○
説明員(
木内信胤君) 諸外国は
大蔵省及び中央銀行が分掌しておるというのは
大蔵大臣の御
答弁にもありましたが、私の見るところではそれは事実ではありませんのです。
日本では何のことか知りませんが、そういうふうにきめておるのであります。
日本の昔がそうであ
つたからであるかも知れません。最大の
理由は英国というものがそうであるからだろうと思います。ところが英国におきましては分掌しているというよりも中央銀行がやつでおるのであります。
大蔵省はそれに対してポリシイ・ダイレクシヨンと申しますが、ほかのいろいろ国策上の問題がありましようから、為替管理はこういうふうにや
つてほしいという一種のイデオンを与える
程度にとどま
つて、実務は中央銀行が中央銀行の
責任において、むしろ
大蔵省の区処を受けるところなくや
つておるというのが実情でございます。ところが御
承知のごとく、英国は不文律の国でありますから、そういうことを
法律に書かないのであります。書かないからして何となく殊にポリシイ・ダイレクシヨンをするのでありますから、自然にその下にあるように見えますが、実は独立した非常に独立性の高い中央銀行、英国の英蘭銀行は独立性が非常に高いことは御
承知の
通りと思いますが、非常に独立性の高い銀行が自主的にや
つて、自分の
責任においてや
つておるのでありますから、
大蔵省が
責任をと
つて日本銀行に
事務を委託して行くというのが今度の法制の要点であるように見えますが、
事務を委託するということは部下にな
つて働くということかとも了解いたしますが、そうではないのであ
つて、独立の
責任を以てや
つており、一番
日本の今度の
改革に近いと思われておる英国すら然りであります。その他の国はこの間参議院のこの
委員会、
内閣委員会において申上げましたが、イタリー、ベルギー、私の申上げた例はたくさんではございませんが、イタリー、ベルギー、オランダ等を特に詳しく申上げたのですが、いずれも専門家を拉し来たるために
一つの特別な局を設け、それは必ずしも
大蔵省ではない、イタリーのごときははつきりと通産省の所属であります。そういうのが近頃の行き方でありまして、フランスも特別な局があります。それは恐らくいわゆる
事務を委託するという
意味の、いつでも命令を受ける可能性ありという
意味ではなくて、任された以上は自分の
責任でや
つて区処を受けるという
機構ではないというふうに了解いたします。諸国の例は皆そういうふうになりつつある。
日本において為替管理
委員会みたいなものを作るがいいか悪いかはこれは問題でありますが、為替という
仕事がむしろ
大蔵省から別であれということは最近の世界的な強い傾向だと思います。それに
関連しまして、別であればあえて
委員会が別でなくても、中央銀行であ
つてもいいのかも知れません。
そこで話がちよつと戻りますが、最初の
司令部がこの
機構を作りますときに実は考えたのは、
日本銀行でできやしないかということを随分考えた。ところがそれではいけないということがわか
つた。それでは別途に為替中央銀行を作ろうかということを考えたが、これも余りうまい行き方ではないと考えたから、
政府官庁ではあるが、それに銀行業務的なものも托し得るような仕組みにして、為替管理
委員会を作
つたんだということでありましたが、そういう次第を持
つておるのであります。そこで中央銀行の独立性如何ということが今度の新
機構がいいかどうかの判定の要点になると思うのでありますが、
日本においては御
承知の
通り日本の伝統は遺憾ながら、今法制もそうだと思いますが、
日本銀行の総裁というものはいつでも
大蔵大臣が首が切れるのではないかと思うのですが、少くとも
日本の伝統はそうであ
つたのでありまして、独立性甚だ稀薄であります。この点を理窟で申上げるよりもエピソードを申上げたほうがいいと思うのですが、私昨年アメリカを通
つて帰りますときに、アメリカのフエデラル・リザーブ・ボード、ワシントンの準備局の、上から何番目の人ですか存じませんが、非常に上の人です。重役ではありませんが、その人と、殊に
日本に関心を持
つた人々で昼飯を食べたときに、そのかたの真先の
質問は、FEBCはいつ
日本銀行と合体するのだ、それにお前のほうはオブジエクシヨンがあるようだが、どう思
つておるのだという単刀直入の御
質問であります。そこで私答えましたのに、私はそれに別に理論的にも実際的にも大してオブジエクシヨンはない、ところが
日本は遺憾ながら中央銀行というものは非常に独立性が乏しいのだ、中央銀行総裁はいつでも首にできるらしいし、法制的にもできるらしいし、事実そう思われておる。これでは私は
日本銀行に私どもの組織を統一してしまうということにはどうしても賛成できない。
日本銀行が我々が今持
つておるような或る
程度の
相当高い独立性を持
つたときに初めてそれが問題になるんだと言いましたところが、ああそうか、その話はそれでおしまいであります。この話はそれだけで多くのことを語
つておるのであります。ついでに申しますと、今度の
委員会廃止のことが伝わりましたときに、それを伝え聞いた、これはアメリカのかたでありますが、殊に池田
大臣の、諸国の例が皆中央銀行がや
つている、
大蔵省が中央銀行を使
つてや
つているという
答弁がありましたときに、それは違うのだ。諸国は皆中央銀行が中央銀行としてや
つているのだ。現にどうこうと
言つて各国の新らしい中央銀行の作り方を、フイリツピンをはじめ、ここに書いてあるリストがありますが、新らしい中央銀行ですから余り我々が……、つまり小さい国、それらの国が全部挙
つて新らしい中央銀行の独立性を確保した上において、為替管理
事務或いは外貨資金の管理というのをや
つている。
大蔵省の区処を受ける中央銀行が外貨を管理するということは非常にいけないことだということは、これは天下の通説にな
つております。若し
大臣がそういうふうに
答弁をしたのならそれは違う、お前は知
つているだろうが、念のために申上げると
言つて、わざわざ馳け込んで
言つてくれた人があるのです。それらのことによりましておわかりの
通りです。それらが中央銀行と
大蔵省との最近の各国の行き方であります。私の意見といたしましては、
日本においても中央銀行がそういうことになり得るならば、或いは
簡素化のためか、或いは私どものような官庁が、銀行らしい
仕事をするということは余りいいことではないと思いますけれども、そういう条件が成立するならば、少くともその部分だけを移してもいいかと思います。なお併し私どものや
つておりますことは、先ほども申しました
通り、官庁間、さつき建設
大臣は、官庁が相互喧嘩をしなければ大丈夫だ、繩張り争いをやらなければ大丈夫だ、信用しろとおつしや
つたのですが、なかなか
日本の伝統はそうではないので、一朝一夕に変るかどうか。私ども三年
仕事をいたしましたが、随分農林、通産 通産、大蔵のごとき、私どもは元来は
大蔵省と対立しているようでありますが、元来とめ男として出て来たわけであ
つて、随分調停もして、調節もして来ているわけであります。なかなかそういう面が急に解消しようとは思いません。殊に
法律規則を、
法律とは違いますが、
法律は国会が作りますが、その原案をよく
作つて見たり、それに準拠する政令規則を
作つて見たり、立法
事務がありますから、立法及び
行政、それらについても日銀に託し得るかどうかに疑問がありますが、若しその点もいいというのなら日銀に我々が吸収せられるということはあり得るのです。従いまして私どもの意見書のあとにも、これは日銀のあり方というものと不可分の
関係にあるのだ。合併して
審議を願いたい。不可分の問題として取扱
つて頂きたい。その問題がそのようにつまり独立性確保という方向に向
つて解決されないうちに、私どもの
機構がなくなるということは、非常に惜しむべきことだと私は考えているのであります。