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政府委員(
石原幹市郎君) この前の
内閣委員会におきまして、
栗栖委員と
竹下委員から御質問があつたようでございまして、
栗栖さんの御質問は、たしか南西、南方諸島の領土の帰属及びその住民の国籍問題について、条約締結後における対米交渉の経過はどうな
つておるかというような御質問であつたと思うのであります。
この南西、南方諸島は御案内のように平和条約第二条によりまして、日本がすべての権利、権原及び請求権を放棄しました地域とは異な
つておりまして、その領有権は日本にあり、日本国の領土の一
部分であることには変りはないのでございまして、従いまして主権は日本にあり、又島民の国籍も日本国籍という観念を持
つておるのでありまして、その国籍とか領土の問題について対米交渉を行
なつたことはないのでございます。
それから信託統治の問題につきまして、
只今までのところまだ先方から何らの提案も行われていない、こういうことでございます。
それから
竹下委員の御質問はたしか南西諸島における現地住民の政治、経済文化等の諸問題に関する要望はどうな
つておるか。こういう御質問であつたかと思いますが、これは御案内のごとく沖繩、奄美大島両島民は、一日も早く日本に復帰したいという非常に熱願に燃えているようでございまして、今年の四月一日から発足いたしました新政府の下においても、議会その他でやはり一日も早く日本に復帰したいというような議決もいたしておるような次第でございまして、それからアメリカ
関係の人々のいろいろの声明、メツセージ等を見ましても、軍事目的に支障のない限り日本との旅行、通信、通商上のすべての不必要な制限を除く、こういうこともしばしば声明されておるのであります。それで
現実の問題といたしましては、出入国管理令の改正等によりまして、向うから日本に来るのはもう全然今自由にな
つております。それから船の航海
関係などの問題についても、よほど制限が取除かれたものと思
つております。国旗の掲揚などについてもプライベイトに掲揚するという場合は、これは一向差支えないということにな
つております。
それから物資の交易
関係でありまするが、これは先方がドル払にな
つておる
関係上、その支払
関係はそういうことにな
つておりますが、互いに関税の障壁があるとかというようなことは一切なくな
つております。それから恩給法であるとか、或いは遺族援護法、こういう属人主義と言いますか、対人
関係の
法律は、法としては施行にな
つていることは勿論であります。その金の受取と言いますかそういう
事務につきまして、若干まだ先方といろいろ協議し直さなければならん点があるのであります。そういう点の折衝が一部残
つているようであります。日本側として措置できますことはどんどんや
つておりますし、先方の
了解を得なければやれないようなことにつきましては、その
了解を得るように努めて一刻も早く島民の要望に副いたいというふうに努力をしておるのであります。