そういう可能性については相当期待ができるかどうか。是非私はこれを通すからにはもう先ず審議会というものができて、そうしてその審議会によつて農業計画の中の特殊地帶におけるこの地区における農業計画に盛るべきところのいろいろの事業内容とかこういうものをやつてもらわなければ困ると思うのであります。これについて一つ簡單でよろしいのですが簡明に一つお答え願いたい。
  8. 河野一之

    政府委員河野一之君) この委員会農林省に置くようになつておりまして、農林省予算の中でやりくりがつきますかどうでございますか、どうしてもこの法律施行されてこの審議会を作る経費がどうしても困るということになりますれば、そういつた予算的な措置はやるべきではないかというふうに思つております。
  9. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 この法律は非常にいい法律で是非ともこういう機会がなければならんと思つておりましたが、衆議院のほうでお骨折になつて提案されておりますが、今三浦さんからいろいろお述べになりましたように、段々畑の一番の心配予算の問題であります。ここで段々畑と申しますが、段々畑を見たことがなくては余りピンと来ないと思います。私は本当の段々畑で生れた男であります。二十三歳まで段段畑におつたのであります。この春一月に段々畑に帰つて見まして尚更非常にその感を深めまして帰つて参りまして、農林大臣にその話を実は申上げておつたのでありますが、今考えてみますると、寒冷單作地帶法案を出してもらつて通過をし、これは期限がこれよりは短いのでありますが、その後の大蔵省考え又は一般予算に対しての考えは非常に影が薄くなつて来ております。これは段々畑と違いましてあの方面はむしろ薄くなつてもわきの方面ででもその予算は全然取れんとは考えられません。この段々畑のやつはそうではないのであります。そこで機会があつたら聞こうと思つておりますが、とにかく相当思い切つた国が支出をしてこの急傾斜地農業を本当に助けてやろうというお気持が十分にないと、ただ人気取りにここを通したのではだめだと思います。私はここに委員会がありますがその委員になる人を実は心配しております。誰が一体委員になるか知りませんが、あの段々畑苦労というものは、なんで一体人間と生れて来てそうして同じ人間でありながらああいう所で生活をし、ああいう所で農業をしておるといういくじなさは実にわからん、こうまで極端に考えざるを得ない実情であります。そこで東京の真中におつたり或いは地方におつたりする人が段々畑の苦痛を知ることができない、これをどうかするというのには、今までの例にあります寒冷單作地帶のああいうようなものを政府がお考えなら、私通しても非常に農民に対して甚だあとから失望させるようなことになりはしないか。実は発案者にこの事業細目をお聞きいたしておりませんが非常に金がかかります。労力を省こうとしております。それは相当の金で電力を利用し或いはその他によつてできたらやる、今二千万円ばかりまんざらないわけでもないからそれは取れるだろう、こういうような話をされております。予備金もありますからなんとかなるだろうと話をされております。成るほど年度当初でありますから予備金がないとは言いますまい、そこで農林省予備金をみんなさらけ出して、そうしてそのほかに大蔵省も本当に心配をしてくれなければならんと思いますが、話がよそへそれますが私は実に不愉快に感じたことがございます。これは大蔵省がそう考えておるとは思いませんが、どうも農林即ち農林省というものを非常に軽視する形になりはしないか。それはこの間できました貯蓄運動推進のことでありますがそれに安本が入つておるが、あの推進運動の中に農林省を何故一体大蔵省は入れるのだろう、これを見まするとなんとなく入つております。そういうふうに万事かそうなつておりますから簡單に申しましても、局長大臣幾ら代つて大蔵省の大番頭をしてもらわなければならんのだが、よく聞いてほしいと思うのだが、大蔵大臣というものは政府が代れば代りましようし、又政府が代らなくても代ります。併しながら局長をしてもらつておるかたがたはそんなにすぐ代りません。大蔵省の大番頭をしてもらつてそうしてその采配を振つてもらう。殊に主計局長はあらゆる方面の我々に対する接触が非常に多いのでありますが、この法律に対しましては本当に段々畠のあの悲壯なかあいそうな百姓を実際に助けてやろう、これこそ少し世の中をこう進んで来たことを見せてやろう、そうしてあの苦労を何ぼか助けてやろう、こういう親心がなければこれはいかんと思います。單なる二千万円やるとか或いは予備金でとれるでしようとか、こういうようなことでは非常に不愉快でありますし、この法案を満足に見て通してぬか喜びはさせたくないのであります。そこまで局長がその局長の腹をきめてもらいますと、又大臣がときの大臣にねじこんで行つてこれはいかんじやないか、こう言いますが、局長自身その衝に当る人が御存じないのは御尤もで、私は御存じないとは思うがこの段々畠の百姓苦労をさせないというお考えをどの程度に持つておるか持つておらんかをお聞きしたい。まあ一応とにかくお話申上げたことに対するお答えを聞いてそして又御質問したいと思います。
  10. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 主計局長の御答弁の前にちよつと申上げておきますが、この附則の第二項の「この法律は、昭和三十七年」とあるはミスプリントだそうでありまして昭和三十二年でありますから、前の積雪寒冷單作地帶法律と同じ期間でありますので御了承をお願いいたします。なお主計局長若干時間に制約があるそうでありますので、その点もお含みの上御質疑をお願いいたします。  それから今の岡村委員の御質問に関連して私からもちよつとお尋ねしておきたいのですが、これは先ほどの三浦委員からのお尋ねとも関連するのでありますが、従来のつまり積雪寒冷單作地帶振興臨時措置法ができる前の、つまりそういう特殊立法の何もないとき、つまり單純一般土地改良費だけが予算に計上されていたときに比べ、そのときに比べこういう特殊立法ができてからあとどれだけプラスなつたか、先ほどのお話プラスアルフア幾ばくであるかということは、これは非常に想定に困難な問題だと思うのです。併しながら既定経費の中の一部を割いて特殊立法のほうに廻したということになると立法意味というものはなくなるんですが、その辺が積寒の問題といいこの急傾斜地帶特殊立法といい、従来の一般土地改良費プラス幾ばくかのアルフアがくつつくかということは、これは数字上すぐ二一天作の五と出ては来ませんが、ここがこの問題の非常に山になると思いますので、その辺もお含みの上御答弁を願いたいと思います。
  11. 河野一之

    政府委員河野一之君) 積雪寒冷地帶の分はたしか去年法律通りまして審議会ができまして、その経費予備金で出しましたが、そういうようなことで振興計画を立てたわけであります。又現に立てておられるわけでもありますが、あのときにはたしか補正予算において二十億ですか殖やしたわけであります。それで事柄としましては従来小規模の土地改良というものは昭和二十四年以来やめておつたのでありますが、積雪寒冷地帶について小規模の団体の土地改良を国の補助でやるようにいたしました。その段々畠の問題について只今いろいろ切実なるお話があつたのでありますが、私どもも誠にそのように存じております。これも先ほどの三浦委員の御質問に対するお答えとまあ相関連する問題でありますが、まあ同じ土地改良にしましても、積雪寒冷地帶或い特殊土壌地帶或いはこの急傾斜地帶、おのおの土地改良内容が違うのじやないだろうか、つまり積雪地方であるならば灌漑排水或いは客土というようなことがあるでありましようが、急傾斜地帶でありますと要するにエロージヨン生産條件としては一番大きな問題でありますので、このエロージヨンをとめるにはどうしたらいいか、或いは土地改良のやり方なんかについても被覆作物をどうするとか、そういつたようなこれに特殊ないろいろな問題が起つて来るのじやないか、そういうラインとして私らは考えてみたい。ただ何でもかんでも猫も杓子も一つ予算に織込んでみようというような偏狭な考え方は実は私は持つておりませんので、できるだけ御趣旨に副うようにして、予算の御趣旨に副うようにやりたいとこう考える次第でございます。
  12. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 局長の大変御理解のある御答弁を伺いまして、つらつら結構なんであります。既定予算にないことはいいのでありましてこれははつきりと費目を打出して予算に入れるようにしなければいかんと思いますが、そうなりますと、三浦さんのおつしやるように実は前々に幾らでもございます予算措置ができておらん。実はこの前の三年ばかりの間は、この農林委員会予算措置の伴つておりません法律は通さんことにしておりました。若し止むを得ないで通す法律は一年なり半年なり予算措置ができてから施行する、こういうふうにいたしておりましたが、予備金お話が出ましたからそれまで待たないでもその予備金はとれることと思いますが、時期がもう非常に惡い時期になりかかつておりまするから、今予算をもらつてすぐに事業をしまするのには非常に惡い時期になりかかつておると思つております。そこで年度当初の大きな予算でなくてもよいと思いますから予備費で必ず局長がとつてくれるというぐらいのその意気を示してもらわんではこれは困ります。そうでないと、大臣がそれはだめだ、こうおつしやるかも知れません。そのときは我々も協力します。又局長もその肚で自分委員会で言明したことはやつてもらわなければ困りますとこうなければいかんと思いますが、困つたことにはどうも役所の局長答弁は、あれは局長答弁である、こういうことを言いたがる節がありまして、我々は局長答弁を願う時分には本当にそれを注意して実は肝腎のものはやつておりますが、局長がそういうはつきりした御答弁を願われればこれも面倒な問題じやないと思います。そこで問題はそういうことを考えておりません。農林省予備費から全部これをとると、又農林省は非常に困つて来ると思いますから、そうでなしにあらゆる面を勘案して各省の予備費から削つてでも出す、こういうふうでないと、農林省ばかりいためつけていかんと思います。そのことをどうかお聞きしたい。
  13. 河野一之

    政府委員河野一之君) 私予備費とかということを申上げたのは、この審議会経費、先ずこの法律が発足しますのに審議会を作ることが先決でありますので、まあ差当り発足するには審議会を作る、この審議会経費について、農林省既定予算の中でやりくりできない場合においては或いは予備費というようなことも考えられるであろう。こういうふうにまあ申上げたのでありまして、予備費は全体で三十億しかございませんので振興計画そのものについて予備費ということはちよつと参りかねると思います。
  14. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 それでは聞違いであつたようでありますが、審議会経費というものはこれは場合によつては私はこんなものに対しては予算はとらんでもいいと思います。それはそれでやれるんだと思います。だからそういう御心配は余りしなくてもとれるだけとつてもいいと思います。事業費なんです。事業費は今のお話を聞くとやはり相当補正予算なり本予算になる、これは面倒なようでありますので、そうなりますとそのつもりで審議されなければならんのでありますから、そのつもりで今日おいでを願つたので、今のお話のように委員会経費くらいは予備があるから出るだろう、それくらいはどこからとつても差支えないと思います。併しながら肝腎な事業費ですから、若しこの委員会にそういう金を使うようなことなら、段々畑のためには無報酬で委員会にやつてもらつて、あの苦労を見たらそんなものはへつちやらですよ、だから本予算というものにうんと獲得するような時期が来るまではこの事業は非常に困難だろうと思います。これはまあ局長もそのおつもりでこれが通りましたら、或る時期が来て施行をいたします時分には少し甚だ御迷惑でも廻つて見て来てもらいたいと思う。それから泊つてもらわぬとわかりませんから一部落に一晩ぐらい泊つて、そうして彼らのあの苦労、まあ実際人間味がありませんわ、ところが情ないことにはそこで生れて育つて来たものなのでそれでもやつてもらつておりまするが、その状態を見たら何とも言えぬ実情なんです。これは現在の憲法からいいますと、何も憲法を突かんでも私はやる方法があると実は考えております。ですから是非一つ軍に聞き流しにされないで段々畑というものはあるがどうもあれは苦労なものだそうだ、一つ行つて見ておこうというので例えば愛媛県に行つて見ますと、直ぐわかるし、その隣りの高知もそうなんです。ですから是非十分な予算とは言われませんが、事業をするなら事業が満足にできるような予算措置を講じてもらいますことをお願い申上げておきます。
  15. 松永義雄

    ○松永義雄君 極く簡單に。予算措置について同僚委員から強く主張されました。その中で私としては特に考慮に入れてもらわなきやならない点をお聞き取り願つておきたいと思うのであります。それは積雪寒冷地帶の場合もそうかも知れませんが、この段々畑の場合においては少しく違つた点があるのではないかと思うのであります。それはこうした気の毒な状態にあるかたがたはただ單に自然的條件にとどまつておらぬので、自然的原因にのみ存しているのではないのであつて、人為的作用の結果こうした気の毒な状況に追い込まれているという事情があるのではないかということでありまして、それは提案者の昨日の御説明の中にそうしたことが聞きとれてもあつたのでありますが、只今お話のあつたような愛媛県、その他四国方面における段々畑の耕作に関して窮地に陥入れられておるという事情が人為的に存在しておるのではないかということであります。それはこの方面のかたがたは半漁半農である、ところが漁師のほうは最近トロール漁業のためにその経済が立たなくなつて、そうしてやむを得ずこうした農地の耕作をしなければ生活を維持して行くことができないような状態であるのではないか。お役所のその方面における調査にもそういう事実がはつきり現れているのでありまして、ただ單に自然的條件で長いこと昔からやつておられた農民のかたがたが苦しんでいるということばかりでなく、最近の経済事情というものに追い込まれて、そうした困難な耕地に頼らなければならんという事情があるという点であります。少しく場合が違いますが、例えば鉱毒被害のようなこともあるし、又大きな漁師が濫獲をして、そうしてそうした方面は非常に利益を得ている。ところがそうした弊害の結果小さい漁民は食えなくなつている。一つの失業状態である。それでやむを得ずそれじや他に道があるかといえばないので、そうした段々畑のほうに頼つて行かなければならないという事情がこの問題に存しているのではないか。ただ單に自然的條件から来る現象ばかりでなく、人為的作用からこうした気の毒な状態に追い込まれている農民というものに対してどうしたらいいか、これを私は考えなければならん。で予算措置の上にそういう点を一つ考慮して頂きたいということを私は力説いたしたい。詳しく更に述べて行けば例によつて我々の立場をここに述べて長い間の議論をいたすことになりますが、とにかくそうしたむずかしいことの議論は別にして、こうした人為的作用によつて非常に気の毒な状況に陷し入れられていることをその予算措置の中に考慮して頂きたい。それが私は政治じやないか。自然的條件でこれは運命だといつて諦めてそうして耕作しているというなら、又そのようにしての取扱いがありますが、ところが或る方面には非常に富んでいるものがある。その結果の犠牲となつてこうした非常に苦労の多い農民に転落しなければならんということはこれは放つておけない状態じやないか。従つてこれはどうしたつて対策を講じなければならない。具体的には予算措置の上で考えて行かなければならない、こういうことなんであります。一つ御意見を伺いたいと思います。
  16. 河野一之

    政府委員河野一之君) まあ段々畑の起つて来た事情にはいろいろなものがあると思います。いろいろな社会的なそこに環境なり條件なりというものが重なり合つて来ておるので、又日本農業特殊性というものもそこにあると思うのでありますが、こういつた点につきましてはこの審議会において徹底的に究明して、そうしてその対策が立てられることであろうと私はこの法律をお作りになります以上期待いたすわけであります。それによつて我々としては善処しなければならんと考えております。
  17. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 河野主計局長に対してまだ他に御質疑もあろうかと思いますが、時間に制約されておりますのでこの程度に願いまして、各委員より御要望の点はいずれも予算措置の点で、特に先ほど岡村さんからお話がありましたように、この参議院の農林委員会のずつと五カ年間の伝統は予算的裏付のない法律は好ましくないという立場で今日まで来ておつたのでありますが、昨年の積雪寒冷單作地帶法律につきましては大蔵大臣補正予算で何とかするということで、異例な取扱をこつちでもやつたわけでありますから、本法律案につきましても同様近い機会にそういう措置が行われることを皆様御期待の上の御発言だろうと思いますので、その点お含み願いたいと思うのであります。   —————————————
  18. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは更に引続いて昨日松永委員より御要望のありました、水産庁から漁業調整第一課の安福さんが出席されておりますので、この際御質問をお願いいたします。
  19. 松永義雄

    ○松永義雄君 質問ということでなくして、ずつとこう説明して頂くようにして……。トロール漁業と沿岸漁業、殊にまあ今問題になつておる漁業ですね、四国方面その他の状態をお話願いたい。
  20. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではどうぞ。
  21. 安福数夫

    説明員(安福数夫君) それでは御説明申上げます。瀬戸内海の特殊性につきまして申上げる前に、水産業がどういう現況にあるかということを簡單に申上げたほうが、瀬戸内海の特殊性を更に御理解願えるだろうと思いますから、全国的な問題について簡單に先ず申上げたいと思います。  我が国の水産業が戰前から戰後にかけまして世界の第一の水産国であるということは御承知の通りでございますが、今もつてやはり第一位でございます。併し漁民一人あたりの所得という見地から考えますと非常に零細でございます。平均しまして現在のところ一人年間八百貫から千貫くらいどまりじやないか、数字的には非常に疑問もございますが、大体その程度の平均の年間の漁獲量でございます。これは漁民の所得から考えますと、それを金銭に換算いたしますと非常に安い金額になるわけです。試みにこれを二百円、現在二百円を少しオーバーしておると思いますが、二百円の貫当り値段で換算いたしますと、八百貫にいたしますと十六万円でございます。これから当然経費を差つ引くわけでございますから、純然たる所得というものは非常に少くなつて来るわけでございます。沿岸漁業を含めまして日本漁業全体の平均はそういつたような数字を示しております。これは日本の農業の面におきましても同じことが言えるわけでございますが、これは日本の産業構造の然らしめるところが、何かそういう関係たろうと思うのでございますが、その点は農業に比べて水産業においても全く同じでございます。これが戰前の姿でございまして、それが戰時中から戰後にかけまして、どういうふうに日本の水産業というものが変遷して来たかということを申上げますと、戰時中は油とか資材の関係で水産業というものは非常に圧縮されたわけでございます。併し戰争末期更に終戰後の日本の食糧事情はつい最近まで皆様がたも御承知の通り非常に窮屈な状態にあつたわけであります。従いまして水産業の上に課せられました日本の食糧事情から来るウエイトというものが非常に重要視されたということは当然考えられるわけでございまして、終戰後他の産業と比較いたしまして、日本の水産業の生産設備と申しますか、生産施設殊に漁船の復興は他の産業面におけるよりも非常に急速な面があつたわけでございます。従いまして終戰後の日本の漁獲量というものは非常に急カーブを画きまして上昇いたしております。併しこれもほんの二、三年の問題でございまして、すでに昭和二十三年の後期から二十四年に入りますと水産業の経営状態というものは非常に惡化の傾向になりまして、現在非常に行詰つておる段階にあるわけでございます。これはどういうことかと申しますと、農村と全く同じでございまして終戰後海外から引揚げた人たちもおるわけでございます。殊に戰前の日本の漁業というものは世界到る所に進出しております。そういつた漁船なり資本というものがやはり日本内地に戻つてつたわけでございます。これが水産業というものは非常に水ものでございまして水産業が非常に儲かる、こういう見地から水産業に非常に過重な投資が行われたわけでございます。それが先ほど申上げましたように漁村の復興を非常に早めたということにも関連があるわけでございますが、そういつた関係上、水産業における資本の過重な投下と申しますか、そういう面と、海外から同時に人も引揚げて参つたわけでございます。そういつた面は農村と同じでございますが、それによつて過剰人口を漁村に現出したということは、優に予想されるわけでございまして、そういつた資本から来る水産資源に対する圧力、それから人口から来る圧力、それから更にこれはつい二、三年の問題でございますが、漁業資材の問題がございます。御承知の通り補給金制度というものが打切られまして、資材というものが非常に高騰いたしております。これは当然漁業経営に反映いたしまして、漁業経営というものは非常に赤字を出しておる現状でございます。  以上が全国的に申しまして水産業が非常に逆境に置かれておるということを簡單に説明いたしたわけでございますが、更に瀬戸内海の特殊事情を申上げますと、以上申上げましたことに加えまして、先ほど松永委員からも御発言がありましたように、工業から来る非常な汚濁水の問題があるわけでございます。それから浅海の埋立の工事が各地で行われております。これを簡單に申上げますと、文化が漁場を駆逐しつつあると申上げていいと思うのでありますが、そういつた関係で漁民というものが自分の働く漁場を失いつつある。これは全日本の経済面から見ますと工業が発達する、更に農地が造成される、こういう面から見ますと、まあ差引プラスになることは明らかでありますが、漁民はそれだけ自分の生活を失うわけであります。そういつた事情は瀬戸内海に殊に顯著だと言えるというふうに考えるのであります。それから更に瀬戸内海の特殊事情を数字的に申上げますと、我が国の水産業に占めます瀬戸内海のウエイトでございますが、戰前瀬戸内海の漁民は大体十四万から十五万、この数字は十年前でございます、そういう数字でございます。現在どのくらい漁民がいるかと申しますと、これも大体推定でございますが二十六万から三十万、約倍の漁民になつております。それから漁船の数を申上げますと、戰前の漁船の数というものは約六万八千隻でございます。これも十年前の数字でございます。終戰後現在の数字は八万四千という数字になつております。併しこれは内容的に検討いたしますと、更に質的に増大しておりまして、先ほどの十年前の六万八千という数字の中の三〇%が動力船でございます。それが戰後の八万四千の中では四一%が動力船になつております。動力船だけが約八割の増加傾向になつております。これはどういうことかと申しますと、漁業内部の漁法というものが非常に合理化し進歩したと、こういうことになるわけでございまして、一隻当りと申しますかトン当りの漁獲量というものは当然それに比例して強化される、こういうことになるわけでございます。更に馬力数を申上げますと大体三倍になつておるという数字が出ております。そういう結果漁獲の数字にどういう変動が来ているかと申しますと、戰前と戰後をかけまして大体瀬戸内海の漁獲量というものはそう大壷はございません。十年前の数字が一応四千八百万貫という数字が出ておりますが、それが現在約六千万貫という数字が出されております。それを一人当りの平均にいたしますと、戰前は一人当り三百貫であり戰後が二百二十貫でございますか、そういう数字になつておりまして僅か八十貫あたりしか減つておりません。これは單に数字的に申上げますとそういう数字でございますが、これを質的に見ますと瀬戸内海の魚と申しますか、それは戰前は非常に高価な魚がいたわけでございます。瀬戸内海で有名な魚を申上げますと、たいとかさわらとかこれが瀬戸内海の二つの非常に貴重な高価な魚でございますが、それがだんだん減りつつあるわけでございます。つまり瀬戸内海から上ります蛋白の総量というものは、例えばプランクトンから逆算されるわけでございますがプランクトン、それから生産されます全部の水産資源というものは変らないとこういうように簡單に数字が出るわけでございます。この数字が科学的に証明されるかどうか別としまして、一応そういうことは予想されるわけでございます。併し高級魚が減つてそれに代つて雑魚が殖える、こういうことは当然考えられるわけでございまして、瀬戸内海の水産資源というものは現在そういう状況で枯渇しつつある、つまり質的に非常に惡くなりつつある、こういうことは言えるのじやないかと思います。これは漁獲の統計を各種の魚種ごとに見ましても一応窺えるわけでございます。いわゆる高級魚の二年三年たつてからとるたいとかさわら、そういつた魚種が減少いたしまして、一年生の魚、典型的な例はえびが非常に殖えております。これは一年性魚でございまして、それほど濫獲いたしましてもすぐにこれは回復する、こういう資源でございます。つまり高級魚が減りまして雑魚が殖えつつある。これは魚民の経済にとつては非常に致命的な問題でございます。大体そういうような傾向を辿りまして、これは日本全国の現情がそうでございますが、殊に瀬戸内海はてういつた、具体的に申しましたようにたいとかさわらが減つて非常に雑魚が殖えつつある、こういう事情にあるわけでございます。  それから瀬戸内海の漁業の秩序の問題でございますが、当然こういつた漁業経営は非常に逆鞘になりつつある、資源状況から申しまして漁民が生活的に窮乏することは一応明らかでございます。まあその結果どういうことが漁業の秩序の上に現われているかということを申上げますと、これは戰時中から戰後にかけまして、我が国のまあ国家権力と申しますか、国の威嚴、或いは取締の威嚴と申しますか、そういつた面の非常に弛緩が現われたのでございまして、その結果漁業の秩序というものは非常にめちやめちやになつておるわけでございます。まあ先ほど松永委員からも名前が出ておりましたトロール漁業でございますが、これを正確に申上げますと小型機船底曳網漁業、こういう漁業になつておるわけでございますが、この漁業の実情を見ますと、現在全国的の数字は三万隻以上を超えております。それの約八割ぐらいが瀬戸内海に集中しているわけでございます。まあこの漁業はつい最近まで瀬戸内海では禁止になつていた漁業でございますが、それが現に二万近くも瀬戸内海で操業されていた、こういう実情にあつたわけであります。漁業というのは、日進月歩いたしておるわけでございまして、農業よりも早く機械化されつつあるわけでございますが、そういつた関係でまあ無動力船が動力船になり、それに対して従来法制がそれに追いつかずに無許可の状態、許可違反の状態、そういつた状態が現在まだ全国的に相当見られるわけでございますが、その漁業の秩序の回復を狙いとしまして、現在漁業制度の改革が行われているわけでございますが、それに関連いたしまして先ほど問題の瀬戸内海の小型機船底曳網漁業というものの整理に現在入つているわけであります。どういう方法で人つているかということを簡單に申上げますと、これは産業行政といたしましては、非常にまあ非常識なやリ方でございますが、小型底曳というものを減船して行く、極端な例は船を沈めて行つて船の数を少くしよう、こういうような非常にまあ非常識な産業行政までやらざるを得ない、こういう実情に日本の沿岸漁業が追い込まれているわけでございます。まあ先ほどからときどき宇和海区の問題が出ているわけでございますが、宇和海区もこの小型底曳は絶対にやらない、こういう決議を委員会がやつている、そういう実情にあるわけでございます。それから広島県でも二十六年度で、これは小型底曳ではございませんが、船曳綱漁業というのがございまして、これが約五十カ統ばかり減船いたしております。そういつた非常に非常識な措置までやらなければ日本の沿岸漁業、殊に瀬戸内海の漁業というものが資源的に行きつまるだろう、こういう実情にあるわけであります。これにつきまして水産庁といたしましてはいろいろ対策も考えているわけでございますが、ともかく資源的には限られているということから、そういい名案がないわけでございますが、やはり全国的な趨勢から考えまして、こういつた地帶の漁業というものはその漁業だけで生活するということは恐らく不可能だろう、こういうことは我々としましても結論的に持つているわけでございまして、こういつた地帶農業との兼合いの問題、農業振興というものも非常に重大なことだろう、我々自身もそういうふうに考えまして、農林関係のほうともいろいろ折衝いたしておるわけでございます。まあ以上のような実情でございまして、この法案と共に非常に我々としましても注目いたしているわけでございまして、こういつた半農半漁地帶の水産業と農業という関係は、十分我々としましても今後関連をとつていい行政をやりたい、こういうふうに考えておる次第であります。まあ簡單でございますが、説明を終りたいと思います。 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  22. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 私今政府から説明がありましたが、ついでにこれは政府側からお聞きいたいのですが、例の特殊土じよう地帶災害防除及び振興臨時措置法案というのが建設委員会にかかつてすでに通つた。これを読んでみますと、目的を言わなければなりませんが第一條に「この法律は、特殊土じよう地帶に対し、適切な災害防除及び農地改良対策を樹立し、これに基く事業を実施することによつて、特殊土じよう地帶の保全と農業生産力の向上とを図ることを目的とする。」とこういうふうに謳つて、そうして第二條のところで内閣総理大臣がこの目的を達成するための審議会を設けてその地帶の指定をするようになつております。そうしてこの農地改良に関する農業計画という言葉があるわけですが、この災害防除には、建設委員会のだんだん審議の経過を速記録によつて見ると、これはいわゆる、砂防だということで一応先ず筋はともかくできておる。ところが農地改良ということになるとこの今審議しております、急傾斜地帶農業振興臨時措置法案の第二條に言うところの「土地傾斜度及び土じよう浸しよく度が政令で定める基準以上であつて、」という問題との重複の線が当然出て来る。どうもこういうふうにしてそしてなお且つ特殊土じようのほうの臨時措置法の説明の政府側の野田大臣等の意見だと、これは野田大臣は建設大臣だから主として砂防について言つたのだろうと思うのでありますけれども、別にプラスアルフアつまり不公平の予算の配置はこのことができたからといつたつてするのじやないというような妙な答弁をしておる。我々は先般来主計局長大蔵省をよんでおれのほうはプラスアルフアでなければ困るのだと言つておる。そういうような説明の実質についても考え方についての食い違いもある。又具体的に言えばこの浸しよくを受けやすい土じようの地帶で急傾斜地という問題は重複されたいわゆる別々の審議会、一は総理府の中に開かれる審議会、一は農林省の中に開かれる審議会、こういうところで両方から救つてもらえるならば大変有難いのだ覇つてもらえるなら笑変有難いのだけれども、お互いに両方で何というか意見の違いとか、或いは相手が向うがやるのだろうといつたことで、うつかりすると二つ手が多いだけに丁度野球の球が両方の選手が遠慮してつまらん凡フライをセーフにしてしまう、いわゆる穴の中におつこつてしまう、両方の手があるためになまじつか救われないということが考えられる。この点について政府は一体これが通つたときにどういうふうに考えられるか。又提案者のほうにおかれましては、ここに重複されたのは四十七名の提案者でございますが、重複をされたかたが五人おられます。特に重複して両方の提案者になつておる人からもこれについての意見を聞きたい。私はこの点を一つ今薬師神さんは重複されていない提案者でございますからお答えもどうかと存じますが、それについて意見を聞きたいというのを申上げます  ちよつともう一つ付け加えます。私は災害復旧課長の堀さんが非常に各関係委員会で奮闘されておることを聞いております。又速記録によつてつておりますが、一体これはあなたに文句を言つては惡いのだが、議員立法であるけれども災害復旧のほうの関係もそれは勿論ある。急傾斜地は浸しよくに対する取扱いはありますけれども、これは一般の大きい農政のただ一部門なんだ、そういうような観点からいつて政府側はあなたが御答弁しようとするならば、一体農林省としてはとの程度の意気込でこの法案期待されておるか、併せて一つお答えを願いたいと思います。
  23. 堀直治

    説明員(堀直治君) 初めのほうのシラス関係の特殊土じよう地帶法案とのダブリの問題について御答弁申上げたいと思います。特殊土じよう地帶法案におきましては、法案の成り立ちから申上げましても主として南九州地方のシラス地帶が中心になつておりまして、これに対する対策もいろいろ砂防方面或いは私らのほうのシラス対策費というようなものでやつて来たのでありますが、この法案はそれに加えまして法案の中にも書いてありますように、ホラ、コラ、アカホやその他火山の噴出物というような特殊土じようというものを指定しているわけであります。従いましてこれの事業の中にはシラスの砂防関係がありますと同時に、ボラ、コラ、アカホや等の土じようを取除くというようなことも含めて考えておるわけであります。只今ここで問題になつております急傾斜地帶の土じよう保全の問題とダブつて参りますのは、火山の噴出物という意味及び花こう岩の風化土じよう地帶という意味で愛媛県或いは広島県地方に多い花こう岩のサバ土と申しますか噴化物地帶農地が往々にして急傾斜地であり、而もそういう土じようであるがために土じよう保全を必要とするということになつておりますので、特殊土じよう地帶法律を広く解釈いたしますと、中国地方、四国地方、この地帶が当然入つて来るわけです。併しこれは又逆に急傾斜地という意味から申上げますと、特殊土じよう地帶のほうには急傾斜地という何らの制限がございませんので、取扱のほうにおきましてはこういつたダブリのあるものにつきましてはいずれか一方で仕事を進めて行くようにしたい、特に南九州地方のものにつきましては特殊土じよう地帶法律においてやつて行くようにし、中国、四国地帶のほうにつきましては、この急傾斜地法律によつて事業施行して行くようにして、おのおのの間に仕事のダブリのないように計画を立てるときに注意をして行きたい、こういうふうに考えております。
  24. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 あなたに何というか食つてかかるのじやないですが、私はどうも議員立法のものはうつかりすると、ただ当初はそれは勝手に国会は法律を作つたのだが、おれたちのほうはよう知らんというようなことで粗末に扱われたのではたまつたものじやないという観点から、而も言い逃れがあればこれ幸いとして更にその法律に対してそつぽを向いているというようなことが過去には少くともあつた、だからそういうようなことになつていかんというような観点からあなたに質問するわけだけれども、あなたは建設委員会でのこの審議についてずつと出ておられましたか。
  25. 堀直治

    説明員(堀直治君) 参議院のほうには出ておりました。
  26. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そうして特殊土じようのときの審議会の構成の際に、これは全国に散らばる問題なんだから、ここに例えば県知事二人、県議会議長が二人、それから市町村長というので合計で八人ありますね、それを八ブロツクからどれか一人ずつが出るように、日本全国を大体の考え方として八ブロツクに考えて、そうして成るブロツクから市町村長が出たとすればもうそのブロツクからは出さないで、どこか他のブロツクから知事が出たとすればそのブロツクからは他の者を出さないで、そうして万遍なく日本中から八人のいわゆるそれらの人を出してやつて行くというふうな運営を考えろといつたときに、はいその通りいたしますと言つているのですな。そういうような勧告でできたところの審議会というもの、而もあなたのほうは特殊中の特殊をつかまえているのだ、今審議中の急傾斜地法律は。ところが実体からいえばこつちのほうは広いのだ、相当広いところから出て来るところのいわゆる一連の計画のほうが通りがよくて、その特殊の特別に立つたところのこういう農業振興計画というものが特殊な所に強いといえば強いかも知れませんけれども、なかなかわかりにくくて、こちらのほうのいわゆる特殊土じよう地帶の対策審議会で決定になつた意見を聞いて、内閣総理大臣がきめる農業改良に関する事業計画のほうが重きをなすという形を形式的にはとつている。そうして実体はどうかというと、これは総理府でやるのだからどうも事実農地改良に関する事業というものは殆んど実質を伴わないところのプランにうつかりすると終つてしまうのじやないかという点が私は非常に心配なんです。その点についてどういうふうに考えられますか、これは單なる言葉のあやじやなしに、およそこの二つが通つた場合に僕はそういうふうになる可能性は非常に多いのじやないかという心配がある。そうするとさつき言つたテキサス・リーガーのふらふら球が両方の手から洩れてしまつて、それがさつぱり期待しているところの農民諸君のためにならないというようなことでは困る、この点が私は心配なわけです。なかなか私は政府のほうもやりにくいと思う、農林省自身もやりにくいと思うのです。それは成るほど載つています。農林省の政務次官はこの審議会の中に入つておる。だから筋は一応通つているといえば通つている。一人で包んでもらうよりも二人の手で包んでもらつたほうがいいということはいえばいえます。併し別々の手で包んでくれる風呂敷で本当の目的が達せられるか、果してその手が魂の入つた手になるか、ここが私はやはり心配でならん点なんです。この点を一つ
  27. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それで今の三浦さんのお尋ねに関連して私ちよつとお伺いしたいのですが、例えば積寒法律で行くか、或いはこの急傾斜地幣が議会を通過した場合これで行くか、どれを選ぶかという場合に、それは農民自身の選択にゆだねられるわけですか、どういうことになりますか。本人自身がどちらの補助をとろうといいのか、若しダブつた場合これは両方の補助があるとは思いませんから、どちらかの選択権を自分自身が持つているということになるのか、或いは政府が何か指定するのか、どういうことになるのですか、この辺を一つ
  28. 藥師神岩太郎

    衆議院議員藥師神岩太郎君) この積雪寒冷地帶との問題については昨日もちよつと触れておつたのでありますが、積雪寒冷地帶地域が指定されておりますが、併しこの急傾斜地帶地域的の制約を加えていないわけでありまして、つまり御意見の趣旨は、積雪寒冷地帶にこの急傾斜地のあつた場合において、つまり積雪寒冷地帶法律に準拠してやるがいいか、この急傾斜地のほうの法律によるほうがよろしいかという御意見だと思いますが、そういう場合においては、大体において傾斜地方のほうは郡の段階までは農林大臣が指定することになつておりますし、町村の段階においては府県知事が大体この区域を指定することになつておるのでありまして、その場合にこの二つの法律の競合する場合においては農林大臣がその調整をする、こういう建前になつておるわけでありますから、十分その点についてはその地元農民の当事者の意見というものも反映し得るものと、かように考えておるわけであります。
  29. 安福数夫

    説明員(安福数夫君) 特殊土壌法律と、それから只今の急傾斜地法律はいずれも政令を定めてこれの施行については成る程度の規制をして行く必要があると思つております。先に成立いたしました特殊土壌法律におきましても、只今建設当局と農林当局とでこの政令について協議をしてきめて行こうという話合を今進めておるところでありまして、おのおのの提案者の御説明も、おのおのの所管する仕事についてはそれぞれ所管する省で責任を持つてつて頂くのだということに御説明になつておりますので、そういつた意味からここにおきます急傾斜地の問題も、政令できめます場合にはやはり或る程度そういつたような制限ができるように考えて行きたいと思つております。  それから事業の実施に当りまして、地元と申しますか、計画を立てる所で、いわゆる地元がどつちで行くかの選択権を持つか持たんかというお話でございますが、これは予算のおのおのの……、寒冷地帶は寒冷地帶の予算、或いは急傾斜地については急傾斜地予算、それからシラス地についてはシラス地の予算、又そのほか一般土地改良費その他の予算というものもそれぞれ或る一定の基準によつて運営して行く必要がありますので、これらの点についてそういつたものを助成する面につきましてはダブリのないように、又事業の効果の確実に上るものから選んで仕事をやつて行くということになると思います。従いまして、これの仕事の助成の選択権というものは政府のほうでやはり或る程度考えて行かなければいけないと、このように考えております。
  30. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 或いは質問が重複をするかも知れませんが、提案者にお聞きしたいのですが、この急傾斜地農業振興計画でありますが、この急傾斜地の所在場所を考えてみますると、一つには半農半漁というような地帶相当あると思うのであります。漁業と農業と併せてやつておるという地帶相当あることと思いまするし、それからもう一つは海岸線にない所は、かような急傾斜地農業をやつているような地帶でありまするから、大体は山村に当然これはなるわけであります。そうなつて参りますると、折角の振興計画が單に農業の見地からのみ果して適正な計画が立てられるかと、或いはこの振興計画の実際の目的が達成できまするかどうか、多少の疑問があるのではないだろうか。特に四国等ではかような耕地が足らない関係で、或いは開墾をしてはいけないような不適当な未墾地まで開墾をして問題を起しておるような地帶相当あるようでございます。従つて、單に農地の保全改良、或いは農業技術の改良、農業経営の合理化ということだけでは、立地的に見て総合性に欠けるのではないだろうか。恐らく山林の関係と当然これは総合して見て参りませんと、非常な問題が起きやせんだろうか。或いは山村でありまするから、農業だけでは到底これはやつて参れませんから、或いは炭を燒きまするとか、そういうような林業と併せてやつて初めて生活も維持できておると思うのでありまして、漁村とも関係がありましようし、それからもう一つは今言つた山村形態と言いまするか、林業経営との関係を見て行かないと、極めて局部的な私は計画ではないだろうかという実は感じがいたすのでありまして、特に愛媛県等は未墾地の買收で、相当実はこういう段々畠のある地域においてそういう問題が得て起つておるようでありまして、やはり林業と農業、或いは農業と漁業との総合的にこれは見て行かんと折角のこの計画が達成できないのではないかというような実は心配をいたすわけでありますが、これは私はどうもそういう感じがいたすわけでありまして、或いは更に言えば、農林業以外の見地からすれば、私どもも全部見たわけではございませんが、例えば学校をどこに建てるか、或いは学校に通う学童の通学の問題等も非常に私は大きな問題ではないかと思いまするが、そこまでは行かんにしても、経済的な計画としても、農業だけの観点からすることはどうも立地條件からして一部のものしかできないのではないかというような感じを持ちまするが、それにつきまして、提案者のお考え一つお伺いしたいと思います。
  31. 藥師神岩太郎

    衆議院議員藥師神岩太郎君) 只今の片柳さんの御意見、むしろ御質疑よりも御意見として拜聽した点が多いわけでありまするが、私もそういう点については大部分同感でございます。これらの急傾斜地帶はお説のごとく山間地にもあるのでありますが、大体海岸地帶に多いのでありまして、中国、四国、和歌山県或いは靜岡県というふうに分布状態がなつておりますが、これはまあ昨日も沿岸漁業との関係で私の考えを申上げたのでありまするが、結局この山間部の急傾斜地帶はそれほど人口が稠密しておりませんけれども、海岸に面したところの急傾斜地帶は特に人口が稠密いたしておるわけであります。この点は発生起源はわかりませんけれども、漁業が先で、そうして農業という問題は食糧需給の面から起る問題ではないかという私は意見を申述べたわけでありますが、とにかくこの地帶における農家の経済生活を現在よりもレベルを引上げるという、いわゆる生活の改善をし、これを供給するという建前から申しますれば、今の片柳さんのおつしやるような、單にこの急傾斜地の改良とか保全とかいう問題でなくして、水産或いは林業との総合的な計画を立てるということが当然であると、私もその点に同感の意を表するわけであります。ただ問題は、現地の実情を申上げまするというと、中国、四国などの急傾斜地帶の実情というものは、先ず海岸、島嶼部が多いのでありまして、そうしてその点においては先ず第一にこの飲料水に欠乏する一つの大きな生活上の脅威があるのであります。その飲料水に欠乏することは、山の標高が低いことと、それから山のてつぺんまで開墾されておる、つまり山が保護されていないという欠陥があるのでありまして、大体この急傾斜地帶においては森林と名付くべき地帶はないのであります。それで開墾の可能な範囲においてはもうてつぺんまで開墾するのでありまして、標高四百米以上にまで及んでおるのであります。これは單に愛媛県だけではありません。広島県においても岡山県においても、耕せるだけ殆んど岩盤を除いた以外というものは開墾をしておるのであります。特に私は総合的にこの地帶における農民と申しまするか、或いは漁民と申しまするか、半農半漁のこれらの環境に生活しておる人たちの生活を現在の苦境から打開するという根本方針をここに定めるためにはお説の通りだと思いまするが、先ず私たちはその一段階として数百年間殆んど宿命的な境涯に置かれたところのこの急傾斜地帶が最近において、昨日も申上げましたごとく、苛酷な供出制度或いは課税制度の下において何ら平坦地と区別のない取扱を受けておる。殊に又その地帶は米の生産を殆んどせんのでありますから、漸く今度配給になつて米が一日多いのが一人当り一合、大体六勺、七勺という配給に甘んじてその上に麦や「いも」までも苛酷な供出によつてその村において食糧の自給ができないというような大変な問題までも起きたわけであります。それは結局一農家当りの作付反別というものが、昨日も農林当局から御説明がございましたように、愛媛県など四反六畝、僅かに四反内外の土地に依存しておるのでありますから、この点は今日総合的に考えれば、一番に切実に考えられることは漁業との関係が一番密接不可分の関係にあると思うのであります。併しこの点は、第四條の公聽会において漁業或いは林業とのかみ合せ、調整というものができるという趣旨になつておるのでありますが、現実の問題といたしましては、先ず私たちの希望は、これまで一般から殆んど継子扱いに会つていたこの地帶をどうしても特殊な立法によつて打開するということが先ず一歩前進する近道だと、こういうふうに考えたわけでありまして雪積寒冷地帶の立法に一面刺戟せられた面もあるのでありますが、私は理論的根拠としては、早場米地帶とか或いは單作地帶とかいう地帶の保護をするという建前から考えてみますると、これも結構な法律ではございますが、これまでの農地改良というものが急傾斜地帶には殆んど及んでいなかつた過去の現状から見まするときにおいて、この地帶における農民としては当然の国家に対して要求する権利を持つておると、かようにさえも私たちは考えておるわけでありまして、この地帶農民の生活をより以上レベルを引上げるという点につきましては、重ねて申上げますというと、片柳さんの御意見をそのまま私たちは呑んでよろしいわけでありますが、ただ一つの大きな一要素としての一段階を一歩前進するためにこの法案を我々提出した次第でございます。その点を御了承願いたいと思います。
  32. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 提案者にお伺いしたいと思いますが、先ず以てこういう法律を御提案になりましたことを感謝いたします。それでここに掲げております農業振興計画内容でございますが、私はよく知つているのですから……。そこでその場所を知らんとか、或いは今提案者お話では漁村と農村の人口の密度の話をされましたが、私は逆であります。それでありますから、これはなかなか一朝一夕には言えんと思うのでありますが、どういう仕事を今おやりになつて頂くつもりで一、二、三、四というものをお挙げになつたか、四はよくわかりますが、一番大事なのは二の点、一、二だと思います。非常にむずかしい問題であると思うのですが、提案者の今描いておりますこれらに対する事業内容を一応お聞かせ願いたいと思います。
  33. 藥師神岩太郎

    衆議院議員藥師神岩太郎君) この十條の振興計画についてのお尋ねであつりますが、大体項目を四まで挙げておりまするが、併しこれは必ずしもこの四項目を同時に実施するという意味ではないのでありまして、その地域の実情に適当したような施設を随時講ずるという意味なのでございます。それで大体これをむずかしいことを言わないで率直に申上げてみまするというと、この法案にも明示してありまするように、この急傾斜地帶は非常に平地部に比して労働力を要するのでありますから、生産率というものが非常に低いということが一つの特徴であります。それから非常に傾斜度がきついために家畜が使えない、牛馬が殆んど償えない。無論車も使えない。従つて人力によつて肥料も農耕資材も或いは收穫物も運搬しなくてはならない環境にありますから、非常に労働が過重に陷るのでありますが、これは必至性を持つているわけであります。この問題と、もう一つは今のエロージヨンの問題でございまして、急傾斜であつて、俗に言う内畦畔でありますが、俗に我々のほうでは岸と呼んでおりまするが、これをつまり石のたくさんある所は丹念に石積みをしている所もあります。我々のほうでやるというと、大体反当十万円くらいかかるのでありますが、これも石のない所ではなかなかあすこまで運んでやれないのでありますが、これをこつこつ雨の降るときとか雪の降るときにやつて、丹念に雛段のように石積みをしているところは表土の流亡を防ぐことができるのでありますが、單に草道というような、草が生えているような自然のままの畦畔を持つている所はどうしても耕す面が非常に傾斜を持つておりますので、雨のたびに表土は流亡してしまつて、この急傾斜の一番の特徴というものは、一つの耕地が仮に一間幅があるとすれば、岸の端のほうは、いわゆる畦畔の端のほうは鍬を打ち込んでも、二鍬でも深いけれども、つまり岸の所に行くというと、まるで十センチもないというような、鍬も立たないような状態になつているのが、これが工ロージヨンの一番の現象の顕著なことであります。これが急傾斜地帶における大きな現象であります。これを繰返しているのでありまするから、第一の農地の保全及び改良という問題の中心をなすものはやはりエロージヨン防止、現在まあモデル地区を設けていろいろやつております。排水溝の整備とか或いは畦畔の整備とかいうことをやつて非常なるよい実績を挙げておるのでありますが、そういうものも今までもモデル地帶でありますけれども、この法案通り予算を獲得することができますれば、これを現在の状態をもつと拡充して本格的にこの事業を続けて行きたい、かように考えておるわけであります。  それから第二に謳つてありまする道路の整備或いは重労働の軽減のためには簡易な索道を作るとか、こういう問題が考えられておるわけでありまして、これらについてはその地域々々或いは土壌の性質によつて施設はいろいろ考えられるのでありますが、とにかくにも今の過重に陷る労働をその設備によつてできるだけ緩和して行く、そうして一方において生産力というものを高めるというのがこの法案の骨子をなすものであります。  なおこの三、四におきましては、これは一般法の中にもあるわけでありまして、特にここに特別に取上げなければならんというほどのものは持つておりませんが、これも具体的に申しますると、我々のほうの例を申しますと、甘藷地帶でありますが、工業用甘藷のごときはもう收穫のときに下へ下すということはなかなか困難でありますから、現地で処理する、或いは現地で仮貯蔵をしてやるというようなことが現在盛んに行われておるのでありまして、これを牧穫時に全部家屋の中に收容するなどということは全然できんのでありますから、前に農林省考えられましたキユアリング設備のごときも私たちは根本的に反対したのでありますが、仮にああいう設備ができましても、その一村の生産した甘藷を一所に寄せるなどということは、あらゆる点から言つてできないのでありまして、現地処理をしなければならないような問題が幾多あるのでありますが、そういう問題を考えてこの三、四の問題を謳つているわけでありまして、これは直ちに是非やらなければならんという問題ではございません。先ずこの法案の狙いどころは第一、第二に重点があるということを御承知願いたいと思うわけであります。  なお昨日の三浦さんの御質疑の中に果樹園地帶も含んでいるのかという御質疑がありまして、この問題は各関係県の事務当局の折衝の間においてはいろいろな議論が出たということでありまして、私もその点を小耳にはさんで言つたので、つい自分が錯覚をいたしまして、昨日はこれを対象としていないという御答弁を申上げたのでありますが、これは私の全く誤まりでありまして、果樹園を除外していないのでありますから、その点をこの際に訂正をいたしておきたいと思います。
  34. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 薬師神さんは愛媛県の御出身であるようでありますから、日本の代表的な段々畠で、よく御承知になつてつて、非常に結構でございますが、これは口で言うのは簡單でありますが、非常に面倒な仕事だと思うのです。そこで片柳委員から今、林業と関連があり、いろいろなものと関連があるというお話をされておりましたが、全く、先ほど憲法まで私申上げたのですが、同じ日本人として見るに忍びない状態に置かれております。これを助けるのには非常な金がかかると思います。私は客土も土地改良の面で非常にいいと思つております。それはなぜかと申しますと、私のほうは段々畠で、一畝の畠に石垣の面積が二畝もあるというようなのがたくさんございます。これはもうやりようがない、何年掘つてもそこにある土しかないのでございますから、そこに客土をすることは非常に増産面でいいと思うのですが、ここに書いてあるので一番面倒なのは、過重の労力の軽減でございます。これはいろいろやりようもありましようが、困つたことには面積が非常に狭いものですから、それに過軍労力を軽限するような処置をする、先ほどお話がありましたように車の行かん所へ車を通すということをしますと、畠は減つて参りまして、結局非常な困難になる。道路を作る所に当つた人は非常に文句を言う。道路のよくなる所にうまく当つた人は結構でありましようが、そうはいかん。私のほうでは石垣を外に出して、その石垣を上つてつて上に行く、こういうことをやつております。私は裸になつて見ますると、ここに大きな瘤があります。何でもありません。非常に人に負けない労働をして、段々畠で若いときに非常に働いた遺物でございます。そこでそれだけやつておるのですから、私この間二十八年振りに行つて泣いて来ました。そこで何らかの方法がないかと思つてそのことを言つておりましたら、この法律が出ましたが、これは非常に困難だと思います。それで問題は予算でありますが、予算を初年度以後五年でありますから、そう待つてつたのではいけません。なんぼ一体お取りになろうという計画でおやりになつておりますか。藥師神さんのようなおかたは單なる人気取りではないと思います。実際にやろうとお考えになつておると思いますが、どれくらいの予算をお取りになるつもりか、一応お聞きしたいと思います。
  35. 藥師神岩太郎

    衆議院議員藥師神岩太郎君) 岡村さんの御質問の、予算幾ら取るかという問題については、見込みの問題でありますが、これはここで数子を申上げることもどうかと思うのでありますし、なお又これはまだ基礎的の資料というものが本当につかむことができんのでありまして、予算に対しても先ず大体これは本当の腰だめであつて、目標が立ちにくいのであります。事務当局のほうではこの間衆議院では七十億くらいな説明をされたのでありますが、私たち提案者立場から申しますると、七十億や百億ではもの足りんのであります。大体私たちは二百億くらいと踏んでおるわけであります。これもどこに基準を働いたかと問われますと、ちよつと答弁に苦しむわけでありますけれども積雪寒冷地帶を対象として申しますると、甚だ当り障りができて来るかもわかりませんけれども、この例に対して本年度四十何億、昨年も二十億出しておるという例から見まして、これに理論的裏付をしましても、十分この急傾斜地帶相当額の予算を裏付けすることは決して無理はないと、かように考えております。  なお野田建設大臣のごときは、予算を伴う議員立法をむやみに出すというと、或いは予算の編成権を侵害するような意見がこの間新聞に出ておつたのでありますけれども、私どもはこれは根本的に反対でありまして、予算の編成は政府でやつておりますけれども、これに決定を與えるものは議会が握つておるのであります。議会でこれを承認しなくちやこれは執行に移すことはできんのでありますから、議員提出の立法にしろ、政府が出した立法にしろ、議会で決議をすれば同じであります。議員提出であつても議会で承認をすれば、当然政府はこれに対する予算措置を講ずる責任が生じて来るのであつて、憲法上から言つても私は予算編成権の侵害とは私たちは毛頭思つておらないわけであります。そこで今言う通り、事務当局の考えておられる点をあながち無理とは考えませんが、私はこの点は何も水増しを言うのではないのでありまして、私提案者考えとしては、私ばかりじやない、大体そういう目標を以て将来大蔵当局にも折衝をして予算措置を講じたい。こういう考えを持つておりますので、この点は皆様がたにおかれましても、いずれはこれは関係地帶の議員を以て衆議院、参議院の議員を以て議員連盟を推進団体として作りたい、こういう意見も持つておるわけでありますから、どうか皆様がたの御協力を切にお願いを申上げる次第であります。
  36. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ちよつと今の薬師神さんの御発言のうち、野田建設大臣の、議員立法がときによると予算の編成権を侵害するものではないかということに関連して御発言がありましたが、先ほど来当委員会でいろいろ論議しておる予算の裏付という問題は、只今の御発言と野田大臣の言うことと大分違うのであります。野田大臣の言うのは、議員立法がどんどん出て行くというと、予算がすでに先に確定されておる際には、非常にそれと牴触する場合、或いは予算編成権の侵害というようなことを言われたのですが、当委員会予算の裏付のない法律は好ましくないと言つているのは、法律は通つた予算が伴つておらないということは意味がないということで、通る法律についてはでき得る限り予算措置をしよう、或いは政府をそのために督励しようという見地からの発言でありますから、そこは誤解のないようにお願いいたします。
  37. 藥師神岩太郎

    衆議院議員藥師神岩太郎君) それはよくわかります。
  38. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 提案者お話もよくわかりますが、実は今まで大蔵省に当つてみますると、議員立法を出しやがつて予算考えないで知らんよ、ということがあるのです。これはいかんことなんで、我々は議決権があるから何でもできることになつておりますが、なかなかどつこいそうは行かない。今度のこの予算というものは腰だめだというお話をされて、七十億、百億と言つておられるようですが、細民は泣いております。そこで計画を立てると言われましても、これはなかなか簡單計画の立つようなものじやないと思います。と申上げますことは、非常に広い。そこで場所の惡い非常に面積の狭いほど金がかかります。一番簡單に行きます所は、先ほどお話がございましたが、部落があつて用水がない、これはそう面倒でなくてやれると思います。それも労力の軽減の一つであります。私の生れた部落などは行つて見ますと、私の兄弟の家で六丈五尺の吸上げポンプをやつております。ところが、下手なことをやつたもので、とても出なくなつて、兄弟の嫁が三町水を担いでおります。それを平気でやつております。これは容易なことじやありません。我々が見ると、何で人間に生れて来てそういう馬鹿な所にいるかと思いますが、そうは行かん。ところでそういうことは簡單に見られますが、常の仕事の労力の軽減というものは相当金がかかります。そこで問題は、私はこれとからんで、段々畠の地帶におります農家のかたの現在愛媛県の四反なんぼというお話がございましたが、この面積を多くしてやる。そこで現在の農家のかたを干拓なり或いはその他の処置によつて行き場所をこしらえて人を減すという策も当然なくてはならんと思います。私は郷里へ帰りまして、断然行き詰りを生じておるので、高知県は吉田総理を出し、林議長を出しておつても、何だこの恰好はこういうことを言つて参りましたが、これは今までを言つてもしようがないので、これからのことでありましようが、そういうわけで、決して高知ばかりじやございません。吉野川の徳島の附近、或いは愛媛県から越えて参りまして私のほうに参りました仁淀川の附近、あの絶壁を見ますと、殆んど人間味はないのでありますが、これを解決つけてもらうという案でありますから、双手を挙げて賛成をし、御協力を願いたいと思いますが、そこで問題はやつばり予算です。法律を先に通しますと非常に横着になる。今は殆んど私物化しております予算というやつは。そこで法律が通つておるものですから、なかなか横着なものです。予算をきめれば通す、こう出て行きますと、無理やりに予算をきめて通すものですから、やる人も努力いたしますから……、予算は最初が大事であります。これは通さんとか通すとか申しませんが、そういう方針で我々は今まで来ております。これは委員長お話通りであります。これは法律を通してやつても取れます。全然取れんとは私は申上げませんが、それは非常に弱い。それでできればやるという形でなくて、この法律を通しますると、百億や百五十億の予算でおやりになるということなら、愛媛県はよくなりましようが、あとの所はよくならん。恨みを買うことは当然であります。そこを今から私は言うておきます。私は高知県で育つたものでありまするし、よく郷里に帰郷いたしますが、そういう恨みを買うというような法律は余り感心しません。情ないことには、高知の議員もおりますが、そういうつもりでやつておる人もあるかも知れませんが、まだ見受けません。そういうわけですから、これはしつかりしてやつてもらいませんと、私も全国区で出ておりますが、この間も高知の知事が参りまして、そうしていろいろ打合せをやつておりますが、生れ故郷だからできるだけの努力をしようと思いますが、七十億や百億の予算でこれを五カ年にやろうなんというような甘いお考えでは、段々畠の百姓が助かるとか或いは生活の保全ができるとかいうことは、全然ないとは申上げませんが、まだまだ域遠い話になると思いまするから、本当に急斜面地帶におる百姓が暮し易くなり、普通の日本の国民の百姓としてやつて行かれるだけにやる自信があるのならば、さつさとこれは通してよいと思います。そこで本当にその腹をお聞きせんと、ただ單なる人気取りや愛媛県が一番多いからそれでやるというようなお考えなら、却つて弊害を伴つて、非常に或る一部の人はいいとは言いますものの、それはよくないと思います。こつちに参りましても、長野県は寒冷地帶の中に入つております。これ又行つて見ると、誠に惡い所、というと語弊がありますが、ひどい所で、段々畠が非常にありますが、これは私どもや愛媛県の段々畠とは違います。違いますが、段々畠には変りはございません。善光り寺さんの裏を起して、行つて見まするとこれはどうもひどい所です。ですから、そういう所も入れてやつぱり段々畠は整理せなければならんと思います。あれは雪寒地帶に入つておるからのけたのだというわけには行かんと思います。そういうわけで、本当におやりになるのなら、雪寒の法律とは違います、雪寒の法律はほかに全然やる方法がないとは申上げません。併しながらそれではいかんというので御協力を願つてつておりますが、段々畠のやつはそれとは全然趣きが違います。そんな土地改良くらいで解決つくことでありませんので、あの段々畠の百姓を真に裕福に暮すようにしてやろうという尊い御意思で御提案になつておると思いますから、十分な御決意で、今申上げますような、そんな八千億の予算のうちの七十億や百億、そんなことで引下がるようなら、こいつは御免蒙りたいと思います。その十分な御決意を伺いたいと思います。
  39. 藥師神岩太郎

    衆議院議員藥師神岩太郎君) この問題は、先ほど委員長からも御注意があつたのでありますが、私の気持はそいうような気持で申したのではないのでありまして、これは議員立法として最初から仮に百億にしろ二百億にしろ予算をつかまえて法律案を提出するということは、あらゆる情勢から見て困難性があると思うのであります。それは昨日来も申上げましたごとく、いろいろ大蔵当局にも提案者のほうでは折衝をして、そうして相当な理解を持つてもらつて認識を深めてもらつたということは事実でありまするけれども、それじや幾ら出してやろうということはこれは言えるわけでもありませんし、又この非公式にそういう話が仮に座談で出ましたところで、これは公式の問題ではないのでありますから、この問題はこの法案にかかわりませず、予算の伴う議員立法としては何らか隔靴掻痒の感はありまするが、その点は十分に岡村さんにおいてもむしろ私たちの立場に御同情を頂きたいと、かように思うわけであります。従いまして先ほど申しましたごとく、この法案は何も私は伊達や道楽でやつておるのではないのでありまして、私が二十四年の初頭に衆議院農林委員会の理事をしておりますときには、この問題を取上げたのであります。そうして委員長その他の派遣を願つたのでありますが、約束して置いてすつぽかされるし、それから学界からの派遣、農林省からの関係官の派遣、或いはGHQからの派遣というふうに順次現地の調査をしてもらつて、そうしてこの認識というものが非常に高くなつて来て、漸くにしてまあ今日こういう法案が陽の目を見るような段階にまで来たわけであります。なお率直に申上げますれば、なおこの法律にもまだ不備な点があるかとも存じまするし、いろいろ近き将来に又皆様の御意見を十分参酌いたしまして改正をしなければならん時期もあるかと考えておりますが、何分にも将来におきまして、この予算の獲得をして、これら恵まれざる地帶農民を国救するという問題は実に大きな問題でありますから、一時的にはやれませんが、まあ臨時立法になつて五年の期限しかありませんが、場合によれば、又事情によればこれを向うへ延ばすこともできるかと思つております。これは先ほども申上げましたごとく、関係県の議員連盟を作りまして、そうしてこの審議会内に一つの機関を中心とした、議会を中心とした推進団体を作つて、そうして政府当局を鞭撻する、こういう組織に出たいと思いますから、どうか一つ御協力をこの上ともお願い申上ける次第であります。
  40. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 私は今までこの法案のあり方だとか、或いは将来の実行の問題だとかいうような非常に大きい見地からの御説を承わつてつたわけでありますが、そういう御説を承わりながらここで考えることは、やはり私はこういう法案ができて、そしてこの法案が実施に移されるという問題が一等大事じやないかと思うのでございます。その実施に移されるという点はどういうところにあるかというと、結局この政令というものの内容、又この政令が出るまでのいろいろな資料じやないかと思うのです。それから又この第十條にありますところの事業計画に一体どういうものが盛られて来るか、第一農地の保全及び改良に関する事項、こういうふうにありますけれども、これは全く具体的なように見えておつて実際に仕事をする面になりますというと、これでは仕事がかなり抽象的になつてしまうのではないか、そういつた具体的な問題がこの法案の実施に際しては大事な問題になつて来るのじやないか。私どもこの法案は先ほどからもう皆さんから強いいろいろな御要望があり、又提案者から経過やその趣旨の弁明がありましてよくわかつておりますけれども、私どもが最も考えなければならんものはその具体的な実施じやないかと、まあこういうふうに私考えるものなのでございますので、昨日来承わつておりますというと、議員立法という形をとつたためかも知れませんけれども、まだ政令案もはつきりできておらない。それから又この事業計画の詳しい御計画、御説明も実は承わつておらないわけなんです。で私はそこで以てまだ資料が不十分だというような御説明もありましたから、余り詳しいことをここでお聞きしようとは思つておりません。ただここで大体においてこの農業生産の基礎條件を速かに且つ総合的に整備する。これが、こういう方向は全くこの通りの方向でございまして、従来とられておる土地改良なんかが中心になるような気が私するのでございます。それでそういつた気がいたします私の気持をもう少し具体的に表現すれば、従来農林省或いは府県あたりが指導されておるその範疇の事業か、具体的なものかどうかということを承わりたいと思います。これは提案者でも農林省当局でも結構です。
  41. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それから今の宮本さんのお尋ねが非常に具体的になつて来たのですが、それのお答えを願うと共に、これも先ほど岡村さんのお尋ねに関係があると思いますが、第十條の第二号の過重なる労働の軽減というようなことを具体的に考える場合に、私この前九州へ行つて来て見て感じたのですが、簡易索道なんかが非常に大きな役割を果すと思うのです。そういう場合に、今の農林漁業資金融通法で行くと、農業用施設に限定されりるわけですが、将来範囲を拡大してそういう方面にも融資の適用が得られることもお考えになつておるかどうか。そういうような点も今の宮本さんのお尋ねと併せて一つお答えを願いたいと思います。
  42. 堀直治

    説明員(堀直治君) この法律の十條の振興計画内容でございますが、この点につきましては、従来施行されております土地改良その他で考られております仕事は全部包含しているわけであります。ただそういつた場合に、それが補助の対象としてどの程度取上げられるかということは、今後の予算折衝その他を待たないとはつきりいたしません。例えば先ほど委員長からお話のありました索道のようなものもこれを補助として取上げ得るようになることが私どもとしては希望するところでございますが、或いは補助としてはできないで、資金に譲らなければならんというような、個々の問題のいずれかでとるかということにつきまして、今後できるだけ提案者の御趣旨に副つて努力をして行きたい、こういうふうに考えております。
  43. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 大体今のお話でよくわかつたのでありますが、ただ私はここで一つ申上げておきたいと思うことは、これは或いはわかつておることなんでございますけれども、この法案の骨子とするところは、やはり先ほど提案者から御説明ありましたように、積雪寒冷地帶法案は全く経済的な或いは農村救済的な趣旨から出ておる、この法案は同じそういう趣旨から出ておつても、その原因がもつと何と言いますか、技術的な根拠からこれが出ているのだ、こういうような提案者の御説明があつたのですが、私はその点に非常に共鳴するものでございます。従来私も長いことこういう事業に携わつてつた者でございますが、どうも従来の農林省の一切の指導方針というものが、非常にこれはいろいろな企画を作るために止むを得なかつたと思うのでございますが、面積とか或いはそういつた比較的平面的な考え方のものが中心になつて補助要項やそういうものがきめられて来たような気がするのでございます。ところが、今回のこの法律案提案者が説明されたように、そういつた平面的な扱いによつて救済されなかつたところの、本当に特殊な技術的な自然條件を持つておる、そういつたものを救済するというような、盲点をともかく救済して行く、その盲点が大きいのだというような、何と言いますか、非常に細かく入つてつた親切な私は法律案じやないかと思うのでございます。これに対してこういう細かい法律案がかずかず出て来るということに対して、もう少し大きな政治的な観点から考えなければならんというような意見が三浦委員なんかから出たのですが、その問題もありますけれども、私はこの法案そのものが一つの進歩的な行き方をとつておるということだけは非常に共鳴するのでございます。従いまして、この進歩的なこの在り方をくずさないで、はつきり施行の面で以て活かして頂くというように私は希望するものでございます。  そこでもう一つ附加えまして申上げたいと思うことは、薬師神さんはどちらかと言いますと、まあ愛媛県というような畑地帶の急傾斜地帶に非常にお詳しいのでございます。私はまあ大体全国をこう見て歩いて見ますと、場所によりましては、必ずしも畑地帶ばかりでないというところが相当あるのでございます。まあどちらかといいますと、この高根県又は高知県にも一部分そういう所がありますけれども、非常な急傾斜地帶で以て而も苦労して水田をやつておる、こういう所は常習早魃地である、その早魃のために非常に何と言いますか、耕地保護がむずかしくて、そうして用水の問題にしろ排水の問題にしろ非常に苦労をしておる、まあそういつたいろいろな條件が恐らく急傾斜地帶にはあるのじやないかと思うのです。それで私は恐らく提案者はそういうことを御理解下さつておると思うのですが、農林当局におかれて、省令或いはその他の要綱等において決定されるときに、この第一條の「農業生産の基礎條件をすみやかに総合的に整備し」、というこの文句に一つ忠実にやつて頂くことを希望しまして、私の発言を終りたいと思います。
  44. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 四時に本会議という話でありますが、正確に始まるかどうか知れませんが、その辺お含みの上で御進行願います。
  45. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 ちよつと提案者にお尋ねをいたしますが、実は大蔵大臣に来て頂いて、そうして大臣自身に確かめて予算を出す、こういう実は言質を取りたくてやつてつたですが、衆議院のほうで大蔵大臣を呼んで、そうしてその言質をとつたかどうか一つ
  46. 藥師神岩太郎

    衆議院議員藥師神岩太郎君) 衆議院のほうでは大蔵当局は呼ばなかつたのですが、それで丁度参議院のほうでも、昨日池田委員からお話がありまして、それで提案者のほうで大蔵当局をもつと強く折衝して、ここに予算措置の線をはつきり出すというお話であつたのですが、どうも我々議員立法としては内輪話はいろいろ話すのでありますけれども、公の席上で言質を取るということは先ほど申上げましたようにできんのであります。むしろこの委員会で大蔵当局を呼んでもらつて、ここで言質を取つてもらつたほうが妥当ではないかといい意見を申上げて、今日河野主計局長出席を煩わすことになつたのでありますから、どうぞその点御了承願いたい。
  47. 山崎恒

    ○山崎恒君 時間もありませんが、今までの各委員の意見では、こうした法律は我が国の農業にとりましてむしろ出ることが遅きに失するのでありまして、当然この平坦地農業経営より、それ以上にこうした急傾斜地農業の問題は坂上げなければならん問題であつたと思うのですが、今漸くにしてこの議員立法としてこうした問題が出たのでありますが、先ほど来からの意見で、その問題についてはもう不賛成を唱えるかたはないと思うのですが、要はこの予算の問題だと思う。そこで今岡村さんも話されましたように、大臣の言質を一応取つておくことが必要であろうというような、これは至極我々同感でありまするが、この前の積雪寒冷地帶立法の問題等も思い合せまして、まだこの問題については農林大臣の御出席も求めていないのでありますので、今日は議員も少いので本日採択するわけに行かんと思いますので、農林大臣も当委員会に出て頂きまして、一応農林大臣からしつかりした答弁を受けておくことが必要じやないかとかように思いますので、一応その点を申添えておきたいと思います。
  48. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今山崎委員からの御発言の農林大臣出席につきましては、できれば明日出席してもらえるように手配いたします。本日も大蔵大臣をと思いましたが、種々の都合で河野主計局長なつたわけでありますが、明日は大体御質問はすでに一応盡きたと思いますので、今お話の点が重要な点だと思いますから、その点に関して農林大臣出席を求めて、大臣自身がやはり大蔵省へ十分な折衝を行う決意を一つ固めてもらうようにしたいと思います。
  49. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 今日は大蔵大臣は御都合でお出でにならなくて局長にお出でを願つたのですが、成るほど提案者のおつしやるように、衆議院ではどうも余り提案者には工合が惡いと思いますが、そこでここで代つて一応確かめるために大蔵大臣にも来てもらいたいということを一つ要求してもらいたいと思う。
  50. 羽生三七

    委員長羽生三七君) そういう手配をいたします。  それではそういう手配をいたしまして、できれば明日そのあと採決するところまで持つて行きたと思いますので、御了承願いたいと思います。なお主要農作物種子法案につきましても、でき得べくんば明日採決したいと思いますので、お含みをお願いいたします。本日はこの程度で散会いたします。    午後四時一分散会