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1952-03-25 第13回国会 参議院 農林委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十五日(火曜日)    午後二時六分開会   —————————————   委員の異動 本日委員木内キヤウ君及び館哲二君辞 任につき、その補欠として鈴木強平君 及び三浦辰雄君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            片柳 眞吉君            山崎  恒君    委員           池田宇右衞門君            瀧井治三郎君            宮本 邦彦君            赤澤 與仁君            加賀  操君            島村 軍次君            三浦 辰雄君            小林 孝平君            三橋八次郎君            松永 義雄君   委員外議員            白波瀬米吉君   衆議院議員            千賀 康治君            坂本  實君   政府委員    農林政務次官  野原 正勝君    農林省蚕糸局長 寺内 祥一君    林野庁長官   横川 信夫君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    農林省農業改良   局農林統計課長  松岡  亮君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農業改良助長法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○松くい虫等その他の森林病害虫の駆  除予防に関する法律の一部を改正す  る法律案衆議院提出) ○農林水産業施設災害復旧事業費国庫  補助暫定措置に関する法律の一部  を改正する法律案衆議院提出) ○閉鎖機関日本蚕糸統制株式会社が積  み立てた繭糸価格安定資金処分に  関する法律案内閣提出、衆議院送  付)   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。  本日の議事日程は、最初に農林漁業資金融通法の一部を改正する法律案議題とするつもりでありましたが、都合により他の議題に移りたいと思います。  第二の議題農業改良助長法の一部を改正する法律案でありますが、本案につきましてなお御質疑のあるかたはこの際お願いいたします
  3. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 この前の委員会のときにいろいろ内容をお聞きいたしましたけれども、今日は普及事業農業委員会との関係につきまして少しお聞きしたいと思います。以前この改良普及事業に附随しておりました委員会におきましては、改良委員会普及事業とは密着関係がありまして、非常にその業績が挙つたと思うのでありますが、最近におきまして農業委員会になりましてから、どうも委員会普及事業との密着が前ほど緊密でないように窺われるのでございますが、その辺政府当局ではどういうように考えておられますか。
  4. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) 御承知の通り農業委員会は従来ございました農地委員会農業調整委員会、それから農業改良委員会の三つを合せて一本にいたした関係で、農業改良普及といつたような面だけからこれを見ますというと、仰せのごとく従来よりも多少縁故が稀薄になつたとも言い得るかと思うのでありますけれども、併しながら農村実態に即応いたしまして、農地改革後における日本農業の進歩と発展のために新らしい意味においての村作りをやつてもらうための統合された一つ委員会というような新らしい使命を持つて実は生れ出でた農業委員会ということで、この委員会に対する我んの期待は非常に大きいのでありますが、まだその委員会出発早々でありまして、我々が当初に大きく期待をいたしましたほどの活動が未だに十分その機能を発揮していないこともあろうかと思うのであります。その意味におきましての農業改良普及というようなこととの関連においてまだ十分でないというような点もあるかと思うのでありますが、農業委員会がそれぞれの落着いて仕事をして頂くということになりますというと、これは十分縦横連終もとれ得るのではないかと考えております。なおその点に関しましてはいろいろと改良普及と、或いは委員会、或いは又農業協同組合といつたような繋りにつきましても、いろいろと検討いたしまして、慎重にこれは一つ調査をして行きたいと考えております。
  5. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 農業改良事業といつたようなものを組織的に一貫して見ました場合に、町村における委員会には普及員が入つておらん委員会もあるというような関係で、町村自体委員会というものは、全く改良普及事業というものに無関心であるというような実例があるのでございますが、これは勿論全部各町村に一人ずつの普及員が配置されることによつて期待されることだと思うのでございますけれども、今地区制をとつておるようでございますが、地区にできております代表委員会というものの組織を見ますると、場合によりましては余り農業委員会というものと関係のたい孤独な立場において組織されておる。だから県の農業委員会から一貫した指導なり、一貫した方針の下に農業計画を樹立することはできないというような欠点があるように思うのでありますが。この中間にできております地区代表委員会というものを法的に何か認める意向があるかどうか、お伺いしたいと思います。
  6. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) 農業改良に関する各地区代表者会議と、なおその普及事業徹底強化のためのいろいろな協力会とか協議会とかというようなものがございまするが、これらのものを皆法的にこれらが十分機能を発揮するような形にどうかというような御質問趣旨と伺いましたが、現在の段階におきましてはやはり農業委員会を中心にいたしましてその機能を発揮するようにいたしたい、そうして代表者会議であるとか農業普及員等はその下部の役割を果すようにして行きたいと考えておりますが、なお機構その他につきましては農村実態に即応いたしまして、改良普及事業徹底強化のできるような構想で、今日のこれらの仕事が十分の効果を挙げてないとするならば、これは一つ十分研究いたしまして、最もよい方法を編み出すように逐次改良を加えて参りたいと思つております。
  7. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 地区代表者会議を法的に認める意思はないとしましたならば、それに代る方法といたしまして郡の委員会というものは法的に認められておるのでありますから、それと関連を持つように指導を強化して行くことが一番近道でなかろうかと思うのであります。今実は地区にできております委員会というものは、法的裏付もなければ、又郡の農業委員会とも全く遊離の状態にあるのでございます。従いまして県の農業委員会とも殆んど無関係にできておるのみならず、この各町村から三万、五万という金を直接地区委員会に出しまして、そうしてそのいわゆる改良普及事業なり、地区委員会がそれによつて運営されておる。そうしますると、これはなお更この県から一貫した委員会の線からは外れてしまうというようなことになるのでございます。地区委員会を盛り立てて行くということはいいことではございますけれども、どこまでも一貫した組織におきまして県、郡、町村こういうような組織的な活動ができるようにして行くことが必要だと思うのでございます。そうしまするとやはりどこまでも地区制で押して行くとしたならばその中間でできますものも何らかの形で法的に認めて頂くか、それでなかつたならば各町村から集めましたそういう金は一応郡の委員会でまとめ、郡の委員会において地区委員会を育成強化する意味におきまして、郡の委員会からそれを分けて金をやる、こういうふうにいたしますれば、そこに何らかの法的な裏付がなくても、連絡ができましてかなり一貫したものになるのではなかろうか。こう思うのでございますけれども、今のところでは地区委員会というものはまるで中ぶらりんになつており、又町村農業委員会というものは場合によつて普及員を含まないところの委員会なつているというような実情にあるのでございますが、地区委員会連絡育成というような意味においてどういうようなことをお考えなつておりますか、お伺いしたいと思います
  8. 羽生三七

    委員長羽生三七君) まだ御質疑があるかと思いますが、二時半から本会議もありますし、予算委員会も並行して継続されておりますので、只今の三橋委員の御質問に対する政務次官の答弁のあと、できれば討論に入りたいと思いますがよろしうございますか
  9. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) 要は改良普及事業に対する国家予算が十分でないというところから起因しておるわけであります。郡の代表者会議といつたようなものに対する予算裏付がない、そのためにいわゆる御協力を頂いておる各町村から応分の御負担を頂いておるというようなことでは本当の意味改良普及事業としては期待できないわけなのでありまして、でき得べくんば改良普及員に対してこういつた予算的措置が十分講ぜられるということが農林省としましては一番望ましいことだと考えておるわけです。現在の段階におきまして、改良普及員の配置をし、それに対する活動のためにも実は予算的には十分でないということで、代表者会議を開催し、或いは改良普及徹底をやるためにはどうしても国家の財政的な立場ばかりでなしに、やはりその普及を受けてそれによつて営農上の効果もあるそれぞれの町村においても御協力を頂くというような形で、そういつた経費などは適当に処理されておることと考えておるわけです。従いまして今後はできるだけ予算的措置等にも十分途を開くように努力をいたしたいと考えております。従いまして末端において、改良普及事業が各地区、或いは各町村におきましても一貫した考えの下に十分機能を発揮いたしまして、農業委員会活動と相待つて農村技術の向上が図れるようにいたしたいと考えております
  10. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 ちよつと簡單に……第三條の二の改正案関連して簡單質問いたしますが、農林貧試験研究機関に対して助言協力を求めるということがありますが、例えば大学試験研究機関等を除いておりまするが、これはまあアメリカ等実態を見ましても州の大学等相当普及事業に非常な協力をしておりまするが、特に第二條関係で、新らしくかようなところにも助成金が行くことになりまする関係もありまして、むしろ大学等試験研究機関にも助言協力を求めることのほうが適当かと思うのでありますが、それを省いておりまする理由一つ簡單に御説明願いたいと思います。
  11. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) その点は農林省の試験場ということになつておるわけでございますが、補助対象には各大学、今度は御存じの通りこの法案によりまして従来の補助対象にしておりました大学等相当数殖やしましていささかなりとも農業技術発展効果のあるまじめな研究に対しましてはできる限りの補助金を出すというような仕組にいたしておりますので、当然それらの補助金を出したところには各研究のテーマを與えて、いろいろ御研究頂きましたものにつきましては、当然十分参考とし、或いはまあ助言と言いまか、いろいろとそれらの意見を参酌して改良普及事業徹底して行きたいということになつておりますので、事実的には十分勧告を受けるわけでありますけれども、明文の上では、第三條の明文にはその点は十分謳つてないのであります。その点につきましては一ついろいろと御審議を頂きたいと思います。
  12. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは本案につきましては質疑も大体終了いたしたと思いますので、これより討論に入りたいと思います。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。  なお修正意見がございましたら修正案文及びその修正理由討論中にお述べを願います。
  13. 小林孝平

    小林孝平君 私は只今議題なつております農業改良助長法の一部を改正する法律案の一部を改正する法律案に対して修正するの動議を提出いたします。  先ず修正案を朗読いたします。  農業改良助長法の一部を改正する  法律案の一部を次のように修正する。  第十四條第一項の改正規定中第一号を第二号とし、以下順次一号ずつ繰り下げ、第一号として次の一号を加える。  一 專門技術員及び改良普及員を置くこと。  第十四條の二第一項中「都道府県は、」の下に「前條第一損第二号から第四号までの」を加える。  第十六條の二及び第十六條の三中「第十四條第一項第一号」の下に「及び第二号」を加え、同僚中「同項第二号及び第三号」を「同項第三号及び第四号」に改める。  右の修正案について簡單に御説明をいたします。  本法の第十四條に規定する協同農業普及事業補助金の大部分は、專門技術員及び改良普及員給與補助金に充てられている現状にかかわらず、これらの技術員身分及び地位確立に関しては、従来法律上何らの規定がなく今日に至りまして甚だ遺憾に思つておりましたところ、今回の改正によつて專門技術員及び改良普及員身分法律確立せられるに至つたことは遅きに過ぎる憾みはありますが、先ず適当な措置と認められるのであります。併しながら身分は一応確立いたしましたが、地位確立については未だ考慮が拂われておりませんから、この際專門技術員及び改良普及員給與国庫補助に対する国の約束を法律規定において明確にいたしたいと考えて右の修正をすることといたしたのであります。それで具体的には第十四條の第一項の第一号に專門技術員及び改良普及員を置くことといたしたのでありまして、以下はこの一号を加えることによつて法文の整理をいたしたものであります。  この修正案以外のその他の部分については賛成であります。
  14. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 他に御発言もなければ御異議ないものと認めて、これより採決に入りたいと思います。  先ず討論中にありました小林委員修正案議題に供します。小林提出修正案賛成のかたの御起立を願います。    〔賛成者起立
  15. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 多数と認めます。よつて小林提出修正案は可決されました。  なお次に只今採決されました小林君の修正にかかわる部分を除く内閣提出にかかわる法律案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成のかたの御起立を願います。    〔賛成者起立
  16. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 全会一致と認めます。従つて本案は多数を以て修正議決されました  なあ本会議における委員長報告内容及び手続等につきましては慣例によることを御了承をお願いいたします。  それから報告書に多数意見者署名を附すことになつておりますから順次御署名願います。  多数意見者署名     西山 龜七  片柳 眞吉     山崎  恒  赤澤 與仁     加賀  操  島村 軍次     小林 孝平  三橋八次郎     松永 義雄   —————————————
  17. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 次に衆議院議員千賀康治君ほか二十三名の提案にかかわる松くい虫等その他森林病害虫駆除予防に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  先ず提案理由説明を求めます。
  18. 千賀康治

    衆議院議員千賀康治君) 只今審議を願います松くい虫等その他の森林病害虫駆除予防に関する法律の一部を改正する法律案につきまして提案理由を御説明いたします。  戰後松くい虫が異常に蔓延して、我が国森林資源相当被害を與えることになりました結果第七国会におきまして、松くい虫等その他の森林病害虫駆除予防に関する法律が制定公布せられましてより、松くい虫等せん孔虫類防除事業は、着々その効果を現わして参り、これによる被害も最盛の時期に比較いたしまして相当の減少を示して来ている状態でありますが、その半面松くい虫等以外の森林病害虫等が戦後の森林の荒廃と共に急速に発生蔓延し、その被害地域も広汎な地域に及び、被害面積も年を逐つて増加する傾向にありまして、森林資源保護林業生産助長を図る点から申しまして放置できない状態なつて来ているのであります。  政府は、昨年六月現行法の第十二條に基き松毛虫等駆除予防に関する政令を公布いたし、これら松くい虫等以外の森林病害虫防除に必要な措置を講じて参つた次第でありますが、この発生及び被害状況はなお予断を許さない状態であります。然るに、この政令法律上その効力を一年以内に制限されておりますが、この際松くい虫等以外の森林病害虫等についても、この法律に基いて徹底した防除ができますように改正いたしたいというのが本改正要旨であります。即ち第一は、松くい虫等以外の森林病害虫等被害状況は、先に申述べましたように、このまま放置できない事態にありますので、直接法律規定に基き継続して防除措置を講ずることができるようにする必要があるのであります。これと関連いたしまして、第二に林業種苗につきましても防除に必要な措置を行うことによつてその保護を図ることができるようにいたしました。  第三は防除方法におきまして、新たに種苗の焼却及び薬剤による防除を加えることといたしたのであります。その他森林害虫防除員等の指示に従い防除に必要な措置行なつたため損失を受けた者に対しその損失を補償すること、森林病害虫等早期防除を図る必要から森林病害虫等が発生して他に蔓延する慮れがあると認めた者は、その旨を都道府県知事又は市町村長に通報して頂くこと等の改正をいたしたのであります。このような改正に伴い、現行法律題弱が適当でないと思われるようになりましたので、この法律の題名を森林病害虫等防除法に改めることといたした次第であります。  以上この法律案提案いたしますのにつきまして簡単に御説明を申上げたのでありますが、慎重御審議上速かに御可決あらんことを御願い申上げる次第であります。
  19. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 本案につきましては質疑を後日に譲ります。   —————————————
  20. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 次に農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案衆議院議員坂本實君ほか二十二名提出にかかる法律案提案理由説明を求めることにいたします。
  21. 坂本實

    衆議院議員坂本實君) 只今上程されました農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由要旨を御説明申上げます。  政府においては、農林漁業施設災害復旧につきましては農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律によりまして、復旧事業者に対して、農地一般林道については事業費の五割、農業用施設奥地幹線林道及び水産協同組合の維持管理する漁港施設については事業費の六割五分を国庫補助してその復旧に努力して参つたのであります。併しながら現行法におきましては、被害の大小を問わず、大よそ同一補助率の適用を受けますので、地域的に激甚な被害を受けた地方の農林漁業者は、その負担が莫大になるので、復旧に困難を生じておる実情であります。例えば農地について申しますれば、復旧事業費が一戸当り一万円のものも十万円のものも補助率同一でありますから、その農家負担はそれぞれ一は五千円、一は五万円となるのであります。勿論この農家負担に差のありますことは、事業費の比例によることで止むを得ないのでありますが、一方農家経済現状より見ますれば、農家が予期せざる災害復旧のため負担し得る経済的の余剰能力にはおのずから一定の限界がありますので、この限界を越える場合には、その越える部分のみに対しては、高率の補助金を交付し復旧を促進することが適切な措置であると存ずるのであります。なお林道及び漁港施設につきましても同様の趣旨により補助率を引上げることといたしたのであります。  以上が本改正法律案提案いたした理由であります。何とぞ愼重御審議上速かに御可決あらんことを切望いたす次第であります。
  22. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 本案につきましても質疑を後日に譲りまして、次の議題に移りたいと思います。   —————————————
  23. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 次の議題は先に提案説明を聞きました閉鎖機関日本蚕糸統制株式会社が積み立てた繭糸価格安定資金処分に関する法律案であります。本案について質疑のあるかたはお述べを願います。
  24. 小林孝平

    小林孝平君 去る二月の十二日の繭糸価格安定審議会におきまして標準生糸売買価格最高価格を一俵当り二十三万円、最低を十八万円と決定答申しておるのでありますが、右についてこれの決定の基礎はどうであるかということを具体的に御説明願いたいと思います。
  25. 寺内祥一

    政府委員寺内祥一君) この点につきましては只今資料をお賜りいたしましたから、これによつて御覧を頂きまして御説明を申上げます。  先ず第一にこの繭糸価格安定法によりまして生糸最高価格最低価格をきめますに先ず先日お手許にお配りいたしました繭糸価格安定法施行令の第三條におきまして、「標準生糸最高価格は、繭の生産費の額に生糸製造及び販売に要する費用の額を加えて得た額の十二割と生糸価格指数主要繊維価格指数及び物価指数関係から附録の算式により算出される価格(以下物価参しやく値」という。)の十二割とを基準とし、経済事情を参しやくして定める。」最低価格につきましては、同條第二項におきまして、「標準生糸最低価格は、最高価格の七割を基準とし、経済事情を参しやくして定める。」というふうにいたしまして、大体法律によります最高価格最低価格をきめます範囲を政令によつてきめたのであります。要しまするに、法律におきましては生産費基準としてきめるということになつておりまして、その基準をどういうふうに見るかということを考えたのでありまするが、それにつきましては、最高価格は大体繭の生産費及び生糸製造販売に要する費用の二割上値考えたのであります。それは何故二割上値ということを考えたかと申しますると、昭和に入りましてから、昭和元年から附和二十六年までの生糸価格変動率を見て参りました。先ずそれに、物価変動による率と、生糸そのもの変動による率とを区別して計算いたしたのでありまして、物価変動による率を見て参りますると、それは大体その年の一月から三月を基準にいたしまして、その年度内にどの程度に物価が変つているかということを調べました。そういたしますると、その基準の日よりも物価が変りました、五分変つた月が何カ月あるか、一割変つた月が何カ月あるかというような調べをいたしたのであります。そういたしますると、上のほうの上りました率を平均いたしますると、大体〇・九割、約一割の上昇率であります。下落のほうも同じような計算で行きますと約〇・九というような数が出まして、約一割でございまして、それを次に生糸それ自体価格変動率を調べますために、生糸価格指数物価指数で割りました——生糸価格率と申します——このものも今申しましたような方法によりまして、昭和に入りましてからの上りました指数を勘定して見ますと、これもやはり大体上りましたほうは平均いたしましてプラスの一・〇六%くらいの数字が出たのであります。結局これを四捨五入いたしますと約一割という数字が出たのでございまして、又マイナスのほうもそれと大体同じような数字が出たのでありまして、結局大体昭和に入りましてから生糸価格上下二割の変動しておるというようなのが平常の状態であるという数字が出たのであります。特にその差の多いのはそれより出たり入つたりしておりますが、大体平均いたしますと上下二割の変動をしておるのであります。そこで最高価格をきめますのは、その生産費の二割を最高価格の限度として見たらよかろうと考えたのであります。  次に最低価格につきまして、何故三割という数字を出したかと申しますと、数字上下二割の変動を上に上つた数字から下のほうの数字の割合を出して見ますと、約六六・六六%、これを四捨五入いたしますると、大体七割という数字が出たわけであります。  それから次に過去におきまする生糸価格変動を、これは明治四十年あたりから極く最近、昭和二十六年までの間の四十五カ年、そのうち戰争中の五カ年を引きまして、約四十カ年の、その年間における生糸価格変動を見たのでありまして、その年間におきまして最低なつた値段と、最高になつた値段との値幅がどのくらいあるかと、それを調べて見ますと、約三割以上の差ができました年が約二十六カ年、約半数以上になつておるのでありまして、三割になりました年度が大体十五、大カ年というような数字になりましたので、その最高と最低の値幅を二割にいたしますると、我が国の過去の生糸価格の趨勢から申しますると、余りに差が狭過ぎるということになりまして、又四割になりますと、これも後にも触れたいと思いますが、値幅が余りに大き過ぎまして、繭糸価格安定法趣旨に反するというので、大体最高最低の値幅が三割程度がよかろうということでこの三割という数字をとつたわけであります。これを基準にいたして去る二月十一日及び十二日の繭糸価格安定審議会におきましてこの資料を提出いたしたのでありすす。それは只今お配りいたしました生糸の最高及び最低価格の算定の資料一覧というのを御覧になりまするとおわかりになるのでありますが、先ず第一に先ほど読み上げました政令物価参しやく値というところから御説明いたしますと、これは先日お配りいたしました施行令の附録を御覧頂きますとわかります通り、これは主要繊維の価格率である……アメリカにおける主要繊維の価格率及び物価率というようなものから算出いたしまして、こういう数式があるわけであります、これにそれぞれの所定の数を算入いたしましたのが、只今お配りいたしました資料の一、物価参しやく値というところでありまのて、これが結局十九万六千九百五十四円という数字が出たわけであります。次に繭の生産費の額に生糸製造及び販売に要する費用の合計額というのが二に出ておりまして、これを御説明申上げますと、繭の生産費につきましてはここにもあります通り昭和二十六年度推定上繭一貫当り生産費千二百九十一円、これはどうして出たかと申しますと、これは統計調査部において調査いたしました二十五年度の繭の生産費を調べたのであります。これは二十六年度を取りたかつたのでありますが、まだ当時二十六年の結果が出ておりませんでしたので、止むを得ず二十五年を取つたのでありまするが、統計調査部において調査いたしました結果は、これは約五百八十何戸の農家に記帳を頼みまして、その結果を集計した数字なんでございますが、その総和平均におきまして千二百九十一円という数字が出ておるのでありまするが、これはその総和平均の一戸当り経営規模を見ますと、反当收繭量が十五貫であつたり、或いは桑樹の作付面積が三十二畝というように非常に経営規模が大きなものに変じておる嫌いがあつたのであります。従いましてこの繭糸価格安定法の基礎となりますためには、少し統計調査部の調査によります総和平均の数字は上層に偏しておると認められるのであります。それは昭和二十五年におきまする蚕糸局の調べによりますと、養蚕農家一戸当りの反当収繭量は十一貫でございます。二十六年になりまして、漸く十三貫というような数字が出たのであります。そこで統計調査部の調査のうちの総和平均は上層に偏しておりますのでこれを取りませんで、大体掃立卵量を二十グラムから五十グラムの單位の農家を取つたのであります。これは昭和二十五年の養蚕農家の生産の規模が平均いたしまして、一戸当り三十五グラムの掃立量がありましたので、それを基準にいたしまして二十グラムから五十グラムまでを取る、こういたしますと、大体これが当時の養蚕農家の中核をなすものでなかろうかという見通しをとつたわけであります。そういたしますとその繭の生産費は千三百三十三円になつたのでありますが、これは昭和二十五年の生産費でございますから、これを二十六年の十一月、この当時の調査におきまして、十一月が最も確実なる物価指数等の数字が出ておるときでございましたので、我んといたしましてはこの価格決定時の最も近いときにおける、而も信用のできる数字を基礎といたしましてこれをスライドして直して行つたのであります。それともう一つは、この統計調査部の調査によりまするこれは一般的な資料として使う数字でございますが、今回この繭糸価格安定法によりまする繭の価格決定には原価計算方式によりまする要綱によりまする各費目に合せますために、例えば公租、分譲につきましては所得に課せられたものは除くとか、或いは資本利子については見積額を除外するとか、或いは支拂地代については自作の見積りの地代を除くというような、そういう原価計算方式の要綱に基きまして抜いたところがございます。その結果が結局、これに載つておりまする昭和二十六年度推定上繭一貫当生産費千二百九十一円という数字が出たのであります。これが(b)行きまして生糸一俵当所要上繭数量というものに直しますると、生糸一俵当所要上繭数量は従来の慣例によりまして計算いたしますると百三貫と七、これを生糸一俵当りの原料繭代に直しまと丁度十三万三千八百七十七円という数字が出ました。それから次に生糸製造及び販売に要する費用、こういうものはこれは統計調査部で調査いたしておりまする数字でありますればそれをとるのでありますが、それを大体調査いたしませんで、蚕糸局において毎年調査いたしておりますので、蚕糸局における調査の結果をとりまして、これは昭和二十六年の生産費でありますが、これもまあ先ほど申しましたような価格決定時の一番近い時期において、而も最も確実な資料、数字のとれるといういわゆる十一月物価指数にスライドして直しました数字が五万九千七百六十円こう出たわけでございます。これに繭の取扱手数料の上繭一貫当手数料三十七円と、生糸一俵当同上金額二千八百円、これを合計いたしますと生産費の十九万六千四百三十七円という数字が出たのであります。これを先ほど申しました割合の規定によりまして、最高価格基準となるものは、先ず物価参しやく値のほうは十九万六千九百五十四円でございますから、これの十二割と申しますと二十三万六千三百四十五円、この七割と申しますと十六万五千四百十二円と出たわけでございます。それから生産費のほうは、最後の行にBと書いてある、その基準額が十九万六千四百三十七円、この十二割が二十三万五千七百二十四円、その七割が十六万五千七円、こういう数字が出たわけでございます。これを審議会に資料といたしまして提供いたしまして、いろいろ審議会の委員のかたがたの御審議を願つたのでありまするが、結局その審議の過程においてこの繭の生産費についても、それから生糸製造販売に要する費用についても議員諸公は、この数字は不満であるという意思を表明せられたのでありますが、これは只今申したような当局としては確実な資料に基いて、尤も十一月の物価指数にスライドしてありますが、これは数字に基いてスライドしただけであつて、その結果こういう数字が出たということを御説明申上げましたが、委員諸公には大分不満のようでありましたが、併しこの繭糸価格審議会の諮問では生産費をきめるのではなくて、最低価格最高価格をきめるのであるということで議論が一致いたしまして、その審議に入つたのでありますが、結局最高価格は二十三万円、展低価格は十八万円ときまつたのでありますが、先ず最低価格をなぜ十八万円にきめたかと申しますと、一つには絹織物の代表の委員の人から、絹織物をアメリカに輸出したときの価格が一ポンドについて五ドル五十セント以上でありますればアメリカの輸入関税が二五%であります。一ポンドが五ドル五十セント以下に下ると、途端にアメリカの輸入関税が五五%に上るのであります。要するにアメリカにおいては絹織物業者の保護のためにそういう、我々は普通ダンピング税と申しておりますが、日本の絹織物が余りに安くアメリカに輸出されることを防ぐためにそういう税金をかける、そこで絹織物を五ドル五十セント以上に売ろうとすると生糸の原価は十八万円でなければ困るという意見が出た。それに対して通産省もできるだけ生糸の値段を安くする、そういう絹織物の輸出を阻害するからというようなこともありました、又養蚕農家のほうにおいても最低ぎりぎり十八万円でなければ繭の生産費を償えないという議論もあつて最低価格は十八万円にきまつたわけであります。  次に最高価格が二十三万円にきまつた理由は、先ず第一には最高と最低の値幅を余りに広くしては我々としては困る、できるだけ狭くすることが糸価安定の基礎であるということと、もう一つはアメリカに出ます生糸価格ができるだけ五ドルを超えないようにしようという意見審議会の委員のかたがたの頭を支配したのでありまして結局二十三万円と申しますと、大体FOBにして四ドル九十セントになります。これはニユーヨークに持つて行きますと、横浜からアメリカまでの運賃その他の諸掛りが三十五セントかかりますので、アメリカに来るとどうしても五ドルを越すのでありますが、現在ニユーヨークにおける生糸の市価が約四ドル八十セントちよつと割つておりますが、当時は四ドル八十セントを上廻つておりましたが、五ドルを超えては結局生糸は売れないという情勢でありましたので、できればアメリカの五ドルを越さないようにしようという意見がありました。が、それでは余りに内地の価格が安くなるというので、せめてFOBで日本の港を出るときだけでも五ドルをちよつと割つておこうという空気が支配いたしまして、最高価格を二十三万円にきめるというように審議会が答申したような次第であります。  以上が審議の経過でありまして、それぞれ二十三万円と十八万円にきまつたわけであります。只今申上げたような議論が農林当局としても尤もだと思いましたので、大体農林省としても審議会における審議の答申案をそのまま採用いたしまして告示いたした次第であります。
  26. 小林孝平

    小林孝平君 只今の御説明のうち、繭の生産費についてこの審議会に提出されました資料は千二百九十一円と、こういうふうになつておるのでありますが、昭和二十六年春繭の生産費推計は千六百十八円、こういうふうになつておりまして、これを十一月に引き直したという話でありますが、それについても、又詳細資料に基く御説明を願いたいと思いますけれども、その前にこの昭和二十六年の春繭生産費推計の千六百十八円という数字につきまして全養連から算定の誤りを指摘しまして、統計調査部の了承の下に修正いたしまして、千七百八十七円というふうに修正した、こういうふうに伝えられておりますけれども、そういう事実があつたのかないのか。又そういうことがあつたとすれば、この千七百八十七円、この数字に対して政府はどういうふうにお考えなつておるかどうかという点を御説明願いたいと思います。
  27. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 只今小林委員から全養連の千七百幾らという生産費の件について統計調査部が了承したかというお話でありましたが、これは恐らく資料としてお配りしてありまする千六百十八円の統制調査部の推定生産費修正したかと存ずるのでありますけれども、それについて修正の点につきまして、了承を與えた事実はございません。
  28. 小林孝平

    小林孝平君 昨年の千六百十八円を今度千二百九十一円というふうに算出されたのでありまするけれども、昨年の五月以降は一般に物価も賃金も上昇を続けておるのでありまして、繭の生産費は昨年の五月現在のものは千六百十八円であるというのに今年度は繭糸価格安定審議会の資料は千二百九十一円、こういうふうに三百二十七円も、約二割程度低落して、そういう資料をお作りになつておりますが、その詳細資料に基いて御説明願いたい。
  29. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) それでは繭糸価格安定審議会の資料となりました千二百九十一円の御説明の前に、統計調査部で行いました千六百十八円の価格の推定額はどういうふうに計算されたかということにつきまして申上げます。この千六百十八円の推定額はお手許にお配りしてあります昭和二十五年産繭生産費調査結果総和平均、一番下の欄に千二百十九円というのがございますが、これはまだ昭和二十六年の繭の生産費の調査は始まつたばかりでありまして、二十六年の繭生産も漸く春繭に入つたばかりでありまするので、二十五年のこの千二百九十一円を基礎にしまして大体五月頃の物価によりまして、二十五年の調査結果をそのまま補正いたしまして出してあるのであります。従いまして統計調査部の繭生産費は二十五年もそうでありまするが、必ずしも価格形成資料だけを考えておりませず、形成比較とかその他の目的を持つておりますので、調査事項が原価を構成するもの以外の支出、例えば租税で申しますと、所得税或いは事業税、そういうものも含まれております。又一方実際には支拂われていないところの資本利子とか、或いは地代というような計算も行われております。従つて生産費の推定の物価の基礎になりまする時期の相違、こういつた原価計算の理窟から来るところの各費目の取上げ方、そういつた点で違つておりまするので、統計調査部の千六百十八円と繭糸価格安定審議会の千二百九十一円との間には若干の開きが出るのは止むを得ないかと存じております。
  30. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 生産費の議論でありますが、千二百九十一円は、これは二十五年の十一月に調べた価格ですか。千二百九十一円は……。
  31. 寺内祥一

    政府委員寺内祥一君) 千二百九十一円を出しましたのには、昭和二十五年の四月から十一月の平均と、昭和二十六年の四月から十一月の平均を比載いたしまして、その率によりまして先ほどお話いたしました二十グラムから五十グラムまでの統計調査部の調査の千九百三十三円の中から、先ほど申しましたような所得税であるとか、見積資本利子、自作の見積額を除いた数字只今申しました率を掛けまして出たのが千二百九十一円でございます。
  32. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 それと二十六年度春の繭糸産費について千六百十八円とはどういう関係になりますか。
  33. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 千六百十八円のほうの推定をやりましたときの物価は、大体労賃を除いたものにつきましては、四月現在の農村物価調査によつて推定いたしております。それから労賃部分につきましては五月現在を以て算出いたしております。
  34. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 そうしますと、千六百十八円という資料を配られたのはどういうことですか。千二百九十一円を算出されたにかかわらず、何か却つて政府側は……。
  35. 寺内祥一

    政府委員寺内祥一君) 資料を配りました理由は当委員会からこれについて資料を出してくれという御要求がありましたから配つたのでありますが、蚕糸局といたしまして繭糸価格安定審議会に出します資料といたしまして千六百十八円というものは、先ほども統計調査部のほうから説明がありました通り、統計調査部としての推定の数字相当つておりますので、これは全然採用しなかつたのであります。統計調査部で調査しました元の数を十一月の物価指数にスライドするということを蚕糸局としてはやつているのであります。
  36. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 その辺に私ども議論が出て来ると思うのですが、むしろ去年あたりでやつているのは、最近物資の関係も大体ノーマルに還つて参りましたので、むしろ統計調査部のような原單位計算によつて、最近の価格で、むしろ生産費を推定するほうが正鵠じやないかというようなふうに考えているのでありますが、むしろ私は何か説明を聞いておりますと、統計調査部の推定のほうがむしろ最近の情勢に適するのではないかという感じがするのですが、それをあえて蚕糸局の推定のほうがいいということもちよつと理解がしがたいのですが……それから細かい点でありますが、先ほど説明の中に拂つておらない地代を計上しているということでありましたが、自作で行けば土地資本利子として地代の相当分も計上しなければならない、拂つておらないものを計上しているというのがどうも。この点一貫しておらないような気がするのですが……。
  37. 寺内祥一

    政府委員寺内祥一君) 拂つてない地代を見積つたとは申上げなかつたつもりでございますが、何か私の説明が悪かつたのかも知れません。資本利子につきましても見積額を含まない、支拂地代につきましては自作の見積額を含んでおらないという御説明をしたつもりでございますが……。
  38. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 私から申上げました支拂つてない地代と申しましたのは、統計調査部の生産費の調査の場合には資本利子としまして、只今片柳委員からお話のありました自作の場合におきまして拂つたものと仮定した、つまり通常それだけの地代、或いは利子を拂うと仮定した計算も含まれる、但し繭糸価格安定審議会のほうでは、普通の繭価計算要綱のやり方によつてその推定された部分を除いて、或いは支拂つている地代資本利子のうち支拂利息、そういうものだけを計算しておられるようであります。
  39. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 これは念のためにお伺いをしているわけですが、この前の繭糸価格安定法審議の際に、生産費の、例えば一〇〇%をとらないで、何十%をとるというようなことが曾つて方法でとられておつたと思うのであります。それはフルに一〇〇%とつておりますか、とにかく千二百九十一円にしてもどつちをとるかは別といたしまして、一応計算上出て来た生産費をこれは一〇〇%とつているかどうか。
  40. 寺内祥一

    政府委員寺内祥一君) これは先ほども御説明いたしましたように、その生産費基準になりまして、この上値十二割、下値それから七割というところを基準として考えることになつておりますので、この生産費をまるまるは見ておりません。これは審議会のときの、当初私でありませんでしたけれども、速記録を調べましたところによりますと、前局長も、生産費はまるまる見るわけに行かないけれども、ただ合理的に経営するならば、償うであろう生産費を見たいというような答弁をいたしておりますので、まるまるは見ておりません。
  41. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 それはそれでいいでしよう。この千二百九十一円というものを、これが一〇〇%見ておるかどうかということです。
  42. 寺内祥一

    政府委員寺内祥一君) それは一〇〇%見ております。
  43. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 そうすると、今年の米価も大分問題ですが、ここに千二百九十一円と、千六百十八円の間に相当な開きがあるわけですね。仮にこの千六百十八円をとれば、この上値十二割の更に七〇%の価格相当高くなると思いますが、そこでこの統計調査部では、これは何ですか、原単位計算で出しておるわけですか。
  44. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 完全な意味の原單位量によつて計算したものではないのであります。例えば収量とか、そういう点で必ずしも原単位計算を徹底して採用することができませんが、その一部だけを二十五年の生産費調査の原單位量を採用いたしております。
  45. 小林孝平

    小林孝平君 今のこの統計調査部から御説明なつた千六百十八円、それから蚕糸局のこの審議会に出されました千二百九十一円は、今御説明ありましたけれども、もう少し筋道を立てて資料としてわかるように提出して頂きたいと思うのです。まあこれを先ほどから口頭で御説明になりましたけれども、口頭で御説明なさるには資料があるはずだから、詳細な資料を一つ出して頂きまして、それでそれを検討して又審議をやるというふうに一つお取計らい願いたいと思います。今の生産費の点ばかりでなく、例えば生糸製造及び販売に要する経費の五万九千七百六十円、この算出の計算の基礎等についても詳細な資料を一つ、これまで……。
  46. 寺内祥一

    政府委員寺内祥一君) それもこの前差上げたはずですが、この表を差上げてあるはずでございます。21中A格一俵当生糸加工販売費……。  そうしますと、それでは千六百十八円と千二百九十一円の差を極く簡単に御説明申上げますが、これは資料はお手元にあると思います。細かいのが……先ず千六百十八円、Aとなつておりますが、このAの推定額は、統計調査部において、昭和二十六年五月春季における物価により昭和二十五年産繭生産費調査結果を補正し、所得税、事業税等の経費を含む参考値として算出したものであります。それから只今申しましたAと、繭糸価格安定審議会資料の資料として出しました千二百九十一円、即ちBとなつております、との主要な相違点は左の通りであるのであります。  先ず一は、Aは二十五年産繭生産費調査結果の原單位量に昭和二十六年四月現在の価格、労賃については五月現在でありますが……を乗じて算出いたしました。Bのほうは生産期間である四月から十一月の平均価格につき、前年と比較して道すかれた費目別上昇率により、二十五年産繭生産費を補正算出したということであります。それから第二点としまして、Aは昭和二十六年春季において年間を通ずる收繭量を見込んで貫当生産費を算出いたしたのでありますが、Bのほうは、生産費調査結果のうち二十グラムから五十グラムの掃立卵量を持つ農家について、前年の收繭量をそのまま採用し貫当生産費を算出したのであります。第三点につきましては、副産物収入につきまして、Aは桑條、蚕糞、蚕澄については市価のないときは評価しない。ところがBのほうはこれらについてもその使用価値を市価により評価いたしました。次に資本利子につきましては、Aは繭生産に関し参加する全資本について年四分の積数計算を行なつたのでありますが、Bにおきましては調査農家の借入金に対する支辨利子のみを計上いたしたのであります。次に地代につきましてはAは小作地、これは桑園でございますが、小作地に対する支拂小作料のみならず、自作地についても類地の通常小作料によつて地代を計上いたしましたが、Bのほうは、小作地、桑園でございますが、に対する支拂小作料のみを計上いたしております。次に租税公課につきまして、Aは租税公課の全部を計上し、参考的に取扱うことにいたしたのでありまするが、Bのほうは原価件があると認められる物件税のみを計上し、収益に対し賦課される税を除外いたしております。
  47. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今の蚕糸局長の説明資料を当委員会に配付してもらいたいというのですが、なければ明日……。
  48. 寺内祥一

    政府委員寺内祥一君) それでは明日……。
  49. 羽生三七

    委員長羽生三七君) これが出て来るとわかりますから……。
  50. 山崎恒

    山崎恒君 この問題はまだ十分私ども研究しませんから、一つこの質疑は次回に讓つて頂きたいと思います。
  51. 白波瀬米吉

    委員外議員白波瀬米吉君) 一つだけちよつと……。
  52. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 白波瀬さんから委員外発言を求められておりますので、御了承願いたいと思います。
  53. 白波瀬米吉

    委員外議員白波瀬米吉君) 私の今日伺つたのは、もつとほかの問題でお聞きしたいと思つたのですが、これは繭の生産費をきめるのじやなくて、生糸生産費をきめる、生糸価格をきめるのだからいいと思うのですが、生糸のほうは今の御説明の、何ですか二十グラムから五十グラムまでの間の養蚕農家をとつたというのですが、それは反当りどれぐらいの収繭量ですか。
  54. 寺内祥一

    政府委員寺内祥一君) これは二十五年の統計調査部の調査によりまして、二十グラムから五十グラムの農家をとりますると、反当収繭重は十三貫五百九十二匁であります。
  55. 白波瀬米吉

    委員外議員白波瀬米吉君) そのときのこのAのほうは十一貫ですか。
  56. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) Aのほうの反当收繭量は十三貫百四十四になります。
  57. 白波瀬米吉

    委員外議員白波瀬米吉君) Aがですか。
  58. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) そうでございます。
  59. 白波瀬米吉

    委員外議員白波瀬米吉君) Bじやないのですか。
  60. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) Aでございます。
  61. 白波瀬米吉

    委員外議員白波瀬米吉君) Aが十三貫ですか。
  62. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) そうです。
  63. 白波瀬米吉

    委員外議員白波瀬米吉君) Bは何ぼですか。
  64. 寺内祥一

    政府委員寺内祥一君) Bのほうは蚕糸局でありますから私からお答えいたしますが、十三貫五百九十二匁でございます。
  65. 白波瀬米吉

    委員外議員白波瀬米吉君) これだけの收繭量の差であつて、余りにも生産費の違いが大きいじやないですか。
  66. 寺内祥一

    政府委員寺内祥一君) これは先ほど御説明いたしました通り、調査費目について片方は見てあり、片方は除いているというようないろいろなものがございましたので、従いましてこの総計におきまして非常な違いがあるわけでございますから、いずれこれを、只今説明いたしました印刷物を明日御配付いたしますから、それによつて御検討願いたい。
  67. 白波瀬米吉

    委員外議員白波瀬米吉君) 私は繭の生産費をきめるのじやなくて、糸のいわゆる最高最低価格をきめるのだから私はあえて追及はしないけれども、何だかこれの内容説明を聞いておると略算でこういう数字をわざと持つて来られたような感じがして、数年こういうことでやられたら結局いわゆる価格の基礎資料などというものは行詰つてしまつて、前年のとこの次の年のと非常な不合理なものになるのじやないかというような感じを持ちますが、そういうことはありませんか。
  68. 寺内祥一

    政府委員寺内祥一君) 只今説明いたしました蚕糸局の数字は略算して出したものではございませんので…。
  69. 白波瀬米吉

    委員外議員白波瀬米吉君) 余りにもきちつと……。
  70. 寺内祥一

    政府委員寺内祥一君) 決してそういうことはいたしておりません。生産費そのものを出しまして、そうしてそれを十二割とか七割とか生糸最低価格最高価格をきめます場合には、多少いろいろな事情を斟酌しておりますが、ここに出しました生産費は統計調査部の費料とかいろいろな物価指数とか確実な費料に基いて何らの私意も加えないで算出した数字がここに出たのであります。
  71. 白波瀬米吉

    委員外議員白波瀬米吉君) それでありますと、そういうふうにおつしやるのであると非常に僅かに、收繭量がそれこそ極めて僅かより違わんのになぜその価格算定の基礎に用いられた繭の生産費数字に対してそれほどいわゆるいろいろなものを手加減をされるのですか。又それに対してこの八千掛くらいな繭のいわゆる掛目になりますが、これだとそうすると一反当りのいわゆる収入というものが一万六千円くらいの収入になりますが、そういうことで実際の繭の生産費というものが上つているかということはちよつと考えられないですね。
  72. 寺内祥一

    政府委員寺内祥一君) 只今おつしやいましたその八千掛というのは、ちよつと了解できなかつたのでありますけれども、千二百九十一円を掛値に直すと八千掛になるというのですか。
  73. 白波瀬米吉

    委員外議員白波瀬米吉君) そうですよ。大体系十五匁と見たら八千掛……。
  74. 寺内祥一

    政府委員寺内祥一君) 私どものほうはそこまで計算しませんので申上げたのでありますけれども、そういうことになるかも知れませんが、私どものほうといたしましては、先ほど来申しましたように、二十五年の統計調査ができておりますので、それを元にいたしまして、これを二十六年、先ほど申しました通り、二十五年の四月から十一月と、二十六年四月から十一月との平均費目の比率によりまして    〔委員長退席、理事山崎恒君委員長席に着く〕 スライドいたしまして、大体二十六年度の繭の生産費が、この程度が繭糸価格安定法によりましてきめる基礎になる生産費としてこれをとつたのがよかろうということで算定した数字であります。
  75. 白波瀬米吉

    委員外議員白波瀬米吉君) じやもう一つ、それにしましても、それがどうも余りにAとBとの反当りの收繭量がもつと差があるのならこれはよくわかるのですけれども、これは差がないということになつて来ると、そうすると八千掛であつて、而も一反の収入というものは一万六千円くらいの程度ですが、十三員とつて一万六千円くらいに反当り収入で桑を作つて養蚕をやつてそれでそういう程度の生産費で上がるかということはちよつと考えられないと思うのですが、そういう程度で養蚕というものは引合うものだというようなことでお考えなつて奬励されるということになるとなかなか繭はとれないですね、これは何をやつても一万六千円くらいの収入は畑作でありますよ。
  76. 寺内祥一

    政府委員寺内祥一君) 今おつしやいました通り一万六千円というのもちよつと私に了解しかねるのでありますが、大体これを千三百九十一円を基にして計算なすつた数字だろうと思います。これは今までたびたび申上げました通り、これは本当の生産費だけでありまするから、これに収益とか利潤などを見込んでおりません数字でありますので、反当一万六千円という……。
  77. 白波瀬米吉

    委員外議員白波瀬米吉君) 十三貫よりとれなくて、一万二千円ということになつたら、一万六千円になるんじやないのですか。
  78. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 これは明日詳しく質問いたしますが、やはり説明にちつと無理があると思うのですが、二十五年をベースにとつて集計をしていますが、ここに今日波瀬さんも言われたように、余り工作が加えられ過ぎているんじやないかと思います。例えば千二百九十一円が製造工業原価計算要綱に準拠して集計した生産費が千百二十八円とこれを更に物価上昇率を織込んで参ります。これはちよつと今まで米なり麦なりその他の農産物の生産費観念から見て行くと、この辺にちよつと疑問があるので私はさつき千二百九十一円は生産費をフルに見ておりますかと言つて聞きましたのはその点であつて、例えば資本利子がゼロということは到底生産費にはあり得ないのであつて、むしろ相当な現金支出をする農業でもありますので、資本利子がゼロであるとか、それから地代が、統計調査は二十七円が僅かに七円、これは小作地、自作地両面を通じてやつておるのです。ですからこれは何も現実に小作料を拂わんでもそれ相当の土地資本利子を計上すべきであつて、ですからこの方面の説明をもつと合理的に説明して頂かんと……、今日はこれ以上は質問はいたしませんが、その辺を説明して頂かないとどうしても理解ができないので、その辺をもう少し突きつめて明日説明して頂きたい。
  79. 寺内祥一

    政府委員寺内祥一君) 例えば今資本利子についてお話がありましたが、統計調査部の調査によりす戸数の中から算出して得た二十グラムから五十グラムの農家につきましては、資本利子を拂つた例がないのでありまして、たしか五十銭……一円以下の数字が出たのであります。この調査によつて出て来た農家につきましては、こういう資本利子を拂つた例がなかつたので零となつたのであります。
  80. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 そういうことを言つておると、これは大分疑問になるのですが、拂わんでも、要するに農家の現金支出にどの程度の金利を見るか疑問でありますけれども、貸付金で見るか、或いは預金金利で見るか、或いはその平均金利で見るかは疑問でありますけれども、相当の現金支出をやつておることは事実ですから、その現金支出に対する利子というものを見なければ辻棲が合わないので、その点を明日又一つ合理的にして頂きたいと思います。
  81. 山崎恒

    ○理事(山崎恒君) それでは今日はこの程度でよろしうございますか……。では本日はこの程度で閉会いたします。    午後三時三十三分散会