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1952-05-09 第13回国会 参議院 内閣・文部連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月九日(金曜日)    午後二時四分開会   —————————————  委員氏名   内閣委員    委員長     河井 彌八君    理事      山田 佐一君    理事      鈴木 直人君    理事      山花 秀雄君            石原幹市郎君            鈴木 安孝君            横尾  龍君            楠見 義男君            竹下 豐次君            成瀬 幡治君            赤松 常子君            上條 愛一君            栗栖 赳夫君            三好  始君            松原 一彦君   文部委員    委員長     梅原 眞隆君    理事      高田なほ子君    理事      相馬 助治君    理事      木内キヤウ君            川村 松助君            加納 金助君            木村 守江君            工藤 鐵男君            黒川 武雄君            白波瀬米吉君            安井  謙君            高良 とみ君            高橋 道男君            堀越 儀郎君            山本 勇造君            荒木正三郎君            藤原 道子君            棚橋 小虎君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   —————————————  出席者は左の通り。   内閣委員    委員長     河井 彌八君    理事            山花 秀雄君    委員            横尾  龍君            楠見 義男君            竹下 豐次君            赤松 常子君            松原 一彦君   文部委員    委員長     梅原 眞隆君    理事            高田なほ子君            相馬 助治君            木内キヤウ君    委員            木村 守江君            白波瀬米吉君            高橋 道男君            堀越 儀郎君            山本 勇造君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   国務大臣    文 部 大 臣 天野 貞祐君   政府委員    文部大臣官房総    務課長     相良 惟一君    文部省社会教育    局長      寺中 作雄君   事務局側    常任委員会專門    員       杉田正三郎君    常任委員会專門    員       藤田 友作君    常任委員会專門    員       石丸 敬次君    常任委員会專門    員       竹内 敏夫君   説明員    文部省管理局著    作権課長    柴田小三郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○文部省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————    〔河井彌八君委員長席に著く〕
  2. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより内閣文部委員連合委員会を開会いたします。  文部省設置法の一部を改正する法律案(閣法一〇二号)、これを議題といたします。もう一つ文部省設置法の一部を改正する法律案予備審査となつておりますが、それは本日の議題ではありません。本案につきまして御質疑がありますれば、この際御発言を願います。
  3. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 只今議題となつております文部省設置法の一部を改正する法律案は三月二十九日に衆議院で可決され、本院に回付されて今日まで参つておりますので、所管の内閣委員会では質疑相当展開されたでございましよう。或いは重複する点もあるかとも存じますが、私ども文部委員としては初めてでございますので、若干重複する場合があるかも知れませんが、御了承願いたいと存じます。  先ず文部大臣にお伺いいたしますが、本法律案提案理由を拝見いたしましても、先ずその角度からいろいろの見解もありましようけれども、まあこの法律案の最も骨子と申すべき部分は、やはり中央教育審議会を設置する、これに伴うところの法律案内容が最も私は重要部分ではないかと、こう考える次第でございまして、その角度から先ずお伺いいたしたいと思うのでございますが、最近私は我が国教育界は非常に不安定な状況にある、こういうふうに見ております。特にこの平和條約の発効いたしまして、自主教育を確立するというこの段階になりまして、今後の我が国自主教育はどういうふうな方向に行くのだろうかというような不安が教育者にも国民の間にもたいということは私否定できないと思うのです。その私は大きな原因といたしましては、まあ新教育一つのバツク・ボーンとも言うべきところの教育委員会法につきましても、大臣といたしましては、大臣諮問機関であるところの教育委員会制度協議会諮問しておるから、その答申を待つて結論を出したい、それは約一年前からそういうことを申されておりましたが、今日まで結論を出されていない、それからその後におきましては中央教育審議会を設置して、この答申を待つて処理いたしたい、それはあたかも平和條約発効の前にそういう結論を出すような大臣言明をずつとされて来られたわけなんでございますが、今日までその中央教育審議会も発足するに至らない、そういう立場から、そのうちにどう変るんだろうかという不安からもたらすところの不安定というものは私は非常に大きいと思うのですが、こういう点について先ず大臣はどういうふうにお考えになつていらつしやるか伺いたい。
  4. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 終戰の際に、今まで日本でやつて来た教育というものが非常な改革をされたということは御承知通りでございます。その改革が果してこのまま我々は続けて行つてよいものであろうかどうか問題があると思うのです。で改革されたことをそのまま呑んで行くのがいいのだとは言えない。併しそうかと言つてそのまま元へ返したらいいかというと、そうも私は言えないと思うのです。だから或るものはこのままでよろしい、けれどもそうでないものは、以前のものと今度改革されたものとを二つを内に含んだ、いわゆる二つを止揚した立場に立つということも、時としていろいろな必要な点がありはしないか、そういうことを検討しようと思つて中央教育審議会というものを考えておるわけでございます。
  5. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私がお伺いしているのはそれだけではないのでございます。御承知のように、総理府教育刷新審議会というものも先般解散するまでは現存しておりましたし、これを活用してやる方法も私はあつたかと思うのでございますが、本日まで教育委員会法の、本日までということは、平和條約発効して自主教育が出発せねばならんという本日まで教育委員会法結論も出なかつた、更には教育刷新審議会における十分なる活用もできずに、中央教育審議会を設置するというかけ声ばかりで本日まで持つて来たという点については、私は現在の教育界を若干なりとも不安定においてある点において私は遺憾を感ずるものでありますが、そういう点大臣はどうお考えになつていらつしやるかということを一応伺いたいのです。
  6. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 教育委員会につきましては、私どものほうにその協議会を作りましたけれども、その委員会において結論が出ない、でありますからこれは非常に私は重要な問題だと思うのです。簡単に結論を出してしまわないで、なお一年延ばしてよくこれを研究したほうがいいだろう、ここで何もかも一時に解決しなくとも、この問題は一年延ばして差支えないという考えから延ばしたわけであります。それが私の結論なんです。それから又中央教育審議会につきましては、成るほどこれまで教育刷新審議会というものがありましたけれども、この教育刷新審議会というのは、六・三制というものを作るためにいわばできた審議会で、これは総理大臣諮問機関でありますけれども、私はこの審議会の任務はすでに終つたと思うのであります。でありますからここに改めて文部大臣諮問機関として中央教育審議会というものを作ろうという考えでございます。
  7. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 教育委員会法制度教育委員会結論が出なかつたという御発言でありますが、それは結論が出た部分が多くて結論が出なかつた部分が一部であつたのだ、これを一年延ばすということにしたというのは別の法律で出ております。その論議はやや外れますので、この点についてはこれ以上論議いたしませんが、文部大臣答弁は一応私はそれで了承したことにして質問を続けますが、お伺いいたしたい点は、只今大臣言葉では、教育刷新審議会の使命というものは終つた従つてここにかくかくの審議会を設けるのだ、こういう御発言でございますが、然らば教育刷新審議会中央教育審議会は全く無関係である、従つて私はやがて問題になりましようところの中央教育審議会委員あたり構成につきましても、全く白紙の状態に別の角度から別個のものとして考えられるのだ。こういうふうに大臣答弁から私は了承するわけでございますが、それでよろしうございますか。
  8. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私も教育刷新審議会時代から初めからずつと教育刷新審議会委員をして参りました。その際に私が感じたことを若し率直に言わせてもらえるならば、全部とは申しませんけれども、或る程度まで利益代表といつたような形が全然なかつたとは言えないと思うのです。でありますから今度の中央教育審議会というものは是非そういうことではなくしたい、それで国民考えて見てこういうかたがたのきめたことならこれは信頼できる、今矢嶋委員のおつしやつたように国民の間に不安があるということは事実であります。でありますからこのかたがたのきめたことならこれはもう信頼できる、文部省が単独できめたことではなくして、文部省考えをこの人たちが承認したらこれで結構だ、こういうようなかたがた、そういうかたがた利益代表的な意味を全然持たない、団体というものを全然離れた、そうして識見あるところの学識経験者、又勿論実業界のほうからも加わつて頂いてそこでよく相談をする、そういう審議会を作りたいという考えであります。
  9. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 少し話がおのずから一局部に参つたようでございますが、話の出たついでに質問せざるを得ないのでありますが、では大臣はこういう行き方をどういうふうにお考えになりますか、教育刷新審議会というものが総理府総理大臣諮問機関として法制上盤としてある、而もその人的構成については、大臣は或る角度から今のような批判を持たれておりますけれども、ともかく別の角度から考えるならば、あらゆる階層から人員をピツクアツプしてそうして構成しておる。そういう公式の法制上の諮問機関がれつきとしてあるのに、吉田総理のお好みによるブレーンによるところの文教審議会なるものが構成されて、そうして盛んに我が国文教政策について論じ、これを発表されておる。国民にして見れば、教育刷新審議会より文教審議会というものは委員が数は少いのであるし、その会にはいつも総理は出席するし、天野文部大臣も出席されて、そうして教育刷新審議会より文教審議会のほうが上なんだというようなことを教育者国民も大部分はそう思つてつたわけです。総理法制上の諮問機関を持つており、ブレーンを持つておる、それが極めて数が少い、本当に吉田総理のお好みのかたでございます。そこで発表された問題というものは非常にこの影響性指導性が大きい。果してこれが私はこの諮問機関委員会制度によるところの諮問機関あたりの成果を果す上において適当であるかどうかという点において私は多分に疑問を持つております。その後に文教審議会文教懇談会とか名前を変えられたようでございますが、そこで私はお伺いいたしたい点は、今度天野文部大臣諮問機関として中央教育審議会ができる、そうなると、従来首相プライベートに持つてつたああいう会はどうなるのか。  更にもう一点お伺いいたしたい点は、文部大臣法制中央教育審議会を持つて、その委員が若しも構成十分不満な場合には、今大臣発言されたような、本当に代表するというようなかたがたを集めるという意味において総理曽つて教育刷新審議会に対して文教審議会をやつたようなプライベート天野文部大臣諮問機関を設ける考えがあるのかないのか、その二点を先ず伺いたい。
  10. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 総理の下に作られた文教審議会というのは、少し今の問題と離れると思いますけれども、そういうお話がありましたからその実情を申上げます。この文教審議会言つて、今文教懇話会言つておるものは、何も物を議決して社会に発表したことは一度もございません。何もそこで決議をしたことも何もありません。ただ総理、一国の首相である総理が、文教のことに対して十分な知識をお持ちになることは私は非常によいことだと思うのです。そういう意味総理がいろいろのかた集められて、そこで一般的な文教の話を聞かれたというだけのものであつて、一度でも決議をして社会に発表したことはございません。教育刷新審議会とは全然意味を異にするものでございます。で、今度私の作ろうという中央教育審議会というものができたからといつて文教懇話会がなくなるということは恐らくないでありましよう。これは総理のお考えのようでございます。私の関係ではございませんが、恐らくなくならないでありましよう、意味が違うのであります。私は只今申したような趣意で中央教育審議会というものを作つて、そうして日本の今後の教育の向うべきところをよく討議して頂いて、国民が安心していられるようにしたいという、そういう考えでございます。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 第二点について。
  12. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) どういうことでしたか。
  13. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 第二点は、中央教育審議会は二十人以内で構成するわけですが、それ以外に、総理にまねてと言つては失礼でございますが、天野文部大臣がまあプライベートなそういう懇話会というようなものを持たれる考えかどうか。
  14. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 持つ考えは全然ございません。
  15. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点私は非常に満足でございます。と申しますのは中央教育審議会というようなものがここにきめられましたならば、十分この意向を私はそれ一本で始末し、尊重して行くというような態度を私は是非とも大臣はとつて頂きたい、その点で私は満足であります。  次にこれに関連してお伺いいたしたい点は、大臣さつきの御発言の中に極めて重大なものがあつたと思うのです。今度の中央教育審議会大臣がどの程度尊重されるかは第二義的になりますが、この諮問に対する答申というものは、我が国文教政策というものを左右する極めて私はウエイトの重いものになるだろうと思うのです。そうなりますというと、この人的構成は極めて私は結論を左右するところの重大なものだと思います。そこで話は少し下るのでございますが、さつき大臣言葉に出されましたので、当然私は質問せざるを得ないのでございますが、教育刷新審議会時代には利益代表相当つた従つてそれではやはり公正なものが出て来ない、従つてどこまでも公正な、これならば結構だとこう国民が思う人を以て構成する、こういうような御発言でございましたが、その言葉の限りにおいては私はわかります、併しそれはややもするとやはり候補を選考するところの大臣の主観というものが入つて来やしないか。その一つの例としてまあ適当でないかも知れませんが、例えばこの前の独立式典歌にいたしましても、大臣は私の公募にしてはどうかという質問に対しまして、公募なんかにしてはいい歌はできないのだ、こういう人に頼めば本当に国民が結構だというような歌ができると自分が確信したから、公募にしないで齋藤茂吉氏に依頼した。あの人は我が国における現代の歌壇におけるオーソリテイであると、こういうふうに答弁なさつたわけです。そうして大臣はそう期待して齋藤先生にお願いした。齋藤先生から出された歌というのはここでは私は批判いたしませんが、いろいろ批判があつたことは御承知だと思うのです。それに応えてですが、文部省では註釈付の歌を発表したわけです。そうしてどの程度国民があれを本当にこなして歌つたかは御承知だと思いますが、少くとも大臣の個人の感覚を以ては、これは最も現在の国民にぴつたりして、最も愛唱されて、最もいい立派な歌だ、こういうような角度でやられたわけなんですね。これはやはりこれとは無関係ではないと思うのです、感覚の問題なんですから。  そこで人員を二十人選ぶ場合に教育刷新審議会利益代表であつたからあれはまずい、大臣と私の感覚とは違うかも知れませんが、私の考えで言うならば、教育刷新審議会はあらゆる階層から相当の人数をうまく選んであつたと思うのです。このたびの二十人以内のこの委員を選ぶに当りましても、民間からも官界からも或いは男性からも或いは女性からも、それこそあらゆる階層から選ばれなければ……当然大臣は選ばられると言うかも知れませんが、若しも私は大臣或いは大臣を取巻く数人の人の個性の入つた人選をされて、強力な中央教育審議会結論によつて我が国文教政策が左右されるということは極めて重大である。こう考えるが故にさつき大臣利益代表云云ということについての、今私の申上げた意見に対する大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  16. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 利益代表だと私は直接言つておるのではありません。利益代表の傾きがあつたというのです。そういうことは是非避けたい。それで中央教育審議会委員を選ぶにつきましては、決して私の個人的な好みとかそういうことじやなくして、十分詮議をいたしまして選択する考えでございます。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 話が小さくなりまするけれども、話が出たからついでにお伺いいたすのでございますが、現在候補として選定されつつあるおかたは教育刷新審議会当時の委員の中からピツクアツプしたような形になりそうだ。而も民間は比較的に無視されて、官界一辺倒になる傾向があるやに私は承わつておるのでございますが、如何でしようか。又そういうようなお考えでいらつしやるのかどうか。
  18. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私どもは勿論自分たち考えでする以上その考えが主観的だということはあり得るのですが、併しそれを離れた自分たちのただの主観的だとかということでなく、客観的に世間の人が御覧になつて、この人なら結構だという人を選ぼう。併しそれは一つのところに偏しないで、できるだけ広く実業界とか言論界とか或いは学界とか、そういうところを網羅したいという、そういう考えでございます。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この点につきましてはいずれ又大臣とも意見を交換したいと思いますし、大臣の良識に多くを期待したいと思いまして、この際要望いたしておきますが、我々は立法府においていろいろの法律を作りまして、委員会或いは審議会というものを設け、この委員大臣が選考してそうして発足するような場合に、私どもその後に報告を殆んど承わらないのでございますが、これは私は事あるごとに立法府における審議過程におけるかくかくの意見をかくかくに尊重して、こういう候補からかくのごとき人員を選択、構成したという御報告是非とも私は煩わしたいということを、私は折々要望しているのでございますが、そういうことをまだ一度も受けたことがないわけでございます。この重大な中央教育審議会が発足した曉におきましても、是非ともそういう報告立法府におりますところの我々にして頂きたいということを要望いたしておきます。  次にお伺いしたい点は、この文部省設置法におきまして、審議会或いは審査会というものが現在十八あるわけでございますが、こういうものを十分活用して行くということは、私は非常に民主教育確立の上におきましても結構だと思いまして、現在ある十八の審議会が果して十分の機能を発揮し得ているかどうかということはまあ別にいたしまして、ここでお伺いいたしたい点は、これに相当の改廃を加えられているわけです。まあ第一に承わりたい点は、中央教育審議会というものは、大臣のお考えでは相当私はこれは重く考えられておられるのじやないかと私は密かに想像しているわけなんです。といたしますと、今後独立後における自主教育を推進して行くに当りましての中央教育審議会と、今までありましたところの審査会或いは審議会との関連、これが主従の関係があるのか併立立場におかれるものか、お考えを承わりたいと思います。
  20. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 中央教育審議会既存の他の審議会との間の関係を御質問でございますが、中央教育審議会審議内容は、教育に関する基本的な事項考えております。他の審議会はそれぞれ專門的事項調査審議することになつておりますので、その間に重複が起り得ないと考えております。ただこの規定によりましても、今度御審議を願つております文部省設置法の改正によりましても、中央教育審議会專門員をおくことができることになつておりますが、この專門員調査事項中央教育審議会或いは他の既存審議会所掌事項と関連することが多いこともありますので、他の審議会委員中央教育審議会專門員に充てるというような事実上の処置をも考慮いたしまして中央教育審議会と他の審議会との調整を図りたいと考えております。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは併立という意味ですか。
  22. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) さようでございます。ただ審議事項において基本的な審議事項審議するのが中央教育審議会であり、特定の專門的内容を持つた事項についての調査審議をするのが中央教育審議会以外の審議会だと、さようにお考え頂きたいと思います。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちよつと私はそれは理解できないのですが、併立にならないと、実際の場合中央教育審議会一つ重要事項を打出せば、それを尊重した立場において審査会審議会の私は具体的な運営をやらざるを得ないと思うんです。中央教育審議会としては審査会或いは審議会でいろいろ具体的に検討されたものを、そういう意向をやはり尊重して、そうして中央教育審議会運営をやらざるを得ん、その点においては連絡がありますけれども、私は実際運営の面においては併立でなくて、大方針をきめるのと、具体的な問題を処理して行くのと、こういう立場で種々の関係になるのじやないかと思うのですが、どうでございますか。
  24. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 事項によりまして大方針をきめるのは中央教育審議会であり、その大方針則つた個々事項についての調査審議をするのが他の審議会機能であると、そういうふうに言うならば、基本的なものと專門的なものと、こういうふうに分けることができると思いますが、原則といたしましては併立的なものと、こういうふうに考えております。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは中央教育審議会、並びに今度若干整理統合されるわけでございますが、その審議会結論の重さというものは対等に見るわけですね。
  26. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 基本的な事項につきましては中央教育審議会答申というようなもの、建議というようなものが勿論これが重要のものと考えておりますし、個々事項につきましてはそれぞれの審議会答申乃至建議文部大臣は受入れると、こういうことになると思うのです。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちよつと具体的になりますが、それでは既存審議会委員中央教育審議会委員とダブるようなことがあり得ますか、あり得ませんか、どう考えていらつしやいますか。
  28. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 法規の上では別にダブること、或いは別々というようなことについて規定はございませんが、先ほど申した通り專門員等制度を活用して、その間の調整を図りたいと考えております。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういう專門員調整図つて、摩擦をなくしようというわけですね。じや次に質問いたしますが、この審議会の問題が出て参りましたのでお伺いいたしますが、この廃止している中に通信教育審議会を廃止しているわけですね、この理由としては、通信教育を学校教育の面と社会教育の面を分離して、それぞれ他の所管に移されたように説明されたように私は拝見したのでございますが、これをお伺いいたしたいのですが、具体的な面で承わる前に、大臣に基本的な点を承わりたいのですが、まあいつも議論しておりますが、やはり我が国国民経済からいうて、勤労青年大衆が教育の機会均等の原則から、教育の機会にできるだけ惠まれるように、大臣最近非常に努力下さつているようですが、短期の夜間大学を制定されるとか或いは定時制高等学校、通信教育というものは、こういうものはいよいよ拡充しなければならんと思う。現に通信教育の予算については二十七年度の予算というものは昨年よりは多くなつています。私は更に現在の通信教育というものについては検討し、大いに審議会に働いて頂かなければならん問題が山積していると思うのです。現状においてはそういう不満が非常にあるわけですが、この提案の理由を見ますと、一応軌道に乗つたのでだから廃止する、そしてそれぞれ学校教育関係社会教育関係を分離したようにしておるのですが、この点は私どうしても了承できないのでありますが、先ず大臣に承わりたい点は、勤労大衆の子弟の教育機関の拡充について基本的にどういうお考えを持つていらつしやるかということと、それから事務当局に承わりたい点は、さつき申上げました具体的な立場から納得のできるような御説明を煩わしたい。
  30. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は、この義務教育を終えて社会に出る者とか或いはまあ高等学校だけで済ますとか、そういう人たちに対して今まで文部省がやつていることは非常に少い、こういうことは非常にいけない、自分たちは深く反省してこういう面に大いに力を注ぎたい。教育と言いますと何でも高等教育のように考えて、この義務教育を出てしまつた人たちなどに対する手当といいますか、そういうことに対する設備とかいうようなことが、実にこれではいけないと深く反省いたしておる次第でございます。
  31. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 通信教育審議会の当初の目的は、学校教育及び社会教育を通ずる一般的な見地に立つて通信教育に関する調査審議をする、こういう狙いでございます。現段階におきましては、大体通信教育制度的には一応確立いたしましたので、この通信教育審議会を設置いたしました当初の設置目的は一応到達されたと考えまして、今度それぞれの教育の分野において取扱うと、こういうふうに考えたわけでございます。
  32. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 やはりなんですか、この審議会の整理統合をやるとかいう政府の基本方針ですね、或いは予算的な面も若干含まれているのですか、どうですか。
  33. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 只今申しましたのは主として通信教育審議会の設立の趣旨、設立の目的が到達された、そういう観点から廃止するのでありますけれども、他の従たる理由といたしましては、只今御指摘のような機構の簡素化であるとか、或いは各種の審議会をできるだけ整理統合する、そういう線に沿いましてこの審議会を廃止しようというわけでございます。
  34. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 二割ぐらいはあなたの答弁わかるのですが、この段階においてやはり審議会を廃止するというのは、私は通信教育の振興、出ようとする芽を摘むようなことになるのではないかと思うておるわけで、その点私は了承できませんが、お伺いいたしたい点は、通信教育の重大性は大臣基本的に述べられた通り。然らば最高の意思を表明しておつた、こういう審議会というものをなくして、どういうような具体的な方法で通信教育の振興を図ろうとしておるのか、極く一、二の点でいいですから構想を承わりたい。
  35. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 今後どうやつて通信教育に関する行政をやつて行くか、こういう御質問でございますが、通信教育審議会の所掌事務のうちに、学校教育法に基く高等学校及び中学校の通信教育一般につきましては教育課程審議会、通信教育についての教科用図書の検定に関する事務、こういうようなものにつきましては、やはり文部省設置法規定のございます教科用図書検定調査審議会、それから大学の通信教育につきましては大学設置審議会、それから現職教育のための通信教育に関しましては特にこのための審議会考えておりません。それから社会教育法に基くものにつきましては、社会教育審議会で処理する、こういうふうにそれぞれ個々事項につきましては既存審議会調査審議して行く、それで十分ではなかろうかと考えております。
  36. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこに有機的なものがなくなりはしませんか、そういう虞れはありませんか。
  37. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) これで支障ないと一応考えております。
  38. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは私了承できませんが、腕前を拝見することにして、そこでちよつと質問を一応打切つて、少し質問を返しまして大臣にお伺いいたしたい点は、大臣提案理由の中に、平和條約の効力発生後の新事態に処して、我が国における教育が如何にあるべきかについては全く新たな云々と言つて、愼重に検討すべき必要を痛感いたします、こういうふうに表現されておるわけです。それで現在の教育制度内容なり方法なりについて大臣相当抜本的な改正構想、或いは不満を持つておるやにこの表現では承わるのでございますが、どういう点をどうしようというような骨子でも、現在の大臣には構想として持つておられるのか、又恐らく持つておられるんじやないかと思います。一端でよろしうございますが、ここで承わつて置きたいと思います。
  39. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 只今申しましたように、今まであつたものを非常な改革を加えた、それならばこのままでよいかというと、私はやはり本当にこれは考えて行かなければならんということを痛感するものであります。その例を挙げろということでございますが、例えば一つ大学院の問題をとつてみても、今きめられておるような大学院というものは非常な疑問がある、或いは又国立学校にいたしましてもこのままでよいのかどうか、これは又非常に検討を要するものがある。或いは高等学校をとつてみても、現在の高等学校がこれでよいのであるか、みんなを自由選択にして、ああいうまだ選択能力も何もない子供に選択をさして、そうして従つて安易な課目をとつて、大学へ行つて例えば物理学をやるのに数学を十分やつておらんとか、いろいろそういうところに困ることが私は起つて来ておると思うのです。そういう点を何でももとに返そうという趣意でないことはどうか皆様に御了解頂きたい。私は決してもとに返そうというのではなくて、いつでも前の二つの要素をそこに止揚した、新しい高い立場に進むということを検討する必要があるのではないかという考えでございます。
  40. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これはまあ別の機会にやりたいと思いますが、一言だけ申上げて置きたい点は、やはり物事はどうしても楯の両面を見なくちやならんと思います。最近の学生の動きでも、一部の惡い面だけが非常に大きく取上げられておる点は、私は非常に遺憾に思いますが、日本の占領下における教育の革新の中には非常によかつた面もありますし、若干国情に合わない点もございますし、それから学生の力がないないと言つても、それは両面見ればいろいろな見方があると思いますので、今後その点につきまして十分慎重に御検討を私は煩わしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  次にお伺いいたしたい点は、やはり審査会の問題でございますが、これは恐らく内閣委員会のほうで十分御検討になられましようし、相当專門的な面もございますので、余り深入りいたしませんが一著作権審査会審議会と改正されて、そうしてここに所掌事務を大幅に拡げられておるわけですね。他の議員のところへも参つておると思いますが、私のところにも著作権協議会あたりでは相当肯けるところの反対理由を挙げて強力な反対の意思表示をなされておるわけなんでございますが、恐らくそういう民間意向を聞かないで著作権審議会として、殊に著作権等の云々というようなあいまいな言葉で、運用を誤まれば全く著作権の侵害なり或いは官僚統制になる虞れがあるというような改正をされるということは不満であるという声は恐らく文部当局においては入つておると思うのでありますが、それらに対しての答弁を一応頂きたいと思います。
  41. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 著作権に関する行政、即ち著作権行政につきましては文部大臣が所管大臣であるということは疑いを入れないところであると思います。文部省設置法におきましても文部大臣教育学術文化に関する所掌事務を行うことになつておりますが、その中の文化では明らかに著作権法に関する事務を謳つております。著作権審査会を著作権審議会と名称を変更いたしまして、著作権に関する事項は何でもここで調査審議をする、只今矢嶋委員が言われた通り非常に官僚統制に陷る虞れがあるというようなことにつきましては多少の誤解があるのではなかろうか、著作権に関する事務につきまして、例えば著作権法の改正であるとか、そういうようなことにつきまして文部大臣が所掌大臣、主管大臣といたしまして行政を行います際に、むしろこういう審議会審議をいたしまして、その審議会には民間学識経験者委員といたしまして、そうして十分民間意見を聞いた上で以て行政を行う、こういう考え方から著作権に関するというような表現を著作権審議会機能の中に入れたわけでございまして、文部省といたしましては特に他の意図を持つてこのような表現を使つたわけではございません。
  42. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 勿論他の意図があつてやられたのでは大事だと思いますが、まあ意図がないということは認めます。そうだろうと思います。これは破防法でも問題になつておると同じように、やはり法律を立案し提案した当時のかたがいなくなつた場合は、不明確な表現あたりの場合は運用で非常に私は立法当時の考え方とは違つたような運用がされるということは、過去の私は歴史が示しておると思うのです。それでそれを懸念されて、私は著作権協議会というのはあらゆる階層を網羅して非常に民主的な団体のように私は考えておるわけなんですが、そこで今まで審査会でやられておつたのを今度こういうふうに特に変えなければ支障があつたというような点があるのでございますか。この民主的な団体があつて、それで本日まで来ていたのならば、何も戰前のままへ持つて行かなくても、今あなたの申されたような大臣の所掌事務というのは文化云々が入つておるのだから、だからこの著作権行政も入るのであつて大臣の直接の管轄に入るのは当然だというような紋切型ではなくて、民主的な団体があつて著作権審査会運営して差支えなかつたのなら、何も私はそういうことを民間団体の反対を押切つてまでやらねばならんという私は強い理由はないのではないか、非常に支障のあつたという点がありましたらやや詳細に承わりたい。
  43. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 今度の著作権審査会を著作権審議会にいたしまして、その名称とそれから審議会の目的を変更したのが今度の改正の趣旨でございますので、そのような改正を何故にしたかというそういう御質問だと思いますが、従来の著作権審査会の目的は非常に限られたことであつた、と申しますのは、「文部大臣諮問に応じて著作権法第二十二條ノ五第二項又は第二十七條第二項の規定による償金の額について調査審議すること。」、この通り非常に限られたこれだけしかできないのか、こういうような疑いを一応抱かせる虞れがありますので、今度のような表現にいたしまして目的を明確化した。目的を拡張したというふうには私ども考えておりません。著作権審議会の目的を明らかにしたのが今度の改正の趣旨であると、かように御了解頂きたいと思います。
  44. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 筋が通るように活字を列べたというだけで、運営の面においては変らん、こういうことを意味しておるの一ですか。
  45. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) このように目的を明快にしたほうが、明らかにしたほうがよろしいのではないか、こういう考え方から改正したわけであります。
  46. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 明確にしなかつたがために……あなたの言葉を以てするならば明確にするのですが、明確にしなかつたがために非常に支障になつた例を詳細に言つて下さいということを私は要望します。今までなかつたのなら……、民間団体で特別そういう基礎的な反対があるのに特にそういうようにしなくても私はいいと思うのです。そういうようにしなければならん強い理由がわからんと思うのです。
  47. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 説明員文部省管理局作権課長柴田君。
  48. 柴田小三郎

    説明員柴田小三郎君) 今までの審査会の権限としましては、ここに挙げられた範囲にとどまつていたわけでございますが、審査会委員のほうから、單なる事項ばかりでなく、できるならば法令案の作成とか、例えば仲介業務に関する許可、監督或いは許可の取消というふうな、今後重要な著作権に関する業務についてもいろいろこの審査会諮問してみたら、そういうふうな要求もございまして、こういうふうにしたわけでございます。
  49. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いや支障はなかつたのですね。
  50. 柴田小三郎

    説明員柴田小三郎君) 文部省としましては、法律の上にできましたこの審査会に正式に諮問することができなかつたことについては重々不自由を感じておりました。
  51. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それで今度は明確化して諮問して行こうというわけですね。諮問するに当つての、その諮問を受ける機関の人的構成はどういうふうにするお考えでいらつしやいますか。
  52. 柴田小三郎

    説明員柴田小三郎君) 審査会令によりますと委員は二十五名となつております。現在におきましてもそのうちの三分の一は学識者であり、又その三分の一は権利者の代表でありますが、又そのうちの三分の一は事業者の代表、こういうふうな民間人から成つております。将来もその線で行きたいと思つております。
  53. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点如何にも民主的でうまく行きそうでありますが、まあ今私質問して承わつた程度では、私この方面は素人ですが、どうもそういうふうに民間の、民主団体の反対まで押切つてやらねばならんという理由はどうも納得できません。恐らく著作権協議会の皆さんも私は納得できないのじやないかと思いますが、先ほど申上げました通り意見でありますので、これでここは質疑は打切つて、次にお伺いいたしたい点は、大臣提案理由説明の四頁のところに、終りから五行日あたりに「高等学校の職業に関する教科用図書の編集及び改訂を文部省においてもでき得るようにいたしました」と、即ち職業課程の高等学校の教科書をいわゆる国定にするわけでございますが、これと、これは政府提案じやございませんが、衆議院文部委員の諸君から出されているところの産業教育振興法の一部改正の教科書の編集並びに発行、あれとの関連はどういうように政府はお考えになつているのか、それが一点と、それから提案理由にありますように、職業課程の高等学校の教科書が、部数が少いために、いいものが安くできないという点は重々わかります。併しその国定で、文部省で官製の本を作るという方法以外で、この職業課程の生徒諸君に対して適正価格によつて教科書を給与する方法は考えられないのか、考えたならばどういうことを考えられたのか、その点、二点をお伺いしたい。
  54. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) この教科書は私はで昇るなら国定にしたくないのですけれども、現在見ておるところでは教科書が実に値段が高いし、又内容にも必ずしも満足とは行かないから、どうかしてよい教科書を作りたいと思います。けれども差当つて決してほかの教科書を国定にする考えはありませんけれども、この少部数しか出なくて非常に民間でやりにくいものは、これは国でやるというのも私はよいことではないか、現に業者も喜んでおるという事情であるから私はこうしたわけでございます。  ついでに先ほどの矢嶋さんのあれにちよつと附加えることを許して頂きたいのですが、私はここで今の教育制度を検討すると言つたから、それで新学制が皆悪いという、そういうような考えは決してないのです。だからして六三制でも、必ず六三三四というのが、どれほど国家として財政上辛くもこれは堅持して行こうと、その他全体的に考えましてこれはいい制度であると、今あなたのおつしやつたように力が低い低いと言うけれども、一体学力とは何だということもすでに問題点がある。これは改めるべきところは改めて行けばこれでいい、そういう考えで全般的にこれが悪いという意味じやありませんから、ちよつと附加えておくことを……。
  55. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 教科書を適正価格で以て給与するというような措置を講ずることも確かに一つ考え方であり、文部省考えておりますが、職業教育に関しましては、職業教育に関する教科書につきましては文部大臣が著作権を有する、このような措置を講ずるのが妥当ではなかろうかと、こういう考え方でありまして、こういう例は前にもあつたわけでございます。それから産業教育振興法に教科書に関する規定がございますが、特別な考慮を払わなければならないというような規定があつたと記憶いたしますが、これとマツチするものと考えております。
  56. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあ業者が喜んでいるとおつしやいますが、国定用をこしらえてその出版をやらして頂く業者は勿論喜ぶだろうと思いますが、それから落ちた業者は私は喜ばんだろうと思いますが、まあそれはそれといたしまして、国定……私は前提として申上げますが、確かに職業課程の高等学校の諸君が使う本は一万部以下の本なんかあるわけだから、適性価格でできつこないわけですね、だから高い。従つて教職員が苦心してやつているからして何とかしなきやならんということは万万わかります。併しこれを国定とするということは、やはり教科書行政の基本的な立場から相当私はやはり問題があるのじやないかと思いますが、従つて適正価格でこれを給与するという立場から、私は何か補助金を出してやらせるというような方法というものが考えられるのじやないか。もうちよつと具体的に申上げて答弁を煩わしますが、例えば民間会社で工業課程或いは水産課程の教科書を作る展示会をやる、部数が幾らかわかる。これは商売人だから悪い本はだんだん自然淘汰されて行く、若干の部数になつて来るだろうと思う。これは当然そうなつて行くだろうと思うのですが、その場合に、きまつた教科書に対して、他の普通の高等学校生徒諸君の教科書とバランスが取れるように、補助金を受けるという方法を考えれば、文部省のみずからの手によつて教科書を作らなくても、私はやはり検定制度を活かしながら、生徒諸君に適正価格で給与できるという方法がある。私の考えではそれが最善じやないかと思うのですが、文部省としてはそういう考えを持たなかつたか、そういう研究はされなかつたか、されたとしたならばどういう点で壁にぶつかつたか、その点答弁を求めます。
  57. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 職業課程に関する教科書を文部省が直接編集しようというその理由といたしましては、教科目の種類であるとか或いは利用状況、そういうようなものに鑑みまして、生徒が必要なときに適正に供給できるように、そういうことを文部省が責任を持たなければならない。そのために盲聾教育教育用の教科書であるとか、或いは高等学校の職業用の教科書というものは文部省が編集及び改訂をするのが最も妥当である、こういうような考え方でございます。でこれ以外の教科書について検定教科書を圧迫するというような措置は毛頭考えておりません。
  58. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私の話しているような意見をどう思いますかというのです。検討されましたかどうですか。考えなかつたということですな。
  59. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 補助金を出して或る特定の会社にやらせるということは、むしろ現在その制度のほうが、こういう考えのほうがいいのではなかろうか、いろいろ研究いたしましたけれども、現在この設置法の改正の中に考えておりますようなやり方のほうが妥当ではないか、こういう考え方でございます。
  60. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちよつとお話が余り小さくなるようですが、具体的に編集とか改訂というものはどういうふうにしてやられるつもりですか。まあいわゆる国定でやるわけですか、そうすると編集とか改訂ですね、まあ委員構成とか何とかあるのですがね、そういうものはどういうお考えでいらつしやるのですか。
  61. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 従来のやり方を申上げますと、やはり文部省が特定の委員に委嘱いたしましてそこでやつてもらう、こういうやり方をとつておるのでございます。
  62. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは私これも了承できないのですがね。私は私のさつき申上げたような方法が一番いいと信じております。それで恐らく課長のほうもそういう検討はされていないと思う。そしてまあ文部省のお考えがいいというように結論付けられているわけです。それはまあ文部省としてそういうようにお考えになることは当然だと思いますが、たとえこの法律が通つても、これは文部省においてもでき得るようにしたわけで、せにやならんというわけじやないのだから、さつきその私の言つたような方法をですね、この検定制度を活かしながら適正価格で給与できる方法というものを、今後も私は是非検討して頂きたい、これを要望いたしておきます。  最後に一点伺いたい点は、近代美術館ですが、これが大臣の御努力にもかかわらず、昨年度一億円取つた予算が昨年度到頭活かすことができずにここまで持越したことは、これは私は非常に大臣の労は多としますが、残念に思つております。半面で警察予備隊の、無秩序とは言いませんが、建物はずんずんできてしまつたのに、国立の近代美術館が本年度まで持越して、現在漸く結論に到達したようですが、その点僕は遺憾の意を表明しておきますが、この美術館は文化財保護委員会の私は恐らく所管になるだろうと思います。が、それに相違ないかどうかということをちよつと伺います。  これに関連してもう一点承わりたい点は、これは大臣答弁を煩したいのですが、戦争中、殊に更に又戰後の非常に混乱急迫したときには、我が国のこの文化財という奴は全く無視されておつたことは御承知通りで、その後において文化財保護法というものが立法されたということは御承知通りでありますが、それでやつと軌道に乗りかけた昨今ですね、まあ我が国のこのよく言われるところの自衛力増強或いは再軍備と言いますか、そういう予算の厖大化によつて文化財保護方面が又関心が薄らぎつつあるやに私は見ております。その具体的な一つの例としては、文化財保護委員会はこれはやめてしまえというような意向も前からずつと伝えられておつたわけでございますが、この文化財保護ということについて大臣はどういう決意を現在においても持たれているか、これは私はしつかり肚をきめてかからなければ、我が国の現在の方向と、この二十七年度の予算の性格から見ましても、必ず私は窮地に追い込まれるときが来ると思うのです。我々はどこまでもこの文化国家というものを指向しているのでございますし、過去の過ちを再び繰返してはいかんというふうに私は考えますが、これに対する大臣の見解、それと具体的に文化財保護委員会というものに近代美術館も所管になるわけですが、そのことをどのように大臣はお考えになつているか、他の行政委員会と同じように整理の爼上に上げられることを甘んじて受けられるのであるかどうか、その点について伺いたい。
  63. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私どもは、先ほど予算のお話がございましたが、二十六年度に一億円計上して二十六年度の予算で使つたわけでございます。ですからその点は矢嶋さんのおつしやることが当らないように私は思います。
  64. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 二十六年度中に支払つているのですか、ぎりぎり一ぱいやつたんだね。
  65. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) ぎりぎり一ぱいでも二十六年度中に使つたわけでございます。
  66. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ああそうですか。(笑声)
  67. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 第二番目の、なぜこの文化財保護委員会のほうへそれを所属させないかということは、社会教育だということのほうから文部省に属さしたい。それから又殊にその内容が明治以後という近代でございますから、そういうようないろいろな関係からこちらへ所属させました。これは今おつしやる点も十分理由があることだと私は思いますけれども、私どものほうではそういうことでこれにいたしました。  それから又文化財の尊重というようなことは、他の委員会が多く整理されたにもかかわらず、依然としてこれが幾らか縮小されましたけれども、存立しているということは、私は社会が文化というものを尊重しているということの一つの現われだと理解いたしております。その線に沿うて私どもも努力して行きたいと思います。
  68. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 委員会はどうしますか、文化財保護委員会に対する大臣の見解は……。
  69. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 大変失礼ですが、よく御趣旨がわかりませんので……。
  70. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文化財保護委員会はこれは飽くまで存続して行く決意ですか。
  71. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) それは存続するのは勿論であります。只今申した通りほかの委員会が多く整理されるにかかわらず、これが存続されるというところに、我々が文化を尊重しているということが現われていると思います。
  72. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 只今の大臣答弁で、ちよつと私声が低くて聞き取れなかつたのですが、近代美術館は社会教育局の所管とされるということですが、その理由は明確を欠いたのですが、これは例えば国立博物館は文化財保護委員会とか、こういうのと私は併立するものじやないかと思いますが、ちよつとそこを一つ納得できるように説明して頂きたい。
  73. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 只今近代美術館が社会教育局に属するのはおかしいというような御意見でございましたが、近代美術館の性格は近代美術、即ち明治以後の美術品を観覧に供しまして、これによつて国民の美術或いは芸術に関する教育、或いは教養を高める、要するに近代美術館によりまして、国民に芸術に親しむ機会を与え、又同時にこの近代美術館を中心にしまして、美術の国際交流というようなことも考えておる次第でありまして、文化財を保存するというような、そういう立場からこの設立を計画いたしておるのではございません。そういう意味社会教育局としての立場からこの運営を図りたいと思います。
  74. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは私はどうもわからんですがね。これは博物館にしても文化財の保護というだけじやないと思うのですね。これは教育という意味もあると思うのです。それは大臣も常々そういう考え方を持つていらつしやるので、それで従つて博物館法あたりでも、一部の職員は教育公務員まで持つてつたわけです。あなたの今の答弁によるというと、古代美術館というのができるというとこれは文化財保護委員会のほうだ、近代なら社会教育の云云、こういう時代によつて分けるのは異様に感じますが、大臣如何でございますか。ちよつと感ずるとね、あの一億円は寺中局長が会計課長時代に大いに頑張つてやられたのだが、その会計課長から社会教育局長に持つてつたような感じがするのですが、如何ですか、大臣。これは一本に文化財保護委員会でやつてつたほうがうまく行くのじやないですか。
  75. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) それはですから私は只今御意見には誠に御尤もな点があると申したのであります。御意見ではありますが、併し又一方から言えば、近代のまあ明治以後のものを見せて、そうしてただ一般の教養の向上を図つて行こうという点は、国立博物館などとはよほど性格が違つているところがあると思う。これをどちらに、文化財保護委員会に入れちやいけないと、私は決して思いませんけれども、こちらに入れて悪いという道理はないと思います。
  76. 山本勇造

    山本勇造君 今の近代美術館のあれですが、今度の設置法の一部を改正する法律案によりますと、十八條の二に、「国立近代美術館は、近代美術に関する作品その他の資料を収集、保管して公衆の観覧に供し、」と書いてある。「保管」ということがある。又大臣の説明の中にも同じような言葉があります。ところが文部省の芸術課、即ち社会教育局の芸術課の中にはそういう「保管」ということはないのですね。第二十六條の中に、左に掲げる事務を行うという、この課のことが書いてありますけれども、保管に関することは一つもないのです。展示ということはありますけれども、保管のことはないのです。それから今度は文化財保護法のほうを見ますと、保護法の第一條では、「この法律は、文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もつて国民の文化的向上に」云々と、こう書いてありまして、「活用」という言葉が、これは当時向うとも話合つた問題ですが、これは、この立法の趣旨は、文化財を保護するのは古いものだけ保護するというだけじやなくて、尤も古いものも保護しますが、その保護が現代の芸術をクリエートして行くのに役立たせる、そういうことも入つているのでありまして勿論この「活用」の中には展覧に供するとか、さまざまなことがありますけれども、今私が申しましたように古いものを保護するばかりでなしに、近代まで及んで、そういうものがクリエートされて行く、それもこの「活用」の中に実は入つているのであります。それから第二條のほうを見まするというと、「この法律で「文化財」とは、左に掲げるものをいう。」とありまして「絵画、彫刻、工芸品」というようなものがあつて、「わが国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの」である、こういうふうになつておりまして、特にさつきの御説明のような、これは明治のものだから社会教育局でやるのだとか、或いは古いものだから文化財でやるのだという、そういう区別は僕は立たないと思う。本来からいつて、こういうふうなものを立てて行く上から行くと、立てるまでについて、それは寺中君初め皆さん、文部省非常にお骨折りになつたことは認めますけれども相当こういうところで以て、文部省の中でこれはどこに置くかという問題が起るならば、これは同じやはり文部大臣の所管の中にあるのですから、省内のものでありませんけれども、文化財保護委員会のほうへ持つて行くのが私は筋じやないかと思うのでありますけれども、この点について、先ほどの大臣のお言葉だと大分幅があるように思うのですが、或いは今日必ずしもあなたの御答弁がなくてもよろしいのでございますが、今のような趣旨があるのでございますから、この点はよほどお考えを願い、或いはお答えができるのだつたらお答えをして頂きたいと思います。
  77. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) ただこれだけは山本さんは勿論皆さんにも御了解を得られると思いますが、私ども自分らの局が骨折つたからそれでこれを文部省の中に置こうという考えは全然ありません。ただ漠然と、綿密に法律的にこれを調べると、確かにこれを創設された、山本さんは詳しいお知識を持つておりますからその通りでございましよう。けれどもこれをただ漠然たる常識から考えると、文化財保護委員会が置かれている力点は、どちらかと言えばやはり古美術の、古いものの、むしろ何と言うか、荒廃される虞れのあるようなものを見付け出し、そうしてそれを保存して、そうして将来のクリエートに、創造に寄与して行くという、そちらに力点が置かれる、常識で考えますと。それに対して近代美術というのは、そういうことでなくして、今の作品、今の人の描いたものを文部省で買上げているものを、便利な土地に置いて皆に見せて、そうして社会人の教養に資そう、こういう考えであるために、我々は深くそういう点を……実は私自身はそれだけに嚴密に検査してきめないで、漠然たる常識によつてこれをきめたわけでありますから、自分たちはそういう考えでやつたということを御了承願います。
  78. 山本勇造

    山本勇造君 今の、そうしますと、今度の中の十八條の二ですね。「保管して」というその言葉が、これは芸術課のほうにはありませんがね、どういうふうにしてこれはやつて行くのですか。これは文化財保護委員会なら「保存」があるからこれは保存ができますが、あなたがたのほうで、今度十八條の中に「保管」という字が入つている。「保存」という字と大して意味は違わないと思いますが、これはどういうふうにお考えになりますか。
  79. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) この法文にあります資料の収集、保管或いは観覧ということでありますが、これは博物館或いは科学博物館、美術館、そういうようなものを通ずる、まあ言わば通り言葉になつておるのでありまして、科学博物館は現に社会教育局で所管いたしておりまするが、只今大臣のお話がありましたように、美術品を観覧に供して国民の美術教養に資するためには保管ということが必要になつて来るわけであります。いわば観覧に供するための附随的な手段として保管ということは当然必要になつて来るわけでありまして、そういう意味で、この美術館におきましては十分その保管の責に任じたいと存じております。
  80. 山本勇造

    山本勇造君 観覧に供するということは、文化財保護委員会の中にも当然あるし、現にやつておる。それはどつちでも同じことかと思います。あなたのほうの芸術課のあれの中には保管ということは、イ、ロ、ハ、ニと四項に分れておりますが、これにない。仮に科学博物館がそうであつたとすれば、その点が実際はどうかと私は疑問に思う。殊にこれなどははつきり芸術品であつて、そして文化財なることは明らかなのですから、そういう点では、僕はあなたのほうでもう少し考えて然るべきだと私は思います。
  81. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) お言葉でございますが、芸術課の所管の中に今保管ということがないというお話でありますが、只今申上げましたように、保管ということは観覧のためのいわば当然に伴う手段であつて、必ずしも芸術課の所管事項の中にそれがなくとも、当然にそれはしなければならない仕事であるというふうに考えております。
  82. 山本勇造

    山本勇造君 それじやこの問題は議論になりますから、これ以上私は質問いたしません。  ただもう一つ著作権の問題ですが、先ほど矢嶋委員からも質問がありましたから、大体それで盡きておると思いますけれども、今度のこれの中に、「その他著作権に関する事項について調査審議する」という、「その他著作権に関する」ということが民間で非常に問題になつている点で、又大臣の説明の中に著作権の一般的事項についてもというのですが、非常に広くなつて来ておる。そのために濫用されやしないか、或いは又そういう人が考えておるようなことは、これをもととして著作物の検閲のようなものが起つて来るのではないか、或いはその他のいろいろなことを想像して心配しているのでありますが、著作権の一般的事項についてというのがどういうことなのか、それを明らかにしておいて頂きたいと思うのです。
  83. 柴田小三郎

    説明員柴田小三郎君) その他一般に関する事項とその他著作権に関する事項というのは著作権に関する何もかも一般すべてのこと、こういうことではございませんです。著作権に関する仲介業務に関する法律、著作権法、それから設置法等から来る文部大臣の権限に属するものだけに限られるわけでありまして、例えば著作権に関する仲介業務に関する法律の中の許可、監督或いは許可の取消、或いは停止、或いは設置法から来まする法令案の作成、或いは著作権法の中の登録の業務、そういうもののみに限つてやる、こういうことでございまして、すべての著作権に関する一切のことをやると、こういうことはできるはずのものでもございませんし、以上申述べましたような諾法律の上から出て来ることのみをやるわけでございます。
  84. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 只今具体的な事項を述べたのでありますが、文部省設置法の上から申しますと、文部省設置法の第十二條、管理局の事務として、「著作権法、その他著作権に関する法令及び予約出版法に基き文部省に属せしめられた事務を処理すること。」と、こうございますが、これは文部省の著作権に関する事務ということがそれに限られるわけでございます。それについて文部大臣が著作権審議会諮問する、こういうことになるわけでございます。
  85. 高橋道男

    高橋道男君 近代美術館に関しお尋ねいたしますが、文化財保護法では今山本委員からおつしやつたように、文化財、雑多なことについて扱うことになつておりますので、若し文化財保護委員会において近代美術に関することも扱うというような方針を立てる場合には、これを拒否することができない。つまり別に社会教育局の管下において近代美術館が立てられる場合におきましても、文化財保護委員会のほうでもそういう関係のものを扱うというようなことが起つて来ることも考えられると思うのでございますが、その点についてお考えを伺いたい。
  86. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) そういう場合も起り得るだろうと思いますけれども、よくそれは両方で了解し合つてやれば、私は別に差支えは起らないのではないかと考えます。
  87. 高橋道男

    高橋道男君 私も差支えは、そういう了解の下に行われる限りにおいては起らないと思いますが、起ることの可能性があるならば、やはり文化財保護委員会のほうにこれを、美術館も所管されるほうが無難ではないかということを山本委員と同様に考えてお伺いします。
  88. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 御意見は御尤もだと思いますが、文部大臣としては、只今まで申述べたような趣旨でやつて行きたいということを御了承願いたいと思います。
  89. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 長くなつてお気の毒でございますので、もうこれでやめます。大臣、どうしても私はわからないのですが、そこにお並びになつている三人のかたの御答弁では、博物館というのは保存にウエイトがある、近代美術館になるというとこれは教養向上、教育のほうにウエイトがある。従つて一は文化的であり一は社会的である、こういうふうに明快に御答弁頂いておるわけです。今までの観念における博物館というのは黴の出た、隠居みたいなものでしたけれども、近代においてはこれは街頭に進出しなければならないのであつて、これは保存だけで、教育というものは含まれていないのだ、そういう境界はつけられない。もう一切のものに考えられなければならないように変つて来ておるわけですね。従つてそういう御説明で私はどうしても納得できないということを申上げておきます。そうしてそれは私は了承できないのですが、それを不満……了承できんことを申上げておいて、次にお伺いいたしたい点は、近代美術館は明治、大正、昭和の近代美術をそこに収集して、そうしてこれを展覧にも供して、そうして社会教育の面において国民の教養を高める、文化の向上に寄与したい、こういう御発言でございますが、そうとするならば、その点は結構だと思います。その点に関する限りは。そうなりますというと、これは大臣としては二十六会計年度において東京都に設置されたわけですが、教育の機会均等という立場から、ブロツクに一つぐらい作られるような御構想でいらつしやるのか、更に又東京都近代美術館に収集された物を国内に定期的に持ち廻つて、そうして国民のあらゆる観覧に供して、教養文化水準の向上に寄与するというような御計画があるのかどうか、又それに伴うところの予算額についてどういうように考えていらつしやるのか、先ず基本的なことは大臣に、予算的なことは寺中前会計課長にお伺いしたいと思います。
  90. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 全国的にそういうものができれば非常によいことですけれども、今は一つ作るにさえも非常に骨を折つて、漸くできるようなくらいの事情でございますから、今直ちに全国的な計画ということはいたしておりません。けれども何か機会があつたらほうぼうに持つてつてこれを見せるというようなことは、これはほかの展覧会でもしておるのでございますから、できればいたしたいと思つております。
  91. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 現在近代美術館がまだできておりませんが、現に近代美術展覧会を各地において開催しておりまして、この美術館ができますれば、なおその方面に強力にいろいろの事業を実施したいと思いまして、この美術館の組織規程の中にも、近代美術に関する展覧会、講演会、実習会、映写会、研究会その他各種の催しを実施するということをその使命にいたすように考えております。
  92. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点要望しておきますが、文化財をじつと保存しておくというだけなら私は東京だけでいいと思いますが、さつき御結構な意見を伺いましたので、そういう角度から参りますと、是非ともさつき申上げたような線で大臣努力して頂きたいということを御要望申上げておきます。
  93. 高田なほ子

    高田なほ子君 筒單でありますが、文部大臣一つだけ御質問申上げます。占領下で行われました各般の教育行政について、これについての検討をすると、こういつたような先ほどのお話、これは勿論御尤もな話だと思います。ただ私がここで非常に憂慮しておりますことは、従来占領下に行われました教育行政そのものの欠陷なり或いは長所なりということは今日まで文教審議会或いは教刷等において、これは種々検討された点だと思う。更にその機構の中に十八に余る委員会のようなものが置かれて、專門的ないろいろの研究がされて来たのであります。これは一応御説明によれば、それを全部御破算にして、第二十四條に新たに中央教育審議会というものを設けられると、こういう機構の変り方がされたのでありますけれども、このことは第二十四條の第三項に規定してあるように、又大臣のお話のように、極めて民主的な機構のようには考えられるのでありますけれども、形そのものの上からいつたときに、教育の中央集権というような形が事実的にとられるのではないか、こういうことを私は非常に恐れるわけなんです。それで先ほど矢嶋委員からの質問の中にもありましたが、中央教育審議会とそれからその他の專門委員会との立場というのですか、機構上の立場についての相良さんからの御答弁もあつたのですが、原則的には併立するとは言うものの、基本方針をきめた以上は、專門委員はその基本方針従つて技術面の研究をされるということはこれは当り前のことなんです。そのことそれ自体が、教育の地方分権の目的を以て設置された教育委員会のその教育行政をも拘束して行くというような、現実的に意図せざる結果を招来するのではないか、こういうことを非常に私は恐れるのであります。この中央教育審議会を置くことによつて教育の中央集権という、誠に私の憂える形がとられる危険性はないのかどうか。若しそういうことが仮に一応の御心配があるとした場合に、それをどういうような方法で調整して行かれるのか、これを先ずお伺いしたいと思うのであります。
  94. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) その中央教育審議会文部省内にある多くの審議会とは、成るほど專門の審議会は基本方針に則つて專門的な研究をするということは言えますが、逆に專門的な研究の基盤に立つて中央教育審議会方針を立てるということもあるわけでございます。相関的であつて、これを主従的に考える必要はない。相関的であると私は思います。それから又中央集権的にならないようによく天下の人材を考えて行くというつもりでございます。
  95. 高田なほ子

    高田なほ子君 問題はこの中央審議会に出ていらつしやるかたがたのメンバーの問題になると私考えるわけであります。このメンバーについてはこれは相当問題があると思うのですが、大体今どういうようなかたがメンバーの中に出ておられるのか、法律が出た以上はすでに原案として文部省はお持ちになつていらつしやるのではないかと思うのですが、若しお差支えがなければその大要をお示し頂ければ大変幸甚だと思います。
  96. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) ここで大要をお示しいたすまでにまだ至つておりません。今選考中でございます。
  97. 高田なほ子

    高田なほ子君 選考中の由でありますので、私はこれは私見に亘るかも知れませんが、こういう意見もあるということについて一応お考え願いたいと思います。  よく中央できめられますこういつたようなものには、どうも非常に官僚臭が強いというような批判も聞くわけでありますが、狙うところは結局教育の民主化という線にあるとするならば、教育の行政の面に最も大きな視野を持つておる民主的な教育の団体の代表がここに入るということは私は当然であろうと思うのです。けれどもややともするとこの官制の機関の中にはそういう民間の民主的な団体の代表というものをボイコツトするというような傾向があることを甚だしく私は遺憾に思うわけです。私がかく申上げるのは、取りも直さず現在の日本教育団体はこれは一つあるのでありますが、これは又国際的にも認められている一つ教育団体である限りは、将来のユネスコ活動というような面にも大いにこの審議会意見が反映されなければならないとするならば、やはり国際的にも連繋を持つ民主的な教育団体の代表が当然この中に加えられて然るべきではないか、こういうような意見を持つておるわけであります。特に教育審議会教育の基本方針、今新聞などの情報によれば、教科内容についての再検討、或いは教育委員会の任命制の問題、或いは学制の改革等と、実に今後私どもがとても背負いきれないような重要な改革面を持つておりまするが故に、特に私はこうした民主的な教員層の声が教育界の上に大きなプラスを持つのではないかということを非常に強く思つているわけでありますが、これに対する大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  98. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 高田さんの御意見はよく承わつておきます。
  99. 梅原眞隆

    梅原眞隆君 これは質問の形ではありませんが、ちよつと申上げておきたいと思います。今のことに関連しまして、私のとこうにも今高田委員が言われたような線、それからそのほかに私立学校、その辺からかなり強い要望が来ているのであります。そこでこれはもとより大臣のほうにもそれは入つていると思いますが、それを私附加えておきたいと思うのです。  やはりややもしまするというと、これまで文部省におけるこの種のものにはエキスパートであるとか或いは学識経験者という名によつて東京の官僚を中心としたような人物が集まつて、私は多少近視眼的なきらいがあるような点があると思う。これはいろいろな経済上の事情などもあろうと思うが、そういう点についてはもとより私は天野文部大臣にはそういう因習的に見られるという安易な点はないと思いますが、やはりそういう点も十分に考慮の点にお入れになつて頂きたいという希望を附加えておきたい。なおそれから近代的な組織的な運動が起つていることは事実である。その起つて来たものに関しての功罪、これも相当の批評の余地もありますが、私はやはり近代的な団体というようなものが持つているものを、これを高め若しくは正しくするというようなことからいつても、やはりこれを正当に価値ずけるということも又必要なことであろうと思いますので、そういう点においてやはり私はもつと視野を大きくなさつて、それと一つは近代的な組織であるものも十分受入れるという用意も無論お持ちであろうと思いますが、そういう点について私のほうへ来るたくさんの陳情というようなものも多少大臣に申上げて無論これはお釈迦さまに説法のようなことでありますが、十分に一つ御考慮願いたいということを附加えておきます。
  100. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) よく御意見は承わつておきたいと思います。要するに私なぞは何も自分に捉われるところはない考えなんです。日本教育をしたい、ただそれだけでございます。併しただ幾らそう思つても視野が狭いとかいろいろなことがあつて間違うことがあつてはいけませんから、よく十分念を入れていたしたいと思います。
  101. 相馬助治

    相馬助治君 只今の問題に関連してですが、文部大臣内閣の承認を経て任命するということだけでございますが、勿論この問題については高田委員質問したように、メンバーまで予定されているなどというふうには私も考えられないわけです。併しどういう構想でこれは任命するのかという点を私は考えられておると思うのです。具体的に申しますれば、いわゆる労働委員会あたりの委員構成にしても、使用者側であるとか労働者側であるとか或いは学識経験者であるとか、こういうふうな構成をまあなしております。で本委員会はそういうふうな明確な利益代表者のような者を以て組織するものでないことは私も承知しております。これを逆な面から見ると、従つて任命は非常にむずかしいということを意味すると思う。でき上つたものに対しては何人も容易に難癖がつけられ得るような弱い面を持つ委員会の任命ということに相成ると思うのです。従いまして私は若しあればお聞きしたいのですが、どういう構想であられますかということをお聞きしたいのでございます。例えば今のところは私立学校なら私立学校の代表者は是非入れたいとか、或いは政党人という者に対してはこういうふうに考えているとか、例えば政党を名乗る人の場合には、基本的な教育方針を決定する場合にはまずいというふうに考えてこれは除外するつもりであるのか、或いは近代のこの民主政治ということを考えれば、当然この政党政治になるのであるから、やはり政党代表も入れるつもりであるのか、入れるとしたならば一政党から何人も入つたり何かするようなことでは困るから、これはこういうことを考えているとかいうような、具体的な問題について御構想がありましたらば、これは大臣直接でなくても、起案している者でも結構でございます。者とは失礼でございますが、(笑声)起案しているかたでも結構でございますから、一つお聞かせを願いたいと思います。
  102. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) まだ私が頭に持つておるくらいのことでして、起案しておる者も何もおりませんです。でありますが、大体は先ほども申した通り一党一派に偏せず、本当に国家的にこの教育をどうするかということを考えかたがたを選びたいと、でそれには併しそう言つたからといつて一方に偏してはいけませんから、実業家も若干名入つて頂く、或いは又私立学校のかたも入つて頂く、要するにあらゆる社会の方面から教育もわかり、そうして国家的に考えて下さるような、又そうして先ほども申したように社会の人が、そのかたがたがきめたことならそれはいいだろうというようなかたがたを選びたいと、そういう方針でございます、方針は……。
  103. 相馬助治

    相馬助治君 御趣旨はよくわかりまして、それ以上具体的なものをまあお聞きする段階でもなさそうですから、日を改めて又同一の質問を繰返す予定です。ただ一党一派に偏して云々ということについて、老婆心でございますが、一言申上げて御参考に供したいことは、実はここではまあ文部委員長あたりの言葉では当り前のことなんですが、(笑声)最初に公安委員ができましたときに、一党一派に偏しないという建前で人を選んだところが、僧侶、神官という者が全国的に極めて多数出て来たわけです。(笑声)そこでこの僧侶、神官という者は、これは出て来た事件に対しての判断というものは、これは極めて公正なものでございます。併しながら事を新たに起して積極的に構想を持つて物事を判断し起案するという場合には、特定の例外のかたを除いては、極めて無力な傾向を持つのが歴史的事実だと思うのです。(笑声)そこで一つ、一党一派に偏しないということは当然です。私もそうあるべきだと思います。教育の基本方針でございますから、一党一派に偏したような建前のものができてはならないことは当然のことでございますが、とは申しながら單なるこのはいはいということを聞くだけの者を集めて、文部省の官僚が起案して、そいつを皆賛成させて、そうして天下にはかくのごとく民主的に中央審議会できまつたのであるというようなことが現実になされるとしたならば、これは民族千年のために悲しむべき事態が生ずると思うのであります。大袈裟なようなことを言つておるようでありますが、これは私は本気で言つておるのであつて、そういう意味是非とも今の基本方針を貫きますると共に、やはり積極的な進歩的な構想、実践力、こういう力を持つ人を結集せしめるように格段の御配慮を賜りたいと存じます。
  104. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 一言、大臣さつき梅原文部委員長に対する答弁を私は煩わしたいと思うのです。一応答弁されましたけれども、あの梅原文部委員長の発言の中には、若干の文部委員長の意見も私は入つてつたと思います。その表現は、実に私は立派な表現をされたと思うのですが、これに対する大臣の私は所見をこの席で是非承わつておきたいと思います。  次にちよつと私附加えますが、それは近代的団体というような言葉文部委員長は表現をされましたが、私は大臣から見ると、矢嶋君のは曲つて見ておると言われるかも知れない、私は正しく見ておるつもりです。と申しますのは、大臣の列しておられる自由党内閣並びに自由党は、どうも最近の選考の仕方を見るというと、概して進歩的といいますか、民主的団体というものを毛嫌いするという傾向が、政党の性格かも知れませんが、出ておると思うのです。勿論与党の自由党の団体、並びにその外郭団体は或る程度尊重いたしますが、いわゆる民主的団体、その中にはけしからん団体もあるかも知れませんが、それは別でございますが、概して近代的な団体というものを毛嫌いする性格が現われておると思いますが、そういうことを大臣はお考えにならないかどうか。又若しそれが事実とすれば、それに対する大臣の見解を是非梅原委員長答弁を煩わしたいと同時に今の私の質問に対する御答弁を頂きたい。
  105. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 梅原文部委員長の言われましたことは、私はよく考えるとこう申したので、御本人が御満足なんですから、それで私はいいと思います。(笑声)
  106. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは私の今のに対する答弁……。
  107. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 毛嫌いとか毛嫌いでないとかいうことは、これはなかなかむずかしくて言えないことで、又片方から言えば、何でも自分らを保守反動保守反動と何でも言つてしまう、そういうふうなことは、どちらがどうだということをここで私が申す筋でもございませんから、御意見としてよく承わつておきます。
  108. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣は尊重する立場に立たれておりますか、育成して行くような……。
  109. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は進歩的であるとか保守的だというようなことではなくて、すべて道理に適つた自分で思えばいつでもそれに承服いたします。
  110. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 道理が曲らんように一つ……。(笑声)
  111. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 文部委員の諸君に伺いますが、大体御質疑はこの程度でよろしうございましようか。
  112. 梅原眞隆

    梅原眞隆君 よろしうございます。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それならば文部委員との連合委員会はこれで終了いたすことに決定してよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 内閣委員の諸君にお諮りいたしますが、文部委員との連合委員会はこれで終了することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めます。  それではさように決しまして、連合委員会は散会いたします。    午後三時四十九分散会