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説明員(
小室恒夫君) 御
承知のように、
日本の輸出品の品質の粗悪なことはかなり国際的にも有名な事実にな
つておるわけでございます。その原因を探れば、
日本の輸出品の製造工業の現状では、非常に
中小企業が多くて、一般的な
技術水準も非常に低い。そこへ持
つて来て輸出
業者のほうも必ずしも非常に信用がある有名な商社ばかりではございませんし、それにかなり数も多いのであります。相手国の市場の状態如何によ
つては相当安売り競争になる場合が多いのであります。値引きをするということになると、おのずから品質も落さざるを得ない。而もその品質を本当に、何と言いますか、チエツクして行くような組織が
民間のほうではなかなかできておりませんので、それを
政府で以て補おうということで、戰前から輸出品の検査制度をだんだん拡充して参
つておるのでありますが、何分にも年間に非常にたくさんの件数の輸出が行われるのでございまして、
政府のほうの検査
機関だけではなかなか手に及びかねる点もございますし、特に占領下においては、戰前よりも検査制度は或る程度後退したと言いますか、余り
政府が一定の水準以上のものでなければ輸出してはいかんというようなことを強制することを当時の総司令部が好まなか
つたというようなこともございまして、大分占領下におきまして後退したというような事実もあるのでございます。そうでなくてもなかなか
政府だけで以て一般輸出を全部チエツクすることは困難な点がございますが、特に最近海外の不況等によ
つてますます値崩しのような傾向もございますので、最近ではもう少し検査制度を強化いたしたいという
考えを持
つております。なかなか一朝一夕に効果が現われないのは遺憾でございます。