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国務大臣(
村上義一君)
只今原先生が
大橋国務大臣の出席を求めて、その
意見を徴すべきだという
お話であります。多分見えました後は
お話あることと存じますが、今私はその以外について申述べたいと思うのです、現在
海上保安庁は
運輸省の外局として存在しておりますが、併し
海上保安庁長官は
運輸大臣の命令だけで動いておるものではないのでありまして、漁業の取締或いは密漁の取締、又
日本漁業に関する保護という問題については農林
大臣の命令を受けておるのであります。密入国取締については外務
大臣の命令を受けております。又密貿易については大蔵
大臣の命令を受けております。一般司法警察につきましては
法務総裁の命令を受けておる。非常に複雑な
状態にあるのであります。ただ航路安全業務又救難事業とい
つたような事柄と切り離し得ない、前刻長官がお答え申上げましたようにこれらの仕事がみなひとしい設備の船を以てやらなければならんという
関係で、経済的にこれを一括しているということが主なる理由であるのであります。で米国等におきましても御承知でありましようが、六十年の長い歴史を以て漸く十年ほど前にコースト・ガードシステムが成立いたしたのであります。米国のごときですら国家経済という見地からコースト・ガードとしてこれを一本に処理して行くということに相成
つている。現在米国ではコースト・ガードは大蔵省の所管にな
つております。併しフーバー行政
機構委員会におきましてはその結論を出して、これはやはり交通省に所管を移すことが至当だというアドバイスをいたしているのであります、これはまあ別といたしまして、とにかく米国の六十年に及ぶ長年の所属についての、又合従連衡をいろいろ経て来ました歴史に鑑みましても、
只今申しましたごとくその所管
大臣というものが非常に多数にな
つておるという点から鑑みましても御了解願えると思うのであります。それで現在のそういうコースト・ガードという精神の下において今この
法律案の
改正をお願いいたしているのであります。私は前刻
法律案の
改正案を離れてと申しましたのは、一
国民として将来どう進むべきかということを実は申上げたつもりであ
つたのであります。今お
示しように
日本の
自衛力を如何に今後すべきか、又行政協定が取りやめられたときにこういう小さい
治安ということでは
意味をなさない。もつと大きい
意味で
治安ということを
考えて行かんならん。要するに自衛という問題だと拜察いたしますが、これにつきましては誠にお説の
通りであります。これは更に別箇の
法律案を具して国会の御審査を願う、そうしてこの
性質を変えて行くということにすべきだと私は思
つております。ただその時期が
日本の
経済力が許さんから今日米行政協定に基いてただ單なるコースト・ガードの
目的だけを果す強化を今二十七年度において進めたい、こういうことであります。このままで進むということは許さるべきではないと私としても
考えております。前刻も申しました
通り海上保安庁は
人命の
尊重又は
正義、人道という見地でこれは進んでおるのであります。自衛という観点から進みますと、この
指導精神は全然塗りかえなくちやならんと私は思
つておるのであります。こういう自衛という範疇に属する行動をとる場合には
海上保安庁でやるべきではない、自然
運輸省の所管でやるべきでない、私はそう
考えております。