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1952-07-22 第13回国会 参議院 電気通信委員会 第49号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十七年七月二十二日(火曜日) 午後一時五十三分開会
—————————————
委員
の異動 七月九日
委員大島定吉
君
辞任
につき、 その
補欠
として
工藤鐵男
君を
議長
にお いて指名した。 七月十一日
委員工藤鐵男
君
辞任
につ き、その
補欠
として
大島定吉
君を
議長
において指名した。
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
鈴木
恭一
君
理事
山田 節男君
委員
大島
定吉
君
新谷寅三郎
君
稻垣平太郎
君 水橋
藤作
君
政府委員
電波監理委員会
委員長
網島 毅君
電波監理長官
長谷 愼一君
電波監理総局法
規経済部長
野村 義男君
事務局側
常任委員会専門
員 後藤 隆吉君
常任委員会専門
員 柏原 榮一君
参考人
日本船主協会理
事
一井
保造
君
船舶通信士協会
山縣
忠重
君
—————————————
本日の会議に付した
事件
○
電波法
の一部を
改正
する
法律案
(内 閣提出、
衆議院送付
)
—————————————
鈴木恭一
1
○
委員長
(
鈴木恭一
君)
只令
より
委員会
を開会いたします。 先ず
電波法
の一部を
改正
する
法律案
を議題といたします。この
内閣提出
の
電波法
の一部を
改正
する
法律案
は五月十日に
予備審査
で当
委員会
に付託せられ、六月十九日に
衆議院
で
修正議決
の上に本院に送付せられて直ちに正式に付託せられた次第であります。当
委員会
におきましては右の
法律案
について五月十三日に
提案理由
の
説明
を
聴取
、六月二十二日に
逐條説明
を当局より求め、五月二十六日、六月四日に質疑を行な
つて
参りました、本日は六月の二十五日の
委員会
の決定に基きまして
参考人
の
おいで
を煩わして
右法律案
について御
意見
を拝聴することにいたした次第であります。
参考人
は
日本船主協会理事
の
一井保造
君、
船舶通信士協会
の
山縣忠重
君の御両名でございます。
委員長
といたしまして
参考人
のかたに対して一言御挨拶申上げます。
政府
は今回先に一九四八年に
ロンドン
で締結せられました
海上
における
人命
の安全のための
国際條
約に今加入しようとしておるのでございます。この條約は本年の十一月十九日から効力を発生することにな
つて
おります。
船舶安全法
が一方において
改正
せられ、又
電波法
の一部を
改正
いたしましてこの條約に即応するような方法を講じようといたしておるのでございます。
只今
申しましたように本
委員会
で
只今審議
中でございまするが、特に御
関係
の深い
船主協会
或いは
日本海員組合
並びに
日本通信士協会
、非常に御関心を持
つて
おられるように拝聴いたしております。或いは書面を似ちまして公式非公式に私のほうに御
意見
を頂戴いたしておるのでございまするが、直接今回
おいで
を願いまして御造詣深い、殊に
関係
の深い御
両氏
の率直な御
意見
を伺いまして、私
ども審議
の
参考
にいたしたいと存じておる次第でございます、御
両氏
におかれましては非常に御多忙のところを曲げて
おいで
を頂きまして誠に有難うございます。厚く御礼申上げます。お話を伺う時間は大体二十分程度といたしたいと存じております。 なお、
委員
のかたに申上げますが、御
両氏
の御
意見
が開陳せられましたあとに御
質問等
ございますればお願いいたしたいと存じます。どなたからでもよろしうございまするがお願いいたしたいと存じます。
一井
さんに一つお願いいたしましようか。
一井保造
2
○
参考人
(
一井保造
君) 私は
日本船主協会理事
の
一井保造
でございます。
電波法改正
に関しまして私の
意見
を申上げます。本件につきましては去る六月十一日に
衆議院
におきまして
電気通信委員会
が開催せられまして、
参考人
及び
関係
のかたがたの御
意見
が述べられております。問題の所在を明瞭ならしめ、なお又できるだけ重複した
説明
を省くために、以下
簡單
に問題とな
つて
おります点につきまていろいろの
意見
を申述べまして私の
意見
を附加えたいと存じます。 第一の問題の点は
戰後朝鮮
、琉球、千島、樺太、
台湾方面
が新たに
外国
となりました。従来はこの
方面
では二級
通信士
が
通信長
としてその
職務
を行な
つて
おるのでありますが、来年六月から一級
通信士
の指揮の下でなければその
職務
を行い得ないということになるという点でございます。この点につきましては
国際電気通信條
約、この條約におきまして二級
通信士
といえ
ども
国際通信
に従事し得るということが
規定
せられてあります。これは
国際電気通信條
約の
附属無線通信規則
第二十
五條
の五百五十九を参照願いたいと思います。なお二級
通信士
は
国際電気通信條
約に基き
国際通信
に必要な
国家試験
に合格をしています。又実際問題として現在二級
通信士
でや
つて
おるものを来年の六月から一級
通信士
に変えなければならない、こういう工合になりますると、
人員配置
につきましていろいろと困難を感じます。大体以上三つの
観点
から、今回の
電波法改正
に当
つて
、第三級
通信士
の
従業範囲
を擴張し、これが新らしく
外国
となりました水域につきましても従業できるようにして頂きたい、これは
現行電波法
第四十條の
修正
でございます、なお、この点に関しましてやや
違つた見解
もございまするが、私といたしましても、是非とも第二級
通信士
の
従業区域
の擴張を認めて頂きたいと存ずる次第でございます。 第二に、
オートアラーム
の
採用
とこれが
運用
、
執務
時間及び
聴取
時間の
改正
に関する問題でございます。この
聴取
時間等の問題は、
専門
に亘りまして、ちよつとわかりにくい点がございまするが、
簡單
に
説明
いたしますると、このたびの
改正案
では次の
通り
にな
つて
おるのでございます、
総トン数
千六百
トン
未満
五百
トン
以上の
貨物船
、
改正案
では
旅客船
のこともございまするが、
説明
を
簡單
にいたすたつめに、なお又現在
我が国
では
旅客船
は非常に少いので、主としてここでは
貨物船
について御
説明
を申上げますと、
総トン数
千六百
トン
未満
五百
トン
以上の
貨物船
で
公衆通信
を取扱わないものについては、従来は
法律
上
無線局
を設ける
義務
がございませんでしたが、今後は第
三種局甲
として、四時間の
運用義務
時間及び
聴取
時間を課せられることになりました。六十三條でございます。次に、一
現行電波法
では、第
一種局
、これは
貨物船
では五千五百総
トン
以上の船でございまするが、この第
一種局
では二十四時間の
聴取義務
があり、又第二種
局甲
、これは千六百
トン
乃至五千五百総
トン
の
貨物船
でございます。この第二種
局甲
では十六時間、乙、これは第一種及び第二種
甲域外
の
公衆通信
を取扱う
貨物船
でございます。この乙は八時間の
聴取
の
義務
がございましたが、
改正
の結果、第
一種局
及び第二種局は三十四時間の
聴取義務
があり、聽覚による
聴取
時間は
オートアラーム
を備付けた場合は、第一種については二十四時、第二種
局甲
については十六時間、乙は八時間と相成りました。そのほかいろいろと細かい
改正点
がございまするが、煩雑でございまするので、これを省きます。以上今回の
改正点
につきまして、第一の点、即ち第
三種局甲
に関する新らしい
規定
につきましては、
安全條
約では
各国政府
の取扱いに一任いたしております。これは
安全條
約第二部第七
規則
(は)の(2)という
規定
にございます。第二の点、即ち第
一種局
及び第二種局の
聴取
時間につきましては、
安全條
約では、いずれも
オートアラーム
を付けることを前提といたしまして、第
一種局
の場合は
我が国
の二十四時間に対しまして十六時間、第二種局の場合は
我が国
の十六時間に対しまして八時間といたしております。これは第七
規則
のい及びはに
規定
がございます。即ち、
修正案
では
安全條
約を時間の上で上廻
つて
おる次第でございます。なお御
参考
に申上げまするが、
現行法
による
聴取
時間は、第
一種局
は常時、第二種
局甲
は十六時間、乙は八時間とな
つて
おります。これは
現行法
第六十
五條
に
規定
がございます。
船舶
に関し、
人命
、船体、
積荷等
の安全を図り、危険を防止するために、
通信施設
について十分なる
考慮
を拂わねばならんことは勿論であります。この点につきましては、
関係者
は何人も異存はないと存じます。ただ問題は、
海運産業
が国際的な性格を持
つて
おる。常に国際的な競争にさらされておること、及び
戦争
によ
つて殆
んど九割がたの船腹を失いまして、且つ
戦前蓄積
をしておりました
資本
の全部を失いました。殆んど再起を危ぶまれました
我が国
の
海運
が、今漸く復興の途上にあり、
昭和
二十五年四月長い
国家管理
の後に漸くいわゆる
民営還元
が実現いたしまして活動を始めて数年、現在では世界的な
海運界
の不況のために非常に苦しんでおるという事実を考えまして、この際一挙に
理想案
を実施することにつきましては、御
考慮
を願いたいと存ずる次第であります。
現実
の問題として、
我が国
に来航いたしまする
外国船
について見まするのに、
通信士
は大体一名でございまして、この点につきましては、
我が国
の現状では隔りがございます。
外国船
と
我が国
の船とは、いずれも
違つた電波法
を持
つて
おるため、ひとしく
国際條
約の制約を受けながら、かような事実が起
つて
おることと存じます。この点につきましても
考慮
をせられまして、今回の
改正
に当りましても、
執務
及び
聴取
時間において
安全條
約を上廻らないように
措置
を願いたいと存じます。 すでに申上げましたが、
船舶航行
の安全につきましては、單に私企業の
立場
ばかりでなく、国家的に考えましても、その
重要性
を認識しており、且つ又
立場
々々においていろいろ
意見
が出ることにつきましても、その事情はわかりまするが、
我が国
の
海運
を復興せし
むるといろ大乗的見地
から慎重に
考慮
を拂われんことを熱望する次第でございます。 なお、
オート・アラーム等
の
採用
につきましても、又
人員
の
配置
につきましても、
相当
の準備を要しまするので、
電波法修正案
の実施については、
経過規定
として、二ヵ年の猶余を希望いたす次第であります。
最後
に申上げまするが、私は
日本
の
海運全般
の問題につきまして
昭和
二十五年四月にいわゆる
民営還元
をいたしまして、
戦争
中
船舶運営会
によ
つて
運営せられてお
つた我が国
の
海運
においてこれを引継ぎました際に、その間業種によ
つて
多少の差違はございまするが、
戦前等
に比較いたしまして
人員
において過剰なものがあつたということは言い得ると思います。併しながらこの
人員
の過剰というものは、今や
我が国
においては海陸を問わず、官民を問わずあらゆる層における問題でございまして、言わば
日本
の人口問題の最も大きな焦点はそこにあるのであります。多くの人々がお互いに理解し合い、お互に助けて行かなければならないという
根本理念
においては
はつきり
としておるのであります。
従つて電波法改正等
にきましても、或いは又
船員法
における
定員
の
改正等
につきましても、新らしい
規定
ができましたが、これとは別個に
船主協会
が
全日本海員組合
と結んでありまする
団体協約
においては、別個の又協定も結んでおるのであります。これが
精神
は要するに互いに相助けて急激なる
変化
、急激なる困難を来たさないという趣旨から出ておると存じます。
従つて電波法関係
につきましても、我々は
外国
の例を参照しまして直ちに急激なことを期待はいたしません。又
現実
の
人員
に対して困難を来すようなことも希望いたしません。併しながら先刻申上げましたが、
海運業
が国際的な
産業
であり、事実又非常に困難を感じておるという点から考えまして、この間の
考え方
において何ほどかこの点を御
考慮
願いたいと存ずる次第でありまして、
最後
に
全般
の問題につきまして私の
意見
を率直に申上げた次第であります。
鈴木恭一
3
○
委員長
(
鈴木恭一
君) 有難うございました。では
山縣
さんにお願いします。
山縣忠重
4
○
参考人
(
山縣忠重
君)
只今
御指名頂きました
通信士協会
の
山縣
でございます。今議会に
政府
が提出されました
電波法
一部
改正
、このことにつきましては先に私
ども
のほうから
船舶
の
無線業務
に
関係
のある二点を
修正
して頂きたいという
請願
を申上げてあるのでございますが、このことにつきましては
只今一井
さんから御
意見
が述べられた中にありますように、
衆議院
の
電通委員会
におきましても私
ども
の
意見
を述べさして頂きましたのですが、本
委員会
におきましてもそれらのことにつきまして私
ども
の
意見
を述べる機会を與えられましたことを厚くお礼申上げます。 先ず第一点といたしましては、二級
通信士
の
就業範囲
をもう少し
擴げ
て頂きたいということでございますが、このことにつきましては、
只今一井
さんから御
意見
が述べられたように、私
ども
も大体同様の
観点
に立
つて
この際若干
就業範囲
を
擴げ
て頂きたい、これは私
たち
といたしましては現に
経過規定
によりまして二級
通信士
が
通信長
としてこの法の
範囲
内でその職責を完全に果しておる。かような
観点
から私
ども
の希望いたしまする
近海
一区という
範囲
内の
無線通信業務
というものは、二級
通信士
の
資格内容
で十分ではないが、かように考えての希望でございます。
従つて
これを無制限に
擴げ
て頂きたい、かような意味ではないのでありまして、大体
一井
さんの御
意見
と同様でございますので、重複を避けたいと思います。 次に
請願
の第二は、
警急自動受信機
に関する件でございます。これは一九四八年
ロンドン
で締結されました、「
海上ニ於ケル人命
ノ安全ノ為ノ
国際條
約」は、新たに
旅客船
と千六百
トン
未満
五百
トン
以上の
貨物船
に
無線設備
をするごとと、それから
旅客船
と千六百
トン
以上の
貨物船
に
無休聽守
を
義務
付けたのでございます。これは
無線
の常時
聽守
が船の安全を期する上に極めて重要だという認識の現われだと思うのであります。私
たち通信士
は
日本
で初めて商船に
無線
が装備され、
定員
一人の頃からその
業務
上の
経験
を通じて
無休聽守
でなくてはいけないことを痛感し、
三直制
による常時
執務
を強く主張して来たのでございます。そうしてそれが
海上
危険が増大した
戦争直前
にほぼ実現したような次第でありまして、このことが
国際條
約で
規定
されましたのは何と
言つて
も
海上
安全にと
つて
大きな
進歩
であり、私
たち海上労働者
としては喜びに堪へないところでございます。この條約に適合するために
船舶安全法
が
改正
され、又
電波法
もそれに伴
つて
改正
されることに
なつ
たのでございますが、今度の
改正法案
を見ますると、そうした折角の
進歩
的な
措置
を実質的には効果のないものにしてしまうような箇所が見受けられるのでございます。即ち第六十
五條
の第一項、第二項では五百キロ
サイクル
の
指定
を受けている第
一種局
、これは
総トン数
三千以上の
旅客船
と五千五百
トン
を越える
貨物船
の
船舶無線電信局
を指します。及び第二種局、これは甲乙の
区別
があ
つて
、甲は
船舶安全法
第四條の
船舶
で
総トン数
五百
トン
以上二千
トン
未満
の
旅客船
と、千五百
トン
以上五千五百
トン
までの
旅客船
以外の
船舶
の
無線電信船舶局
を指し、第二種局乙、これは第
一種局
に該当しない
旅客船
以外の
船舶無線電信局
で
公衆通信
を取扱うものと、第
一種局
及び第二種
局甲
に該当しない
旅客船
の
船舶局
を指しますが、これらは五百キロ
サイクル
で常時
聽守
するこことし、更に五百キロ
サイクル
の
指定
を受けている
海岸局
及び第
三種局甲
、これは
総トン数
五百
トン
以上千六百
トン
未満
の
旅客船
以外の
船舶安全法
第四條の
船舶
の
船舶局
で
公衆通信
を取扱わないものを指しますが、これらの
義務運用
時間は五百キロで
聽守
することを
規定
しておりますけれ
ども
、第六十
五條
の第四項におきましては、
運用義務
時間以外は
警急自動受信機
による
聽守
でもよいとしているのでございます。これを裏返せば
警急自動受信機
を以て
通信士
に代え得ることであり、
通信士
を減らしても差支えないのだという
規定
となるのでございます。成るほど
国際條
約でも
警急自動受信機
の
聽守
を認めておりますし、現に
外国船
な
ども
使用しておりまして、それらの
関係
からするならば至極く当然のこととお考えになるかと思いますが、実は私
たち
としてはそこに大きな問題があると思うのでございます。先ず第一に、
警急自動受信機
は到底
通信士
の
代り
にはならないということでございます。この
警急自動受信機
という
機械
は、
日本
でも
曾つて大型船
に使用されたことがございました。私
ども
もそれを操作した
経験
がございますけれ
ども
、
毎日所定
のテストをして異常のないことを
確め
た上、
執務
時間を終えて孰眠前には必ず
作動状態
に置いたものでございますが、けたたましい警鈴に起されて
受信機
のスヰツチを入れて見ると何でもなかつたり、朝起きて見ると、寝ている間に
遭難船
があつたりして、さつぱり役に立たないばかりか、結局は
通信士
に無用の煩労を加えただけでございました。勿論日進月歩と言われます
電波科学
の発達によりまして今日の
機械
の
性能
はその頃のものよりは高くな
つて
いることではございましようが、而もなお或る
限界
のあるということは否定できません。
米国船
の
通信士
の
労働協約
では、
オートアラーム
によ
つて執務
時間外に起された場合は、時間
外労働
として手当を支拂うことを協定しているのでございますが、その場合
空電
によ
つて
七回以上作動したなら、その
オートアラーム
は取替えねばならないという
條項
を設けてあります。これは
アメリカ
では
通信会社
が
通信士
と
機械
を供給しているからでございますが、この例によ
つて
見ましても、
アメリカ
の
機械
ですら
空電
で作動することがあるのでございます。今後装備しようとする
機械
は、
所定
の規格に照らして厳重な
性能検査
が行われ、それに合格したものとなりますから、当然確度も
相当
高いものとなるではございましようが、
無線機器型式検定規則
第十七條の第五項では「
空電
又は
警急信号
以外の
信号
では、動作しないこと。但し、事実上
警急信号
を構成する場合は、この限りでない。」と
規定
しておりまして、相重畳する
空電
がたまたま
警急信号
を構成したら、結局
空電
でも動作することになるが、これは仕方がないのだとしているのでございます。私
たち
は
科学
の
進歩
とその成果というものを否定するつもりではございませんけれ
ども
、
機械
の
性能
にはこのようにおのずから或る
限界
があ
つて
、所詮意思を持たない
機械
は人間の
代り
にはならないことを認めないわけには行かないのであります。 第二には、
警急信号
で動作するこの
機械
は、その
信号
を伴わない
遭難通信
に対しては、全くの聾であるということでございます。
警急信号
と言いますのは、四秒時長の長点を一秒時間隔で三回以上を以て構成し、これを
遭難通信
の
直前
に発射することを建前としているのでございますが、
遭難通信
の発信というものは、その性質上一般に慎重に扱われております結果、
警急信号
を発射するいとまがないとか、又は余裕があれば、
緊急通信
で
遭難
の危險をあらかじめ
通信
し、それに引続いて
遭難通信
に移るという場合が多いのでございます。
従つて
そこには
警急信号
の伴わない
遭難通信
がままあるのでございますが、それらに対して
警急自動受信機
は全く用をなさないのでございます。これは
遭難通信
の実体から来るもので、如何に
機械
の
性能
をよくしましても解決のできない点でございます。 このように
機械
の
性能
の限度からしましても、又
遭難通信
の実情からしましても、極めて不十分なことは明らかでございますが、若しこれが本
改正法案
の
通り
に
なつ
たとしましたら、どんな結果になるでございましようか。
昭和
二十七年三月一日現在
海上保安庁
の調査によりますと、五百
トン
以上の船は八百十九隻で、そのうち第二種局、つまり五千五百
トン
以下の
貨物船
と三千
トン
未満
の
旅客船
以下の船は七百四隻を占め、更にこのうち
近海
に就航するものは五百
トン
以上四千
トン
未満
として五百四十二隻となりますが、これらの船は
船舶局
の
区別
によりましてそれぞれ十六時間、八時間或いは四時間の
限定執務
で、その時間は
AC條
約附録第十三
号C地帯表
に基き、
東部インド洋
、支那海、
西部太平洋
にあるものは全部同様に定められているのでございますから、それらがいずれも
運用義務
時間以外を
警急自動受信機
で聴守するとしますと、この
区域
内に就航する全
船舶
に
警急信号
以外には全く聾となる空白の時間が、
日本
時間で午前で時から一時、午前七時から九時、午後三時から五時、午後七時から九時、午後十一時から十二時と現われて来るのでございます。この時間中は
警急信号
が正確に発射され、それによ
つて警急自動機
が確実に動作しない限りは、如何なる
遭難
が起
つて
も、救助したり、されたりすることは全く望めないことになりますので、こういうことを考えますと、実に慄然たる思いがするのでございます。 これは若干古い話になりますが、一九三八年
英国
の
大型貨物船アングロ・オーストレーリアン号
という船が、大西洋でか地中海でか判明しないのですが、ともかく行方不明に
なつ
た
事件
がございました。これに関して
英国通信士
のジヨン・エドワード君は
英国無線技師協会
に寄せた手記の中で次のように
言つて
おります。
英国船
は
オートアラーム
を装備し、限定された
運用
時間以外はそれに
聽守
を委ねていた。その船も
無線装置
も又
通信士
も優秀であつたはずなのに、
遭難通信
が全く他船にキヤツチされなかつたのは、
船主資本家
の利益のために
採用
された不完全な
オートアラーム
のせいである。
オートアラーム
は時々役に立つだけのものであるのに、
政府
は
通信士
と同じように役に立つものとして愚劣な立法をしたためこの
悲惨事
は惹き起されたのだ。
英国通信士
は団結して
通信士
による二十四時間ウオツチを実施せしめねばならない。このように強調しているのでございます。 特に
日本近海
はその地形と
気象状況等
からいたしまして世界的に
航海
の
難所
とされておりまして、
従つて遭難率
も高く、
昭和
二十六年の
海難
で汽船の全損だけでも二十隻に上
つて
いるのでございます。このような危険の多い海域を
航海
する私
ども船員
といたしましては、
自分自身
の生命の安全のためにも、又
日本海運発展
のためにも、
海難
を起さないための努力をするのは当然でありまして、
遭難
時の
救助措置
もさることながら、
海難
の防止を第一義として困難な
自然現象
と闘
つて
いるのでございます。ここにおきまして
無線
は
船舶
の安全なる
航海
にこそ役立たせねばならないのでございます。現在では
無線通報
による
航海
安全のための
措置
はかなり充実しております。
通信士
はその
当直
中、
気象
、
航行警報
或いは報時その他陸上からの情報は勿論のこと、視界の悪いときは絶えず
附近航行船
と連絡を
とつ
たり、その動静と
状況
を把握し、或いは
無線方位
を測定すると共に、多数の
海岸局
の
呼出し等
、
無線
の
電波
をそれぞれ瞬間の
変化
の中で監視しているのでございますが、これを
航海
中常時継続してこそ初めて
無線
が安全に役に立つのでございます。この
改正法案
が実施されますと、
船主
さんのほうでは早速
警急自動受信機
を取付けて
通信士
を減らそうとするでありましようが、五百キロ
サイクル
という
ただ一つ
の周波数の而も特定の
信号
だけにしか作動しない
機械
を獄て
通信士
の
代り
にするという
考え方
は、
海上
安全に対して実に大きな冒険だと言わざるを得ません。而も
船主
さんはこの
機械
を装備して減すだけではなく、全く装備しないで減すこともできるのでございます、第二種局乙は
無休聽守
が
義務
付けられておりますが、それに該当する
船舶局
を
公衆通信
を取扱わないものとすれば、第
三種局甲
になり、常時
聽守
の
義務
を免れますから、そこに抜け穴ができて、ますます法の
精神
に合致しない結果となるのでございます。私
ども船舶乗組員
として
警急自動受信機
を船に装備すること自体に反対するものではございません。ただこれが
通信士
を減らす手段に用いられることに反対しているのでございます。レーダーができまして船の
安全度
は確かに高まりました。併しそれだからとい
つて
当直航海士
の
代り
にはならないと同様でありまして、この
機械
を
通信士当直
の補助として他の
通信
のために
遭難波
としての五百キロ
サイクル
を
聽守
できない間作動させて置くことにして頂けば、それこそ完全な常時聴守になり、本当に安全に役立つのでございます。 およそ
海上
におきましての安全というものは相関的なものでございまして、互いに他船の安全に役立てることがとりもなおさず他船の安全を期するゆえんなのでございます。先ほど申述べました
通り
、
日本近海
は世界的な
航海
の
難所
と言われるだけに、
海難率
は驚くべき数字を示しております。
海上保安庁
の調査による
昭和
二十六年の
海難
は、
遭難船
隻数三千五十八隻、乗組員二万六千八百三十四名、船価見積り千百七十八億二千二百万円、うち行方不明、沈没の損失は四百十九隻、五万六百七
トン
で、それにより船価にして三十四億百六十八万円と、千六百二名の尊い
人命
を失
つて
いるのでございます。
警急自動受信機
を装備して
通信士
を減らすことの経済的利点と比べると余りにも桁違いのようでございます。何ものにも代えがたい
人命
は論外としまして、こうした莫大な損害は保険でカバーできるからとい
つて
済むものではございますまい。国全体の経済の上に大きく響くこのような
海難
を防止するために必要な
措置
を講ずるのは国自体の務めだと思うのでございます。 以上申述べました
通り
、極めて特殊な事情の下にある
日本近海
におきましては、外船と同じようにすることは極めて危険であり且つ不適当でございますから、
日本近海
就航船の大宗をなす
船舶
の
無線局
が実質的な
無休聽守
をなし得るように
関係
條項
第六十
五條
の第四項を是非とも削除して頂き、同時に
運用義務
時間は本條
規定
を最低のものとして特別の
措置
によ
つて
これ以下に短縮することのないように第六十三條の但書をも削除して頂きたいのでございます。 なお、先に私
ども
のほうから差上げてあります
改正
に関する
請願
書のうちで
改正法案
第六十三條但書及び第六十
五條
第一、第二、第三、第四項を削除とありますのは、第六十三條但書及び第六十
五條
の第四項を削除の誤りでございますから、御訂正下さいますようにお願い申上げます。御清聴を感謝いたします。
鈴木恭一
5
○
委員長
(
鈴木恭一
君) 有難うございました。何か御質問ございますれば……。
山田節男
6
○山田節男君
電波監理委員会
にちよつと質問したいのですが、今
参考人
二人のお述べに
なつ
た中で
オートアラーム
に関する問題ですが、
オートアラーム
というものは、勿論
電波科学
が非常に発達したから、殆んど完全なものができておるだろうと思うのですが、果してこれが絶対信頼し得べき程度まで
オートアラーム
が発達しているのか。殊に
日本
の現在のメーカーがそういう完全なものを作り得るかどうか、これを一つお聞きしたい。
長谷愼一
7
○
政府委員
(長谷愼一君) お答え申上げます。
只今
両
参考人
のかたからいろいろ
警急自動受信機
のことにつきまして御
意見
を述べられたのでありますが、私
ども
も
警急自動受信機
のことにつきましては、今回の
電波法
の
改正
を立案するに当りましても極めて慎重な態度を
とつ
た次第でございます。この
警急自動受信機
につきましては、
電波監理委員会
の行う型式検定に合格したものでなければ
船舶
に付けてはいけない。法に述べてありますところの
警急自動受信機
というものは、
電波監理委員会
の型式検定を経たもので初めてそれに該当するものだ、こういう考えをと
つて
おるわけでございます。
電波監理委員会
で行な
つて
おります
警急自動受信機
の型式検定も、
只今
いろいろお話になりました点等からいたしまして、その技術的な機能ということに十分の注意を拂
つて
型式検定を従来も行な
つて
来ております。又今後もその考えで行な
つて
行こうという考えでございますが、何分にも
警急自動受信機
は、先ほど
参考人
のかたからも例えてお話がございましたように、たまたま
空電
とかそのほかの混信の
信号
によ
つて
丁度
警急自動受信機
の特殊な
通信
の
信号
と同じような組合せに
なつ
た場合にはやはり動作するのでございます。これはいろいろ人工的にこれを試験調査をすることもできますけれ
ども
、実際の実地の調査ということがやはり必要であるということも私
ども
考えております。従いましてこの
警急自動受信機
と或いは実際に
通信士
のかたが耳によ
つて
聽守
をやる場合とどれだけ事故なしにこれを全く
警急自動受信機
によりまして代行し得るかどうかということは、実際に
運用
を
相当
の期間いたしましてこれらの調査をしなければならん、こういうような考えも実は持
つて
おるわけでございます。従いまして今回の
電波法
の
改正
は
警急自動受信機
によ
つて
もよければ、或いは
通信士
によ
つて
、今回の
改正
によりまして言葉を換えて申しますと、今回の
海上
における
人命
の
安全條
約に加盟することによりまして、
聽守
義務
時間が延長になりました部分をカバーするのには、
通信士
によ
つて
それを行われてもよろしいし、
警急自動受信機
によ
つて
行われてもよろしい、両建を
とつ
たのは、実はその点にやや私
ども
といたしましても実地の調査
経験
をしましてどちらかに判断を下さなければならないという多少の疑問の点、危惧の点がありましたものですから、そういう形にいたしておるわけでございます。 なお、御
参考
に申上げますが、現在
日本
におきまして
日本
製の
警急自動受信機
は、一社だけの製品が型式検定を合格いたしております。併しこれはまだ長い使用
経験
を持
つて
おりませんので、実際上に何らかの欠陷があるかどうかということにつきましては、まだ
はつきり
申上げる時期に至
つて
おりません。 なお、重ねて御
参考
に申上げますが、この
警急自動受信機
のことにつきましては、
電波
の監理面ばかりでなしに、運輸、まあ
船舶
運航のかたがたとも十二分に連絡をいたしまして、今申上げましたようなことの調査、資料の牧集等をいたすべく目下準備をいたしている状態であります。
山田節男
8
○山田節男君 そうすると、今の長谷長官の御
説明
だと、
オートアラーム
にはまだ絶対的な信頼性を持
つて
いない。
従つて
そこに
通信士
と
義務
的に
受信機
というものを併用する。こう
言つて
おられるのですが、さつき
山縣
参考人
からも述べられたように、この
日本
には非常に
海難
が多いということは、
近海
の
気象
状況
それから救難施設、それからまあ船そのものが非常に質が悪いというような問題があろうと思います。そういうような点から見まして今の御
説明
だと
オートアラーム
には全面的に信頼していたい。かように私は解釈するのですが、この点に関しては長谷長官はどういうふうに考えますか。
長谷愼一
9
○
政府委員
(長谷愼一君)
只今
の件でございますが、私が
警急自動受信機
につきましてやや危惧の念を持
つて
おりますのは、実際に
警急信号
が出ていないのに
警急自動受信機
が働く、こういう場合がしばしば起るのではないかというところに心配をいたしているわけでありまして、それは大体
機械
的に型式検定の
相当
精密ないろいろの受信
信号
の組合せ等をいたしまして、アローアンスの中に入るか否かということの精密な検査をいたしますが、先ほど申上げましたように自然に
空電
或いはほかの混信のためにどのぐらい瀕繁に、いわゆる疑似、似て非なる
警急信号
が実際に起きて
オートアラーム
が鳴るかどうかということについて我々多少疑問に思
つて
いるのであります。ベルが鳴りまして船員が起されるということが余りにも起るようでは、その効果ということも疑われるわけであります。そういう点について我々は実際の実地の資料というものを今後
日本
に
おいで
求めなければならないという点で今後も調査をしなければならない、その点を申上げたのであります。
山田節男
10
○山田節男君
一井
さんにお伺いいたしますが、この
オートアラーム
に関して
電波
監理総局のまあ責任者が
説明
しているわけでありますが、
オートアラーム
というものが絶対に信頼性がないということになれば、
通信士
を或る程度まで確保しておかなければならないと思うのでありますが、先ほどのあなたの陳述によると、この
オートアラーム
ういうものを備付ければ少くともこの
通信士
というものが現在の数で余るのじやないか。私はさように解釈するのですが、若しそうであればこの
オートアラーム
の設置によ
つて
どのくらいの
通信士
が不要にな
つて
来るのか。それから将来
海運
が戦後の破壊から復旧いたして参りまして、殊に
近海
航路というものの
船舶
が殖える、こういつた場合にやはり或る程度の
通信士
、
無線
通信
というものは必要じやないかと思うのであります。あなたとしてはこの
オートアラーム
が絶対に信頼すべきものだ、こういうお考えですか。それからそれによ
つて
一体どのくらいの
無線
通信士
が不要になるか。これは概数でよろしいがおわかりにな
つて
おればその数字をお示し願いたいと思います。
一井保造
11
○
参考人
(
一井保造
君) お答えいたします。
オートアラーム
の
性能
につきましては実は私
ども
はわからないのであります。又
日本
の
船主
といたしましても過去においてやはりこれを使用いたした
経験
が薄い、殆どないと
言つて
もいいのですから、ここで
はつきり
と申上げかねます。ただ
通信士
の数につきましては、
現行法
では第
一種局
は常時、又第二種
局甲
は十六時間、第二種局乙は八時間と
規定
をされております。今度の
改正案
では、第
一種局
は常時、これは変りございません。第二種局は、これは
オートアラーム
を付けなければ常時、
オートアラーム
を付けた場合においては十六時間、かようになるわけでございます。
従つて
現在と比較しますと、これは殖えましても減らないのであります。
従つて
若し
オートアラーム
を付けなければ常時としての
通信士
を持つ必要がある。付けた場合においては現状でよろしい。かようになります。
従つて
通信士
は減らないと存じます。それからなおこれは法規上では今申上げたようでありますが、
現実
には組合等の協約、第二種局におきましては事実は常時としての点数を備えております。
従つて
若し
オートアラーム
をつけた場合に、十六時間として若干の減少が来るかもわかりません。併しながらそれは現在の法規、現在我々がや
つて
いる組合との協定協約というものの両面から考えまして申上げるわけであります。第三種局等につきましては、先ほど
山縣
さんからお話がございましたが、これは一九二九年の
ロンドン
條約によ
つて
新しく
義務
が附加するものであります。
従つて
それだけ要員が増加する。
只今
御質問の幾ら減るかということにつきましては、これは減らない、むしろ殖えるのだ、但し現在の
労働協約
団体協約
の面において、それが
団体協約
が改訂されるならば、法規に
従つて
措置
された場合においては、第二種局の場合においては若干減るということを申上げておきます。
新谷寅三郎
12
○
新谷寅三郎
君
一井
さんの言われた第一点と、
山縣
さんの言われた第一点これは大体同じ方向を向いているようです。而も
衆議院
のほうでこの点について
修正
をしたようでありますから、このまま
通り
ますれば大体問題はないのですが、第二の
オートアラーム
の問題について少しお伺いしたいのですが、
山縣
さんに伺いますが、お話を伺
つて
いると、こういうふうにも聞えるのですが、この点御
説明
願いたいのです。非常に細かい繁雑な
規則
ですから具体的な問題はやめまして、
考え方
の問題でありますが、一体
海上
における
人命
の安全のための
国際條
約というものが生まれて、
船舶
の安全に関する施設を一応歩調を揃えてや
つて
、そうして
船舶
も
人命
も保護しよう、こういう心からスタートしていると思うのですが、大体主要国が入
つて
いるわけですから、各国が大体この程度の安全施設を持
つて
おれば、常時
航海
をするのに支障はないだろう、こういう見方で條約ができていると思うのですね。その点に対してお説を伺うと、こういうようなふうに聞えるのですが、
オートアラーム
を付けなくても、やはり
無線
通信士
というのは必要なんだ、仮に
機械
のやることと人間のやることは違うのだから、やはり
無線
通信士
は減らしちや困る。むしろ殖やしたほうがよいのだ。
従つて
海上
における
人命
の安全の條約に要求せられていない部分であ
つて
も、
無線
通信士
というものは乗せるべきであるというような考えが入
つて
おるのでじやないかと、私はお話を伺
つて
そういうふうに聞いたのです。 それで私から申上げるのはどうかと思いますが、勿論理想的に言えばこの安全施設もまだまだもつと研究しなければならん。備え付けなければならんというような施設がたくさんあるだろうと思います。併し大体これには普通の
海上
において起るような、何と言いますか、
海難
というものについては一応各国とも
経験
を持
つて
おるので、そういうものを対象にして考えた場合にどうしたらよいかということを條約において取上げておるのですから、條約の
規定
しておるところは加盟各国に対しては最小限であるが、一応それで十分な施設であるということを條約が認めておるというように考えられます。先ほどの
オートアラーム
の
性能
のいいとか悪いとか、
日本
でできるとかできないとかいう問題、一応これは別な問題にいたしまして、
海上
における
人命
安全に関する
国際條
約というものに対する
山縣
さんの
考え方
をもう一遍恐縮ですが、お伺いしたいと思います。
山縣忠重
13
○
参考人
(
山縣忠重
君)
只今
新谷さんからの御質問の点でありますが、
海上
の安全ということを第一のと言いますか、根本的な考えとして一応
無線
というものが今日まで発展して来ておる。これは現在
電波法
の基本的なものにな
つて
おると思うのです。そこでそうした安全というものを確保するためにいろいろな
無線
の
業務
が起
つて
参ります。つまり航行安全のための警報とか
気象
法、方位術、或いは又伝染病情報とか、それから
船舶
の
無線方位
の測定というようなものが航行安全を目的として設定されたいろいろの
業務
であります。そういう
業務
とそれからいわゆる商業
通信
というものに役立たせるという
業務
と、これが一応今日の
海上
無線業務
の内容でございますけれ
ども
、そうした
業務
の量から行きまして、
電波法
並びに
運用
規則
その他の
規則
で要請する
業務
を完全に遂行することが、結局今申上げました安全を確保する結果になる、そうしますと、そうした
規則
が必要という上に立
つて
立てられており、その
規則
の命ずるところによ
つて
なさなければならない
無線業務
というものから考えますと、今日私
ども
がこの
オートアラーム
が如何に優秀なもので
遭難通信
に対して的確に作動しましても、そうしたことだけに役立つ
機械
がそのままそうした
無線業務
を代行できないということが
はつきり
しておりながら、
通信士
の
代り
に当然登場して来る、こういうところから、私
たち
はその
オートアラーム
の
船舶
に装備することを自体に反対しておるのじやない、あらゆる
海上
の安全についての装置も当然或る経済的な
関係
から
限界
はあるでありましようけれ
ども
、そうした
現実
の
業務
というものに大きな支障を来たすということについては、
法律
で明かに人に代えられるということをここで決定してしまえば、否でも応でもそうした
海上
の安全のためのものができなくなるということから、私
ども
は
オートアラーム
のこの
規定
の仕方に対して反対しておるわけがあります。
従つて
何でもかんでも
オートアラーム
はいけないので、
通信士
を全部乗せろ、こういう意味ではないのであります。
オートアラーム
を附けて、
オートアラーム
の
性能
を活かす、或いはそのことによ
つて
肝腎の
海上
の
無線業務
が遂行できないという状態にならないだけの
措置
が同時に講ぜられるのでありまするならば、私
ども
としては一向差支ない、かように考えております、
新谷寅三郎
14
○
新谷寅三郎
君 お話はよくわかりましたが、それを言い換えますとこういうことにやはりなるのじやないでしようか。條約のほうは、そういう勿論
無線
通信士
のやる仕事の中には、あなたのおつしやつたような
気象
の通報もありましようし、或いは方位測定のための
無線
通信
の仕事もありましよう、いろいろな仕事があると思いますが、そういうことを考えて
聽守
時間と言いますか、
運用義務
の時間というものを大体予想しておるのだろうと私は思うのであります。そういうようなことを考えながらや
つて
おる
海上
における
人命
の安全のための條約の
規定
自体、
オートアラーム
を附けたら
無線
通信士
の数を多少でも減らしてもよいというような
規定
をおいておるのはおかしい。やはり條約自体もそういう点では
山縣
さんの御
意見
から行くと、
無線
技士の労働條件は余りかまわないと言いますか、或いは
人命
の安全に影響があると言いましようか、或いは両面でしようが、そういう点から困るのだ、こういうような結論になると思うのですが、その点もう一遍恐入りますが……。
山縣忠重
15
○
参考人
(
山縣忠重
君) 私
たち
が
現実
に
海上
の
無線業務
というものを見てみますと、今日常時
執務
の第
一種局
のほかに第二種の甲、乙、或いは第三種甲というのがその他にできたのですが、第二種局の甲、こういうのが
近海
の大宗を占めておる
船舶
の
無線
電信局でありますが、そこでやられております実際の
無線業務
というものを時間的に私
たち
がこれを出して見ますと、現在そうした船が
電波法
できめられた
運用義務
時間以内にやらなければならないものが、第二種局の甲で四時間十五分、それから乙では六時間十五分、こういうふうに明かに
義務運用
時間だけに盛り切れない仕事の量があるわけであります。そうしてそれをやらないならこれは
オートアラーム
を附けて、そうして十六時間或いは八時間というもので打切
つて
も私
ども
は一向差支えない。併しながらここに私
たち
が挙げましたこの時間の仕事の内容というものは、船が走るのに必要な船員決定に絶対必要な時間を調整するということやら、或いはこうした
気象
状況
の入手というような欠くことのできないものがこの時間を占めておるわけであります。そういうことから行きまして今ここで第二種
局甲
が
オートアラーム
を附ける、それで十六時間やればよろしいという態勢ができますと、今日私
たち
が
労働協約
の面で三名確保しておることによ
つて
、このはみ出る部分を私
たち
は基準労働時間という上で実行できるわけですけれ
ども
、それが若し覆えされるようになりますと、こういう抜くことのできない
海上
無線業務
を必然的にやめなければならん結果になり、そうしてそれを若し我々が
自分自身
の安全のためにやろうとするならば、これだけの過酷な労働時間というものが明らかに出て来る、こういうような矛盾を私
たち
は感じまするが故に、今
電波法
並びに
無線
諸
規則
によ
つて
規定
されておる仕事の内容でありますけれ
ども
、これは
船主
さんだけの考えでなくて、
海上
におる私
たち
の権利として保障される
海上
の安全が、そういうもの抜きで保障されるならば、私
たち
としてはこのような
オートアラーム
で、それこそ八時間以下の
執務
にしましても一向差支えない、かように考えておるわけであります。
新谷寅三郎
16
○
新谷寅三郎
君 よくお話の内容はわかるのですが、もう一遍お伺いするのですが、
簡單
に結論だけで結構でございます。
日本
の
通信士
とそれから
外国
の
通信士
との仕事の幅といいますか、受持
業務
の種類でございますね、それが非常に違うかどうかということ、私も大分船から遠ざか
つて
おるので船の仕事も忘れたのですが、大体に船に乗
つて
いる乗組員で甲板部員、機関部員、或いは
無線
部員はどうするというようなことはきま
つて
おると思うのですが、非常に
日本
の
無線
通信士
が
外国
の
無線
通信士
に比して違つた
業務
をたくさん一応担当させられておるかどうかという実情を、これは
外国
とい
つて
もいろいろありましようから、これは勿論標準になる点で結構でございます。労働の種類がどうだろうかという点について違つた点があれば教えて頂きたい。 それからもう一つは、先ほど来の御
説明
でございますが、結局結論としてはこういう御質問をしたほうがいいかと思うのですが、條約で国内法に任せられた部分はこれは別といたしまして、国内法に任せないで、條約に
はつきり
と
規定
した部分について考えますとその部分についてもあなたの御主張のように條約の
規定
で
オートアラーム
が附けられておれば或る程度
人員
を減らしてもいい、そういつた條文は
無線
通信士
の労働條件からみて適当とは思わないという結論になるのでございますか、その二点極く
簡單
で結構でございますから、お伺いします。
山縣忠重
17
○
参考人
(
山縣忠重
君)
只今
の
外国
の
無線
通信士
と
日本
の
無線
通信士
の仕事の差というような、仕事の差といいますのか、任務の、或いは
職務
の差というようなものは本質的には差異はないのじやいないかと、かように考えます。併し個々のことについて、例えば機器の修理というようなものは、
外国
では主としてメーカーのほうに
機械
そのものが所属しておるから、そうしたところで修理する、
従つて
保守に対する責任の度合というようなものも、
日本
の
通信士
が現在な
つて
おるのに比べまして若干の差異は当然であり得るのではないか、大体一つの例として申上げたわけですが、そのように若干個々については
範囲
がおのずから違
つて
おる、かように考えます。 それから第二点の條約が私
たち
の主張するものより下廻
つて
おるこういうことについての主張は、條約との
関係
から私
たち
として考えておるというわけではないのでありまして、ここで條約そのものが、その主管庁の委任という中で期待しておるものを、主管庁に委任されておるものが、私
たち
の主張するものを実現し得るものだ、かように理解しておるわけであります。
従つて
国際條
約が私
たち
の主張と全然問題にならんようなものであるというような、いわゆる
国際條
約を無視した上に立
つて
の主張をするわけではなくて、そういう点では今日の
電波法
、それから
国際條
約というもの
範囲
の中で私
たち
の主張するものが実現するのだ、かような理解を持
つて
の
請願
であるわけでございます。
新谷寅三郎
18
○
新谷寅三郎
君
一井
さんにお尋ねしたいのですが、私も前に昨年でしたか調べたことがあるのですが、同じような型の
外国船
と
日本
の
船舶
と比べまして、これは勿論デツキのほうもエンヂンのほうも多少乗組員の相違はありますけれ
ども
、
無線
部内の乗組員の相違はたしか中型船の而も貨客船だつたと思いますが、三人に一人くらい違
つて
おつたかと思うのです。
外国船
は一人でやるのに
日本
船は三人でやるというようなことにな
つて
おるようであります。大体において
無線
方面
の
外国船
との比較において乗組員の数の相違というものは、どういうところに非常に多くて、どういうところは大体同じ程度だということ、それから今度の
改正案
によりましてこれが非常に変更があるかどうかということを極く大略でいいですから、お答え願います。
一井保造
19
○
参考人
(
一井保造
君)
只今
の御質問の数ですね、
通信士
の数につきましては、これはやはり我々は
現行法
の
電波法
に制約されております。なおその上に組合との
団体協約
によ
つて
制約されておる二つの面があるのであります。その点で考える必要があると思います。両方の面から考えまして、やはりこれは第二種局ですね、千六百
トン
乃至五千五百
トン
の船です、この辺に比較して多いのでありますが、それ以上につきましても個々に見れば或いは
日本
船のほうが多いということもあるだろうと思いますが、併しながら的確にはここには資料がございませんので、大体そういうふうに感じております。これはひとり
通信士
に限らず、
定員
問題につきましてはかなりむずかしい問題がありまして、例えば先ほど私が概論の末尾に申上げましたが、なかなかむずかしい問題がありまして、それにつきましても随分理解はいたしているつもりであります。まあ時をかけてよくお互いに納得しなければならんと、そういうように考えております。
新谷寅三郎
20
○
新谷寅三郎
君 そこで
山縣
さんにもう一つ伺いたいのは、令のお話のように、私もたしか中型船の貨客船について非常に差があつたと思うのですが、まあ第二種局というとこれは大体
近海
の船だろうと思います。
近海
の船、これはまあデツキもエンジンもこれは非常に
執務
のしにくいところで、非常に航続距離が短いし、港湾の出入が多かつたりして、乗組員としては勤務
状況
が変るので非常にやりにくいところであらうと思いますけれ
ども
、
無線
方面
から見ると、この第二種局のごときはあなたの御主張からい
つて
も、もつと乗組員の軽減をしても十分
航海
には支障なくや
つて
行けるような空気じやないかと思うのですが、むしろ問題は殊に大洋を航行している最中の大型船にあるかと思いますけれ
ども
、第二種局のごときはむしろ逆に外航船よりも非常に多いというのは、これは
団体協約
なんかの結果かも知れませんけれ
ども
、こういう点についてはもつと実情に合つたような
配置
をしたほうがいいのではないかと思うのです。その点についてお考えは如何でしようか。
山縣忠重
21
○
参考人
(
山縣忠重
君) まあ今の御質問はこの
定員
の問題になるようで、これは
電波法
とは直接
関係
がないと思います。今
労働協約
で私
たち
が第二種局というものは実際には三名にな
つて
いるわけでございます。それを減らしてもいいということについてどう考えるか、こういうことなんですが、今私
たち
が一番
近海
で考えねばならんのは、
日本近海
が安全に対しては最も重視せんければならん海域である、
航海
時間が比較的短いということは、直接その安全というものには
関係
なくて、むしろそうした
近海
を繁く
航海
するということが危險の機会が特に多いということと私
ども
は今までの
経験
から信じているわけですが、そこで行われます安全のための
無線業務
というものは、私が最初
意見
として述べさして頂きました中にありますように、今この四月から遅くは八月の初め頃まで、これは北海道は今日でもまだ濃霧のところも多いわけでありますが、そういうところでレーダーというようなものが全部ついてそうして向うから来るものは何でもわかるということになればともかくとしまして、現状では
近海
を走
つて
いる船がやはり同じようなコースで走るというようなところから絶えず私
たち
が
無線
のいわゆる目、これは耳を似て代行しているわけですが、それらの船との連絡を絶えずと
つて
いる、こういうことも一つの例でございますが、そういうようにして初めて正面衝突というようなことが、昔はあつたものがそういうようなこともなくな
つて
いる、辛うじてそういうことで安全が保たれているという状態でありまして、その中心にな
つて
いる型の船がこれ以下に人を減らしたらどうなるか、結局船で電報を発するときにばかり
無線
を使うこういうことならばそれでいいわけですが、以上申述べましたような安全のための
業務
はもう四六時中続いておるわけです。そういう中にこれ以上の
定員
の削減ということは到底
海上
の安全の上からしても不可能でありますし、なおそれをあえて減らしてやると、こういうことになりますと、そこでは人道を無視した労働強化が当然起
つて
来る。かように考えておるわけです。
従つて
第二種局でこれ以下に
通信士
を減すための
運用
時間を低下させる、短縮させる、こういうことについては私
ども
としては絶対に承服できない、かように考えております。
新谷寅三郎
22
○
新谷寅三郎
君
電波監理委員会
に質問がありますが、
参考人
はもう私は結構です。
山田節男
23
○山田節男君
山縣
君にお伺いしますが、さつき
船主協会
の
一井
さんにお聞きすると、この
オートアラーム
の設置ということに関して
通信士
の
人員
整理ということはない。それでむしろ今後とも
船舶
が殖えたりすればより以上不足するくらいだとこういうことを言われておると私は思うのです。間違いありませんか……。そうすると今あなたのおつしやること、要するに
オートアラーム
は飽くまで
機械
であ
つて
人間に
代り
得るものじやない。こういうような御
意見
だと思うのですが、
労働協約
、海員組合或いは
無線
通信士協会
と
船主協会
との
団体協約
で
オートアラーム
の設置によ
つて
人員
は整理されないという、何と言いますか、保障はあるわけですか。この点について現在の今結んでおられる
労働協約
に基いてその可能性はあるのかないのか伺いたいと思います。
山縣忠重
24
○
参考人
(
山縣忠重
君) お答え申上げます。 第一点の
通信士
の総体から見て減らされるということ、これは
一井
さんからも申されたと思いますが、私としてもそういうことは、減らされるということは、こういうことはあり得ない。と言いますのは今度新らたに設備されます千六百
トン
以下五百
トン
までの
貨物船
、これは電話でもよいということにな
つて
おりますが、それと
旅客船
の
無線設備
、こういうものから、それらについても
通信士
は一応必要である、こういうところから基きまして総体の数としては
通信士
がそのために余
つて
来るというようなことはないのであります。併しながらこれには二年の
経過規定
がございます。
従つて
これもこれからきまることかも知れませんが、あるように私
ども
存じておるわけですが、第二種局というものが
オートアラーム
によ
つて
減員になるということになれば、それらの人
たち
の振向けられる職場というものは新たにできる
無線局
ということになるわけですが、そうしたところの資格者はより資格の低い者でいい、こういうことにもなると思いますので、若干それらに対しての疑義も残るわけであります。なお今日の
労働協約
の面で
定員
がそうした
変化
があ
つて
も確保されるか、こういうことにつきましては現に
船主協会
のほうからは
通信士
は多いから減らす、こういう御意向が
はつきり
と示されておるわけでございます。
山田節男
25
○山田節男君 そうするとさつきの
一井
さんのおつしやつたこととちよつと違うのですが……。
一井保造
26
○
参考人
(
一井保造
君) 今
山縣
さんからも話がありましたが、議論の対象に
なつ
た
労働協約
というものを一応外しまして、我々は現在の
電波法
並びに
改正
されようとする
電波法
、その対象に限
つて
話を一応したほうが
はつきり
すると思います。現在の
電波法
によりまして、第二種局は十六時間の
聽守
時間を課せられておる。
改正
されようとする
電波法
においてはひとしく十五時間である。但しこれは
オートアラーム
を附けることを前提とする。附けない場合には常時である、
従つて
殖えるという
現実
が起るのであります。なおこれ以外に第三種局以下の増員の問題が起ります。
従つて
先刻申上げました
人員
は殖えても減らないというとは
はつきり
しておるのであります。それで
団体協約
の問題は、これは法規を離れまして
船主協会
と組合との間に現状に即してそしてお互いに協議をしてきめておるのでありまして、ここでその結果といろいろなことにつきまして議論をするということは筋違いであろうと私は存じます。それで但し御
参考
に申上げれば、
只今
山縣
さんがおつしやいましたが、若し第二種局において
オートアラーム
を附けてそして十五時間やつた場合には、現在
労働協約
において常時の建前から三人を置いておるものが二人に減るという事実は、特定の船については起り得ると思います。併しながらこれは
労働協約
上の飽くまでも問題であるということを
はつきり
認識する必要がある。又先方の全体意思として、若しも
改正
が行われた場合には、他の分野において殖える可能性があるのでありまして、まあ要するにむずかしい
定員
問題に触れたわけでありますが、実相は先ほど私の申したことと少しも違わない、
山縣
さんも同じようなことを言われたと思
つて
おります。
山田節男
27
○山田節男君 そうすると第二種の
無線局
については大体
船主
としては人件費を節減するという意味からか……、まあ他の理由で、とにかく
オートアラーム
を可及的に普遍的にそれを設置する、こういう御意思なんですね。それならばこれはもう私
たち
も常識として、殊に
日本
の
近海
における
海難
事故は非常に多いので、これは国会でも問題にな
つて
おるくらいでありまして、特殊の
気象
條件なり或いは
海難
救助、それから船の質が悪い、こういうことから見れば
オートアラーム
が絶対に信頼し得ないものであるということになれば、やはりこの人間で常時ただアラームの
信号
ばかりでなくて、他の
信号
を授受することによ
つて
、非常に夥しい数に上
つて
おる
海難
が減るのじやないか、これは私素人としてそういうふうに考えるのです。今あなたの御
説明
からすると、第二種
無線局
というものはこの
法律
が通れば当然
オートアラーム
が殆んど
全般
的に設置される、こういうようなお見込ですか。
一井保造
28
○
参考人
(
一井保造
君) 御承知の
通り
今度
改正案
が実現いたしましても、
法律
は
オートアラーム
を強制していない、任意であります。
従つて
オートアラーム
を
採用
するかしないかということは
はつきり
わからないのです。或いは
採用
する人がだんだん出て来るかもわかりませんが、今ここで
はつきり
その点はわかりません。そこで
近海
に
海難
が多いということもこれは事実であります。又その原因等についてもいろいろと又事情があると思います。この小型船に常時
聴取
或いは
オートアラーム
を附けた場合に十六時間ということが妥当であるや否やということにつきましては、
相当
に見解の相違がそこに生ずると思います。それは
戦前等
の事情を比較いたしまして、いろいろと見解の相違のある問題であります。私の個人的見解を以て言いますれば、
近海
における小型船において現に
相当
の数の
通信士
を得しめておるという一つの大きな理由は、
船舶運営会
が民営、官営時におきまして、あの特殊な事情下において非常に減つた
船舶
、そうしてなお過剰を生じた有能な、
経験
のある社員を如何にしてこれを維持温存するか、それは
海運
のためであるというふうな
考え方
がその当時あ
つて
、そうしてそれに組合側の希望と
船主
側のそういうとに対する
考え方
、いろいろな点がございまして、必ずしも
近海
に
海難
が多いからそれだけやつたということだけではありません。私はそういうふうに思います。
鈴木恭一
29
○
委員長
(
鈴木恭一
君)
参考人
に対する御質疑よろしうございますか……。お暑いところお忙しいところ
おいで
頂きまして誠に有難うございました。重ねて厚くお礼申上げます。ちよつと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
鈴木恭一
30
○
委員長
(
鈴木恭一
君) 速記を始めて下さい。この際
電波法
の一部を
改正
する
法律案
について
電波監理委員会
に御質疑がございますればお願いいたします。
新谷寅三郎
31
○
新谷寅三郎
君 細かい
規定
のことはやめて大綱について一、二伺いたいのでありますが、一つはこういうことなんです。これはわかりきつたようなことですが、実は私はわからないのですが、一体
オートアラーム
のようなこういう種類の
機械
類につきましては、この技術指導というものはどこが一体責任を持
つて
やるかということなんです。こういう
機械
類の製造そのものについては通産省が恐らく責任官庁だというかも知れませんが、実際上この
電波
に関する技術は
電波監理委員会
が主管をするようにな
つて
おる。そこで両方共が権限があるようなないようなので、恐らく非常にやりにくいことにな
つて
おると思うのですが、私十数年前からこういう問題にタツチしておりまして、
船舶安全法
を作つたときにすでにこのオートアーラムの問題が取上げられておるのです。前の
安全條
約ですね。先ほど話を聞いていると、
日本
には今日に至
つて
もなお信頼すべきオートアーラムができていないというような結果にな
つて
、この十数年何をしておつたかということを実は
政府
に対して言いたいぐらいなんですが、これは併し
電波監理委員会
が最近できたばかりで、あなたがたに
言つて
もしようがないことだろうと問いますが、これからの問題もあるのですね。通産省の
関係
において、あの
電波
の技術に非常に
関係
の深い
機械
類の製作なりその技術指導、製作指導というふうなものについてはどういうことに現在な
つて
おりますか。それから
電波監理委員会
としてはこれに対して形式承認するということだけでなくして、そのほかにオートアーラムの製作の技術についても、これは官制上の問題は別として、事実上メーカー等にあらゆる指導、援助を與えておるかどうか。この点を明瞭にしして頂きたい。
網島毅
32
○
政府委員
(網島毅君) お答え申上げます。
只今
新谷
委員
からのお尋ねの点につきましては、
電波法
の立案当時におきまして、
只今
お話のように一応問題が取上げられまして、当時の電気
通信
省と通商
産業
省との間でいろいろ折衝が行われたのでありまするが、その当時におきまして勿論私
ども
といたしましてはそういう実際
電波
行政の実施に非常に密接な
関係
のあるような技術指導と申しまするか、そういう行政は
電波
の主管庁がやるのが最も適当だという主張をしたわけであります。ところがなかなか双方の
意見
が一致いたしませんで、今のような形になりまして、
電波監理委員会
といたしましては、その必要を認められるものに対しまして形式承認の試験をするということで落ち着いたわけであります。併し現在形式承認をや
つて
おりまするようないろいろな
機械
、例えば
只今
問題にな
つて
おりまするところの
オートアラーム
とか、或いは又方向探知機、そういうような種類のものにつきましては、これは
人命
の保全という面と密接な
関係
があるものですから、ただメーカーが作つたものをその依頼に応じて形式検定をやるということだけではこれは十分目的は達成でき得ないと考えております。殊にこれはただできた場合にはそれをその場で検査しただけでは実際わからないのでありまして、実際使
つて
みて、実用したときにどうであるかというようなことを調べてやらなければ意味がありません。従いまして実際面におきましては、私
ども
の担当の技術官が、メーカーといろいろ接触いたしまして、これは指導したり指導されたりという
関係
じやなしに、いろいろ双方で研究していいものを作り上げようということで進んでおります。それから又実際船に取付けられたこの方向探知機或いは
オートアラーム
が非常に数が少いのでありますが、そういうものにつきましても、私
ども
の各港に駐在しておるところの駐在官、駐在技術官を使いまして、その実際の働き振りを見るとか、いろいろそういうことによ
つて
データを集めまして、それを又メーカーへ提供するというような実際上の連絡はや
つて
おります。併しながらこの問題は、いつかやはりこの各行政庁の仕事の分野を
はつきり
するという、設置法或いはその他の
法律
で明確にして頂いたほうがいいのではないかと考えておるような次第であります。
新谷寅三郎
33
○
新谷寅三郎
君 そうするとやはり今でも大体通産省がメーカー
方面
の指導をや
つて
おるから、
電波監理委員会
としては技術的にはその使つた
経験
等を考えて指導はしておるけれ
ども
、あなたがたの十分思う
通り
にもならないし、結局両方に跨
つて
いるような恰好にな
つて
おる、こういうことになりますね。
網島毅
34
○
政府委員
(網島毅君) その
通り
であります。併し私
ども
から批評してはどうかと思うのでありまするが、なかなかこういう紬かい技術になりますると、通商
産業
省も
専門
の技術者をそうたくさん持
つて
いるわけじやございませんので、実際メーカーの指導育成、指導という面では
相当
な困難があるんじやないかと私
ども
考えておる次第であります。
新谷寅三郎
35
○
新谷寅三郎
君 これは愚痴のようになりますけれ
ども
、非常にこういつた船全体を通じる問題であり、而も世界各国が
相当
すでに発達したものを持
つて
いるにもかかわらず、
日本
が
オートアラーム
のいいものを持たないために、対外的な競争上、余計な乗組員を置かなければならんというので、非常に不利な
立場
に置かれているというふうな、大事なものに対する指導監督が十分に行かないので、遅れてしまつたということは、これは何と
言つて
も
政府
が十分に
考慮
しなければならん点だと思うのであります。やはりあなたがたもこの点を
政府
部内で十分話合いをされて、どこかがやはり責任官庁にならないと、恐らく予算も取れないだろうし、十分な指導もできない、どちらでもいいから責任官庁を
はつきり
として、ここ数年の間に
外国
の
政府
に劣らないような
性能
の
オートアラーム
を作られるように、これは是非努力して頂きたいと思うのです。それからもう一つは船のほうの
関係
で、
安全條
約とこの
法律
及び今度の
改正案
、
電波法
、及び今度の
改正案
との
関係
につきまして、先ほどから伺
つて
いると、
参考人
もちよつと
言つて
おられましたように、或る種のものについては條約以上にやはり出ているところがあるように思うのですが、これは窮極するところは、
日本
には
オートアラーム
がいいのができないからということだけではなしに、やはり
日本
の
船主
と
無線
技術協会とのいろいろの団体交渉とか日体協約とかいうようなものに着目されて、條約以上の
規定
を置かれておるのですが、その点が私はがむしろ
オートアラーム
は信頼できなければ、信頼するものができるまでは、やはり乗組員を乗組ましたほうがいい。これは誰も異存はない。併し信頼のできる
オートアラーム
ができた場合には、
外国船
並みに
日本
船も負担の軽減をしてやらないと、これは競争はできないと思います。そういう意味で、
規定
の上では
オートアラーム
のいいものができればそれによるのである、併しできるまではごうするのだというふうに、條約に書いてある必要最小限度の
規定
を国内法でもそのまま
採用
して然るべきじやないかと思うのですが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
網島毅
36
○
政府委員
(網島毅君)
只今
御指摘のように
電波法
におきましては、従来もそうだつたのですが、條約上の
運用
時間というものを課しております。この
考え方
は御承知のように、
海上
における
人命
安全條
約は、
人命
、財貨の保全に必要な最小限度の時間を條約できめているわけです。
日本
といたしましては、昔の
無線
電信法時代からそうであつたのでありまするが、
海上
における
人命
、財貨の保全と、それと同時に
公衆通信
の疏通を円滑に行わせるということに
相当
重点を置いて参つたのでありまして、それらの双方から
運用義務
時間というものをきめておる次第であります。
電波法
の立案に当りましては、従来の
無線
電信におけるそういう
考え方
も一部取入れたのでありまするが、そのときには、この乗組員の
無線
通信士
の人数につきましては、
電波法
ではこれは原則として言わないことにしております。過去の
無線
電信法ではこれは省令できめることにな
つて
おつたのでありますが、
電波法
では原則として人数は、これは管海主管庁に任せる。ただこの
無線
通信
の
運用
上、或いは
電波
監理上必要な
運用義務
時間だけを
電波
主管庁ではきめている。それに何人乗組ませるか、何人従事させるかということは、管海主管庁なり
船主
側と、それから乗組員側の双方の話合いに任せるという原則を立てておる次第であります。従いまして実際の乗組員の数につきましては、私
ども
は現在直接関與いたしておりません。ただ結果的にそれが
アメリカ
の乗組員の数よりは多くな
つて
おるということもあるわけでありまするが、それは先ほど申上げましたように、一部は
公衆通信
の円満な疏通というような面を考えて、多少時間の増加があるということ、他面恐らく
船主
側と組合側との話合の結果だろうと考えております。
新谷寅三郎
37
○
新谷寅三郎
君 その
通り
だと思うのですが、形はですね……。併し
運用
の
義務
時間をきめるということは、一人で一日に十六時間働けるはずがないのですから、自然にマンニングの問題が起
つて
来る。マンニングの問題は他の官庁に任してあるとおつしやるけれ
ども
、
運用
の
義務
時間から当然出て来る問題だと私は思います。そういう意味ではやはり
電波法
はマンニングに触れておらないとおつしやるけれ
ども
、実際上は
定員
の問題は非常に
関係
がある。むしろ基本的な
関係
を持
つて
おるものと私は考えます。
従つて
これは何も私は
船主
を徒らに保護して、
無線
通信士
を苛酷な労働條件に追いやろうという考えはちつともない。ただあらゆる方法を講じて、今日世界の
海運
国が今、船の競争をしておるわけであります。その場合に或るものは直接補助をして見たり、或いは間接補助をして見たり、陰に陽に保護を與えておる。その場合に頭から
法律
で以て、
外国
の乗組員がやり得るような事柄を、
日本
の乗組員ではやれないのだ、むしろや
つて
はいけないのだということを
法律
で書いておくことが果していいかどうかということは、これは
政府
全体として
海運
の対外的な
関係
を
考慮
した場合に、よほど慎重にお考えになるべき問題であると思うのです。もつと遡
つて
言えば、若し
日本
がそういうふうな状態であるとすれば、或いはこの国際電気
通信
の條約とか、或いは
海上
の
人命
安全のための條約とか、條約の締結に当
つて
、
日本
の実情から推して、すべて
日本
だけでなしに、世界の
海運
国の
無線
通信士
というものは、そういうことをすれば非常に苛酷な労働條件になる、これはどうしても條件をもつと引上げてやらなければいかんのじやないかということを
日本
が主張すべき筋合いにあると思うのです。
海上
の
人命
の安全のための條約は、丁度
日本
が参加しない間に結ばれたものですから、ここでは問題外としましても、そういう点について今後対外的な
日本
の
海運
の競争力というものを考えて、あなたがたのほうでも、
国際條
約に準拠して、
日本
の国内法で規律して行くというようなお考えが根本にならなければいけないと私は思うのですが、その点は今後といえ
ども
、
日本
は飽くまでもこういつた問題については特殊の
立場
、特殊の主張を堅持せられるつもりであるかどうか、この点は
相当
重大な問題であると思いますから、この際にお聞きしておきたいのです。
網島毅
38
○
政府委員
(網島毅君)
只今
お話のように、この
運用義務
時間というものが、労働時間或いは勤務員数の基本的なものであるということはその
通り
でございます。
従つて
この
電波法
におきましては、従来の
無線
電信法におきましては省令に委任しておつた、そういう事項をわざわざ、と申しましては語弊がありますが、
法律
に載せまして、国会の御審議を頂いてきめるという方法を
とつ
たわけであります。勿論
政府
におきまして法案を立案する場合は、
関係
の主管庁と十分そういう点について連絡をと
つて
おるわけであります。
電波法
の制定に当
つて
も運輸省と連絡の上、協議の上、そういう時間がきまつた次第であります。先ほど申上げましたように、
電波法
においてきめられた
運用義務
時間と言いますのは、ただ單に
海上
における
人命
財貨の保全という以外に、
電波
監理の問題、或いは
公衆通信
の疏通といういろいろな面からの要求も取入れなければならないのではないかと私
ども
考えておる次第であります。
従つて
電波
監理面の要求と、それから
只今
御指摘に
なつ
た
日本
の
海運
振興という面の
考え方
と両方睨み合せまして、最も妥当な線に落つけるべきではないかと考えております。尤も
電波法
が制定されまして以来、
海上
における
船舶
の運航その他におきましても
相当
の
変化
がございましたし、又
オートアラーム
その他の出現によりましていろいろな條件が変
つて
参りまして、私
ども
は近い将来にと申しますか、できるだけ早い機会に
電波法
全体に亘
つて
相当
の大幅の
改正
をしなければならないという見解に現在立至
つて
おるわけでありまして、そういう機会に
只今
お話の点もよく
考慮
いたしまして、再検討したいと思います。
鈴木恭一
39
○
委員長
(
鈴木恭一
君) ちよつと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
鈴木恭一
40
○
委員長
(
鈴木恭一
君) 速記を始めて下さい。
電波法
の一部を
改正
する
法律案
について御質疑はほかにございませんか。若しございませんければ本件に関する質疑は終了したものと認めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
鈴木恭一
41
○
委員長
(
鈴木恭一
君) 御異議ないと認めます。それでは
電波法
の一部を
改正
する
法律案
の質疑は終了いたしました。次回に討論採決をいたしたいと存じます。
—————————————
鈴木恭一
42
○
委員長
(
鈴木恭一
君) 次に
電波
行政に関する調査に関して御
質問等
ございますれば、この際お願いいたします。速記をとめて。 午後三時五十五分速記中止 —————・————— 午後四時十五分速記開始
鈴木恭一
43
○
委員長
(
鈴木恭一
君) 速記を始めて。本日はこれにし散会いたします。明日は午前十時より開会いたします。 午後四時十六分散会