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国務大臣(
大橋武夫君) 誠に御尤もな御
質問でございます。この
機構を一元化いたしたという点につきましては、一応問題を
二つに分けて御
説明をいたしたいと存ずるのでございます。即ち
海上保安庁からこのたび
保安庁に統合されまする
機構といたしましては御
承知の
海上警備隊というものがございます。これは
警備隊として
保安庁の一
機構に入
つて参ります。このほかに
海上公安局というものがございます。この
海上公安局は
保安庁の
附属機関として別途に入
つて来ておるわけであります。この
二つの
関係から申しまするというと、
政府が
保安庁において一元的に統合しようということを先ず
考えましたものは、
保安隊と
警備隊の
一元的運営をしようという
機構であ
つたのでございます。その際におきましては、
海上公安局に相成るべき
部分、即ち
海上警備隊以外の
保安庁に入るべき現在の
海上保安庁の
機構というものは、これは先ず別にして
考えまして、
警察予備隊と
海上警備隊だけを
一つにしよう、こういうことをまあ
考えたわけでございます。で、その
理由といたしましては、
海上警備隊にいたしましても又陸上の
警察予備隊にいたしましても、これらは
国内治安の面から申しまするというと、いわゆる平常の
事態におきまして常時活動するというふうなことを
考えて
組織されたものであるというよりは、むしろそういうふうな平常の
事態につきましては
一般の警察或いは水上警察、こうい
つた機関にそうした
事態の処理を任せる。それらの警察或いは水上警察の平常的な機関で処置できないような
事態になりました場合、即ち
非常事態の際に、より強力な実力を以ちまして
事態を実力によ
つて処理しようというのが、これらの
部隊の
任務と相成
つておるわけでございます。従いまして、これらの
機構は普通の警察から見まするというと、その備えておりまする実力の面において格段の差違があるわけでございまするし、又警察につきましては、いわゆる警察法等によりまして、
自治体警察、
国家地方警察、そしてそれを運用する機関といたしましては公安
委員会というような
制度があるわけでございまするが、この
非常事態に対処する国の実力
組織はそうしたものでなく、むしろ国の直接の統制下にこれを置きまして、そしてでき得る限り発動する際にはその実力を十分に発揮をする。そのためには、指揮
命令の系統におきましても
政府の直接の意図が直ちに全
部隊に反映して、一糸乱れざる統制をと
つて活動するというようなことが
機構上の必要と相成るわけでございます。そうした点におきまして、
警察予備隊と
海上保安庁というものがいずれも同じような
性格を持
つておるものでございます。そうして又これらの
部隊組織は、先ほど来申上げましたごとく実力を以て行動することを
任務といたしておるのでございまするから、この実力というものが常に
国家の政治というものに完全に駆使されるという
状態にあることが必須でございまして、政治と
関係なく或いは政治の要請に反した発動をするということは、これは断じて避けなければならんのでございます。この
意味におきまして、
機構の面においても特に大きな実力を持
つておる
部隊であるという観点から、特殊な工夫を必要とすると存ずるのでございますが、この点につきましても両者は同じような
性質を持
つておるわけであります。従いましてかような
機構を
考えまする場合において、これらの
部隊を一元的に統制し、そうして双方の
部隊が両々相待
つて国の
非常事態に対処する、
治安上の要請に即応するがごとき、そうして又そこに政治の完全なる掌握下にその実力が運営されるという形態を保障する、そういうような
機構を
考えようというのがこの
保安庁法案の
根本精神でございまして、この点において、両者を統一いたしまして、これを統制する
一つの
機構を作るということが適切であると
考えたわけでございます。即ちかような観点から
考えまするというと、従来の両者に分属いたしておりましたところの形というものは、これらの実力を一元的に運用する面において欠くるところがありまするし又特に
海上保安庁の
機構は、これらの
部隊を
政府が完全に統制するという上におきましても欠くるところがある。そこで
機構を整備する機会にこれを一元化しよう。これが
警備隊と
保安隊を一元的にいたしました
理由でございます。而してこれに附随いたしまして
海上公安局を
保安庁の
附属機関にいたしたのでございまするが、これは、元来陸上において
考えますれば、
海上公安局の
仕事というものは平常的な
仕事と見るべきものであり、いわば陸上における普通警察の
性格を多分に持
つていると思うのでございます。これをなぜ
保安庁に持
つて来たかといろ点に相成りますると、これは全く、船舶が十分にあり、公安局においてそのすべての使命を遂行するだけの船舶を独自に持
つている、又
海上警備隊においてその使命を遂行できるような船舶を十分に持
つているという場合におきましては、これは別々に所属せしめても支障はないと存じまするが、不幸にして現在の実情は十分なる船舶がございませんので、必要の場合には船舶の一元的な運営という面を
考えなければならん。そこでさような面から便宜
海上保安庁の警備、救難の
部分を一応
保安庁に付属せしめることにいたした次第であります。
従つて保安隊警備隊を
一つにいたしたということは、これは
最初から第一義的に
考えた点でありまして、警備救難
関係の
事務をこれに付属機関として所掌せしめたということは、船舶を利用するという面からの便宜的な措置であるとお
考えを願いたいのであります。