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小笠原二三男君 実は山田さんの強い発言は本日初めて聞いたのではないので、
電気通信委員会におきましても再三我々聞かされておるところなんで、その
答弁を聞きましても、新米の議員である私にはさつぱり事情が飲み込めない。それで
電波監理委員会の
設置法なるものがいつ出て、どういう経過で今日に至
つておるか。第七国会の
速記を見て、その提案
理由の
説明を見ますというと、本日なり、或いは前回以来、今回
改正しようという
趣旨とは真向百八十度違つた
理由を以て
委員会を
設置をせられようとされておる。同一
内閣で途中においてたまたまこういう百八十度方向転換というようなことは、どういう考えから起
つて来るものかお伺いしたいので、少し
網島さん、古いことですけれども、あなたは当時
政府委員として、
国務大臣の補佐としてその
政策を代弁せられておるのでありまするが、先ず当時の小澤佐重喜
大臣は、要点をつかみますと、こういうふうに述べておられる、提案
理由としまして、「
電波が国境をこえた文化的手段でありますことから、その利用には高度の国際協力を必要といたしますが、このための国際
電気通信條約に我が国も本年加入いたしました結果、この條約の要求を満すように国内法制を整備する必要がございます。更に、無線電信法の
性格そのものにつきましても、」云々と申されまして、
電波法と関連して提案しておるのでありまするが、いわゆる
電気通信省で
行なつております公衆通信
事業の
事業経営の準則と見られる
規定が、
監督行政の
規定と共に包含せられておるのを、この
行政を
事業から分離して別個の法体系とすることが合理的であると申せます。こう言
つておる。「同時に、主管の
行政官庁も、
事業官庁である
電気通信省から分離すると共に、その
組織を民主化することが
行政の公正を期する上に必要とな
つて参ります。」、こういうことで提案されておるのですが、それを補足しまして当時の尾形六郎兵衞政務次官はこういうことをおつしや
つておられる。
電気通信省なり、その他農林省でも、或いは
郵政省においても、
事業として無線
関係を扱
つておる部分があるので、公正を期するためには
電気通信省に
監督行政を置くことはできない、そうして政府各
機関の無線施設の中正、公平な
監督を行うことを考慮いたしますれば、総理府の外局とすることが最も適当と考えられます、こうある。それから又「次に総理府の外局としてこの
行政機関を設けます場合の形体でございますが、この種
行政が特に公平性、不偏不党性及び
政策の恒久性を強く要望せられることに鑑みまして、
委員会制をとることといたし、且つその
委員の選任については一党一派又は特定の利益
関係に偏することのないように十分の考慮を拂う」という
意味において、この
設置法が提案されておるのであります。当時占領下であ
つて押付けられたものであると、今頃申せるはずのことではないのであります。当時においても吉田
内閣なり、どの
内閣においても、
内閣の自主的な
責任において国会に提案することを再三申しておるわけなんです。そこでこの施設の部面と
監督行政を分離するんだということについて、当時の
河井内閣委員長が質問をしたのに対して、
網島さんの
政府委員としての
答弁があるわけであります。これは
網島さんによくお聞き願
つておかなければならないところでありますが、「この
電波と申しまするものは非常に有効な通信の手段でございまして、あらゆる分野におきましてこれを利用したいという熱烈な希望を持
つておるのであります。これに関しましては現在すでに一般公衆通信を取扱
つておりますところの
電気通信省以外におきまして、むしろそれ以上にこの重要な通信手段として」云々と言いまして、国の各
関係機関がこの
電波の利用に関して多大の監視と熱望を持
つておるという点を述べられまして、施設と
監督の
行政を一緒に内局として入れて置くことは、或いは
電波庁として外局として置くことは、「一例を申し上げまするならば、いわゆる猫とカナリヤを一緒の籠の中に入れて置くというような工合でございまして、結局カナリヤが猫に喰われてしまうのじやないかという批評もたびたび聞くのでございます。従いまして」云々というこのことで、この不偏性、公平性ということを主張せられ、理論的な背景としてこの
委員会
設置の提案
理由とな
つておる。それが今日において猫とカナリヤと一緒になるという状態になるのでございますが、それはならない、
審議会というのは飽くまでもこれは独立
機関であ
つて喰われないようにしてあるんだと多分
答弁したいところもあると思うのです。併し私のお尋ねしたいことは、これまで理論的な背景を持
つて主張せられた二年前の主張が、
行政機構の改革という技術的な部面から改革せらるるというためには、この
委員会の過去二年間における実績、
経験に照らして、欠陷ありとする点が立証せられなければならないと思うのであります。それがない眠りは、
内閣が
政策の一貫性の上からい
つて、技術的に便宜的な便法として形態を整えるためのこういう
行政機構の改革ということは、いわゆる今日の政党
内閣においてあり得るはずはないと思う。この点について私は
大臣に対して、その
意味合から、
委員会の過去一年間の実績においては、いわゆる二年前に提案しました新らしいこの
電波監理行政というものが欠陥があるという点を実証して頂かなければならんと思う。ただ單にこの頃はやりの、
大臣は
責任をとらなければならない、とりたいとりたいということで、この頃非常に
責任をとりたがる
大臣がたくさん出て来たのでありまするが、それだけの詰では私は納得できない。当時においてそういうことはもうはつきり割り切
つて委員会制度に
なつたものでございますから、そういうことでは納得できない。
従つてこれを立証して頂きたい、具体的に……。又
網島さんは当時
政府委員として政府の
政策を敷衍して、こういうことをおつしや
つておる。今日は同じ
政府委員の立場ある場合においては、今日の政府の機構改革の
政策に協力する建前で、それ以上の発言は許されないとしておられる。併しあなたは
電波庁の長官とし、或いは機構改革後の
委員長として、このカナリヤ論でございますが、これについて今日においてどういうお考えを……、
電波監理委員会を、当時の
内閣がただ單に
内閣の
政策としてではなくて、恒久的な基本的な
電波行政政策として確立されたものが変更されることに対して、全体的な時の
内閣のこれは
政策の変更であるから止むなしとしないで、どういう御
意見を、実際論を持
つておられるか、二年前のこの
意見と今日において変りがあるのかないのか、或いは又あなたのほうから……、実際
委員長は最高のこれは
機関でございます。この最高の
機関である
委員長として、過去二年間の実績上からい
つて、これまでに改革しなければならない
理由が立証せらるるかどうか、この点についてお伺いしたい。それがない限りは、ただ單に私はこの
内閣がこの
内容面その他に触れることよりも、
行政機構改革ということにウエイトを置いて、それに辻棲が合うように
電波監理委員会というものがそれぞれ
審議会その他に移行せられたというふうにしか解釈できない。だからこの点について
網島さんの御
意見も伺いたいと思います。