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波多野鼎君 その関税行政というものが国の経済政策の上に持つ重要性ということを、明治以来恐らく私は十分認識して来なか
つたと思うのです。こんな税金を取るということが関税行政の任務であるかのごとき官庁の編成をや
つておる。従
つて関税政策については、大蔵
大臣を直接補佐する者は誰もおりませんですよ。而も第一次大戦後の傾向ですけれども、関税政策というのは、国の最も重要な政策になりつつある。どこの国だ
つて、例えばアメリカ大統領の年頭の演説を聞いても、必ず関税行政に触れないことはない。イギリスでもそうです。特に第二次大戦後、日本が外国貿易によ
つて勝たなければならんという、そういうどきに、外国貿易という問題と関税政策という問題は不可分の問題なんです。もつと大きな、経済情勢上の大きな
意味を持
つておる問題であ
つて、税金を取るなんということは、関税を徴収する
事務なんというものは、これは全く附随的な問題として我々は考えて行かかければならない。関税行政の重要性というものは、行政
機構の上にちつとも出でいない。こんなところにぽこんと放り込んじや
つて、関税政策において立遅れするのはそこにあると思うのです。例えばガツトの問題にしましても、非常に関税政策において日本の
政府は立遅れてしま
つておるんですよ。ポンドの過剰の問題にしましても同じことなんです。すべてのそういう外国貿易の問題に、関税行政というものは密接不可分に結び付いた重要な国策上の問題であるから、行政
機構のほうでも、関税行政の重要性を現わした
ような
機構というものが考えられなければならん。それなのに、今度の行政
機構で変えてくれと、
主税局のほうにぽこんどほうり込んで、税金を取ればいい、関税を徴収すればいいという考え方が
はつきり現われているのは非常に不満ですが、
大蔵省は関税行政についてどうお考えですか。