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国務大臣(
大橋武夫君) 第一の点は、非常時的な
性質を持
つた機関であるというふうに私が申上げましたその点に関連する御質問でございます。私の非常時的なという表現を使いました
考え方は、先ず
治安の状態といたしましては平常の場合と、それから
治安の特に乱れかか
つている非常時的なものと、こういうふうに分け得ると思います。
警察法におきましても、特に非常事態宣言という制度がございまして、一般の場合におきましては
国家地方警察、
自治体警察、それぞれ独立の
機構でございまするが、非常事態に際しましては
内閣総理大臣が
国家地方警察並びに
自治体警察双方を一元的に統制して
指揮する。こういう制度があるわけでございます。これらはやはり
国内治安の取締という上から申しますると、平常時と非常時というような区別があり得るという
考え方の、
一つの根拠にもなろうかと思うのでございます。そういう
趣旨におきまして非常時的な
仕事を主として担当するのが、これが
警察予備隊であると、こう申上げたのであります。
警察予備隊令におきましても、我が国の平和と秩序を維持し、公共の福祉を保障するため
国家地方警察及び
自治体警察の
警察力を補う。そういう表現を使
つてございまするし、又第三條には
警察予備隊の任務といたしまして、「
治安維持のため特別の必要がある場合において、
内閣総理大臣の命を受け行動する」、こういうことにな
つておりまするので、
警察予備隊が行動をいたす場合は、
治安維持のため特別の必要のある場合である。これ即ち、一般普通の場合にいつでも出て行くという
意味ではなく、主たる任務というものはこれは非常時において、而も
内閣総理大臣の特別の
命令を受けて行動する、こういうふうにな
つておるわけでございます。ここで「主たる」という言葉を私が用いました
理由は、これはかような場合が主でございますが、併しながら例えば災害の際に救援のために行くとか、折角まとま
つた部隊でございまするから、そういういろいろ実力を背景としない場合においても、公共のために発動し得る面があると存じます。現に昨夜の鳥取の火災に際しましても、武器を携行せざる二百七十九名の
予備隊員は米子の
部隊から鳥取に、災害救援のために要請によ
つて急行をいたしておるという
実情もございます。そこで「主たる」と申上げたわけでございます。
それからこの御質問に関連いたしまして、そういう非常時ということの
意味の中には、外敵の侵入の場合が入るか入らんかということを特に御質問でございますが、私は
治安上の非常時でありさえすれば、その原因が如何なる場合をも入り得ると
考えておりますから、特に外敵侵入の場合は入らないという
説明はできないと、こう思うのでございます。
それからシビリアン・コントロールということを私が
文官優位制と訳しましたに関連して、それなら武官というものもあるのかという御
質疑でございますが、
予備隊におきましては武官というものはございません。シビリアンというのは、ユニフオームに対する言葉としてシビリアンという言葉を使
つております。だから正確には一般
職員と
予備隊の制服
職員、こういう言葉が正確かと存じます。併しながら制服
職員と申しましても、とにかくこれらの
職員は軍隊と同様に
部隊組織を持ち、
指揮命令によ
つて一元的な統一ある
活動をするものでございまするし、又その武器としては一般に使用しておりまする以上の武器を持
つておるのでございまするから、これを、かようなものはどうしても、
行政管理をいたして行く上におきまして国内における最大の実力に相成りまするから、これを完全に
政府の統制下に置くということにつきましては、各国がその国の軍隊を
政府の統制下に置く、そういう
行政機構というものをよく研究をいたしまして、やはりそれ相当の
考えを以て工夫をいたす必要があろうかと、こう存じまして、
保安庁におきましても軍隊ではないにいたしましても、やはり現実に武器を持ち又その
命令によ
つて行動をさせるところの制服
職員というものの職務権限なり地位なり、又それを監督
指揮いたしまするところの一般
職員というものの地位なり、そういうもののあり方については余ほど愼重に
考える必要がある、こう存じまして、やはり
文官優位制と申しますか、シビリアン・コントロールと申しますか、そうい
つた制度がやはりこの
予備隊についても必要である、こう
考えた次第でございます。