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委員外議員(赤木正雄君) 特にこの
委員会におきまして田中
理事並びに私の
発言を
委員長がお許しになるよう処理されたことを深く感謝いたします。
建設省設置法の一部を
改正する
法律案につきまして建設
委員会の大多数の意向を代表いたしまして二人からそれぞれの
意見を申上げます。
私のほうから申すことは、第一に、この
法律案によりますと、技監制を廃して、これに代るに建設技術会議を設ける、こういうことであります。これに対して我々の
委員会といたしましては、その大部分はこれに反対であります。私の
委員会におきましてなぜ技監を
廃止するかということを政府に聞いたときに、政府の御
答弁によりますと、昔の技術と違いまして、今日の技術は実は多岐に跨
つておる、
従つて一人の技術者を以てすべての技術を任すことはできないから、技監の
制度はむしろ
意味がない、それよりも技術会議をや
つたほうがより多く技術の向上にもなる、こういうふうな御
意見のように存じておりますが、それには我々は反対せざるを得ないのであります。御
承知の
通りに今日一番大事なことは、殊に建設省といたしまして、国土の再建に大事なことは技術の向上であります。ところが技監を廃して果して技術の向上になるか。それには多大の疑問が我我はあるのであります。御
承知の
通り先ほど私が申しました
通りに、今は技術は河川も道路も砂防も建築も種々ありますから、一人の技監を似てすべての技術に最高権威たるは無論不可能であります。併し技術会議というものは実際どれほどの価値があるか。恐らく技術会議は責任があ
つて責任のないようなもので、この技術会議の権威がどれほどあるか。我々はこれによ
つていわゆる技術の向上は無論図れない。むしろ技監を廃して技術会議を置くことは、いわゆる建設
方面の技術の向上ではなくてむしろ低下である。こういうふうに結論したのであります。
ではどうしたらいいか。そこで我々は、少くとも技監は今までのように置いて、仮に道路
関係の人が技監にな
つておる場合には、或いは河川とか或いは建築とか、或いは砂防とか、それぞれの技術の最もその道に達した技術官を以て副技監にする、そうして技監及び副技監を置いて、ここに確固たる技術の道を明らかにする。殊に御
承知の
通りにこの頃の政治は非常に多岐に亙
つております。ややもすると技術を無視していろいろのことが行われやすい傾向がありますから、技術としては、日本のどの道に対してもこういう方向で行くのが一番正しい、いわゆる技術家をして一定の確固たる道を開いて置くということは、今後の政治部面において非常に大事なことであります。若しも、その技術の上から言えばこれが最も正しいし、一定の線を進めておりながら、それを仮に濫用することは、それは技術の冒涜であ
つて、それを冒涜する人が悪い、そういう議論が立つのであります。そういう
観点からして我々は技監に次官と同等な位置の技監を置く、又局長にはこれと同等な副技監を置く、こうして初めて技術の陣営が確固たるものであります。これが私どもの趣旨であります。なおさつき私は大多数の
意見と申しましたが、なぜ、大多数の
意見と申したのは、技監を置くということは、これは建設
委員会全員の要望であります。ただ副技監を置いて、その結果、局長が現在技術官の人がありますが、そういう場合にどうなるか。それでむしろやはり現在折角局長に技術官がな
つておるのであるから、そのままに置いたらいいじやないか、こういろ
意見を出す人もあるのであります。併しそれは私は見方だ。局長の位置は技術官でも事務官でも適材適所の人が当ればいい、局長の位置は技術官を以てとらなければならん、決してさようには思
つておりません。局長にはもつと大きな使命があります。その道で行くのが日本の建設技術の向上と思います。でありますから、この
観点からいたしまして、我々建設
委員会におきましては、全員一致ではなか
つたのであります。但し大多数としては技監、副技監、この
制度に持
つて行くことが正しいと大多数の意向が決定したのであります。そういたしますと、今河川局に次長がおりますが、これなんか何も要らない、そういう考えを我々は持
つております。その点を明らかにしております。
もう
一つの問題は、これは
長野の問題でありまして、例の
農林省の荒廃林地復旧工事或いは建設省の砂防工事、これはこの前の例の建設院を建設省にする場合に、政党政派の如何を問わず、あの国土計画の場合におきましては全員一致で、この次の
行政改革には必ず建設省の中にこの
農林省の荒廃林地復旧工事も合併して、そうして砂防局を置く、こういう強い要望を出しておるのであります。折角こういうふうに
行政の
改革になりましても、我々多くの要望したものが一向実現されないでは効果がない。それに対して政府は、これはそういうふうな両省の争いは昔のことで今はない、かように言われますが、それは私は実情に適しない。ここに
一つの例を挙げますが、これは静岡県の安倍川の
仕事をした
場所です。御
承知の
通りに建設省の砂防といたしましては、主として整備工事、護岸とか堰堤とかそういう
仕事をやりまして、山腹工事は余りやりません。又
農林省といたしましては山腹工事、山に木を植える
仕事をや
つて、渓流工事は主としてやらない、こういう大体の建前、その結果これを御覧に入れますが、
一つのほうは山腹工事ばかりや
つて護岸工事はや
つていない。又
一つのほうは護岸工事ばかりや
つて山腹工事はや
つていない。これが最も適例なのであります。又こつちのほうは護岸をや
つていますが、山腹をや
つてないから効果はない、これがいい例なんです。もうそういうことは昔のことで今はないとおつしやいますが、それは実例を御
承知ないのであります。私は一月ほど前にやはり神奈川の或る
仕事場を見ました。やはり山腹は山腹、渓流は渓流とや
つていながら、中には同じ
場所で同じような所にや
つておりながら少しも統合されてない。これほど馬鹿なことがどこにあるか、実に無駄がたくさんあります。こういうことであります。こういろ厳たる事実が各地方にあるのでありますからして、この点を
行政改革においては是非ともこの際お考え願いたい。併しこの問題は我々といたしましてもなかなかやかましい問題で、全員一致でこれは決定することはできませんでした。大多数はこういう希望を持
つております。併しこの農林
関係の砂防をこちらへ持
つて来るということは決定しなくても、もう
一つ全員で決定したことがあります。それは今日の建設省の砂防の問題であります。河川局に属していまして、河川局の中にある砂防でありますからして、無論河川局も喜んで
仕事をするはずでありますが、事実はこれに反することが非常に多い。つまり河川の技術と砂防の技術が相類していない点がある。或いは派閥の争いと申しますか、実にひどいのであります。それがためにこれは殆んど想像もできない……、むしろ砂防の予算を阻止しているものは河川局の中にありはせんかと、こういうふうの疑いも多分にあります。その
観点からして万一両省の機構が
一つにならない場合には、現在あるあの砂防は少くとも河川局から独立して砂防局にして欲しい。これは決して人の問題じやない。又工費の問題じやない。実際
仕事をするのにはそういうふうにやるほかない。現在日本の各地で砂防工事をや
つていますが、今は砂防の技術が非常に圧迫されておりますからして、そこで砂防が全国に行われていません。これはどこにあるかと申上げますと、至るところにあります。そういう事例もありますからして、殊に治山治水と申しましても、一番大きな問題は土砂を出す問題であります。その
観点からして、この砂防技術を立派に現わして、治水の本当の実を挙げるためには、この際少くとも河川局から砂防課を独立して砂防局にお願いしたい、この点については全
委員の一致した気持であります。
これを申上げて、特に本
委員会におきましても建設
委員会の意のあるところをお汲み取り下さることを皆さんにお願いする次第であります。