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1952-06-16 第13回国会 参議院 内閣・大蔵連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十六日(月曜日)    午前十時五十五分開会   ―――――――――――――  委員氏名   内閣委員    委員長     河井 彌八君    理事      中川 幸平君    理事      鈴木 直人君    理事      成瀬 幡治君            楠瀬 常猪君            草葉 隆圓君            横尾  龍君            楠見 義男君            竹下 豐次君            和田 博雄君            上條 愛一君            波多野 鼎君            栗栖 赳夫君            松原 一彦君            三好  始君   大蔵委員    委員長     平沼彌太郎君    理事      大矢半次郎君    理事      伊藤 保平君    理事      野溝  勝君    理事      木内 四郎君            岡崎 真一君            黒田 英雄君            西川甚五郎君            溝淵 春次君            小林 政夫君            小宮山常吉君            田村 文吉君            森 八三一君            江田 三郎君            大野 幸一君            下條 恭兵君            上條 愛一君            菊田 七平君            油井賢太郎君            木村禧八郎君   ―――――――――――――  出席者は左の通り。   内閣委員    委員長     河井 彌八君    理事            中川 幸平君            鈴木 直人君            成瀬 幡治君    委員            草葉 隆圓君            横尾  龍君            楠見 義男君            竹下 豐次君            上條 愛一君            波多野 鼎君            栗栖 赳夫君            松原 一彦君            三好  始君   大蔵委員    委員長     平沼彌太郎君    理事            大矢半次郎君            伊藤 保平君            野溝  勝君            木内 四郎君    委員            岡崎 真一君            黒田 英雄君            西川甚五郎君            溝淵 春次君            小宮山常吉君            田村 文吉君            森 八三一君            木村禧八郎君   国務大臣    建 設 大 臣 野田 卯一君   政府委員    外国為替管理委    員会委員   大久保太三郎君    行政管理財務次    官       山口六郎次君    行政管理庁次長 大野木克彦君    行政管理庁管理    部長      中川  融君    法務法制意見    第二局長    林  修三君    大蔵政務次官  西村 直己君    大蔵大臣官房長 森永貞一郎君    大蔵大臣官房文    書課長     村上  一君    大蔵省主計局長 河野 一之君    大蔵省理財局長 石田  正君    国税庁次長   正示啓次郎君    外資委員会事務    局長      賀屋 政雄君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    外国為替管理委    員会委員長   木内 信胤君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○大蔵省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○大蔵省設置法の一部を改正する法律  等の施行に伴う関係法令整理に関  する法律案内閣提出衆議院送  付)   ―――――――――――――
  2. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより内閣大蔵委員連合委員会を開会いたします。大蔵省設置法の一部を改正する法律案及び大蔵省設置法の一部を改正する法律等施行に伴う関係法令整理に関する法律案を議題といたします。
  3. 黒田英雄

    黒田英雄君 まだ質問はありますが、大蔵省設置法の改正を見ますと、国税庁徴税局になるということになつておりますが、これを見ますというと、税務署設置大蔵省令できめるというふうになつているように思うのですが、税務署の廃合というようなことも考えておられるのですか。税務署納税者便宜又は徴税の公平を期するために相当近頃は増加されて設置されておるように思うのですが、これに対してどういうお考えを持つておられるのですか。
  4. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 現在五百数十の税務署がございますが、国民所得の変動、納税者分布状態変化等に応じまして、その配置を始終適正にする努力をしなければならないわけでございまして、かような趣旨から言つても考えておる問題ではございますが、今回の整理関連いたしましては、税務署廃止するとか、或いは殖やすとかいうことは考えておりません。
  5. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵省の今度の機構改革について伺う前に、この問題は単に大蔵省だけの問題じやないので、全体の大きな機構改革一環として大蔵省機構改革というものを考えなければならないのです。そこで大蔵省としては、今度の機構改革を考えるに当つて、全体としての機構改革の目的、或いは狙い、そういうものとの関連をどう考えておるか、先ず全体としての今度の機構改革というものを大蔵省としてはどう考えているか、一体何に重点を置いているのか、財政節約という点に重点を置いているのか、或いは行政能率を非常に高めるという点に重点を置いているのか、その他一体何にこの目標を置いておるのか、それを明らかにした後、それとの関連においてどういう大蔵省機構改革を考えられたか、その点先ずお伺いしておきたいのであります。
  6. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 行政整理に関する内閣方針にもなるわけでありますが、私どもがその方針をどう今受取つておるかということを申上げまして、要すれば内閣のほうから御答弁を願います。今回の行政改革重点は、行政機構簡素化、それに伴いまして経費節約という問題も勿論起つて来ると思います。機構簡素化をするに当りまして、第一に問題になりました点は、各省終戦後非常にたくさんできました外局乃至は行政的の委員会、これはもう非常にたくさんございまして、而も厖大機構になつておるわけでございますが、これらをできるだけ整理する。勿論外局乃至は委員会の中には行政的な機能というよりはむしろ審判的な機能を持つておるものもございます。審判的な機能を持つておるものにつきましては、外局乃至は委員会として存続することが適当である面も少くございません。それらの面は残されておるわけでございます。それ以外の外局につきましては、極力これを整理するという方針を採つたわけでございます。大蔵省部内におきましては、現在外局といたしまして国税庁印刷庁造幣庁、それから外局でございますが、委員会といたしまして証券取引委員会公認会計士委員会と、以上の五つを持つております。只今申上げましたような機構簡素化する、事務能率化するという面もそれに含まれるかとも思いますが、簡素化観点からそれらを全部廃止いたしまして国税庁徴税局として内局、それから公認会計士委員会証券取引委員会内局の一課乃至は一係くらいの規模で理財局に吸収させる。印刷庁造幣庁、これは外局と申しましてもいわば企業体でございまして、今までは外局観念で一律に律せられておつたのでありますが、今回の整理に際しましては企業体的な外局は認めない、むしろほかの観念で以て律したほうがよろしいという考え方から大蔵省附属機関といたしまして、大蔵省印刷局、造幣局として附置せられる、さようなことで外局をすべて整理いたした次第でございます。これは渉外関係がございますが、渉外にも関係がございますのは総理府所管外国為替管理委員会経済安定本部所管外資委員会、これも行政委員会廃止する、そうして機構簡素化し、責任の所在を明確にするという観点から廃止せられることになりました。それを大蔵省がお引受いたしまして外国為替管理委員会外資委員会は従来の大蔵省理財局事務の一部と合せまして為替局を作るというようなことにいたしました。以上が外局廃止という機構簡素化の第一点でございます。  機構簡素化の第二点といたしまして、従来内局の中に部制が布かれておりました。大きな部内でも官房調査部、それから主税局税関部、銀行局に検査部、この三部がございましたが、局中の機構簡素化して、局長の統率の下にすつきりした形にして行くという観点から部制廃止いたしました。これが簡素化の第二点でございます。以上が主な点でございまして、以上に附随いたしまして審議会等新設整理等がございますが、趣旨只今申上げました二点でございます。
  7. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今の御答弁で、大体内閣方針として行政簡素化ということがこの行政機構改革狙い一つである。それから第二には財政上の節約、特にこの大蔵省関係においては占領中非常にたくさんの機構占領という特殊事態に応じてできたものがあるので、それを委員会制度なんか特に変えて行くという御答弁でしたが、併し今度の行政改革全体を見ますと、特に大蔵省に深い関係があるのは節約の面ですね、これは大蔵省自体機構改革ばかりでなく、全体の機構改革についても大蔵省は関心を持たなければならんはずです。一体こういう機構改革をやつて財政上どの程度まで節約できるのか、節約の点についてそれは今後こういう機構改革をやつても、他に例えば又新らしい機構ができますね、治安関係のようにできると思う。総合して大蔵省としてはどの程度財政節約がこれによつてできるのか、節約ということが一つ目標ならばこの点を先ず明らかにしてもらいたい。
  8. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 各省を通ずる問題につきましては行政管理庁のほうから御答弁して頂くことにいたしまして、大蔵部内に関する限りお答え申上げますが、今回の整理に際しまして人員はこの前の整理関係もございますし、仕事関係から申しまして機構減つたということだけで、すぐに人員を減らすということはいたしておりません。ただどちらかと言えば、機構簡素化し、上のほうにたくさん人間がおりましたのを減らすということをいたしております。部長以上の人数におきまして大蔵省におきましてなくなりますものは十三人くらい、これは一人の給与その他はこれは僅かなものでございますけれども、そういう上のほうのポストが減ることによりまして、直接給与のみならず間接直接にいろいろ節約されるわけでございまして、相当節約を挙げ得るのではないかと考えております。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その全体としての節約について野田さんでも……。
  10. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 今回の行政機構改革人員整理を主といたしておりません。従いまして経費的に申しますと、今回の行政機構改革だけからは大きな節約は出て来ないと思います。勿論これはこの前の橋木行政管理庁長官の時代に行いました人員整理というものと併せて一環をなすものでありまして、その際には御承知のように十万人程度の定員の縮減を断行したのであります。その際は機構に触れない、人を減らすということであつて、今度はその残つております機構の分を縮小するという方法を採つたのでありますから、従つて直接人員減というものを目標にしておらない関係上、経費節約は少くなつております。ただこの前の人員整理におきまして機構改革と並んで残つておりました例えば経済調査庁の問題であるとか、或いは特別調達庁の問題であるとか、或いは安定本部の問題とか、こういうものにつきましては、今回の行政機構改革関連いたしまして、人員縮減が大幅に起りまして、これが中心となりまして約三千五百名の人員減が起つておりまして、それに伴いまして大体平年度概数七億円ぐらい予算の節約になるかと思います。なおそのほか各省におきまして外局長官であるとか、或いは部長であるとかがなくなりますにつれて、やはり経費も若干減少するのでありますが、それは申上げるほど大きなものでないとこういうように考えております。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと財政上の節約ということが今回の機構改革の直接の目標でない、又結果として大して節約にならんと、そうしますと行政簡素化ということがどうしても狙いになる。そこで行政簡素化ということは具体的にどういうことを一体意味するのであるか、ただ機構を簡単にしたからと言つていいというのじやなくて、要するに問題はそのために事務能率が上り、いろいろな経済的面から言えばその国民経済行政面からの運営が能率化されて行く、こういうところに主点があると思うのです。ただ今まで或る一つ特定政党が公約したから何か悪くてもよくてもこれを行わなきやならん、こういうようなものじやないと思うのです。それで特定政党便宜のためにこれをやるのであつたらば、若しかそうならば、そうでないと思うのですけれども、そうだつたらば、それは我々非常に迷惑でありまして、そうでなくやはり日本の国の経済、国の行政を本当に能率的に運用するという面から考えなきやならん。そうすると行政簡素化というものは一体具体的に、内容は何を意味しているか、これをやはり野田さんにお伺いしたいのです。
  12. 野田卯一

    国務大臣野田卯君) 経費節約の面について一言附加えて申上げて置きたいのでありますが、行政機構改革は今回を以て終りとするわけではなしに、なお引続きましていろいろ検討いたして行政機構を更に改革をいたして行きたいというふうに考えておるのでありまして、それにつきましては御承知のように現在政府で行なつておりますいろいろな行政は、大抵法令基礎を持つております。従つて例えば許可制度なり、認可制度というものを廃止しようとする場合には、その法律そのものを改廃しなければできない。こういうわけで大抵役所の仕事法令基礎を持つておりますので、法令を全般的に見直しまして、いわゆる再検討いたしまして、或るものは廃止する、或るものは間引きする、或いは或るものは現状通り置くというようなことになると思いますが、その法令整理するということを今始めておりまして、政府部内に法令整理本部というものを作りまして、法制局中心になりまして仕事を今始めております。これが完成いたしますと、それに基いて法令整理が行われる。それに伴つて当然人員整備、或いは機構整備が行われる、こういう段取りになつております。なおそのほかに行政審議会というものを設けまして、行政やり方が、或いは現在まだ問題になつて解決しておりません庁間事項整理の問題であるとか、或いは地方出先機関統合整理の問題であるとか、いろいろな問題を審議し、又行政事務やり方それ自体検討しております。こういうふうな検討から、当然又事務整理機構改革の問題が起つて来るのでありまして、そういうものをまとめまして第二次の行政機構改革をいたしまして御審議を願う段階に進む、そういうことを考えております。そういうことをやりますことにつきましても、今回の行政機構改革一つ段階基礎的段階をなすもの、こういう工合に考えております。一ぺんには行政機構改革、或いは人員整理というものはなかなかできないのでありまして、段階を経て進まなければならん、こういうふうに考えておる次第であります。  それから行政簡素化の問題でありますが、行政機構簡素化は結局縦の問題と横の問題になると思いますが、横幅を狭く縦の段階を少くする、こういうふうに行くのが極めて常識的な話でありますが、機構簡素化するゆえんだろうと思います。これは単に行政機構に限つたことではなしに、やはり民間のいろんな機構にいたしましても、何でもやつぱり簡素化する場合には縦の圧縮と横のほうの縮減になつて来ると思うのでありまして、この線に沿いまして、或いは外局というものが終戦後特に殖えて参りまして雑多にできているような状態でありますので、成るべくこれを内局に当然して行かなければならん、或いは外局を適当と認めるもののほかは内局に吸収する、これは横の問題だろうと思います。縦の問題といたしましては、局中にある部を廃止するというふうにいたしまして、縦の段階を少くする。こういうふうにして行政機構全体を縮少して行きたいというふうに考えている次第であります。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今の御答弁は極めて、何というのですか、事務的御答弁で、まあ野田さんが大臣になられてからもう少し大臣的御答弁があると思つたら、やはり有能なる事務官的御答弁で非常に不満足であります。簡素化ということが実現すると、外局内局も簡単にするということはわかるのです。それによつて実際に中味が、行政中味がよくなるとか、よくならないとかという点なんです。これは具体的に大蔵省関係のほうで聞いて参りたいと思いますが、却つて悪くなつたら形は簡素化されても何にもならん。今度のこの改革については、部分的にはいい面もあるのです。部分的には賛成できる面もあるのですけれども、又ものによつて却つて悪くなり、改悪であるがごとき感じを与えるものもあるのです。そこで只今野田大臣の御答弁で、これが最も完全なものじやない、これが第一なんだ、第二に又もつとよく研究して徹底的なものを考えると言われるのですが、それがそういう形で段階的に行くのなら話がわかるのですけれども、そうでなく、ここでやつたのが非常に中途半端で、今度やつたのを又根本的に変えなければならんという形の第二段階では、徒らに混乱を煩わすだけだと思うのです。例えば法務府を法務庁にすると経費ばかりがたくさんかかつて却つて能率が上らないといえば、第二段階に縮小するのを戻す、府に戻したらいい、仮にこういう結論になれば意味がない。それならばなぜ急いで出されたか。只今選挙を控えて、或る特別の政党選挙対策として公約したことを何とか実行しなければならない立場でやるのだつたならば、国の不幸であつて、本当の意味で国の行政簡素化して行こうというなら、こういう不純なものを何を急いで杜撰、杜撰でないという人もあるかも知れない、部分的にはいいところもありますけれども、全体として事務が混乱して能率が上らないというような若しか結論になるとするならば、こういうものをなぜ急いで……もつと慎重に検討して出して行かないのか、私はそれを疑問に思う。そこで今日大蔵省関係改革について質問しておるのですから、その一般的な点については内閣委員のかたが十分されていると思いますので、私は大蔵省関係の面について集中的に質問をいたしたいのです。行政簡素化によつて事務能率をよくして行くと言いますけれども、今度の大蔵省関係の中で一番大きな問題は、私は国税庁廃止の問題だと思うのです。これはまあその他にも問題がありますけれども、国税庁廃止の問題は、私は一番重要じやないかと思います。そこで大蔵省の職員のかたや、或いは国税庁のかたも熱心にこの問題はやはり研究されているようです。単に大蔵省の役人という立場でなく、国税庁の人も税務官吏という繩張りでなく、一体これによつて日本徴税というものがうまく行くのかどうか、これについて非常に心配されております。専門的意見も我々も聞かしてもらいました。又我々も考えてみましたけれども、一体今の段階において国税庁廃止して国税庁を今度は内局にして行く、こういう場合どういうことが起るか。私はその前に国税庁をどうして廃止しなければならないか、その積極的な理由……今の段階においてどうしてこれを廃止しなければいかんか。今まで国税庁は駄目であつたのか、もう国税庁としての機能はこれで終つたのかどうか、積極的な理由がどうしてもない、更にむしろ私は国税庁としては今後事態違つたなら国税庁としておいて、新らしく又再検討してやらなければならん仕事があると思うのです。これまでのようなやり方でなく、その国税庁を変えなければならん積極的な理由について……。
  14. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 国税庁は今まで三年前に司令部のスキヤツピンによりまして新設されたわけであります。それができました当時の事情を振返つてみますと、当時インフレーシヨンの進行が相当激しくて、税務のほうがどうしても遅れがちである。この点についても乱れがちな面も出て参りまして、これを早急に立直す必要がある。それにつきましては、思い切つて主税局を強化する必要があるというので、外局として国税庁ができましたのであります。それまではずつと内局主税局企画面のみならず賦課徴収面もこれは実際監督いたしておつたのでございます。経理につきましては、当時いろいろ議論があつたのでございますが、只今申上げましたような事情で分けまして、三年間、徴税事務対策に全力を挙げて参つたのであります。私は率直に申上げまして、その成果は相当つていると思います。これも一つの行き方であると思いますが、併し徴税秩序も回復いたしました今日、これをもつともつと内局で、掌つている大蔵大臣責任を持つという昔の態勢に戻すことが適当である、それができるという事態にもなつているのじやないかと思うのであります。今回のは長官次長、四部長という厖大機構を持つておりますが、それを徴税局といたしまして簡素な形に戻します。多分大蔵大臣監督いたしまして、一本の縦の統制で税務を執行するという面が今日となつては適当である、さような観点から、今度これを廃止いたしまして、もともとの姿である内局事務に移したわけであります。なおその際現在国税庁は六百五十人くらいの人員を擁しておりますが、その中から本省に移しますのは、徴税面の言わば監督面だけを移すつもりでございまして、国税を本省で掌つております実際の賦課徴収面、特に調査、査察の実施、これは第一線機関に移すほうが税務全体として強化されると考えまして、国税局以下の出先機関において賦課徴収の面は掌る。本省にできます徴税局賦課徴収に関する監督だけをする。さようなことにいたしまして、今後はやはり第一線をできるだけ強化して行くほうが税務を執行する上においてより合理的ではないか、さような考え方をいたしております。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 結論国税庁内局としたほうが合理的である。こういうお話、なぜ合理的かというその実際的な検討もされたようですが、不十分ではなかつたかと我々は思う。もつと私は十分検討すべきじやなかつたかと思うのです。十分に結論が出ない未成熟のままこういうような結論なつたようにどうも私は思うのです。まだまだ十分に検討しなければならない。例えば今申告納税なども御承知通りで、これは一体徹底しているのかどうか。又国税庁としてこういう機構作つて大きく申告納税の徹底に努めて、これは実施面でありますけれども、そういうことがもつと末端に徹底されることについて、国税庁としてやらなければならない。ところが実際には申告納税の成績が悪い。殊に青色申告なんかは殆んど徹底していません。税収を見ましても、申告納税のほうは非常に悪いのです。源泉徴収のほうがよくて、源泉徴収のほうにのみ自然増収が出ている。こういうような状態でどうして、この積極的に国税庁廃止しなければならないかという、その理由が出て来るかどうかが疑わしいのです。ただ移したほうが、移しても支障ないと、こう信ずるだけで、もう少し具体的に徴税面についてどういうわけで支障がないのか、更に今後御承知のように、財政収入の中でだんだん税金収入の占める比率が多くなつて来ている。御承知のようにその他は税金以外の収入よりも、税金収入の占める比率がだんだん総体的に多くなつて来ている。そういう意味からもこの徴税機構というものは、むしろ今後において更に重要だと思うのです。それから人員から言つても一番これは大蔵省で大きい、六万幾ら、国税庁の全国地方十一局、五百二十の税務署全部入れて、こういう大きな厖大機構なのです。形から言つてもこういうようなものを内局にするというのは、どうも私はこれを人員をずつと十分の一くらいに減らして、減つたから今度は内局にするというのはわかりますが、私は内局としての形から言つてもおかしいし、内容から言つて徴税上どうしても私は問題が起ると思う。今の国税庁がやつたときよりも私は徴税行政というものは悪くなる。こう思いますが、もう一度、もう少し具体的に、こういう点について内局にしたほうがよろしいのだ、こういう利点があるのだ、国税庁にしておいたらこういう弊害がある。もう少し具体的に箇条書きでもいいです。一つ具体的にお話し願いたい。ただそうしたほうがいいのである、それで支障はないと確信しているというだけでは困るのでありまして、もう少し具体的に、こういう点について国税庁廃止したほうが利益があるのだ。こういう点が内局にしたほうが利益がある。その弊害と利点を具体的に述べて頂きたい。どうしても我々は利点について発見することができないのです。
  16. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 申告所得税の面、その他におきまして、今後一層努力しなければならない面が少くないことにつきましては我々も同感でございまして、できるだけの努力を続けるつもりでございます。それにつきましては一番大切なことは、第一線徴税機関を充実するということであると思います。国税庁税務署等の出先機関、これを賦課徴収第一線としまして活用いたして行くわけでありますが、その面につきましては今後ますます充実強化する必要が起つて来るかと思うのであります。  国税庁の問題でございますが、これは実は二つの考え方があろうかと思います。今後日本税務行政をやつて行く上におきまして、国税庁的な中央の税務執行機関を強くして行くのか、或いはできるだけ局以下の出先機関のほうに事務は移して、極く簡素な形にして監督だけをやるのがいいのが。この二つの議論があるわけでありますが、これは一長一短でありまして、私ども徴税秩序を早急に立て直す必要があるというときには、中央集権主義と申しますか、大きな国税庁で現実の賦課徴収仕事にも相当関与いたしましてやつて行く必要があつたわけでございますけれども、併しそれもだんだん落着いて参りますと、やはり地方第一線重点を置きまして、中央は監督面だけにする。このほうがやりやすいのじやないか。のみならず国税庁本省との間の連絡というようなこともございまして、なかなかどこからが賦課徴収の面で、どこからが監督行政の面であるかというけじめがつきかねるというようなことで、いろいろ迷わされる問題もあつたのでありますが、そういう点につきましては、国税庁を簡素な形にいたしまして、本省の内部に吸収するということになりますと、相当大臣、次官の直接の統裁の面と、企画面と執行の面が二つ並ぶわけでございます。相互の連絡も非常にうまく参りまして、第一線強化という、先ほど申上げましたことと、連絡の充実、連絡の円滑化、その二つの点から今回の改革のように簡素な形で内局に吸収したほうが能率が上る。かような考え方をいたしております。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大体考え方は、一応事務当局としての考え方はわかるのです。(「わからんぞ」と呼ぶ者あり)私はわかりました。併しながら実際機構改革の場合、特に国税庁廃止しなければならんかどうかという問題は、私は一番重大な問題になると思う。それは租税の徴収が公平にできるかできないかという問題です。国税庁は最初作つたときの趣旨、目的等から、成るほど情勢の変化によつて、多少仕事の変つて来た面もあるかも知れません。併し国税庁が私はできたということが非常なプラスの面が一つつた。それは大蔵省外局としてあつたことによつて国税庁国税庁としての一つのプライドを持ち、一つの権威を持つて他省からは動かされない、大蔵大臣が仮にあれの税金を負けてやれと言つても、そういうことはないと思いますけれども、言つても、やはり外局としての権威を持つて国税庁としての権威を持つて、専門的な立場から、そういう点から私はこれを排除し得る一つの何となく伝統ができつつあつたと思う。そこでこの国税庁廃止して内局みたいにすると、そういう点が非常に阻害されて来るのではないか、こういう心配があるのです。徴税の公平という面から言つて、私はやはり国税庁の使命が多少変つたとしても、むしろ今後はそういう徴税の公平という面に非常に重点をおいて、国税庁を新たなる姿、新たなる使命を負わして行くという、こういう点が非常に重要だと思うのです。そういうように外部からの政治権力、その他に動かされない面ができて来つつあつた。これは私非常にいい面であると思う。これはむしろこれから育成し、もつと成長させて行くへきものであつて、非常なプラスの面であると思う。このプラスの面が内局にすることによつて失われる危険がある。そこで具体的には国税庁内局にした場合、その税法を改正しないで、国会とかそういうところの審議権を無視して、一部の納税者を利するために通牒その他を作成する。こういうような面が多くなるのじやないか。これは前にも私大蔵大臣質問したことがあるのですが、保険医の課税率の問題が誰も知らないうちにあの健康保険の問題を、大蔵大臣は取引的とは言いませんでしたけれども、取引的には課税率を引下げた。あれなんか非常に問題だと思うのであります。まるで闇取引みたようなものであります。ああいうようなことがまだ、供米の課税免除の問題、これは必ずしも悪いとは言いませんが、あれはまあ税法の建前からもつとはつきりしてやらなければならんのです。そういうようなところがあいまいになつて来るのです。この点は内局にした場合はどうですか。私は国税庁にしておいたときのほうがこういう問題はやはりはつきりして非常にいいと思うのです。
  18. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 現実の租税の賦課決定は、これは国税庁時代は本庁もできるという体制でございましたが、今度は本庁ではそういう仕事はやらないわけでありますから、出先機関である国税局が、これは独立の賦課徴収機関になるわけであります。国税庁ができます前もそれと同様の状態で、明治以来ずつと続いて来ておつたわけでありますが、大蔵省の租税決定が政治的権力によつて左右されるというような不安は実は決してないのでありまして、その点はむしろ大蔵省の伝統として御信用を願いたいと思うのであります。  只今お示しがございました通牒等の問題につきましても、これは国税庁内局になりましても、この点に関する限りは全然実情は変りはないわけであります。内局なつたからそういう通牒が濫発されるということは決してないと思います。むしろ大蔵省の中にありまして主税局との連絡がなくなり、又いわゆる上下を通じまして厳正なる批判を経て実施されるというようなものも多くなるわけでございます。その点に関しましては決して御心配はかけないようにいたす自信がございます。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その場合国税庁にしておいたほうが、そういう弊害が少い、その少いという公算が大きい。内局にしたほうが弊害の生ずる公算が大きいのじやないのですか、常識として。今まで弊害がないと言いましたけれどもやはり一、二私はあると思われます。具体的にあると思う。併し若しかないとしたらそれはやはり国税庁という機構がそういうことを防止するに多少役立つていたのじやないかと思うのであります。だから機構自体として、そういう不公平な課税を防止するについてやはり国税庁という外局の形のほうが、そういうことを防止する上において公算が大きいのじやないかと思うのですが、機構自体内局に入つた場合よりもこの点はどうなんですか。
  20. 西村直己

    政府委員(西村直己君) お答えいたします。今回国税庁内局にいたしますと、結局これは結論から申しますと、国税庁という頭でつかちのものより、むしろ第一線の足のほうに力を入れて徴税賦課決定の仕事につきましては国税局中心で行こう、こういつた考え方であります。  それから機構の問題、内局に入れたら大臣の簡単なお言葉を推測すると、政治的な方針と言うか、殊に悪い意味の政治的な方針で左右されやせんかという心配でありますが、それは私は機構の問題ではなく、それは仮にそういう弊害が将来起るとすれば、それは機構の問題でなく人の問題だと思うのであります。これだけの問題だと思うのであります。殊に賦課徴収の実際の決定というものは、特に今回は国税局に重点を置くというところに、いわゆる第一線業務が逆に仕事が充実する、こういうふうに我々考えておりますので、さよう御了解を願いたいと思います。
  21. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 西村君のそれは極めて常識的な御答弁で、その人だけの問題でないことはこれは明らかですよ。機構を考える場合にも、やはりそういう弊害を生じない機構を考えるべきであつて機構がルーズならばそういう弊害の生ずることは、これは小学校の生徒でもわかるのですから、そんなことを国会で論争していたら笑われますからやめますが、具体的に私は聞いているのです、具体的に。  それでは第二にお伺いしたいのですが、例えば第一線調査第一線のほうの調査の内容、的確性ですね。どうしてこれを正確に判断して行くか、把握がだんだん不的確になるのじやないか。第一線と言うが、領でつかちをだんだん足のほうに、足のほうが果して的確にいろいろな判断をするか。そういう調査の内容が果して正しいかどうかを把握する場合、やはり頭でつかちなどと言われますけれども、頭までしつかりしていなければならないのじやないかと思うのであります。それで更に又内局なつた場合各局間の権衡をどうして調整して行くか、こういう点から私はやはり課税の公平の原則、私は特に課税の公平の原則については、前からやかましく主張しているのですが、大蔵大臣は公平の原則に囚われないで、税金を取つて行くということを言つているのです。そういう意味で課税の公平の原則に囚われないようにするために、こういうことをやつて行くなら話はわかるのです。この結果は、課税の公平が失われて来るのです。大蔵大臣はむしろ課税の公平に囚われないで、税金を公平に取らないように……税金さへ多く取れば公平の原則を崩してもいいのだとは言いません。公平に取らないように、成るほどこういう機構でやつて行けばそうなります。衡平の原則に囚われないで、大蔵大臣つた通りに、やりやすいようになるのです。国税庁だと、大蔵大臣がそういつても、やはり衡平の原則を守つてやらなければいかんというように、国税庁では厳重にやつて行きます。邪魔だからだんだん内局にしてしまえば、大蔵大臣の言う通りになるだろう。こういうのでは、如何に行政簡素化と言つたつて、内容が非常に悪い簡素化であつて、この点自信があるかどうか、只今の第二の点ですね、各局間の権衡の問題、それから第一点の調査の把握の問題ですね、これが足のほうに力を入れて、足ばかり力を入れても各局間の権衡がとれない。又これが把握が杜撰になれば意味をなさないのですから、自信があるかどうか、国税庁の場合のほうが、そういうほうがはつきり効果的にそうなるのか、内局にしたほうが把握が十分になり、各局間の権衡が十分とれるのかどうか。この点をお伺いしたい。
  22. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 国税庁次長でございますが、国税庁内局にすることの方針の問題につきましては、先ほど政務次官、官房長から申上げた通り、私は技術的な問題についてお答え申上げたいと思います。  木村先生のおつしやいました第一線の課税の衡平を確保するために、現在国税庁におきましては事前に稟議をとる場合と、事後に審査する場合、いわゆるポストレビユウーと申しますが、二つの方法でやつておるわけであります。この点につきましては先ほど来御説明のありましたように、国税庁が今度内局になりまして変ります一番大きな問題は、調査査察部というのがございまして、これは国税庁長官自身が、税法上収税官吏の権限を行使する、即ち調査なり査察につきましては、或る場合にはやつておるのでありますが、これが今度は内局になりますとなくなるという点でありまして、その他の第一線の課税の衡平を確保するような問題につきましては、我々の只今の考えといたしましては、やはり事前にさようなものを、稟議をとる、それから事後におきまして審査をいたすというようなことにつきましては、やはりこれはやつて行かなければならん。併しながらその稟議なり或いは事後審査の結果というものは、どこまでも国税局に戻しまして、局長の名前或いは署長の名前において、納税者に決定通知が参るということは、これは先ほど来お話の通りであります。要しまするに、我我としましては或る程度人員は中央は削減になりましても、良質の有能な職員を地方に集めまして、かように今先生のおつしやられた課税の公平、大臣が何か公平をどうというお話でございますが、我々は終始一貫課税の公平を最大の眼目といたしまして税務行政を執行いたしておるのでありまして、この点につきましては内局になりましてもそういう方針で進むつもりでおります。
  23. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 あなたは国税庁にいるから、そういうなんというんですか、気持が出て来るのです。あなたは内局に行つて御覧なさい。そうでなくなりますから。ですから今あなた国税庁にこれまでにおいてそういう訓練をし、努力をして来られたから、敢然として大臣が公平の原則に囚われることなく税金を取れと言われても、あなたは大臣がどう言われても自分が公平に取ると言われておる。そこに国税庁のいいところがある。ところが内局に入つて御覧なさい。あなたがそういうことを言つたら馘になつてしまう。そういうことは現に出て来ないとしても、びくびくならなくても、そういうことに神経を使つてやらなければならない。機構というものはそういうものなんです。ですから外局のいいところはそこにあるんで、そう簡単に人を首切れませんでしようけれども、或いは出世をしないであろう。次官になれないであろう。野田さんみたいに大臣になれないであろう。(笑声)こういうことを考えたらやはりだめなんだ。ですから私は国税庁、特にこの徴税についてはそういうやはり権威を持つた機構がどうしても私は必要だと思うのです。内局に入つたら、あなたはそうじやないと言われるけれども、機構的にそういう機構になるのです。これは常識から考えてそういうものなんです機構というものは。そこで今あなたが各地方の国税局の権衡の問題ですが、これは心配ないというけれども、これまで具体的に調査したものがあるはずですが、これはもう非常な不権衡です。御存じだと思うのでございますが、昭和二十五年度の申告について、申告所得について各局の把握率を測定したところが、実績一〇〇に対して交換実地調査では一四七と、こういう結果が出ておるのです。これはもう大変な不権衡だと思うのです。こういう不権衡が国税庁にしておいたほうが直せるのか、或いは内局に入つたらこの不権衡が直せるのか、どつちが可能性が大きいかといつたら、私は国税庁という機構のほうが、この不権衡を直せるのは常識じやないですか。内局なつたらどうしてもこの不権衡の調整ということは却つて困難になる。できないというのではない。どつちがよりよいかというのです。これは選択の問題です。ですから私は国税庁廃止したら何でもだめになるという意味じやないのです。より悪くなるというのです。そういう点から言つて国税庁のほうがよりよい。そのよりよいものをなぜ悪くするのか。より悪いものを選択するのか。又国税局間の税法とか或いは通牒の改正、こういうものに対しての解釈、これがもうまちまちで納税者は非常に困つておると思うのです。そういうものの統一、こういうことについて、やはり国税庁というものが一つつて、そしてこれを統一的に解釈して行く。そういう機構的に私はそのほうがよりよい、より能率的であると思うのです。こういう点についてはどうですか。権衡を欠く。地方局間の不権衡を調整する場合、直して行く場合に、どつちがいいのか、それから今の税法なんかの解釈の点、その点具体的にどつちのほうが、どつちの機構のほうがいいとお考えになりますか。
  24. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 先ほど少し私言葉が足りなかつたと思うのでありますが、大蔵大臣が課税の執行面につきましては、公平の原則を無視するとか何とか、そういうお話があつたということを先生が言われたのでありますが、我々は常に課税の公平の原則を最大限度に尊重せよ、こういうふうに大臣に常に常に言われておりますことを、この際はつきり申上げておきます。私どもには少くとも常にそういうことにしてやつておりますから、この点ははつきり申上げておきます。  又木村委員のおつしやられました第一の点は把握率の問題でございますが、これはおつしやられまするように、昭和二十五年度は私どもの一つ方針といたしまして、この終戦後の非常に混乱した税務行政を秩序あるものにする。殊に納税者税務官製との関係を、信頼される税務官署、又納税者については信用できる納税者、こういう関係に基本関係を切換えて行くということに積極的に非常に努力をいたしております。その結果更正決定の件数は、従来の約二十一分の一くらいに減つておるのでありますが、他面に只今もお話のように把握率のお話がありましたけれども、この点はやはり一つの過渡的な現象としまして、その後において修正を加えておるのでありますが、確かにそういう面があつたかと思います。この点でございますが、これは先ほどからお説でもありましたように、中央の職員を第一線に移しまして、第一線を強化することによつて把握率は私は逆に高まるものと、こういうふうに申上げていいと私は思います。問題はその移しかたでございますが、これらの問題につきましては、現在全国に御承知のように、十一の国税局がございます。税法の改正によつてだんだん所得税の負担は軽減されておりますが、この軽減のされかたにつきましても、局によつていろいろ違うのでございまして、例えば納税者の数の減少振りにおきましても、地方の局ほど減少振りが大きいのであります。ですから中央から人員を配置換えする場合にも、どうしても大都会の東京、大阪、名古屋というような都市に重点的に人員を配置換えいたしまして、重要な納税者の多い又所得も高く、課税標準も高い局に重点的に配置する。こういうふうにして全般的の把握率を高めて行く、こういう方法で進まなければならないと思います。  第二に御指摘の解釈の統一の問題でございますが、これは従来とかく中央の解釈が第一線に徹底しておらなかつたうらみがあつたのでございますが、最近私どものほうで通達の公開ということをいたしたのであります。これによりまして一般納税者からも法令の解釈についての役所の考えかたについて、率直な御意見を頂いておるわけでございます。今この通達は活版にいたしまして、全国税務署に直送いたしております。前にはよく局まで通達を出しまして、あとは各局において適宜これを増し刷りいたしまして、税務署に廻すというようなことも行われておつたのでありますが、それでは各局の解釈がときどき変わる。或いは当初のニユアンスが変つて来るというようなこともございましたので、最近は中央におきまして決定いたしました通達は、すべてこれを活版刷にいたしまして、全国税務署員の必要部数を中央から直送することにいたしておるのであります。これらの点につきましては、内局になりましても依然としてこれを続けて参りたいと存じております。なお又先ほど官房長からも申されましたように、今後は法令の解釈につきましては主税局と同じ内局になるのでございますから、ますます緊密に連絡をとりまして、国会において成立した法律の解釈にいつて疑義なきを期して行く。かように考えております。
  25. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 次に、只今の把握率が高くなるであろう。そういうふうに第一線の把握率が高くなるかならないか、それが適正であるかというものを判定することなんですよ。その判定ですね。第一線でやつていることを的確に把握できるかどうか、そういう意味なんです。第一線の所得の把握率自体について私はさつき言つたんじやないのです。ですからこの把握率自体、これが又問題ですが、これは一つの又研究問題だと思うのです。国税庁にしておいたほうが把握率が高くなるのか、内局にしたほうが把握率が低くなるのか。把握率自体としてはあなたのほうは足のほうを強くするのだから、第一線を強化するのだから、高くなるだろうと言つておられるのですけれども、それを中央において総合的にどうしてこれを判定するか。或いは又各地方局間のそれが不均衡を、どうしてこれをうまく調整して行くのか、そういう点ですね。これは議論になりますから、私はむしろ内局にしたほうがそういう点では機構的に見て能率が下る、悪くなると私は考えざるを得ない。そういうふうにあなたのほうではこれを変えようとするのですから、よくなりつこがありません。私どもも今の御答弁には満足できない。そういう程度の御答弁では……。  それから次に野溝さんが質疑があるそうですから、私はまだ委員長、午後でもよろしいそうですから、簡単にその課税の公平が阻害されるかされないかという点について、あと二点だけ伺つておきたいと思います。  その一つは、今まで各税務署長の任命権者は国税庁長官ですが、ところが今度はそうでなくなる。その場合いろいろないわゆる猟官運動とか言われるいわゆるそういうものが盛んになつて来ないかどうか。そういう点が一つ。  それから次には、悪質な脱税者の訴追が不可能となつて来はしないか。今まで国税庁というものがあつたから、そういう点については摘発せられたけれども、今度内局なつた場合、この二点について国税庁であつた場合に比べて弊害が多くなるのじやないか、こう思うのですが、その点について御答弁を願いたい。
  26. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 把握率がよくなつたかどうかということがわかるかどうであろうかという問題ですが、その点につきましては、監督に当る人員はちつとも減つていないわけでございます。のみならず、調査、査察というような現業面も国税局以下に移しますために、幹部の荷が軽くなりまして、監督のほうには余計専念できるという面もございます。それから人事、会計等の面で、外局でございますとやはりそれ相当機構が要るわけでございますが、内局になりますとその面が節約されるという面もございまして、全体として運用されますから、その面の節約が多少できまして、それらのものも監督事務に振向けられるということにもなるかと思つております。各局の税務施行状況の調査監督につきましては、決して今より悪くならないということを先ず申上げておきたいと思うのであります。  それから次に、税務署長等の人事について猟官運動等の虞れがないかどうかということでございますが、人事の問題は官房で所管いたしておるわけでございますが、何しろ厖大機構でございまして、大臣がみずから人事を実行いたしますのは極く最も限られた上層だけでございます。大部分の人事は官房に任せられているわけでございまして、今日はそれが国税庁長官仕事でございます。これも、事実上私ども相談を受けておりましたが、今度原局と相談いたしまして官房で人事をやつて行くということになるわけでございますが、御心配のようなことは絶対に起きないように運営して参りたいと念願をいたしておるわけでございます。もう信用されるかどうかという問題にもなつて来るわけでございますが、どうぞ一つ御懸念のないように御信頼願いたいと思うのであります。  それから脱税の訴追等の問題で、手ぬるくなりはしないかという問題でございますが、これも国税局長が独立した賦課徴収の最高機関になるわけでございまして、国税庁がなくなつたということによつて、そういう弊害が起るというようなことは実は考えられないのでございます。この点もどうぞ一つ国税局長以下の事務当局に御信頼を願いたいと思う次第でございます。
  27. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は申告納税制度と円いう新らしい制度で、こういう制度ができた以上、どうしても国税庁というものは必要だと思うのです。申告納税をやめるならば別です。内局でいいと思うのです。併し申告納税制度ができた以上は、やはり国税庁というものは、やはりこれに対応してできたと思うのです。ですから、機構的にはやはりこれは関係があると思うのですねどうしても……。そういう意味でどうしても私は今までの御答弁では理解行かないのですが、特に把握率の問題については、単に機構だけの問題じやありません。これはまだほかに徴税官吏の待遇に関する問題もあると思います。人員の問題もあると思います。いろいろ納税者側にも問題が為ると思うのですけれども、私は単に機構だけからこれを問題にしたのでは正しくありませんから、私は第一線の把握率自体を見て問題にしたのじやないのです。併しまだそういう点で私はこの問題については相当もつと具体的な突込んだ質問をいたしたいのです。併し野溝氏が御質問があるようですから、委員長も午後又質疑を続けられるようなお話ならば、一応私はここで打切りたいと思います。
  28. 野溝勝

    野溝勝君 簡単でございますから暫く質問を許して頂きます。最初にお伺いいたしたいことは、本法案と定員法との関係におきましては別に矛盾を感じませんか。その点野田さんにお伺いいたします。
  29. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 矛盾は感じません。
  30. 野溝勝

    野溝勝君 そうすると大体この法案の内容を見ますると、行政機構趣旨に則りまして、その一環として大蔵省行政上の再編成を行う。一体行政機構の再編成は今までの経過から見ますると、何ら我々から見るならば、行政機構改革にはなつておらんように見受けます。例えば今回各省設置法の一部改正法案が問題になりまして、特に最初政府で所期した考え方とおよそ違つたような結果も修正案として承認されているわけです。例えば農林省の一部機構改革に当りましても、行政長官外局の林野庁の問題等々に対しまして、これと妥協して次長並びに監を置くというような修正に応じたわけでございます。さようなことで一応行政機構改革ということになるのですか。あなたの一つ行政機構改革に対する所見をこの際承わつておきたいと思います。
  31. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 今回の行政機構に当りましては、戦争中並びに戦後を通じまして、複雑厖大化しました機構をできるだけ簡素化し、且つ強力に、又責任関係を明確にしたいという基本方針に基きまして案ができたわけでございます。行政機構の案につきましては、終戦以来いろいろな案が沢山出ております。民間におきましても、或いは役所関係におきましても、いろいろ研究されました。その結果をとりまして又我々自身が研究し、各方面の意見も参酌いたしまして、只今審議を願つておるような案になつたわけでございます。現状におきましては、この程度行政機構改革案を適当となすという見解に基いたものであります。衆議院の段階におきまして、修正が加わつておりますが、政府といたしましては、原案を提出しました以上、原案はいいと思つております。併し議会には議会としての審議権があるのでありまして、その間の点は十分おわかりになるかと思います。
  32. 野溝勝

    野溝勝君 さようなことで若し簡単にこれが変えられるものとするならば、政府は私はむしろ無定見であると言わざるを得ない。審議権があるからと言つて何でも政府はこれに対して応ずるのか、或いは確固たる信念に基いて政策なり法案なりを出すのか、確固たる信念に基いて法案を出したものなりと我々は承認する。併しその僅かの修正案ならこれに応ずるのもいたし方がないと思うのであるが、余りにも基本的性格までも侵されるような修正案に対しては、政府自身は、私はさようなことは譲れるものではないと思う。若し政府が簡単に譲るとしたならば、私はこの立案の当初から無定見を物語るものと思う。そこで野田君にお伺いするのでありますが、一体大臣の考えておるこの機構整理によつてどのくらい一体国家の財政的余裕が生まれるのか、いわゆるこれから財源が生まれるのか、又能率的に果して何らの支障を来たさんのかどうか、こういう点についての信念を大臣から聞いておきたい。
  33. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 先ほども木村委員の御質問に答えた中に申上げたのでありますが、今回の行政機構改革は、この前行われました行政関係人員整理一環を成すものでありまして、従つてこの前、人員整理は十万人ほど実行いたしたわけでございます。今回はそのとき残されておりました機構のほうの改革に手をつけるわけであります。両方一体となつて考えられておりまして、従つて今回は機構改革が主でありますから、人員整理は比較的少数にとどまつておりまして、人員整理がありませんとすぐには予算的には直接には金額は余り大きな節約にはなつて来ておりません。今回の機構改革に伴なつ人員整理は約三千五百名でありまして、それこれで平年度七億円くらいの節約にはなつたと思つております。併し今回の行政機構改革一つの基盤といたしまして、今後更に行政審議会等において研究いたしまして、引続いて行政機構改革なり人員整理というようなことも考えたいと思つておりますから、その基盤となる点におきましては重要なる意味がある、こういうふうに考えておるわけであります。
  34. 野溝勝

    野溝勝君 初めてこの機構改革に対する捻出額及び人員整理が明確になりました。そこでお伺いするのでありますが、今日は機構中心にしておる、人員の問題は第二義だと言いますが、今御回答のありました通り三千五百人を整理の対象にする、それから七億円という財源が出る、こういうことになるが、それと並行して政府は大体非常勤勤務者というものを相当に採用している。採用と言いましようか雇つております。この非常勤の問題は現在予算にしてどのくらいあるか、及びどのくらいを非常勤として今後とも使つて行くつもりであるか、この点に対する結論と言いましようか、御回答をこの際願いたいと思います。
  35. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) ちよつと今数字を記憶いたしておりませんので、その数字の資料はあとから提出したいと思います。
  36. 野溝勝

    野溝勝君 それでは、大臣の言われたように、その資料はあとで本委員会に提出せられるようにお願いいたしたいと思います。私の聞く範囲では相当に上つておるように思います。これとの関係におきまして、機構なり人員整理の問題を十分考えて行かなければならんと私は考えております。こういう点については特に私は今日の行政機構というものの改革は意義をなさないというふうに確信しております。そこでお伺いをするのでありますが、この機構整理に当りまして、特に本委員会で問題になつておりまする大蔵省設置法の一部改正に関する件でございますが、ここで今問題になりましたのは、国税庁との問題を重点にしておりますが、一体外国為替管理委員会廃止することになるらしいのでございますが、これと大蔵省当局とは、ポンド並びにドルとの調整の関係に対して相当いろいろと論議が交されまして、たまたまその見解を異にしておる場合が多々あるのでございます。かような問題については、私はただ公式的に、形式的に機構整理というような点でこれを統一するという点が、果して日本の今後の貿易関係において利益するか、損をするかということについては非常に心配をしております。この点に関しては、外国為替管理委員会と大蔵当局とは一応折衝をしたのかどうなのか、これは野田さんでもよろしうございますが、官房長でもよろしうございます。どちらでもよろしいから答弁を願いたいと思います。
  37. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 為替政策に関連した問題につきまして、関係各省委員会を含めてでございますが、の間に必ずしも当初から意見の一致がないということは、これはまあしばしばあることでございまして、そういう場合には、長い間かかりまして関係各省と相談いたしまして、政府としての結論を出して、それを実行に移しておるわけであります。その問題と今度の機構改革とは、実は直接の関連はないわけでございまして、この問題について両方の意見が食違つておるから一緒にするのだというふうなことではないのでございます。まあ多くの問題ににつきまして、どちらかと申しますと、外為委員会大蔵省との考え方はほかの省に対する関係におきましては意見が合つておることは実は数多いのでございまして、意見が食違つておるから為替管理委員会をやめるのだということではございません。その点だけ申上げておきます。
  38. 野溝勝

    野溝勝君 僕の質問が悪かつたから君の答弁がわからないが、そういう意味じやない。私の聞くところでは、先ほど木村君なども非常に心配しておるが、外局というと相当の権限がある。外国為替管理委員会などもやはり一種の外局的な存在なんです。そこで勿論大蔵省監督といいましようか、指揮は或る程度受けますが、直接的には内局のような監督は余り受けないのです。そういう違いがあるのです。それが今度は内局為替局ということに規定されることになりますと、従来のような権限がなくなるわけなんです。例えば国税庁におきましては、従来外局にあつたときの権限は君も知つておる通り、課長級に対する任免権を持つてつたのです。それが今度はなくなるのです。こういう一つの例を見ても、そこに弱化する外局の危険性があるから私は心配するのであつて、そこで特に今の国際上の経済事情があなたの御承知通り非常に複雑だ、そういう関係から、私が心配して今の質問を発したのでございます。そういう点については今後心配のないように、円滑に行くようにあらかじめ打合せができておつたのかどうなのかということを私は心配しておるのです。勿論さようなことはないと、こう言い得るかも知れませんが、今まで人民の間、国民の間にはいろいろ木内君の方針と池田君の方針に相違した点がたまたま発表されておつたから、我々は議会として心配を持つてこの点を聞くのでございます。さような意味において御回答願えれば幸いである、こういう意味です。
  39. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 具体的に過去においてどういう問題について意見が相違しておつたから、こうこうということでないということだけを申上げたわけでございます。御質問趣旨は、今後外国為替管理委員会廃止されまして、内局としての大蔵省ということになつた場合に、政策のほかに中立的な面もあるわけでありますが、そういう面について不当な影響が及んで、為替政策全体の方向が曲げられやせんか、そういう点の御懸念にお答えすればお答えになるかと存ずるのであります。外国為替管理委員会ができましたのは、今から四、五年前でございまして、その当時の事情はまあ外為委員長のほうからもいろいろ御説明があろうと存ずるのでありますが、司令部が為替資金を管理いたしておりまして、それを日本側のどういう機構でやらせるか、それについて日本はまだ占領中でございまして、外国に対する債務がある。そうしますと、従来のように政府なり大蔵省なり日銀なりで外貨を運用いたしますと、外貨を差押えられるというか、アタツチメントの心配もある。それから又司令部が外貨資金の管理をいたしておりまして、その司令部機構とマツチするような機構が必要であるというようなことから、外国為替管理委員会ができたわけでございます。その後講和となりまして、そういう外国為替管理委員会がどうしてもなくてはならなかつたというような事情もちよつと実は解消いたしたわけでありますが、昨年の夏頃から、日本側として自主的にどういう機構で管理をするかということをきめたらいいだろう、そういうことを司令部から言われたような事情もあつたわけでありますが、今回は行政機構改革に際しまして、行政機構簡素化という観点から、外局とか委員会みたいなものはできるだけ整理する、外国為替管理委員会もその一つとして整理されることになつたわけであります。これは私どもは為替政策の責任を統一する、政府が一元的に外国為替政策について責任が持てるような態勢にするという観点から非常に賛成をいたしておるのであります。通貨の価値の維持、これに非常に密接な関係がございますが、これにつきましては、通貨価値の維持について責任を持つている大蔵大臣が、最高の責任を持つて外貨資金の管理、運用に当るということが、行政府のあり方として適当であるということを考えておる次第であります。勿論いろいろな政策には、政策面と実施面とございます。この実施面の中には技術的な性格のものも数少くないのでございまして、そういう実施面、技術面については、これは忠実に運用しなければならんという面も少くないのでございますが、為替管理委員会廃止されまして、大蔵省為替局においてそれを所掌することになりました後におきましては、政策の面は為替局がいたしますが、実施面、技術面の問題は、これはできるだけ日本銀行に委ねまして、実質的に運用させる、さような考え方をいたしておるのであります。政策につきましては、やはりその事柄について総合的に責任のある大臣責任を以てその政策がきめられて、その実施面、技術面の問題につきましては、これをできるだけ日本銀行に委ねるという、さような行き方によりまして、今後の為替政策を円滑に、円満に運用できるのじやないかということを期待しておるのでありまして、その意味で今回の外国為替管理委員会廃止には私どもは賛成でございます。なおその問題につきまして、事前に外国為替管理委員会当局と大蔵省とが相談をしたかというお尋ねでございましたが、これは私どもといたしましては相談をいたしておりません。内閣におきましていろいろとその間の調整があつたことは存じておりますが、直接には外国為替管理委員会と御相談申上げるという機会はございませんでした。
  40. 野溝勝

    野溝勝君 木内さんお見えになつておるようでありますから、この際木内さんのこの点に関する御所見を承わります。
  41. 木内信胤

    説明員木内信胤君) いろいろ申上げなければならんことがたくさんあると思いますが、今の御質問のポイントであります今度の機構改革政府が決心する前に、事前に外国為替管理委員会と十分な打合せをしたかどうかという点を先に申上げますが、今も御答弁がありました通り、今回は特にございません。野田さんのほうからは多少の、廃止するつもりであるがどうだといつたようなお話がありましたので、私どもはそれはよいことでないということを申上げて、あらましの意見を申上げておきました。併しながら真の意見は、改革された後の機構がどうであるかということを承知いたしませんと、本当の意見は申述べられませんので、それを伺います機会を持ちたいと思つておりましたが、遂に法案が提出されるに至るまで、只今のお話もありました通り、私どもに御相談はなかつたのであります。それが経過であります。而して内容に関しては私ども殆んど、徹頭徹尾と言いたいほど反対であります。なぜ改革をなさるかというその趣旨機構簡素化責任の所在の明確化という二点によつて説明されておりますが、簡素でない仕事でありますので、又日本の今までのしきたり、その他国際情勢、しきたりと申しますのは、特に官庁間のいわゆる権限争議と言われるような、ああいう伝統でありますが、それらのこと、又諸国の例は、中央銀行が実に大きな部分をやつておりますが、場合によつては中央銀行が殆んど専管しておるようなところもございますが、日本の伝統は遺憾ながらそれを許さないといつたような関係その他から申しまして、この機構簡素化の名において廃止すべく余りにも問題は複雑困難であると考えております。内容問題たくさんございますが、一言にして言えばそうであります。なお時期、方法、時期は今の日本が独立をいたしまして、今度は司令部監督指導下でない、すべてに亘つて日本の国の行き方が独立の基礎の上に始めるに当つて、国際信用というものが最も大事であるときに、何を好んでかくのごとき思い切つた改革をなさるのか、甚だよくないと思います。方法については、何が故に改革がなされねばならんかという理由が天下に公表されていない、これは意見の相違でありますから、何も私どもが今考えていることが必ずしもいいとは限りませんが、大蔵省がどう考えたということが天下に公表されて、天下の批判を待つて、私ども言うことは全部言つた、あとは意見の相違ということになりますれば、一種の良心的な満足が行くのでありますが、そういう次第でなくて、何となく、殆んど半分も意見を言わないうちにきまつてしまつたという状態であることは、世界の諸国が全部この事実に注目しておるところであります。でありますから、かくのごとき方法を以て事が行われるということは、私の考えでは、それは日本国が世界から非民主的だという非難を蒙る因であると思います。民主化するということを打つて出して講和も締結されたのでありますが、又それを教え込むということが司令部の政策であつたわけでありますが、一転とてこういうことをするということは、国際信義の上に非常に害があると思います。なお手続上の問題にしましても、御答弁にはいつも日銀に任せればいいということでありますが、私どもの機構政府機構でありますが、実は銀行的機能をたくさんに持つのであります。その銀行的機能の部分は、今度の改革案では日銀に一種の授権をしまして、そつくりと日銀の自主的判断によつて大蔵省の指導監督を離れてなされることとなるのならば、ほかの問題は別として、その点はやや救われるのであります。今度のはそうでなくて、私どもの扱つている会計、その会計をそつくりそのまま外為委員会というものを大蔵省という名に書き換えたという行き方であります。甚だ危険な行き方である。バンキング・フアンクシヨンという中には、金を預け、乃至は保証をし、現在御承知と思いますが、全日本の為替銀行の取引はすべて為替委員会の保証の下に行われているのであります。この保証人が更迭する、その新らしい保証人に通常の官庁の中の通常の為替局というものであるということは、これは私どもから見れば、常識を絶したる行き方である。到底それではいい結果は得られないこう考えております。内容はまだたくさんございますが、大体簡単に申上げました。
  42. 野溝勝

    野溝勝君 この問題は私の想像した通り非常に重大な点を含んでおります。いずれ同僚の諸君も後刻質問したいという意見もありますので、この問題につきましては私も後刻に譲ることにいたしまして、質問を留保しておきます。  次に、私は外国為替局に関する問題もさることでありますが、更に国税庁に関する問題をお伺いしたいと思います。一体国税庁設置するときの理由と今日の情勢との間にどれだけの相違点があるか、又その国税庁内局にしなければならんという理論的根拠、これについて官房長なり野田さん、どちらでもいいからお伺いしておきたいと思います。
  43. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 只今の点は先ほど木村委員がお尋ねになりましてお答え済みのことでありまして、同じことを繰返すのも時間の関係もありますので要点を森永君からお答えいたします。
  44. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 第一点の国税庁ができましたときと今日とどう情勢が違つているかということでありますが、当時は今から三年余り前でございますが、終戦後インフレ、それに対しまして税務行政がしよつ中あとを追つている、徴税のほうがずれまして、そのことによつてもインフレが起つたという事情があつたわけであります。そのインフレの進行下におきまして、ともすれば徴税秩序が紊れがちでございました。これを何とかして早く建直さないと健全財政を確保することができないという点が皆の非常に大きな心配であつたわけであります。大蔵省でもいろいろその点を心配いたしまして、いろいろのことをやつたのでありますが、たまたまその後司令部のほうからアメリカにおけると同じような機構、即ち国税庁外局にして、その下で徴税機構を打立てて、そうしてそれらの秩序の建直しに当らせる必要があるという指令が出たのであります。その指令が出るまでの経過につきましては、意見を求められました際にいろいろ意見がございました。外局にしたほうがいいという意見だけじやございません。従来通り内局でやはり大蔵大臣責任の下に一元的に処理したほうがいいという有力な意見もございました。併しいずれにいたしましても指令が出ましたので、国税庁ができまして、そうしてそれを三年間努力いたしました結果、今日のような比較的秩序も回復し、勿論申告所得税その他の面でなお今後努力しなければならん面も数多いのでございますが、とにかくインフレに対してあとから追つかけてばかりおつた点が著しく改善されまして、今日では一応徴税秩序が回復したということが言えるのではないかと思うのであります。客観的情勢としましては、今申上げましたように徴税秩序が大分よくなつて来たという点があります。それからこの外局にしたほうがいいかどうかという問題でありますが、一つは現在国税庁は今申上げました重要な事務をいたしているために、国税庁長官の下に次長を置き徴税員六百五十人というような相当厖大機構を擁しているわけでありますが、今日徴税秩序も回復したといたしますれば、これを一部は国税局以下の第一線事務の強化に廻し、残りの監督面だけを簡素な形で徴税局として大蔵省に吸収いたしまして、大蔵省の他の政策とも調整を保ちつつ監督の面に専念させるということが、今後の徴税成績を挙げる上においてもベターである、かたがた行政簡素化趣旨にも叶うわけでございますので、かような観点から内局に移したほうがいいとそういう判断をいたしておるわけでございます。
  45. 野溝勝

    野溝勝君 只今のお話によりますと、簡素々々の連発でありますが、一官房五局、一官房七局どつちが簡素かわからない、数が殖えたほうが複雑だとこう思うのでありますけれども、あなたの話を聞くと簡素化ということであつて、その簡素の定義は、あなた方の解釈を私は一応黙認しましよう。  そこで事務能率と言いましようか、いわゆる国税庁が持つ事業の能率化という点につきまして、かようなことになつて支障を来さんという先ほど木村君に対する御答弁のようでございますが、私は決してさようなことは決定的に申されるものではないと思います。現在あの厖大国税庁、全国に十一の国税局五百三の税務署、これだけ厖大機構で依然として徴税能力というものは完全にうまく行つておりません。依然として一千五百億ばかりの滞納があるわけでございます。かような点から見ますと、私はこれほど厖大な末端にまで行渡つた機構においてさえかくの通り、若しこれを内局というような場合になりますると、勢い私はそこに一つ責任的ルーズと申しましようか、機構の弱味と言いましようか、徹底さえ欠くような情勢になつて来るので、勢い私は能率が弱化するという心配をしております。そういう点に関して、どこまでもさようなことに対しては心配ないというようなことを、あらゆる角度から検討されたことと思いますが、それについて心配のないということをこの際私たちにお示しを願いたいと存じます。
  46. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 国税庁は現在六百五十八くらいおります。そこで監督面のみならず、実は或る程度実施面の問題も取上げてやつておるわけでございます。今度の改革の際には、この監督面だけを簡素化の形で徴税局として大蔵省に吸収して監督面に専念させる、又実施面人員があるわけでございますが、これは国税局以下の第一線徴税機関、このほうの強化に振向けようと、さような考え方に基いておるわけでございます。滞納が多いこともお示しがございましたし、又先ほど来申告納税について一層努力しなければならんというふうなお話もございましたのでございますが、その点につきましては我々も今後ますます努力しなければならんと思つておりますが、今回の改革によりまして多少なりとも第一線国税庁機関の充実強化のほうに人員を割き得ると、それによつて多少なりともいろいろ御指摘のございました徴税の改善に資し得るのではないかというふうに考えておるわけでございまして、第一線行政機関が強化こそすれ、決して弱化はしていないということを御了承頂きたいと思うのであります。
  47. 野溝勝

    野溝勝君 私の心配する点は、更に申上げますると我々自身そうですが、今の政府の税制のやり方に対しては、私たちは反対です。架空なる自然増収を対象にした税制方針には反対です。併しかような点に対して、我々はこれに対する歓願乃至は要請乃至は要求の運動をそれぞれやつております。特に具体的に申しますならば、所得税の問題等におきましても、必要経費というような問題に対して我々はこれを正しく主張して、この税の軽減を期する運動もあります。併し我々のように正しく民主的に運動するものもありますれば、或いは非合法的な運動をして却つてその税制の不平等なるを理由にいたしまして、むしろそれを奇貨として非合法の運動を起す連中、人々もあるのです。そういうことに対して今全国の税務署員、大蔵省の労働組合を中心として、職員のかたがたは身命を賭してこの国家事務に専念しているわけなんです。これはいい悪いと言つてみたところで政府の公務員でございますから、我々の主張に賛成したり、我々の味方をするわけには行きませんから、公務員の資格において仕事をやります。そういう場合に、今のような危険を冒しているのです。そういう情勢が高まつて来ているにかかわらず、私はかようなことをして、却つて外局としての意味を軽く見させるようなことを印象づけて、能率が上るかどうか心配だというのです。その点が一点。  それからいま一つは、聞くところによると税務署廃止して支所にするような場合もある。これは取除かれたとか何とかいうことを聞いておりますが、まだそれははつきりしておりません。この際はつきりして頂きたいと思うのでございますが、私は支所であるとか税務署であるとかいうような問題よりは、飽くまでも事務能率化という点において目的を果したいという建前から質問をしているのでございますが、そういう点に関して税務署などの点に対して、小さい税務署を廃して支所にするというような気持を持つているのかどうか。又何か小さい機構を考えているのかどうなのか。そういう点を第二点として伺つておきたい。
  48. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 先ほど野溝委員から滞納の数字を挙げられたのでありますが、これは非常に重要なる数字でありますので、私は国税庁の者としまして御訂正願いたいと思うのでありますが、昨日ですか一昨日でしたか、新聞にもちよつと出まして私どもも気にかかつてつたのであります。現在滞納は七百四十九億、これは四月末日の数字でありますが、非常に減つております。千八十七億という数字が新聞に載つておりましたが、これは未納税でございまして、いわゆる国税徴収法の改正、法人税法の改正によりまして、御承知のように徴収猶予という制度が認められておる。又執行猶予の制度を認められておりますので、この未納のうちには合法的に徴収猶予をされた分があります。いわゆる税法上の滞納は申上げましたように七百四十九億でございます。これは非常に重要な数字でありますので、この際御訂正を願いたいのであります。  それから先ほど木村委員からも税務職員の数について六万有余人というお話しがございましたが、これは定員法の改正によりまして九千百八十人を減少しておりまして、五万二千二十人に現在減つております。今回の機構改革の定員の減少というものが一つ理由になつておりまして、こういうふうに定員が減るということになりますと、どうしても第一線を強化して、先ほど来種々お話のように、第一線に非常に御同情のあるお言葉を頂いたのでありますが、第一線は全く血みどろになつて超過勤務もどんどんやつておるというような状況でございまして、そういう状態でございますので、定員が減つた従つて中央を縮小いたしまして貴重な人員第一線に振り向けるというのが重要な狙いになつておるということは、その通りだろうと思うのであります。只今お話のように、第一線事務につきましてはいろいろまだ問題もございますが、私どもといたしましては税法の改正なり、今度の機構改革によりまして、やはり第一線事務の負担をできるだけ軽減してもらうと共に、この人員第一線中心に振向ける、こういう考え方で立案をされておる。ただ基本的に中央集権的なものがいいか、或いは地方分権がいいかということにつきましては、先ほど来種種議論がありまして、又諸外国におきましてもアメリカは中央集権的であるが、イギリスは地方分権的にやつておる、これは御承知通りであります。ただ最近もこれは御参考に申上げます。が、アメリカの税務機構につきましても、日本の国税局的な中間的な機構が新らしく作られるような動きがございます。これは有名な向うのスキヤンダルに関連をいたしまして、中央のものだけでは不十分であるから、地方にその監督機構を設けまして、或る程度中央集権を是正して、地方にも監督権を移すというような動きがあることは事実として申上げたいと思うのであります。  それから税務署廃止と統合のお話がございましたが、これは種々検討したことは事実でございますが、今日その時期でないということになりまして、はつきり取止めになつたのでございます。この際御報告いたしておきます。
  49. 野溝勝

    野溝勝君 先ほど森永さんからの能率化について心配ないかということについての御回答中、国税庁機構の半分程度は国税局に移して、実施面の権限は地方の国税局に移す、国税局の権限を強大にすると説明された。これは間違いありませんか、その回答に……。その通りですね。すると現在においては国税局間の仕事の面のアンバランスがあるというが、この点は一体どういうふうにお考えでありますか。
  50. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) この点につきましては、先ほど木村委員の御質問に対してお答え申上げたのでありますが、税法の改正が数回行われたのでありますが、その結果納税者数の減少、これはやはり例えば農業地帯は比較的多く一大都市におきましてはいわゆる小納税者が比較的少いから納税者の数が減らないというふうなことがあつたわけであります。ところが御承知のように、そういう税法改正がありますれば、直ちに税務職員の配置換えをやるのが理想なんであります。例えば田舎の局から東京、大阪へ大量に職員を移動さすということができれば一番いいのでありますが、今日の社会情勢におきましては、御承知のように住宅関係一つを取上げて見ましても、なかなか困難である。そういう制約がございますが、併しこれは我々としましては最善を尽しまして、できるだけそれをやつております。併し今日でも、例えば東京局のごときは相当の欠員を抱えております。これは欠員はすぐ補充したらいいじやないかというふうにも考えられますが、我々としては税務職員の一人一人が非常に優秀で素質のいいものでなければならない、こういうことを考えておりますので、軽々に補充はできない。どうしてもできるだけ地方の優秀な者を東京、大阪に移す。又新規採用をするについても厳重な試験をやるということをやつておりますので、そこにどうしても時間的なずれが出て来るのであります。そういう見地からどうしても課税ということにつきまして、私は国税局は軽いというふうには思わないのでありますが、非常に相当現在の陣容を以て最善を尽くしているというふうに考えておりますが、どうしても能力に限りがございますので、更に優秀な人を配置いたしましてやりまして、更に課税の充実を期し得るというふうなことは言い得るかと思うのであります。その点地方におきましては納税者減つたにかかわりませず、或る程度人員の余裕があるというような意味におきまして、相当細かい調査もやつておるということは事実かと思います。私どもといたしましては将来住宅問題等もできるだけ解決をいたしまして、職員を適正に配置することによりまして全国的な課税の権衡を図つて行く。これを一番大切な眼目として仕事を進めておるわけでございます。
  51. 野溝勝

    野溝勝君 いろいろと御意見もありますが、特に昨年の営業の庶業の所得交換調査の実績から見ますると、私は今の国税庁の制度というものは、この調査実績の点から見ると非常に何といいますか、課税などにつきましても余り矛盾のないような平均的な動きが示されている。今後若しかような全国的な機構というものが圧縮されますと、私は先般調査をした庶業所得調査というようなものは必ずしも先般調査したような結果が生れんと思う。こういう点に対して何らか心配がないか。又さようなことについて現在よりも能率的に公平的にやれるという自信があるかどうか、こういう点伺つておきたい。
  52. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 二十五年度の課税につきましては、先ほど木村委員からもお話がありましたように、一つ方針を大きく切換えました関係もございまして、課税の充実ということが相当犠牲にされているという非難を受けているのであります。これは私どもといたしましては、その後において是正するという方針を以ちまして、二十六年度の課税におきましては相当程度に是正されたと考えております。まだ御承知のように、結論は出ておりませんが、二十五年度に比較いたしますれば、更にその点は是正されるものと考えております。そこで今回の機構改革によつて、従来相当の努力をして来たが、今後それらの点に不安があるのじやないかという御質問かと思うのでありますが、私どもは機構改革自体によつてさようなことはないと思うのであります。先ほども木村委員に申上げましたように、中央の主たる機能の事前の稟議或いは事後の監査、この二つの機能は決して失うものではないのでありまして、いわゆる監督の実態はその両面におきまして第一線の実績を検討いたしまして、改むべきところは速やかにこれを改めて行くという体制で進めたいと考えております。固より相当人員の減少になるのでありますが、これは主として実施面を担当しておつた者が第一線に出るわけであります。監督面は我々といたしましては、少数精鋭主義を以ちまして優秀な人材を地方に集めることによりまして、従来国税庁でやつておりましたような全国的な課税の均衡を確保する、更に課税の充実を、バランスを図つて行くという面の作業は従来通りに続けて参るつもりでございますので、その点は機構改革自体によつて不安があるということは我々は考えておらないのであります。
  53. 野溝勝

    野溝勝君 先ほど国税庁次長さんからこの滞納の善悪の、相違点についてお話がありましたが、私のほうの調査の不徹底かも知れません。併しいずれにしても未納金額が一千有余億あることはこれは事実でございます。今までのあれから見ると大体ずつと系統的に見るとここ二、三年来どういうあれが変つたか知りませんが、国税庁ができる前からこの一千億内外の滞納があつて来たんです。ですから今度は名を変えて滞納ではない。取り得る、或いは切り捨てるというようなことがあるにいたしましても、私は平均これくらいのものは残つていると思います。いずれにしても取れないものは、取れないといいましようか、未決のものがあるから、そういう点でえらい自慢には私はならないと思います。そこで更にお伺いするのでございますが、今日まあ国内の情勢も非常にやかましくなつて来、それから経済的にも非常に国民が希望を失うという情勢の中にあるときに、私はこの税の処理ということは重大な問題だと思います。そこで何も人の多いのは必ずしも能率を徹底するとは私は思いません。併しこれはほかの仕事と違いまして、なかなか税金というとぴんと来るんですね。実際はそこで余程専門的でございますから、慣れない者が民間に参りまして飛んでもないことを言つたり、或いは武張つたような物の言い方をしたりなんかいたしますと、非常に神経をとがらせるんです。更にこの頃やかましいのは、政府はそういうことを私は計画的じやないかと思うほどだ、税金のこの制度について非常にやかましく、むずかしくこんがらかつたような内容をこの制度の上に露呈している。失礼な話ですけれども、我々でさえなかなかわからない。例えば今言う通り申告納税制度、必要経費の制度、こういうものはできません。必要経費の問題などお示しになつているようなひな型に基いて出して行くということは必要経費に入らん、入るか入らんか、どこで一体その線を引くかわからん場合が多いんです。こういう場合にこのむずかしい制度を設けている際にはより一層私は国民にこの内容を親切に説明して、手に取るようにして示してやる教育運動というものは絶対必要だと思う。そういう点から私は心配いたしまして、観念的にその機構を都合便宜主義によつて、今日は厖大にし、今日は圧縮し、今日は次長をおき、外局を廃する、何のことを言つているか、こんなことはお茶坊主であつて笑われますよ。私に言わせればこんなことが行政機構かと思います。して見るというと一方におきまして取締りと称するような処分行政、即ち処分行政と私は言う、消極行政と俗にされているような、消極行政のような、法務府を省に変えて、この頃は厖大人員を増加して機構を拡大する、一方生産行政に対して、乃至は只今申しましたような人民、国民と直接生活に関係のあるようなものに対しましては圧縮している、こういうような一体考え方行政機構整備をやるということになりますならば、私は将来由々しき事態が起ると思う。かようなことに対して野田さんにお伺いするのでございますが、一体野田さんは、総理が行政機構をこの際整備しろと言つたからやるのだ、それはもう大臣は総理大臣の任免でございますから、これは命令があればし方がない、そういうわけでやつたんだろうと思うんです。私は、あなた自身におきましても甚はだ不満足な不体裁なものだと私は思う。むしろ反対があつてもよろしい、行政機構整備乃至は改善をやるならば、思い切つて徹底した私は行政機構のテーマというものを示して、その上に推進されるならばよろしいのでございますが、今申しました通り次長と監を置いて外局を廃するというような点に、何ら行政機構整理がないじやないですか、裏から見ても表から見ても、それきりのことなら、こんな大蔵省設置法なんというものの改正法律案を出す必要はないと私は思つております。こういう点について野田さんの一つ見解を承わりしたい、かように存じます。
  54. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 戦争中並びに終戦後を通じまして、日本行政機構が複雑、厖大化しまして、それが一面におきましては国民負担の増加になり、一面におきましては国民にいろいろと行政上の制約を加えておるということは、これは国民周知の事実であります。従つて国民といたしましては、できるだけ早く行政機構というものを改革化て、すつきりしたものにしてもらいたいというのは、私は輿論だろうと思いまして、現在の政府といたしましてはこの輿論に従いまして、輿論によつてこの改革を行おうとしておるのであります。いろいろと御意見もあつたようでありますが、この改革につきましては、思い切つてやれという意見もたくさんあります。又それを実際思い切つてやれと言われましても、具体的の問題になりますと、なかなかそうは行かんという議論も出て来るわけであります。今までにもたくさんの行政機構改革論が出ておるのでありまして、過去相当出ました行政機構改革論、並びに現在あります議論を参酌しまして、現状におきましては、この点が最も妥当だろうという結論に到達しておるのでありまして、只今御説明になりましたような点につきましても、例えば部長を廃して監を置くというような問題につきましても、五十幾つあるのを廃止して十五ぐらいを置くというようなことになつており、いろいろと改革の実は上つておるのでありますから、冷静に御批判下さいまして、御賛成下さるようにお願いいたします。
  55. 野溝勝

    野溝勝君 午後にいたします。
  56. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは二時まで休憩いたします。    午後零時五十三分休憩    ―――――・―――――    午後二時二十七分開会
  57. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 休憩前に引続いて委員会を開会いたします。  議題は今朝議題に供しました両案と御承知を願います。
  58. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 午前中国税庁廃止して内局にすることによつて徴税の公平ということが期せられるかどうかという点について質問したのですが、どうもまだ十分納得いきませんでした。特に第一線調査内容の的確な把握の点についてはどうもその説明では納得が行かないのです。それは第一線を強化すれば、いわゆる所得の捕捉率はまあ今までの仮に七〇%が七五%になるとか八〇%になるとかそういう意味で強化されるというのですが、私の質問したのはそうではなくて、各局の把握の不均衡、これが内局にしたほうがひどくなるのじやないか、こういう意味です。それに対してもならんというお話ですが、併し実際の調査を見ますと実にこれは相当問題だと思います。これはもつと十分私は検討すべきでなかつたかと思います。二十五年度分については、御承知のように調査人員二十名ぐらいを対象にしてやつたようですが、例えば福岡ですか、福岡の例ですね、これは非常にひどいのですが、この福岡のほうで調べた場合に一人当りの所得、更正決定見込額ですか、三十八万六千円、それが東京のほうで調べると、東京のほうの調査担当者がやつてみると七十九万八千円となる。大体二〇六%です。こんな違いが出て来るのですね。同じ所得に対しての捕捉がこんなに違つて来るのです。こういうような、これはもう非常に二十五年度分について調査されたうちで一番これは極端な例です。例ですけれども、こういうような違いがある。こういうものの調整を、国税庁内局にすることによつてむしろこれがもつと小さくなる。調整が合理的になるというような話はわかるのですが、実際担当者に聞いても、第一線々々々と言われますが、第一線の担当者に聞いても、むしろ内局にすればこういう点の調整は困難になる、こういう話なんです。そこで私は先ほど伺つたところが、そういう心配はないと言いますけれども、実際問題としてこの点については私はどうも御答弁とは逆な方向へ行くのじやないかと思いますが、この点お尋ねします。
  59. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 国税庁徴税局になりましても、監督行政に携わる人員は減らして行かないつもりでおりまして、その意味で少くとも現状程度監督はできるわけでございます。それに加うるに、私の申上げましたのは、今までの国税庁はみずから賦課決定の仕事も併せて行なつておるのでありますが、それは今度は国税局以下に委ねます結果、徴税局の幹部は各局のそういつたバランスという面、監督の面により一層力を注ぎ得る、そういう面が出て来るのじやないかと思うのでございまして、その意味で少くとも現状より悪くはならない、むしろそういつた心理的な余裕も出て参りまして、一層そういう面に配慮することができるようになるのじやないか、そういう面で御答弁申上げたような次第であります。
  60. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この二十六年度のものについてはこういう調査はないのですか。まだそれはできないのですか。
  61. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 目下国税庁がやつておりますが、間もなく参ると思います。それまではお待ち願います。
  62. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それと、若しかあつたらそういうものと比較してみたいのです。それから次に、さつきは滞納について何か一千億円以上もあるというように新聞に出て、誤解があるといけないと気にしているというのですが、滞納というのは七百四十九億程度だと、こういう御答弁があつたけれども、これは野溝氏も言いましたけれども、私も重ねてそういう何だか大して心配ないような弁明のように聞えましたから、もつと私は明らかにしてもらいたいのです。それで滞納状況という、これの数字の調査したのがあると思うのです。この内訳を見れば、徴税の猶予額と、それから執行額と、それから執行停止額とこういうように分れているのであつて、その中の執行停止額というのは、これはもう滞納と見て、滞納も取ることが困難になつて来た、こういうふうに解せられるのですね。決してこの千八十七億の内容は、先ほど純滞納が七百四十九億だから決して心配はない、そういうようなことにならないと思う。そこで詳細の数字を出して頂きたいと思うのです。  それから次に野溝氏も質問いたしましたが、外国為替管理委員会廃止の問題ですが、これについては先ほど木内外為委員長から一応お話がありましたが、何となく、どうも奥歯に物の挾まつたようなお話でありまして、どうもよくわからないのです。そこで私はこの問題は政治的にもいろいろ見られておりますので、この問題は私は問題の所在を一応はつきり知つておきたいと思うのです。それで外為委員長のほうの立場もよく私は聞きたいと思うのです。それから政府側のほうの意見も十分聞きたい。それでこの問題のありどころを私ははつきりしたいと思うのです。臆測ではない。この委員会で特に私はここで非常にこの問題はこんがらがつているようですから、いろいろ誤解を生ずるのを防ぐ意味でも、それは木内委員長も十分ここで述べて頂くと同時に、政府側において十分この真相を、それから廃止に至つた経過というものも詳細に明らかにされたい。そうでないとただ誤解を生むばかりですから。先ず木内外為委員長にはこの外国為替特別会計を司令部のほうのサゼツシヨンですか、メモランダムですかわかりませんが、その時の目的は何であつたかですね。外為委員会を設ける目的というのは一体何であつたか、そういう目的が今でもそれが解消してないかどうか、必要であるかどうか、そういうことについてまだその他の点に亘つても結構です。これを廃止しては国策上決してよくないというお考えはさつき述べられましたが、できる限り詳細に私はその点を伺いたいのです。で、木内委員もこういう機会に私は十分、述べられたい。いろんな誤解があると思うのです。又私は木内氏の言われることが正しいかどうかわかりません。そこで政府側においても木内氏が述べたことについて十分私はこれを明らかにしてもらいたい。そうしませんと、外為委員会廃止していいかどうか、我々はつきりした判定がしにくいのであります。いろんな雑音を排してここで私は十分伺つておきたいと思いますから、先ず外為委員長のほうからお話し願いたいと思うのです。
  63. 木内信胤

    説明員木内信胤君) どこからお話していいかよくわからないのであります。この問題を国会におきまして最初に申上げたのは衆議院の予算委員会であります。その時井手さんから御注文がありまして、よくわからんから書いてほしいと申出がありました。実は書きましたものを衆議院の予算委員会のほうには差上げてあります。参議院の内閣委員会のほうのお申出によりましても差上げました。実はあれを読んで頂くことが一番手取早い、且つ誤解を避け得ると思います。  さて今の御質問の中に、特にこの委員会ができた時の、司令部がこれを設立を命じた時の事情並びに経過について述べろというお話でありますから、特にその点をお答えいたしますが、私はさつきも森永さんの御答弁を伺つて感じたことですが、何か外為委員会というものは、司令部の何か対応機構という言葉がありましたが、司令部がある間だけ必要であるかのごときお話があり、これは先ほどの御答弁を伺つていて思い出したのでありますが、ちよつと大蔵省は一貫してそういうような御解釈であつたようであります。ところが不幸にして私は全く解釈が違うのでありますが、総司令部はむしろ機構で出発したのではない、精神で出発した。いい精神を盛り込んだ為替管理をやるにはどういう機構日本には必要であるか、ということをさんざん思い悩んだあげく、射中てたものが今の機構である。従つてそれが司令部がある限りは必要というのではないので、永久にこういうふうにやつてほしいと彼らは思つていたと思いますが、思い悩んだあげくということは私ども実は委員に任命されてから知つたのでありますが、こういう委員会を作る前に司令部はさんざん考えた。大蔵省、通産省及び日銀当局を呼んで、どういうふうに為替管理をやつたらいいか、御承知通り、それまでは司令部が自分でやつて、続いて貿易庁が貿易をやつておりましたから、為替管理機構というものがまあなくてもすむような事態であつたのです。それを民間貿易に移し、普通の状態でやるのには為替管理機構が必要であるが、どういう仕組でやるのかについては、関係三者、大蔵省、通産省、日銀という連中にいくら聞いても、彼らの言葉で言いますと、セツト・ダウン・トユギヤザー、椅子に坐つて、こういうことをどうしたらいいということに結論が出ない。聞いてみれば、いろいろ調べてみると、戦前の日本の為替管理というものは必らずしもいいものではなかつた。続いて日本ではこういう機構が必要だと思つてつたのだ、だからお前たちは為替管理機構をこういうふうに育てなければ困るといつたようなことがあつたのであります。これは設立事情であります。それから終始一貫して私どもと大蔵省の考えとの間には違いがありました。大蔵省はこういう機構は不要だ、これは通貨の価値維持というものであるから、為替管理は大蔵省が握つていなければならず、それで行くというお考え、私どもは為替管理というものは通貨の価値維持という表現をすれば表現できますが、もつと複雑なものであつて、主として貿易の関係のものでありますし、いろいろな関係が多いから、多少一省一局の専管事項とするにはふさわしくない仕事であるという考え方、これで対立しておるわけであります。それで、従いまして今の為替管理及び貿易及び為替管理法の立法の時を初めといたしまして、ちよつとその問題が割切れざるままに進んできたのであります。最も顕著なることは、昨年春司令部は、いよいよ日本側は大分整つて来たから、今まで司令部の名義であつて司令部の代理人として私どもが運用して来た外貨というものは日本側に渡したい、ついては受取るほうの機構は、原語で言いますと、パーマネンス・オア・コンテイニユイテイという言葉であつたと思いますが、そういう感じの出る機構であつてほしいから、承知通り外為のあるほうがいいか悪いかについては、ずつと争いのあつたことであるから、この問題をはつきりと日本側がパーマネントに、パーマネントということは何も永久ということではない、テンポラリーでないということですが、とにかく相当の間続くものとして、外為を認めるなら外為に渡そう、そうでないならばそうでない機構に渡そう、この点の答えはどうであるかということをわざわざ尋ねたのであります。それで政府の答えは総理のお手紙にありますが、それは当時外国為替管理委員会に渡してほしいというお答えが出たのでありますが、この一事を以つてしましても、司令部は決して自分のおる間の必要機構ということには考えていなかつたということがわかると思いますが、大体経過についてはまだ沢山あると思いますが、先ほどの御答弁を伺つておりまして、司令部のおる間だけのものとは考えていなかつたということは特に大事だと思いますから、その点を申上げておきます。その他はなお御質問を得てから御答弁申上げたいと思います。
  64. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 なお当時外為の発足した時の外為委員会の、何というのですか、業務或いはその仕事の目的、範囲、そういうものはどういうところにあつたのですか。
  65. 木内信胤

    説明員木内信胤君) 最初は日本に新らしい為替管理機構を作る。その機構を作る中心の推進役になるというのが主なる仕事であります。それを各官庁の分担する責任の範囲を明確にするといつたような言葉で、最初の外為設置法には書いてあつたと思います。でありますから私どもは現在の外国為替管理及び外国為替管理法の立法にあたりまして、中心機構としまして皆さんの御参集を仰いで議長的な役目を果しながら推進して来たのであります。ところが法律ができました時に、外為も前の司令部のスキヤツピンに基いてできましたから、いわゆるポツダム宣言の受諾に伴なう政令というもので外為が設立されたのでありますが、これが現在の機構なつたわけであります。その時を以ちまして一応機構を作るということが完成したかのごとく考えられて、その時に機構を作る責任というものを設置法から落してしまつた。ところがこれが非常な不便を醸しまして、それを以て私ども迂濶であつて法令の作り方を知らないものですから、旧設置法で、最初の外為設置法で差支えがないと思つていたのですが、そのうちに例の総合調整という職分を落してしまつたのです。今の責任を分担する機構でありながら総合調整という仕事をする必要がなくなつて非常な不便に際会したのであります。そこで爾来昨年一年かかりまして漸く御納得を得まして、昨年の三月三十一日でありましたか、現在の外為設置法を改正をいたしまして、現状になつたわけでありますが、その中に総合調整という言葉が入つているのです。それでやや全体を見守つてほうぼうの官庁でこの仕事は分担するのであるが、全体がちぐはぐにならないようにという職分をして行くということが法制的にも復活したのであります。その前にそれがなくてもよかつたというのは、これは立法の間違いだつたということになりまして、事実はそういうことをしておりましたが、法制的にそれが確認されていない不安というものがありましたので、それを直して頂いたことがございます。そのように私どもの仕事は全体を見守つて調和あらしめるということで非常に大事な仕事だと考えておりますが、それらのことをするのに私どもの機構がなぜ適格であるかということは、先ほど申しました衆議院に提出しました意見書の中に書いてあります。今の管理機構というものは五つの大きな原則を掲げたものであると思うのでありますが、その中に挙げでいました政治からの或る程度の独立ということは、私どもは或る程度為替で飯を食い、為替管理の下に働いて来た人間として多少は物を知つておる、いわゆる専門家であるということで、又身分保障を持つておるということによりまして、私どもは政治から或る程度独立することができるし、且つ専門的な技能を持つておると考えられること等によりまして、私どもは銀行という金を扱うこと、金の番人という職務を持つております。これはただ番をして安全な所へ預けておくばかりでなしに、その金があることによつて日本は信用されるわけでありますから、その金を適当な銀行に預けて適当に運用いたしますれば、その銀行から日本の為替銀行が一種のクレジツト・ラインと申しますか、一種の商業上のクレジツトを守ることができる。そういうことを推進し、日本の貿易がうまく行くように努めるわけであります。金を持つておりますということは、あらゆるものが金に出て数字に現われて参りますから、全体を見守るには最もいい位置でありますし、殊に今の為替管理法の建前は、すべては一定の指定された為替銀行を通して決済…するというのが為替管理の仕組の大本であります。その仕組の大本は為替銀行が外国の為替銀行とどういう契約を取結んで仕事をするかという点にかかつて来るのでありまして、これをコルレス契約と世上申しております。いわゆるコルレス契約を結ぶということが一番大事なのであります。でありますから、指定された為替銀行の為替業務に対して私どもは主としてコルレス契約を見て行くことによつて監督をして行くという仕事であります。これらの仕事を担当する者は全体を眺めて行くには一番適当な位置にあるものと認められたものと思つております。それでなお私ども為替及び為替取引の手続を定めるということは立派な仕事でありますが、規則を出すという行政的な仕事と申しますか、しておりますが、それが私どもの仕事、それに関連しまして似たようなものでありまして、貿易のほうの規則をお出しになるのは通産省でありますが、その観則を出すについて私どもは御相談を受ける。又こちらから相談をしかけるというような権能を与えられております。それによつて調整を図つて行く。これらのことが私どもの主な仕事であります。要するに金を預かる銀行を見、中央であるところの銀行を見、決済方式を定め、貿易のほうの手続に関して意見というものを発表し、若しくは協議を受けるということをやる。かるが故に全体を見守るのに適当であるから、全体を総合調整する。こういうような役目を持つておるのであります。為替管理委員会と申すのは、決して為替管理の全部を背負つているわけではないのであります。大体職分に関してはそういうようなことでありますが、附け加えますれば、そのようなものがたくなつた場合の為替管理というものは、いろいろな意味支障が出ると思いますが、第一総合調整がめちやくちやになるだろうと思います。従つて貿易行政と為替行政とはばらばらにならないかということを心配しておりますし、私どもは銀行で職務をしておりますが、金を預ける、ところが預けた金を利用して、その金に乗つて為替銀行の取引を保証しておりますが、その保証業務というものが新機構ではうまく行くかどうか甚だあやしいと思うのであります。まあそういうようなことを、今申しましたことを新機構と比較して御覧になりますれば、おのずからそこに結論が出て来るだろうと考えます。
  66. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 外為委員長立場に立つてのお話一応これでまあ大体わかりました。それから出された資料というものは見ておりませんが、それをもつと見ていれば又具体的に要点を衝いて御質問できると思うのですが、大体わかりました。それでは政府側でどう請いうふうに考えているか。只今木内外為委員長の話を聞きますと、外為委員会を作らしたのは成るほど総司令部である。併しながらそれは単に占領下において総司令部の都合によつて占領下だけ必要であるからといつてつたのではない。やはりこれはもう少し恒久的な、継続的な、パーマネントなコンテイニユアンスな、そういう機構として作らせた、こういうお説であります。そうすると、特にどうしてこれを廃止して為替局にしなければならないのか。その点今度はその理由をお伺いいたします。只今木内外為委員長のほうからは、非常に積極的な御答弁があつたのです。具体的に、例えば総合調整ができなく困難になると、これは為替行政と貿易行政との分離が起つて混乱が来る。それと又保証業務の問題、こういうふうにその弊害があるということを具体的に言われているのですから、これは私は重大な問題だと思う。若し果してそうならば、外為委員会からして為替局にした場合、非常なこれは損失なんですから、こういうことが専門的な木内外為委員長のほうからはつきりとここに言われたのですから、政府のほうは若しそういう弊害があるのにこれをやられるとしたら、これは重大な問題だと思う。それを明らかにして頂きたい。政府ではどういうふうに……今これを木内委員長がいろいろ言われたのですが……。
  67. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 私から先ずお答えをしまして、足らんところは大蔵省から補つて頂くということにいたします。  今回の行政機構改革に際しまして、外為委員会廃止いたしまして、現在外為委員会が取扱つております事務を、日本銀行と大蔵省において分掌するというふうにきめたのでありますが、この点についていろいろと木内委員長のほうから御意見が出ていますが、今度の行政機構改革に当りまして、委員会制度廃止になるものが相当あるのでありますが、各委員会に一度意見を求めております。その過程において、先ほど木内委員長も言われましたが、私は木内委員長に二度会つて御意見を聞いております。それで大体私も為替がどつちかというと専門なんでありますから、書いたもので説明して頂けば大体わかる。そうして詳しく書いたものがありましたので、それを頂きまして拝見しました。そうして私どもも木内さんと一緒にずつと為替管理をやつて参りまして大体のことはわかつております。十分検討いたしましたが、最近の実情におきましては、ああいう特殊の形体の外国為替管理委員会というものを設けてやらなければならんという理由はなくなつておる。むしろ今日におきましては日本銀行と大蔵省において分掌して、大蔵大臣並びに日本銀行総裁が責任を持つてこれに当るということのほうがべターであるという結論に到達したのであります。只今非常にいろいろな意見をお話になりましたが、木村委員も御指摘の総合調整の問題でありますが、この総合調整も官庁間が非常にセクシヨナリズムでありまして、喧嘩ばかりしておりますと、確かに総合調整の問題が生じて来るのでありますが、新らしい行政機構におきましては、この外貨に関する総合調整は相当機動的にできるようにいたしまして、貿易の為替につきましては通産省におきましてこれを取りまとめるということにいたし、貿易外におきましてはこれを大蔵省において取りまとめるということにいたしております。そうしてその貿易外と貿易と両方の取りまとめは大蔵省がいたしまして、これを閣僚審議会に提案いたしまして、閣僚審議会で審議し、更に進んでは閣議においてこれを決定する。こういう段取りになつているのでありまして、総合調整の方法も明確に定められておるのであります。従つて総合調整の段階におきまして、事が破綻をすることはございません。若しどうしてもきまらなければ閣議というものがありまして、そこで最後の断を下すことになつておりますから、決して総合調整が行き悩んでいろいろ国務の紛更は来たさないというふうに考えております。  それから外貨資金の運用の問題を挙げられましたが、外貨資金の運用は戦前におきましては十分やつて来ておるのでありまして、終戦後一時司令部がアメリカ側においてやりまして、それが又日本側に移つて来たわけでございますが、この外貨の運用ということは、非常に我々としては関心を持つておりまして、現在のごとく巨額な外資を擁しておる実情におきましては、これを如何に運用するかということは、我々の非常は関心でありまして、国民的利益から申しましても、私はもつと利用すべきものであると思うのでありまして、今までの外貨資金の運用の方法につきましても市中銀行からかなり非難があつたという事実もあるのであります。もつと銀行はこの金を活かして、そうして或いは利息をうんと上げ、その他有利なる運用をなすべきである。こういうような意見も市中の専門家の間において批判の声が揚つているのであります。これはいろいろの事情において、司令部というものがありました間は制約がありまして思うにまかせなかつたのであります。併しながらこの外貨資金を如何に運用するかということにつきましては、外為の委員会においてもよく御承知でありますけれども、恐らく大蔵省の人であるとか、或いは現在の日本銀行の総裁以下の人たちがわからんはずはない。若しわからなければ、これは内地にたくさんの外国の銀行の人もおりますし、如何なる方法によりましても知識を吸収することができるのでありますから、そういうような各方面の知識を吸収することによつて、外貨資金の適切なる運用というものを図り得るという確信を持つております。現に従来でも大蔵省が外国為替管理をやつて参りましたときには、よく各方面の意見を聞きまして、その運用に全きを期していた例もあります。これは今の、私は外為のかたがたをどうというのではなしに、今木内委員長以下非常に有能達識なかたでありまして、非常によくやつていられるのでありまして、これを受けて行くところの大蔵省のそのほうの担当者、並びに日本銀行の担当者は決して木内委員長等の期待に背くようなことはいたさないと私は断言ができると思います。それから外貨資金の運用管理をこちらに委せられるときに、如何なる恒久的な制度においてやられるかということにつきましては、当時総理大臣からも返事を出してあります。そのときにおきましては、大蔵省でやらせるかどこでやらせるかということにつきまして、政府部内におきましても、いろいろ協議をいたしたのでありますが、折しも丁度行政機構改革という問題が中心になつておりましたので、この際まだ国全体の行政機構をどう持つて行くかということがきまつていない先きに、これだけ早くきめるわけに行かないというわけで、当分現状維持、フオア・ザ・タイム・ビーングということをわざわざつけて総理大臣からは司令部に回答してあるのであります。この問題は、或いは政府側としても今回の行政機構が暫定的なフオア・ザ・タイム・ビーングの措置だというふうに理解をして取扱つておるということもお含み置きを願いたいのであります。それで外貨資金の問題は結局収支の問題と資金運用の問題に分れると思うのでありますが、収入の面におきましては只今申しましたように、貿易並びに貿易外を通じまして或いは支払が起り、或いは受取りが起るから、この面につきましては外貨資金計画を樹立することによつて適切にその運用が図れると思うのであります。又外貨資金の運用につきましては、先ほど申しましたように、たくさんの外貨資金をポンドであるとかドルであるとかその他持つておるのでありますが、このものにつきましては、我々としては最善を尽しましてそれの運用に全きを期する、これは各方面の知識を集めれば決して運用を誤まることはないと考えております。又この外国為替に関する事柄を直接取扱うものといたしましては、御承知の外国為替銀行というものがありますが、これは外国為替銀行は現在十数行を算しております。この銀行を十分に監督し、それと提携を緊密にしてやつてつたなれば、又監督を厳重にするほかに銀行制度そのものにつきましても将来検討の余地があると私は思つておるのでありますが、それらに対しまして十分研究を積んで行つたなれば、私はこの為替銀行自体やり方が悪いがために、日本の為替管理がうまく行かなかつたということがなしに行けるのじやないか、又そうしなければならん、こういうふうに考えておる次第でありまして、只今木内委員長の言われましたことは、御尤ものような点もありますけれども、今後の大蔵省並びに日本銀行を十分信用して下さるかどうかという点にあるのでありまして、私は私の知つておる範囲においては決して御期待を裏切つて御心配をかけることはないということを確信しておるということを申上げて置きたいのであります。
  68. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大体為替管理についてはどこの国の例を見ても中央銀行或いは又大蔵省、そういうところがやることになつておると思うのですが、特に日本においてこの外為委員会を作られるときにそういう形にしなかつた理由があつたと思うのです。それはやはり日本の置かれておる特殊の事情があるのでそうだと思つておるのですが、この点は木内委員長はどうお考えでございますか。只今大蔵省と日銀と分掌してやつて行けばいいんだ、決して心配ないんだ、果して野田大臣の言われる通りにそれで心配ないという確信を持つておられるか、そうであるならば外為委員会廃止に特にこだわる必要もない。若しそうならばそこでなぜ外為委員会特殊のこういう機構が必要であるかということについてはもう少し深く聞きませんと、ただ一般的に諸外国がやつておるように、大蔵省とか或いは日銀、こういうところに分掌すればいいというだけでは、私は何かそこに足りないんじやないか。それだからこそ何か外為委員会政府の間に意見の対立があるのではないかと思います。この点は木内さんのほうではどういうふうにお考えになつておられますか。
  69. 木内信胤

    説明員木内信胤君) 諸外国は大蔵省及び中央銀行が分掌しておるというのは大蔵大臣の御答弁にもありましたが、私の見るところではそれは事実ではありませんのです。日本では何のことか知りませんが、そういうふうにきめておるのであります。日本の昔がそうであつたからであるかも知れません。最大の理由は英国というものがそうであるからだろうと思います。ところが英国におきましては分掌しているというよりも中央銀行がやつでおるのであります。大蔵省はそれに対してポリシイ・ダイレクシヨンと申しますが、ほかのいろいろ国策上の問題がありましようから、為替管理はこういうふうにやつてほしいという一種のイデオンを与える程度にとどまつて、実務は中央銀行が中央銀行の責任において、むしろ大蔵省の区処を受けるところなくやつておるというのが実情でございます。ところが御承知のごとく、英国は不文律の国でありますから、そういうことを法律に書かないのであります。書かないからして何となく殊にポリシイ・ダイレクシヨンをするのでありますから、自然にその下にあるように見えますが、実は独立した非常に独立性の高い中央銀行、英国の英蘭銀行は独立性が非常に高いことは御承知通りと思いますが、非常に独立性の高い銀行が自主的にやつて、自分の責任においてやつておるのでありますから、大蔵省責任をとつて日本銀行に事務を委託して行くというのが今度の法制の要点であるように見えますが、事務を委託するということは部下になつて働くということかとも了解いたしますが、そうではないのであつて、独立の責任を以てやつており、一番日本の今度の改革に近いと思われておる英国すら然りであります。その他の国はこの間参議院のこの委員会内閣委員会において申上げましたが、イタリー、ベルギー、私の申上げた例はたくさんではございませんが、イタリー、ベルギー、オランダ等を特に詳しく申上げたのですが、いずれも専門家を拉し来たるために一つの特別な局を設け、それは必ずしも大蔵省ではない、イタリーのごときははつきりと通産省の所属であります。そういうのが近頃の行き方でありまして、フランスも特別な局があります。それは恐らくいわゆる事務を委託するという意味の、いつでも命令を受ける可能性ありという意味ではなくて、任された以上は自分の責任でやつて区処を受けるという機構ではないというふうに了解いたします。諸国の例は皆そういうふうになりつつある。日本において為替管理委員会みたいなものを作るがいいか悪いかはこれは問題でありますが、為替という仕事がむしろ大蔵省から別であれということは最近の世界的な強い傾向だと思います。それに関連しまして、別であればあえて委員会が別でなくても、中央銀行であつてもいいのかも知れません。  そこで話がちよつと戻りますが、最初の司令部がこの機構を作りますときに実は考えたのは、日本銀行でできやしないかということを随分考えた。ところがそれではいけないということがわかつた。それでは別途に為替中央銀行を作ろうかということを考えたが、これも余りうまい行き方ではないと考えたから、政府官庁ではあるが、それに銀行業務的なものも托し得るような仕組みにして、為替管理委員会を作つたんだということでありましたが、そういう次第を持つておるのであります。そこで中央銀行の独立性如何ということが今度の新機構がいいかどうかの判定の要点になると思うのでありますが、日本においては御承知通り日本の伝統は遺憾ながら、今法制もそうだと思いますが、日本銀行の総裁というものはいつでも大蔵大臣が首が切れるのではないかと思うのですが、少くとも日本の伝統はそうであつたのでありまして、独立性甚だ稀薄であります。この点を理窟で申上げるよりもエピソードを申上げたほうがいいと思うのですが、私昨年アメリカを通つて帰りますときに、アメリカのフエデラル・リザーブ・ボード、ワシントンの準備局の、上から何番目の人ですか存じませんが、非常に上の人です。重役ではありませんが、その人と、殊に日本に関心を持つた人々で昼飯を食べたときに、そのかたの真先の質問は、FEBCはいつ日本銀行と合体するのだ、それにお前のほうはオブジエクシヨンがあるようだが、どう思つておるのだという単刀直入の御質問であります。そこで私答えましたのに、私はそれに別に理論的にも実際的にも大してオブジエクシヨンはない、ところが日本は遺憾ながら中央銀行というものは非常に独立性が乏しいのだ、中央銀行総裁はいつでも首にできるらしいし、法制的にもできるらしいし、事実そう思われておる。これでは私は日本銀行に私どもの組織を統一してしまうということにはどうしても賛成できない。日本銀行が我々が今持つておるような或る程度相当高い独立性を持つたときに初めてそれが問題になるんだと言いましたところが、ああそうか、その話はそれでおしまいであります。この話はそれだけで多くのことを語つておるのであります。ついでに申しますと、今度の委員会廃止のことが伝わりましたときに、それを伝え聞いた、これはアメリカのかたでありますが、殊に池田大臣の、諸国の例が皆中央銀行がやつている、大蔵省が中央銀行を使つてつているという答弁がありましたときに、それは違うのだ。諸国は皆中央銀行が中央銀行としてやつているのだ。現にどうこうと言つて各国の新らしい中央銀行の作り方を、フイリツピンをはじめ、ここに書いてあるリストがありますが、新らしい中央銀行ですから余り我々が……、つまり小さい国、それらの国が全部挙つて新らしい中央銀行の独立性を確保した上において、為替管理事務或いは外貨資金の管理というのをやつている。大蔵省の区処を受ける中央銀行が外貨を管理するということは非常にいけないことだということは、これは天下の通説になつております。若し大臣がそういうふうに答弁をしたのならそれは違う、お前は知つているだろうが、念のために申上げると言つて、わざわざ馳け込んで言つてくれた人があるのです。それらのことによりましておわかりの通りです。それらが中央銀行と大蔵省との最近の各国の行き方であります。私の意見といたしましては、日本においても中央銀行がそういうことになり得るならば、或いは簡素化のためか、或いは私どものような官庁が、銀行らしい仕事をするということは余りいいことではないと思いますけれども、そういう条件が成立するならば、少くともその部分だけを移してもいいかと思います。なお併し私どものやつておりますことは、先ほども申しました通り、官庁間、さつき建設大臣は、官庁が相互喧嘩をしなければ大丈夫だ、繩張り争いをやらなければ大丈夫だ、信用しろとおつしやつたのですが、なかなか日本の伝統はそうではないので、一朝一夕に変るかどうか。私ども三年仕事をいたしましたが、随分農林、通産 通産、大蔵のごとき、私どもは元来は大蔵省と対立しているようでありますが、元来とめ男として出て来たわけであつて、随分調停もして、調節もして来ているわけであります。なかなかそういう面が急に解消しようとは思いません。殊に法律規則を、法律とは違いますが、法律は国会が作りますが、その原案をよく作つて見たり、それに準拠する政令規則を作つて見たり、立法事務がありますから、立法及び行政、それらについても日銀に託し得るかどうかに疑問がありますが、若しその点もいいというのなら日銀に我々が吸収せられるということはあり得るのです。従いまして私どもの意見書のあとにも、これは日銀のあり方というものと不可分の関係にあるのだ。合併して審議を願いたい。不可分の問題として取扱つて頂きたい。その問題がそのようにつまり独立性確保という方向に向つて解決されないうちに、私どもの機構がなくなるということは、非常に惜しむべきことだと私は考えているのであります。
  70. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 結論として木内氏の御意見は、日銀があるべき日銀の機構、姿になれば差支えないという意見ですが、建設大臣は今木内氏が言われたような意味で日銀と大蔵省の分掌ということを云われたので、その点如何ですか。
  71. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 私は行政並びに政治に関する考え方木内委員長と少し違うのでありまして、今木内委員長のお話を承わつておりますと、現在でも日本銀行は随分政府に対して独立性を持つているわけです。国会においてもしばしば日本銀行総裁をお招きになつて日本銀行が国会の意思と合わない行動をしているのではないかと随分痛感したことがある。金融というものはむずかしいのであつて、金融機関の意見を聞くと、これは最高のもので誰でもタツチできない、手も触れることのできないようにしろという意見が金融機関から出る。併し現在の日本の建前から行くとそうも行かない。国権の最高機関は国会にあると思う。若し国会が手をつけようと思つても、政府が手を振おうと思つても、どうにもならんというものがあつて、それが行政の大きなものを握るということになりますと政治というものができなくなる。この辺のところが私は十分国家の行政並びに立法組織として考えるべきものと思います。併しながら勿論金融というものは大切な問題でありまして、無暗に行政にひつかき廻わされるということは避けねばなりませんが、併しそれにつきましては全然もう政府から独立してしまつた最高のものにしてはいけない、こう思うのであります。この点におきまして私少し意見が違うのであります。日本銀行の問題につきましても、日本銀行で現在約六百人の者が為替管理の仕事従つているのではないかと思います。それから大蔵省では為替関係ではたしか五十人か六十人がいる。それから外為委員会が七十人か八十人の人がいる。大体こういう人数の関係になつているのでありますが、この七十人、八十人の外為委員会の人を日本銀行と大蔵省にどう配分するかということは、現在大蔵省検討しておられる。日本銀行と連絡して研究をしておられる。そこで私どもは政策につきましてはやはり大蔵大臣が、これは大蔵大臣は国を代表し、又これは与党から国会に支持せられて、まあ国会の意思を代表していると思いますから、政策の面につきましては十分やはり大蔵大臣責任をとれるようにして置かなければならんのじやないか、こう思うのでありまして、特にこの外為の計画は外貨予算が基礎をなしているが、外貨予算というものは貿易計画、貿易計画は政府の政策でやられるところの行政行為である。国家行政一つの大きな柱をなすもので、これは大蔵大臣も、或いはその他の閣僚も手がつかないということになりますと、一国の物動計画も立たない、一国の経済政策も立たなくなつてしまう。それが余りにも行き過ぎますと非常な弊害を生じて、行政が麻痺するということになりますので、私やはり内閣において相当責任を持ち、又内閣がこれを実行し得るという建前を取らないと、国政の運営上全きを期せられない。これは何党が天下を、内閣をお取りになつても同じことだと思う。だから私は大蔵省が為替政策の責任をとり、内閣がその責任をとるという建前がいいのではないかと考えます。勿論やり方につきましては日本銀行と緊密な連絡を取り、実務的なものはそれを日本銀行にやらせて行くべきである。又戦前日本銀行が大幅に為替管理をやつて来たのを見ましても、十分の成績を挙げておりますので、過去の経験に徴しましても、政策面は主として内閣が当り、実行面は日本銀行が当る。これは金融に関係することがありますので、両者緊密な連絡を取つてやるということでやつて行けるものと考えている次第であります。
  72. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今の建設大臣のお話を伺いますと、外為委員会相当政府の為替政策というものに対して発言権を持つているような印象ですが、実際にそうなんですか。外為委員会というものは政府の為替政策に、まあ行政は別ですが、行政と政策は又どこで区分していいか、これは又困難な問題でありますが、政策は勿論政府が担当すべきものであるし、それに対して外為委員会が全く政治と独立して、そうしてそういう政策面についてもタツチできないようなそういう強力なものになつたらこれは大変だと思う。従つてこれは外為委員会の実情は、実際に外為委員会は、そこにどの程度に政策に、これを何と言いますか、干渉しというのですか、或いはそれをチエツクしたりし得るかどうか。大体聞くところによると、従来司令部が考えた外為委員会に対する権限は、管理機構と言いますか、保管機構と言いますか、カストデイアンスというような、そういう保管的な監督機関、監督的と言いますか、そういう範囲であつて、外貨ポジシヨンの何かを睨み合せながら、為替管理或いは貿易なんかについて進言をして行く、こういうやに聞いておつた。ところがその後だんだん各省間の調案を行い得るようになり、そうして今建設大臣お話になつ政府の為替政策まで左右し、左右しというより政府がやろうと思つてもできないような独立性を持つているような印象を受けたのですが、今為替管理委員会というものはそういうものなのかどうか、実態を一つ伺いたいのです。
  73. 木内信胤

    説明員木内信胤君) そういう強い権限を私どもは持つておりません。政策問題に関しては、私どもは単に総理大臣その地の官庁に対して勧告するという任務を与えられているだけであります。これは勧告でありますから、お肯きにならなければそれまでのことでありまして、今まで随分勧告いたしましたが、お肯きにならなかつたこともたくさんあります。お肯き下すつたこともたくさんあります。私どもは身分保障があります関係上、これはよしあしであつて、そういう場合は強い主張ができない。遺憾ながら申上げただけで引込んでおらなければならない。普通の政治問題で何か御議論がわかれるようなことになつて、議論がわかれた場合には私どもは単に勧告権という範囲にとどまつております。なお今建設大臣の御答弁で、どうも事実を少し履き違えておられやしないかと思われますが、外貨予算というものは今為替管理の中心であるその外貨予算は、貿易に関するものは通産省でやる。そうでないものは大蔵省でやつて、その総合調整を大蔵省がやるというお話でありましたが、それだから或いは現状は外貨予算は為替管理委員会が専管しておるかのごとく、為替管理委員会に対しては、外貨予算即ち重要なる政務であるところの問題に対して政府の発言が弱いようなふうにちよつと聞えたんですが、事実は私どもは外貨予算に関してはむしろ金の番人として総額に関してそうお使いになつてはいけませんよということを言う場合があれば、その発言は尊重して頂きたいと思うのです。併しこれは現状においては私どもにそういう問題についてもいわゆるビートが与えられておりませんので、これは事実問題としてそういうことになるかと思いますが、そういう弱い発言権しか私どもにはないわけです。ただ全体を見ておる関係からしまして、意見を申出れば何となく尊重されるということはあつたかと思います。殊に各省それぞれの立場で外貨予算は七つの官庁の会議であります。議長は安本長官でありますが、これは従つて内閣の意見をそのままに反映するのであつて、外為の意見を反映するものではありません。その中で而も私どもは投票権もないのです。これは大臣がたがお持ちになる。私たちは単に諮問委員として勧告権、意見を申述べるために、又全体を見ている人間、金を預つている人間としてこれは確かによい予算だということを申述べるだけに諮問委員として携つておるだけです。これが外貨予算の実態です。その二点で私どもの今この問題に対する御質問の御答弁になるかと思います。
  74. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 野田建設大臣にお伺いしたいのですが、外為委員会を作つたとき、総司令部の意向によつてつた。そうして外貨予算なんかの点についてもやはり占領下においては占領されている当時にはいろいろOKがあつたと思うのです。そういうような関係から何か外為が非常に強い権限を持つていたかも知れません。その司令部を通じて間接に何か発言らしいものを、丁度池田大蔵大臣がドツジさんをうしろ盾にして非常に倣慢な態度をとつたといわれておるように、事実かどうか知りませんがドツジさんがいなくなると方々から非常な風当りが強いといわれるごとく、占領下においては外為委員会がさつき建設大臣が言われたように為替政策にまで何か干渉し得るごとき、これは今機構上から見ましたら今木内委員長が言われました機構上からは全然権限はない。事実上においては或いはそういうことがあつたかも知れません。そこで何かこの委員会というものについて非常に恐怖を抱かれて、政府の為替政策というものをこれでチエツクされるのではないかという印象を受けたのです。併し実質はともかく一応独立したといわれるのですが、外為委員会ができたために政府がこの政策を勝手に左右されては私どもはおかしいと思うのです。今あなたに伺いますと、そんなに強い権限がないと言われる。そうしますと木内さんの説明と野田建設大臣のさつきのお話と何だか食違いがあるのですね。そういうところはそういうふうに理解してよろしいのですか。
  75. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 為替の問題はいろいろとさつきのお話になつたように、アメリカのほうからこれが日本に半分移つたような状態であつた、その次に全体移つたようであるが、そうでもないというような妙な状態なつたことは事実であります。又その間にいろいろな問題ができまして、新聞紙上にもいろいろ報道されて、その真の姿というか、真姿がはつきり出ておらないということがあると思うのです。今度占領というべールがとられまして日本が独立した。これから本当の姿ができるのです。先ほど私の申上げたことは、今までの経過等に鑑みて少し議論が大きくなつて、話が進んで外国の例なんかを引張り出されてそういうふうになりましたが、今後仮に外為委員会がありましても、本来の姿から見れば総合調整という点から見ても、ビートのない助言的な発言にとどまる。そうすると本当のアドバイスというものはどこにあるかということになると、外貨資金の運用ということではないかと思うのです。これが一番大きな仕事であり、又委員会のいろいろ重点を置かれておることではないかと思いますが、この外貨資金の運用の点でありましたならば、私は日本銀行と大蔵省が協議をいたしまして、又これから日本銀行が海外に店舗を設ける。東京銀行、旧正金銀行その他有能な銀行が海外に有能な店舗を設ける。そういうものと連絡をとる。又日本銀行の出張所で連絡をとつてやれば、外貨資金の運用については遺憾なきを期してやつて行けると思うのです。それらを考えて今後の考えとしてはこの外為委員会のごとき存在は必ずしも必要としない。むしろすつきりと日本銀行で執務を行い、大蔵省で政策を行う。そして外貨資金の運用については日本銀行、大蔵省が協議し、且つ民間の為替銀行と連絡して、これを十分やつて行けばこと足りるのではないかと一そういうことになつて来ると思います。
  76. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その他の委員から御質問があるかも知れませんので、外為委員会廃止の件については、まあ最後にこれから御質問する点だけで終りたいと思いますが、最後に木内委員長が外為委員会のいろいろなまあ機能といいますか、役割として、政治からの独立ということも一つ挙げられておる。  第二に専門家の技術的な知識ですね。為替行政の運用、この点はどうなんでしようか。私は単に外為委員会だけでなく、国税庁の問題でも私はやはりそうだと思うのです。いわゆる外為というような点においても、専門知識の活用ということと、それから政治からの独立、勿論噂にあるようなことはないと思いますが、併しいろいろなふうに言われるわけです。これが例えば復金が、或いは日本開発銀行が自由党のドル箱であるとか、そういうようなことを言われるのです。殊にそういう疑いを持つところほど、その監督機構というようなものについては、これはもつと民主的に明朗にしなければならんと思うのですが、この点はどうなんですかね、政治からの独立、これは為替局になると外貨資金の運用でもやはり大蔵大臣の圧力、圧力と言つたら変ですが、相当私はこれはさつきの国税庁の場合と同様だと思うのです。為替局長が大蔵大臣に反対して辞表を叩きつけてやめるというようなのは私は現在少いと思う。まあ前に中小企業長官として蜷川さんがやめられたけれども、そういうことがいいというわけじやないのですが、機構としてそういうふうにできないでしようか、今度は又外為委員会機構としてはそれができることになつているんです。又木内氏が言つても、木内氏を首にしてどうこうということはできない、これは私は一つの尊重すべきことだと思います。むしろ政府の思うようにならんという点が一つあるということは、これは尊重すべきだ、最後は国会においてこれは判定できる問題でありますけれども、こういう点どうなんですか。政治からの独立、これが為替局なつた場合と、外為委員会というような機構があつた場合と、成るほど外為委員会のこの仕事占領下におけるのと占領後において当然、全部じやないですが、違つて来ると思います。やつぱりよい活かすべき点はもつと活かす点があるように思われるのです。この点建設大臣から伺いたい、政治からの独立の点と、それから専門家の知識の利用ですね、その点先ほど建設大臣も御答弁がありましたが、重ねてこの点についてお伺いしたいのです。
  77. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 外貨資金の運用につきまして大蔵省でこれを取扱う、即ち政府でこれを取扱うということになりますと、変なふうにやられるのじやないかというような懸念をお持ちのようでありますが、私はそういう心配はないと思います。特に日本のごとく、これから海外の信用を得て、海外から信頼されなければ日本の国は立つて行きません。特に現在内閣におきましては海外との関係を緊密に、絶大なる信用を博して、その基礎の上に立つて大いに日本の復興を図つて行こう、こういう政策をとりますと、外国から見ておりますと、経済的に一番端的に見るのが日本の外貨資金なんですが、その外貨資金の運用がどうやられているかということは、外国から預かつている金ですからすぐわかる。向うで懐のうちをすつかり見られる、その運用が変なことをしておつたならば、絶対に日本は外国から信用を得られませんし、いわんや外貨の獲得ができない。従いまして私は国内政策よりもむしろ慎重に慎重を重ねまして、外貨資金はやらるべきだと考えております。  それから第二点の専門的知識ということです。これにつきましては為替の実務というものは御承知のように為替銀行が取扱うわけであるわけであります。でありまするから、まあ銀行で為替の専門家が為替を一切扱う、為替を管理するということでありまして、為替管理は為替の実務そのものではありません。併しながらこれに対する豊富な経験を持つということは必要だと思います。そこで私は為替管理を始めた張本人の一人でありますが、大蔵省におきましても、戦前におきましては随分為替管理をやつて参り、商工省、現在の通産省におきましても貿易為替の管理をやりまして、政府部内においてもこれは練達の士はたくさんあるはずであります。同じ仕事日本銀行も取扱つて来ましたし、現に日本銀行では六百人が従事しているという現状であります。例えば東京銀行、木内委員長は東京銀行の御出身で、東京銀行に御関係がありますが、そういう優秀な銀行家でありますから、そういうところの人々と十分相談し、そういう人と連絡をとつてつて行きましたなれば、私は専門的知識の何と申しますか、充実という点についても、ことかかないで行けるのじやないか、要するに本当にこの仕事を大事だと思つて、それに身を打込んで、各方面の全智全能を集中してやるという態度を大蔵省がとられる限り、日本銀行がとられる限り、私のほうでは心配ないと考えております。
  78. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 外貨、資金の運用について、それは行政機構改革を考えられた当事者としては、そういう御答弁をしなければならんと思いますが、これまでいろいろと問題があつたと思うのです、こういう運用について……。で、前に具体的に私大蔵大臣に伺つたこともあるのです。特定の人が海外に行くのに、その外貨割当てをどういう割合いで……、非常に一般の人よりも特に多くの外貨が割当つたのです。それでその人が外国から帰つて来て、非常にたくさんお土産持つて来て、奥さんなんかの分まで持つて来て、それをあれして、非常に非難が起つた、某銀行の人だつたのです。そういうようなことは非常に不明朗だと思うのです。そういうことがないならいいのです。併し外為委員会廃止して、じや大蔵省為替局なつたとき、そういうことが起る公算がどつちが大きいか、そういうようなことがあるとした場合、今まででさえそうである、その点私は非常に心配するわけなんです。その点について御答弁があつた一つお願いしたい。私は外為委員会廃止の問題については、一応この質問で終ります。
  79. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 私はお話の点については、大蔵省がやつたからそういう心配が起るということは絶対ないと思います。若し起るとすれば、現在起つているとすれば、この点大蔵省にそれが行つた場合どうなるかと言えば、勿論現在起つているとは余り思いませんが、これはいろいろなことがありますからよく調べないといけませんが、これが私は大蔵省に行つて起るということは考えられません。私は自分で十年間為替管理をやつてつたのでありますが、私は只今名前を挙げると、これは全部御承知のかたなんでありますが、有名なかたです。その人が外国へ行くと言われますので、私は為替を拒みますと、そうしたら知らないうちに、新聞を見ておりますと、でかでかとその人が外国へ行くということが出ている。私はじだんだ踏んで怒つたことがありますが、何だか向うで誰かから金を借りる、貸す人があつて、それでうまうまとしてやられたというのがあるのであります。私は為替管理は大蔵省でやつておりましたときは非常に厳格主義であつて、そういう非難は受けたことは曾つてないことを記憶しております。その伝統は今後も引継がれて行くのじやないかと信じております。
  80. 波多野鼎

    波多野鼎君 先ほどの木村委員質問に対する野田さんのお答えの中に、外貨資金の運用について、民間の優秀な経験を活用する、いわゆる民間の為替銀行を活用するということを言つておられましたが、従来横浜正金銀行が外貨資金の運用について、一種の独占的な地位を持つてつて来たことはもう誰も知つていることなんです。今後この民間の銀行を活用して行くという方針をどのように貫いて行かれるか、その点を一つ。そういう横浜正金銀行のようなああいうものを作るかどうか。
  81. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) この点は波多野委員のお尋ねでありますが、これはむしろ大蔵大臣が答えるほうが適当で、私自身が果してそういう銀行を作る考えがあるかどうか、お聞きになつてもそれは答弁を預らして頂きたい、こう思うのであります。併しながら今後日本がやはり独立いたしまして、海外との取引が増加いたしますにつきまして、日本の多く信用のある銀行で海外に店舗を持つものが殖えて来ると思います。現に東京銀行等で、大蔵大臣その他の内諾を受けて着手している。そうでなければ日本の正金の海外進出は不可能だと思います。それで東京銀行なり、帝国銀行なりその他の銀行、富士銀行なりが海外に店を持ちました際に、その店に日本銀行の代理店みたいな仕事を取扱わせるかということが大問題になつて来ると思います。で、御指摘のように、横浜正金銀行は海外における日本銀行のこういう代理店として外貨の保有、運用その他いろいろなことをやつてつたのでありますが、そういうやり方につきまして、果して一行を限定してやることになるのか、或いは関係の各行に分散してやらせることになるのか、それらのことにつきましては、目下大蔵省検討中であると聞いております。いろいろな点を考慮して善処されることを信じております。
  82. 波多野鼎

    波多野鼎君 それじや私は今の問題は大蔵大臣に留保しておきます。
  83. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まだ実は大蔵省機構改革では随分たくさんあるわけなんですが、これはどうしてもこの委員会でできなければ又大蔵委員会でやることにしまして、この委員会ではあと国税庁の点についてもう少し二、三成るべく簡潔に伺います。それであとは大蔵委員会でやりたいと思います。国税庁だけの問題についても随分これは問題があるのでやり切れない。まだ印刷庁造幣庁があり、更に各委員会廃止の問題、外為問題だけでもこれは相当問題があるわけだと思うのです。こういう行政機構改革は非常に問題が多いので、大体六分通り、七分通りが問題ないというならいいのですけれども、まだまだ検討しなければならん点が非常にあるのに、こういうものを公約のあるせいか急いで出された、非常に我々は賛成できない。  そこで国税庁廃止の問題について最後に伺いたいのは、我々国税庁の人たち、第一線に働いている人からいろいろ陳情を受け説明を聞いている。それが全部正しいとは言いません。言いませんが、これまでの事務当局のほうの答弁では、第一線を強化して、そうして徴税行政がうまく行くと言われておるのですけれども、その徴税行政を担当する税務官吏自体がこういう行政機構じや駄目だ、国税庁廃止したんではうまくいかない、こう言つているんです。この点はどういうふうに我々理解していいのか、国税庁の人はどういうふうに考えているか、又官房長はどういうふうにお考えになるか、この点を伺いたいのです。
  84. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 国税庁廃止につきましては、職員組合の方面等には若干議論があるように私どもも伺つております。私どもは国税局長会議といつたような幹部のほうの会議で地方の声も十分聞いておるつもりでございますが、現在の国税庁のあり方につきましては、今朝ほどもお答え申上げました通りに、もう少しやはり第一線、国税局以下に国税庁仕事を分けたほうがいい、そういう意向が実は強いのでございまして、今回の改革におきましては、その点を第一線である国税局以下に分けると同時に、残りました監督面、これは極く簡素な形で内局に吸収いたしまして、主税局と並べて大蔵大臣の統轄の下に置きまして、他の財政金融問題とも併せて大蔵省監督して行く。省議の活用等によりまして、より広い視野で問題を調整して行く。そういうことが適当であると考えておるような次第でありまして、国税局長の意見をお聞きいたしますと、減員は排してやはり改革の必要がある、こういう意見もございました。そのことを御了承頂きたい。
  85. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは国税庁あたりでも随分論議されたのじやないかと思うのです。国税庁自体として率直に伺いたいのです。無条件で無批判でこれを廃止していい、こういうふうにお考えになつておるのじやないと思うのです。いろいろその利害得失について検討されたに違いない。もう廃止される対象になつているのですから、率直にどういうあれが起つたか、その得失について国税庁ではどういう検討を遂げられたか。これによつて全部百パーセントいいというわけではない、どういう欠陥が出て来る、こういう点があつたと思う。それについてはどういうふうにしてこれを調整して行くかという議論があつたはずであります。もうそうでなかつたら、これによつてマイナスになる面は具体的に税務官吏から指摘されているのですから、その点をどういうふうにこれを調整して行くかということが明らかにならなければ、無条件に国税庁がこれに応じたとすれば、こんな不見識な話はないと思う、又無責任な話はないと思う、そこで国税庁立場から伺いたいと思うのです。
  86. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 今回の行政改革の案が決定に至ります間には、勿論率直な形でいろいろな議論が行われまして、現状維持論もございましたし、いや現状では困るので先ほど来申上げます通りに、国税庁の中央集権を排して、もう少し地方分散的にしたほうがいいという意見もございます。これはいろいろ意見がありますのは、ほかのいろいろな問題についても同じでございまして、率直にそういうことを申上げます。併し大蔵省内の結論として出て参りましたところは、やはり現在の中央集権的なやり方をもう少し地方分散的にしたほうがいい、内局として徴税局を設けることに賛成したわけでございます。大蔵部内は一致してこの案に決定いたしたわけでございます。
  87. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 国税庁のほう一つ……。
  88. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 国税庁内局移行の結論といたしましては、只今官房長が申された通りであります。木村委員からこういう機構改革をやるについては、それに対応するだけの準備もしておるであろう、又なければ無責任な話であるという御指摘でありますが、これは我々としましては十分そういう方針を体しまして、それに備えて準備をいたしておるわけでありまして、今朝からもお答えを申上げましたように、人員相当中央から第一線に配置替えになるのでありますが、その際におきましても量の減少は質の向上を以て補うというふうな方針で臨みたいと考えております。更に又最も重要な課税の権衡を確保するというふうなことにつきましては、新らしく内局として徴税局が設けられまして、監督の面は依然としてこれを行うのであります。又従来実施面を或る程度つてつたのでありますが、その力も監督のほうに割きまして今朝ほど申上げましたような事前審査、或いは事後審査、更に随時のその場その場の監督という形によりまして、従来以上に監督という部面はおろそかにしないように心がけて行く用意はいたしておるわけであります。この点は御了承を願いたいと思います。
  89. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 国税庁としての一番の問題だつた点は、これは恐らく申告納税制度がうまく行くかどうか、いろいろほかにあるかも知れませんが、一番この点が重要な点だと思うのです。これは今でも軌道に乗つていないことは明らかです。そこが重点なんです。それに対して若し確信がなかつたら、これは無責任と言わざるを得ない。その検討が十分であつたかどうか、私はもう議論になりますからやめますけれども、そういう第一線税務を担当しておる人がうまく行かないと言つておるのを強行してうまくできるかどうか、それは私はおかしいと思うのです。もつとこれは検討すべきであつたと思うので、税制改革の一番大きな改革は、申告納税制度を採用したことです、ほかにもありましようが……。これは新らしい制度、これに対応して国税庁がやはりできたと思う。申告納税制度がまだ軌道に乗らない、これから乗せて行こうというときに、それに即応した国税庁廃止してしまつて内局にしてしまうというのでは、まだどうも私そこにちぐはぐな点があると思うのです。そういう意味で私はしつこく聞いたのですが、その点はいくら質問しても心配ないと言われておるからやめます。  ただ最後に建設大臣にお伺いしたいのは、この改革によつて人員としては三千五百人減る、それからまあ節約額としては半年度に直して七億。三千五百人というのは、どうも国税庁のほうは人員を減すというお話でしたが、どこのほうが縮減されるのか、その点ちよつと……。
  90. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 只今の役所は特別調達庁、今度新らしい機構で調達庁となるのでありますが、特別調達庁が約四割五分になりました。それで二千人足らず減ると思います。それで経済調査庁で七、八百人、そのほか安定本部、そういうようなものを入れましてその他若干いろいろありますが、それで三千五百人……。
  91. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 税務のほうは減らないのですか。
  92. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 税務のほうは殆んど減りません。
  93. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 大蔵委員側の御発言はこれを以て尽きたと認めます。つきましては連合委員会はこれで終了することにいたして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めます。それではさようにいたします。    午後三時四十二分散会