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政府委員(徳永久次君) 森林資源の問題が議論になりますけれども、どうも
パルプ工業が目の仇にされる議論をいろいろ聞くわけでありますが、先ほど私申しましたように、この
パルプ工業の背後をなしておりますものは、日本として非常に稼ぎ高の大きなものを占めておりまする化学繊維工業が
一つ、それからもう
一つは紙の需要でございます。紙は
新聞紙或いは教科書
用紙その他いろんな大事な需要を控えております。ただ需要は、過去の
数字に比べて見ますと、いろんな日本の民生安定の目標だしてありまする基準年度の
消費量等に比べますると、まだ非常に低いものでございます。ほかのいろんな繊維その他の復興、
国民生活の向上に伴う需要の増加等の
関係から見ればまだ低いものでございまして、その意味では潜在的なまだ必要性というものを相当持
つておるのじやないか、それを調達するための
原料部門を
パルプ工業が担当いたしておるというふうに私ども
考えておるわけであります。従いまして
パルプ部門が日本の経済の基盤から
考えまして或る
程度の規模に大きくなるということは、これは相当の、日本全体としての合理性を持
つておるものというふうに私ども実は
考えておるわけです。ただそれを広く日本の森林資源対策というものとどう調和して行くかというところに問題があるわけでございまして、先ほど申しましたように森林資源の現下の陷
つておる
状況というのは非常に今深刻なものでございます。日本の経済再建のためにこれを何とかしなければならんということも非常に重大な問題であるということは重々
承知いたしておると思います。それを私どもとしましては
パルプが伸びるから目の仇にされておるというようなきらいもございますけれども、総合的に積極的な解決と見合
つてパルプも先ほど申しますように、それ相当の伸びるべき十分の必要性と合理性を持
つておるというふうに思いますので、そういう形で解決すべきでなかろうかということを私ども
考えておるわけでございます。直接
パルプ工業が使います
原料対策につきましては、先ほど申しましたような極力闊葉樹を使う技術の問題とか、或いは差当り輸入材を何とかするとか、或いは代替資源を何とかするというようなふうに多角的に少しでもプラスになるものを
考えて行くということもいたしておるけわであります。それから更に御
承知の
通りパルプ工業は目先は比較的採算條件に恵まれた産業でございますが、それだけ私どもとしてはその全力というものを、森林資源の培養といいますか、植林面にその力を注ぎ込ます。目標は自分の要る
材料は自分で取
つて、切
つただけのものを植えて行くというだけのことをや
つて行くということも指導いたしております。これは私今
数字的に
説明をする資料を持合せておりませんけれども、これはこの一両年来の
数字というものは十分にその業者の誠意を証明するに足るだけの成果を挙げておるものと私どもは
思つておるような次第でございまして、そういうこともやらしておるわけであります。
それから更に
消費節約の点も先ほど申上げましたけれども、例えば、もう
一つ申し忘れたので、例を挙げて恐縮でございますが、この包装用材という項目がございます。これはやはり年間一千五百万石ぐらいの
木材を使
つておるわけであります。これが最近眼につきます段ボールというような容器がございますが、あの形に改造いたしますると、理論
数字では十三分の一で済むというような
数字が出ております。理論
数字通りには参らんといたしましても、この五分の一ぐらいの
木材の
消費量で十分包装の目的を達するということになろうと
考えております。でこの産業も現にあるわけですが、現在それが復旧いたしつつありまするが、また生ま木をそのまま包装用材に使う場合とはコスト的にも若干高い、或いは品質その他についても若干問題があるというようなこともありまするし、又その必要性が需要者の方面に認識されていないというような点もあ
つて、その段ボールで置換えらるべき用途が依然として生ま木のまま相当使われているという面が相当残されているのであります。この面にも私どもいろいろ努力をいたしているつもりであります。最近
新聞紙上等で御
承知だと思いますが、東京の青果市場と連絡をとりまして、りんご輸送をこの段ボール輸送に切換えてや
つて行こうということで長野のりんごをやりまして、非常にいい成績を挙げております。更に青森のりんごを大量的にやろうということでや
つております。利用者全部から今までの木箱よりもよほどよろしいという結論も出て参
つております。むしろ反面では、今度はこの
生産力を殖やすということも、アメリカの優秀な機械を入れて設備を拡張するということもや
つておりますが、最近では宣伝のほうが利き過ぎまして、日本の
生産力をオーバーする需要が出て来て参
つているというようなこともありまして、私ども少し工場の拡充のほうを先に急ぐべきで、宣伝は少し手控えなければならんかなという工合に
考えているような
状況であります。そういう面で、今まで
木材が或る
程度不合理に使われている向きも節約するということに、通産省はこの面からはみ出しますものは積極的に落しますし、反面伸びるべき性質を持
つているものは、資源の
状況の許す限り伸ばすというように
考えて行きたいというつもりで
考えているのであります。