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1952-06-18 第13回国会 参議院 電気通信委員会 第43号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十八日(水曜日)    午前十一時五十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     鈴木 恭一君    理事      山田 節男君    委員            大島 定吉君           小笠原二三男君            水橋 藤作君           池田七郎兵衞君   政府委員    電気通信大臣官    房審議室長   大泉 周蔵君    電気通信大臣官    房人事部長   山岸 重孝君    電気通信省業務    局長      田辺  正君    電気通信省業務   局国際通信部長  花岡  薫君   事務局側    常任委員会専門    員       後藤 隆吉君    常任委員会専門    員       柏原 栄一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日本電信電話公社法案内閣提出、  衆議院送付) ○日本電信電話公社法施行法案内閣  提出衆議院送付) ○国際電信電話株式会社法案内閣提  出、衆議院送付)   —————————————
  2. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) これより委員会を開きます。  日本電信電話公社法案日本電信電話公社法施行法案国際電信電話株式会社法案を議題といたします。質疑を継続いたします。
  3. 山田節男

    山田節男君 この国際電信電話株式会社法案を逐条的に細かい技術的な点を念のため明らかにしておきたいと思います。  この第二条の国際電信電話株式会社業務規定ですが、第二条の場合は、公社のほうの第三条とは違つて、非常に簡単で、この業務内容が明示してない。その理由は、どういうわけでこういうふうにしたのか、定款によつて明らかにしても、法案業務方法を明らかにすべきものじやないか。その理由と、それからこの会社はもう民営会社であるから、以前のように、自由に、例えば機器資材製造部門、それからまあ研究、こういつたものができるという意味なのかどうか。この法案を作られたその意図をお伺いしたいと思います。
  4. 花岡薫

    政府委員花岡薫君) お答え申上げます。公社法の第三条のほうには、特別に列挙された項目がございますが、国際電信電話株式会社法のほうには、附帯業務と、それからその他会社の本業務目的を達成するために必要な業務というふうに一括してございますが、これは別段深い立法上の意図はございませんが、公社の場合は、規模におきましても非常に重要でございますので、事柄を分けて明らかにした。この会社のほうにおきましては、附帯業務と、その他目的を達成するに必要な業務というふうに、抽象的に挙げたのでございます。内容的には、実体的には、この附帯業務といたしましては、当座予想されるものは、やはりこの前ちよつと新谷委員からの御質問に対して申上げましたように、公社のほうから委託のあるものが若干予想されます。そのほかに別にこれというてとは予想されませんが会社業務が次第に進展しました先におきましては、研究或いは資材研究或いはいろいろな機器方式研究、それから自家用機器の修理、簡単な組立というようなことに当然これは発展して参るものと思います。尤も研究につきましては、総合的な通信研究所が現在ございますので、これと分けるということにつきましては、実際上の問題として、基礎研究というようなところから、非常に組織だつた一体としての研究をやつておりますので、実際問題としては分けるということが可成り困難と予想されます。併し研究しなければならないという独自の国際通信の分野がございますので、そういう場合には、会社側研究費を投じて通信研究所委託するというようなことも考えられるわけでございます。  それからして、実体関係をもう少し申上げますと、前条の目的を達成するために必要な業務というのは、そう大きなものも予想されませんですが、例えば建物が、十年先を予見して、当座はこれは賃貸しにするという余裕があるような場合に、業務に関連する上において必要な限度に、これを賃貸しできるというような場合も予想されますし、それから通信相手方の国に対しまして、円満な通信目的達成上、或いは先方側の要員を養成することの委託を受けたような場合には、これはやはり自分目的を達成する上において必要でありますので、そういうものは技術訓練引受けるとか、或いは先一方の機器方式について若干の技術的援助を与えるということについて、自分目的を達成するためには必要な事態が起るかと思います。
  5. 山田節男

    山田節男君 このことに直接関係はありませんが、こういう国際電信電話業務ということになれば、勢い外国パテント、例えば部品においても、これは製造に関してもあるし又向うが製造した物をこちらの会社が使う場合に、外国パテントの問題が起きると思います。それは他の条文かどこかで、このパテント使用ということについて、郵政大臣認可というようなことが要るのですか。
  6. 花岡薫

    政府委員花岡薫君) 外国パテント使用につきましては、別に行政上の関与はいたしませんまあ他の通信行政以外の、何か産業行政の根本に亙りまして、私ちよつとここで申上げる資料はございませんが、大体この法律の上におきましては干渉いたしません。会社自由取引に任せるという考え方でございます。
  7. 山田節男

    山田節男君 それから第五条の例の会社呼称の問題ですが、国際電信電話株式会社、これは立案せられた当時と、その後この委員会でも大臣に対してお話をしたのですが、これに対してはどういうように考えておられますか。海外に向つて呼称をどうするかというような問題は、むしろこの法案の中に外国向け呼称というようなものが特別にあれば、むしろ法案の中に織込むのが適当じやないか。これに対してどういうような考えを持つておりますか。
  8. 田辺正

    政府委員田辺正君) 国際電信電話株式会社外国に対する表現の問題でございますが、先般山田委員からこの問題につきまして相手系統との関係において考慮しなければならんのではないかというお話がございまし私どものほうでもいろいろと研究はいたしたのでございますが、只今までの結論は、この前大臣が申しましたと同じようでございまして、外国に対しましては、相手系統と紛らわしくない字を使うことにいたしてその問題はよろしいではないかというふうに考えておるわけでございます。従いましてこの法律の中に、外国語による呼称をきめる必要はなかろうかと考えているわけでございます。
  9. 山田節男

    山田節男君 そうすると、法案外国向の、国際上の呼称はきめないが、例えばK・D・D・Kですか、そういうようにきめて、国内的には国際電信電話である。アメリカの国際電話電信会社から注意があつたように、ほかと混同されないように、外国向呼称を定める。こういうふうに了解していいのですか。
  10. 田辺正

    政府委員田辺正君) 第一のこの法案に、外国語による表現を加えなついということは御意見の通りでございます。  それから第二点につきましては、国際電信電話株式会社、それを略しました場合には、K・D・D・Kというふうなことにいたして参りたい。さように考えております。
  11. 山田節男

    山田節男君 それから附則ですが、附則に、いわゆる設立委員は、第二項で書いてあるように、設立委員会社設立に関する事務を処理する。そうすると、これは商法上の発起人ですね。商法上の発起人と全然同意義なものと見ていいのかどうか、これは今度財産公社から出るわけですから、そういう関連においてこの発起人設立委員というのは商法上同じものかどうか、これをお伺いしたいと思います。
  12. 田辺正

    政府委員田辺正君) この設立委員商法上の発起人と全然同一ではございません。この法律に、設立委員義務として規定しております事項につきましては、商法規定を排除する。それ以外の点につきましては、発起人に関する規定が適用されているというふうに考えております。
  13. 山田節男

    山田節男君 そうすると、この国際電信電話株式会社創立総会といいますか、それに至るまでには設立委員に、更に今度国際電信電話株式会社商法上の創立発起人というものが又別に会社に移譲される場合にできるわけでありますか。
  14. 田辺正

    政府委員田辺正君) そうではございませんでして、設立委員会社設立までの事務を取扱うのでございます。なお先ほどの私のお答えが不十分でございましたが、商法上の発起人でございますと、株式引受をしなければならないことになつておりますが、設立委員株式引受をしてもいいし、しなくてもいいというふうに考えております。又商法上の発起人引受未済或いは払込未済株式につきまして引受義務並びに払込義務がございますが、設立委員はそういう義務は負つていないというふうに考えております。
  15. 山田節男

    山田節男君 それから、附則の第四項の、国会議決を経ないで会社出資譲渡ができる。これはそうですが、併し「但し、あらかじめ郵政大臣認可を受けることを要する。」これは究極においては、国会事後承認というものが要るのじやないかと思うのですが、これは国会議決を経ないでという委任条項はどこかの章にあつたと思うのですが、それにしても、やはりこういう問題は、公社法の場合でもそうだし、国の財産民営会社に移譲するという場合には、やはり国会議決を、事後においても、議決といいますか、承認を要するのじやないかと思うのですが、その立法趣旨ですね……。
  16. 田辺正

    政府委員田辺正君) 公社法の六十八条におきまして日本電信電話公社が重要な財産譲渡いたします場合には、国会議決を経ることに定めてございますが、その極旨は、公社重要財産譲渡いたしますと、会社の経営に非常な大きい影響を持つていることになりますので、国会議決にかけているわけでございます。従いまして会社設立に際しまして、公社から出資譲渡いたします場合におきましても、これは理窟の上から申しますというと、やはり国会議決を要することと考えられるわけでございますが、この場合は、会社設立に際しまして、出資或るいは譲渡いたします場合は、その公社から会社出資或いは譲渡される財産範囲は、会社国際電気通信業務を経営して行くに必要な財産範囲並びに種類に限られるわけでありまして、従つてこの場合におきましては、国会議決を経なくても、郵政大臣認可だけでよろしいのではないかという考えから、国会議決を経ないような定めにいたしたわけであります。公社法六十八条の場合は、いわば異例の場合だと考えるわけでありまして、公社が重要な財産出資するという場合は、極めて異例な場合であります。従つて重要でありますが、そういつた異例の場合でありますので、国会承認を必要といたしたわけでありますが、この場合は、今申上げましたように、会社国際電気通信業務を行うにつきまして必要な財産に限られるわけでありますので、これは国会議決なくして、政府にお任せ頂いてもよろしいのではないかというふうな気持からそういたしたわけであります。
  17. 山田節男

    山田節男君 今の日本電信電話公社法の第六十八条で、一応公社財産譲渡されて、そうして公社から今度現物出資として民営会社に出すのであるから、国会承認は二度は要らないという私は意味じやないかと思うのですが、併し公社は、前に審議したときに明らかになつたように、国会がかなり強く、何といいますか、最終的には支配するという建前になつている。その公社財産民間会社現物出資する場合には、これは違うと思うのです。公社移つた物民間会社に移した場合は国会政府から、国から公社に移転する場合に承認を与えるのであるからして、公社から民間会社にやる場合に要らないという法理的な理由が立つかどうか、会社本質から……、ですから、今あなたのおつしやつたことは、要するに公社に移譲されることについて、国会がこれを承認した以上は、公社民間会社出資譲渡する場合には国会承認は要らない、こういう法的解釈でおやりになつたのかどうか、この点一つはつきり伺いたい。例えば国鉄の場合、国鉄が現在持つておる物を、公社として持つておる物を、私鉄の鉄道会社譲渡するという場合には、国会承認というものは全然要らないのかどうか。いわゆる公社本質から見て純民間会社ではなく、やはり半官半民のものという性質からすれば、政府並びに国会公社に対して最終的に支配権を持つている、予算とかいろいろ……、財産に対しても、こういうふうに国会承認を得なければならない。その公社が持つている財産現物出資する、民間出資或いは譲渡する場合、郵政大臣認可だけでいいという法的な解釈問題、公社という財産ですね、これをどう見るかということです。鉄道公社あたりの今まで例があるのじやないか、私それまで調べておりませんが、公社本質から見ると、郵政大臣認可だけでこの財産譲渡出資できるかどうか、そこに法的なはつきりした自信があればいいのですが、これは今後公社法が出る場合に、重要な法的問題になるわけですが……。
  18. 田辺正

    政府委員田辺正君) 公社法第六十八条の規定は、日本電信電話公社が重要な財産譲渡する場合に国会議決を経ることになつておりましてそれは相手が普通の民間会社でありましても、或いはいわゆる特殊会社でありましても同様であります。ただ、この附則の四項は、会社設立に際し、今回国際電信電話会社設立する場合だけにつきまして特殊な例外をきめたわけでございます。従つて将来におきまして、会社設立されました後におきまして、例えば公社がやつておりました国際業務会社でやつて貰う。それに必要な財産公社かち会社譲渡するという場合には、公社法六十八条によりまして国会議決を経るということになるわけであります。従つて附則の四項は、公社から会社設立に際しまして会社財産譲渡する場合に、六十八条の特例を設けたというふうに考えておるわけであります。
  19. 山田節男

    山田節男君 その特例は、いわゆる合法的だと解釈されておるわけですね。これは非常に大きな、今度の民営会社に移した場合についての疑惑と言つてはおかしいけれども、いろいろ心配する点がそこにある。
  20. 田辺正

    政府委員田辺正君) この場合は、先ほど申上げましたように、会社設立に際しという時期がございます。時期に限定がございますので、従つて会社公社から譲渡される財産範囲というものも、これはおのずからきまつて参るというふうな考え方から、第四項のような特例を設けた次第でございます。
  21. 山田節男

    山田節男君 設立の場合、時間的に余裕がないとか、或いは国会休会中であるかも知らんから、国会承認ということは面倒だということになるかも知れませんけれども、事後承認ということは、これは次の国会でやつてもいいわけなのです。事後承認ということもここで規定しないということは、結局この国会承認を、事前事後承認は要らないのだ、そういう解釈をしておられるように了解していいか。
  22. 田辺正

    政府委員田辺正君) その通りでございます。
  23. 山田節男

    山田節男君 それは異例としてですか。異例としてということをさつきおつしやつたのですが……。
  24. 田辺正

    政府委員田辺正君) そうです。
  25. 山田節男

    山田節男君 その異例という……、設立のときに、いわゆる時間的というか、時期的にその便宜と言いますか、のために行けないのだ、こういうふうになれば、事後においても受けられると思うのです。ですから先ほどから言つているように、公社から民間会社に移る場合は、すべてこれは法的にも、国会事前事後承認は要らないという肚、そういう、何と言いますか、法的解釈で、そういう公社というものの、公社という公法人国会承認なくして重要な財産出資譲渡し得る、こういう解釈かどうか。
  26. 田辺正

    政府委員田辺正君) これは先ほども申上げましたように、公社が重要な財産譲渡し、又は出資する場合におきましては、これは国会議決を経なければならないものであります。併しこの場合におきましては、会社設立に際しましては、会社設立目的国際電気通信業務を行わしめることになつておりますので、その国際電気通信業務を行うに必要な通信設備は、公社から移転する場合には、国会議決を経なくてもよろしいのではないかと、これはその幅は行政府に任せて頂いてもよろしいのではないかという意味特例を設けたわけでございまして、将来におきまして、公社が他に財産出資或いは譲渡する場合におきましても、たとえ相手がこの国際会社でありましても、やはり国会議決を経なければならない、そういうふうに考えておるわけでございます。
  27. 山田節男

    山田節男君 それから附則の第十三項の、株式申込証郵政大臣検査をする、これはどういう意味の……まあ監督の意思だろうと思うのですが、これは実際問題としてなぜこういう必要があるのか。これをお聞せ願いたいと思います。
  28. 花岡薫

    政府委員花岡薫君) 十三項の主務大臣検査の必要は、第四条の株主資格制限規定に照しまして、一応そこでチェックする必要があるという趣旨でございます。
  29. 山田節男

    山田節男君 チェックというのは、要するにその数字とか、そういうことだけにとどまるのか。或いは所有している法人団体、或いは個人、或いは外国法人個人が持つているか、そういうようなことをチェックするための郵政大臣検査権かどうか。ただ数だけを見る考えですか。それともそういつた意味検査のつもりでこの規定があるのか。
  30. 花岡薫

    政府委員花岡薫君) これは、やはり創立当時の株主状態が一番大切でありますので、お尋ね内容にまで立ち至つて、一応株主資格が第四条に違反しておらないかということを検査する必要があろうと思います。創立後におきましては、やはり四条の規定がものをいうわけでございますけれども、実際問題としては、或る程度の困難も予想せられますので、創立の際には、特にこの申込人資格を、内容的にも検査をする必要があろうと考えております。
  31. 山田節男

    山田節男君 そうしますと、この郵政大臣株式申込証検査ということは、若し検査して、これはどうもこの会社のために有利でない、それから又外国法人とか、外国人という第四条の規定がありますが、そういうものに反して妥当でない。或いはこの本法案目的から言つて望ましくないという場合に、郵政大臣はその検査権によつてこれを訂正させるとか、そういうこともこれは含まれておるのかどうか。
  32. 花岡薫

    政府委員花岡薫君) 先刻ちよつと申上げました通り、第四条の法の趣旨に合致しておるかどうかという見地から検査をすべきであろうと思います。そのほか好ましくないとかというような、他の御見地からの判定は、この十三項の趣旨にはいささか違うのではないかと思いますし、主務大臣の見解によつて、適当であるかないかということの判定は、少し行き過ぎではないかと思います。第四条の趣旨に限られるべきものと考えます。
  33. 山田節男

    山田節男君 それからこの第二十一項の、例の株式の処分問題ですが、これは新谷委員からも詳細質問があつて、その御答弁も聞いたわけですが、御承知のように配当制限をしない。或いは今花岡政府委員の言われるように、利益処分によつて当時の有価証券市場、或いは経済事情を勘案して、或る程度配当の制限的な処置をとる、こういう二つの問題があるように私は解釈するのですが、この成るべく速かに株式を処分する、これは実際問題として非常に私は経済的に大きな問題だと思います。で、この会社は、今は来年の三月三十一日までに設立されれば、相当これはプレミアムも附き、相当利潤のあがる会社と必敵する花形株になるという私は可能性があるのじやないか。まあそういう見地からしまして、政府プレミアムを附けて、市場価値が遥かにこの株式払込以上に上廻つたこれは価格として、そうなるものだという予想の下におるのですが、成るべく速かにという時期は、一体これはどういうようにしてきめるのか。それから勿論これは郵政大臣の許可によつて決裁されるものだろうと思うのですが、これがもう実際問題として会社ができまして、そうしてこの株式政府が受取つてやる、これはもう郵政大臣ばかりでなくて、大蔵大臣は、これだけの多額の株式でありますから、株式市場に対しては、これは相当大きな変動を及ぼすということが先ず考えられるわけであります。で、成るべく速かにという時期の問題を決定することが一番重大な問題だと思うのですが、これは一郵政大臣が当時の事態を勘案して、適宜な時期と見た場合には、これはもう独断で郵政大臣でこれを処分し得るのかどうか、この点を一つお伺いしたい。
  34. 田辺正

    政府委員田辺正君) 公社から政府譲渡いたしました株式は、これは大蔵省がほかの株式と同じように、これを大蔵省におきまして、二十一項に掲げる措置をして参るものと考えております。
  35. 山田節男

    山田節男君 それからちよつと逆に又戻りますが、附則の十号の出資財産評価の問題ですが、法律施行の目における財産時価を基準とし、収益率を勘配しなければならない。法律施行の日といいますと、例えば今年の十月と、或いは来年の三月と、これは或いは時価が違うかも知れない。それから収益率というものも、今年の十月を予想とする場合と、来年の三月の場合とは或いは違うかも知れない。悲観的なことになるかも知らんけれども、非常に楽観的なものになるかも知らない。こういうように私は考えるのですが、そのときの時価、勿論これは第二会社でなくて、新設の、まあ新らしく会社設立するのでありますから、時価でやるという、これは勿論そうだろうと思います。併し収益率までも魁酌する、これは我々が聞くところによると、この会社が二十億円としましても、現在の資産が少くとも四十億、五十億以上あるだろう。そうしてその半分以下の資本金でこの会社ができるということになりますと、これは現在でも政府が十八億から二十億の収益を得ていると、こういうように私たちは政府からの説明を聞いてもわかつておるわけです。これは厖大な収益率であるわけなんです。これは現在、例えばこの六月の十八日現在として、一体どのくらいなこれは目安考えておられるか。このことは、まあ大臣或いは次官から聞くべきかも知らんけれども、大体の目安というものはわからんもんですか。
  36. 花岡薫

    政府委員花岡薫君) 只今お尋ねの点の先ず最初の問題として、法律施行の日における財産時価ということでありますが、評価をしておるそのときの現在価ということになりますと、実際問題として非常にむずかしいのでありまして、議論をして調書を作つておるうちに、又時が過ぎるというようなことになりますので、一応法律施行の日ということでピリオッドを打つて、そこでいろいろな細かい調査をする必要があろうと思います。会社設立まではかなりの日数がかかりまするが、法律施行と殆んど同時に設立委員が任命されまして、設立委員定款を作成するという場合に、先ず一番最初にぶつかるのがこの現物出資の問題でありまして、この評価の問題は、法律施行の日からは余り遠くないと思います。非常に近い日であろうと思います。  それから収支見込みなども、いろいろ時期によつて違うというお話を今承わりましたが、誠にその通りでありまして、国際通信の流れも或る程度不規則に動いておりますので、その前途の収支見込みも、その時期によつて多少異なるわけであります。でありますけれども、大体二十六年、二十七年、最近の状態におきまして国際通信も大体安定の傾向を示しておりますので、過去一年というようなことで抑えて行きますれば、そこに或る程度信頼のおける数字が出るものと考えます。この場合に、この収益率という問題についてのお尋ねでございますが、会社資産が当然四十億或いは五十億に及ぶであろうと、こういう一応の見方をお洩らしになりましたですが、この評価方法そのものがむずかしい問題でございまして、一応二十億というようなことも、これは非常な仮定の上に立つておる話で、ございまして、およその見込みはどうかというお尋ねでございますので、極く最も仮定の上に立つた余り責任を持つて申上げられない程度のものでございます。これは、物価指数方式によつて算定する場合と、それから一般に言われております再評価方式で一応計つてみる場合と両方あります。この物価指数で行きますと、これも相当仮定を加えたものでございましておよそ二十三億三千万、それから再評価法で行きますと、二十三億九千万といつたような数字が出る。ただ単なる事務的の操作で出たものでございますけれども、併し個々の設備が創設以来の経過年数、それから現実にまだ使用に堪え得る実際の状態というようなものを一々具体的に当つて見ますれば、これは又おのずから異なつ見地評価ができると思います。まあそういつた方式でやりまして、二十億乃至そ、れより若干上廻る数字というようなことが出ているわけでありまするが、四十億、五十億というようなお説は、もうこれはただ一概に収益率というものを見た或る抽象的な観念を加えて、物的評価のほかに抽象的な要素を加えた場合に、或いはそういうことが言えるかも知れませんが、それも併し最初は一体物的施設はどのくらいで、それに基いた収支見込がどのくらいで、それから収益率がどのくらいだというのが出て来るわけでありまして、収益率が高いから資産を割増しするというのは、あながち直ちに言えないところであります。これは丁度循環する問題になりまして、収益見込を立てるには評価というものを立てなければならない。評価を立てるには収益見込というものも一応要素に入れるというようなことになりまして、非常にむずかしい問題であろうと思います。一般に収益率でいわれている年数法とかいうような専門家の説がございますけれども、それはそういう抽象的な学説でございまして、国際電信電話事業というような非常に異なつた、一般の営業観念と非常に異なつた営業、民営後におきましては営業と申されておりますが、営業におきましては、どれだけ特殊性を考慮して、評価収益率などの場合にそれを考慮に入れるべきかということは、これは非常にむずかしい問題でございますと同時に、専門の評価審議会の決定を経ませんと、私ども只今申上げた以上には申上げるのは非常に困難であろうと思います。
  37. 山田節男

    山田節男君 これは、今田辺局長の御回答でわかるように、会社財産もこれは国から移した財産で、公社から今度国際電信電話会社に移動するものも、これは公社財産ではないのであつて政府国有財産である。政府国有財産民間に移譲する場合に評価の問題は、今の国有財産の処理法によつてこれはやるべきものでないかと、今花岡政府委員の言われるところによると、この評価を、いわゆる時価というものの出し方を物価指数或いは再評価の指数によつてやる、こういうように言われましたが、今三重県の四日市の燃料廠の評価問題は非常に問題になつておる。この評価の基準を一体どこに置くか、いわゆる物価指数の問題、再評価の問題、更に賃貸価格、賃貸率から割出す方法、賃貸率からこれを換算しますと、非常にこれは高いのです。そこに四日市燃料廠の問題は非常に額の開きがある。併しこれは、一つの明らかに旧軍用財産として大蔵省の所管する国有財産を処理する法律によつてつておる。この場合も、公社財産はやはり準国有財産であるからという意味から、いわゆる悪くすれば非常に甘くできるし、それから辛くしますと、今のように賃貸率で割出す評価にしますと、これは旧軍港の賠償物資の評価にぶつかつたように非常に高いのです。ですから収益率なんというものは、今大蔵省としては考えていない、金をとればいい、こういう大蔵省の方針です、占領軍政以来、ですから事情が違うとは言いながら、こういう国有のものを公社に移す、それを今度民営に移される場合の評価を一体どうするか、これは非常に大きな問題です。今おつしやつた時価の基準を定める場合に、三つの方式のどれをとるかによつて、国家の損益というものに関係し、又同時に国際電信電話会社の将来の収益率に対しても実際非常に影響を持つわけでありますから、いわゆるオーバー・キャピタルでやるか、或いは電信電話公社法のように、狭義の資本をとつて、非常に甘く出発さすか、これは将来の国際電信電話会社の運命に対して非常に大きなキーポイントになると思う。ですから今再評価の指数というのですか、それでおやりになると言われましたが、これと今大蔵省で問題になつておる賃貸価格による評価と、非常に辛いやり方がある。この三つのシステムでどれをおとりになるか、これは最後にはどう決定するか知れないけれども、大体この法案を作られるときに、この評価基準、評価方法をどれにするかということがきまつてなくちやならんと思つたのですが、花岡政府委員お話だと、そこまではきまつていないのだ、かように了解してよろしうございますか。
  38. 花岡薫

    政府委員花岡薫君) まあこれは、私どもの関係者の主観が大分入りまするが、私ども関係者が事務的に不用意に申しますと、とかく誤解を招くこともありますので、それも加えまして、かたがた評価審議会、専門家の委員会を設けてやるのが妥当であるという建前上、ここで或る方式を立てまして、それによつて弾くということは言えません。併し現実にその事務の中にあるものといたしまして、一応仮定いたしまして、只今申上げましたような数字が出ておりますが、はつきりしたものはできておらないか、こういう際立つたお尋ねに対しましては、そういうものは今のところないと申上げるよりほかございません。
  39. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 ちよつと、内容に亙つて質問がないのですが、会社が成立するに伴うて、これに附随した法律改正がほうぼうに出ると思いますが、ここに現われておるのは、電信法或いは郵便法、電波法等がここへ現われておりますが、これに附随してもつと法律改正が……これだけの法律改正で十分と考えておられるかどうか、この点一つ……。
  40. 田辺正

    政府委員田辺正君) 只今御審議願つております電信電話公社法案並びに会社法案は、現在の電信法その他関係規定を、とにかく公社並びに会社におきまして事業をやつて行くことができるだけの幅におきまして改正したものでございます。そのほかに、実は現在の電信法は非常に古い制定以来非常に長い間そのまま据え置かれまして、その内容につきまして非常に不備な点がございますので、それは公衆電気通信法というのでその辺を整理いたしたいと考えておるわけでありますが、只今有線電気通信法案と公衆電気通信法案という二つの法案国会提出いたしてございますが、その公衆電気通信法案と有線電気通信法案施行に伴う法案施行法案でございますが、それはまだ実は提出の運びになつていないわけであります。お尋ねは、会社或いは公社が仕事をやつて参る場合に、今までの電信法を簡単に改正しただけでは不十分ではないかというお尋ねと思いますが、その点はおつしやる通りでございまして、我々といたしましては、只今申上げました公衆電気通信法案並びに有線電気通信法案を、これと一緒に御審議願いたいというふうに考えておつたのでございますが、実はだんだんと時日も切迫して参りましたので、この法案におきましては、公社並びに会社が差し向きとにかく事業をやつて参るのに必要な限度において、現在の法律を改正いたしたということであります。
  41. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 会社設立するのに、この程度法律改正でどうやらいい、我々細かく調べれば、又いろいろこれに附随した法案が必要かと思いますが、そこまで勉強しておりませんので、その程度で結構と思いますが、政府委員といたしましては、この法案が突如として出たので、無理からんところもありますが、今私の申さんとするのは、電信法、電話法等が、改正されるべき法律がもう古くてどうにも役立たない、無理矢理に片付けて施行されつつある法律を、今日までそのままになつて、漸くこの法案を通してから、あとからその法案を審議するというような恰好は、前後間違つてやせんかというように我々考えるので、先ず電信法、電話法を先に十分審議し、そうして完璧なものになつて、始めて会社法があとで十分間に合うのじやないか、又施行期日としてもそう急ぐものでないから、あと先が順序が違つておるというふうに考えるので、一応お伺いしたわけなんです。  次に、私はこういう方面には素人ですからわかりませんが罰則ですが罰則は、ここには十万円以下と五万円以下という数字が出ておりますが、何を基準としてこういうはつきりした「以下」ということできめて、これに違反すると、もつと大きな違反を覚悟の上でやるということもあり得るし、又この十万円以下、五万円以下というものを、この委員会で罰則の値段をきめるということも、標準がはつきりしないので、我々としてもどうかと思いまするが、とりあえず私はこの法案に対しては反対しておりますので、詳しいことは必要といたしませんが、何を基準としたのか、その十万円以下というのは。仮に一万円でも以下でありますし、この標準を、何を標準としてきめられたものか、この二号、三号にいたしましても、これに違反した場合は、相当大きな違反があると思うのですが、これを値段によつて決定して行くということは、禍根を残す虞れはないかということが考えられるのですが、この点についての見解を一つ
  42. 田辺正

    政府委員田辺正君) 只今お尋ねは、罰則の刑の限度についてのお尋ねでございますが、我々この法案を作ります際に、この罰則につきましては、検務局に実は見てもらいまして、そうして検務局のほうで、これと似たようなほかのいろいろな事項に附けてあります罰則等と比較権衡をとりましてそうしてそれぞれの事項について決定してもらつたわけでございます。従つてこればかりではございませんで、大体同じような事項については十万円以下になつておる。そうすると大体この見当だろうというふうに、検務局が刑事政策と申しますか、そういう面からそれぞれの違反事項につきまして現在の罰則、そういうものを比較し、そうしてそれらに権衡をとつてきめて参つたということになつております。
  43. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 我々は、ここで価格その他を批判する場合に資料がはつきりしないのでお尋ねしたのですが、そういう資料によつてここで値段、値段といつてはおかしいが、価格が出たのなら了承いたします。  それからもう一つお伺いしたいのですが、いつも先ほどから、或いは今日まで申されて来たのですが、会社にするということになりますると、或る程度まで民営ですから、官業機構から離れるということが提案理由の説明にもあります目的だと思うのに、やはり大臣認可、許可があらゆるところに現われて出ておる。それも一応やむを得ないといたしまして、特にこの十四条に、十条乃至十一条の括弧内を大蔵大臣と協議しなければならないと、ここへ大蔵大臣が現われて出ているのですが、先ほどの説明の、設立の場合は、国会議決も要らないというくらいまでに或る程度まで幅があるのと、ここで郵政大臣のむしろ認可許可がやかまし過ぎると思うくらいに我々は考えておる矢先、大蔵大臣と協議しなければならないということを法律で決めて、そうして協議してうまく行けばいいが、協議しなかつたらどうするかという複雑な問題も出て来まするが、ここに特に大蔵大臣と協議しなければならないと法律できめなければならない理由はどこにあるか。先ほどから山田委員の御質問の、国会議決も要らないという面と比較しますと、ちよつと納得できないのですがこの点簡単で結構ですから見解をお伺いしたい。
  44. 田辺正

    政府委員田辺正君) 第十四条で、第十条、第十一条、これには括弧がございますが、それから前二条の設備を譲渡する場合と事業計画を定める場合、これを大蔵大臣に協議することになつておるわけでありますが、これは会社の経営をして参ります場合に、会社は、第八条にございますように、外債につきましては、これを政府の保証をしてもらうことになつております。そういうような点から考えまして、又財政金融面との調整というふうな点から考えまして、これはやはり郵政大臣だけでするのではなしに、財務関係を持つておる大臣とも相談してやつたほうが適当ではないかというふうな考えから、第十四条を設けた次第でございます。
  45. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 これは、関係方面の大蔵大臣と相談するということはわかりますが、やはり政府には閣議もあるし、又お互に大臣同志で相談して納得の行くようにして、そうして郵政大臣認可許可で僕は事足りると思う。ここヘことさら大蔵大臣と協議するということを法律に現わして、若し協議が広きなかつた場合に、又郵政大臣としても非常にここに、何といいますか、権力的な要するに問題も起きるというとうに考えるので、私はこれは必要ないのじやないかと思いまするが、国家財政に関係があるので協議するのだと言われるのならば、これも私は一応やむを得ないと思います。私は、大体においてこの会社法に反対しておりまするので、逐条審議は私今日は終ります。
  46. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 別に御発言もなければ、本日はこの程度でよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十六分散会