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1952-06-09 第13回国会 参議院 内閣委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月九日(月曜日)    午後三時四十四分開会   —————————————   委員の異動 本日委員石原幹市郎君辞任につき、そ の補欠として楠瀬常猪君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者左通り。    委員長     河井 彌八君    理事      中川 幸平君    委員            楠瀬 常猪君            横尾  龍君            竹下 豐次君            和田 博雄君            栗栖 赳夫君            松原 一彦君   国務大臣    建 設 大 臣 野田 卯一君   政府委員    総理府事務官    (内閣総理大臣    審議室長事務代    理)      増子 正宏君    統計委員会常任    委員      美濃部亮吉君    行政管理庁次長 大野木克彦君    行政管理庁管理    部長      中川  融君    行政管理庁監察    部長      柳下 昌男君    法務法制意見    第一局長    高辻 正己君    法務法制意見    第二局長    林  修三君    法務法制意見    第三局長    西村健次郎君   —————————————   本日の会議に付した事件行政管理庁設置法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○総理府設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○法制局設置法案内閣提出衆議院送  付)   —————————————
  2. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより内閣委員会を開会いたします。  行政管理庁設置法の一部を改正する法律案総理府設置法の一部を改正する法律案及び法制局設置法案について審議を進めたいと思います。  先ず以て行政管理庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。この案につきまして御質疑等がありまするならば、この際御発言をお願いいたします。
  3. 中川幸平

    中川幸平君 行政管理庁に今回新たに行政監察部を設けることになつておりますが、これについて私先ほど大臣ちよつとお話しておきました通りに、郵政省の中に監察局というのがありまして、郵政部内の監察を行なつております。これはひとり郵政省だけにあることであつて最初設置の際に、私かような機関を設けることは、郵政省自体の恥じやないかというようなことを言つてつたのであります。その後地方地方監察局があつて郵政部内のいろいろの事件を摘発し、又監督をやつて非常な成績を上げておつて、漸次まあ業績が上つて非常に事件も少くなつておるということを聞いております。この行政管理庁監察局を置く、非常にこれはいいことであつて、ここにさような機関を先ず一元化して、徹底的に各行政部門監察を厳重にやり、又監督も行うという仕組にしたほうがいいと考えるのでありまして、然るにどの省でありましたか、特に郵政省のほかに又監察官を置くというのがあつたように記憶いたしております。さような郵政省監察局廃止し、又さような監察官を置くというようなことも取りやめて、行政管理庁のこの監察行政を強化するというようなことが非常にいいことではないかと考えますが、大臣のお考えを承わつておきたいと思います。
  4. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 只今お示しのように、郵政省には監察任務とする者が、私どものほうの手許資料では千二十八人現在おりまして、内部及び外部に対しまして監察を行なつておるのであります。この郵政省監察関係機構働きをいろいろと調査して聞いて見ますと、大変能率を上げて好成績を収めておるという話を聞いておりまして、各省におきましても同様な監察内部的に持つて、そうして先ずみずから自分関係の、自分業務のことを自分でやる、こういう態勢を取るべきであるというように考えられて来ておるのであります。各省における監察機能全部これを行政管理庁に移しまして、行政管理庁において一元的にやるということも一つ考え方と存じます。併し各省にはそれぞれやはり専門的なこともありますし、又考え方から申しましても、自分のことは先ず自分でできるだけ監察をし、十分注意をいたしまして、非違無きを期し、又仕事能率を上げて行くということにするほうがよいし、なおそれ以外に、総理府監察を行う中心的な部局があつて、それが又外部から各省に対しましていろいろな監察をするというふうに行つたほうが監察完璧を期し得るのではないかという考え方もありまして、今回の行政機構改革に際しましては、後者の考え方を採用いたしたのであります。現在私たち手許にある資料では行政機関における監察業務に従事している職員の数は、会計検査院それから経済調査庁とを入れまして五千五百人ぐらいを持つている。そのうち会計検査院は千二百五十名ぐらいになつておりまして、あと一般行政官庁であります。今後これらの各省みずから持つている監察機構と、今度は経済調査庁にある監察機構の六割、それが行政管理庁へ移つて来るわけでありますが、これが行政管理庁監察部中心を占めるわけでありますが、これが相提携し相連絡いたしまして行政監察完璧を期したいこういうふうに考えております。なお会計検査院の検査及び立法府において行なつておられます行政考査とか、或いは行政監察とか、こういうものとも緊密な連絡を取りまして相互相補ない、そうして成るべく能率を挙げ且つ又成るべく重複を避けまして、国家全体としての監察能力を挙げ、立派な成績を収めて行きたい。こういうように考えている次第であります。
  5. 中川幸平

    中川幸平君 郵政省監察局部内部外の不正を監察するということを謳つておりますが、部外になりますと検察局というものがあり、部内ならば当然局長課長部下監督し、又部内にはそれを監察するために監察局というものを置くというようなことは必要はなかろうけれども、又それを置かなければならんというようなことは郵政省自体の恥やないかということを言つてつた時代があるのであります。さようなことで今後行政管理庁に一元化して、そうして会計検査院と相待つてこれらの行政機関監察を行うように御配慮頂きたい。かように申しておきます。
  6. 竹下豐次

    竹下豐次君 現在ありまする経済調査庁仕事監察部仕事の一部になるのであると思いますが、全部そういうことになるのですか。
  7. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 現在経済調査庁で営でおります仕事はいろいろあるのですが、元来経済調査庁経済統制法規励行を主たる任務として設置されておつたわけであります。それが主だつたのでありますが、現在に至りまして御承知のように経済統制法規が次から次へと撤廃されて参りまして、従つてそれに関連する事務が非常に減つて参りました。併し一面においては経済調査庁には相当に大きな陣容もあり、又練達のスタツフもありまして、それを活用いたしまして、最近は行政監察部面相当たくさんするようになりました。今後は行政監察仕事行政管理庁でやりまして、その仕事が非常に殖えますので、慣れた人を相当多数持つて来てやつてもらうということになるのでありますが、そのために経済統制法規の問題につきましては、これをむしろ各省に分掌せしめまして、各省でそれをやつて行く。こういう建前になつた考えております。
  8. 竹下豐次

    竹下豐次君 経済統制法規撤廃等によりまして、元ほどの仕事がなくなつたということは、これは明らかな事実であると思いますが、その時代におきましてはそれ以外のほかの一般監察というような方面仕事がややもすればおろそかになつてつたが、経済統制のほうに主力を集中したがためにほかのことがおろそかになつてつたことも、これも疑いない事実じやないかと思うのでありますが、この際は統制方面仕事は減りましたが、そこに余力が生じましたならば、元来なすべき、ほかの一般監察をするように仕向けて行くのが極めて大切なことである。現在又各方面行政関係勤務成績等を見ておりますというと、相当監察を要する部面がたくさんあるのじやないか、そう考えまするというと、この際やはり監察部門相当に力強く励行して行くということが必要であるように思うのでありますが、如何にお考えになりましたか。
  9. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 只今の点竹下委員と全く私同意見でありまして今回の行政機構改革一つの眼目といたしましても、行政査察監察というものの機構をしつかりさせなければいかんということが一つ項目になつております。その方法といたしまして行政管理庁の中の監察機能を拡充する、今までは人員にいたしまして二十人しかいない、今後はそれが千二百人に一度に大膨脹したわけであります。非常にそのほうへ力を入れて行きたい、その人を当てるために経済調査庁というところがなくなりますので、その中に行政監察相当慣れている人もおられますので、そういう人に来てもらつてその仕事を組織的にやる、いわゆるパーマネントな、恒久的な基礎において実行して行きたい、こういうふうに考えております。
  10. 竹下豐次

    竹下豐次君 具体的に申しますと、公共事業等についての国家補助とかというような問題があります。そういう方面監察というものは従来までなさつていなかつたのだと思います。今度これをなさることになるのじやないかと思います。又なさる必要があるだろうと思いますが、それをなさるということになりましたならば、これはもう相当に多数の人も要りますし、機構もしつかりされなければならない。私をして言わしめるならば、現在経済調査庁等がございますが、それに合せたといたしましてもまだ決して十分な力じやない、もうちつとしつかりやつて頂きたいのだという気持を私としては持つているわけであります。まだ戦争直後の状態ほど世の中が乱れておりません。幾らかよくなりましたけれども、まだ本当に安定しているのではありません。毎日の新聞記事等を見ましても、相当にまだこの方面監察というものはしなければならん、ただ徒つに私は事件の起つたのを検挙する警察官みたようなことをやる必要があるという意味ではありません。そういう意味ではありませんで、やはり相当に厳重に平素査察されるということは、いろいろな弊害を防止する意味においても大変力強い成績を挙げることができのじやないか、今日までの経済調査庁仕事成績を見ましても、それがために予防された部面成果相当に挙つておると思うのであります。どうも今度の機構を見ますというと、各府県にありました従来の経済調査庁地方経済調査局と申しましたか、これなどもなくなるのじやないかと思いまするし、大変弱くなる変更に思われますので如何にも心細く感ずる次第であります。
  11. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 竹下委員のおつしやいました点でありますが、今回の改革によりまして、行政管理庁中央官庁といたしましては行政監察中心官庁になるわけであります。その陣容は全部で千二百二十八人であります。こういう陣容を擁するわけであります。会計検査院に匹敵する陣容を擁するわけでありまして、私はこれだけの陣容を優秀なスタツフで充実いたしましたら、かなり各省に場合によつては迷惑がられるくらいな働きができるのじやないか、こういうふうにも思つている次第であります。地方分局といたしましては、今現在の調査庁管区別と、それから府県と二段階に分れておりますが、経済統制法規励行というような場合には、やはりそういつた細かい網の目を張る必要がある。日常しよつちゆう起つておる問題について……。今度は行政管理庁それから地方団体というようなものが主るた対象になる、対象の範囲が限局されて来ますが、大粒になつている。従いまして今までの経済調査庁とはやはり違つたやり方のほうが実際の能力を上げるのじやないかと考えております。各地実情を見ましても、各府県別にありますのは二十人とか三十人とかいう陣容でありまして、一つ役所が二十人、三十人ということになると非常に役所としても小さな役所で、従つて人員が貧弱であり、ヘツドになる人が大きな権力を持たないと思います。税務署あたりでも最近は百五十人とか二百人の税務署もあるわけで、如何にも小さな役所になりまして如何かと思われますし、相手が大きな役所である、或いは県庁である、そういうものになつて参りますと、こちらのほうも相当しつかりとした陣容と構えを持つて行かなければならない。こういうことになるとやはり管区別くらいに集約しで、そうして数百人くらいのスタツフを以て、日頃からよく訓練し、お互いに緊密な連絡を取り、必要に応じて機動的に各地に出て行く、相当人数を投入してやるということが必要じやないかと思います。そういうわけでいろいろと検討をいたしまして、私もこういう仕事につきましては相当経験もありますので、よく検討した結果やはり管区別相当人数を集めて相互に研究し合う、そうして訓練し、必要があれば出て行く、こういうようなやり方でやりたい、こういうことにいたしたわけでありまして、千二百人以上の人員を擁すれば監察機構としてはかなりの充実したものになると思います。なお各省監察機構はそのまま残しまして、むしろ各省の最近の空気は自分自身監察機構を更に充実したいという感じを持つております。行政管理庁から叱り言を言われる前に、みずから動かしたいという希望を持つております。それで結構だと思います。各省もみずからを強めてもらいまして、更に行政管理庁においては、全体的な立場で更に監察をして完璧を期して行く、こういうふうに持つて行きましたならば、今までよりも更に有力な、もつと能率的な行政監察ができるのじやないかこういうふうに考えておる次第であります。
  12. 竹下豐次

    竹下豐次君 今度経済調査庁行政管理庁に移りまして、従来ありました監察関係の人と一緒になつて一本になつてやるわけですが、その監察部で行われる仕事の大部分はこれは人の数から見もて想像のつくような、従来の経済調査庁でやつてつた仕事をこの後もおやりになるという量は、相当に多いのではないかと思いますが、それは如何ですか。
  13. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 経済調査庁でやつておりましたのは、先ほど申しましたように……。
  14. 竹下豐次

    竹下豐次君 ちよつと私言い方がまずかつたのですが、政府補助等関係ですね、一般的な監察をやられるということに今度なるとしますれば、そういう方面もやはり従来の経済調査庁でやつておられた人たちが今度管理庁のほうに移るようになつて、そうして続けて、今度新らしくと言つたほうがいいかも知れませんが、そういう方面に手を伸ばして行かれるのだろう、こういうふうに想像されるのですが、それはどういうことになりますか。
  15. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 大体お考えのようになつていると思います。
  16. 竹下豐次

    竹下豐次君 そうすると先ほどちよつと数字お話になつたかと思いますが、現在の経済調査庁の人の数はどのくらいございますか、定員は。
  17. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 現在の定員は一千九百四十一名。
  18. 竹下豐次

    竹下豐次君 それが今度全部合せまして千百……。
  19. 野田卯一

    国務大臣野田卯君) 私の今の計算では行政管理庁監察関係人員は一千二百二十八名。
  20. 竹下豐次

    竹下豐次君 まあ約七百人余りが少くなる、こういうことに承知してよろしうございますか。
  21. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) そうでございます。
  22. 竹下豐次

    竹下豐次君 その統制経済が撤廃された、大部分撤廃されたということにつきましては、そのためには、この前の行政整理の際に、経済調査庁人員相当に減つているのではないか、そういふうに記憶しております。
  23. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) この前の行政整理の際にも相当つておると思いますが、私の記憶ではこの前の行政整理経済調査庁はうんと減らすというでありましたが、まだこの次の行政機構改革段階が残つておりますので、従つてこの程度で、極めて始めの予想よりは低く、一応この程度でやつて行こらというのがこの前の制度でございます。
  24. 竹下豐次

    竹下豐次君 そのときに政府原案修正されまして、参議院で激つたとうことに記憶しております。
  25. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 私の申上げたのは、政府の一番始め考えました政府部内の原案でございます。それではうんと削る、それをこれは機構改革を伴うからというわけで、これは廃止ということになつたのでございますから、どうせこの次には廃止するのだから、機構改革のときには相当徹底した人員整理ができるから、この間の橋本君のやられましたときには一応の程度に止めるというふうにして政府原案を出したのです。それが又参議院で幾分変えられたかというふうに記憶しております。
  26. 竹下豐次

    竹下豐次君 そうすると参議院で修正して政府原案を更に減らしたいということにつきましての、その当時の参議院における考え方経済調査庁はその当時の仕事量と比較して、これくらいの人の数で丁度よいのだといろ認定の下に減らしたわけです。その後統制関係とかその他の関係仕事がうんと減つたならば、相当の数を減らすということも、これは理窟が立つわけでありますが、統制撤廃に関する減員はそのときにされておるわけでありまして、その後相当大仕掛に撤廃されて減らさなければならないということが余りなかつたのじやないでしようか。若しなかつたとすれば、その統制撤廃云々で以てこの際定員を減らすということも筋道が立たないのではないかというふうに考えますが、その後統制撤廃関係はどういうふうになりますか、私よくその点を細かく知りませんから御説明願いたい。
  27. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 私は橋本君かどういう御説明をされたかよく存じませんが、政府部内におりましていろいろと内部で相談いたしておりますときは、経済調査庁というのはその使命か終つたから廃止すべきであるというのが閣議の圧倒的意見でございましたが、まだ今度は……役所廃止というような行政機構はすぐ後引続いてやるのだから、ニカ月か三カ月経つたらすぐやるのだからそのときに行こう、これは形式といえば形式ですが、一応これでやろう、こういうことで政府部内としては進んでおつた、こういうのが実情でございます。経済統制法規仕事が少くなつたというのは、もうその前から起つて来ておるわけでございまして、だから全廃論が出ておつた、こういろ経緯になつてつたことを御了承願いたい。
  28. 竹下豐次

    竹下豐次君 この前の定員法関係政府原案が出され、参議院で又修正をして減つたということに減つた当時は、先き申しまするように、少くともその当時においてはやはりこれだけの取締官憲が必要であるというところで、あの定員盛つたわけであります。それで政府のほうでは、それは今の御説明によりますると、将来はあの役所はやめるつもりだつたのだといろお話でありますけれども、併しやめるはずであつたかどうかということよりも先に考えなければならぬことは、やめてもう取締る必要がないのか、取締をあてにしていいのか、或いは取締対象がその当時よりも又減つて来るのかということで考えて行かなければならぬのか、始めから実はやめるつもりであつたのか。あのときはもう少し人を減らすことで我慢しておつたのだという説明では、この際これを縮小して行くということの説明にはならないのではないかと思います。
  29. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 私はざつくばらんに実情を申上げたわけですが、或いは答弁としては今のお話のような点があるかも知れませんが、実際そうでありましたので、その後今後の行政監察中心機構としてやつて行くのには何人ぐらいが必要かということも、かなりいろいろと検討いたしたのでございますが、やはり只今申しました千二百二十八人程度でやつて行くのが適当である、こういう考え方から今度の行政管理庁監察機構になつておるのでありまして、従つて経済調査庁全体は千九百四十人なくなりまして、その中の千二百人足らずの人が管理庁に来て慣れた人が来て働いておると、こういうことになるわけであります。
  30. 竹下豐次

    竹下豐次君 政府のその当時のお考え方は今長官のお話のようになつてつたのだろうと思つております。私もその当時そういうふうなことを聞いたこともありますが、併しまあ私自身は国会のたびことにこの監察はしりかりやつてもらわなければならない問題だということを繰返し実は主張しておる一人なのであります。でこの前の定員法の審査の場合にもやはりその意見を述べておつたのでありますが、それでどうも政府のほうは、そういうふうに今の千二百幾らぐらいで丁度いいとお考えになりましても、私は参議院であの数字を出しましたものといたしましては、その後特に減らしてもいい状態に変つたということが証明できない限り、その定員数をそうずつと、まあこのくらいでよかろうと、減らすという案に対してすぐ賛成を表するというわけにも行かないわけなんです。それはまあ筋道通つた考えと私は思つておりますので、そこをもう少し何とか具体、的な例でもお挙げ下さいまして……。
  31. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) その点でございましたら、今度の行政管理庁でやる仕事と、それから現在経済調査庁でやる仕事の限界といいますか、幅といいますか、それをあとで詳しく係から申上げますが、大きく言えば行政管理庁並びに補助金なんか受けるものの監察だけに今度なつておりますが、その前経済調査庁といたしましては、そのほうにいろいろたくさんな仕事があるわけであります。これは全部行政管理庁ではやらない。それは必要なことは各省でそれぞれの陣容でやられる、こういうことになつたのでありまして、仕事の幅から、項目を挙げますと、やめることになつた仕事のほうが多いのであります。
  32. 竹下豐次

    竹下豐次君 その対象の御説明は後日伺うことにいたしたいと思つておりますが、各省でそれぞれ監督するように力を入れるというお話、これは御尤もなことだと思つております。元来は各省でやるべきことです、自分の持ち分の仕事なんですから、わざわざほかの取締り、取締と申しますか、監察官庁を別に置かないでも、自分官庁で自分り管内仕事を監査し監察して行くということは、これはもう当然過ぎるほど当然です。それができないからやはり経済調査庁というものが特別に置かれて、今日まで続いておるわけなんです。で私はそう思うのですが、それは一つの省におきましても、その大臣部下におる多数の公務員が間違いを犯してはならないというようなことは、平生気を付けていなければならない。やはり通さなければならないけれども、目がなかなか通らない。それから問題が起つたときだけの場合を考えましても、その官庁だけてやるということは、ここでざつくばらんな言葉で申しますと、臭い物に蓋をするというようなことがよく行われ勝ちで、それは幾らでも事例がございます。臭い物に蓋をするという心理は私は二つあると思います。とにかく自分一緒に同じ釜の飲を食つてつた者が問題を起した。そのときにこれを強く処分して行くとかというようなことは情において忍びないという人間らしいやさしい気持でまあ蓋をするというような場合もあります。それからもう一つは、部下の責任が出て来るというと、同時に自分にもかかつて来るというような、自分自身をかばうための臭い物に蓋をするという場合もよく役所にある。役所に限つたことではありません。会社でもどこでもあることです。二通りの場面があると思うのです。いずれを考えましてもその官庁だけで十分な取締成果を挙げるということは、監察成果を挙げるということは、非常に困難なことでありましてそこにやむなく経済調査庁のようなものができたのだろうと思う。各省でそれぞれ完全にやれるものでありましたならば、これは経済調査庁などを作る必要はないと思います。とにかく相当成績を挙げておるところでありますので、今更その機構を小さくするとか、或いは人を減らすというようなことは、折角成績を挙げつつあるのを惜しいじやないか、もうちつとしつかりやつてもらいたい、こういう気持が私としては非常に強いのであります。大臣はどう御覧になつておるか存じませんが、実際まだ世の中が本当にきれいになつておりません。
  33. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 只今ちよつと私の申上げたことを誤解なさつたのじやないかと思われる節がございますので補足いたしたいと思いますが、今まで経済調査庁でやつておりました各省行政査察或いは行政監察ということは全部行政管理庁に今度引継がれることになります。それ以外の経済調査庁のやることを挙げますと、ここではつきり経済調査庁法で八つ項目があるわけであります。そのうち二つだけが今度の行政管理庁に引継がれる。あとの六つがそしぞれ各省に引継がれる、こういうふうに分れて来るわけであります。これは一般の行政取締法規の面、例えば闇をやるというようなことがあつた。そういうものの取締各省に移る。これは統制が御承知のように非常に広汎に亙つておりまして、大変むずかしい統制違反が非常に行われておる。それがために経済の基礎が崩れるのじやないかという事態がありましたので、経済調査庁というものができたものと思いますが、そういうような客観的な事態が今日は非常に少くなつております。こうなつて米たというところに、まあこれは各省においてそれぞれ食糧関係なら農林省でやつたらよい、商工物資なら通産省でやつたらよいということに各省に分散させた。そうして行政官庁的なもの、行政監察的なものを行政管理庁に引継いだ、こういうことになつたのであります。
  34. 竹下豐次

    竹下豐次君 今のことはわかるのですが、今まで余りやつておられない補助関係監察などを、その後しつかりおやりになるとすれば、長官よく御存じの通り相当弊害があるだろうと思つております。この問題をしつかりやるには相当人の数が要るのじやないかこういうふうに思いますが、この点は……。
  35. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) その点はよく関係の深い役所の建設省とか、或いは自治庁じやないかと思います。建設省におきましてはやはり監察官、現在もありますが、それを今度設置法ではつきりさせまして、行政監察によつて建設省の監察をすると同時に、補助金を受けたり、いろいろやつておる地方団体監察をすることができるようにいたしました。これは大いにやろうと思います。それから自治庁に対する監察は別途の観点から岡野国務大臣が主管しておられる自治庁関係自分のほうでもやりたい、大いに打合せてやるということを言つております。そういうことも各省も一生懸命になつてつておる。それから公団はございませんが、公社でございます。専売公社であるとか、国有鉄道の公社であるとか、こういうものに対してもこれは勿論監察するわけですが、こういうものについては或いはいろいろの諸官庁がやる、或いは運輸省が自分で責任を以てやりたい、こういう希望があるのです。私のほうも行政管理庁にお世話になる前に自分でやりたいという希望もありますので、それと協力をしてやるという建前にいたしておるのであります。こういうふうに各省々々で自分自身でやつて、又自分関係するところをおやりになる、或いは関係する地方団体をやるのと、今度行政管理庁が全体的立場でやるのとうまく食い合せて能率を挙げたいという仕組を考えております。
  36. 竹下豐次

    竹下豐次君 そういうお考えにおなりになつたということは結構なことでありますが、勿論長い間の歴史から見ても実際それができない歴史が今日まで続いておるのです。ちよつと手をつけてすつかりやりかかつた言つても、その障碍がさつき私の申しましたような情実もあつたりなんかいたしましてなかなかそれわいろいろなことがやりにくい場面が出て参ります。そこにやはりほかから、つまり親類筋からも気を付けてもらうということが非常に大事じやないか、こういうふうに思います。その親類筋に当つているのが今問題になつている監察部仕事ということになるわけで、これは是非並行して、各省が仮にそういうふうに自分部内監察を従来おろそかにしておるものを、それをしつかりやるのだというなら、これはまあ結構だと思つておりますけれども、それだけではどうしても私は足りないと思つております。折角ある機構を、もうちつと世の中がきれいになるまで、そうして又各省大臣あたりが力を入れられてその成績が挙るようになるまで、続けておやりになることが必要ではないか。僅かの人員くらいで節約される費用よりも、それがために国民の受ける損害というものはどのくらい違うかわからないわけです。で結局節約が節約にもならない、そういう場面のことも相当に私は考え得られるだろうと思うのです。そういう意味で、私はこの機構は余り縮小されないで、できるだけ手を延ばすようにむしろお考えになつたほうがよいのではないか。特に今増員なすつたほうがよいというところまで申上げるわけではございませんが……。
  37. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 私はお気持は非常によくわかります。それで人員の点につきましては、千二百名というと、これはかなり厖大な人員でありまして、この前行政管理庁がスタートするときさには行政監察をやるのだという大旗を掲げて進みながら、僅か二千客しか大蔵省は認めなかつたような実情になつておりますので、これも経済調査庁というものがほかの目的であつた役所が丁度なくなるという機会であつたので、私は千二百名という厖大な機構を設けられることになつたのは、これは非常に仕合せだつたと、こう思つております。でありますから、私はこの千二百名と言つて、而も監察をやつて、而も各省みずからおやりになるのを、各省みずからではどうしても血が繋つておりますので、急所に手が触れにくい点もありましようし、場合によつては臭い物に蓋をするという気分も起りましようから、それに対してはそういうことに関係のない中央的な、第三者的な立場に立つている行政管理庁がその機能を十分活かしてそうしてそれを刺戟するというとおかしいですが、よくみずからも監督する、こつちからもやると、こういうような態勢で以て十分能率を上げたい。各省でみずからおやりになるのを掣肘するのではないのですが、それはやはり各省でみずからやつて頂くような傾向を刺戟しなければならない。それには又こういう官庁が厳然として控えていることが必要ではないか。この二つの機構の、何と言いますか、うまいコンビーネシヨンによつて私は相当能率を上げたいと思います。数から申しますと、項目から申上げますと、八項目から二項目だけになつて、六項目というのは各省に割振られるのですから、人員的に言つても六割が各省に吸収されて、四割だけが残されるということになるのですから……。
  38. 竹下豐次

    竹下豐次君 項目的には八から二に非常に少くなつたようですが、仕事の量とか、重要さから言いますと、必ずしもその比例では行かないわけでありますし、今まで手を着けなかつた新らしいことをこれから手を着けておやりになることになると、今までと比べると、総量におきまして仕事減つたという説明はできないかと思うのです。これから加えると言いますか、突込んでやつて行くということになりますれば、私は仕事幾らでもあり過ぎるほどあるのではないかと思います。だから仕事減つたということは、八分の二というわけにはなかなか行かないのであつて、併しその点も八分の二の御説明政府委員からでもはつきりして頂けますれば納得するわけでありますが、それはあとで詳しく承わることにしたいと思つております。それからもう一つお尋ねしたいのですが、福岡やらほうぼうにあるが、地方経済調査局ですか、ブロツクにあるのが管区ですね、府県にあるのが地方ですね、それで地方のほうが今度なくなると、管区でやられるというのですが、先ほどちよつとあそこで話も出ましたけれども、どうもやはり本当に監察仕事をするためには、成るべくやはり現地に近いところに続いて監査に当る人がおりませんという、なかなか手が届かないのではないか。何か問題の起つたときにぽつと飛び出て行くと、つまり検挙でもするというようなことでやるばかりの性質のものでもありませんし、平素よく知つて、そうして又不正なことの起らないように、正しい補助金の使い方をするようにということを是非気を付けておらなければならないので、絶えず成るべく近いところにいて監視しておるということが私は必要ではないかと思う。そうしますというとなかなか八つの管区で遠いところからは目が届きませんですね。監察の結果を挙げることが非常に困難になつて行くのではないかと思うのです。
  39. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 私はこれは大蔵省でも、財務部と財務局といろいろありまして、ブロツク別と県別になつておるのですが、県別のでやるという行き方も確かにあると思いますが、先ほど申しましたように、成るべく各省ごとに各省内部でやらせようと、これは外部から刺戟するような、或いは督励するような働きを持せようという感じを持つておるわけであります。先ほどもちよつと申上げたと思いますが、各県に割振つておりますような人は、大低二十人とか三十人とかいうような非常な少数の人であります。だから役所としましても二十人とか三十人とかいうような人では、働く人の数から申しますと、それから給仕を差引き、門番を差引くというと、非常に働ける人というものは少数になつてしまうので、従つてそのスタツフにしても非常に優秀な人材を揃えるということはなかなかむずかしいことになる。相手は、今までの経済統制の項と違いまして、県であるとか市であるとか、非常に大物になつております。又各省の出先の何々局というような相手でかいものになつております。こちらが非常に貧弱なもので向うがでかいものになると、実際問題といたしまして、監督する立場におきましては、悪く言いますと力関係と言いますか、なかなか小さな少人数では歯が立たないというか、初めから非常にやりにくいところが出て来ると思う。そこでむしろ、そういう人員各地にばら撒いておかないで、管区別くらいに集約しておきますと、そうして百何十人、二百人というような人が固まつて参りますと、相当優秀なスタツフを固めることもできる。お互いにトレーニングもできる。情報の交換もできる。そうして相手が非常に大物でありますから、必要なところに随時機動的に行つてよく調べる、必要があれば大きな人数を動員するとともできるというわけで、相手が大物でありますので、そういうふうに行つたほうがいいのではないか。  それから、これはちよつと話が違いますが’今税金の問題にいたしましても、全国的な組織を持つておるようなものに対しましては中央でやり、相当大きなものはブロツクでやつて、小さなものは税務署でやるということになつております。やはり相手が大きいと、こちらのほうも相当大きな局でないと調べにくい点があります。これは行政の実務の問題でありますが、余り小さく分けて行くよりは、やはり或る程度固めておいて、立派な局長さんがおりまして、立派なスタツフを持つて、必要に応じて出て行くというほうが、私は或る程度権威を持つて、そうして弾力を持つて仕事ができるのではないか、こう思います。それから又各地に固定させてしまいますと、お互いなずむというようなこともできましてそこに行政の闊達な、或いは明朗な運営を期しにくい強力にやりにくいという点もありますので、地域別の中核をきめておいて、機動的に適時適材を派してやるというふうにやつて行きたいというので、今回いろいろと御指示の点は随分内部でも研究いたしたのでありますが、研究の結果そこに落着いたというような事情になつております。勿論、御注意の点につきましては十分注意をしてやつて行きたいと思つております。
  40. 竹下豐次

    竹下豐次君 それは入管区と四十幾つの地方庁といずれを……、どうせやめるなら、片方をやめるとするならば、いずれをやめたほうがよいかという場合においては、お説のことも一応理窟の立つことだろうと思つております。併し私の希望は両方とも大きいほうがいいのではないかと、こういうわけなんです。それから仮に片方ずつにしましても、それは成るほど長官のお話のように、相手が大物だとこつちがいじけてしまつて交渉が本当にできないというような場面も生ずるだろうと思つております。併しそういう場面でないほうが件数としもや多いのじやないか、例えば県庁あたりに行つて、こつちの所長が出て行つて向うの課長と交渉するというような場合ですね、そこで話がつくということのほうがむしろ多いので、すべてを知事と直接交渉しなければならないということはないはずです。件数から言うと私の言つた部分のほうが、よつぽど多いかと思います。それからいよいよ大物と対抗しなければならないような場合には、本省というものがあるのですが、東京に行政管理庁というものがあるのですから、そこから出て頂けばいいわけなんです。最も八管区残ざれるならば東京まで行くという必要はありません。そういうためには大きい人を管区なり東京のほうにお置きになるということは、これは必要の場合がもとよりあるだろうと思います。ややもすればこれを監察とか、監督とかいうようなところに坐りている役人たちが、自分の地位と相手方の人物なり地位を比較し過ぎて、ちぢこまつてしまうという例は私もよく承知しておりますから、長官のおつしやる意味も私はわからんことはありませんけれども、それはむしろ少い場面だ、かように私は考えているのです。
  41. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) その辺のところは、例えば会計検査院と大体同じような組織になるわけです。会計検査院は中央だけであります。中央だげという説もあつたのですが、私は中央だけということも無理だろうというわけで、管区ぐらいをまあやるのが実情に即するのじやないか、相手方は大体会計検査院と同じことになる。今までの経済調査庁対象は殆んど八千万全体が対象なつでいる。今度は会計検査院対象と大体同じようなものになるというようなことを考え合せまして、やはり相手方の大ききとか、みずからのことは先ず自分でやつてもらつて、足らざるところを補い、或いは監視する意味においてやるとか、いろいろな意味におきましては今回の機構でやるのがいいんじやないのか、こいうふうに考えているのであります。
  42. 竹下豐次

    竹下豐次君 会計検査院の今度の機構も、鑑査するという点においては同じでありますけれども、会計検査院のほうは済んだことをあとで調べて報告する。そうして又繰返さないように気をつけるという意味においては、やはり予防の方策であるということも言えましようけれども、今度の問題は会計検査院よりも、まあ途中でそういう過ちの起らないようにというような場面の働きのほうが多くなくちやならないと思うのです。その点で会計検査院とすれば、大分質が違うと思うのですね。
  43. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) まあそういう点を考慮いたしまして、今回のような措置にいたしました。会計検査院も最近は余り、お前のほうは死んだような、過ぎたことばかりやつているというような点から、大分進みつつあるものにまで手を触れるようになつて参りました。併し私は会計検査院対象一緒でありますけれども、このほうがもつと進んでやらなければならないということはよくわかりましたので、今の管区的にやるのがいいというようなまあ、結論に達したわけです。
  44. 竹下豐次

    竹下豐次君 今日は一応これで時間が大分過ぎましたし、ほかのかたもあると思いますから……。
  45. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 この行政管理庁設置法の一部を改正する法律案の一ページですが、まあ五なら五にも「統計及び統計制度の改善発達に関する基本的事項を企画すること。」とありますが、この統計及び統計制度」という言葉は、例えば官庁統計だけを意味するのか、或いは民間統計をも含んだものであるか、そこをお尋ねいたしたいと思います。
  46. 美濃部亮吉

    政府委員美濃部亮吉君) ここで意味していることは官庁統計だけでございます。民間統計は入つておりません。勿論間接的にはありますけれども、直接的には民間統計を入れてございません。
  47. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 私はこの民間統計と官庁統計どの間の連絡は、非常にスタンダードの定め方とかその他に不一致がございまして、両方の統計をすぐ使う場合に同じ尺度で行かない不便が非常にあると思います。大蔵省の我々が記憶しておりますような統計、商工省の統計など基準が違います。併しこれは官庁統計で一致されましても、日本銀行の統計、或いは興業銀行の統計、勧業銀行の統計、或いは証券取引所の統計、或いは経団連の統計、こういうものに非常に不一致がございまして、官庁との間の比較が非常に不便があると思いますが、これはこういうものを成るべく懇談して調整をして、この一本ですぐわかるようにするというような権限が、この委員会にあるかどうかを一つお尋ねいたしたいと思います。
  48. 美濃部亮吉

    政府委員美濃部亮吉君) 今のお話通り官庁統計同士の間でさえなかなか比較がまだ可能でないものがたくさんございますので、ましてや民間と官庁との間には比較の不可能のものがたくさんございます。その点できるだけ比較可能にするのがいいことは今のお話通りでありますが、官庁が民間の統計に直接、つまり民間の統計は民間の仕事を基礎としての統計でございまして、官庁の政策樹立のための統計とはそのユーサーが、使い途がまるで違うものでございますから、官庁が民間統計を直接統制することは、むしろデモクラシーの精神に反すると、これは善意の、何と申しますか、好意的な勧告、勧奨で以てやつて行くほうがいいだろうというので、この場合には私たち行政管理庁の統計基準部は、民間統計については何も権限を持つておりません。
  49. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 戦争中のように民間統計へまで統制官庁がされるということは、私は決して望みません。それは不当なことになると思いますが、併しこの民間側から官庁全体についての統計について、仮に共同で、例えば同一のスタンダードでやりたいというような申込みをする場合にそれを受け、その相談に応ずる権限が、この統計に関する委員会のほうにあるかどうかということを一つお尋ねしたいと思います。
  50. 美濃部亮吉

    政府委員美濃部亮吉君) 受ける権限と申しますか、今まではございませんでしたが、只今のところ経団連に統計制度委員会というのが作られまして、そうしてそれが窓口になつて統計委員会と統計についてあらゆる問題についてデイスカツシヨンをし、相協力して行こうという組織が今殆んど出来上つております。それでございますから、こういう法律、民間に対しましては法律という笠を着ないで、そういう委員会との本当の対等の協力でやつて行くのが、アメリカなんかの経験かち一番いいということでやつております。勿論例えば分類の基準を作りました場合には、その分類の基準を印刷いたしまして、できるだけ広く民間にも頒布いたしますし、産業分類、職業分類などは、日本銀行の統計は私たちがきめました基準分類を多く取入れております。そういう運営を通じてできるだけ拡げて行こうという方針でございます。
  51. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 御方針は我々と全く同じで、問題はないようであります。官庁側においては、この統計委員会のほうへ話をすればいいがやはり官庁のほうでは自分のほうへ言わなかつたというようなことが、私どもの経験においてもしばしばあるのでありますが、官庁側においてはこれが統一されているかどうかをお尋ねしておるわけです。
  52. 美濃部亮吉

    政府委員美濃部亮吉君) 官庁側ではそれは統一しております。それで非常に強く統制しておりまして、非常にこの分類は、国際的に比較の上から統計を取らなければならないものは、政令で守ることを、むしろ法律的に官庁統計については強制しております。
  53. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 その問題ははつきりいたしましたが、今の法律の二ページでありますが、二ページの十二号に、前号の監察に関連して、公共企業体の業務及び国の委任又は補助に係る業務の実施状況に関し、」とこういう言葉があるのでございますが、その言葉の意味を先ずお尋ねしたいと思うのですが、「国の委任」はわかりますが、「国の補助に係る業務」というものはどんなものがございますか。
  54. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) これは国から補助金等を出しておる業務、例えば地方団体に対する補助金による業務でございまして、例えば国の出資金のようなものは含まないという意味でございます。
  55. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 今お尋ねしようと思うことを先にお話になりましたが、今度の電源開発促進法によりますと、電源開発株式会社に対して国家が半分は少くとも出資するわけでありますが、それから又その次には外国の債務については国家が保証をたいすわけであります。その出資をした場合保証をするというものは、やはりここに入らないと工合が悪いのじやないか、又それはやはりこの監察ができるようにしておかんと工合が悪いのじやないか、かように私考えるのであります。促進法のほうは議員提案であつたから或いはここに落ちておるのじやないかと考えましてお尋ねするのですが、ここはどうでございますか。
  56. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 実はその出資まで入れますと範囲が非常に広くなりますので、余りに広くなり過ぎはしないかということで、一応事務的には補助金程度にしておいたらどうかというふうに従来は解釈いたしておる次第でございます。
  57. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 併し殊に国家の予算を入れるものでありますから、殊に電源開発株式会社に対しましては、国家の金が、政府資金が直接にも出すことができ、国家が半分以上も資金の出資をすることにしなきやならんとある。その上に保証もあるわけでありますので、これが落ちるということは重大な問題だと思うのでありますが、これはお入れになるお考えがあるかないか、即答は頂かなくても十分促進法との関係と関連して、それが通過するかどうかということでお考えを願えるかどうか。
  58. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 電源開発促進法との関係を十分検討いたしてお答えいたしたいと思います。
  59. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 それからこの今の法律の七ページでありますが、つまり八条の三項の二号であります。「行政機関及び都道府県の統計主管部局を代表する者六人」と、こうあるのでありますが、これは非常に結構な趣意の規定だと思いますけれども、大体都道府県なども入れば非常にいいのでありますが、どういうような大体の目安であるか、念のために伺つておきたい。こう思うのでございます。
  60. 美濃部亮吉

    政府委員美濃部亮吉君) 都道府県の代表は一人東京都だけを入れるつもりでございます。
  61. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 私といたしましては、私の長い経験によりましても、委員会、そういうようなものが単に政府の責任を分担せしめる範囲に終りまして、本当に民間の意見とか、或いは利害関係人の意見を盛り込むということが、この委員会、審議会すべてに必要だと思うのであります。多くは私自身も長い経験を持つておりますが、幹事として殆んど幹事案を作つておいて、そうして委員会を一時間ぐらい開いて、その幹事案だけでこの委員会が済んでしまうというような嫌いが従来しばしばあつたのであります。そこで一人と言わないで或る程度お入れを願うということが民意に副うのではないかということを、これは私の希望として申して私の質問を終りたいと思います。
  62. 美濃部亮吉

    政府委員美濃部亮吉君) 私たちのほうもできるだけ二、三人は入れたいという希望を持つておりまするけれども、これは相当頻繁に開きたいと思つております。そういたしますと若し開くとすると地域的に分散させなければなりませんので、そういたしますと旅費その他の関係から実際は不可能になるので、東京の近傍の東京都だけを代表させるより事実上仕方がないのじやないかというふうに考えております。
  63. 和田博雄

    ○和田博雄君 ちよつと簡単に質問したいと思いますが、竹下君が大分聞かれた監察のことですが、統計監査のやり方はどうするのですか。各省に監査をする者がおつて、又ここに監査ができるのですが、どういうようなやり方を一体やるのですか。
  64. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 監察やり方等につきましては一応政府委員から御説明いたします。
  65. 柳下昌男

    政府委員(柳下昌男君) 監査のやり方につきましては従来は非常に手不足なために、主として中央の官庁の行政の運営の方針なり、或いは又計画なりを監察調査いたしまして、そうしてそれを一応の基準として地方並びに中央の行政の実施状況を監察するのでございますが、これが人数が不足のために十分実証的な監察が思うように行かなかつたのであります。これからの監察につきましては、監察対象によりまして若干の相違はございますが、十分中央で行政運営の計画とか、或いはその方針を聴取し、又監察したものを以て如何なる問題が地方にあるかということで、先ず初めに予備的な監察をするのでございますが、それに基いて実証的な監察をするための計画を立てまして、それでこれを地方監察局に計画を流して、それで地方監察を指揮監督しながら地方実情をよく捉えて行く、こういうふうなやり方を計画しております。併しながら又一面それに地方において監察を実施しておる間にいろいろの実情が把握されまするとので、その報告を受けまして更に又監察をさせることも考え得るのであります。又監察の取まとめにつきましては、これは地方監察の結果を中央に集めまして、そして十分中央で審議して監察結果を求めて行く、こういうふうなやり方考えております。なお余りにそういうことをすることによつて監察結果を出すのは非常に手間取るというようなことでは、又目的を達せられないのでございますので、最終的ないわゆる勧告というようなことは、これは十分中央で審議したものによつて長官が決定されるのでございますが、なお途中で当然不当或いは不適当なものというようなものが発見されたときには、これは相手の官庁にその改善を要望してその促進を図る、大体そういうようなやり方考えております。
  66. 和田博雄

    ○和田博雄君 そうすると、結局この点は各省で言えば、各省内部にある監察をやる人たちというものが、先ず最初は何ですか一応まとめるのに第一線的な働きをして、それに基いて結局管理庁の役人が監察をして行くということになるのが主でありますか、それとも管理庁人たちがいきなり直接監察を、自分の目で見て行く程度従つてつて行く、こういうことになるのですか、各省との協力関係というのはどういうことになるのですか。
  67. 柳下昌男

    政府委員(柳下昌男君) 今までのは大体監察部監察やり方を御説明申したのでありますが、各省自体の監察との関連につきましては、これは従来の、殊に郵政省のように、はつきり郵政監察官があるところでは、これは設置法の所掌事務の中の郵政監察官の特定の業務として監察部と連関を持つてやるというふうになつておりまして、従来は兼務者がおりまして、我々のほうと連絡をとりながらやつております。我々のほうの監察に行く場合には、郵政監察局から人が参加しましてやつてつたような実情でございます。併しまだ事態の監察は全面的には余り進んでおりませんので、単独にやつた場合も相当あるのでございます。特にここで事態の監察を協力してやるなどというものは、これはなかなかその監察対象そのものにつきましては、やはり直接我々が監察しないと十分実情を把握できないと思いますが、例えば自治庁における補助金の面とか、或いは公共企業体の監督の面とか、こういうような監督の面につきましては、これは相当各主管の官庁監督をされておりますので、こういう点については監察でなくて調査を実施するということであります。こういうときには十分先方の監督官庁が持つております調査なり或いは意見というものを十分聞きまして、そうしてその調査対象機関に対する負担の重複を避けて、そうしてなお足りない面を協力して調査するというふうにも考えております。又政府部内の監察としまして、やはり十分第三者が見るのでございますから、余り専門的な部分になりますと、これには限度があると思います。それでやはり監察する過程におきましても、勿論結果を出すときにおきましても十分納得の行く監察をし、結果を出さなければならんと思つております。そういうために、できるだけ各官庁の中央の意見を聞き、こういうときにはやはり内部監察機構がありますれば監察機構一緒に働かす、こういうようなことによつて関連を取つて行くのであります
  68. 和田博雄

    ○和田博雄君 これは一体管理庁内部組織は三つの部があるのですが、例えば監察部とか管理部というのはかなり専門的に各省内におかれるのですか、どうなんですか。それは、監察部とか管理部というのは大体各省別くらいに分れるのですか、それとも分担はどういうふうになりますか。行政機関業務の実施状況ですから……。それと、十一一号の前号の監察に関連する相当広範な行政組織の運営状態監察して行くわけですから、専門的な知識も要れば、かなりそういうような識見が要ると思うのですね。どういうように一体事務分担といつたものは分れるのでありますか、そこはどうなるのですか。
  69. 柳下昌男

    政府委員(柳下昌男君) 監察の分担でございますが、これは我々の第三者の監察といたしましては、勿論その各官庁別に分げるということも便利な面があるのでございますが、第三者の監察の特徴としては、官庁間に跨がるいろいろの問題がございまして、こういうような問題を相手監察対象としなければならん面もございますけれども、そういうために必ずしも官庁別に分けることがいいとは限らないのでありまして、従来やつておりましたのは、やはり経済関係の行政面は経済関係で、それから又一般のそれ以外の行政面、或いはいろいろ事業官庁の面は、事業官庁の面、公共事業については農林、建設一本でやられるというふうな見方のほうが便利でありまして、そういうふうに分け方が考えられると思つております。そうしまして、先ほどの御指摘の監察の結論を得るためには、高い識見を持たなければならないという点は尤もでありまして、これは従来は行政監察委員が民間の学識経験者から二十名任命されておりまして、その委員監察部の職員が一緒監察しまして、その結論を出す場合につきましては、監察部だけで調査した資料も加えて十分審議をする。その審議の場合には、飽くまで委員が主体になつて審議して結論を求めて来たのであります。そういう点から申しまして、今度の監察部における監察の結論を求める場合におきましても、殊に運営の適否というような問題につきましては、十分中央に相当の学識経験のある職員が検討に当らなくてはいげないと考えておりますので、今度の設置法によりますと、勧告の主要なる事項については行政審議会において審議をするということになつておりますので、いわゆる適否の判断のむずかしい問題につきましてはここで十分審議を遂げられて結論が得られるものと思います。
  70. 和田博雄

    ○和田博雄君 これはそうすると、結局は行政審議会に行つて、行政審議会の勧告という形で実を結ぶのであつて、例えば行政管理庁の長官が、国会にこの行政監察の結果を報告するということによつて、やはりこの広範な各方面の行政がどういうふうに一体行われているかということを一般の国民に知らせる。或る意味で国民に対して行政機関働き方に責任を持つ、こういうような形は一体これを今度の場合はお取りになつていないのでございますか、ただ、結局審議会できめた勧告が、誰に対してか相談なされるというだけに終つているのでございますか。
  71. 柳下昌男

    政府委員(柳下昌男君) 今度の設置法ではこれは会計検査院の検査報告とは異りまして、これは政府部内の監察として監察結果は長官に報告されまして、それに基いて必要により審議会の審議を経て、これが長官の名において関係の主務大臣に勧告される、又重要な事項については総理大臣に勧告されるというようなことになると思います。
  72. 和田博雄

    ○和田博雄君 これは僕は大臣にお聞きしたいのですが、やつぱり国会に報告すべきじやないでしようか、当然に。
  73. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) これは私は必要に応じて考えて見たいと思います。
  74. 和田博雄

    ○和田博雄君 やはり各般の行政が実際どういうように行われておるかということは、予算が丁度会計検査によつて決算として出て来ると同じように、僕はやはり国民が一番関心を持つていることだと思うのです。それが今まで日本の場合には何ら国会を通じて報告されなかつた、ただ政府部内における監査のお互の自己批判だけに終つてつたというところにやつぱり一つの欠点があつたと思うのです。で、これは是非僕は必ず国会に何らかの形で報告して、そこで行政部面の実際の運営を明るみに出しておくということのほうが、政府としてもそのほうがいいし、又そのように一つ運営してもらいたいと、これは僕の希望ですが……。   —————————————
  75. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは次の問題に移りたいと思いますが、総理府設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。これにつきまして御質疑なり御意見なり、御陳述を願います。
  76. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 ではお聞きいたしますが、この二ページですが、丁度先ほどの質問に関連いたしますから……、国土総合開発審議会の権限があるわけであります。それから電源開発調整審議会の権限が書いてあるわけでありますが、私はこの電源開発ということの野田大臣の御説明によりましても、これは安本の委員会でしたが、やはり電源開発自体ということよりも、もつと国土総合開発という観点からこれを見るというような点がしばしばある、それで電源開発促進法案の中には、それに類似したいろいろないい規定もあると思うのであります。例えば例を取つて、適否は別でありますが、小河内のダムの問題を取りますならば、東京都がいたしておるわけでありますが、これは単に灌漑とか、水道の問題だけでなしに、電源開発の問題にも関連を持つのであります。で、工事については促進法案の中に関連事項が書いてあつて、私は結構だと思つておるのでありますが、この根本の審議会の間においては事実上どういうような関連を持たせるとか、或いは法律上どういうような関連を持つようになつておるのか、それを一つお伺いしたいと思います。
  77. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 国土総合開発審議会と電源開発調整審議会の両方の関係につきましては、国土総合開発審議会のほうでは国土総合開発全体のことをいろいろ検討いたしまして、大きなまあ計画を立てるということに相成つて来ると思いますが、最近の傾向といたしましては、特に国土総合開発計画におきましては、特定地域の国土総合開発を特に力を入れてやろうというようなことになつております。それから又調査地域についてもというようなことになつておりますが、それに対しまして、電源開発調整審議会のほうにおきましては、緊急開発に迫られておるいろいろな電源の調査と言いますか、電源開発を誰にやらせるか、どの程度の規模でやらせるかということを具体的にきめて行きたいというような考えを持つておりますので、従つてこの国土総合開発地域と申しますか、特定地域或いは調査地域の中にある電源開発につきましては、当然その指定地域の国土総合開発法の中に入つて来る  わけであります。入つて来るのでありますが、電源開発調整審議会のほうではもつとそれを具体的にかなり掘り下げて検討されるということにいたしまして、両者の関係におきましては、片方が全般的一般的であれば、片方は特殊的というふうに、電源開発調整審議会のほうが電源開発の具体的な問題については堀下げて当然いろいろな問題は審議されてやられるというようになると考えております。
  78. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 その関係のことはよくわかりましたが、そうするとこの委員その他の関連というものについて、両者の関連を付けんと私はいかんのじやないかと思うんですが、これは或いは電源開発の促進法のほうで申し述べるべきか、或いは国土総合開発法に関する関係において申述べるべきかと思うのでありますが、併し両方並んで出る機会はこの内閣委員会がこの機会が一番いいと思いますので、その辺をお考えを願わないと、ややともするとこの政府と公益委員会とのああいう関係などは国家のため最も歎すべきだと思うのでありますが、そういう点のないように一元的に考え得る事実上の関連というものを付けて頂かんといかんのじやないかというふうに意見と希望とを述べて質問を終ります。
  79. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 御指摘の点については十分検討を逐げて、その間  に遺憾のないようにしたいと思います。   —————————————
  80. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 他に御発言がありませんならば法制局設置法に入りたいと思います。これを議題といたします。
  81. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 三条の一号については私はこの前にもお尋ねしたのでありますが、閣議に付される法律案ということを、事典上の関係、或いは運営上の関係においてお尋ねするのではなしに、法律上とれは解釈はどうなるかという  ことについてお尋ねするのであります。閣議に一応各省から出た法律案を、出た上で法制局へ戻されるのが法律上の解釈であるか、閣議に出さるべきものは必ず法制局を通つて法律案が検討された上で閣議に出されるのであるか、その点を法律上の解釈から来る問題でお尋ねしたいと思うのです。
  82. 林修三

    政府委員(林修三君) 只今のお尋ねでございますが、この第三条の第一号のこの法文の意味といたしましては、先にお話になりましたように各主任の大臣から閣議に法律案、政令案の請議がございます。それは一応講談でございまして、それを一応法制局が審議いたしまして、その結果を閣議に報告する。それに基いて閣議決定がされるということでございます。法律的に解釈いたしますればそういう意味でこれは書いてある。この点は昔の法制局時代から大体同じ法律的には解釈、考え方でできているわけです。
  83. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 そうですが、実際の運営はそうでなしに、各省が法制局へ相談を持込みまして、そうして両方で意見が一致したものが閣議に出るというのが殆んどであつたと思うのでありますが、私はそのほうがいいのじやないか、こう思うのでありますが、法律上は如何ですか。
  84. 林修三

    政府委員(林修三君) 只今説明されましたように、特に終戦後におきまする法制局の、或いは法務府におきまする法制意見各局におきます運営は、今おつしやいましたように大体閣議に各省が出します原案をあらかじめ持つて参りますものについて、一応事前の検討をいたしまして、それで大体法律的にもこれで間違いがないというところで各省大臣から正式に閣議請議をいたす。それに対して法制局としてもこれで差支えないという意見を附けまして閣議で御審議願う、大体そういう扱いをしております。これはずつと古い法制局時代は実はそうでなかつたのでありまして、文字通りの運営をしておつたのでありますが、特に終戦後におきましていろいろ法律制度が相当根本的に変りました際に、やはりそのいろいろ法律的に大きな問題がございます。ございますので一遍各省から閣議に請議いたしましたものを又そこで相当直すということは如何か、又事務の運営上も却つて時間がかかる、そういうことで便宜上実際上そういう扱いをしている。ただこれは法律的に申せばやはり閣議に請議をいたしますものは各主任大臣の一応の権限でございます。やはりこの主任の大臣は閣議に請議する。それで請議されたものを閣議に附属しております法制局が一応審査をいたしまして、その審査に基いて決定をする。そういうことでいいのじやないかと思います。その実際の運営は今申しましたような運営は行われると思いますけれども、形式的に申せば、法律的に申せば、やはりこういうふうな恰好のほうがいいのじやないか、かように考えております。
  85. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 戦争前といえども閣議の前には必ず法制局へ殆んど出しておつたと思うのでありますが、それで真赤になつて原案が返つて来たのを我々知つておりますが、実際の運営としてはそのほうがいいと思いますが、なぜ実際の運営と違つたようなことが法文で表われるか、表わさねばならんかということを私はお尋ねしたいのであります。
  86. 林修三

    政府委員(林修三君) 実際と法文とそれほど実は変異があるわけではございませんので、やはり閣議に付されるという意義の解釈でございますが、各省大臣自分の判をつかれまして閣議に請議をされる、それにうしろに法律案政令案の案が附いている。それが閣議に請議をされますと、内閣の官房に廻しております。閣議の書類を掌ります内閣の官房にその書類が参るわけでございます。そこで一応閣議にかけられる前にその閣議に請義された文書、法文を法制局に廻される、法制局で審査をいたしまして、それに意見を附けて出すというのが大体ここに書いてありますやり方でございます。実際はいわゆる閣議に請議をされます事前に一応の原案と申しますか、法制局に見せられまして、それでその審査に基いて一応原案をこしらえて閣議に請議をされる、これが実際の扱いでございますが、どちらにいたしましても一遍閣議にかかりましたものを、いわゆる閣議と申しますか、会議体である閣議の審議になりましたものを法制局に下げて頂くのではないのでありまして、この法文の解釈から申しましても閣議に出したいという案が各省大臣から出まして、その閣議に出したいという案は内閣総理大臣宛に参るわけでございますが、それを法制局のほうに廻して頂いて法制局で見て内閣の閣議にかかる、そういう意味でございまして、一遍閣議にかかつたものをそれから又お下げ渡しを願つて来る、こういう意味ではございません。実際の扱いといたしましては、法文としてこれ以上にちよつと書き方がないのではないかというように考えておるわけでございます。
  87. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 そうすると、この「閣議に附される」というのは、附せられるべきとか、昔の言葉で言えば閣議に附すべきの意味に解してよろしうございますか。
  88. 林修三

    政府委員(林修三君) 形式的に申せばおつしやる通りでございます。各省大臣から閣議にかけたいと言われる法文、政令案、こういう意味でございまして、これも閣議に附されるべきという意味でございます。ただそこで正式に各省大臣が判をつかれました請議は、形式的に申せばその請議は内閣に参ります、それを見るという意味でございます。おつしやる通り閣議に附せられるべきという意味とお取り下さつて結構だと思い圭す。
  89. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 それでは私はこれで結構でございます。
  90. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 今の問題ですが、第三条の一号として「所要の修正を加えて、内閣に上申すること。」とあるが、「所要の修正を加えて」の、これは誰が責任を負うのですか。
  91. 林修三

    政府委員(林修三君) これはここにございますように、やはり法制局長官が一応ここで所要の修正を、法律的見地から所要の修正を加えまして閣議に出すわけでございます。いわゆるその請議案に、形式的に申せば各省の各主任大臣から出されます請議案に対しては飽くまで種々法制局で修正を加える、修正した点につきましては法制局長官が責任を持つて閣議に意見を出すわけでございます。それをその通りとられるか、或いは各省主任大臣意見を要するとするかは一応閣議できまるものでございます。
  92. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 そうすると、修正された法律案については所管大臣が責任を負うのであつて、ここでは単にその修正した意見を内閣に出すという意味ですか。
  93. 林修三

    政府委員(林修三君) これは各主任大臣から法律案が一応廻つて参ります、これが全部廻つて来て、その中で修正を加うべきものと考えた点だけについて一応手を入れて出す、その他の点については一応原案のままでよろしいというような考え方で両方含めまして閣議に報告するわけでございます。従いまして勿論法制局といたしましてもこの修正を加えた点だけではなくて、その他の点についても勿論法律的な責任を負つておるわけであります。
  94. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 そうすると法制局長官は修正を加えたものを内閣に上申報告するというだけの責任であつて、閣議に出すべき法律案については、修正を加えられたものは飽くまで各省のその所管大臣がその修正を出した場合においては、その出した法律について責任を持つて閣議に出すわけになるのですか。
  95. 林修三

    政府委員(林修三君) やはり各省の主任の大臣といたしましても、一応閣議に提議されました法律案につきましては責任を持つておられると思いますが、それについて修正がありますと、その修正につきまして各省主任大臣としてそれでよろしいということに一応なれば、それについては各省主任大臣も、それについて責任を持つておられると思います。
  96. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 そうすると法制局の所要の修正を加えて内閣に上申するということは大した権限ではないわけですね。ただ所要の修正を加えて報告するというだけの意味のものでありますか。
  97. 林修三

    政府委員(林修三君) これは仮に各主任の大臣と法制局の間で意見が違う場合もございます。意見が違います場合には閣議請議案につきまして、法制局としてそれに修正を加えまして閣議に出すという権限があるわけであります。閣議におきましてはその法制局が修正を加えたものを以て議題とされまして審議をせられ、若しそれが工合が悪くないということになれば、閣議でおきめになることだと思います。少くとも閣議で審議されます原案になる、土台になるという意味においての権限はあると思います。
  98. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは他に御発言がありませんなれば、本日はこの程度に止めておききして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めます。それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後五時二十三分散会