○
松原一彦君 改進党を代表しまして、本案に賛成の意を表します。それにつけましても、私は曾
つて昭和二十三年にこの
恩給仮定法を定める当時の
提案者として私は責任を持つ者でありまして、その当時の
仮定法が低きに過ぎたと、正しいものでなか
つたという事実が、その後歴々として現われまして、
ベース・アツプに伴うスライドアツプが常に非常な大きな格差を持
つて、不
均衡の声を天下に高からしめ、数十万の一時
恩給者の手厳しい要求とな
つて参つたのであります。決して燐みを求めるものではございません。適正なるものを等しく与えられたいという要求であります。但しこの要求の中には相当誤解もありますし、適正な標準を出すということにつきましても、幾多の計数がありまして、なかなか困難であ
つたということは、私も十二分に承知いたしておりますけれ
どもが、併し正しい正当額が権利として与えられないということは、政治上の
一つの失態だと思うのであります。で、今回
政府が遂に
提案せられないために、
衆議院の有志諸君が二百七十名の名を以て
一つの標準を定めて、
是正しようという積極的な行動に出られましたことは、私は心から感謝を申上げます。ただこれが
予算面における一定額を先ずきめて、これに合せたかのような一夜ずけの
仮定法ができたかの感を我々に与えしめられましたことは、誠に遺憾でありまして、
提案者は御自身からすでにこれは完全なる
是正ではない。なお空白を残されている。将来に
是正の余地があるという
一つの階段であることをばお述べにな
つているのでありますが、それだとしまするというと、これは将来非常に
禍いを残すのであります。かような場合におきましては、私は
禍いを残さないような案を出さなければいけない。これがたびたびかように全国の
人々の要求を次々に促して参るようなことがあ
つたのでは、非常な大きな不備となると思うのであります。又もう
一つは今回定められましたる
仮定法が、これは非常に大きい影響を持つのであります。若しこれが一万円
ベースの適正なる
仮定法だとするならば、今回七、八百万人に及ぶところの軍人、百幾万の、その中には遺家族も含んでおりますが、その
恩給や遺族の扶助料を算定する
仮定法がここに標準をとるということになりますと、及ぼすところが非常に大きいんで、
基準は正当なものでなくちやならん、
主計局その他
大蔵省の側が、
大蔵大臣の
了解があ
つたのにもかかわらず、その
仮定法をば極力下げようとしたところには、私は
一つの意図があると思う。それが一万円
ベースの適正の
仮定法とするならば、数百万に及ぶ軍人
恩給の復活に際しまして、これが非常な減額となるのであります。これは私はいわれなき政治的な操作を以て、適正なる基本的権利
財産権を侵害するものだと私は思う。そういうような
禍いを残してはならん。従
つて衆議院におきましては多数の
かたがたが
提案者と共に適正な
基準を出すことに御努力にな
つたのでありますけれ
どもが、遂に及ばなか
つたことを如何にも遺憾に思うのであります。かようなものを定める場合においては各方面の影響を勿論考慮しなくちやなりません。その点におきまして幾多の遺憾を残しますけれ
どもが、併し
地方における窮乏している
人々が
一つの救いを持つことにおきまして止むを得ず私は一応この案に賛成し、成立すると同時に、
実施が実は数年前に遡るべきほどの空白があ
つたのであります、それを十月一日からやりましたことは止むを得んとしましても、それも
一つの期待であ
つて、この
法律の表面から行けば一月以降になる虞れが多分にあります。どうか
提案者、
政府当局におきましても十二分に御考慮の上に十月一日から
実施せられますように御努力を御期待申上げまして私の賛成の言葉といたします。