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1952-06-16 第13回国会 参議院 電気通信委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十六日(月曜日)    午前十一時三十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     鈴木 恭一君    理事      山田 節男君    委員            大島 定吉君            寺尾  豊君            新谷寅三郎君            水橋 藤作君           池田七郎兵衞君   国務大臣    郵 政 大 臣    電気通信大臣  佐藤 榮作君   政府委員    電気通信省電気    通信監     山下知二郎君    電気通信大臣官    房審議室長   大泉 周藏君    電気通信大臣官    房人事部長   山岸 重孝君    電気通信省業務    局長      田邊  正君    電気通信省業務   局国際通信部長  花岡  薫君    電気通信省経理    局長      横田 信夫君   事務局側    常任委員会専門    員       後藤 隆吉君    常任委員会専門    員       柏原 榮一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○連合委員会開会の件 ○国際電信電話株式会社法案内閣提  出・衆議院送付) ○日本電信電話公社法案内閣提出・  衆議院送付) ○日本電信電話公社施行法案内閣提  出・衆議院送付)   —————————————
  2. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 只今より電気通信委員会開会いたします。国際電信電話株式会社法案並びに日本電信電話公社法案日本電信電話公社施行法案を議題といたします。質疑に入ります前に、御報告かたがた御了解を得たいことがございますが、それは、電気通信委員会大蔵委員会との連合委員会の開催の件でございますが、明十七日に、電気通信委員会散会後に連合委員会を開く予定にいたしております。が、大蔵委員会において先に当委員会に提出されました連合委員会開会申入れの文書は撤回することに相成つておりますが、大蔵委員会は本日開かれておりませんので、明白の大蔵委員会で右の決定がありましてから当委員会において正式に決定いたしたいと存じます。従つて明日連合委員会を開く予定にはしておりますが、右のような事情で、公報大蔵委員会との連合委員会に関する件という案件を掲げておくことにいたしたいと存じます。御報告かたがた御了承をお願いいたします。
  3. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 先般希望を申上げたように、大蔵委員会のほうでは、こちらの委員会に対する申入れを撤回するということについて、これは委員長相互間の話合いで、大蔵委員長責任を持つてやるということになつておるのですか。
  4. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) お答えいたします。大蔵委員長責任を持つてそうするといつております。併し形式的に開かれないのです。
  5. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大蔵委員長責任を持つてやるというならば、大蔵委員長責任においてそういうことをされる前提で、今のお話のように連合委員会の手続を進められることについて異論はありません。
  6. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 如何いたしましようか。今新谷委員の言われましたように取計らつてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 御異議ないと認めます。そういうことですと、なお大蔵委員長と相談いたしまして、場合によりましては、案件として前日の公報にこれを掲げたいと存じます。
  8. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 ただその連合委員会が、お互いに審議を尽すという意味で開かれるわけですが、徒らに連合委員会が長引くようなことがあつては、当委員会審議にも差支えると思うのです。それで委員長の交渉で、これは一回だけで済むのですか。或いは何回でも必要があればやるということになつておるのですか。
  9. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 只今まで委員長理事のかたとお打合せをいたしましたことによりますと、一回で勿論済みそうでございます。
  10. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 了承いたしました。
  11. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) それでは公社法案に対して御質疑がございますればお願いいたします。
  12. 山田節男

    山田節男君 大臣が見えるまで、他の政府委員に対して質問を申上げたいと思います。第四章の財務、会計に関する例の第四十条の予算弾力性の問題ですが、この間新谷委員から縷々質問があつたごとく、私も拝聴したわけですが、なお私重ねてお聞きしたいことは、この予算弾力性を持たす、他の公社では、例えば国鉄鉄道公社ではこういう制度がない。今回電信電話公社予算弾力性を持たしたということは、これはやはり企業体としての一つ自主性を持たす意味で、私は趣旨はいいと思うのです。ただその間私なお明らかにしておきたいと思いますことは、この予算弾力性を持たせるという第四十条の規定ですね。例えば予備費の問題です。予備費の四十五条の問題は、これはいわゆる災害復旧の場合、まあ「その他避けることができない事由による支出予算不足を補うため、」云々と、これは過日横田政府委員ですか。新谷委員質問に対して、これはもう災害復旧のためにやるのだと。それからもう一つは、予算弾力性を持たすことについて関連してお尋ねしたいことは、この給与総額の問題がありましたね。四十三条ですね。四十三条の六、やはり「役員及び職員に対して支給する給与総額」、これは予算の中に、ちやんと予算総則の中に入るべきもの、こういうように私了解するのですが、この予算弾力性を持たすということの意味範囲といいますか、先ほども申上げたような予備費との関連、これは実際厳密にそういう区別ができるかどうか。実際上明確にここに予備費の場合と、今例えば予備費の場合に申上げますが、予備費災害復旧ということ、それからこの弾力性を持たす趣旨としては、「需要の急激な増加経済事情変動その他予測することができない」、それから予備費の場合においても、「災害復旧その他避けることができない事由による支出予算不足を補う」、どちらも不可避という言葉が使つてある。これはどういうふうに実際上明確にできるかというのですね。できれば一つ具体的に御説明願いたい。
  13. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 只今お尋ねの点についてお答えいたします。今お尋ねの点が、大きな問題として二点あつたようでありますが、四十条に関連いたしまして、予算弾力性を持たす、その内容として予備費との関係及び給与総額との関係、これはどうなるかというお尋ねのように了解いたしました。先ず予備費との関係でありますが、御承知のように、従来の予備費と申します中には、災害復旧その他のこの予備費だけでなしに、従来の予備費は、業務量増加災害復旧その他というふうになつております。いわゆる務量のほうも予備費で賄うという構成に今の特別会計予算、或いは国鉄予算もそうなつておるわけであります。ところがこの業務量増加と申しますのは、勿論この四十条にありますように、需要の急激な増加経済事情変動、いわゆるマーケツト変動によつて見込業務量よりはお客さんの需要が多くて、それに又対比することができるという問題であります。そうなれば収入もおのずから殖えて来る。これは従いまして予備費の問題でなくて、それによつて業務量が殖えまして、収入も上る。これは予算弾力性の問題としてこれを解決いたしたい。従いましてこれは四十三条の問題になりまして、この予算総則の中でこの収入支出予算に関する総括的規定ということで、その点を明らかにしておけばこれは足りる問題であろう。予備費は、災害復旧そのほかの目的に限定しまして、マーケツト変動によるものは、これは予算総則弾力で解決して行きたい、こういう意味であります。それから次に給与総額の問題でありますが、給与総額は、御指摘の今の四十三条と、それから七十二条の給与準則関係する問題、この両方の噛み合せの問題になるわけでありますが、七十二条に規定いたしておりますように、この給与準則というものは、公社が自主的にきめてよろしい、こう第七十二条でなつておりますが、併しその場合において「この給与準則は、これに基く一事業年度支出国会議決を経た当該事業年度予算の中で定められた給与総額をこえるものであつてはならない。」ここで給与準則給与総額で抑えておるわけであります。即ち給与総額というものをきめるという趣旨は、給与総額をきめて、中の人員というものはこれはきめない。できるだけこれから業務量が殖えましても、そう無暗に人を殖さずに給与ベースを上げて行く、この趣旨はよろしい。併しこの給与準則総額をこえるような準則のきめ方をしてはいけない。これは或る意味において当然であろうと思いますが、併しそこで、ここに掲げられております四十三条の六号と、それから四十三条の初めに書いてあります予算総則には、収入支出予算に関する総括的規定を設ける外となつておる。この収入支出予算に関する「総括的規定予算に与えられる第四十条に規定する弾力性範囲を定める規定を含む。)」となつております。これとの関係でありまして、今の給与総額給与の中にも或る程度変動的なものもあります。固定的なものもある。固定的なものは、勿論これではつきり抑えて行くわけでありますが、給与総額につきましても、業務量が非常に殖えて行くということによつて、いわゆる弾力性を或る程度備えていい問題も起るかと思います。そういう場合は、この予算総則で、収入支出予算に関する総括的規定の中に、給与総額についても今の或る程度弾力性を持たすというようなことが、これはできるという規定でありまして、そうなりますと、この今の収入支出予算の中に挙つております給与総額、これは一応固定的なものは金額が載るわけでありますが、そのほかに、業務量が非常に殖えたという場合に、或る程度給与総額弾力性を持たすというものがくつ付いて、この四十三条の総則でくつ付いている。その両方くつ付いたものとして、給与総額については両方含めたものとして、この事業の運行はやつてよろしいということができるように、この法律の規定はなつておるわけであります。
  14. 山田節男

    山田節男君 この第四十条のいわゆる予算弾力性ということは、これは私も非常に趣旨はいいと思うのです。そしてこれは即ち需要予算主義であつて、国家の一般会計予算に比べると非常に弾力性がある。これは私まあ非常に結構だと思うのです。只今のように企業体企業的な経営としてやり、而も高能率、高賃金ということを言つておられるわけですね。そういう場合には、この従来の公社観念、例えば国鉄の例をとつても、やはり給与総額ということをいつておるわけですが、他の方面においては、相当流線型的な従来の公社の欠点を補つておる。いわゆる需要予算主義をとられて、高能率、高賃金をとつている、こういう線が強く打ち出されておつて給与総額だけは、今横田政府委員が言われたような多少の何はあるにしても、建前から言えば、給与総額というものはむしろきめないで、これはもう自主的にやるのですから、だからそこにいわゆる需要予算主義で以て私は適宜処理できるのじやないか。むしろそのほうがいわゆる自主性を持たし、又従業員に対して非常な希望を持たせて行くという趣旨じやないか、そうなるのじやないかと私は思うのですね。然るにあえてこういつたような給与総額というものはやはり従来の、まあまずいとは言いません。やはり国営の残滓が残つておるような給与総額というものをここに謳われておるということが、今あなたの御説明の程度では、本当にこれを企業的経営を自主的にやるという建前からすれば少し不当じやないか、画龍点睛を欠くものじやないか、こういうように私感ずるのです。これは大臣としても、給与総額の問題、これはただ従業員云々という問題ではなくて、企業体自主性を持たして能率を上げて行くというのは、何も給与総額を枠をきめておかないでペーすればいいのです。そして能率を高くすればいいのです。私どもこの点が了解行かないのですが、そうしてこの四十五条の予備費の場合は、この中に何ら監督の、主管大臣である、これでいえば郵政大臣ですね。まあ認可ということは要らないにしても、少くとも主管大臣で通告かなんかして、予備費というものの支出が、相当の大災害が起きた場合、相当金額に上るというような場合には、これほど郵政大臣が非常に強い権限を与えられておる本法案としては、予備費に対しては何ら主管大臣関係ないようにされておるのですが、この御趣旨はどういうことなのですか。
  15. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) お話の点につきまして、二点やはり御指摘になりましたようでありますが、給与総額を設けることの適否につきましては、これはいろいろ考え方があると思いますが、この給与総額といたしまして、業務量が同じの場合にこの給与総額というものは変らずに、同じ業務量の場合においては人も減らし、給与ベースも上げる、これは事業としても相当問題でありますし、又御承知のように、我我も、又従業員も現在までにすでに相当努力いたして来てはおりますが、併し官営事業の常として、むしろ輿論から批判されておる問題は、いわゆる役所というものは、給料は低いけれども働きが少いのだ、もつと人を少くして、うんと働いて、給与を上げるべきじやないか、こういう声が一般輿論の趨勢のように見受けます。勿論従業員も我々もできるだけ努力はいたしておりますが、なおこの点については、将来努力の余地は私はあると存じます。そうしますと、業務量が同じの場合に、給与ペースを上げる、いわゆる高賃金をとるとすれば、できるだけ少い人間に、人も多くし給与ベースも上げるというのでなしに、これはできるだけ少い人間給与ベースを上げて行く、これが事業の本旨ではなかろうか。又現在といたしましては、国民輿論が我々の事業に要望しておるところじやなかろうかと思います。併しその意味で、今給与総額固定性があるということについては、現在の実情を前提にいたしますならば、この給与総額の設定ということも必ずしも無理からんことじやないかと思います。将来この公社というものが、国民一般から考えまして、もう手離しに任して、そういうことについては、もう企業体が完全に信用できると、国民国会政府もお考えになれば、この給与総額という問題は、その時期には再び考え直されてもいい問題ではなかろうかと思つておるわけであります。併し現在におきましても、今御指摘の中にも、業務量相当つて来る。業務量が変つた場合に、なお且つ相当増加するという場合にも、飽くまで固定的に行くかということは、これは現在としても相当問題がある。その業務量が非常に多くなつた場合における給与総額弾力性を持たすということは、これはこの四十三条予算総則には、収入支出に関する総括的規定、これは「弾力性範囲を定める規定を含む。」こういうこの条項の運用によつて、それはできるような態勢になつておりますということを申上げたわけであります。それから第二に、この予備費の問題でありますが、御指摘のように、この業務量の移動による、いわゆるマーケツト変動需要変動による問題は、従来は予備費の中に入つておりましたが、これは事業として事業予算の特性を持たす以上は、これによる問題も予備費でなしに、いわゆる事業弾力性として当然発動すべきだ。で、予備費としては、いわゆる予測できない災害復旧そのほかというよなものについての予備費観念いたしております。この予備費規定を実際置く必要があるかどうかということも相当問題であると思うのであります。当然公社企業につきましても、これは予備費的な財源を一応保留いたしておくということは当然必要なことでありまして、公社事業におきましても勿論こういうものは必要だ、これをここまで予備費規定をおいて、又業務的に縛つて行くことも果して必要かどうかは、これは問題であろうと思うのですが、併し従来との関係もありまして、予備費内容というものをむしろここではつきりして行くということも必要であろうと思います。併し予備費を使う問題については、勿論決算的には政府監督いたすわけでありますから、この予備費の使途について、この経営自主性をそこまで持たさないが、一々縛つて行くという必要もないことかと存ずるわけであります。
  16. 山田節男

    山田節男君 この四十五条の予備費の場合は、今災害復旧だということを明らかに述べられております。我が国のように非常に不測の災害の多いところ、そして大災害が起つて、例えば復旧には数億円、数十億円の金がどうしても要る。そういう場合には、公社としてやはりこの際政府からいろいろな借入金について便宜を要求しなくちやならんだろう。これは必然的にそうなる。殊に今日民間の銀行にしても、オーバーローンしておつて、とても何十億の金は出せないということで、どうしても政府がやらなくちやならない。そういう場合に、予備金というものに対して、主管大臣郵政大臣とは何ら関係のない、監督といいますか、主管大臣がこれに対する発言権といいますか、或いは少くともこれに対してこういう必要があるということを公社から通告せられるぐらいは、私は当然受けられるくらいの義務があると思います。それを四十五条では、そういう性質のものに対しては、何ら主管大臣郵政大臣に対して連絡をとるというようなことを一つ謳つてないのです。いわゆるこういう条文のアイデイアですね。どうして主管大臣予備費というものに対して何ら関連を持たせない、飽くまで公社で自主的にやるのだという建前になつておりますか。
  17. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) この予備費につきましては、例の給与準則等とは違いまして、給与準則は、これは自主的に或る制限の中で定め得ることになつておりますが、この予備費というものも、これは当然予算の中に計上されて来るわけであります。従いましてこの四十一条によりまして、この事業監督として、この予算の作成のときに郵政大臣はこれを検討する権限を当然持つておるわけであります。その検討された予算のこの予備費の枠を災害のあるときに使つて行くといつた場合に、この使つた報告というものは、勿論これは決算的報告として報告は出て行くわけであります。お話の点は、災害があつて、その予備費の枠の中で使う前に、もう一度主務大臣認可か、許可を受けろ、こういう御趣旨でございましようか。
  18. 山田節男

    山田節男君 例えば鉄道公社の場合は、予備金の必要な場合には運輸大臣に通告しなくちやならん。こういうふうになつておるのですね。ところがこの章では、何らそういうことを謳われていないというのですね。
  19. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 一応お話通りであります。そういう国鉄の前例としてはそうなつておりますが、国鉄予備費というものは、今の業務量も含めた予備費でありまして、そういうものとこの体制を変えましたので、一応最初検討を得れば、これは結果的な報告が行くので、これを十分審議してもらうことはいいけれども、一々この場合に特別に御通知しなくても、場合によつてこの予備費について、小さな金額なら、現場のほうに任せて行くということも考えられますし、一応そういう規定を設ける。全体の枠だから、最初検討を経ておるので、その点についてはそこまで縛る必要はなかろう、こう一応考えたのでありますが、若しそういうことが事態において必要であるといたしますならば、現実に飽くまで必要だということになりますならば、この予算総則の中の七、「その他予算の実施に関し必要な事項」という中で、特にこれをどうしても取上げる必要があるということなら、この予算総則できめることもできるわけであります。一応どうしてもそうしなくちやならんというところまで縛る必要もなかろうかと、こう考えたわけであります。
  20. 山田節男

    山田節男君 これは、この電信電話災害、過去八十年の歴史ですね。大体まあ平均して、年間どのくらいの予備費を置かなければならんだろうかということは、私は今日大体の見当はつくだろうと思います。そういう見地から、公社がいわゆる狭義の資本主義において百六十億円の資本の計画を立てる。そして今度予算を立てる場合に、大体この予備費というものをどのくらいに持つという、そのおよその額はお示し願えませんか。
  21. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) お話の過去の統計は、私は今手許に持つておりませんが、大体お話のごとく、過去の統計を持つて参りますと、或る程度の計数が出ると思います。ただこれが御承知のように、あらかじめ予備費的なものを相当つておるところと、そうでないところによつて非常に違つて来る。これも当然でありますし、まあケーブル網というものを相当進めて行けば、これもずつと変つて来る。現在までのところでは、大体年々の予備費的な財源といたしましては、十億乃至十五億の幅においてこれが大体足りるものだ、こう考えております。
  22. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 午前の委員会はこれを以て休憩いたしまして、午後は一時半から再開いたします。    午後零時三分休憩    ——————————    午後二時四十五分開会
  23. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 休憩前に引続きまして委員会を開きます。御質疑を願います。
  24. 山田節男

    山田節男君 少し前の条章に参りますが、第三章の役員及び職員の問題に関連して、第二章の経営委員会の問題と関連して、一つ大臣のお言葉を通じてはつきりしたいと思うのです。先ず第一に公社総裁のことでありますが、総裁はこの法案によりますと、経営委員の一員になる。そうしてこの総裁内閣の任命するところになつておるわけであります。御承知のように、この公社というものは、国営に代えるのに企業の形態というものに、もつと商業的といいますか、自主性を持たしてやろうということになる。そうしてこの国営の場合には、勿論国会或いは政府を通じて直接の管理と言いますか、監督ができるわけであります。公社になれば、これはこの法案によれば、郵政大臣主管大臣になつて来る。公社の本質からいえば、これは当然国会或いは政府の直接の管理下から手を離して、そうして管理機関というものを自主的に運営させる、そういう建前になるわけでありますが、そういたしますと、そういう観点から見ますと、経営委員が、この法案で申しておりますように、会社の一つ重役会或いは取締役会のようなものである。この経営に関する限り最高機関、又国会或いは政府に対しては、経営委員会というものが直接の表面の責任といいますか、公共企業体責任所在を明らかにするといえば、その責任所在経営委員会にある。かように解釈せざるを得ないと思うのです。ところがこの法案総裁は、これは国会承認を得ないで、内閣の直接の任命になつておる。而もその総裁経営委員会特別委員という資格で経営委員になる。そういたしますと、総裁というものは内閣に対しては責任を持つているけれども、国会に対する責任というものが、どうも私ははつきりしない。そうして又この法案によりますと、経営委員のところの第十条を見ますと、経営委員会は、公社業務の運営に関する重要事項決定機関一つ議決機関のようになつている。そういう建前から見ますと、執行機関最高責任者総裁である。こういうようになりますと、従来の公社、例えば鉄道公社の例を挙げてみても、総裁国会に対する責任というものは明確にされていない。ということは、経営委員会に対する総裁責任というものが、どうもこの法案ではつきりしないのですが、こういう極めてユニークな、従来の公社観念からするというと、総裁というものは非常に権限を持つということになるわけですが、この点に関して大臣は、どういうようにしてこれを、国会に対する責任を明らかにするか。いわゆる公社責任所在を明らかにせしめるかということをお考えになつているか、これをお聞きしたいと思います。
  25. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 総裁は、御承知のように政府が任命することになつております。国鉄の場合と違いまして、経営委員会の推薦とか、或いは国会承認とかいうような問題が、この場合はないということにはつきりいたしておるのでありますが、かようにいたしましたゆえんのものは、執行機関、執行上の責任と申しますか、これは挙げて政府にある。従いましてその意味において、政府総裁を任命するということに建前はなつておるわけであります。この関係国会との関係から見ますれば、国会に対する関係においては、直接の関係に立たないで、間接な関係に立つのじやないか。総裁の任命等、或いは業績等につきまして、国会からいろいろ批判を頂きます場合においては、政府総裁任命の責任をとるということにするというのがこの法律の骨子であります。只今お挙げになりましたように、経営委員会に臨みます場合も、特別委員という資格において経営委員会に参画する。従いまして総裁である場合には、経営委員会のあり方として、この委員であることが経営委員会の運営上望ましいし、又同時に意思決定機関、この真の目的とするところを執行に移す、かような意味合いにおいても、これを特別委員として経営委員会に参画さすのが適当ではないか。かように考えておる次第であります。いろいろ在来の例等から御覧になりますと、国鉄の場合とお比べになりますと、何だか今度の場合が特別な考え方をしておるようにおとりになるだろうと思いますが、只今申上げますように、公社業務遂行の衝に当りますものは、政府が直接監督をして参る。かような意味合いにおいて、政府責任においてこれを任命して行こう。こういう考え方でございます。
  26. 山田節男

    山田節男君 この公共企業体というものは、国営でなくて、こういう企業体にするということは、要するに政府というものはこれはしよつ中変るわけであります。ところが事業体としては永続性を持つたものである。従つて運用もそういうようにしなければならん。それから又経営委員も任期を四年としたような趣旨も、やはり公共企業体の運用というものを永続的なプランの下に、途中で政党内閣の変ることに応じて、公社の方針がしよつ中変るということでは、企業の健全性を非常に危くする。そういうことから、私は経営委員というものを任命し、そうしてこれに一つの循環的な、ロテーシヨン式な、常に経営委員会というものが断続ないようにせしむるという建前にしなければならん。それに、この総裁というものが、今回こういう法案によりますと、どうも総裁特別委員として、経営委員会の一員として重要な事項決定に、決議機関としての一員としての地位を占める。併し実際の仕事は、業務を遂行し総理するのが総裁だ、そういうことになりますと、公社のいわゆる経常委員会、それからこの場合の総裁というものは、何といいますか、総裁国会承認した経営委員、いわゆる最高の機関といいますか、経常委員会に対する責任とが義務とか、こういうものの規定が全然ないということは、悪く言えば、これがその時の政府によつて思うままに、総裁によつて自由にされる。こういう危険性が私は非常にあるのじやないか、それに対する保障というものがないのですね、この法案には、これは、総裁は、内閣が任命するということになつております。この場合には、副総裁をも内閣が任命する、こういうことになつておる。ですから、これは何と言いますか、従来の考え方から言うと、進歩したやり方というか、併し又我々が杞憂を抱く点は、党利党略によつてこの公共企業体の政策というものが変りはしないか。私は非常に杞憂を抱くわけでありますが、総裁経営委員会に対して何ら責任を負わなくてもいいのか、執行上の総理者として、経営委員会に対する責任はどういうようにして持つのか、又持たなくてもいいのか、そこに総裁が非常に独裁的に、時の内閣或いは主管大臣である郵政大臣と組めば、どんなことでもできるということになるのですから、この法案を見ますと……、そこを従来の鉄道公社あたりでは一つの予防すると言いますか、チエツクする機関があるわけでありますが、これがこの法案にないわけであります。これは一つの特異性としてここに出ておるわけですが、そういう点はどういうように保障されるのか。経営委員会に対する総裁責任、或いは経営委員会の意に反しようがどうしようが、時の内閣が自分の思うものを総裁に据えられるという場合も考えなくちやいけない。そうしますと、本来の公社にする趣旨に非常に反する結果になることもあり得るのじやないか、こういう杞憂を抱くわけですね。これに対して、そうじやない、そういうことはあり得ないという、何か大臣の保障ができれば、我々納得行くような保障がつけば私はいいのですが、この法案を見ると、この点が私はどうも納得行かない。大臣のお口から、我々の納得行くような御説明を願えれば結構だと思うのです。
  27. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 山田委員の御意見は、私はちよつとつかみかねていたのですが、只今お話でよくわかつたように思えるのは、総裁経営委員会決定したことと違うことをするのじやないか、或いは政府が変ることによつて公共企業体事業遂行の政策が変るのじやないかということを御心配になつておられるようでありますが、御承知のように、この法律では、明確に経営委員会の権能と総裁以下の権能とを区分をいたしておるわけであります。もうすでに御承知のことだと思いますが、重要なる事項につきましては、公社の意思決定はどこまでも経営委員会決定をする。その決定に基きまして、総裁以下が業務を遂行して参るということになるわけであります。従つて経営委員会決定をいたしました事柄と別な方向において業務遂行をなし得るものではないのであります。その点ははつきりいたしておりまして、総裁等の責任を追究する場合におきましても、この点を明確に規定をいたしておるわけであります。従いまして経営委員会、いわゆるこの事業体の重要なる事項の意思決定をいたしますものについては、国会は勿論関与し得るような形になつておりますが、その意思決定を見ましたものの業務遂行という、その衝に当るものでありますので、只今申上げるように、政府任命でこれは十分であるということを考え、同時にそれより以上の処置をとらなくてもいいのじやないかということが第一点でありまするし、又政府が変ることによつて、政策の変更を来すのじやないかという御心配もあるやに見受けまするが、只今申上げますように、経営委員会というものが或る重要事項の意思決定機関である限り、総裁が独自の立場において、又政府が独自の立場において政策を立て得るものじやないこともこれでおわかりだと思います。従いまして今回懸念になつているような事柄は、私どもといたしましては絶対にあり得ない。かように確信をいたしている次第であります。
  28. 山田節男

    山田節男君 この十条に規定してある経営委員会の権能といいますか、重要事項決定機関である。今大臣がおつしやるように、これは公社の最高意思の決定機関である。その意思を決定する場合には、総裁特別委員としてその経営委員会の一員になつてつて、執行部面はもう総裁に一任してある。こういうのですが、この国鉄の場合には、公社の意思を決定するのみならず、その業務執行の面においても、やはり指導統制、これはもう意思を決定する。これはやはり重役会である以上は、その業務執行についても一つの指導、統制的なものが当然要ると思うのであります。これは十条に、単なる意思決定、その執行面は総裁がやる。こういうことになつておりますが、これは総裁、悪く言えば経営委員会一つの意思決定機関としての権利を総裁が持つている。併しその執行面においては総裁が全責任をもつてやる。こういうことになりますと、経営委員会というものは単なる意思決定機関であつて重役会といえば、その業務の運営についてはこれの統制という機能を持つのが普通じやないかと思うのであります。今の大臣の御説明においてわかるように、経営委員会は単なる意思の決定機関である。業務執行は全部総裁が掌理する。こういたしますと、余りに総裁のほうにとつて非常に都合のいいやり方、逆に言えば、これは経営委員会においての意思決定に基いてやる以上は、総裁は、経営委員会に対しては、その業務の運営の効果について経営委員会責任を持たなくてもいい、こういうふうにも解されるのですが、そこに先ほど申上げたように、これが党利党略に用いられた場合には非常な危険があるのじやないか。かように私は感じたということを申上げたのであります。この点がどうも、経営委員会総裁の面とが余りに総裁権限が強過ぎている。こういう印象がどうしても抜けない。もう一つは、総裁について、私のちよつと不安に思いますことは、公社を代表する者は総裁だけである。この二十条の四項による理事、副総裁は代理権だけであつて代表権はない。代表するのは総裁だけである。こう規定にあるようにうかがうのですが、これは過日どなたからか質問があつて、他の政府委員から答弁があつて、どうも私はつきりしないのでありますが、代表と代理ですね。これは実際に業務執行面においてどれだけの違いがあるのか。この法律を作る場合の代表と代理の違いですね。これをお伺いしたい。
  29. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 代表と代理との相違につきましては、事務当局から御説明させますが、山田さんの前段の御質問につきまして、もう少し私補足してみたいと思います。今お話になりましたように、国鉄の場合とはよほど趣を異にしている。指導、統制を経営委員会がやつて、更にその上に政府監督指導しているわけです。私ども今回考えましたのは、経営委員会公社の意思を決定するものと、執行機関と、これを合して公社事業主体と考えなければならないわけで、その日常の業務の遂行という問題になりますれば、これはいわゆる業務の処理になつて来る。基本的な重要事項決定こそ最も大事な問題でありまするし、これが一党一派に偏することはこれは如何かと思います。併し日常の業務処理につきましては、挙げて総裁責任にする。併しその業務遂行と申しましても、経営委員会決定したその方針に基く、その意思決定範囲において活動するのでありまして、これが超過的な、或いは無限的な行動は考えられない。勿論総裁、副総裁経営委員になりまするけれども、経営委員会の構成等から考えますると、総裁、副総裁が絶えずその経営委員会をリードするとも考えられない。若し又リードするということになれば、他の経営委員の諸君は一体どういうことになるのか。その責任はどういうことになるんだという問題にも発展して参るのではないかと思うのであります。そこで政府自身が業務遂行についての監督は勿論いたすわけでありまするが、この点がお説によれば、一層心配なんだ、政府総裁が話合えば何でもできるのじやないか、こういう御疑念がなお存しているやに見受けたのでありますが、先ほど来申上げますように、総裁の行動というものは、経営委員会決定したその意思を実施に移す。又その活動もこの決定範囲を超えない。かように考えますると、別に内閣が送ることによつて政策が変更を来たす、かようにも相成らないのじやないか。かように私どもは考えておる次第であります。この点は、先ほど来御高見も拝聴いたしたのでありまするが、国鉄のように、経営委員会が同時に業務の遂行についての指導統制をやる。その上にもう一つ政府が同じような監督をやる。こうダブらさなくても、又ダブらないほうがいいのじやないかというのが、私どもが考えました、又御審議を頂いております原案の趣旨でございます。お尋ねになりました代表と代理につきましては、事務当局から説明をさしたいと思います。
  30. 大泉周藏

    政府委員(大泉周藏君) 只今の代表と代理の点につきましての御説明を申上げますが、実はこの日本電信電話公社法におきまする代理、代表につきましては、日本銀行法の第十五条の例によつた次第でございます。この問題につきましては、従来の公社法におきましては、総裁の定むるところにより代表するという規定がございまして総裁の定むるところにより代表するということは、一体どういうことであるか。つまり総裁が代表権の制限を加えるのかどうかということが非常に不明確であつて、これを又善意の第三者に取引上の損害を蒙らないようにせしめるためには、その公示方法如何ということが非常に問題になつたわけであります。実際国鉄はこれを登記していないのであります、そういうことを。では登記しようかということになりましたのですが、内部事務の複雑なものをはつきり分けて登記するということは、このような大きな事業においては非常に困難である。従つて国鉄における代表の実態は、実質上代理と同じじやないか。代理と代表というような場合には、実際上どういうことが困るかということを考えてみますと、これは法観念上の問題であります。代表と言えば、その行為自体が直ちに公社の行為になる。代理の場合においては、或る代表権を持つものを通じて公社の意思となるということから行きまして、実際上の問題におきましては、何ら不都合を生じないのであつてやはり日本銀行法のような規定のほうが適当ではないかという法制的な解釈によりまして、この場合には国鉄、専売の例によらず、日銀法の例によつたのであります。
  31. 山田節男

    山田節男君 そうしますと、この第二十条で、総裁だけがその公社を代表する。先ほど来経営委員と兼ね合せて総裁のことを今大臣に御質問しているのですが、時の内閣がこの総裁を任命するということになりますと、総裁が当分ないというようなことも、置かないということもあり得ることと思います。そういう総裁がない場合、例えば半年とか一年とか、一ケ月でも総裁のないときはどうなりますか。代表権のある者がいない場合……。
  32. 大泉周藏

    政府委員(大泉周藏君) その点につきましては、この二十条でございましたか、二十条におきまして、その第二項に、総裁が欠員のときはその職務を行うという規定を置きまして、総裁が欠けておつた場合は、副総裁が当然総裁の職務を、即ち公社を代表し、業務を総理するという職務を行うということを規定しておりますので、この場合は、当然副総裁は代表権を持つことと考えます。
  33. 山田節男

    山田節男君 その抜け途があるなら、代表は総裁のみとするというような、そういう規定は私はおかしいのではないかと思う。
  34. 大泉周藏

    政府委員(大泉周藏君) この点につきましては、いろいろ御見解もございましようが、日銀法にもすでに定義がありますし、これで実際上差支えないのであります。又同時に、総裁の定めるところにより代表権を有するということは、すでに総裁が定めなければ代表権の範囲も不明確であるというような法規定でありまして、これは代表権の規定というものは、普通は、会社なんかの場合においては、取締役会において代表する者をきめ、又それに対する制限を加える場合はそこできめるというのが普通であります。総裁が単独に代表権を持つため、役員の代表権を制限するというようなことは、むしろ我々の法律観念から言うとおかしいのではないか。むしろ代理権をもらつたということが実際にも適合し、又法観念上も明確ではないかというふうに考えております。
  35. 山田節男

    山田節男君 この点、この間の新谷君へのあの御説明よりややはつきりしたわけでありますが、なおもう一遍研究させて頂きたいと思います。それからさつきの大臣の、総裁経営委員会との関係ですが、経営委員国会がこれを任命し得るということになるわけです。ところが総裁内閣の任命であるから、国会がそれに対しては手の出しようがない。而もその総裁経営委員会で意思決定し、執行部の最高責任者である。総理する人だということになる。そういたしますと、この総裁に対して国会というものが国民を代表してこれを監督するということができない。いわゆるその時の、ここでいえば主管大臣である郵政大臣を通じて、或いは内閣を通じてやるよりしようがないということになる。そこに私は……、而も総裁経営委員と同じ、名前こそ違うけれども同じ権限を持つておる。而も国会は、これに対して任命権を持たないということ、こういう国会、いわゆる国民監督に対しては治外法権的な権限総裁に与えておる。そこに私先ほど申上げておるようないろいろな不安が生ずるわけです。これは大臣の御説明によれば、それは内閣主管大臣なり、或いは総理大臣が全責任を持つて、変なことをさせないように十分監督するとおつしやいますけれども、併しこの建前で行くと、内閣が変るたびに総裁を又自由に首のすげ替えをやり得るということも、これは我々としては、法を作る場合には相当慎重にしなければならん問題だと思う。今の大臣の御説明によると、総裁というものは国会に対しては全く治外法権的なものである、かように私は解釈するのですが、それでよろしうございますか。
  36. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 総裁国会から御覧になつて治外法権的存在か、こういうことですが、先ほど来申しますように、内閣が任命する。その内閣自身が国会から御覧になつて治外法権的存在であれば、総裁もやはり内閣の任命であるから、治外法権的な存在だと、かように言えるかと思いますが、内閣自身は国家、国民に対して責任を負うものでありまするし、国会国民を代表しておる立場から、内閣政府自身は絶えず国会の批判を受けるわけであります。若しも間違つたことをいたしまするならば、政府責任は必ず国会が追及される。かような意味合いにおきまして、先ほど国会に対する関係は直接の関係ではない、間接的な立場に総裁は置かれるでありましようということを申上げたのであります。私は、政府が任命するという場合におきましても、政府自身が国家、国民に対して責任を負つてやることでありますから、国家、国民の代表である国会として、政府に対して、この選任その代が過まつておれば、その責任を追及されることは当然だと、かように考えられる次第でありまして、その意味合いにおきましては政府自身が直接の責任者として国会の批判を受ける、かように考えておる次第であります。
  37. 山田節男

    山田節男君 この総裁の問題は、現在の政府のこれに関する意思がはつきりしたものとして、これ以上は見解の相違でありますから、提案者の政府の意思がはつきりしたものとして、これ以上追及いたしません。それからやはりこれに関連してもう一つの問題は副総裁です。副総裁総裁一つ腕であつて総裁と副総裁がチーム・ワークを完全にやらなくては、この業務の運営はうまく行かない。そういう建前から、或いはこの国鉄の場合も、副総裁については、やはり総裁の意思なり、或いは経営委員会の了解を得て、そうして総裁が任命する、これは女房役である以上は、総裁が副総裁に対して一つの好みと言いますか、選択というものは当然だろうと思う。ところが二十一条によりますと、総裁、副総裁共に内閣がこれを任命することになつておる。こういう点は、一体どういうわけでこういうむしろ異例な副総裁内閣任命ということにされたのか。実際上それについて支障があるのではないかと思うのですが、この二十一条の第一項ですね、この点を一つ提案者である政府の御意思をはつきりして頂きたい。
  38. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 総裁、副総裁ですが、政府の任命にいたしましたのは、総裁は先ほど来申上げた通りでありますが副総裁もやはり総裁に次ぐ重要な職務を遂行するものだ、かような建前から政府任命にいたしたわけでございます。而して只今既存の公社等の副総裁任命の際に実際に行われ、又法規から要求されておる点を縷々お話になりました。これらの点は、実際問題といたしましては非常に考えさせられる問題のように思いまするが、その実際の扱い方は別といたしまして、副総裁自身がやはり重要なるポストである、かような意味合いにつきまして、総裁と並んで政府任命の職にいたした次第でございます。
  39. 山田節男

    山田節男君 そうしますと、いわゆる総裁、副総裁は、共に公社にとつての最高の人事であるからして、総裁すらも国会の承諾を得ない。であつたのであるから、従つてその女房役である副総裁大臣の、内閣の意思だけで自由に決定する。これは今の国鉄の場合を考えましても、総裁は一応経営委員会が推薦した者について内閣が任命するということになる。この場合には、もう全然内閣独断である。副総裁の場合にも、これは総裁の意向とか、経営委員会の意向、同意を得ないで、内閣が自由に任命し得る。こういう御趣旨ですが、それで大臣としては、よい女房役を絶対に得られる。決して総裁と副総裁が相反撃して公社の運営を妨げるということがない。こういう御見解だろうと思うのですが、この点私はどうもこれは了承しかねるのでありますが、これ以上私は論争いたしません。
  40. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは別に論争という意味ではないのですが、先ほど申上げましたように、若し誤解があると非常にいけませんから申上げますが、副総裁総裁に次ぐ重要な職能だというので、特にその任命を重からしめるという意味政府が任命するということにいたしたのでありますが、総裁、副総裁のコンビの問題につきましては、政府自身勿論十分考えなければならないところだと思います。従いまして実際の選考等に当りまして、その予定と申しますか、両者の予想される人々の結び付きと申しますか、総裁、副総裁という観念に対する両者の間が緊密に行くか行かないか、これは十分政府責任を持つて見通しをつけなければならないことだと思います。従いまして先ほど申上げましたように、国鉄等の規定にありますような点は、実際の運用に当りましては、当然取入れて行かないとなかなかうまく行かない。こういうような虞れもあるのではないか、かように考えますので、規定に明らかに定めてありますところは、先ほど申しますように、その任命、その地位を重からしめるというような意味で、政府が直接任命いたしますけれども、その選考等に当りましては、具体的に十分に考えなければならんことは御指摘通りであります。従いましてこの点誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
  41. 山田節男

    山田節男君 これは、この法案が衆議院によつて修正されまして、大蔵大臣のこの公社に対する監督権と言いますか、発言権をすべて削つたわけです。これは私は非常によいことだと思うのです。というのは、同時に主管大臣である郵政大臣が直接これに対する監督権限というものをより強く反映さすことが経営としたらよいのではないか。それだけに、この総裁、副総裁というものが、経営委員会との関係において、いわゆる権限と同時に責任経営委員会という最高の意思決定責任を持たすべきではないか。それと、総裁、副総裁は何ら、法律によりますと、経営委員会に対する責任というものを明記してない。そういたしますと、先ほど来何度も申上げておりますように、今度は大蔵大臣権限が減つて郵政大臣内閣を代表する郵政大臣が余りに大きな権限を持ち過ぎる、今度はバランスを失して来るわけです。こういう点から、私はさつきのような質問をしたわけです。これは大臣の言われたようになるのは理想です。併し現実の政党政治というものは、今日の段階では、なお更この点は慎重にしておかないと、法を作る者としては、最悪の場合も考えなければならんという意味で私は御質問をしたのです。    〔委員長退席、理事山田節男委員長席に着く〕
  42. 山田節男

    理事山田節男君) それからずつととびまして、これは大臣でなくても、事務当局のかたでも、なるべく大臣のほうがよいのです。この六十八条の例の財産の処分の制限、これは、この場合には国会議決を経なくてはならない、かようになつておるわけでありますが、国鉄の場合には、法律に定めた場合を除いては譲渡できない、こういうようにしてあるわけですが、この場合は、単に国会議決を経なければならない。これは国会は立法機関でありますが、国鉄の場合と電信電話公社の場合と何か違つておるのかどうか、国会議決ということをされた理由ですね。これをお伺いしたい。
  43. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) これは、特別に深い意味ということはないわけでありますが、国会議決を終る形式は、法律の場合もありますし、或いは予算という形式もありますし、何々に関する件ということもあるわけでありますが、勿論こういう重要な電気通信設備を譲渡し、交換しようということは、これは重要なことでありまするので、国会のほうの議決を必要とすると思いますが、その形式は、法律の形によらなければならないというほどの必要もないのではないか。そこで何々に関する件で国会議決を経てもよいし、国会のこういう実質上の御承認を得て行こう、こういう意味であります。
  44. 山田節男

    理事山田節男君) そうしますと、この公社にとつてこの重要な財産と言うていいと思うのですが、これを譲渡し、或いは交換するという場合には、そういう何々に関する件ということで、事前ですか、事後ですか、国会議決を経なければならない……。
  45. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 勿論事前であります。
  46. 山田節男

    理事山田節男君) それからこれだけの大きな財産を持ち、そうして業務の執行上、これは一応法案の第三条にあるように、公社一つ業務という部面から見ても、電気通信設備の設置、保存、殊に建設部面においては、相当これは請負といいますか、入札でおやりになることが多いのではないかと思う。この法律全般的に見て、かなり予算部面から見て大きなものを占めるだろう、建設部面では。少くとも公社が、政府国民を保護し、又その公社建前から申しましても、それだけの厖大な仕事を建設部面に、或いはその他の消費物件を獲得する場合においても、これは一つの契約に関する法律は当然一考あるべきじやないかと思うのです。国鉄の場合を見ても当然あるべきだと思うのです。この法案の中には、直接契約に関する管理の規制がしてない。この点はどういう具合にして補うつもりでいらつしやるのか、お伺いしたい。
  47. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) この契約の問題につきまして、七十一条の会計規程の中のそれが重要事項になると思いますので、この重要な事項についての基本的な事項については、郵政大臣認可を受けて定めるものと考えております。なおこの国鉄等の場合におきましても、これを法律で書く、例えば書きましても、これは相当抽象的に書くというけれども、一般競争入札によるということはうまく行かない場合もある。それで指名競争の場合も必要だし、又随意契約の場合も必要だ、或る程度の手業上の必要においてそれができるという関係のやり方をとる以外にはないと思いますが、そういう意味におきまして、一応法律の条文を除いておりますが、実行上におけるこの問題については、重要なる事項としての基準は、政府主務大臣認可を受けるつもりであります。なおこの事項についての事後的にこういうもののやり方がいいか悪いかというものは、十分検査院の検査でこれを検査して頂くと、こういう体制で、そういう基本観念で、この事項についても、公社の或る程度自主性を認めて頂いて結構ではなかろうか、こう思つておるわけであります。
  48. 山田節男

    理事山田節男君) まあそれは一つそれで私了解しておきましよう。それから次は、この七十六条の例の郵政大臣監督権ですが、この間新谷君が相当詳しく質問して、又詳しく御答弁があつたのですが、ここでいう「法律の定めるところに従い監督する」という、この「法律」というものはどういう形式、というのはおかしいですけれども、この公社ができて後に、この郵政大臣権限というものは別個の法律をお作りになるつもりで、こういうような「法律の定めるところに従い」、そういうふうに了解してよろしいですか。
  49. 大泉周藏

    政府委員(大泉周藏君) 只今の第七十六条の「法律」は、「この法律の定めるところに従い」と書いてございますので、郵政大臣監督権限範囲は、この法律の定めるところによると解釈しております。但し他の法律におきまして、更に郵政大臣監督権を定めまするならば、その法律の規定によつてやはり監督権が生ずると思いまするけれども、ここに書いてございますのは、この法律に関することだけでございます。
  50. 山田節男

    理事山田節男君) それからですね。勿論この公社公共企業体労働関係法の適用を受けるわけですが、私ちよつと条文を持つておりませんからわかりませんが、例の予算上質金上の問題ですね。これは国鉄、専売共に、それが非常に問題になつたのですが、これは電気通信事業の場合におきましても、特にこの公社法は相当私は進歩したやり方だと思うのですが、併し公共企業体労働関係法そのものは百パーセント適用されているということであれば、例の予算資金上云々の問題ですね。国鉄、専売も非常にトラブルを起しているのですが、こういうようなことは、やつぱり電気通信事業の場合においても同じようなトラブルが起るだろう、この現行法が改正されない限りは当然起るだろうということを予想してよろしうございますか。
  51. 山岸重孝

    政府委員(山岸重孝君) この問題は、やはり公共企業体労働関係法の第十六条の規定がやはり適用になりますので、国鉄、或いは専売におきまする給与の問題について起きておるような問題は起り得るのでありますが、今朝ほども横田政府委員からお答え申上げたときであつたと思いますが、今度の電信電話公社法の法案におきまして、給与総額というものの場合にでございますね。或る程度予算弾力性というものが給与についても、予算総則で定めることによつて認められ得るのではないかと思うのでございます。勿論それ以上のことになれば、やはりこの公共企業体労働関係法の第十六条の規定の適用を受けますから、その点では問題が残ることは確かでございます。
  52. 山田節男

    理事山田節男君) そうしますとですね。この予算弾力性というものが、この法文では、他の公社の場合よりか自由裁量といいますか、多いわけですね。そうすれば同じ公共企業体の例の問題でトラブルが起きた場合でも、それによつて現在国鉄並びに専売公社が悩んでいる程度の禍いと言いますか、トラブルというものは起きないというふうに解釈してよろしいですか。
  53. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 実は、私、国鉄、専売の問題についての交渉権の範囲内において、どういうことが具体的に起つたかということについては、具体的には余り知りませんですが、今のこの本法における中におきましての事態として申上げますならば、この業務量が同じであるような場合に、人も殖やせ、べースも上げろという要求であるならば、これはちよつとむずかしかろう、やはりそういう意味の苦情の問題になりますと、やはり本法におきましても、これは官側として、経営者側として受入れるわけに行かない。国会のこの給与総額範囲で縛られるということに当然相成ろうと思います。それから今の、今朝ほど御説明いたしましたように、この予算弾力性の中におきまして、四十三条の予算総則で、業務量相当殖えるという場合においては、この収入支出予算総括的規定で、この給与総額についても、弾力性範囲を定めるということが可能になつております。で、その可能になつている巾をどの程度まで政府並びに国会でお認め願えるか、その認められた範囲におきましては、今の専売公社等との比較においては、その合理的な範囲内では、或る程度問題は解決し得るという巾もある、こういうように了解いたしております。
  54. 山田節男

    理事山田節男君) そうしますと、いわゆるこの予算総則によりますと、他の公社の場合とは違つて、いわゆる流用ということが認められておるわけですね。流用は認められているのでしよう。項目が違つてつてもですね。ですから若しそうだと、流用が認められておるのだつたら、今のような問題が起きた場合に、今あなたのおつしやつているような条件ならば、流用し得る金があるならば、給与総額というものがきめてあつても、それによつて緩和できるのじやないか。それがいわゆる予算弾力性のある非常にいいところじやないか。又換言すれば、国鉄や専売公社よりも、この点は非常に巾ができている、かように解していいかということを質問申上げるのです。
  55. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) このお話の点は、流用条項が弾力性の中として全面的に適用があるか、こういうことになるわけでありますが、流用条項がこの給与総額の枠を全面的に撤回していることには相成つていないのであります。で、この流用条項というのは、或る費目を或る費目に流用するということでありまして、これはそちらの流用条項のほうでは勿論できることになつておりますが、併しこの四十三条の予算総則の中の六号として、「役員及び職員に対して支給する給与総額」、こういうことを予算総則でこれを幾らときめた場合は、この中においては、流用自由の原則は適用はないと当然解すべきであります。従いましてその中というのは、この予算総則に、それ以外にいわゆる収入支出予算で、給与総額について特に弾力性を持たす規定事項をはつきりしない限りにおいては、これは弾力性はない、こういうことになるわけであります。その弾力的な事項を加えた巾においてのみ流用される、こういうことであります。それは、国鉄とどの程度違うかということになりますと、実はこの点については、国鉄のほうも、この業務量の移動による部分については、法文上は明白になつていないけれども、実際上非常に困つて、この国鉄のほうは、法律ではつきりいたしておりませんが、毎年の予算総則の中では、或る程度業務量の移動による場合は、給与総額についての或る程度の巾を持たすように、予算総則で、国会の御承認を得ておるようであります。従いましてその範囲において、事実上国鉄の現状とそれほど変らないと一応解釈するようほかにないのじやないか、実情はこういうように考えられます。
  56. 山田節男

    理事山田節男君) そうしますと、予算弾力性、四十条の場合の要するに需要予算主義、こういうふうなこの第四十条の敷衍解釈といいますか、拡張解釈から、こういう給与総額の苦しい枠となつた場合に、この枠を多少でも緩和するということはできないのですか。第四十条の精神からいえば、全然できないと解していいですか。
  57. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 四十条は弾力性予算の本質を、これを明確にいたしたものでありますが、第四十条のこの本質を具体化いたします事項がおのおの以下の条文に具体的に現われている、こう解釈すべきだと思います。従いましてこの具体的な現われが四十三条、この予算総則にどういうことをきめるか、その具体的な現われを予算総則できめて行こう、こういう法体系をとつたわけでございまして、そのほかこの四十条の本質からは、今の流用自由の原則及び繰越自由の原則、こういうものが鮮明されて来ているわけでありますが、この弾力性の本質を四十条に明定いたしまして、四十三条でその具体的な内容を明らかにして行く。四十三条では、積極的にその弾力性をはつきりする面と、それから弾力性を縛る面と、これを四十三条に具体的に明らかにして行こう、こういう体系になつておりますので、この四十三条で明らかになつ範囲を超えるわけには行かない、こういうことに相成るわけであります。
  58. 山田節男

    理事山田節男君) それでは私ちよつと質問を打切つて、水橋委員、よろしうございます。
  59. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 会社法につきまして、大臣に二、三お伺いしたいのですが、先ず公社法案が成立してから、その公社と会社との法的の要するに分離点と申しますか、契約とかすべてがなされるべきであると思うのですが、まだ公社国会の御審議中でどうなるか、或いは訂正されるか、或いは否決されるかわからないのに、その相手として国際電気通信業務を民営にするという法案が出されているのですが、これから審議する上におきまして、非常に矛盾した感じがするのですが、どうお考えになつておられるか、先ずこの点を……。
  60. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お尋ねの点がよくわかりかねるのですが、どういう点が矛盾しておるのでございますか。
  61. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 それでは私の質問がはつきりしなかつたと思いますが、この公社なるものは、まだ法案として国会審議中でありまして、この国際電信電話会社の相手方になるものが、まだ法案として認めていられないわけなんですね。それに会社法、公社を相手にしたところの法案を提案されておる。これは根本的におかしいと思うのですが、これの解釈を説明願いたい、こういうわけなんです。
  62. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 御承知のように、只今電気通信省が国際も国内も一緒にして仕事をいたしております。で、今後国内は公社、国際をば会社にするという考え方を以ちまして、法案を御審議つておるわけであります。で、この国内は公社にし、国際関係は会社にするという政府考え方には変りはないのでございます。併し実際問題といたしましては、只今指摘になりましたように、先ず公社ができ、そうして公社から会社が生まれて来るのじやないか、かような実際の扱い方には相違ないのでございます。    〔理事山田節男君退席、委員長着席〕 相違はないのでございますが、基本的な考え方は、只今申したように、国内は公社にし、国際関係は会社にする、かような考え方を持つておりますので、同時に御審議を頂いているような次第でございます。その時期的な相違の点は、施行法案等で明確になつておるのであると、かように考えております。
  63. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 施行期日等で遅れておりまするから、成るほど両法案がまあ改正もなくて、すんなり通つた場合には、これは施行面には差支えないと思いまするが、審議の過程において、この両方一括法案として審議するのは少し矛盾しているように考えるので、仮に公社法が修正とか、或いは形が変つたものが出ると、おのずから会社法もやはりそれに準じて行かなければならない部面が出て来るのではないかと考えまするし、それから施行方面に時期が相当見ておりますから、先ず一応全部を国営から公共企業体に移し、その後新たに会社法案をお出しになつて審議されても何ら差支えないのじやないかというふうに考えまするので、一応お伺いしたいのですが、大臣の言われるように、両方とも審議しても目的は同じだというふうの御説明でしたが、若しこれが公社法に修正とか、或いは移動があつた場合は、おのずから折角国際会社法を審議していても、これが内容においていろいろ矛盾したことが起きはせんかというふうに考えるわけなんですが、その点如何なんでしようか。
  64. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お話のように、関係法案は幾つもあるわけでありますから、一つが修正を受ければ、他にも修正を加える、こういうようなことはあり得るだろうと思います。これは一般的に申して……。併し先ほども申したように、私どもは国内を電信電話公社にする。又国際業務関係は会社にするという考え方をいたしておりますので、その基本方針について、又同時にその基本方針に基いての公社なり、或いは会社なりの成文につきましては、同時に御審議を受けましても何ら差支えない。若し基本的な考え方を持つているにかかわらず、これを別別に御審議頂くといたしますならば、それこそ全貌を明らかにしないで皆様に御審議を頂くことに相成つて、それこそ不都合ではないかと、かように考えます。
  65. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 そういたしますと、仰せの通り関連した法案が出ることは多多ありまするが、時期的に遅れて施行できるのですから、公社法が成立してから、その後会社法を出されて何ら我我は支障がないというふうに考えるのですが、大臣のほうでは、そういう基本的に、国際を民営にする基本的な考えを持つているのだから一緒に出したのだ。施行される時期は、それによつて何ら差支えない、だから一緒に出したのだ、こういう御意図と、我々のほうの考え方は、これはもう国営から公社法にして、そうしてその法律が施行されて、それから特に又国際を民営にするということをお考えになつて、それからでも施行の目的には何ら支障がない。且つ又相当一般に反対もありまするので、先ず国営から一応民営の形をとつて、十分民営の効果を見てからおやりになつても差支えないのじやないかというふうに我々は考えるので、この点は見解の相違と言えばそれまでですから、先ずこの一点だけで打切りまして次に移りますが、この通信事業のうちで、国際だけを会社にする。これはまあまあいろいろほかにも理由があるが、我々をして言わしめれば、一番利潤のあるやつを会社にして、大きな、普通勤労者に関係のない金を持つておる人は利益をとるのだというふうに我我は見るのですが、極端かも知れませんが、一応そういうふうに見られる。一番儲かるところを会社にするのです。そういう建前から行くならば、電信電話のうちで、電話だけ余計儲かるならば、電話だけ民営にしろと言つて、電信と電話を切離して、電話会社を又作るということも考えられるのですが、この点に対して大臣はどういう見解をお持ちですか。
  66. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 国際業務関係で会社を作りました理由は、今まで縷々毎回御説朗申上げましたので、誤解はないことと思います。別に会社を作ります理由が、利潤本位に、儲かるものだから会社にする、かような考え方を持つておるわけではありません。そればかりではありません。今回会社を作るにつきまして、只今指摘のあつたような誤解をも生ずるのではないかと思いまして、会社を作るに際しましては、どこまでも厳正に、適正な又公明な処置をとるという考え方でおるのであります。従いまして、その考え方からスタートして、国内関係で利益の上るものを会社にするのではないか、この御議論には勿論私どもには賛成ができないのであります。なお国内関係業務につきましては、今回公社にいたしまする基本的な問題として、更にこれを分割して、或いは会社にするのではないか、公社にすることはその経過的な一段階ではないか、かような御意見も当委員会におきましても今までたびたびお尋ねがあつたのでありまするが、この点につきましても、私ども政府当局の意向は明快にお答えをいたしておるのでありまして、公社公社としての使命を持つておりますので、公社を作るに際しては、その使命遂行に十分なる生命を与える、かような考え方をいたしておる次第であります。従いましてお尋ねのような御疑念は払拭して頂きたいと、かように存じております。
  67. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 これも見解の相違でおしまいになるのでありますが、我々からするならば、国際が一番利潤があるから会社にするのだ。それで、大臣はそうでないとおつしやるならば、これと反対に、会社が損する、儲からないのだ、だから会社にするということは成り立たないと思う。中で一番いいから会社にし得るのであつて、一番悪かつたとするならば、それを会社にして民営に移すことは、これは大きな間違いだと我々は考えるのであります。そこでどちらが正しいと申しますか、どちらかと申しますれば、我々の考えておるところの、国際が会社にしても損はないと、儲かるとすれば、利益がある故に一番儲かるところを会社にして、そしてあとの残りが公共企業体でやるという結果になるというふうつに、まあ一応我々は考えるのでありまするが、これも見解の相違として止むを得ないと思います。それから……。
  68. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 別にお尋ねでありませんから、お答えをしなくてもよろしいと思いますが、自由党といたしましては、公社を作り、会社を作る場合に、利潤云々では絶対に考えておりません。他党は利潤本位にお考えになるかわかりませんが、私どもの政党は、さような政党ではないことをはつきり申上げておきます。いずれの形態をとるのが使命遂行に適当なりや否や、かような立場から判断いたしておる。これだけを明解に申上げておきます。
  69. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 我々は、それもやつぱり見解の相違と申しますればそうでありますが、この公社案がいろいろ検討されて、突如としてこの改正案が出て来た。これは自由党の政策だというふうに考えまするので、自由党は損する事業を、殊更公共企業体及び国営から損する部門だけを自由党の政策として民営にするとは我々考えられません。そこで私は見解の相違で、これは、大臣としてもそうだということもなかなかお認めにならないと思いまするので、見解の相違として打切ります。次に公共性から行きますると、会社と公共企業体と、どちらが電信電話の持つところの公共性に寄与するかということの一つ大臣の見解を承わりたい。
  70. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この点も、今までたびたび申上げてありまするので、詳細は省略さして頂きますが、今日まで国が直接経営いたして参りました電信電話事業ではありまするが、国内の分野を公社形態にすること、これが企業効果を十分発揮し得ることだと、かように考えまして、国内分野においては公社を適当とし、又国際分野においては、民間の会社経営が適当なりと、かように考えておる次第であります。
  71. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 公共性から見まして、公社より会社のほうが公共性があるというふうに言われるならば、今の国内電信電話も、やはりこれは会社にするということも成り立つのです。私は、そういう意味におきまして、電信電話の公共性は、会社にすることによつて公共性を持たしめるということは考えられない。仮に会社によつて公共性が十分守られるとするならば、国内の公社は、公共企業体でなくとも、時期が来れば、その見解に立つた場合は、会社になつても差支えないということを言い得ると思うのです。そこでよく大臣の仰せの通り、公共性を十分お認めの上で、国内の通信というものはやはり公共企業体で、幾らか国営よりも自由な、巾のある予算措置をとつて、そして国民の福祉に応えるということを言うておられるのですから、そういう意味から行くというと、一部でも会社にされることは公共性を阻害するものだというふうに我々は考えるわけなんです。
  72. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 事業の公共性、これは誰も無視しておるわけはないと思います。その公共性を遂行すると申しますか、公共性が十分の効果を挙げる場合に、如何なる経営形態が適当かという問題であります。従いまして公共事業考えられるものでも、すでに民間の会社であり、これはもう幾つもその例があるわけであります。これは政党によりましては、全部公共性のあるものは国が直営しなきやいかんという議論もしておられますが、私どもはさようには考えない。問題は、その事業の十分目的を達する、公共の利便を増進することができる経営体であることが望ましいのであります。先ほど来申上げておりますのは、かような観点に立ち、国内の電信電話公社形態が望ましいし、国際の業務は、これは会社が結構だと、かように考えているのであります。別に事業の公共性を無視しておると、こういう考え方ではないわけであります。
  73. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 会社でも十分公共性を守れるという考え方に立つた場合は、国内の電信電話も会社にする可能性ができるというふうに我々は考えるので、この点をお伺いしたのですが、公共企業体よりも会社のほうが公共性を守れるのだということになりますると、そういう矛盾が出て来ると思うのであります。そういう意味において一応質したのでありまするが、例を挙げまするならば、民営或いは公共企業体国営と三つに分けた場合、特に私から申上げるまでもなく、通信は、憲法で保障したところの通信の秘密を確保しなけりやならん。こういう面に至つても、これからのいろいろな国際情勢の変化によりまして、民営会社でやつているが故に独占性があるとか、或いは文書の秘密がばれるとかといつたような、公益性から外れた場面がないと誰が保証できましよう。これは我々が一番心配するところでありまして、この点に対してどういう、つまり会社にして、これを国営以上に、或いは公共企業体以上に、そうした我々の心配するところが守られ得る見通しを持つておられるか、その点を一つ……。
  74. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 国際関係を会社でやつたら秘密が保てないのじやないかという御心配のようですが、アメリカ自身が、会社経営でありましても、さような議論は聞いておりません。又事業経営形態の問題になりますが、公共性のあります事業で、まあ例えば電気のような問題にいたしましても、これは会社でやつておるとか、これは唯一の形態は公社或いは直営でなければならない、かようなものではない。幾つもそういう先例もあることでありますので、一概に会社ではいかんのだ、国営でなければならないのだ、こういう議論には私どもは賛成をしかねるのであります。それよりも、どういうような経営形態にすれば、その事業が真に狙つている公益の増進を図り得るかどうか、これを一つ考えることである。やはり公益を増進するということは、事業の基礎が強固になり、活発な活動ができるのでなければならない。かような考え方に立つて見ますると、他の問題よりは、国内の問題は公社が最も適当である、又国際関係においては会社がこれは適当であろうと思いまして、かような考え方をいたして参つておるのでありまして、只今御懸念になるような点は、幾多の例から考えましても、立派にその目的を果し得る、かように私どもは考えております。
  75. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 この点も我々と見解が違うのでありまして、国際だけを会社にすることによつて公共性を守り得られるということも考えられないし、それから先ほど米国は民営でやつているから、秘密は守られていると言われますが、米国の国情、又今までの取扱いの観念と違いまして、今までの国営が、公共企業体から一足飛びに民営になるということになりますることによつて、そうしたことは起きるのじやないか。又もう一つ通信の独占性、まあ要するに利潤を目的とするのですから、結局自然に公平を欠き、儲かるほうへ重点を置くのは営利を目的とする会社にあり得ることなんで、そういう方面は、どういう方法によつてそういうことはないという立証をなさるか、御回答願いたいと思うのです。
  76. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) どうも先ほど来水橋さんの御意見を聞いておりますと、非常に利益ということに重点を置いておられるようでありますが、水橋さんの党は、利益本位に動かれる考え方か知れませんが、私どもの党は、又政府はさような考え方をしておらない。その点は先ほど申した通りでありますので、どうも立場が、利益本位に物事を考えられるお立場にあるあなたと、私どものような立場から物事を判断するのでは、議論はどこまで行きましても了解点には達しないように思います。
  77. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 私どもの党は利益本位に考えているというお言葉は、ちよつとあなたの見当違いだと思うのです。私らは党として、利益本位にやるという党の政策は持つておりません。むしろその点は、我々よりも自由党のほうにあるのではないかと我々は考えます。(笑声)これはいいといたしまして、独占性ですね。仮に先ほども申しました通り公共企業体から会社にしなければならんという理由がどこにあるかということ、我々をして言わせれば、一番儲かる。仮に、聞くところによれば、財産が四十億の価値があるものを二十億という安い値段で払下げて、その間に一儲けするのではないかと自分は見ておるのですから、この間にこうしたことが取引されることによつて、いろいろな問題が起きて来る。今日までの事実がそこにあるので、我我はそれを指摘したいのであります。(笑声)次に移ります。国営及び公共企業体と会社と、これ三つを比べまして、国際的に電波の割当その他に対して、どれにどれだけの損があつて、民営にどれだけの得があるということの大臣の御見解を願います。
  78. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 国際的な電波の割当の問題につきましては、政府自身が責任を以て処理する問題だと考えております。従いまして国内が公社になつておるとか、或いは国際関係が会社になつておるとか、かような経営形態とは関係がないことだと、かように考えております。
  79. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 そういたしますと、電波の割当なんかをもらう場合は、民営で自由に交渉できるか、電波の割当その他には民営のほうがいいというふうにお考えだと私は思つたのですが、そうでないとするならば、これ又民営にしても、どこにどういう特典があるということも立証できないと思う。それから資金面につきましても、国が資金融通もしないのに、民間からそう無制限に資金が入るとも考えられない。そこで又現在設備の保守をなさる場合、大よそ民間ではどのくらいの保守費用を見積つて、そうしてこの保守が完全にできるかどうか、又利潤の話が出まして、お叱りを受けるかわかりませんが、やはり利潤を目的とするからには、この保守が完全にできない、目的を阻害するようなことがありやしないかということが、やはり我々は心配になるわけなんです。その点について、公共企業体であり、国営であれば、それは国の力によつて国会できめてすべてをやるのですから、国の力と相待つたものができまするが、特殊会社でやることによつて、そうしたトラブルがあるかのように我々は考えるのですが、この点は如何でしようか。
  80. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 水橋さんの御意見について、相当逆説的な言い方をいたしたのですが、恐らくお考えになつている点は、国家社会主義的な立場から、重要産業は国営であるべきだと、こういうふうなお考え方から御質問をされておるのではないかと思うのであります。若しさようなお考え方であるといたしますれば、先ほど来申上げましたように、私どもは事業自体の持つ使命を遂行する上において、最も望ましい形態、言い換えてみますれば、電信電話のような事業であれば、如何なる経営形態であつた場合に一番よく公益を増進し得るか、かようなことを考えるべきなんで、その基本的に国営論でなければならない、こういう前提に立つてのお考え方だといたしますと、なかなか御理解が行きかねるのではないか。経営形態につきましては、国営が最上であり、最善のものだと、かようなお考え方をなさらないで、むしろ私どものような考え方に、自由奔放な考え方と申しますか、むしろその使命遂行にふさわしい、どうしたら最もよく目的を果し得るか、かような観点で経営形態を考えて頂きたい、かように考える次第であります。この根本的な物の考え方が、先ほど来の御議論になつておるのじやないか。この点で議論をいたしましても、なかなか、お立場の問題もありましようし、一致はしにくいのじやないか、かように考えます。
  81. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 只今お話では、先ず公共性を百パーセント発揮するには、公共企業体、或いは国際だけを会社にすることが一番よかつたということになりますると、この反対に、今日まで国営でやつていたことが、日本が今日までやつていたことが大きな間違いであつたというふうに考えられるので、我々はそういうふうに考えないで、国営で十分だ。なし得るのだ。ただなし得られないのは、通信事業に対して、国が、政府が余りにも冷淡である。もう少し通信というものに対しての関心が、又或いは協力、もう少し熱意があつたならば、国営によつてやることが一番正しいという見解に立つておるので、只今公共企業体或いは会社案を立案された政府とは意見の異なること、これ又止むを得ないと思うのであります。大体において、私はこの逐条審議をする前に、総括的に、見解の差異の点は止むを得ないとして、これからあとはお互いに議論をしても、時間的にも無駄でありまするから、総括的の質問はこの辺で打切ります。
  82. 山田節男

    山田節男君 これは今大臣が丁度おられるから、総括的な質問意味で御意見を伺うのですが、今回この国際電信電話会社ができるについて、前の国際電気通信会社の株主の連中が当委員会に請願を出して来たので、過日来持株整理委員長或いは清算会社の代表者並びに政府の当時折衝したかたがた等から詳細事情を伺つたわけです。それで当委員会としては、この問題については、関係者の意見を、或いは当時の事情を十分聞いたわけです。前に私申上げたと思いますが、これは占領軍政下において、いわゆる法律を超越した、又法律よりも強い当時の連合軍最高司令官の覚書によつて政府が何ら希望せずして、無理やりに押付けられたという経過が実ははつきりしておるのです。のみならず、政府としては、過日山岸政府委員の説明によつても、旧国際電気通信に関しては、非常に好意を持つてつたと、これも私は十分政府が最善の努力をされたこともわかるのです。ところが今回こうして国際電信電話を民営に移される。いわゆる公社にしないで、三段跳びに一挙に民営に移行する。これについて請願を出された旧国際電気通信の株式会社の願意というものが、これは法的にはともかくとしても、こういつたような問題は、一種の政治道義と申しますが、殊にこの問題は占領軍政下において最高指揮官の覚書によつてつたのだ。農地法によつて土地の解放が行われた。これに対して犠牲を受けた者はやはり今日そのままであつて、国家に何ら補償を求めることもできない。こういう理窟もこれは立ちます。併しこれは、農地解放については、少くともこの場合におけるようにいわゆる帳簿価格によらないで、時価によつてつた。それは勿論小作人として、十分これは従来の小作人が自作農になつたという点においてまあ利点がありまするし、又それ以上経済上の利益もあつたろうと思う。併しこの場合は、とにかく終戦後これが政府の所有となつて以来、先ほど来水橋委員指摘されるように、とにかく一ヵ年間十七、八億から二十億のまあ黒字になつてつたということは、これは間違いない事実です。ところで今日こういう民営に移ることになつた。而もその移る、今度政府が、国家が出資する現物出資の主なる面は、旧国際電気通信会社のものであつた。而も資本金が二十億円以上になる。こういうことになりますと、やはり又旧株主として、法的にはともかくとしても、道義上何とかしてもらわなければいかんというのが我々に出されたこの請願の趣旨だろうと思うのです。そういうわけで、つまり今後この法案が成立しまて、いよいよこれを設置する場合に、こういつたような輿論、それから私も零細な株主だつたので、いろいろ出され委任状というものを見ますと、成るほど零細な株主が多いのです。数にしても六千人ばかりあるのです。これに対して何かの、補償というとおかしいですけれども、これに対して政府として少しでも……。非常にアンフエアな結果になつた、これは政府の意図しないことであつた政府に罪はない。けれどもとにかく民営にするということに際しては、そういうことについて、何らか大臣としてお考えになつているかどうか。その点をお聞きしておきたい。
  83. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今回国際電信電話について、会社を考えます際に、只今指摘になりましたような旧国際電信会社の関係者のかたがたの処遇を何か考えたらどうか、又それらの人たちから私どもに陳情ももらつております。只今お話を伺えば、国会にも救済方について請願が出ておるということでありますが、この扱い方も誠にむずかしい困難な問題のように思うのでありまして、只今お話にありましたが、法律的に考えますると、どうもその法的なつながりというものは考えかねる。成るほど占領軍の特別命令によつて政府に引継ぎされた。そして只今清算に入つておる。当時の事情といたしまして、その処置は止むを得なかつたことであろうと思います。政府側から見れば、政府側が積極的に行動したとか、或いは非常な悪意を以てこの問題にぶつかつたとか、こういう点は見受けられない。むしろ政府側は、当時の関係者といたしましては、非常な好意のある処置をいたしたことだと思います。今回のように、二年足らずでそれが会社になる。そしてその場合において、時価の変動等も勿論あることだとは思いまするが、相当金額においても巨額な差異がある。かように考えますると、旧国際電信会社に関係されたかたがたに対しましては、まあ御同情申上げるのは、これは当然のことであり、又私どもといたしましても、心から御同情はいたしております。只今山田委員から修理を尽したお話お尋ねがありましたが、私どもも率直に申すと、さような気持でいるわけでありますが、ただ問題は、先ほどからも御議論があり、又只今も申上げましたように、法的の関係というものを探すと、どうも法律的に物事を判断して行くことが……法律的にこれを判断いたしますると、どうも関係は先ずないと申しますか、どうもそこに関係をつけることは法律的に無理なように考えるのであります。そこで過日も衆議院の電気通信委員会におきまして、この問題についてのお尋ねがありましたので、只今申上げるような気持を率直に披瀝いたした次第であります。で、私ども心から御同情申上げておりますので、これを何か具体化するいい方法がありますならば、それは考えても差支えないじやないか。併しながら特別な方法は考えかねるので、ただ民間会社が今回生れるのでありますので、民間で行われておるような方法、それを取り得るならば、そういうことは考えても、これは常識的に許されることではないだろうか。たとえて申して、これがはつきり意思を決定しておるわけのものではありませんが、民間等におきまして、増資をするような際におきましては、縁故募集というようなことは、これは普通に行われることであります。かような方法が今回の会社設立の場合において採用し得るかどうか、こういうことがまあ唯一、その残されているただ一つ考え方ではないか、かように考えるわけであります。併しながらこの考え方に只今も意思を決定しておるとか、政府がその考え方で物事を見ておると、かような感じを与えると、これは又非常なる誤解を受けることだと思いますが、何らかその適切な方法はないだろうか、かような意味合いでいろいろ研究いたしておるということが現在の実情であります。で、私はこの問題については、別に間違つたことをする考え方はない、又この処置如何をとやかく批判を受けることは、これは誠に迷惑至極もないことでありますので、批判を受けるようなことはしたくない。併しながら旧会社の関係のかたがたには心から御同情を申上げておりますので、何かいい案はないかというので、まあいろいろ研究しておるということが率直な実情でございます。
  84. 山田節男

    山田節男君 まあこれは今の大臣のお言葉ですね。これは私非常に公平だと思うのです。これが若し占領軍政下にあつて、こういう民営案が出た場合に、これ又救済の途は又違つた途が開けるかと思うのです。不幸にして占領軍政下にこの覚書を出して、とにかく政府の出資もありとはいえ、民間の資本がこういうふうに政府に占領軍の力によつて吸収されたという経過ですから、私はもう政府責任があるということを強く追及して来ておるわけではありません。ただ併しこの問題について、身近に私の縁故者が、実は占領軍政が始まつて直ちに家を取られ未亡人が住んでおつた。ところが未亡人でもあるし、金が要るというので、これは何年接収しておるかわからないというので、非常に安く叩いて或る人が買つたのです。そうしたら今度まだ独立にならない前、これは勿論時価も違つて参りましたが、十五、六倍の値段で他の者に、接収されながら売つちやつたわけです。それで一つの問題になつて、当時の軍政部に行つて、その事情を未亡人が訴えた。ところが軍政部では非常に同情して、今度は向うさんの力で以て、そういう不当な売買を是正したという実は例があるわけです。これは決して、今回のこの国際電気通信会社の財産を政府が吸収した場合と、これは同じようには勿論とれませんけれども、そういう事態が私どもの身近にあるわけです。今日占領軍政が解けてしまつて、そして民営会社としてデビユーするということになれば、旧株主が曾つて自分のものであつたものが向うさんの意思で政府に取上げられた。そして政府はこれで非常にふところをあつためる。民間の財産を結果においては没収して行く。これが厖大なる利益を得るというところに一つの株主としての、これは主張じやありませんけれども、そういう願意を生じるということは私は自然だろうと思う。そうした今の大臣の御発言のような心構えで、これは一つ政府として徳義上、何かの政府にも都合のいい、旧株主にも幾分かこれで補償されたというような気分が起る程度一つの御手段をとつて頂ければ、私はこういうふうな請願をされたようなことは、円満に解決するのではないか。これはもとより大臣並びに一般首脳部のかたがた当時の事情をよく知つていらつしやる。これは別に正式の請願として当院は採択したわけでもありません。過日来のいろいろの参考人からお聞きして、できればそういう願意を公平に妥当に、またできる範囲において政府が時の問題として考えてやる。かようにして頂ければ結構だと思います。大臣お話も、できればそういうふうにしたいという御意見だと、かように私は解釈して質問を終ります。
  85. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 別になければお答えする要はないように思いますが、只今お話で、実は私ども御同情は申上げておりますが、まだ名案を得ていないのでありまして、従いましてかようなことをお願いすることは如何かと思いますが、皆様方におかれましても、名案がありましたら一つお示し頂いて、政府を御鞭撻願えれば誠に仕合せに存じますが、この機会に甘えて一言発言いたしておきます。
  86. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 明日は午前十時から会議を開きます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十八分散会