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1952-02-12 第13回国会 参議院 農林委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月十二日(火曜日)    午後一時四十一分開会   —————————————   委員の異動 二月十一日委員白波瀬米吉君辞任につ き、その補欠として森田豊壽君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            山崎  恒君    委員           池田宇右衞門君            瀧井治三郎君            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            飯島連次郎君            島村 軍次君            三橋八次郎君            松永 義雄君            三浦 辰雄君   委員外議員    決算委員長   岩男 仁藏君   政府委員    農林大臣官房長 渡部 伍良君    農林省農政局長 小倉 武一君    食糧庁長官   東畑 四郎君   事務局側    常任委員会專門    員       安楽城敏男君    常任委員会專門    員       中田 吉雄君   説明員    大蔵省主税局税    制課長     泉 美之松君    国税庁直税部長 原  純夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○派遣議員報告農林政策に関する調査の件  (いも作及びでん粉業維持育成に関  する件)  (昭和二十六年産米超過供出に関す  る件)   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより委員会を開会いたします。  最初に御報告いたしたいことがありますが、農林委員白波瀬議員が辞任されまして、新たに森田議員が当委員会委員になられましたので御紹介いたします。
  3. 森田豊壽

    森田豊壽君 どうぞよろしく。   —————————————
  4. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 日程の第一は派遣議員報告の件でありますが、御承知のように第一班は福岡宮崎。第三班は鹿兒島大分。第三班が香川、徳島へそれぞれ過般御出張願い、現地調査を行われましたので、本日は先ずそり御報告を求めることにいたします。最初に第一班の御報告山崎委員からお願いします。
  5. 山崎恒

    山崎恒君 私ども本年一月十一日から片柳委員松浦委員と私の三名でありますが、宮崎福岡農林関係災害復旧状況及び二十六年度の産米供出状況実情調査いたしたのでありますが、その結果の大要を御報告申上げます。  十一、十二日は福岡県を、十三日より十六日までの四日間は宮崎県を詳細に調査いたしました。調査方法といたしましては、県、市、町村当局及び各県の食糧事務所及び同支所より農林関係災害復旧実施状況及び昭和二十六年産米供出状況について説明を聽取した後に、両県下現地に赴きまして、復旧状況及び供出状況を日時の許す限り詳細に実地調査いたした次第であります。  先ず福岡県の状況について申上げますと、福岡県の二十六年度災害の主なるものは、七月の梅雨性豪雨及びルース台風によるところの災害でありまして、その他は福岡県特有の鉱害によるものであります。梅雨性豪雨及びルース台風被害額は、治山関係四億二千四百四十一万六千円、林道関係一億二千二百万円、耕地関係は八億三千八百一万四千円という莫大な額に上つておるのであります。その復旧状況について過年度災害に関するものと併せ申上げますならば、二十四年度及び二十五年度の復旧状況は、治山関係一八%、林道関係三六%、又二十六年災害復旧状況は、治山関係五%、林道関係五%という極めて微々たる有様であります。  次に鉱害復旧状況について申しますれば、陷落水沒により不毛田となつているもの及び減收田となつているものを合せれば、米麦減收量は年二十二万八千石余りであつて、その復旧費見込額としては百二億四千二百万余円が必要とされておりますが、その復旧は遅々として捗らず、それでも特別鉱害については多少でも復旧が実施されておりますが、一般鉱害については殆んど復旧を実施するまでに至らない実情であります。  次いで現地状況簡單に申上げますと、排水ポンプ完成いたしました鉱害地遠賀川沿岸の陷落地は非鉱害地と同様な作物生育状態が見られ、未復旧鉱害地惨状と比べ極めて対蹄的で、鉱害復旧問題の重大性を痛感いたした次第であります。又唐原村溜池の復旧工事予算等関係かち極めて幼稚なる原始的方法をとつておりますので、来る雨期までに果して間に合うかという疑念を抱かされました。特に考えさせられましたのは蓑島村の干拓事業であります。これは殆んど八分通り完成いたしながら、昨年の台風により甚大な被害を受けたのでありまして二のことより国の経費使用方法に大いなる反省をすべき余地あるを痛感いたした次第であります。  次に福岡県の二十六年産米供出状況は、二十七年一月九日現在で割当量八十九万九千八百石に対し買入数量五十三万二千四百八十石、即ち五九・一%の状況で、昨年同期の四九・七%と比べ良好な現状でありますが、県当局説明によりますと、今後の供出は相当難航するであろうとのことでした。特にまだ町村別割当の済んでいない郡が当時二郡ある有様でありました。県当局説明によりますれば、当初の実收見込高は二百十八万石でありましたが、七月の梅雨性豪雨、八月一ぱいの日照で夏うんか秋うんか等病虫害発生、十月十四日のルース台風局部的降雪及び冷害と度重なるところの災害の続出によりまして、県当局といたしましては百七十六万四千石を実收と推定し、七十一万三千石を供出可能の数量推定関係方面減額補正要望せざるを得ない実情であるというので、災害の最も甚大でありました京都郡及び築上郡の各町村を視察いたしました結果、福岡県の減額補正要望には諒とすべき点が多々あることを痛感いたしましたので、現地におきまして非公式ながら私たち三人の名を以て食糧庁長官及びその他の関係者福岡県の減額補正善処方を電信によつて依頼いたした次第であります。  次に宮崎県の農林関係災害復旧実施状況について申上げますると、二十六年度災害の主なるものはケイト台風ルース台風及びそれに伴うシラス災害によるものでありますが、ケイト台風及びルース台風耕地林道及び造林の被害額は十一億二千三百五十四万三千円の多額に上つております。その上過年度災害の未復旧残額が二十三年度災害三千九百七十八万九千円、二十四年度災害八億五百四十五万三千円、二十五年度災害十四億四千五百八十七万円、合計二十三億三千六百十二万二千円の莫大な額に上りますので、如何に復旧が進捗していないかということを十分窺い知ることができたのであります。  現地について簡單に申上げますならば、東臼杵郡北川村は戸数千七百十三戸の半山半農の村でありますが、年々襲い来るところの台風被害は極めて莫大で、その復旧状況を村を流れるところの北川によつて見ますると、いわゆる膏薬貼りの復旧方法でありまして、次の台風には又弱つている個所より決壊いたしますので、復旧個所の破壊されることは疑う余地のない状態でありまして、国の経費使用方法に疑問を抱かざるを得ない次第であつたのであります。  又兒湯郡川南村の開拓建設事業昭和二十一年四月一日から施行し、同二十八年三月三十一日完成の予定でありますが、完成後は甘藷及び麦の生産完成前に比し約倍額の増收を目指し目下鋭意工事を進行中であります。  次に都城市及び附近シラス地帶災害について御報告いたしますというと、全国有数災害県たるところの本県において、これら特殊土壌地帶における被害状況農業低位生産性とを見るならば、これは他県に比して全くり独特のものと言うべく、特に都城市及びその附近シラス災害惨状は全く目を覆わしめる状態でありました。併しその後復旧方法及び防止方法も一応の対策が立てられていて、多少なりとも復旧及び防止事業が進みつつある現状でありましたが、到底抜本的な対策とは称することができない糊塗的なものであるのであります。  次に宮崎県の昭和三十六年産米供出状況は十七万八百石の割当に対し、一月十日現在で買入数量十二万四千六百二十石即ち七一・二%の率で、全国平均八四%に比し余りかんばしくない状況でありまして、減額補正要望は強く、昨年十一月二十八日県の郡市別割当会議の際、農業委員会は適正妥当な減額補正最善方法を講ずること、正当な農家保有米確保すること、五等米買上げ数量枠拡大には最善方法を講ずること等を決定いたすと共に、供米強権発動の場合は委員会に諮つて発動すること、保有米を割つてまで供出を強要しないこと、適正減額を強力に政府に要請することなどを附帶條件として割当を了承したような次第であります。当県の作況は当初は好天候に惠まれ、順調な生育でありましたが、六月三十日及び七月一日のケイト台風、七月二十日以来八月十四日に至る早天続きの大旱魃のところに九月以降は低温寡雨寡照に経過し、加えて近年稀に見るところのうんか白枯病及びいもち病発生により例年より一週間乃至十日間生育が握れ、変色籾が多く見受けられていたところ、十月十三日及び十四日のルース台風の来襲により大被害を蒙り、前年に比し六万一千二百石(農林省農業改良局統計調査部公表)の減收なつた次第であります。その減額補正要望現地調査した結果納得できる点が多々あつた次第であります。  以上が福岡県及び宮崎県の現地調査大要でございますが、最後に、痛感いたしました点を申上げて見たいと存じます。その第一点は災害復旧方法であります。即ち僅少ながら総花的に補助金を交付するほうがよいか、或いは重点的徹底的の復旧方途を講ずるがよいかの問題であります。これについてはいろいろ論議もありましようが、このたび私たち現地調査の結果痛感いたしました結論は、是非とも電点的な方途に徹するほうがよいのではないかという点であります。  第二点といたしましては、第一点と関連してその具体的実施方法でありますが、財政的事情もありましようが、できるだけ短期間に復旧完成すべきだと思うことであります。そうでないと復旧途上で再び災害で御破算になる危險が多いのであります。現地の希望としては災害第一年度には三割を、第二年度には五割程度を、三年目には完成させるべく復旧方途を講ずべきであるということであります。  第三点は災害復旧現状を見るに、軍に原状復帰が眼目で、防災的見地に立つてつていない結果、再び災害でやられる危險が多いことで、災害復旧の場合に建設的な防災の趣旨を加味すべきだということであります。  第四点といたしましては、供米についてでありますが、農林省統計調査部数字のみで一方的に供出割当をなすべきでなく、農業委員会及び農林省食糧事務所数字も考慮して適正妥当なる決定をなすべきにではないかということであります。  第五点といたしましては、災害地減額補正の問題でありまするが、これは比較的豊作であつた地方超過供出奬励方法を強く講じ、以て最大限の超過供出を求め、これら災害地の負担をできるだけ軽くすべきだということであります。  以上簡單でありますが、御報告を終ります。
  6. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 続いて第二班の報告西山議員にお願いします。
  7. 西山龜七

    西山龜七君 御報告申上げます。議員派遣につきまして私どもが参加いたしました第二班の大要を御報告申上げます。  私どもの第二班は飯島委員、三橋委員、私、安楽城專門員及び星野調査員の五角によつて組織せられまして、澱粉工業状況及び米麦統制実施状況調査目的として去る一月十三日から一月二十日まで八日間鹿兒島及び大分の両県に派遣せられたのであります。  先ず澱粉工業状況について御報告申上げます。すでに御承知のように、政府は昨年八月三十一日の閣議了解事項によりまして業務用砂糖割当廃止し、政府が所有する砂糖の一部を競争入札に上つて売却し、かくして売却せられた砂糖統制を解除することを決定して、すでに昨年十月以降月々一万五千トン程度砂糖競争入札に付しておるのであります。さような措置によりまして、市場における砂糖需給は緩和せられまして、その価格は低落したのであります。その結果戰時、戰後に亘り砂糖需給が逼迫しているとき、甘味資源といたしまして重要な役割を担つて来ました水飴葡萄糖が大きな打撃を受けまして、その需要減退し、これが価格が低落し、延いてはこれが原料である澱粉に重大な影響を及ぼし、現状を以てするならば澱粉業は担当の出血、倒産も避けられないであろうと憂慮せられる情勢に陷り、これをこのまま放任するにおきましては、我が国畑作の大宗であるいも類需給及びその価格に重大な影響を及ぼすことになるのでありまして、これは我が国農業上看過することのできない重要問題であるとして世論の重大な関心を惹起するに至つたのであります。而してこの問題の所在はおおよそ次の諸点に要約できると考えるのであります。即ち  (一) 民生の安定を期するためには甘味資源を極力廉価且つ豊富に供給しなければならない。  (二) 併し甘味資源の給源を外国産砂糖輸入に対して手放しに依存することは国内産業育成及び貿易收支均衡等の観点から適当なことではない。  (三) 併して水飴及び葡萄糖国内において生産される重要な甘味資源であつて、これが生産育成、助長することは、前にも述べた見地から重要な事柄である。  (四) 国内において水飴及び葡萄糖生産育成助長することは、單にそれ自体のために必要であるばかりでなく、これは農村工業の中枢をなす澱粉業発展に資して農村経済作與に寄與し、更に重要なことは、農業経営の基盤をなすいも作維持育成して、農家経済の安定を期するため絶対に必要な條件をなしている。  ということであります。而してこの問題の対策は、応急対策恒久対策とに分けて考えられ、応急対策としては、差当つて昨年産の比較的値段の高い原料いもを以て生産された比較コストの高い澱粉のストツクを如何にして処分するかの問題であり、恒久対策としては、今後砂糖との競合において如何にして水飴及び葡萄糖生産育成し、延いて澱粉業を、そして終局的にはいも作維持を図るかにあるのであると考えられるのであります。これらの問題について現地事情調査し、その対策について現地の意見を聽取せんとするのが今回の現派遣目的であります。  先ず鹿兒島県下事情についてでありますが、甘藷本県の持つ立地條件より農業経営上極めて重要な地位を占め、その生産作付面積約三万八千町、收穫高一億四千五百万貫、その農業收入約四十億円に近く、米に次いでおります。これと並行して澱粉業においても、昭和二十三年、工場数百七、原料甘藷処理能力四千四百万貫、原料入荷数量二千万貫でありましたのが、昭和三十六年には百七十三工場原料甘藷処理能力五千五百万貫、原料入荷数量三千八百万貫と飛躍的な発展をなし、現在本県産業中その首位を占め、本県農産加工から澱粉業は絶対に除外できない状態になつております。然るに澱粉統制廃止に引続いて砂糖事情変遷澱粉業に大きな圧迫となり、このまま推移するならば澱粉業を壊滅せしむることとなり、これが甘藷件に及ぼす影響を考え、その前途を憂慮し、関係者に大きな衝撃を與えている状況であります。而して鹿兒島県澱粉加工歩留りが二二乃至二三%で、全国中他の地方に比して高く、澱粉業は有利な地位にあるのでありまするが、かかる地方においてさえかような状態でありますから、他の地方は推して知るべしであると考えられます。かような事態に対処して、現地においては澱粉生産及び消費合理化に関する研究の一助として、昭和二十五年、六年の二カ年継続を以て県費四百四十万円を補助し、財団法人鹿兒島甘藷科学研究所を設立する等の努力を拂つておるのでありまするが、併し社会経済大勢に対しては、一県の施設のみを以てしては抗し得べくもない状態でありまして、次のような事項が極めて熱心に要望されております。即ち第一、現在県下澱粉業者のうちには小資本のものが多く、且つ企業の性格から短期操業であるので、自力を以てしては科学的研究を行うことが不可能であるから、国又は県から助成せられたい。  第二、現行の澱粉資金貸出制度では五〇%を自己資金で賄わなければならないことになつてつて資金面においては非常な困難があり、採算を無視して資金の償還を行わなければならない状態であるから、これを改めて、できるだけ長期資金を融通して、有利なときに販売することができるようになつて、而してその結果を原料いも価格に及ぼし、以ていも作農家経済を安定せしむるように措置せられたい。なお差当つて澱粉関係工業協同組合が昨年産澱粉生産資金として農林中央金庫の特別融資によつて商工中央金庫から借入れている資金返済期限は来る二月末となつているが、最近の澱粉事情に鑑み、これを五月末までに割賦返済するよう延期せられたい。第三、水飴葡萄糖及び麦芽糖物品税を全廃せられたい。第四、砂糖行政について、当面の問題として(一)入札の底値を少くとも一貫当り七百円に堅持すること、(二)実需にマッチした売却をなし、売却数量の急激な増加を避けること、(三)業務用砂糖随意契約は既定以外のものは認めないこと等の措置をとり、根本的には砂糖行政の急激な変化を避け、漸進主義をとり、砂糖政府管理継続せられたい。  第五、澱粉原料いも価格酒類原料いも価格との調整を図られたいこと。  第六、政府において適正価格を以て澱粉備蓄食糧として買上げる等の方法によつて澱粉価格支持政策をとられたい。  第七、いもに対する恒久的政策を確立して、いも生産確保安定せしめると共に、これと関連する澱粉業を助長育成せられたい。  第八、砂糖輸入は貴重な外貨で賄われるのであるから、極力国内産の甘味料の利用を促進する政策を講ぜられたい。等であります。  次に大分県の事情を申上げます。本県における甘藷の栽培は、九州県中福岡県と共に最近最も飛躍的に増大して、戰前に比べて大体二倍に達し、昭和二十六年度における作付面積は八千町歩余、收穫高二千七百五十万貫余でありますが、澱粉業先進県である鹿兒島県に見られるような古い歴史はなく、戰時中僅かに一工場を数えるに過ぎなかつたのでありますが、終戰直前農林省奬励、助成によつて増設せられ、昭和二十六年における澱粉工場工場原料甘藷消化力一千万貫、原料入荷数量四百三十二万貫、澱粉生産高七十三万四千貫、その額約一億七千六百万円余に達しております。鹿兒島県のような大生産地は勿論でありまするが、又本県におきましても甘藷作がかような増反を見た現在、畑作地帶においては農業経営上極めて重要な農産物となり、他に適当な転換作物がない現状においては甘藷需要減退及びその価格の下落が農家経済に及ぼす影響は深刻なものがあるというので、甘藷作の安定が強く要望せられ、澱粉原料としての甘藷消費に大きな期待を寄せ、澱粉業の将来に重大な関心が拂われております。而して砂糖事情変遷によつて惹起せられた情勢の不安に対応して鹿兒島県同様次のような事柄が特に強く要望せられているのでありました。  第一、現在の砂糖事情においては澱粉業の存立を不可能とすることとなり、この結果はいも作にしわ寄せせられることは必至である。然るに大分県の場合、いもの増産も又澱粉工場の新増設もすべて政府奬励によつて実行せられたものであるから、これらが悲境に陷ることのないよう政府において責任ある対策を講ぜられたい。而しこれがためには砂糖輸入並びに入札を計画的に行い、水飴及び澱粉需要及び価格維持を図り、以ていも需要価格の保持に努め、いも作農家の安定を図られたい。  第二、いも検査を実施して、その品位の向上と取引の便益とを図られたい。なおこの点について大分県の澱粉加工歩留りは一七%であつて九州としては実に低いものでありまして、この原因は品種の関係にもありまするが、又品質が劣り、工場搬入する内容量不足による目減りが多いことにもあると言われていることは注目すべきことであると考えられます。甘藷検査については農林省大分食糧事務所では県の方針さえ決定すればいつにても検査を行うことができると言つておりましたが、県としてはその必要を感じてはいるがその実行に問題があるとの理由によつて方針が未だ決定していないが、速かに検討するとの意向でございました。  第三、水飴葡萄糖及び麦芽糖等物品税廃止せられたい。  第四、砂糖入札乃至自由販売制による水飴需要減退及び価格の低落を防止するため速かに適当な対策を確立せられたい。  第五、アルコール工業関係ではいも価格にマツチしてアルコール価格を定められることとなつているが、澱粉業についてもかような措置がとられたい。  第六、澱粉に対し金融の便を図られたい等であります。  すでに御承知のように澱粉業今日の問題はその処理如何によつて我が国いも作に重大なる打撃を與えることとなり、その結果が我が国農村経済に及ぼす影響は誠に憂慮すべきものがありまして、我が国農政が当面いたしておりまする極めて重要な問題であると考えられます。時間の関係がありまして今回の報告は極めて簡單でありますが、併し問題の所在については一応御了解が得られたことと存じます。どうか当農林委員会におかれましても、速かに適当な対策が確立せられますよう御壷力を頂きたくお願い申上げます。  次に米麦統制実施状況について御報告を申上げます。この問題はかねて重要な政治問題となつておりまして各方面においていろいろな毎度から研究せられて来たところでありまするが、この機会にこれらの地方事情調査いたしたのであります。今回調査いたしましたところによりますと、大要次のようであります。  先ず鹿兒島県におきましては、当面しました昭和二十六年米の供出に関して一カ月余に亘る旱魃病虫害発生とによつて相当減收が予想せられていたところ、十月十四日のルース台風によつて曽有被害を受け甚だしい減收を来たして供出可能量見込が立たない状態となり、その上米麦統制廃止の声明に伴つて供出確保は甚だしく危惧せられたそうでありますが、一月十日現在の供出率割当量十五万三千六百石の八三・九%に達しております。併し割当の基礎をなしている推定收高は県の調査を無視した苛酷のものであつて農林省指示飯用保有率を引下げて割当している状態であると訴えておりました。又供出完遂奬励金の運用について予算不足を来すのではないかと懸念せられておりました。統制撤廃の可否については大勢において概要次のような意向が述べられておりました。即ち、  第一、本県のように国南遠隔の地に位し、耕地に乏しくその地方が概して低く年々の災害によつて肥料の投入も手控えとなつており、食糧県内生産はその需要を賄うことができないため必要な食糧相当量県外からの搬入に待たなければならない消費県においては米麦統制廃止は県民の生産を不安に導く可能性が強い。  二、極めて零細な本県農家経済実情からして、政府一定価格による買入れの保証によつて農業経営が安定するから供出割当制度が望ましい。  三、米麦を分離した統制撤廃米食率の不均衡等から見て適当ではない。  等でありまして、大体として米麦を通じて統制継続が望まれております。併し現在行われている統制方法には改正の必要が認められておりますが、併しこれらの事情については時間の関係上今日は省略さして頂くことといたしまして、ただ当面の問題としてルース台風被害の激甚であつた事情に鑑み、農業手形の決済を緩和せられるよう、又肥料特に過燐酸石灰搬入確保について特別の措置がとられるよう要望せられておりましたことを御報告いたしておきたいと存じます。  続いて大分県の事情大要を申上げます。当面昭和二十六年産米供出については、昭和二十六年は病虫害、冷害、ルース台風によつて稀有の減收を来したのにかかわらず昭和二十五年度産の供出割当よりも五千石多く割当を受け、県民の納得のできない過重割当の上に、統制撤廃の声明によつて供出意欲は極度に低いと言われておりました。統制の可否については、いろいろな意見が述べられ、これを要約すれば、一、統制の可否は諸般の農業政策が前提條件となるのであつて、これが明らかにせられない限り、結論しがたい。二、統制を外す場合は、あらかじめ十分な準備を整えて、その上適当な時期に外すべきである。三、米麦は一体として考うべきであつて、麦の統制を外せば米の統制も自壊するから、一方的に考えるべきではない。四、麦類の委託加工工場政府の強要によつて設けられたものであるから、この善後措置は遺憾なく講ぜらるべきであつて、麦及びその加工品の統制が行われている限り委託加工が行わるべきである。買取加工となる場合は買取資金を融通すべきである。五、闇米によつて小麦粉の配給辞退があるのは奇現象で、これは供出割当が適正を欠いているからである。六、米の生産者は統制廃止に不安を持つていて、一応統制廃止に反対している。米麦価格支持政策が確立されなければならない。七、日本経済現状では、自由資本主義経済は成り立たない。又食糧不安の現状においては統制は暫らく継続せらるべきであるが、その方法研究を必要とする。八、割当供出制度がいろいろな問題を持つているので、この際自由供出制度を採用すべきである。而して米価は米の生産費を基準として早期に決定せらるべきである。九、米価を余り引上げることは困難であるから、土地改良等コストを引下げる対策を確立すべきである等がこれであります。  米麦統制の問題は更に今後の問題として論議せられることになるであろうと存じますが、一応調査の概要を報告申上げます。以上であります。
  8. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 最後に第三班の報告を池田議員からお願いします。
  9. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 第三班(四国班)の現地調査の結果を御報告申上げます。  四国班は鈴木委員御病気のため、松永委員と私で、香川、徳島の農業経営実情と、農業協同組合の実態を見て参りました。先ず高松に着き、県庁で県下農業実情と、農業協同組合の一般的な動向について資料によつて説明を聞きました。御承知のごとく香川県は大阪府に次ぐ面積の狭い県で、耕地約五万町歩、一戸当りの耕地面積は水田四反二畝、畑一反三畝、計五反五畝となつております。併し県の経済農業を主とし、農業政策は県政の最も重要な部門となつております。香川県農業の特質は溜池灌漑の多いことで、全国平均では七〇%が河水を灌漑に利用している現状にありますが、香川県では七〇%が溜池による灌漑で、僅か一三・八%が川から水をとつております。従つて大小溜池の数は極めて多く、大きなもの三万、小さなものを合せると五万と言われております。このため河川洪水による災害ば少いが、早書には困つております。この対策としては、四国総合開発計画の一環として、徳島県の吉野川の水を隧道で引き、発電に用いた水を灌漑用に用いるほか途がなく、目下この計画の実現に努力しておる状態であります。県下には開拓の余地がありませんから、これによつて水源を得れば溜池を水田化できるし、耕地の拡張と、二、三男の対策に資するところ大であると言われ、県ではこの水源開発に力を入れております。このように面積の小さい県ですが、食糧増産の余地はまだあり、土地改良、病害虫防除対策に努力しているようであります。特に香川県は耕地を酷使する結果、秋落田が多く、約一千町歩あり、県ではこの対策として家畜導入による有機質肥料の補給に努めておりますが、秋落田対策のため、積雪寒冷單作地帶振興法のような單独法によつて、早急にこれが改善を図ることのできるような立法処置を要望しておりました。又家畜導入資金措置についても目下立法中ではありますが、特段の御盡力を賜りたいと申しておりました。  土地改良については、団体経営土地改良の補助対象面積が大き過ぎますので、五町歩、十町歩の線まで引下げ、小規模土地改良にも補助の途を拓いて欲しいとの要望が強くありました。この点委員会でも御盡力を特にお願い申上げます。  このように香川県では地方維持のため畜産を奬励し、畜産振興三カ年計画を立て、各地方事務所に畜産技師を置いて、品種改良、和牛の乳牛代替等に努めております。畜産資金として県費一億を県信連に予託し、家畜購入資金を融通しているほか、仔母牛の産んだ優良な仔家畜の貸付を行い、その家畜が大きくなつて産んだ仔を返すというような、家畜貸付予託制度を実行しています。  元来香川県は農村副業として藁工品、特に叺の生産が盛んですが、原料たる藁を飼料、肥料に使用する分が少くなり、この意味で藁の使用方法が問題になつております。  戰後の農業経営で変つた点は、蔬菜、果樹生産が盛んとなつたことであります。京阪神市場に近いので、西日本の新興園芸県としてみかん千五十三町歩、「もも」三百六十六町歩、「かき」三百四十二町歩、「りんご」百七十五町歩、「しろうり」二十町歩、早掘甘藷二十町歩等が生産されており、集約的農業経営が典型的に発達しています。このため県の改良普及事業は大いに力を入れ、水田三毛作の普及のための水稻晩期栽培の研究等が行われており、その実現には見るべきものがあるようであります。  県の農業協同組合は信連と経済連があり、指導連はありません。農協再建整備の進捗状況について申上げますと、奬励金交付対象組合の対象となつているものは、総合單位組合百八十三組合のうち十七組合であり、連合会では県経済連と大川郡畜連の二つであります。再建整備に至つた原因を見ますと、前述十七組合のうち六組合は不正事件によつて惹起されたもの、他は不良資産と経営放漫によるものであります。このうち十組合は村内不和、政治的対立が組合経営に惡影響を及ぼしたものであります。県では再建資金一億を融資し、再建整備委員会を組織してこれが指導に当つておりますが、出資増加は順調で、不正事件、村内村立等も順次解決、妥協を見つつある実情にあります。  香川県の経済農業が主で、塩が副とされておりますので、坂田市の製塩事業を視察して参りました。製塩業は農業と密接な関連を持つており、製塩労力も農業と兼業で行われております。併し製塩業は災害を蒙ることが多いので、固定設備の更新に莫大な資金が要りますので、国家の特別の融資により斯業の発達と、塩輸入の軽減、塩価の高騰防止に盡してもらいたいとの要望がありました。  次いで県下の優良組合たる郡家村の農業協同組合を視察し、農協の振興発展について種々懇談する機会を得ました。前農林委員の三好議員も同行され、極めて和やかに農協の当面する諸問題について研究することができました。同村は戸数七百七十三戸、うち農家六百五十六戸、琴平平野の中央に位する純農村で、組合長は県会議員を兼ねた新進気鋭の士であります。全国でも有数な叺生産地で、叺早織りに優勝した村であります。産業組合時代は不振組合であつたそうです、組合精神の普及徹底に努め、年三、四回の部落懇談会により先ず貯金の増加に努め、大口貯金を殆んど銀行等から回收したことによつて組合振興の基を築きました。現在肥料は一〇〇%組合で購入し、年七十万枚の叺も一〇〇%組合で販売しており、この代金だけでも殆んど農手を利用しなくても済むようであります。組合員の組合理事者に対する信任厚く、理事改選ごとに倉庫かその他の建物が一つ殖えて来ていることもこの組合の誇りとするところであります。ここでの懇談会では、土地改良事業に対する補助金の安拂いが甚だしく遅れているから早く届くようにしてもらいたい。農協の固定資産税、法人税の軽減と、農家の固定資産税は再考を要するとの声が高く、供出の中間経費が高過ぎる。改良普及員は農協に直結し、組合直営にすることが必要であるというような意見がありました。御一考を煩わしたいと思います。  第二日は、小豆島に渡り有名なオリーブの栽培採油施設等を見学し、再建組合として目下整備中の渕崎農協を視察しました。この組合は半農半商の組合員からなり、資金需要の多い組合で、昔から信用事業の発達した組合でありましたが、永年勤続の專務理事が村内の有力者である業者、商人に合計三百九十万円の超過貸付けを行いましたが、回收不能となり合計四百二十万円の欠損金を出したため、昭和二十二年貯金拂い停止を行い再建組合となつたのであります。このため組合は不良貸付担保の獲得、役員の強制義務貯蓄等を実施し、新旧勘定を設けて漸次貯蓄拙い停止を緩和し、着々再建に努力し、再建整備の成績極めて良好な組合となつております。この組合の再建整備状況を見ますと、農協の経営、特に信用事業は專務理事に任せ切りではいけないということ、回收不能の不良貸付ができた場合も、役員、組合員一体となつて冷静沈着、飽くまで組合を信頼して再建に協力することが必要でありまして、このため部落懇談会のような組合員の集会をしばしば開いて再建状況をよく了解せしめる必要があることを教えております。幸いこの村は村長初め役職員にも人を得て再建に成功した一例と思われます。なおこの島を西に流れている伝法川に防災溜池を作り、災害防止と村内灌漑用水の確保に費せんとする計画があり、小規模という点で問題となつているようですが、これが補助事業としての認可を要望しており、又島の航路たる関西汽船の航路補助により渡航回数をもつと増して欲しいという要望がありました。村にとつて切実な問題と思われますので、各位の御盡力をお願いしたいと思います。  次いで徳島県を視察いたしました。徳島は耕地面積四万五千町歩、そのうち水田二万七千町歩、畑一万八千町歩で、農家戸数は八万三千戸でありますから、農家一戸当りの耕作面積は五反四畝であり、香川と同じく集約経営を余儀なくされております。従つて耕地は適地適産主義でよく利用され、養蚕、茶、こんにやく、筍、煙草、蔬菜、花卉等がとり入れられ、副業としては藁工品が盛んであります。特に阿波大根を漬物に加工して出荷する等農村工業、農産加工も盛んとなつて参りました。併しこのような耕地の集約利用は金肥の過重と相待つて地方減退を来たし、酸性土壌二万七千町歩、秋落水田一万八百町歩に達しております。特に先般の南海震災による地盤沈下は、県南の平坦部海岸寄りの美田を塩害による低位生産水田とし、これが塩抜き、客土のため大規模な土地改良事業を必要としており、県農業振興対策上の重要問題となつております。  徳島県の農業は気候地勢によつて大体三つに区別することができます。雨少く日照時間長く経営規模の比較的大きい吉野川流域の農業地帶と、雨の多い県南平坦部、雨が少く日照時間も少く、経営規模も小さい北部山間農業に分つことができ、農業経営の形態もそれぞれ特色を持つております。即ち吉野川流域の農業は一戸当り経営面積が県南の農業地帶よりやや狭いが、戰後蔬菜、花卉等をとり入れた商的農業が発達しており、県南では米麦作を主とし、叺製造等藁工品が盛んで、大根、白楽、筍等の栽培が盛んであります。山間部は平均耕地四反余、麦、こんにやく、煙草等、畑作農業を主とし、養蚕や「こうぞ」、「みつまた」、椎茸等林産と結びついた集約経営が行われております。従つて我々は先ず県南と吉野川流域の農村及びその農業協同組合を視察することといたしたのであります。  なお県下農業組合の現況と再建整備状況を見れば、連合会九、單位組合三百六十八で、單位組合のうち半数は健全、半数は不健全と言われ、農協育成には格段の努力が必要であるとのことであります。このうち再建整備法に基いて農林省から指定されました整備組合は六十一、連合会は三つとなつております。併し單位農協に対する政府の財政的援助は極めて少額で、十万円以上政府から奬励金を受ける組合は僅か十七組合に過ぎないといわれ、県から派遣された特別指導員の一ヵ月分の経費にも満たない組合も三組合あります。県では單位組合に対し増資奬励金と同額の増資助成金を交付していますが、なお不十分でありますので、同法十條中の補助率を三倍程度引上げられたいと要望していました。再建整備のため役職員の練成、町村軍協の合併促進等に努力しているが、要は優秀常務役職員の養成が必要であるので、養成費、養成施設費等に対し相当程度の補助の途を開いて欲しいとの要望がありました。その他一般農政に関しては、麦の統制撤廃の場合は麦集荷資金を十分考えて欲しい。又、自作農維持資金及び農協に対する農業会からの引継資産に長期資金の貸出しを是非やつてもらいたいとの要望がありました。  徳島県での第一日は、県南新野町を視察しました。その町は千二百戸ほどの農村町で、農家が七百六十一戸あり、水田四百六十九町歩、九千四百四十七石の米を生産し、四千二百六十五石を供出している村で、麦も二千石を供出しています。町民の七〇%は農業に従事し、一戸当り平均七反、水田五反二畝弱といわれ、徳島県下では経営規模は大きいほうであります。大阪市場に近いのと、気候温暖で作物栽培に適するので、筍の速成栽培、椎茸栽培等のほか、番茶製造、みかん、グリンピース、福神漬等の農産加工もやつており、観葉、果樹栽培や酪農も盛んであります。このように收入も多方面から入つて来ますので、農家の経済も豊かであり、町も昭和二十五年町債で新庁舎を建てており、豊かな町のように思われました。筍の速成栽培をやつている農家を見て参りましたが、竹藪に電熱線を張り、電力で熱を與えており、一月という寒中にも筍が出ておりました。その他改良普及員の技術指導の下に椎茸の速成栽培、百合、チユーリップ等の油紙栽培をやつておる等、集約的な農業を営んでおりました。農家は皆立派な瓦屋根の家が多く、農家経済も豊かに見えました。  この村での要望を聞いてみますと、農業共済の掛金が高いから掛金を安くしてもらいたい、災害のない場合には割戻制度を考えて欲しいという要望があり、災害復旧補助金の支拂が遅れているから、補助金の交付はもう少しく早く町村へ届くようにしてもらいたいという要望がここでもありました。  第二日は、吉野川下流の藍園村に参りました。この村はその名のごとく昔から藍の産地で、旧家は殆んど藍問屋であつたといわれております。この村は、千二百二十九戸、うち農家七百七十七戸で、有名な阿波たくあんの産地であります。米の作付反別は二百八十八町歩、五千九百七十四石の收穫を挙げております。畑作も盛んで、麦七千九十二石、大根百五十万貫、甘藷十一万貫を初めとし、豆類、茄子、胡瓜、トマト、西瓜、白菜、煙草、葡萄、夏みかんの生産が盛んで、戰後阪神市場への出荷が極めて順調でしたが、最近他地方との競争が激しく、運賃の値上り、価格の下落等で蔬菜栽培も一つの危機に直面しているといわれております。そのため大根を漬物に加工し、年産二万樽を出荷していますが、本年は大根が不作で一万樽に減産されたが、代りに味噌の生産に力を入れ好評を得ておりました。この村の一戸当りの耕作面積は、平均七反歩で、畑は三毛作をやつていますが、蔬菜の価格に変動があるので、将来は花卉、球根等を栽培し、トマト等の加工業を起し、酪農の発展に努力しているとのことであります。農業協同組合には全戸加入し、組合員は二千三百人、出資は八十五万円で、貸出しは、預貯金の三〇%を限度とし、一年以上の長期貸出しはしない等、堅実な経営方針がとられておりました。米麦の集荷、肥料、飼料の共同購入、精米や蔬菜の加工等、いわゆる單協の極めてあり来りの事業のほかに、特にこの組合の注目すべき点は、蔬菜の阪神市場への共同出荷や漬物味噌等の共同販売を行い、農業経営発展に積極的に組合が利用されている点で、将来の農協の行き方の一つを示していると思われます。畑作が主でありますので、将来自動耕転機百台を導入する計画を立て、差当つて二十台分の融資を申請中であります。なお当地方は技術が重要な役割を持つておりますので、技術指導の統一が必要であり、地方事務所管内にある十二、三種の技術指導員合せて百五十人が興農連盟を組織し、專任書記を置いて技術指導に当つております。指導体系を一本化して、技術の普及に努めている一例と思われます。  この村での要望事項としては、肥料価格の安定策、飼料確保対策、特に村内六〇%を占めている秋落田対策等についてその早急実現方を望んでいました。又米の俵裝と検査の規格がたびたび変つて迷惑しているから、余り変更しないで欲しいという要望がありました。最後に板西町農業協同組合を訪れました。戸数一千五百八十八戸中、農家八百五戸という農村町ですが、よい組合で、職員が全部窓口に出て事務をとつておるという変つた組合であります。この町でも改良普及員は組合に駐在しており、技術指導と共同販売を直結一元化して成績を挙げておりました。  ここでは融資手続を簡素化してもらいたい。自作農維持資金の融通を早く実現して欲しいという要望がありました。この組合も不良資産を継承して来ましたが、うまく処理した組合の一つで、再建整備には何といつても人を得ることが大切で、中心人物養成費を一組合十万円ぐらい補助してくれたら、大抵の組合は面目を一新するであろうと申しておりました。なお、最近税務署が課税対象の調査にしばしば組合に来るが、組合事業に直接影響するので、この点は特に注意してもらいたいとのこのでありました。  大変長くなりましたが、以上現地調査報告を申上げる次第であります。
  10. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今の各議員の御報告についてこの際御発言がございましたらお願いします。
  11. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 只今西山委員報告のうち、藷作及びでん粉業維持育成に関する問題について、若干政府の所信を承わりたいと思うのでありますが、次の議案の際に質問することを御了承願います。
  12. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ちよつとこの問題と関連して、御発言もあろうかと思いますが、この前に皆様の御了承を得たいと思いますが、この機会に決算委員長の岩男仁藏君から委員外発言を求められておりますので、御了承を願います。岩男さん。
  13. 岩男仁藏

    委員外議員(岩男仁藏君) 貴重な時間を頂きまして、誠に有難うございます。今日今国会提出予算法律案について審議が行われることになつているようでありますが、これにつきまして一言お願いいたしておきたいと存じます。それはかねて当委員会において問題となり、政府に対して再三申入れせられております耕土培養に関する問題につきまして、幸い二十七年度予算において、これは必ずしも十分ではありませんが、或る程度予算が計上せられるることになつておりますので、この予算を裏付として事業を恒久的に且つ強力に実施するため、これは仮の名であります、仮称耕土培養法案というようなものを議員提出を以て今国会に提出するために、衆参両院の有志議員の間でよりより研究が行われておりますので、後日提出の運びとなりましたときには、これが成立方について格段の御協力をお願い申上げたいのであります。
  14. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今の岩男議員からのお話は当委員会におきましても委員会の総意としてしばしば政府に申入れて、昭和二十七年度予算案中にもこの費目について若干額計上されたわけでありますので、今後恒久的にこれが予算化ができるよう何らかの立法上の処置を講じたいというのが只今の岩男さんの御趣旨でありますので、これは当委員会としても従来の運営の経過に鑑みて非常に結構なことだと考えておりますので、成規に提案された場合には、当然十分善処したいとこう考えておるわけであります。   —————————————
  15. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 次に日程の第二は、藷作及びでん粉業維持育成の件であります。飯島さん。
  16. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 この問題は只今西山さんからの御報告もありましたことですし、なお去る二月四日に衆参両院議員を以てする農政研究会からも本委員会に特に申入れがあり、なお農政研究会においては、去る昨年の十二月以来数次に亘つてこの問題をめぐつて検討を続けて参つたのでありますが、ここには従つてそういう内容についての煩を避けますが、戰前に比べて約三倍に飛躍増産をされるに至つた二十一億万貫の藷作の藷作の現状に対して、只今は極めて日本の藷作が重大な岐路に立つておる段階であります。御承知の通り約三十一億万貫の生産量のうち概数で申しまして、その約五分の一、四億万貫がでん粉のために加工消費をされておるのが現状でありますが、このでん粉価格がだんだん暴落をして参る、でん粉が下がれば、当然その原料である藷の価格影響して、これが下落を続けて参る、藷の値段が下がれば、農家の收入が減る、農家の收入が減れば、今度は必然的に農家はその栽培面積を減らすに違いない。転換しようと思つても、転換できない立地に作付けされておるのが只今の日本における藷の経済的の状況でありますので、そういう見地からいたしまして、折角政府が戰時中から金や太鼓で増産に拍車をかけて参つた、その結果三倍まで飛躍して来たこの藷の生産が、でん粉の値下り、砂糖アルコールに挾撃されてこういう只今のような経済不況に直面しておることによつて、藷作の面積が激減しようとする前途を考えるときに、私ども農林関係に籍を置く議員といたしましては、どうしてもこれを看過、黙視するわけには行かない。何をおいても藷作を維持し、そうして本年の政府の施政の大方針にも明示されておるごとく、日本の食糧自給度を向上せしむるという大方針に副わなければならないと考えますので、この際政府におかれましては、この問題については関係の局部におかれまして、鋭意研究をせられておるところでありましようから、相当この問題については、具体化促進をされておることと考えますので、本日はこの席でこれらのことについて極めて簡單明瞭に一つ政府現状のお答えを願いたい。  その一つは、水飴及び葡萄糖物品税廃止の問題であります。これは政府としては積極的に物品税法の改正法律案を国会に提出されることは困難な実情にあるかに仄聞しておるのでありますが、若しもさようであるとすれば、我々国会議員がこの物品税廃止の法律案を国会に提出する場合には、政府においてはこれに対して積極的な協力が願えるかどうか、これを一つお聞かせを願いたい。
  17. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 水飴及び葡萄糖に対しまする物品税を撤廃するかどうかという点につきましては、いろいろ検討いたしたのでございますが、政府といたしましてはこれによる減牧額が相当他に影響する虞れもありまするので、政府といたしましては物品税法の一部を改正する法律案を国会に提案いたさないという方針にいたしておるのでございます。  なお、お尋ねのありました国会におかれまして物品税法の一部を改正する法律案を議院に提出されました場合に、政府といたしましてはこれによつて予算上約十五億程度減收となるのでございます。その措置さえ講じられますならば、強いて反対する意向はございません。
  18. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 只今協力をするということでなしに、お答えは反対はしないと極めて消極的な協力と私は解しましたので、この点は更に念を押す煩を避けますが、私どもとしては、飽くまで撤廃に向つて全力を集中いたしますから、どうか十五億は税收の中からあらかじめ消しておいて頂きたいと思います。  それから第二、でん粉業者が現在手持をしておるでん粉の投売りを防止するための金融措置、特に農林中央金庫から商工中央金庫を通じて行われておる澱粉工業協同組合関係への融資の決済期限が、この二月の末日になつておると承知しておるのでありますが、これが延期の措置についてどういう取り運びがなされておるか、又その見通し、つまり五月末日までこれを延期してもらいたいということが一般の挙げての要望でありますので、その見通しについて一つお聞かせを願いたい。
  19. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) お答えいたします。手持でん粉の平均売りに対する融資としまして私のほうで調べたのでは、約四十億以上も金が中金のみならず一般銀行或いは信連、商工中央金庫からも出ておると思います。そのうちで今のお話の商工中央金庫のほうへ農林中央金庫から出して、中小企業協同組合のでん粉工場のほうに出している金が約五億余りあると思います。その金につきましては、お説の通り暫く農林中金のほうで商工中金のほうへ催促しないという話合いを進めております。これは日銀との関係で多少いきさつはあるかも知れませんが、御要望の通り御要望に副えるというふうに考えております。
  20. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 只今の官房長のお答えで了承いたしましたが、是非一つその要望が一〇〇%達せられるように今後とも特段の御協力をお願いを申上げたいと思います。  それからその次第三、でん粉の価格維持するために如何なる対策を講ぜられておるか、又請ぜられようとしておられるか、この点についてお伺いいたしたい。
  21. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 価格の安定策につきましては、これは御承知の通り統制はございませんので特段の措置はございませんが、協同組合等によりまして平均的に売り、或いは貯蔵の奬励をするといつたような措置を講じたいと考えております。
  22. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それでは只今の問題については余りに漠としておりまして回答になつていないと私は考えますが、なおこれは時間の関係もありますので詳細は後日に留保することにいたします。  その次は第四、この藷作とでん粉業並びに水飴及び葡萄糖価格及び需要維持に関連して砂糖行政が直接の大きな影響力を持つておるのでありますが、この砂糖行政は如何なる方針の下に如何に調整されようとしておられるか、この点について一つ食糧庁にお伺いしたい。
  23. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 砂糖の量並びに価格政策に関連をいたしておりまして、価格政策としましてはすでに政府といたしまして関税等の値上げ等もいたして国内関係産業との調整を図りたいというので決定をいたしております。問題は北海道甜菜糖のみが若干問題がまで残つておりますが、藷作その他と砂糖との問題は、でん粉、水飴を通じての又間接的関係になつております。藷自体の価格アルコール等の関係もありまして、又別個の価格決定をいたすと思います。問題はでん粉或いは水飴砂糖の関連だと思います。我々といたしましては関税政策等で価格維持を図る限度におきまして、政府の手持品等につきましても相当愼重な拂下げ方法を現在までやつております。将来とも続けて行きたい。政府等で手持がなされました場合におきましては、專ら関税政策のみに頼らざるを得ないだろうと思います。その他の点等につきましては御質問によつてお答えをいたしたいと思います。
  24. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 只今の食糧庁長官のお答えで、大体極めて愼重な御回答を得ましたので私も一応了承いたしましたが、なお外貨の値段との睨み合わせ等も御考慮を頂いて、必ずしも食糧庁の直接所管ではないかと考えますが、砂糖輸入上の規制等についても、今後とも放任なさらないで、特にこの点については、食糧庁長官にも十分の一つ御考慮、御高配を願いたいということを併せてお願いをして只今の御回答を了承したいと思います。  最後にこれは農政局長にもう一度お伺いしたい。これは今後藷作及びでん粉業維持のために如何なる対策が講ぜられることになつているか、これは基本問題だと考えますので、大綱方針を明示して頂きたい。
  25. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 戦争中から戰後にかけまして藷作が非常に拡充をされて参つたのでありますが、まあ甘藷約四十万町歩、馬鈴薯二十万町歩といつたところの作付状況というものは、これは多少減るということは勿論ありましようけれども、でき得べくんば自給食糧確保といつた点から維持して行きたいと、かように考えております。その点についてはこれは勿論品種の改良といつたことも将来……当面最も重要な問題は価格の安定ということが重要だろうと思うんです。これも価格と申しましても、御承知のように食糧、でん粉業その他いろいろの用途におきまして若干ずつは違いますが、平均して見ますというと、大体私どもの考え方では二十八円乃至三十円といつたところが平均的に申しますというと、藷作を維持し得る限界ではないかというふうに考えております。差当つては従つてさような価格を如何ようにして維持するかということになつておるのでありますが、今問題になつております物品税の引下げといつた点を考えてみますと、砂糖価格が下ることによつてどの程度一体でん粉、従つて藷の需要量が減るかということはなかなかむずかしいと思うのでありますが、私どもの一応の計算によりますというと、藷類で約九千万貫くらいではないか、甘藷にしまして七万貫といつたようなものが、水飴砂糖に置き換ることによつて減少する数量ではないかと考えているのであります。併し他方明るい面もあるように思いますので、例えば酒用とか或いはアルコール用といつたようなものの需要というものは相当殖えるという見込もございますので、更に我々ではできなかつたのでありますけれども物品税の撤廃といつたようなことも実現しますというと、大体先ほど申しましたような価格維持できるのではないかというふうに考えております。そうすれば現在の大体の作付けの状況は、当面の問題としては確保できるのではないかというふうに考えております。
  26. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 只今のお答えで大体藷の価格は一貫目二十八円乃至三十円という価格で抑えて行けば、藷作の大体の維持ができるのではないか、こういうお話がありましたが、一体そうするとこれと関連してでん粉の価格は幾らを適当とお考えになるか、その点を一つ値段をお聞かせ願いたい。
  27. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 資料はあとから提出いたします。
  28. 山崎恒

    山崎恒君 只今議題となりました藷作及びでん粉業維持育成の件につきまして、速やかに政府における方針の確立並びにその実施を促すために、当委員会から政府に対しまして申入れをすることの動議を提出いたしたいと存じます。各委員の御賛成を願いたいと思います。御賛成が願えますれば、只今案をお配りいたします。
  29. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今の山崎さんの動議は藷作及びでん粉業の維持育成に関して政府に申入れる件でありますが、只今の山崎議員の提案に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではさよう御決定願つて山崎議員に試案がございましたら一つ御発表願います。
  31. 山崎恒

    山崎恒君 朗読いたします。   いも作及びでん粉業の維持育成に関する申入(案)   いもは主要な農産物であつて、でん粉業は農村工業の枢軸をなし、いも作農業上極めて重要な役割を演じ、これが浮沈は農村経済に重大な影響を及ぼす。   特に戦争中、国の絶対的要請によつていも並びにでん粉の増産は強行せられ、ために国民の食糧はようやくその危機を脱し、いも作の重要性はいよいよ増大して、今やいも作はわが国農業上いやしくも忽がせにすることのできない重要な地位を占めるに至つた。   然るに最近、政府における砂糖行政の変改によつて、水あ及びぶどう糖の需要及び価格に重大な影響を與え、その結果、でん粉業は危胎に瀕し、延いていも作に重大な危機を招来し、農業の基盤を揺がし、農村経済を危うくし、到底看過することのできない事態を惹起せんとしている。   かかる状勢に対処して、政府は速やかに、でん粉業及びいも作維持育成するため、差当つては水あめ及びぶどう糖の物品税廃止、でん粉工場の手持でん粉の投売防止のための金融或は政府買上げ並びに砂糖行政の調整等の緊急対策を講ずると共に、今後におけるいも及びでん粉の需要及び価格維持して、いも作及びでん粉業を育成するための恒久対策を確立せられたい。   なお、その結果を来る二月二十日までに当委員会報告せられたい。右当委員会の総意によつて申入れする。   昭和二十七年二月十二日         参議院農林委員会    農林大臣 廣川 弘禪殿    大蔵大臣 池田 勇人殿    経済安定本部長官 周東 英雄殿以上であります。
  32. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今の山崎議員の試案をそのまま本委員会の決定案とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではさよう決定いたしまして、お話のあつた農林、大蔵、安本各大臣にそれぞれ申入れることにいたします。   —————————————
  34. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 次の日程は、第十三回通常国会提出予定法案の件でありますが、時間の関係もあり、なお政府委員の出席の関係もありますので、この際次の昭和二十六年産米超過供出の件に関して検討したいと思うのであります。この問題に関しましては、かねて問題になつておる超過供出分の免税の問題をめぐつてしばしば議論が行われておるのでありまするが、伝え聞くと、いわゆる匿名供出、即ち超過供出分に対する免税問題に関してでありますが、これについては農林大臣が免税をするとも言い、或いは大蔵大臣と協議をしてそれの承認が得られたとも言い、或いは一部においてはそういう意味の取扱いではなしに、確固とした税制改革によつて行うべきであるとも言われ、この問題に関しましていろいろ議論のあるところでありますが、今日供出の促進が極めて食糧事情上要請されておる際に、この問題の取扱いは非常に重大だと思いますので、その後の経過を政府委員から承わりたいと思うのであります。最初食糧庁長官から御説明を承わることにいたします。
  35. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 匿名供出による超過供出につきましての経過はこの前申上げましたが、その後我々事務当局のほうでは、両大臣の議会における言明の趣旨に副いまして、食糧庁長官、国税庁長官から各所管官署に通牒を出すという話合いを実は進めまして、極く最近の期日に各知事或いは税務署長宛の通牒が出る取運びに只今なつております。その内容等につきましては、両大臣が言明されました趣旨によりまして出るのでございますが、二十六年の所得の問題につきましては、これは問題がないわけであります。来年度の所得の決定の時期までに課税対象から除外するかどうかの方法についてのはつきりした通牒を出したい、こういうふうに考えております。
  36. 羽生三七

    委員長羽生三七君) なおこの機会に国税庁からも見えられておりますので、国税庁原直税部長から御意見を承わることにいたします。
  37. 原純夫

    説明員(原純夫君) 只今食糧庁長官からお話がありましたように、先般両大臣の間に話合いができました線に沿いまして、これを実施に移すということにいたしております。趣旨は只今食糧庁長官からお話になりました通りでありますが、若干くだいて私から申上げてみたいと思います。  税をかけないように持つて行くということと、それから匿名供出いたしましたために、これは收量が多いのじやないかというので、收量をふやして所得を決定するということをしないようにという御要望に応えるかどうかというこの二点であります。いずれも応えるという方向に持つて参りたいということで考えております。税をかけない方向ということは極めて自明なことでありますから、第二点の、この收量を匿名供出の事実によつて爾後調整する、しないという点について御説明いたしますと、農業所得、特に米麦等の所得の算定に当りましては、御存じの通り收穫期におきまして各地域の作況を判定いたしましてこれによつてこの村のこの地域は反どれだけ穫れるということを先ずきあまして、それに基いて反当り、石当りの所得金額というものをきめてやつて参るわけでございます、従いまして二十六年産米の作量につきましては、昨年出来秋には全国を通じましてそういう作業を行なつております。各税務署管内で特定のサンプルをとりまして実際調べる。その他專門家の意見も聞きまして又作況等の数字に参照しましてそういう作業をいたしております。そこで問題は或る地域で非常に超過供出乃至匿名供出が行なわれるという場合に、考えによつては前の作況判定は間違つておつた。もつと取れたのではないかということも考えられるわけでありまするし、それが事実である場合もあろうかと思いますが、この食糧が非常に大事であるというときに、匿名供出までして頂く、超過供出までして頂くという際でありますので、我々としてそれをほじくつて変えるということはいたさないつもりでおります。これもはつきりと通牒に謳つて下部に流したいというふうに考えております。大体我々考えておりますところを概略申上げますとそんなところでございます。
  38. 羽生三七

    委員長羽生三七君) もう一つ私から承わつておきたいのですが、その通牒が近いうちにというと、大体いつ頃でありますか。
  39. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 私どものほうの通牒案は、只今大臣の決済を取る段階にまで至つておりますが、その通牒に国税庁長官から出されます通牒の写しをつけたい、こういうので国税庁がどういうことになつておりますか、急いでおりますけれども……、原さんから一つお聞きを願いたいと思います。
  40. 原純夫

    説明員(原純夫君) 私のほうの分も只今実は大臣の決済を頂くばかりというところでございますから、極めて近い時期に出せることと思います。
  41. 山崎恒

    山崎恒君 従来農業者の所得に対する税金の問題ですが、ここに特に希望を申上げておきたいと思いますが、ややもするというと本省から出る通牒は、確実にその段階ではわかつてつて通牒が出るのでありますが、下部へ行きますというと、税務署のそれぞれの職員が自己判断によつて非常に過大な評価をしておる例が従来非常に多かつたのであります。こういう点を考えて見ますというと、今度の超過供出は、あの難関であつた補正をすでに発表されたが、その補正を行うために、超過供出が要請されておる。而も大蔵大臣と農林大臣が最後の政治折衝によつて決定したというような重要なポイントのある問題でありますので、いささかも今回の超過供出については税務署等の見積りが間違いのないように遺漏のないように、十分下部に徹底するように通牒して頂きたいということを希望として申上げて置きます。
  42. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今の山崎委員の御要望は御尤もなことで、曽つてこの問題がやはり実行せられようとした際に、その後情勢の変化で、農民としては非常に不可解に感じた事例もありますので、今回はそのような事態を繰返すことのないように十分御翻意をお願いしたいと思うのであります。  それからもう一度原直税部長にお伺いしたいのですが、そういう通牒が下部に流される場合には、当該所轄税務署について十分に拘束力を持つ御確信があるおつもりでありまするか、その点を伺つて置きたいと思います。
  43. 原純夫

    説明員(原純夫君) 税は非常に大事な国民の利害に関しますので、只今御心配の出ましたような点は、常々間違いのないようにというので努力いたしておるつもりでございますが、御質問の出ますこと自体に、我々非常に恐縮に感じております。勿論下部において違背がないということを期してやりますのですが、なおそういう意味で税務行政全般に対する努力をここで皆さんに申上げて御了承を願いたいというふうに考えます。
  44. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 他に御発言もなければ、この問題はこの程度にいたしまして、政府当局の一層の御努力を要望いたすわけであります。  なお、第十三回通常国会提出予定法律案につきましては、先般資料もお配りしてありますので、それによつて暫時御了承を願い、日を改めて又日程を作りたいと考えております。  本日は、この程度で散会したいと思いますが、明十三日は農林委員会を開く予定でありましたが、本会議もあり、なお議員各位の御旅行中のかたも相当ありますので、明日は休んで、明後日にいたしたいと思いますので御了承をお願いいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十九分散会