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1952-03-28 第13回国会 参議院 農林委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十八日(金曜日)    午後一時三十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            加賀  操君            山崎  恒君            岡村文四郎君    委員            瀧井治三郎君            宮本 邦彦君            飯島連次郎君            片柳 眞吉君            島村 軍次君            三橋八次郎君            松永 義雄君   衆議院議員            坂本  實君   政府委員    農林政務次官  野原 正勝君   事務局側    常任委員会專門    員       安樂城敏男君    常任委員会專門    員       中田 吉雄君   説明員    農林省農地局建    設部災害復旧課    長       堀  直治君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○急傾斜地帶農業振興臨時措置法案  (内閣送付) ○農林水産業施設災害復旧事業費国庫  補助暫定措置に関する法律の一部  を改正する法律案衆議院提出) ○ポツダム宣言受諾に伴い発する命  令に関する件に基く農林関係命令  の措置に関する法律案内閣提出、  衆議院送付)   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。  最初に御報告を兼ねて御相談したいのでありますが、只今委員会付託になつております法律案は大体次のものでありまして、一つポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く農林関係命令措置に関する法律案、二は農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案、三は森林法等の一部を改正する法律案、四は農地法案、五は農地法施行法案、六が農業災害補償法の一部を改正する法律案、七が急傾斜地帶農業振興臨時措置法案であります。このうちポツダム宣言に関する法律案農林水産業施設災害復旧事業費関係法律案が若し本日採決の運びとなりますれば、その他の法律案はこれを後日に讓つて、できれば来週は原則として委員会を開かないことになるかとも存ずるのであります。(「賛成」と呼ぶ者あり)なお急に委員会を開くことがある場合にはあらかじめ御通知をいたしまして御連絡することにいたします。  なほ農地法案審議に関連してかねて本委員会において問題となつております農地又は開拓地連合軍又は警察予備隊による接收又は使用に関する問題について、関係大臣出席を求めて処理いたして参りたいと存じますので、御研究おきをお願いするわけであります。  なおポツダム宣言関係法律案は、この前他の委員会との見合いにおいて採決するように御了承願つておいたわけでありますが、他の委員会においても漸次採決せられておりますので、できれば本日採決を行いたいと考えるわけであります。本日はこのポツダム関係法律案と、それから農林水産業施設災害復旧事業費関係審議いたしまして、続いて予備付託になりました急傾斜地帶農業振興臨時措置法案提案理由を聞くことにいたします。  なお日程の順序をちよつと変更いたしますが急傾斜地帶農業振興臨時措置法案衆議院坂本實君ほか四十六名の提案にかかるものでありますが、本案について提案者から提案理由説明を求めることにいたします。
  3. 坂本實

    衆議院議員坂本實君) 只今議題と相成りました坂本實ほか四十六名提出傾斜地帶農業振興臨時措置法案に関しまして、提案理由を御説明申上げます。  御承知のごとく、急傾斜農地は、わが国の地形が急峻であることの必然の結果といたしまして、全国到る所に分布しておるのであります。すなわち、これを畑面積についてみまするとその約四五%、西日本におきましてはその八〇%強が傾斜農地であり、而もそのうちの少からざる部分が急傾斜農地に属するのであります。  従いまして、これら急傾斜地帶農業は、極めて劣惡條件下生産を続けておりますにもかかわらず、今日まで平坦地農業に伍して食糧その他の農産物の生産に貢献して参つているのであり、これらの急傾斜地農業生産を無視しては、畑作農業を語りまた食糧自給度向上を云為することはできないと思うのであります。  而して、過去現在を通じましてこれらの特殊な環境に包まれる地帶農業について、国が一定の体系の下に特別の施策を講じたという例は絶無でありまして、いわば農業行政の盲点とも申すべく、我が国農業の特質に鑑みまして甚だ遺憾とする次第であります。  講和條約の発効に伴いまして、食糧自給度向上独立達成上喫緊の要務として喧伝され、又農業経営の安定と農民生活の安定は、農村民主化の最大の課題といたされておりまする等の事実に鑑みこれらの特殊環境下農業をしてその生産基盤の整備と苛烈な労働條件の緩和とを図ることと相成りまするならば、これらの地域農民は喜んでその天職に精進することとなり、農業生産力向上はもとより、民心の安定にも役立ちうるものと確信いたす次第であります。  これらの問題の解決に資しまするために、ここに、本法律案提出いたした次第でありまするが、以下その内容の主なる点について申述べることといたします。  第一條は本法律案目的を規定いたしております。即ち急傾斜地帶における農業生産基礎條件を速かに且つ総合的に整備して農業生産力を高め、経営の安定と農民生活改善を図ることがこれであります。  第二條は、急傾斜地帶定義を規定し、この法律で「急傾斜地帶」とは、土地傾斜度及び土壞侵触度政令で定める基準以上であつて、且つ、過重な労働を必要とする農地が集団的に存在する地帶である、としております。  第三條から第九條、第十二條から第十五條の各條は、「積雪寒冷單作地帶振興臨時措置法」に準拠し、第三條に急傾斜地帶の指定を、第四條、第五條、第六條に夫々市町村長都道府県知事農林大臣の定める農業振興計画を、第七條、第八條、第九條にそれぞれ定めた農業振興計画変更並びに事情変更原則適用せねばならない場合の計画変更を掲げております。  第十二條委任事項を、第十三條に全部事務組合及び役場事務組合の特例を、第十五條に急傾斜地帶農業振興対策審議会の組織を規定しておるのであります。  第十條は、本法の目的、並に急傾斜地帶定義に関連して、急傾斜地帶農業振興計画内容を規定いたしております。即ち同條第一号、同第二号においに急傾斜地帶における農業生産基礎條件を整備する事項を規定し、急傾斜地帶農業が具有する土地及び労働生産性低位の問題、地農侵触保全の問題、平坦地農業に比べ平均三倍以上の過重労働の軽減乃至平均化問題等、特有の生産阻害條件に対しまして、粗製畦畔改良農業用道路の開発、排水路承水溝土砂溜貯水槽等の設置、農業用索道架設等計画するようにいたしたのであります。同條第三号においては急傾斜農地適応農業技術改良農業経営合理化が積極的に計画できるようにいたし、同條第四号と併せて農民生活改善を期することができるよう規定しておるのであります。  以上簡單に御説明申上げましたが、御愼重御審議上速かに御可決あらんことを切望いたします。
  4. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 本案予備付託でもありますので審議を後日に讓ります。   —————————————
  5. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 次に農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案議題にいたします。先日提案者から提案理由を承わりましたが、なほ本日災害復旧課長からこの法案との関連で具体的な問題についての説明を聞くことにいたします。
  6. 堀直治

    説明員堀直治君) この法律案昭和二十五年法律第百六十九号で以て成立いたしております農林水産業施設災害復旧事業国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正しようというものでございまして、今までの法律おきましては、農地については五割、農業用施設については六割五分、林道については、奧地林道は六割五分、その他の林道は五割、農業施設につきましては六割五分というふうに、如何なる災害が起りましても一定の率で以て補助をいたしておつたわけでございますが、二十六年度のような大きな集中的な災害が起りました場合には、農家がなかなか経済負担に堪え得ないで速やかな災害復旧ができない、という場合には特に高率補助を要求するということで各方面からそういう要望がございましたのと、又一方国が行なつております土木災害おきましては、スライド制が用いられておりまして、被害の激甚な町村においてはその程度によつて補助率が高くなつておるというふうな仕組になつておるものとの均衡上の問題もあり、或る程度こういうように補助率を引上げたほうが農業の維持のためによかろうと思われますので、ここに案を作つたわけでございます。改正の要点となつております農地につきまして、農地及び農業用施設につきましては、或る一定限度、今私どもで考えておりますのは、被害を受けた農家一戸あたり農地及び農業用施設が八万円を超えた場合には、その超えた部分については九割又は八割の補助をしたいということでございます。林道につきましては、奧地林道については、一キロメーター当り單価が或る一定限度を超えました場合には、この奧地幹線林道については九割まで、その他林道については七割五分の補助金を出したい、このように考えております。漁業施設につきましては、組合の属する市町村のその年の標準税收入当該市町村戸数で除した額に、その組合員戸数を乘じて算出した率の六倍に相当する額を超えたときは、その超えた部分について九割の補助適用するということにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。只今申上げました基準につきましては、まだ政府部内におきまして決定はいたしておりませんけれども農林省といたしましてはそのような基準補助をしたい、このように考えておる次第であります。
  7. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 私は少し細か過ぎるかも知れませんが、せつかく災害復旧課長がお見えになつておりますから二三お尋ねし、現在の災害復旧取扱方について、又この法案関係する問題でもありますが、今後の方針等を承つておきたいと思います。  その第一点は、政令おきめになるわけですが、スライドアツプをするその基準がどういう基準で行つているか、そうして建設省辺りスライドアツプとの関係がどういう関係にあるか伺つておきたいと思います。
  8. 堀直治

    説明員堀直治君) 只今説明申上げましたように、この法律改正法案では政令基準をきめるということになつておりますが、その基準につきましてはまだ政府部内において完全な了解点には達しておりませんけれども、一応農林省おきましては、農地及び農業用施設については被害が一農家あたり八万円を超えた場合に適用したい、このように考えておる次第でございます。八万円の基準につきましては一応農家経済調査によりまして、これは二十五年度の経済調査基礎といたしたのでございますが、二十五年度の経済調査から見まして、この程度、八万円と申しますと平均六割二分くらいが国庫補助で、あとの残りが農家の実際の負担となるわけでございますが、その負担程度は先ず今の経済状態では耐えられるであろう、それ以上になるというとなかなかそれを返すには自分の食費その他を今以上に切り詰めなければできないということになりますので、これは非常に困難を伴うのではなかろうかということが一点。もう一点は大体農家負担というものが自家労力を以て負担にあてているのが通例でございますが、自家労力をあてると申しましても、災害を受けた場合のごときは自分の食う食糧もないとか、或いは家屋その他いろいろな農業生産資材が同時に被害を受けておりますので、そういう労力を全部ただで提供するということは困難であろう。大体災害を受けてから三カ年くらいに直すものとしても、一人一戸当りが百五十日程度しかただ働きはできないのではなかろうかというようなことから三万円程度がやはりその労力からみても限度であろう。こういう二つの点からこの八万円という基準を算定して出しておるわけでございます。林道及び漁港につきましても、今申しました農地農業用施設と同様な観点から一応基準を出しておるわけでございます。  なお土木災害との均衡関係でございますが、これは二十六年度に土木災害で何カ町村高率補助適用を受けたという調べでございますが、これはまだ実はまとまつておりませんので二十六年度の数字はわからないわけでございますが、二十五年度におきましては約千五百町村高率補助適用を受けております。今度の法律で二十六年度の農地及び農業用施設高率補助適用身受けますのは、今の八万円の基準で行きますと、これはまだはつきりした数字はわかりませんけれども大体今の調査では二百七十三カ町村が該当するのではなかろうかとこのように考えられております。このような点から見ましても公共施設土木災害農業災害は多少違うところもございますけれども、或る程度均衡がとれているのではなかろうか、このように考えます。今一応基準といたしましては先申上げたようなことを考えておる次第であります。
  9. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 農林省当局の御説明で大体八万円の線が災害農家といいますか災害を受けたところの農家の償還し得る限度だというふうに御説明があつて、非常に内輪に私計画が立てられているというふうに考えるものであります。御承知のように米麦統制撤廃の問題が一つの政治的な方向として方向付けられているわけなんですが、こういつた問題はやはり大きな問題であり国民食糧基礎をなすものであり自立経済の最も根本的な問題はそこから出発するのではないかと思うのでございます。そういつたときにこの災害耕地復旧、こういつたものが完全に行われ、そうしてその農家が更に増産方向に向つて行けるということが大事じやないかと思うのでございます。そういつたときに八万円の線が農家基準とした、復旧して償還のできる最低基準線だという御説明があつたのですが、最低基準線であればここに問題が残されているのじやないか。その問題は結局最低の線だから復旧の負債の残つている間は改良はできない。そういつた余裕は農家にはない。従つて増産方向にはそれ以上働けないのだという結論になるわけなんであります。なおこのほかに、大体災害地というものは年々災害が起り易いものでありますが、今までの過去の実績を見ますと、災害を受ける所は大体二年か三年おきぐらいに必ずと言つていいくらい災害を受けているのであります。そういつた所に一災害年度災害に対して八万円のベースで以て固定されるということになると、この八万円が御計画通りに行かないのじやないかということが懸念されるわけなのであります。それが一つ。  それからもう一つ、これは非常に細かいことで農林省当局に気の毒なわけなんでありますが、実は私災害復旧地復旧計画書、或いは災害復旧計画実情を知つているのですが、これを見ますと、農林省扱つておいでになる災害復旧事業費というものは非常にからいのです。そのからいということは従来の慣例であつて、従来農民災害復旧、或いは土地改良その他も同じでございますけれども、これに対しては、大体国ができるだけの援助をしてやるという、補助という形が設計書と或いは設計金額というようなものと理論的に一致していないのでございます。足りない部分はお前たち労力で補えというような設計書が多いのでございます。その慣例が今日なお災害復旧設計書あたりに残つておりまして請負の業者あたりに聞いてみますともう農林省災害復旧、或いは農林省土地改良事業はどうも單価が安くていつも足が出る、困るというような傾向があるのでございます。今日なおその傾向があります。そこに持つて参りまして私非常に不合理だと思うことは、農林漁業低利資金が、大体設計額に対して地元負担金の八割、この委員会でもしばしば説明がされてあるのですが、八割しか貸出をしたいという一つ原則があるのです。これは内規のようなもので相当強く実行されているのですが、災害復旧に対してこれをほかの土地改良事業と同じようにとられるということは、これは実際はこの八万円の線は農民の安定した最低の線ではない、農民を虐待している結果になるのだということになるのであります。私はそういう点があるわけでございますから、農林省としてはそういう点を考慮され、又私知つておりますけれども、私の知つているような事情を実は災害地関係から非常に要望が多くて、是非この八万円の線を五万円に引下げてくれ、そうでなければ自分たち災害復旧して、そうしてその復旧の跡地に立つて新らしい増産方向に向つて努力を続けるのに非常に困難だという陳情が非常に参つております。過日も衆議院委員会でも、そういう御決議がなされているようでございますが、私としてもこれに対しては強い希望を持つているわけなんです。農林省当局に対して事務的な折衝はともかくとして、私が今申しましたような農家の單なる復旧でなく同時に復旧しながら完成農家として増産方向にスタートするときに五万円の線のほうが適当かどうかということについて一つ御回答を得たいと思います。どういう御意見を持つているか。
  10. 堀直治

    説明員堀直治君) 私のほうで八万円という数字で一応計算いたしておりますのは只今説明申した通りでございますが、一面におきまして災害復旧費が年々相当増額いたしておりまして、而もこれに対する予算災害に追いつかないような現状にあるわけでございます。そういうようなときに高率補助によつて農民はまたまた復旧に要する経費増額いたして参りますと、なかなか災害復旧相当長年かかるということから、又実際問題として金が地方の農民まで行かないというような問題もあろうかと考えまして、一応八万円の線で計算いたしておるわけでございますが、過日衆議院におかれましても、政府が考えている八万円は高過ぎるからもう少し低く五万円程度補助の限界をきめるようにという御決議があつたわけでございまして、政府といたしましてはその御決議に副つてできるだけ今後努力して行きたいとこのように考えておる次第でございます。
  11. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 私は今災害復旧課長の言われた、最近災害が頻発してますます災害復旧費所要額が多くなつてくる。これは非常に国家財政上困難な事情に逢着しているという御説明を承つて、その事実はよく我々も知つております。けれどもこれは半面考えてみれば治山とか或いは戰時中の工事の疎漏とか、或いはそういつた予算の当然やらなければならなかつた関係事業を怠つたその結果が今来ているのではないかと私は思つております。従いましてこれは恒久的に長く災害復旧費が無制限に増額して行くものとは私は考えておりません。恐らく相当努力をすることによつてこの災害復旧額というものは減つて行くものじやないか。だから根本的にはさようなことを理由にして考えらるべきものでなくして、やはり農家経済というような基本的な線から常に考えらるべきものだということを私は考えておるわけなのです。ただ当面の事実問題として財政の都合でそういう御処置がとられるということならばこれは了承します。一応その点はこれで質問を打切りますが、極く簡單でございますが、今お話のありました政令にいう農家という農家は、私は農家という言葉をできるだけ基礎のある農家にとりたいと思うのです。漠然と農家というのではなく何か基準のある言葉だと私は思つているのですが、農地法で言われているあの農家という意味に解釈して差支ないかどうか。
  12. 堀直治

    説明員堀直治君) 決定でありませんので、農家定義政令定義するか或いは省令その他で定義するかきまつてはおりませんけれども、いずれにいたしましても耕作の業を営む農家ということになりますので第二種兼業農家という程度のものはこれに含めない方針で行きたいと思つております。
  13. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 只今宮本さんから御質問のあつたことと関連して若干重複するかも知れませんが、私も提案者並びに政府当局にお伺いいたしたいと思います。  その一つは、今回の改正によつて農地並びに農業用施設のみについて見ても、配付された資料によると約二十三億三千万円の補助金増額を必要とするということになつておりますが、この補助金増額分に対する予算的の措置はどうなつておりますか。
  14. 堀直治

    説明員堀直治君) 実はこの法律が遅れましたものですからはつきりした数字が出ておりませんので概算の予算しか組めなかつたわけでございますが、二十七年度におきましては決定いたしました予算のうちで約四億円程度をこの高率補助の分に廻す、それ以降のものは、二十八年度以降の予算において処理して行きたい。勿論二十七年度に補正予算その他を組む機会がありましてそういう支出ができることになりますればそれに従いました額は要求して行きたい、このように考えております。でなぜ二十三億のうちで全部組まないで四億程度組んだかと申しますと、只今災害として残つております残事業量のうち、二十七年度におきましては二二・七%が予算に組まれておるわけでございます。で二十六年度の災害総額経費総額で約二百十億ばかりありましたので、そういつたようなものの関係から初年度においては四億円程度で間に合う、このように考えましたものですから、そういうふうな取扱いをしているわけでございます。
  15. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 二十六年度、それから今後においてもこういう事態は例年発生するわけでありますが、かかる高率補助増額分に対する予算予備金その他の方法によつて災害復旧に対する既定予算にプラスして支出されているものであつて、これは共済制度ではないから普通災害地域復旧を縮小するとか、或いはくりのべるというふうな、つまり一般地域の犠牲において行われるようなことがあつてはならないと考えるものでありますが、そういうことはありませんか。
  16. 堀直治

    説明員堀直治君) お話のようにこれは当然経費として増額いたすものでございまして、その増額分につきましては一般経費から繰出すということでなしに、その分だけは余分に予算として要求をして取つて行きたい、こういうふうに考えております。
  17. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そこで次にお尋ねをしたいのは改正規定の第三條第三項の災転復旧事業費のうち、政令で定める額について、配付資料の、政令案によると一戸当り先ほどお話のあつた八万円以上の被害農家となつておりますが、これに対しては全国各激甚な被害農家から是非とも五万円以上に改めてもらいたい、被害程度を八万円を五万円に引下げてもらいたいという要望が極めて熾烈でありますが、この事実については提案者並びに政府では十分御承知のことと思いますが、これは先ほどの説明で私は必ずしも納得できないのですが、これを五万円以上とする見通しなり用意についてもう一度一つ提案者から伺いたい。
  18. 坂本實

    衆議院議員坂本實君) 今日の我が国農家経済実情から見まして、私どもはどうしても耕地復旧をし且つ又農業用施設復旧のために相当国が面倒を見なければいけないと考えております。殊に又災害に対しまして過小農家が特段に困るということは申すまでもないのでありましてこういう意味おきましてできるだけこれを低くきめたいと考えております。提案者としましてもいろいろ大蔵当局とも折衝をいたしたのでありまして、殊にこの法案の中にこの基準政令で定めるということにいたしたことにつきましては、災害は今お話にありまする通り例年起るのでありますが、併しながらそれにいたしましても毎年々々起りまするいわば常習地帶と、或いは三年や五年に一遍起るといつたような地帶もあろわけであります。或いは又農家経済に多少のゆとりのある所と全くない所ともあろうと思われますので、そういう意味政令はその災害の起つたとき、或いは又その事態をつかまえてきめて行こうと、こういうふうな話合いを実はいたしたのであります。取りあえずまあ二十六年度につきまして中国、四国、九州等につきましてルース台風等非常な激甚な災害があつたのでありますが、これにつきましてはいろいろ資料も私どもの手許に届いておりますが、私ども五万円までに引下げてそうして過小な農家を救つて行くということに格段の努力を払つて行きたいと考えておるわけでありまして、農林、大蔵当局もこういう線で一つ極力政令をきめてもらうように私どもといたしましてもこの改正の要旨を十分徹底させたいと考えておる次第であります。
  19. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 只今提案者の八万円を五万円に引下げるという決意と努力は私どもも了承いたしましたが、幸い政務次官もお出でになつたようですから政府当局のこの問題に対する固い御決意のほどを承りたいと思います。
  20. 野原正勝

    政府委員(野原正勝君) 途中から伺いましたので事情はよくわかりませんが、災害の補償限度は成るべく安いと申しますか低い線に限度を置きますことがまあ農民自体の非常な要望なんでありまして、ただ予算関係等から補償限度がさように農民の期待するような点まで行つていないのでありますが、相成るべくは只今提案者説明にありましたような五万円程度で行くならば農村における災害に対しましても最も適当なところであろうと考えております。ただ、今直ちに五万円の線で予算的な措置が全部講ぜられるかどうかは今後の折衝如何にかかつているわけであります。我々といたしましては五万円程度にまで下げてもらうということはむしろ農村の振興のためにも非常に望ましいことであるというふうに考えております。
  21. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 大変政務次官の固い御決意を伺つたので提案者の御協力を得て是非とも一つ五万円というところにこれが実現を期待して私の質問はこれで終りたいのですが、折角の政務次官の御熱意ですからもう一つ。これは高率補助に必要な費用はこれを既定予算中から支出するようなことはなく特別に支出をして頂いて、いやしくも普通災害地域の犠牲においてこういう高率補助が行われるようなことは絶対これを避けて頂くことが必要と考えますが、この点については先ほど災害復旧課長からもお話があつたのですが、政府当局、特に政務次官としてもこの点についてはここではつきりおつしやつて頂きたいと思います。
  22. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今の飯島委員の御質問の点が非常にこの法律案の大事な点になると思うのですが、例えば個所の指定が増加して行つた場合には、物理的にどうしても予算増額をやらなければならないことになり、それが補正予算で組まれるか否かは別としてとにかく予算措置を必要とする。それが不可能だとすれば只今申しましたように物理的に他の部分の犠牲ということが生れて来る危険性なしとしないと思う。その点予算との睨み合せで大体本年度指定される個所がこの程度、それに見合う予算というものが同じこの予算の中に組まれておつて、それでこの改正予算案がそれに伴つて出て来るということだと極めて合理的だと考えるのですがその点はどんな工合ですか。
  23. 野原正勝

    政府委員(野原正勝君) 本年度の予算といたしましては一応四億円だけはその分に充当してあれだけの予算措置をしているわけであります。それをオーバーします分は当物何らかの予算措置を講じなければならないわけであります。又補償限度の引下げによりまして殖えます分は、当然これは既定のものよりも殖えるだけはこれは別個に予算措置を講じなければならんのではないかと思います。全体を薄くして撒くということじやなしに、限度の引下つたものに対する当然自然増額になります分は別個の予算措置をするということでないと意味をなさんと思います。さように取計らいたいと思います。
  24. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 坂本さん、それから野原さんに委員長からもお話があつたのですが、一番大事な被害限度でありますが、これを法律に書けないということについて僕は一つ不満がある。そこで提案者坂本さんのお話では、被害を受けましても農家経済事情が変つてつて、それまでしなくてもやれるとかやれないとかいうことを考慮されるようなお話がありましたが、むしろ逆に私に言わせますと、政府のふところ勘定で今度の被害には八万にしなければいかんとか或いは五万にしなければならんというのは甚だ困つたもので、その率もはつきり一つ示してもらいたい。これは本来ならば補助率が示されておりますから限度が示されんことはないと思います。そういう不確定なことをしないで、限度を示して補助率を示すとか。政令がなくて補助率がなければそれはそれでもいいんですが、ところがきまつておりますから限度をきめるべきだと思うのですがその点どうだかお伺いしたいと思います。
  25. 坂本實

    衆議院議員坂本實君) 元来この法律は内閣から議員提出を依頼して来たものでありますが、その際内閣の出しておりました法律は、原案は二十六年度に発生しました災害を対象としたということと、それから補助率の点につきましては十分の九以内と、こういうことになつてつたのであります。そこで提案者になりました私どもといたしましては、いろいろ検討いたしましたが、結局二十六年度に発生した災害であるという暫定立法ではおかしいというので、これはどこまでも恒久立法にすべきであるということになりまして、今御審議を願つたように実は改めたのであります。更に又補助率の点も十分の九以内というようなことはおかしいので、これはむしろ明文化しなければならんというので、これも今御審議つておりますように補助率を明文化いたしたのであります。最後に残つたのがどこに基準を置くかということでありまして、只今御指摘になりました通りこれを政令に讓るということはおかしいではないか。私ども提案者といたしましても、実は今日まで農林当局或いは大蔵当局とも折衝いたしたのでありますが先ほどもちよつと申上げましたようにこの点はまあ一つ政令でその被害の起つたときにいろいろ考慮をしなければならん。であるからこれは今政令ということにしてもらいたいということであつたのであります。私どもといたしましてもできるだけこの政令に定める額というものを明確にしておきたいということで、先ほど来申します通り、是非一つこの際明らかにしておきたいということで、たまたまお話もありましたが、衆議院おきまする審議の過程におきましては、これは決議という形を以ちまして五万円という線を一応出しております。これは内閣に対しまして強く要望をされたのでありますが、私どもでき得るならばこれは基準を明らかに明文化したほうがいいと思いますが、提案者が今まで農林当局大蔵当局と折衡いたしました過程におきましては、この分だけは止むを得ないということで実は政令に讓るということにいたしたのであります。ただ私どもの考えといたしましては、できるだけ過小の農家を救つて行くということにその目標があつたから五万円の線はどこまでも堅持いたしたいとこう考えております。
  26. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 提案者の御答弁で五万円はどこまでも堅持して行きたいということであります。政務次官も大体それに似たようなお話があつたと思いますからこれは実現することと考えます。  そこで政務次官に一応お聞きしたいと思うのでありますが、今日の農地というものは災害があつた時分には全額国でやるべきじやないか。昔のような自由放任の時代ならば、自分の実際の財産ですから当然被害を受けた者が、多少国の援助は受けてもその損害をこうむつても止むを得ぬこともあると思います。併しながら今日のような形で国が大体握つて耕作権だけ農民に與えておくような恰好では被害があれば全額国でやるべきじやないか。こういうことを考えておりまするが、次官どう考えておるかお聞きしたい。
  27. 野原正勝

    政府委員(野原正勝君) 非常に重大な問題でございまして、我々も曾つてその問題に関しましては、全く同様な趣旨を大いに政府に対して要望したこともあるのであります。御承知のように食糧の管理又作付に対する事前割当制度というようなことが設定されまして、殆んど耕作する土地に対しまして一切が政府の指示命令だけになつた、政府方針によつて耕作されるということになりますると、これはもう名目上の所有者は農民であつても事実上の支配する者は政府であるということに決定されますと、そのときにはお説のように全部政府がこの災害復旧等はするのがむしろ当然であるというふうにも言えるのであります。統制も初期の時代にはかなりきびしい統制があつた。最近には御承知通り漸次緩和されて参りまして一頃の事情から見ますと大分様子が変つてつております。あの当時においてさえも実は全額の負担というふうなことはでき得なかつた事情もあります、今日又そういつた面ではかなり場所によりましては農民の耕作に対する自由が回復されているという段階でありますので、今日におきましては恐らく困難であろうと考えております。理論的に申しますれば、日本のような零細な農業経営方式においては、政府が農耕地の保護或いは又災害復旧というものに対しては、できるだけ多くの保護助成の対策を持つべきであるということにおいては全く同様な意見を考えております。
  28. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 議論になりますからこれだけ言つてあとは申上げませんが、今の次官かお話になりましたことは農地法の統制が先に通つている、そこで我々が議員になつてから如何にするかということで非常に火花を散らして作付統制方式を布いたのでありますが、もともと作物の統制をするがために農地をやつたものじやございません。そこでそれからは議論になりますから申上げませんが今後政府がお考えになります時分には、日本の農地の現状を十分斟酌して被害に対する対策を是非とつてもらいますことをお願い申上げます。  終りに、今後はどうしても五万円に下げて出すように提案者政府当局に責任をもつてつてもらいますことをお願い申上げます。
  29. 山崎恒

    ○山崎恒君 本年度の農林省予算を見ましても、なかんずく土地改良事業費等におきまして、農林省の案がどうも大蔵省に代つているというような感が非常に強いので、我々農林関係の議員はひとしくそれを痛感している。これはもう恐らく政務次官も、又国会に提案説明をされましたもとの政務次官の坂本さんも御承知通りでありまして、例えば本年度の二十七億の土地改良費のうちでも、農林省農地局が立案したところの暗渠排水とか或いは客土とか農道とかの二億というものは全然削られている。それで餅屋は餅屋として立案したにもかかわらず別にその数字を殖やしてくれというものはないのにかかわらず、区轄整理に九千万円も大蔵省か殖やしている、まあ安本が殖やしている。こういう事例があるのですが、今回の問題も而も議員提出の形で出ている問題でありますので、これは衆議院のほうで決議をされるということでありますれば、なお更政令を以てこれを五万円にするということはできないのではないかと思います。そういう意味において勿論我々はこれを採決するに当りましても、決議をすることを要望いたしますけれども、そういう意味においてこれを取上げてもらいたい、かように思います。  それからもう一つついでに、立ちましたから御意見を伺つておきたいのですが、今回の北海道に起りましたところの震災、又東北地方にもその例を見ているのでありますが、極めて農業施設相当被害を受けている。なかんずく北海道においてはサイロ或いは尿溜というような個人経営のものが大きな災害を受けている。殊に北海道の農業はサイロなくしては経営が成り立たない、というような実情でありますが、こうしたものに対するところの国庫助成という措置は未だないのでありますが、こうした面に対するところの応急の措置として農林省のほうにおいてはどう考えているか、この問題も併せて一つお聞きしておきたいと思います。
  30. 坂本實

    衆議院議員坂本實君) 只今御意見の中にありました今回十勝沖で起りました地震に対しまして、いろいろ農業或いは漁業関係者のかたがたが非常に災害を受けられましたことにつきましては、我々もよく承知をいたしておりますし、そのお立場には十分御同情申上げるのであります。私どものこの法案を作ります考え方は、先に申しました通り、当初政府が布きました暫定立法を恒久立法に改めたのであります。而もその内容は、御承知のように或る一定基準以上に上つた過大な被害に対する措置をするということが、この改正要点であります。従いまして私は今度の十勝沖震災に対しまして、北海道の農業者或いは漁業者のかたがたがこうむられた災害に対しましては、或いはこれを別に附則をつけましてそうしていわゆるこの法律の特殊立法を作る、特別な臨時立法にするということにつきましては私は大いにその必要を認めるものでありますが、これは別の改正をすることのほうが法の体系としてはよいのではないかと、こう提案者の意見を申述べて御参考に供します。
  31. 野原正勝

    政府委員(野原正勝君) この災害復旧に対する補助額の限度を成るべく引下げまして、できるだけ多くの農民に対しまして保護助長の政策を講ずることは農林省の考えるところでありまして、その意味おきましては、先ほど申しましたように補助額五万円程度まで引下げることを非常に好ましく考えているわけであります。ただいつの場合でも同じ政府の内部におきましても財政当局農林省の立場というものは、まあ予算の配分の面におきましてはかなり尖鋭的に実は対立をするのであります。我々が要求しましたものに対しまして殆どそれが全面的に容れられた例はないといつてもよろしいくらいでありまして、常に我々といたしましては最善を盡して努力をする。それに対しまして財政当局は、やはり国家財政を預つている面からいろいろとそれに対して文句もありましようしいろいろ注文をつける。これはまあ結論ずけられるものは、やはりそれぞれの必要な分野において公正妥当な予算の配分が行われるという仕組になつていると思うのであります。その意味おきましても今にわかに我々の主張がこのまま直ちに通ることは非常に困難かと思いますけれども、大いに努力いたしまして成るべく早い時期に我々の要求が貫徹することを我々は期待いたしまして努力をするという態勢で行きたいと考えております。  又今の十勝沖の震災につきましては、政府としましてもひとり水産関係のみならず、只今御指摘のサイロの問題、或いは畜舎の問題、或いはまだまだ雪がありますのではつきりはしておりませんけれども農業水利事業おきましても大きな災害が隠されているのではないかというふうな点も併せまして、これは特に対策を講ずる必要があるというので、今準備を進めております。特にサイロ或いは畜舎等につきましては、この機会にできるだけ政府の資金の融通を図りまして、そうして差当り復旧をやろうということで準備を進めている次第でございます。
  32. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 私も数点御質問をいたしたいと思いますが、第一点は、この法案が施行されますると、その特別の対象になりまする災害は二十六年の一月以降に発生している災害である、こういうふうになつておりますが、過年度災害でまだ残つているのが相当あると思いまするが、二十五年以前の災害では大体これに該当するようなものがないかどうか、それが第一点であります。  続いて御質問いたしまするが、それからこの法案で参りますると、その年に発生した異常な災害を受けた地域にということになつておりまするが、その年に集中的な被害を受けたという所も勿論これは十分同情に値いすることでありまするが、併し地方によつてはもう毎年殆んど連年災害を受けて農家経済も極めて窮迫しておるという災害の慢性地帶もあると思われるのですが、そういう地帶はその年をとりますと、或いは先ほどお話なつたような高度の災害ではないかも知れませんが、これが連年累積して農家経済ももう殆んど窮迫の底をついているというような所が相当あると思うのでありますが、そういう所との関係がやや不均衡な感じを持つのでありますが、その年の集中的な被害地域と慢性的な累積した被害地域との不均衡をどういうふうに見たらいいのでありますか。そういう地帶には或いは政府なりで別途のお考えを持つておりまするかどうか、その点も一つお伺いしたいと思います。
  33. 堀直治

    説明員堀直治君) この法律では二十六年度災害以降に適用することになつておりまして、二十四年、五年の災害には適用しないことになつておりまするが、二十四年、五年におきましてもやはり相当大きな災害がございまして、例えばジユデイス災害とか、キテイ災害、或いはキジア、ジエーンというふうな相当大きな災害がございまして、この法律がもつと早く施行になつておれば当然適用を受けたと申されるところがあるわけでございますけれども、現在これらの地域おきましては殆んど大部分が工事に着手されているか、或いは工事が完了せられておりまして、補助金としては多少残つているわけでございますけれども、その大部分が完了されており、補助金の出し方も工事が済んだものから順に出しているというような関係もございまして、これを今過去に遡つて整理をして出すということが実際問題として非常に困難でございますので、このたびの取扱いからは除いた次第でございます。  それから後の問題につきまして慢性的な災害を受けている所、例えば南九州地方というような所は終戰以来年々殆んど連年連続災害を受けておりまして、勿論そういつた所おきましてはその年おいては或る一定の激甚な災害になつておらないかも知れませんけれども、これを何年か累積すると相当災害になつて農家負担が依然又災害復旧も困難な立場に追い込まれている所もあるわけでございますけれども災害復旧事業として取扱つて行くよりも、そういう地帶おきましてはやはり防災施設を講じて行くとか、或いはその他の土地改良事業を施しまして災害を少くして行く、或いは又農家の経済を助けて行くというような方途のほうが望ましいと思われまして、只今政府のほうにおきましても南九州における「しらす」対策事業、或いは中国、四国地方の土壤保全事業であるとか、又防災溜池施設というようないろいろな土地改良事業を考えまして、こういつた地帶に対する対策を練つているわけでございます。まあ勿論予算が十分にございませんのでそれらの地帶に思うような対策を講じているわけではございませんけれども、そういつた方向に向つて努力をして行きたい、このように考えております。
  34. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 今申上げました慢性災害地帶につきましては、あとで提案者なり政務次官から一つお考えをお聞かせ願いたいと思いますが、その次にこれは実は立法形式の問題で、私の意見を申上げて提案者の御意見をお聞きしたいと思いますが先ほどの御意見ですと、当初は二十六年の災害だけの臨時立法というものを恒久立法にしたということですが、恒久立法は私はむろん安全性があると思いますから結構とも思えるのでありますが、先ほど来の意見を聞いておりますると、かような補助率が上ることは結構でありまするが、併し場合によつて一般補助のほうを蚕食をするという危險もあるのじやないかと思うのであります。ですから一般補助が十分行つてそれにプラスこれだけの特別補助が行くという補償がありますればこれは問題ありませんけれども、なかなか過年度の災害もまだ相当つている状況下において、果してこのように特別な扱いが実体的にプラスになるには予算の獲得上相当疑問があると思うのであります。むしろ或る年に非常な大きな災害等があつた場合に、むしろそれを緊急事熊として予算をとることのほうが私は実効があるのじやないかと、私の経験から見て参りますと。特にこれは余計な憶測かも知れませんが、かような恒久法が出ますと、やはり災害があるとこれに乘つかる意味で、場合によつて災害の度を不当に高く見積るという弊害が起つて来るのではないかと思うのであります。むしろこういうのは、その年に非常に大きな災害が起ればその年に応じて臨時立法としてやることのほうが、むしろ私は実効が上るのではないか。先ほど来十勝沖地震については或いは特別の立法をするというような御意見がありましたが、むしろそういう行き方のほうが実体的に私は得というとおかしいのですが、効果がありはせんかというような感じを持つているのですか、それに対しての提案者の御意見をお聞かせ願いたいと思います。  それからもう一つは、慢性的災害地帶には別途に防災的施設なり或いは農家経済向上の対策を講ずる、こういう答弁がありましたが、併しこれはなかなかそうは行つておらないようであります。そこでこういうことができないかどうか。或る年に或る県に相当被害がありましても、その県が従来は大して災害はなかつた、或いは農家経済も比較的よろしい地帶だということになりすますと、ところが或る県ではその年の災害は非常に少いけれども、併し連年の災害で非常に困つている。こういう地域とは政令で或る程度の差等をつける。例えば先ほど被害限度は八万円という御意見がありましたが、例えば南九州のような非常に困つている地帶が、例外的に例えば五万円を超せばそれを超過した分は特別な補助によつて、やはり平面的なことでなくして政令で或る程度の差等かつけるということもできるのじやないかと、こういう実は考えを持つておりますが、これに対する御意見を承わりたいと思います。  それからその次は極めて字句の問題でありまするが、その年の一月一日から十二月三十一日までに発生したというのは、年間を切るのであればこれは意味があると思うのでありまするが、一月一日から十二月三十一日というふうにはつきり書いたのは何かほかに特別の理由がありますかどうか、以上三点につきまして一つ伺いたいと思います。
  35. 坂本實

    衆議院議員坂本實君) 暫定立法と恒久立法とにおいて予算の獲得はどちらが効果的だというお話だろうと思うのですが、もとより私ども昨年のまあ二十六年度に発生いたしました梅雨期における降雨とか、或いは九月のルース台風というものは異常なものでありましたことは御承知通りでありますが、そういうことを救おう、そういうことに対してこの法律適用しようというのが、当初政府で立案いたしました原案であろうと思うのでありまするが、併しいずれにいたしましても、農業災害に対して、今まで公共土木との補助率均衡がとれてないということは言い得ると思うのであります。でこれを一つ是非直したいということが私ども一つの目標であつたのでありまして、将来ともいろいろ災害が起つて参りますが、それに対しましても、公共土木災害に対してはスライド制による高率補助適用を受けているのに、農業は全くその考えがないということは非常に遺憾であるという点を考えたのであります。そういう意味でむしろこれを一つ恒久立法に改めよう、又恐らく二十六年度発生しました災害にのみ高率補助適用するということにつきましては、将来これが必ず一つの踏み台になるといいますか、橋頭堡になつて、将来とも又再びそういうことが起つて来るだろう、そういうことになればむしろこれは恒久立法にしたほうがよかろうということであつたのであります。  それから高率補助適用するために過年度災害に非常に迷惑をかけないかということであります。これは実は私ども非常に心配をいたしている点でありまするが、これは今後大蔵省にも十分予算要求をいたしまして、過年度災害に御迷惑をかけないように是非しなければならない。先ほど災害復旧課長からも御説明がありましたように、取りあえず例えば八万円という基準政令がきまるとしますると、今年度に要しまするものは二十三億でありますが、これを一どきに出すということになりますと、過年度災害に非常な御迷惑をかける、そのために事業が遅れて来るということになるかと思いますが、これも大体初年度においては四億程度でいいということになりますれば、その辺のやりくりは余り残つた仕事に対して御迷惑をかけないでも済むのじやないか、こういう考え方をいたしております。  それから政令で定める額、いわゆる政令に讓つたということでありますが、これは先ほどの十勝沖震災の扱い方を今後どうするかという問題もいろいろあろうかと思いますが、私は被害の状況をよく存じませんが、これが特殊な非常に大きな被害であるといたしまするたらば、例えばそれに対しては政令で定める額よりも多少北海道に対しては講ずるというようなことをきめてもいいのじやないか、こういう実は気持もいたしております。或いは更にこれは被害程度により、或いは又政府或いは国会等においてこれは是非とも臨時立法にしなければならないという考えが出て来ればおのずから別個でありますが、私はこの政令で定めるというところが非常に先ほど来御意見も出まするように盲点ではありまするが、又考え方によれば、これをそのときその場合によつて非常に有効に使い得る道でもあるのじやないか、こういう気持もいたしております。そういうことで、併しながら三十六年度というものを一応考えてみまするならば、少くとも一農家において五十万円或いは又七十万円というような大きな被害をこうむつておりまするから、こういう点については是非とも一つ五万円程度基準を設けて私としては高率補助適用してもらいたい、こういうことは先ほど来申上げている通りであります。できるだけ予算措置おきまして、私どもといたしましては今後提案者の責任において努力をいたしたいと考えております。又政令で定める額につきましての御意見等がありますが、いろいろこれは又災害の常習地帶の扱いかたとか、或いは又その地方々々によつていろいろ災害の起つた事情は異なろうと思いますけれども、そういうことによつてきめ得る彈力性もあるというふうに考えております。
  36. 堀直治

    説明員堀直治君) 御指摘がありましたようにその年の一月一日から十二月三十一日というふうにはつきり書きましたのは、災害の取扱は予算措置がいつも間に合いませんので、予備金かその年の災害には設けているわけでございます。本年二十七年度におきましても八十億を二十七年度の災害に使うということになつております。でその二十七年度の災害と申しますのは、普通の会計年度と違いまして一月一日から十二月三十一日までの災害に対して八十億を使う。で普通の会計年度の一月から三月末までの起りました災害はその翌年度の会計年度で賄う、こういうことになつておりますので、特にその点まぎらわしくないように一月一日から十二月三十一日までと明記した次第でございます。どうも御指摘を願つて誠に恐縮であります。
  37. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 字句の点はわかりました。わかり易く書いた意味において了解いたしますが、その年といえば大体一月から十二月までと了解いたしますが、それで結構であります。
  38. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 私は片柳先生から災害がふくらんで来やせんかという御意見があつたので、それに対してまあ実は反対のような御質問を申上げるのですが、実際の災害というものを見て参りますと災害というものは起り易い所はもうきまつているんです。而もその被害を受ける施設も大体きままつていると思います。ところが終戰後一時災害復旧は原形復旧に限るというこういう強い方針農林省が原形復旧以外を認めなかつたときがあつたのですが、最近は必要などうしても耐久力において災害のしよつちう起り易い所は、それに対する強度と申しますか、強度においてどうしても必要限度には改良を認めるというような方向に今日やつておられるそうです。私は非常にいいことだと思つておるんですが、最近承わりますれば、建設省の関係はもう一歩飛躍してそのスライドアツプでこのスライドアツプと同時に、今私が申しましたような災害復旧をやつて、そうして災害復旧にはしばしば起るところの災害に堪える程度改良には同様にこの高率補助適用するというような法律案を考えているというようなことを聞いているのでございますが、これが私は本当であると思うんです。で折角こうやつて高率補助をやつたところで、大きな災害を受けた所ほど実は負担力のない所である、だからそうしなければそういう所はどうしても完全な復旧ができないという傾向になりがちじやないかと思うんです。そういう所に幾らかでも改良を加え、そうして完全な二度と災害の起らないように復旧をするということは、これは非常に私は筋の通つた本当のありかたじやないかと思うんです。でこれは提案者のほうにこれは承わりたいのですが、こういう問題に対してお考えを承わりたいと思います。
  39. 坂本實

    衆議院議員坂本實君) 只今の超過工事を認める、超過工事に対して特別な考慮をしないかというお話でありますが、これは私どももお説の通りだと思います。ただ公共土木のほうで今のような国会等におきまして改正を加えようというような意見もあることは承知いたしているのでありますが、まだ公共土木のほうでこれをはつきりしておらない今日、農業土木のほうだけが超過工事を認めると言つてみてもこれは少し無理じやないかというので実は今回は見合したということでありますが、いずれ公共土木につきましても、いろいろ今御意見もあるようでありますから、これは近く或いは改正されるのではなかろうかと思います。そうすれば公共土木と同様に超過工事をも認めて行く、改良工事も認めて行く、こういうことに行きたいものだとこう考えております。只今の段階では少し無理ではなかろうか、こう考えております。
  40. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 私はこの際政務次官もおられるので、特にこの点は理論的な線でありどうしてもやらなければならん線じやないかと思つております。特にこの点については今片柳先生がお話になられたように、実は改良というのはどこまでも厖大にふくらんで行く可能性のあるものでありますし、而もどうしてもやらなければならない改良は同様に考えるべきじやないか。こういつた二つの考え方があるのでございますから、特に政府におかれてもその点今後御研究になつて適当な機会に善処されるように希望を申上げておきたいと思うのであります。
  41. 野原正勝

    政府委員(野原正勝君) 災害の発生したものに対して、それをただ單に原形に復旧するということでは甚だどうも不満足でありまして、この機会に改良するということが最も効果のあることであります。その意味おきましては、全く従来の小乘的な單に原形に復するというような行き方ではいけないと思う。これは改良復旧を急速にやるということが必要であろうと思うのであります。そういう観念を押し詰めて参りますと、先ほども片柳さんからお話ありました例えば慢性状態になつている災害、毎年少しずつではあるけれども欠けて行くとか又流れるというものに対して、その毎年の災害そのものだけについて見ますと、大した額じやないから別に大した被害にもならないけれども累積しますと、これが大きな損害になるというものに対しまして、これはどういう措置をとるか、結局は思い切つた土地改良でもやるということでなければならんと思う。改良復旧というものは、災害が起きた所には大いに改良復旧をする。又そういうひどい災害でないが、年々の慢性的な被害を受けるような地帶に対しては、土地改良等によつて抜本的に解決をするというような行き方で進みたい。かように積極的な土地改良をそこまで推し進めるように努力をいたしたいと考えております。
  42. 松永義雄

    ○松永義雄君 私の質問いたすことは建設省の問題になるかと思うのです。只今宮本君からお話がありました災害というものは起りやすいところにいつも起るのだ、こういうお話がありました。これは私のひが目かも知れませんが起させるように起させていると、こういうことを承知の上でやつているのではないか、こういうことにも想像されるような場所がある。これはまあ勿論、川下をいろいろの意味から守らなければならないためではありましようが、このままの堤防ではきつと切れるだろうというようなままにしておいて、そして再びその堤防が切れないような施設をすると水は下流へ行つて大巾にしわ寄せになるということもあるので、切れるような程度復旧にいつも終つて又あの辺が切れるのだということで、必ずその辺が切れて行つて農地が非常な災害を受ける。  このことは恐らく建設委員会で場所まで指定して力説されていると思うのでありますけれども、そういう関係もあるので、時世も民主的なんだから、一つ農地も非常に災害を受ける、たたりを受けて。堤防のことは恐らく建設省の関係じやないかと思うのでありますが、そういうような場合もあるということを一つ含んで頂いて、いかに農地改革をしたつて堤防を流していつも必ずそこが切れるのだ、百発百中くらいに当るということはこれは甚だ遺憾だと思うのであります。そういう所もあるということだけはただその点を力説するだけにとめます。
  43. 野原正勝

    政府委員(野原正勝君) 只今の御質問でございますが、もとより根本的には河川の例えば堤防を築き、或いは又もう一歩進めて行くならば上流部における治山治水対策を完全に行わなければならんのでありますが、そういう意味からも一つの総合的な観点から考えなければならぬ。局部的に災害を一時的な姑息的な手段で、一時食いとめるというような従来の行き方が非常に多かつたと思います。そういつた一時逃れの一時しのぎの災害復旧というようなことに我々はいつまでも甘んじているわけに行かないので、むしろその意味おきましても総合的な流域に対する開発計画というようなもので水を生かす、災害を根本的になくするというふうなことまで考えなければならんと思うのであります。その意味おきましては、川の管理というようなものもこれは本当に水を生かすというような点から言いますと、農林省はやはりその面まで十分立入つたことを考えなければ根本的な解決はつかないだろうというように差詰め考えている次第であります。農林省といたしましては、今のような御主張と全く同感でありまして、その線に沿うて強く我々の要求をいたしたいと考えております。
  44. 山崎恒

    ○山崎恒君 進行。
  45. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 他に御発言もなければ、これより討論に入りたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  47. 加賀操

    ○加賀操君 私は次の要望をいたしまして本案に賛成をいたします。先ほど片柳さんから言われました災害の常に重なる地帶おきましては、将来積極的な施策を講じて頂くと共に、少くとも本法の運営につきましては特別な考慮をいたして頂きたい。  次に十勝沖震災につきましては、早急に法の改正なり或いは新らしい立法なりをいたされまして、速かに災害復旧に善処せられることを希望いたしまして本案に賛成するものであります。
  48. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私も本法律案に関しましては、次の事項が必ず実行されることを期待して賛成するものであります。  その第一、高率補助のための災害復旧費限度が一戸当り八万円以上予定されておりますが、これを五万円以上に改める。  第二、高率補助に必要な費用はこれを既定予算中から支出するようなことなく、特別に支出することとなし、いやしくも普通災害地域の犠牲において、高率補助が行われるがごときことは絶対にこれを避ける。
  49. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 他に御発言がなければ、討論は終局したものと認めて採決に入りたいと思います。農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御起立を願います。    〔賛成者起立〕
  50. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 全会一致であります。従つて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における報告の要旨等は、慣例によることを御了承を願います。なお多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     加賀  操   山崎  恒     岡村文四郎   瀧井治三郎     宮本 邦彦   飯島連次郎     片柳 眞吉   島村 軍次     三橋八次郎   松永 義雄   —————————————
  51. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 次にポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く農林関係命令措置に関する法律案議題といたします。極めて簡單法律でありますが、なお重ねて御質疑のあるかたはどうぞ。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより本案採決をいたしたいと思います。別段御発言もなければ、討論も省略してすぐ採決いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは本案採決をいたします。原案通り賛成のかたの御起立をお願いいたします。    〔賛成者起立〕
  54. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 全会一致でございます。従つて本案は原案通り可決することに決定いたしました。  なお委員長の報告要旨その他は慣例通り御了承お願いいたします。多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     加賀  操   山崎  恒     岡村文四郎   宮本 邦彦     飯島連次郎   片柳 眞吉     島村 軍次   三橋八次郎     松永 義雄   瀧井治三郎
  55. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後三時十三分散会