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1952-04-18 第13回国会 参議院 内閣・地方行政連合委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月十八日(金曜日)    午前十一時二十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。   内閣委員    委員            横尾  龍君            楠見 義男君            赤松 常子君            上條 愛一君            三好  始君   地方行政委員    委員長     西郷吉之助君    理事            中田 吉雄君    委員            愛知 揆一君            石村 幸作君            高橋進太郎君            岡本 愛祐君            館  哲二君            若木 勝藏君            林屋亀次郎君            石川 清一君   国務大臣    国 務 大 臣 大橋 武夫君   政府委員    警察予備隊本部    次長      江口見登留君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○警察予備隊令の一部を改正する等の  法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 西郷吉之助

    委員長代理西郷吉之助君) それでは只今より内閣地方行政連合委員会を開会いたします。  本日は警察予備隊令の一部を改正する等の法律案議題に供するわけでありますが、それに関連いたしまして近く提出さるべき保安庁法保安庁設置法等関係法案がございますので、先ず大橋国務大臣よりこの問題について概略御説明を願います。
  3. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 当委員会におきまして御検討を頂いておりまする海上警備隊設置に関します海上保安庁法改正並びに只今議題となつておりまする警察予備隊令の一部改正法律案、これらの法案に関連いたしまして政府行政機構改革に伴いまする保安庁設置という問題とこれは関連をいたして参ります。その点につきまして特に御参考となるべき事項を御説明申上げたい、かように存じておる次第でございます。説明便宜といたしまして、保安庁設置要綱案というものを一応お手許に配付をいたした次第でございます。この要綱は、なお事務当局において検討いたしまして、只今関係各省と折衝をいたしておる段階でございます。従いまして閣議においてかような要綱を決定するまでの運びに現在至つておらないということをお含みおきを願つておきます。只今からお手許に配付いたしました保安庁設置要綱案について簡單に申上げたいと存じます。  御承知のごとく、警察予備隊と今回新設せらるべき海上警備隊とは、いずれも国内治安目的のために設けるものでございまして、而もそれは常時活動をするという性質のものでなく、いずれも治安上特別の必要がある場合におきまして、特に内閣総理大臣命令を受けて行動をするということを目的といたしておるのでございまするが、この点におきましては、国内治安担当機関といたしましては、一般的な、平常的な機関に比較いたしまして、これは補充的な、従つて又非常事態的なものであるということが申上げ得るかと存ずるのでございます。而して、かような点におきましては、この予備隊警備隊とは、いずれも同一性格を持つておる機関であるということが申し得ると存ずるのでございます。従いまして、この同一性格を持つておりまする海と陸との治安関係機関同一行政機構の下に統括いたし、これらの隊務一体的に運営するということが能率的である、かように政府考えた次第でございます。この考え方に従いまして、政府は今回一般行政機構の一環といたしまして保安庁を総理府の外局として設置をいたす、この新機構において警察予備隊並びに海上警備隊事務を掌らしめるようにいたしたい、こう考えるわけでございます。而して海上警備隊を運営管理いたします以上は、これと最も密接不可分関係にございまする海上保安庁の従来からの事務でありまする航路警戒事務も又、この海上警備隊と併せて新機構において管理するがよろしかろうと考えるのでございます。そうして別に現在海上保安庁警備救難に関する事務というものがございまするが、これはやはり陸上の機関について考えますると、警察予備隊というよりはむしろ普通警察に近い性格を持つておるものであり、これだけは非常時的な或いは警察に対する補完的な仕事でなく、平生の警察的な仕事であるわけでございまするが、併しながら海上性質といたしまして、船というものを使うわけでございます。そうして海上警備隊において船を持ち、又警備救難に必要な船を別に持つというようなことに相成りますると、御承知通り我が国実情といたしまして、行政機関において持つております船というものは非常に限られております。そうして又、別々の機関がそれぞれ別々に船を持つということは、目的の上から申しますと、極めて能率的であることは間違いございません。併し何分にも僅かの船を分けて持つということは、船全体の管理という面から申しますというと、非常に不経済にもなりまするし、又現在としてどちらも船がないために、十分な活動ができないということになる慮れもございまするので、特に海上におきましては、普通警察的な仕事に近い仕事ではございまするが、警備救難に関する事務だけはこの警察予備隊並びに海上警備隊を管理いたしまする新らしい保安庁にこの仕事だけを移して参りたい、こう考えておるわけでございます。その理由は、警備救難仕事は本来保安庁においてやることが適当である、そういう性質仕事とは考えておりませんが、併し船でやるという点から申しますというと、船の経済的な、有効な能率的な利用ということが今日必要であると考えますので、そういう観点におきまして特にこの仕事保安庁に移すようにいたしたいと考えておるのでございます。保安庁の本庁といたしましては、この要綱案に掲げてございまするように、長官及び次長のほかに官房各局、又第一幕僚監部、第二幕僚監部及びその附属機関でありまする保安研修所保安大学技術研究所等からなつておるのでございます。長官及び次長並びに官房各局保安官又は警備官以外の職員を以て構成し、幕僚監部は主として保安官及び警備官その他所要の職員を以て構成し、官房及び各局の長は保安庁基本的事項についての企画、立案及び審査の任務を主として遂行することにいたしたい。幕僚長は、長官指揮監督を受けて幕僚監部事務を掌理いたしまして、保安隊又は警備隊隊務についての專門的事項について研究立案をし、長官に対して專門的助言を行いまするようにいたすのであります。又長官命令保安隊又は警備隊部隊その他の機関に執行せしむる、その命令下達機関といたすつもりでございます。それでありますから幕僚長というものは、長官に対しまする專門的助言者でありますると共に、その命令を部内に実施するものでございまして、これは指揮官ではないので、命令下達機関であります。従つて保安隊及び警備隊指揮官たる性質を持つておるものは長官であります。併し、その長官指揮上の命令を伝達する機関幕僚長である、こういう考え方でございます。なお幕僚監部長官に対して專門的な立場から助言するに当りましては、官房各局と必要な調整を行わしめまして、いわゆる文官優位制と申しますか、シビリアン・コントロールをなすようにいたしたいと存じておるのでございます。  次に長官指揮監督の下に保安隊及び警備隊部隊その他の機関を置くようにいたしたいと思うのでございます。これらの機構は、やはりお手許に「保安庁機構図」という図を以て簡單に示してございまするから、御参考に御覧を頂きたいと思います。長官がこの各部隊指揮をいたしまする際は、いずれもそれぞれの幕僚長を通じて示達をいたすことにいたしまして、命令系統の單一化を図りたいと存じておるのでございます。保安庁の発足は七月一日を予定いたしておるのでございますが、その日に警察予備隊本部保安庁官房各局に吸收されるものと考えられます。又海上警備隊保安庁警備隊に切替えられ、警備救難部関係海上警備救難本部として保安庁に移管されることになるのでございますが、ただ警察予備隊部隊だけにつきましては、昭和二十五年十月及び昨年十月に採用せられました警察官の採用当時に約束いたしましたる任用期間考えまして、十月まで現行法規のまま存続させたい、そうして保安庁法として一応の規定は設ける次第でございまするが、この警察予備隊の後身と相成るべき保安隊及び保安官に関する規定につきましては、その施行を十月まで延期するようにいたしたいと考えておるわけでございます。このことにつきましては、やはりお手許に「保安庁警察予備隊海上警備隊等との関係表」という簡單なる表を差上げてございます。警察予備隊本部は七月一日に廃止せられまして、保安庁官房各局に切替えられます。それから海上保安庁及び海上警備隊は、これは七月一日に廃止せられまして、保安庁及び保安庁警備隊に切替えられる。警備救難部海上保安庁法にございまするが、これは廃止せられまして、七月一日から海上警備救難本部に切替えになります。ただ警察予備隊部隊だけは七月一日以後も存続いたしまして、十月十五日に至りましてこの保安庁法による新らしい保安隊に切替えられる、それまでの間は現行警察予備隊令を一部改正する法律に従いまして、その規定のまま存続をいたす、こういうふうに切替えの点を考えておるわけでございます。  以上簡單でございまするが、一応御説明をいたします。なお御質疑に対しましてお答え申上げたいと存じます。
  4. 西郷吉之助

    委員長代理西郷吉之助君) なお、警察予備隊令のこの改正案につきましては、先般政府当局から提案理由説明を聞きましたが、ここで今の大臣の御説明と関連しまして、予備隊令改正法案についての御質疑お願いいたします。
  5. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 地方行政関係から一点お聞きしたいのですが、予備隊の人の募集につきましては都道府県知事及び市町村長が政令の定めるところによつて募集事務に関する事項を掌るということになつておりますが、この立法趣旨をちよつとお聞かせ願いたい。
  6. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 警察予備隊員募集につきましては一昨年八月初めて創設いたしました当時、七万五千人の隊員募集をいたした次第でございます。当時は警察、殊にこの国家地方警察に一切の事務を委託いたしまして、国家地方警察地方の各機関募集事務に当つてもらつた次第なのでございます。昨年の十月に一万五千人を欠員補充のために募集をいたしました。その際には主として警察予備隊の各部隊が当つた次第なのでございます。然るに二十七年度におきましては三万五千人の増員がございまするのと、現在おりまする隊員はすべてこの八月乃至十月を以ちまして一応の任用期間を終ることに相成ります。この際、警察予備隊保安隊に切替えるということは只今申上げました通りでございます。この切替える際に、一応の任用期間が終りましたる関係上退職をする見込の者が約二万人くらいあるのじやなかろうか。こう考えておるのでございまするが、さすれば今年におきましては先ず少くとも、三万五千人とこの二万人、合計五万五千人程度募集をいたさなければならんということに相成つた次第でございます。警察予備隊の各部隊は現在においては全国的に普遍的な配置をいたす程度に至つておりません。従いまして募集事務につきましては各部隊だけを頼りにするということは非常に支障が多い、私どもとしてはそう考えておる次第でございます。従いまして何らか予備隊以外の機関の御援助を願わなければ、この多数の募集仕事を円滑にすることはできない、こう考えておつたのでございますが、一昨年の募集の当時のごとく、国家地方警察に全部の事務お願いするということは、今日一般治安仕事その他がありまするので、警察としても御協力を完全にお引受け頂くということが困難な実情にあるわけでございまして、その代りといたしまして何らかの機関考えなければならない、勿論現在の程度といたしましては警察予備隊自体が全国各府県にみずからの募集機関を持つということは、その必要は無論なかろうと思います。そしてそれよりも、むしろ一般行政機関でございまする県庁なり市町村役場というものに或る程度のお手伝いお願いする、これが先ず現在の段階としては適当ではないかと、こう考えた次第なのでございます。そこでそれでは県庁なり或いは市町村役場にどういう仕事を頼むことになるかということになりますと、先ず募集をいたしまするにつきましては、募集趣旨徹底並びに申込書受付、こういう仕事がございまするので、これを県庁及び市町村役場お願いをいたしたい、従いまして警察予備隊として募集をしておる、こういう人たち募集をするのである、この警察予備隊の使命はこういうことであるということを、一般国民諸君に周知させて頂くことについてお手伝いを願いたいと思つております。それは印刷物等役場に備え付けて頂くこと、又適当なる個所に募集のポスターを貼附して頂く、こういうことのお手伝いを頂く。又申込書役場に置いて頂きまして、これを応募者に渡し、記入事項について必要な指導をして頂いた上で、その申込書受付お願いいたしたい。この程度のことを府県市町村にはお願いしたいと考えておるわけでございます。一部においては、この府県市町村に対する事務委任ということは、これによつて府県なり市町村なりに応募者の割当をするのではないかというような御推測をなすつたかたもあるようでありますが、政府といたしましてはそういうことは全然考えておりません。一般国民趣旨を周知さして頂くこと、それから申込書受付をして頂く、こういうことをお願いするつもりでございます。その後この申込書に基きまして調査をし、それから試験をする、これは予備隊責任においていたしたいと存じます。但し身元調査等につきましては従来通り警察機関の御援助を願いたい、こう考えておるわけでございます。
  7. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私はどうも、地方自治が新らしい憲法下において規定された本質と、この事項は非常に反するのではないかと思いますのは、予備隊純然たる国家機関であり、従つて予備隊仕事自体市町村自治体とは何ら関係がない事務じやないかと思うのであります。それを従来のいわゆる旧憲法時代のごとき、自治体を国の行政機関補助機関として、こうした事務国家が任意に委託するということは、丁度前に兵事事務というものを役場なり或いは府県をしてやらしめたと同じ趣旨でありまして、どうも我々はこの点について納得できないのであります。特に趣旨徹底ということになりますと、いわゆる公共団体役場自体が、予備隊の本当の事務なり、そういうものを理解するということが非常にむずかしいのではなかろうか、何ら予備隊自体機構の中に入つていないところの団体が、その趣旨徹底をするということは、非常にこれはむずかしいことであり、且つ又、直接市町村民に接するところの地方市町村といたしましては、いろいろな又誤解も生じ、自治体行政の遂行上支障を来たすものでないだろうかと思うのですが、その辺の御配慮はどういうふうにお考えになつているのか。その点を重ねてお伺いしておきます。
  8. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 御趣旨は誠に御尤もであると存ずるのでございます。先ほども申上げましたる通り警察予備隊固有事務でございまするから、これは純然たる国家事務でございます。従つて本来の建前といたしましては、警察予備隊固有募集機関を持ち、そしてその機関が処理するということはこれは理想であると考えております。併しながら、何分にもこの募集事務というものは年間を通じてある事務ではございませんので、年中に数回、而も半月なり一月なりの期間だけの仕事でございます。従いまして、政府として直接にそういうために地方機関を持つということは、今の段階としてはどちらかというと不経済でもありまするし、又そうまでする必要もないのではないか。そこで如何なる機関にかような事務お願いするのが適当であるか、こういうことになるわけでございますが、一昨年は国家機関の中で国家地方警察にこれをお願いするということをやつてみたわけでございます。警察予備隊隊員募集について、身元調査仕事ということは相当念入りを要するのでございまするから、そういう意味におきまして、警察にこの募集関係仕事委任するということも考え得ることでございますが、併し国家地方警察大都市等におきましてはございませんので、却つてそういうところは自治体警察ということになりますと、これもやはり自治機関になりまして、国の機関ではなくなつてしまう。で、まあ、どうしても国の機関となりますると、大抵特別の行政機関でございまして、それぞれ極く限られた狭い範囲の仕事をやつておる、例えば農林関係であるとか、或いは税の関係であるとか、或いは労働関係であるとか、いろいろ機関はありますが、どれにお願いするのも適当でない。まあ募集のことでありますから、強いて言えば、労働省関係職業安定所ということも考え考えられないことでもないと思いますが、併しこれとても、むしろ希望者の多いような農林地帶には配置が少うございまして、都会地を中心にしてできておりまするので、配置上から言つても必ずしも適当でない。そこで止むを得ず地方自治法規定に従いまして、地方自治体の長に国の機関としての仕事お願いする、こういうまあ便法を取らざるを得なかつたわけでございまして、これはそういう意味から申しますると一つ便法である、こう私ども考えております。併し現在の予備隊募集の状態から見ますと、これが一番適当ではなかろうか。併しその場合におきましても、只今お示しのありました通り非常に複雑な仕事であるということになりますると、これは十分な趣旨徹底を図り、そしてこれを責任を以て遂行して頂くということはなかなかむずかしいことであると、こう思いまするから、募集事務のうちの最も第一線的な簡單仕事だけをお願いいたしたい。募集についての公告のための掲示を貼つて頂くとか、或いは募集要領役場に備え付けて置いて頂いて、希望者があつた場合にはそれを渡す、乃至は簡單なる説明を加えて頂く、それから出頭書類受付をして、そしてそれを予備隊機関へ廻して頂く、この程度仕事お願いする、こういうふうに考えておるわけでございまして、先ずこの程度仕事ならば、そう大してお手も煩わしませんし、又そう非常に複雑で、趣旨徹底を図るために、それがために相当の勉強もしなければならんというほどの複雑さ、困難さを持つた仕事ではない。こういうふうにまあ考えておるわけでございます。現在の実情といたしましては、各府県市町村とも大体支障なくお力添えを願つておる、こう予備隊としては考えております。
  9. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 どうも大橋国務大臣の御説明では私は納得できないのでありまして、いわゆるそういう国の便宜主義、或いは非常に安易な形において市町村というものをお使いになるという従来の思想が一擲されないところに、私は現在の地方自治体というものがその健全なる発達を非常に阻害されておるのじやないか。例えば特別調達庁ができまして、渉外関係のサービスというものは特別調達庁が一手にやるんだというふうにきまつておりながら、而も法文にきちつときまつておりながら、なお長官委任と申しますか、或いは長官の依頼によつて都道府県知事が協力せしめられてその事務の一部をやつておる。従つてそのために、渉外関係のいろいろな地方費がかかりますが、それらは一定の枠で国のほうから財源が来て、そうしてそういつたようないわゆる依頼によつて押付けられて、それらの事務をやるいろいろの雑費その他は都道府県負担しておる、或いは市町村の実態を見ましても、国のほうの予算が削られたというので、裁判所なり或いは検察庁なりの庁舎の建設費の一部を各市町村が割当てられて寄附をしておる。それが全国的に見ましても各市町村当り約五十万円に上る、日本全体にいたしますれば約百億に近いものが、そういうような従来のいわゆるお役所、或いは中央から言われたから、どうも御尤もでまあやむを得ない、泣く子と地頭には勝てない、いわゆる長い物には巻かれろ主義のものが、今日の市町村というものの健全なる自治体としての発達を非常に阻害しておるのでありますが、こういつたような工合に、市町村役場を使うことが便宜だからという形において、或いは国の委任になり、或いは団体に対する事務という形で、依然として自治体を国の行政機関補助団体であるという観念が払拭されないところに、私は問題の重点があると思うのであります。従つて今回のごとく、予備隊が更に市町村役場を、或いは市町村長内閣総理大臣指揮監督下においてこうした事務を手伝わせるということは、これは是非もう一度お考え直しを願いたいと思うのでありますが、これらの事務を仮に委託するといたしまして、一体これらの費用なり、そういうものについての御配慮なり何なりはどういうふうにお考えになつておるのか、この点も併せてお伺いしたいと思います。
  10. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) これは先ほど来申上げましたごとく、現在の事務実情から見まして、国といたしまして各市町村に、必要なる箇所に募集のための国の直接の機関を置くことが必ずしも現状から見て、必要性の問題又適当かどうかという問題から見まして無理である。そこで府県市町村お願いをするということになつたわけでございますが、無論これは経費を節約するという、乃至は経費市町村に肩替りしようとするつもりではございませんので、必要なる経費はこれに伴いまして当然国が負担をする、こういう考えでございます。従いまして、そのほかにこれらの事務負担事務委任をいたしまするに伴いまする実費は国庫の負担とするという考え方を以ちまして、警察機関並びに自治体機関に対する費用負担といたしまして、予算としては三千万円を考えております。
  11. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 どうも国務大臣のお話をお聞きいたしますと、費用も非常に不十分でありますが、費用の点を差しおいても、私はこの規定というものはいわゆる現在の、終戰後自治体の健全なる発達上非常な支障を来たす規定かと思いますが、なぜ一体自治体警察なり或いは国家警察なりでこの事務を一手にやるのに非常な支障を来たすかということについての、その点がどうもまだわからないのですが……。
  12. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 実は警察につきましては従来から一つ考え方がございまして、まあ昔の、古い警察法時代におきましては、いろいろな行政事務警察にこれもやれ、あれもやれということでやらして参つたというような実情でございましたが、警察法制定に際しまして、警察仕事というものはできるだけ警察としてやらなければならんいわゆる警察本来の仕事に限るように、少くとも警察でなければできないような仕事でなきやいかん、こういう考え方があるようでございまして、警察としましては、かような予備隊員募集というような一般行政事務につきましてはできるだけ手を引きたい、それが新らしい警察法考え方であるというふうな考え方があるわけでございまして、それが理由一つに相成つております。それからもう一つ、さような理論上の問題は別といたしましても、最近警察のほうは非常に手不足でございまして、殊に講和発効の前後ということになりますると、警察といたしましても特にできるだけの手を余しておいて、必要な事態に即応するような体制を整えたいという希望もあるわけでございまして、かたがた今回は市町村役場お願いできる仕事はできるだけそちらのほうにお願いするようにしようじやないかということを当事者間で話合つた次第であります。
  13. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 どうも大橋大臣の話が納得できないのですが、警察ならば警察本来の仕事をさせて、そうして警察に專念させたい……、それならば市町村のほうもやはり市町村本来の仕事に專念さすべきであつて、そうしてなぜ一体……、警察関係のある予備隊というものは私は警察予備隊と承わつておりますが、そのほうは、市町村がひとの仕事まで手伝わなければならんということはどうも納得ができないと思うのであります。警察自体が本来の仕事に專念すべきであるというなら、やはり市町村はむしろそれ以上に市町村本来の仕事に私は專念させるという考え方政府においてなされるべきであつて、いわゆる自分のほうが專念するから雑用は一つ地方団体にやらせる、こういうような考え方は、私はいわゆる自治体を非常に、その活動なり或いは育成なりに阻害をさせるものだと思うのであります。第二の、手不足だからという点でありますけれども、私は現在の市町村役場、特に講和後市町村の実態を見ますれば、警察以上にもつと民生に関係があり、その日その日の仕事において極めて不十分なるところの費用と人によつて、而も国家とは違つた誠に貧弱なるところの財政下において無理な仕事をしておるのでありまして、私はむしろ警察と比較するならば警察よりもより以上に手不足なのが市町村の実態でありまして、それをも無視してこれらの規定によつて予備隊のこういう事務市町村に押しつけるということは誠に納得が行かないのであります。併しながらそれ以上は、これは意見の相違となりまするので、私の質問はこの程度にとどめますけれども、私は重ねてこれらの点を十分お考えの上御再考を願いたいと考えております。
  14. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 この際大橋国務大臣に、二、三の質問をしたいと思うのでありまするが、その第一点は、今国会におきまして、警察予備隊が軍隊であるか或いは警察であるかということについては、随分これは質問応答によつて論戰が戰わされて来たのでありまするが、在来の場合には、主として相当な戰力を持つておるのではないか、だからしてこれはいわゆる警察の範囲を逸脱して軍隊になつておるとみなすべきである、こういうふうなことがまあ主問題になつておるのであります。ところが本日御説明のありました保安庁機構を見ましても、今度は海上保安庁から、いわゆる海上警備隊保安庁機構の方面に移管されて来る、そういうふうな方面と併せまして、機構の上からも更に私はこの警察予備隊というふうなものは警察という範疇を超えておるものである、こういうふうに思うのであります。そこでこの問題は、前のこの連合委員会におきまして私の質問に対して村上運輸大臣が答えました、いわゆる海上警備隊が保安機構保安庁の方面に移行されるような場合は性格が幾分変る、現在の海上保安庁にあるところの性格に或るものがプラスされて来る、こういうふうな御答弁があつたのでありまするが、これは海上警備隊そのものもいわゆる警察予備隊と共に軍隊的性格を持つて来るのだということを率直に表明したものであると、こういうふうに私は考えるのであります。そこで、そういう要素から考えて行きますというと、今回予備隊がいわゆる保安庁機構の中に海上警備隊と共に織込まれる点、更に又この装備の点、それから旧軍人が大分採用されて来る、こういうふうな点、募集事務が知事或いは市町村長に委託されて来る、更に国警、自治警に募集事務を協力させる、それから増員されなければならない、こういうふうな諸要素を考えてみたときに、いよいよ私はこの警察予備隊というものはいわゆる警察というような方面を逸脱して来るのである、こういうふうなことが考えられるのでありまするが、国民におきましてもこの点どうもまだ政府考え方をはつきり受取つておられないだろうと思う。むしろこれは軍隊ではないかというふうに考える面が非常に強いのではないかと思うのでありまするが、そういう点につきましてはつきりと、これは軍隊でない、警察である、そういうふうなことを一つ大橋国務大臣からここで解明してもらいたい、こういうふうに考えるのでありまするが、その点を一つお願いします。
  15. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 警察予備隊性質につきましては、従来からいろいろな機会に申上げておるわけでございまするが、現在の警察予備隊令におきましては、警察予備隊というものの性格を「わが国の平和と秩序を維持し、公共の福祉を保障するのに必要な限度内で、国家地方警察及び自治体警察警察力を補うため警察予備隊を設け、こういうふうに書いてあるわけでございまして、これは飽くまでも国内の治安を維持することが警察予備隊目的である。こういうふうに相成つているわけでございます。従いまして警察予備隊の員数にいたしましても、隊員の数にいたしましても、予備隊の装備にいたしましても、この目的の範囲内において必要と認められる限度で設けられるものであるわけでございます。従いまして、これは飽くまでも警察予備隊という一つ国内治安を維持するための機関でありまして、外国との戰争を目的とした軍隊ではない、こういうふうに政府としては考え又そうあるべきものである。こう思つている次第でございます。この点におきまして、この警察予備隊というものの本来の性格なり又規定趣旨が変りません以上は、この予備隊が如何なる行政機関の所轄になろうとも、それは毫も警察予備隊目的なり性格なりを変更するものではない、こう考えております。いわんや、この隊員募集に当つて国家地方警察募集事務を担当して頂く、或いは府県市町村募集事務を手伝つて頂く、こういうことによつて、その性格が変るものとは考えておらない次第でございます。
  16. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今の御説明では、私はやはり在来と同じように納得の行かないものがあると思うのであります。成るほどそれでは警察予備隊というものは警察であると、こういう観念は私は持ち得ないだろうと思うのであります。そこで、なぜ一体国警、自治警というふうなものの存在しているときに、こういう一つの軍隊的な組織を持たなければならんか、予備隊を作らなければならんか、この点について一つ伺いたいと思うのであります。具体的にお願いいたします。
  17. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 従来の我が国といたしましては、国内治安普通警察が第一義的に担当いたします。そして、これが補充的なものといたしましては陸海軍というものがあつたわけでございます。これらの陸軍又は海軍の部隊というものは、第一義的には外国との戰争ということがこの軍隊としての目的でございます。併しながら国内治安の上におきましても非常事態に際しましては府県知事の要請によつて出動をいたしましたり、或いは又戒嚴に際しまして出動をする、そうして国内の治安の最後の保障をいたしておつたわけでございます。今日、我が国が終戰によりまして陸海軍を失つてしまつたのでございまするが、併しこのことは、決して我が国の治安が、従来のごとく一般警察力に対するより以上の実力的な保障がなくして保ち得るというような状態に改善されているということを意味するのではないのでございまして、国内治安実情にかかわりなく、敗戰の結果として軍隊というものが廃止されたわけでございます。併しながらこのことは、国内治安の面から言いまするというと、非常に大きな出来事でございまして国内治安実情が従来と何ら異ならない、その基調が変つておらんということでありまするならば、軍隊が曽つて国内治安の上において担当いたしておつたところの役割というものを担当すべき何らかの機関が必要となるのではなかろうか、その要求に従つて生れたものがこの警察予備隊であつたわけであります。で、従来占領中におきましては、成るほど日本の軍隊はなくなつたのでございますが、併しながらそれに代つて占領軍の軍隊というものがあるわけでございまするから、曽つて日本の陸海軍が日本の国内治安の上において果しておつた役割というものは、終局的には占領軍の兵力というものによつて期待できることは申すまでもないのであります。併しながら日本の持つている軍隊と、占領軍の軍隊というものは性格的にも、又国民の感じの上にもいろいろな違いがあるわけでございまするから、占領窮さえあれば警察以外に何もなくとも国内治安はそれでいいではないかという考え方そのままでは、必ずしも通らない、こう思うのでございます。それがために占領中からすでに警察予備隊というものが生れざるを得なかつたのであると思うのでございます。このことは、平和克復後におきまして占領軍が駐留軍となつて、従来よりも日本国民の前から一層後退いたします場合においては、この予備隊というものが一層国内治安の上において重大な使命を持つことになることを意味するのでございまして、その結果、警察予備隊の拡充ということは当然に必要になつて行くわけでございます。これが予備隊の拡充をいたそうという趣旨でございます。
  18. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今の御答弁で以て私はいろいろ考えるのでりますが、いわゆる従来における軍隊に代るような形を持つたものが必要になつて来ると、これがすでに私はこの警察予備隊というふうなものは、警察という範囲を超えて軍隊的な性格を持つているものだ、そういうことを大橋国務大臣は申されているのではないか、いわゆるこの再軍備の一つ段階でないかというふうに考えられるのでございますが、この点如何でございましようか。
  19. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 警察予備隊というものは部隊組織を持つております。曽つて軍隊が部隊組織を持つてつたのとその点は同じでございます。それから又、警察予備隊というものは普通警察以上の武器を携行いたしております。そういう点においても昔の軍隊と……少くとも警察以上の実力を持つているということは、これは昔の軍隊と同じであるということが言えると思うのであります。併しながら軍隊というものの本質的な点は、これらの装備なり兵力なりというものが、外国と戰争をするということが、これが軍隊の本当の目的でありまするから、そういう限度において決定されて行く、これに反しまして警察予備隊国内治安を守るということが主たる目的でございます。従いまして、それだけの目的のために必要な隊員の数というものがきめられ、それに伴う装備というものがきめられておる。この点は軍隊と全く違う点でございます。併し、でき上つたこの一つの実力を持つた部隊というものが国内治安の最後の後ろ楯であるということの点においては、曽つての軍隊の果しておつた役割を今日演じつつあるということは言えると思うのであります。併しながら、これを軍隊と言うことのできません理由は、曽つての軍隊は、これは国内における治安の最後の後ろ楯ということが本来の目的となつてでき上つたものではないのであつて、外国と戰争をするということが主になつて、それを主としてでき上つたものでありますから、人員にいたしましても、装備にいたしましても、戰争というものを眼目に置いて作り上げておつた、いわば国内における治安の後ろ楯という面は、これはその本来の目的にあらずして、そういう面にも便宜用いられたという程度の事柄であります。然るに今回の警察予備隊におきましては、曽つての軍隊が国内において、ときたま果したところの、そういう役割を今日国内において果すことを主たる目的として組織されておる、こういう点が軍隊と警察予備隊との根本的な相違であるのでございまして、この点は保安隊に切替える場合におきましても、政府としては今日の予備隊目的性格、そういうものをそのまま保安隊に持込みたいと、こう考えておるのであります。
  20. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今の御答弁で以て、いわゆる軍隊の定義付けは面白い定義付けでありますが、そういうことによりまして結局御説明によるというと、予備隊というようなものは全く海外にこれは、いわゆる軍隊というような形になつて出ないということを裏書きしたように思うのでありまして、それでようございますか。
  21. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) その通り、断じて海外に派遣されるということはない、こう思つております。
  22. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そこで、それでは更に増員の問題になつて来るのでありますが、それでは増員の限度というふうなものは、今のお説から言つたならばどの程度が限度であるとお考えになりますか。
  23. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 増員の限度といたしましては、国内治安確保の必要なる範囲ということが限度になる、こう思うのでございまして、それが一体数的装備としてはどの程度のものであるかということにつきましては、なお政府といたしましても研究をいたしておるところであります。
  24. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 過般の何か新聞で見たのでありますが、大橋国務大臣は更にこれを十八万名に増員するというようなことを関係方面から要請されて、そうして、これに対してまあそのように考えて行くというようなこともあつたようでありますが、この点は如何ですか。
  25. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私はさような要請を受けた事実はございませんし、又さような要請を受けて考えているということを誰びとにも申上げたことは記憶はございません。
  26. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうすると、今のところは十一万名が大体予想されたいわゆるこの講和の発効後におけるところの治安の状況から見ても、先ずこの辺が限度であると、こう考えてよろしうございますか。
  27. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私の立場といたしましては、十一万で予備隊の員数は十分であるとは考えておりません。併しながら今の日本の国内情勢、それから経済情勢、こういうものを考え合せますると、差当り今年度といたしましては十一万が限度である、こう考えておるわけでございます。今後の増員ということにつきましては、今後の国内の治安情勢なり、又経済再建に伴いまする国民の負担力という問題もございまするので、これは政府といたしましては愼重に検討しなければならん事柄であると考えております。
  28. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 もう一つ、先ほども高橋委員から御質問がありましたが、私はこの徴兵事務につきまして、これの知事それから市町村長に対する委託の問題でありますが、委任の問題でありまするが、これは非常に私は先ほども御質問のあつた通り、いわゆる自治体の自立性、自主性というものに対して大きな一つの侵害とまでも行きませんけれども、制約を加えるというふうに考えられますし、それから又、これが従来の徴兵事務、いわゆる徴兵というような方面にだんだん予備隊募集が変つて行くのじやないか、こういうふうなことも考えられて、前質問者と同様な感じを持つのでありますが、先ずこれに対するところの政令で定めるということになつておりますけれども、どういうふうな政令なのか、大体要綱でも伺いたいと思います。
  29. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 先ほどどういう事務について府県なり、市町村なりに仕事委任するかという点につきましては、大臣のほうからお答えを申上げましたが、大体そういう点を骨子といたしまして必要な規定を設けて行きたいと思つておるのでございます。つまり志願票の交付とか、その受付とか、或いは試験場、つまり応募者が出ましたときに、身体検査なり、その他の簡單な能力検査なりをやる場合がございますが、その試験場の設置というような問題につきましては、予備隊自体の手では、予備隊がおかれていないような県もございますので、そういうようなところでは、府県なり市町村のお世話を願わなければ執行できませんので、その試験場の設置とか、その試験場の管理、それから又大臣からもいろいろお答えいたしましたが、ポスターの掲示とか、パンフレツトの配付とか、そういうような点をお願いするように規定を設けたい、かように考えております。
  30. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今のような委任であるならば、わざわざ嚴めしく内閣総理大臣指揮監督を受けというような、こういう文句もなくて工さそうだと思うが、これは相当私はこれに対して、強制的なものがあるように思うのでありますが、率直に申上げますというと、これを割当するとか、或いは推薦させるとか、そういうふうなことはお考えになつておるかどうか、この点を承わりたい。
  31. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 誠に、御説明申上げますと、委任事項というものはたわいのないことでございまして、これについて内閣総理大臣指揮監督すると言うと、どうも余りに似つかわしくない言葉でありますが、併し先ほど来申上げましたるごとく、これらの費用については国庫において負担をする関係もございまするので、政府といたしましては、やはり政府自身の費用を使つてやる仕事でございますから、一応指揮監督権というものを法律規定を願う、これが建前上そうならなければならないものでございますから、そういたした程度でございます。これはその指揮監督権を用いまして、関係区域からどの程度応募者を出すように割当てるとか、或いは又、どの程度の合格者を出す、こういうようなことは毫も考えておりませんし、又予備隊募集というものは、これは志願者の自発的な意見に基いて隊員に応募してもらう、これが根本になつております。志願者募集と申しますか、或いは自由募集と申しますか、それが根本になつておるのでございまして、いやしくも強制的に亘るということは、現在の予備隊性格から見まして、そういう無理な募集をいたしましたのでは、却つて適任者を得難い、こういう意味で志願者の自発的な意思による応募、それを採用するということは予備隊の根本的な考え方でございます。この根本的な考え方からいたしまして、市町村長ができるだけたくさん応募させるようにするというような、何か関係住民に圧力を加えるというようなことでもありますと、それは予備隊趣旨ではございませんので、そういうことはしないようにという意味において、この指揮監督権というものは動かすべきものであるわけでございまして、御懸念のようなことは実際予備隊としても現在市町村長お願いいたしたことはございません。従いましてそういうふうに誤解をされて、そういうふうな動き方をされるというかたがあろうとは予想はいたしておりません。この点は十分に、なお予備隊の当局としても注意をいたしたいところでございます。
  32. 三好始

    ○三好始君 保安庁に関する問題は、正規に法律案が提出された際に詳細に質疑をいたしたいと思つております。又警察予備隊令の一部改正案については内閣委員会において詳細な質疑をいたしたいと思つておりますが、先ほど大橋国務大臣から保安庁に関する一応の御説明がありました際でありますので、印象の新らしい間にただ一、二の点だけをこの際伺つておきたいのであります。私はお尋ね申上げます前提として、現在の警察予備隊と切替えが予定されておる保安隊との間に性格上の相違があるかどうかということを承わりたかつたのでありますが、この点はすでに性格の相違がないという御説明でありました。この点に関する限りは私と大橋国務大臣は同じような考え方を持つております。結論は著しく違つた考え方なのでありますが、性格に相違がないということに関する限りは同意見であります。ところでお尋ねいたしたいのは、警察予備隊海上警備隊が非常時的な存在であるという御説明でありました。これはどういう意味であるのか承わりたいのであります。つまりこの非常時という言葉は、外的侵入に備えるというような場合をも含んでおるのかどうか、こういうことなのであります。先ほど若木委員のお尋ねに対する御答弁の中にも、予備隊国内治安を守ることが主たる目的であるという「主たる」という言葉を使われました。それは全部の目的であるとは言われませんでした。この主たる目的であるという表現は、或いは非常時的な存在であるという表現などからして、外的侵入に備える場合も一つの場合として予定されておる、こういうふうに受取れるのであります。これはすでに本会議等における大橋国務大臣の御答弁の中にも、こうした点はすでに現われておつたようにも考えておるのであります。  もう一つ、最初の御説明の中に文官優位制という言葉が使われました、シビリアン・コントロールという言葉を使われたのでありまするが、文官という言葉を使われる半面には武官という半面が考えられておるのではなかろうかというふうにも考えられるのであります。こうした一連の国務大臣の表現の中にやはり一般国民が常識的に考えておると思われる軍隊的な性格を、現在の予備隊なり或いは新たに切替えられようとしておる保安隊の中に我々は認めざるを得ないような感じがするのでありますが、これらの点について一応の御説明を承わりたいのであります。
  33. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 第一の点は、非常時的な性質を持つた機関であるというふうに私が申上げましたその点に関連する御質問でございます。私の非常時的なという表現を使いました考え方は、先ず治安の状態といたしましては平常の場合と、それから治安の特に乱れかかつている非常時的なものと、こういうふうに分け得ると思います。警察法におきましても、特に非常事態宣言という制度がございまして、一般の場合におきましては国家地方警察自治体警察、それぞれ独立の機構でございまするが、非常事態に際しましては内閣総理大臣国家地方警察並びに自治体警察双方を一元的に統制して指揮する。こういう制度があるわけでございます。これらはやはり国内治安の取締という上から申しますると、平常時と非常時というような区別があり得るという考え方の、一つの根拠にもなろうかと思うのでございます。そういう趣旨におきまして非常時的な仕事を主として担当するのが、これが警察予備隊であると、こう申上げたのであります。警察予備隊令におきましても、我が国の平和と秩序を維持し、公共の福祉を保障するため国家地方警察及び自治体警察警察力を補う。そういう表現を使つてございまするし、又第三條には警察予備隊の任務といたしまして、「治安維持のため特別の必要がある場合において、内閣総理大臣の命を受け行動する」、こういうことになつておりまするので、警察予備隊が行動をいたす場合は、治安維持のため特別の必要のある場合である。これ即ち、一般普通の場合にいつでも出て行くという意味ではなく、主たる任務というものはこれは非常時において、而も内閣総理大臣の特別の命令を受けて行動する、こういうふうになつておるわけでございます。ここで「主たる」という言葉を私が用いました理由は、これはかような場合が主でございますが、併しながら例えば災害の際に救援のために行くとか、折角まとまつた部隊でございまするから、そういういろいろ実力を背景としない場合においても、公共のために発動し得る面があると存じます。現に昨夜の鳥取の火災に際しましても、武器を携行せざる二百七十九名の予備隊員は米子の部隊から鳥取に、災害救援のために要請によつて急行をいたしておるという実情もございます。そこで「主たる」と申上げたわけでございます。  それからこの御質問に関連いたしまして、そういう非常時ということの意味の中には、外敵の侵入の場合が入るか入らんかということを特に御質問でございますが、私は治安上の非常時でありさえすれば、その原因が如何なる場合をも入り得ると考えておりますから、特に外敵侵入の場合は入らないという説明はできないと、こう思うのでございます。  それからシビリアン・コントロールということを私が文官優位制と訳しましたに関連して、それなら武官というものもあるのかという御質疑でございますが、予備隊におきましては武官というものはございません。シビリアンというのは、ユニフオームに対する言葉としてシビリアンという言葉を使つております。だから正確には一般職員予備隊の制服職員、こういう言葉が正確かと存じます。併しながら制服職員と申しましても、とにかくこれらの職員は軍隊と同様に部隊組織を持ち、指揮命令によつて一元的な統一ある活動をするものでございまするし、又その武器としては一般に使用しておりまする以上の武器を持つておるのでございまするから、これを、かようなものはどうしても、行政管理をいたして行く上におきまして国内における最大の実力に相成りまするから、これを完全に政府の統制下に置くということにつきましては、各国がその国の軍隊を政府の統制下に置く、そういう行政機構というものをよく研究をいたしまして、やはりそれ相当の考えを以て工夫をいたす必要があろうかと、こう存じまして、保安庁におきましても軍隊ではないにいたしましても、やはり現実に武器を持ち又その命令によつて行動をさせるところの制服職員というものの職務権限なり地位なり、又それを監督指揮いたしまするところの一般職員というものの地位なり、そういうもののあり方については余ほど愼重に考える必要がある、こう存じまして、やはり文官優位制と申しますか、シビリアン・コントロールと申しますか、そういつた制度がやはりこの予備隊についても必要である、こう考えた次第でございます。
  34. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 警察予備隊令の一部を改正する等の法律案につきましてはいろいろ質問をいたしたいことがあるのでありまして、一時間くらいかかりますから、もう一、二回連合委員会を持つことに委員長においてお取計らいを願いたいと思います。  今日御質問をいたしたいのは、先ほど大橋国務大臣から御説明のありました保安庁設置要綱について御質問をしたいのであります。第一にこの保安庁警備隊並びに保安隊が予備的のものであるというお話であります。警察予備隊の後身である保安隊につきましてはそれでいいのでありますが、海上のほうの警備隊につきましては予備的のものとばかり言わないで、その一部と言いますか大部が、やはり従来通り海上警備救難に当る職務をやらせられない理由はどうであるか、それを伺いたいのであります。つまり具体的に言いますと、予算委員会その他で大橋国務大臣から御説明がありまして、このたびの海上警備隊というものを設けて六千人の増員をする、そうして千五百トン級の船を十隻、三百五十トン級の船を五十隻アメリカから借りて、そうしてそれで以て警備に当る、こういうふうな御構想であります。で、千五百トン級の十隻につきましてはこれはまあ予備的のものとしておいて置かれてもいいかと思います。いわゆる、今おつしやつた非常時というようなときに出るということにしないと常に油が要り過ぎる、それで不経済だからそれは予備的なものにするということは話として一応わかります。併し三百五十トンの五十隻については何も予備的なものにしておく必要はないのじやないか、現在の警備救難隊につきましてもこれが十分であれば問題ありませんが、甚だ私は不十分であるということは従来から申上げておるのであります。それで現在の余りに不十分な警備救難隊を補うためにこの三百五十トンの五十隻を使うことが適当である、これは小さい船でありますから、今の警備救難隊でも確か五百トン、六百トン級はあるのでありますから、だからそれは普段からお使いになつて、そうして密入国、密輸入、密輸出というものを十分に取締ることにせられたほうが適当であると思います。それを何故しないで、そういうふうにお考えになるか、それをお伺いしたいのであります。それが第一点であります。
  35. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) この海上警備隊の所属の船舶を平常業務である海上警備救難業務のためにできるだけ使えるように考えたらどうか、こういう御趣旨の御質問だと考えます。この点は全く御尤もに存ずるのでございますが、ただこれらの船はやはり非常の際に、この十隻の二千トン級の船が行動いたします際には、やはりいろいろその船と一緒に一体をなして行動するということが必要になるのじやなかろうかと思われるわけでございます。従いまして平素からこの十隻だけを別に訓練をし、五十隻だけは平常業務に付けてしまつて、この十隻と五十隻を全然一緒の訓練をしておかないということになりまするといざ十隻が行動しようという場合に一緒に援助してもらう、協力して行動するという場合が、あろうと思いますが、そういう場合には不都合を生じますので、一応或る程度まではこの五十隻の小さい船舶も十隻と一緒に訓練をし一緒の行動のできるようにしておくということが先ず第一に必要な事柄であると存じます。併し或る程度の訓練ができました後におきましては、これは当然一般の海上警備救難事務のために必要があれば五十隻ばかりでなく、場合によつたらその残りの大きな十隻も応援に出るのはこれは当然でございますが、これがために保安庁法立案いたします際におきましては、これらの海上警備隊所属の船舶の出動につきましては、平常業務でありまする海上警備救難業務のために必要があれば何どきでも手軽に応援のできるように、その手続等はできるだけ簡易にいたしまして、そうして海上警備救難のための船舶と海上警備隊の船舶とが一体となつて協力できるような工合にいたしたい、こう考えておるのでございます。この出動の点につきましては、従いまして何どきでも平常業務の応援のできるように簡單に仕方を工夫いたしまして、御趣旨に副うようにいたしたいと考えます。
  36. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 只今の御説明はまだ私の納得するところまで行つていないのでありますが、まあ予備が別にあれば現在の警備救難に当つておる隊のほうの予備は要りませんから、それだけプラスになるということはわかるのでありますが、どうも五十隻も三百五十トンのを持つておりながら、平常の警備に使えないといつたころが私はどうもおかしいと思う。まあそれだけ意見を申上げておきまして、それからなぜこの海上警備救難本部というものをこの保安庁の本庁のほうに特に別に設けるという外局的存在にせられたか、第二幕僚長とその海上警備救難本部の長との関係、これは全く関係がないようでありますが、そういうことは非常に不便じやなかろうか、やはり第二幕僚長のほうにこの海上警備救難事務も持たしたほうがいいんじやないか、こういうふうに考えるのでありますが、なぜこれを全く別個の組織にする必要があつたか、その点を御説明を願いたいと思います。
  37. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) この点は新機構立案に際しましていろいろ研究をいたしたわけでございまして、只今岡本委員のお述べになりましたような考え方考えて見たこともあるわけでございます。併しながらこの海上警備隊は先ほども申上げましたる通り緊急事態、非常時的な場合を先ず第一段に予想いたしまして專らそういう際のために訓練をし、又そういうことを予想いたしまして平素からいろいろ研究を進める、こういうことに專念をさせて行きたい。これに反しまして海上警備救難の警備業務というものは平常業務でございまして、この関係いたしまする仕事の範囲というものは非常に広汎なのでございます。例えて申しますると、現在やつておりまする事柄では普通の海上警察と申しますか、いわゆる密出入国の取締り或いは海上における犯罪の取締り、こういつたものもございます。そのほかに海上における衛生法規の執行であるとか、或いは関税法の執行であるとか、いろいろ本来の保安庁のプロパーの仕事でなくして他の各省大臣の管轄の仕事の下請的な仕事をこの海上警備本部ではいたしておるわけでございます。従いまして、この海上警備救難本部というものは單に保安庁長官なり或いは内閣総理大臣指揮を受けるばかりでなく、それぞれの業務につきましては出入国の取締りの関係につきましては外務大臣指揮を受けなければならない、又犯罪の検挙につきましては法務総裁の指揮を受ける、関税関係では大蔵大臣指揮を受ける、又場合によつては農林大臣指揮を受けることもある、こういう各省大臣指揮を受けなければその仕事ができないことでございます。従いましてこれは一つ附属機関といたしまして、切離しましてそうして直接に各省大臣から指揮を受けるという現在の形をそのまま残しておくということが、法律技術の上から申しましても又行政管理の上から申しましても適当であると、こう考えまして、これだけは一般の内局から外した立て方をいたしたわけでございます。
  38. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 只今の御説明は、お考え方はわかりました、又非常に御苦心の点であると思います。併し予備的のものであるとすればやはり一体になつてつたほうがいいのじやないかというふうな気もするのでありまして、そのほうがなお連絡がよくなりはしないかというふうに私は考えるのであります。これが又、別の案を考えられておつたように海上警備救難事務が運輸省に残るというようなことであればこれは非常に連絡が惡いのでございまして、保安庁長官の下にこの事務も納められるということは、私はこのほうが適当であると、こういうふうに考えておるのでありますが、一歩を進めてやはり第二幕僚長の下にこれを付けたほうがいいんじやないかというふうに考えるのであります。これも意見に亘りますからそれだけ申上げておきます。  それからもう一つ、これは根本的のことでありますが、一体警察予備隊といい、海上保安庁の今までの分はそれほどでもありませんが、今度予備的になつて来る海上警備隊というものは、今各委員からお話がありましたようにどうも日陰者のようになつておるのであります。警察予備隊員であれば国の治安の維持に当る実に尊い仕事をしておるのでありますから、大いに誇りを持つていいはずであります。ところが今では誇りを持てない状態であります。おかしな話の実例を申上げますと、私の友人に画家がおりまして、そうしてこういう警察関係又は警察予備隊員海上保安隊員というような国の治安に当つて身命を投打つて働いておる人々の姿を国民の前に明らかにして、国民に対してそれが値する尊敬を払つてもらわなくちやいかん、敬愛の情を起してもらわんといかんというので、いろいろ前年からやつております。ところが警察予備隊員の生活を絵葉書なんかにいたしまして、そうしてこれを普及しようと思つてそれをこしらえておりました。で、予備隊員はこれはなかなかよくできているというので賞めはするんですが、それを故郷へ出しますと、その故郷の者とか友人が、そういうものを送つてもらつちや困ると、軍隊みたいなものでないかと、そういうものはもう送らないでおいてくれというようなことがしばしばある。そうであります。これはよほど考えなければならんことで、それが人心の実に機微の点に触れておると思つてその点を話すのでありますが、私も実は驚いたのであります。こういうことでは、いかん、こんなことで、治安の任に当るなんて大きな目的を掲げておつて、而もその任に就いておるこの名誉ある隊員が自分から自分を卑下しなければならんというようなことは、これは大変なことだと、こういうように私は思います。そこで今度保安庁というようなものを新たにお作りになるとすれば、そこにこういうことが払拭さるべき何か新らしい精神というものを、どうしても立てなければならん、そうして、みんなが本当に誇りを持つて又国民がそれを敬愛し信頼して、喜んでそれに送込むというふうにしなければいけないだろうと私は思います。そういうことについて大橋国務大臣においてどういう御用意があるか、それを伺つておきたい。
  39. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 実は警察予備隊は、創設の際には警察予備隊という名前でございまして、これは警視庁の警察予備隊というようなものがたくさんできるのじやないかというような感じを、一般国民に与えておつたと思うのでございます。又実際応募されましたかたがたの中にも、そういうふうな予想で入つて来られたかたが相当おありのことと存じまするし、又その御家族のかたがたにおいてもそういうつもりでおられた向きもあつたろうと思うのでございます。併しながら警察予備隊というものは、国内治安のための最後の後ろ楯となる実力組織でございますから、これは場合によりましては政府命令に従いまして大なる危険を冒しても公共の福祉のために立つて活動しなければならないというものでございまして、このことは非常に大きな犠牲と、それから努力を要する仕事である、こう考えるわけでございます。従いまして警察予備隊隊員でありまする以上は、必要な場合においては自分の一切を犠牲にしても国民の福祉のために、国内の治安を守るという固い決意が当然あるべきものでありまするし、又現在においてはことごとくそういう決意の下において隊員は働いていると確信をいたしているのでございますただ一般の世間におきましては、なお、これは初めに考えておつたものと非常に違うじやないかというような感じを持つておられることは、これは遺憾ながら、なお事実でありまするし、又そのことについてそれが国家として必要であるかどうか。又そういうものを今日日本が育成して行くことがいいかどうかということについてのいろいろな批判のあることも事実でございます。政府といたしましてはこれらのいろいろな情勢を考えまして、予備隊なり或いは海上保安隊なりというものの趣旨目的をよく国民諸君の間に普及徹底いたし、又これに対しまする国民一般の援助協力というものを頂かなければならない。こう考えまして、できるだけそういう機会を作り、あらゆる方法を通じてこの趣旨徹底すると同時に、隊員の諸君に対しましては一層の決意を促したい。かように考えている次第でございます。従来講和條約の関係その他いろいろ対外的な面もあり写るし、いろいろこういう際に諸外国から誤解を生ずることもどうかと思いまして、相当愼重に手控えておりました関係もありまして、講和條約も発効いたしまして、日本の国際的地位も確立いたし、又この国際情勢の中に立つて、今日の国内の治安というものを確保して行くということは、平和日本といたしましては非常に困難な仕事でございまするから、このために働くところの隊員というものの使命が、如何に重要であるかということは、国民諸君にも一層よくおわかり願えることと思いますので、今後御趣旨に従いまして努力をいたしたいと考えております。
  40. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 今の点は誠に重要なことと私は思うのでありまして、政府が表に掲げて募集をされるものに応募する、それに入つて見るとそうでない面が大部ある。こんなはずじやなかつたがと思うし、又それが郷党の人に聞えて、何だ額面通りじやないじやないかということになる。従つて予備隊員とか警備隊員が日陰者みたような気持になるということが断じてないようにして頂きたいと思うのであります。もう一点だけ伺つておきますが、これは言いにくいことでありますが、従来警察予備隊におきましても、それから海上保安庁におきましても、物資の購入とかその他について随分、醜聞が起りました。これはどのくらい警察予備隊海上保安庁の何と申しますか、名誉を傷つけたかわからないのであります。これは断じて今後ないようにして頂かなければならないのでありまして、保安庁の発足に当りますときに、そういうことができないような組織を何か考えておられるか。今まで非常な大きな金高の高むものを購入することをしておりながら、やはり組織が脆弱であつたと思うのであります。そのことについてどういうふうなお考えを持つておりますか。それを伺つておきます。
  41. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 予備隊は、従来御承知通り一昨年の予算は二百億、これは約八月以降の分だけで二百億、昨年は当初予算並びに補正予算を合計いたしますると、三百億以上ということになつているわけでございます。これらは何分にも新らしく発足いたし、而も他の官庁と違いまして、被服、食糧、一切を部隊で供給する。そうして又、隊員は全部宿泊せしめる、こういう関係で、いろいろな品物を多量に、而も短期間に買わなければならない。而もこれに当りまする職員は、発足当初でありまして、非常に手不足でございました。その事務に忙殺され、又監督者といたしましても、なかなか部下を監督するよりも、自分が先に立つてどんどん処理して行かなければならない実情でございまして、この間御指摘のような遺憾な事柄がありましたことは誠に残念に思つている次第でございます。その後予備隊といたしましては、特にかようなことを予備隊に対する国民諸君の御支援、御協力を頂く上から申しまして、非常に遺憾なことであるということを、関係者一同よく自粛をいたしまして、最近におきましては相当自粛の実を挙げつつある、こう確信をいたしている次第でございますが、なお、この上とも十分にこれらの必要な職員の数をも増し、又経理に関する機構を完備し、これに対する監督の機構につきましても最近整備をいたして参りたい。なお一層留意をいたしまして、誤りなきを期したいと存じます。
  42. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 委員長お願いをいたしたいのですが、警察予備隊令の一部を改正する等の法律案を審議する必要上、この度の増員になつた三万五千、それをどういうふうに配備するのか、その配備をした結果、どこどこがどういうふうに殖えるのか、現在員がどのくらいあるか、そういうような詳しい表を出して頂きたいと思います。なぜその点を申上げるかと申しますと、共産党の諸君がこの三万五千の増員について非情に疑惑を持つておられる。それは補給部に非常に多くの増員が行つて、それは結局外国に出て行く、何と申しますか、長い補給を要するための増員じやないかという疑問もありますので、その点をはつきりしておきたいと思います。そのために出して頂きたいと思います。
  43. 西郷吉之助

    委員長代理西郷吉之助君) 本日はこの程度にいたしまして、本日は内閣委員長がおられませんから、後刻協議いたしまして、来週早々又連合委員会を開きたいと思います。   本日はこれで散会いたします。    午後一時九分散会