運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-06-13 第13回国会 参議院 電気通信委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十三日(金曜日)    午後一時五十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     鈴木 恭一君    理事      山田 節男君    委員            大島 定吉君            新谷寅三郎君           小笠原二三男君            稻垣平太郎君            水橋 藤作君           池田七郎兵衞君   国務大臣    郵 政 大 臣    電気通信大臣  佐藤 榮作君   政府委員    電気通信政務次    官       平井 太郎君    電気通信省電気    通信監     山下知二郎君    電気通信大臣官    房審議室長   大泉 周藏君    電気通信大臣官    房人事部長   山岸 重孝君    電気通信省業務    局長      田邊  正君    電気通信省業務   局国際通信部長  花岡  薫君    電気通信省経理    局長      横田 信夫君   事務局側    常任委員会専門    員       後藤 隆吉君    常任委員会専門    員       柏原 榮一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日本電信電話公社法案内閣提出、  衆議院送付) ○日本電信電話公社法施行法案内閣  提出衆議院送付)   —————————————
  2. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 委員会を開きます。  日本電信電話公社法案日本電信電話公社法施行法案を議題といたします。昨日に引続きまして御質疑をお願いいたしますが、本日は第四章から最後までを範囲として御質疑をお願いいたします。甚だ相済みませんが、できますれば予定が少し遅れておりますので本日中に公社法並び施行法を終りたいと存じております。そのお含みで各委員のかたに甚だ相済みませんがお願いいたしたいと思います。
  3. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 併し聞いていることと聞いてないこととありますから、それだけは念のために申上げておきます。時間も相当たつていますし、先ず併しながら進めたらいいと思います。
  4. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 財務及び会計の所で聞きたいと思います。先ず大体において私はこの衆議院修正案によりまして私の考えておつたような点が修正されたので、この点は原案よりもよくなつたのじやないかと思うのです。というのは、従来国鉄とか専売で同じような形の公社というものができたわけですが、実情を見てみますと、国鉄専売事業体でありながら非常に官庁会計制度を採用しておるために仕事を動かしにくいという点が至る所で現われておつたのであります。私どもも政府内部立入つて大蔵大臣権限を強めるとか弱めるとか或いは各省大臣権限を強めるとか弱めるとかいうことは何らこれは関心を持たないのでありますけれども、要するに事業体がその事業を最も適切に敏速に円滑に推進して行けるような制度を採用するのが一番適当であると思うのでありまして、そういう意味においては私は卒直に言つて衆議院修正案はまあ大体においてその点を考慮したものと考えるのでありますが、或いは政府委員からはお答えしにくいかも知れませんが、この修正案によりまして仕事運用方面にどういうふうな影響を持つものとお考えになつておりますか、その点を卒直にお述べ願いたいと思います。
  5. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) お尋ねの点は、国会における衆議院修正案の当院に参りました場合に取扱う方法として特に困る点があるか、或いは特に変る点があるかというお話でありますが、私のほうで承つておる範囲におきましての財務会計国会の御修正範囲におきましては、予算の作成及び提出につきましての手続が変つて参りました。これは公社なつた場合に、公社主務大臣として郵政大臣を相手にして行動すればいい、或いは報告も主務大臣に対して行えばいいということになつた点が一つの点であろうと思います。それからもう一つの点は納付金の点で、公社納付金を納める場合においてはあらかじめ予算を以て国会議決を経るという……経た場合においてこの納付金というものがあるんだということが但書において鮮明にせられましたという点でありますので、特に公社側のほうの手続が簡易化された、或いは明瞭にされたという程度じやないかと思つておりますが、或いは御質問の点において答弁不十分かもわかりませんが、大体そういうように考えております。
  6. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 そうしますと結局大した障碍はないというような意味お話がありましたが、積極的にこれによつて非常に仕事事業体としてしやすくなるというような点はないのですか。
  7. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 御質問に卒直に答えろというお話でありますので、この問題について我々政府委員としての立場上いろいろ問題があると思いますが、むしろその意味ではできるだけ卒直にお答えいたしたいと思いますが、まあ手続は、今のように改正案によれば簡易化される。それから納付金の点が、これは今後どうなるかという点はむしろ今後の国会の御審議、あらかじめ予算を以て国会議決を経た場合、従つて国会でどういう態度をおとりになるかという問題に関係する問題であろうかと考えております。あとは手続の問題が非常に簡易化されるという点ではないかと思います。政府部内のことは政府部内で協議事項は協議して行くということで、その政府部内の問題を明らかにされたということであろうと思います。実質的な問題につきましては、この納付金の問題は実質的な問題でありますが、これは今後国会の御審議がどうなるかということにかかる問題じやなかろうかとこう考えております。
  8. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大体の気持はわかりましたから内容に入つてお尋ねをいたしますが、先ず第一に会計年度の問題ですが、まあ事業及び会計年度一般官庁と同じように四月一日から翌年三月三十一日までになつておりますが、この財務及び会計関係する各条を見まと、いろいろの工夫がしてあつて、相当まあ仕事もしやすくなつているということは見受けられるのでありますが、私の見ているところでは従来はどうも予算議決を経てそれを今度は現場まで配付して……、その前に勿論本省において使用計画を立てるというような手続を了して、実際に予算が使えるようになるのは遅くなる、下半期になる、早くても夏頃になるというのが従来の例であつたと思います。そのために現場では非常に仕事が溜つておる。又その日その日を遊んでいるわけに行かないので働きたいと思いながら、予算使用の決定的な方針がきまらない、或いは予算そのものが配付されないというために数カ月間ぼんやりしてまあ見送つているというのが各省共通の例だと思うし、特に事業官庁ではそういう傾向が著しかつたのではないかと思うのです。で、非常に非能率的であります。でありますから例えば繰越とかその他いろいろの工夫はしておりますが、今度のこの会計制度によりますと、そういう一年の中央の計画がきまらないために起つて来る仕事の繁閑というものがなくなるように措置はできるお見込ですか、どうですか。
  9. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 只今お尋ねは、事業運営上の最も重要な点だろうと思います。お話のごとく、この政府事業の殊に会計面においての一番の欠陥は御指摘のような所であつたろうと思います。この点につきまして二、三年来電気通信特別会計におきましても、建設勘定だけについては予算明許繰越を与えて頂きまして、それによつて成る程度の進歩はいたして参つたと思います。併しなお且つ御指摘のような不満がなお相当残つておるという実情もあるわけであります。それから運営経費については、これは従来の特別会計においては全然繰越はできない。これは勿論会計年度区分でありますので、年度を以て帳簿上の決算をするということは必要でありますし、運営関係において勿論そうあるべきでありますが、こういう事業において勿論そういう運営経費についても或る時期に帳簿を締切るということと事業を継続してやるということとは又別の問題で、そういう意味で従来も損益勘定実質的繰越ができるようにということは随分問題になつたわけでありますが、今回この財務会計でそれができるということになつたわけでありまして、その点殊に平常に必要な経費について或る一定の基準がきまるならば、ものによつて決算的にやつて行くというようなこともできると思つております。従いまして又この本章の中にありますように経費相互流用もできるというような関係で、むしろ或る基準がきまつて来ればその基準によつて仕事をやつて、それで決算的に仕事をして行くとこういうようなことができれば、今のお話のようなことは相当解決して来るとこう考えております。例えて申しますならば、加入者建設方面におきましても、加入者工科というようなものについては一加入者当りどれぐらいな基準だとこういう基準をきめて出したならば、その基準範囲内においては面倒もなしにどんどんやつてもらつてただ決算の締括りの時期を或る時期を劃してやる、継続してどんどんやつてもらう、こういうことはできると思います。そういう点はお話のような方針でできるだけ今後解決してやつて行きたいと思つております。
  10. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 今のお話伺つて大体わかりましたが、そうすると会計年度は一応きまるようになる、少くとも業務勘定方面では一年を通じて仕事が絶えないように予算使用ができるようにし得るのだと、それについてはこの法律に規定してある以外に細かい会計に関するいろいろの規則とか財務に関する規則によつてそういつた方面はできるだけ円滑にやれるようにしたいということに聞いたのですが、そういう意味ですか。
  11. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) その通りであります。
  12. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 その点は私一番官営事業会計制度の弱点であり弊害であると思つておりますので、只今お話があつたような決算的な会計制度が全面的に採用されることは、こういう公共企業体では或いはむずかしかろうと思うのです。併し少くとも国会予算を全部削除するとか不承認するということは、これはこういうふうな公共的な事業についてはまあ普通の場合はあり得ないことですから、いろいろな関係国会審議が遅れた場合に繰越のような制度もあるし、それから仮に三月の末に予算議決されましても、四月からは新年度予算が使えるわけですから、予算がきまつてから初めて使用計画を作るとかそれから配付するというようなことばないような仕組会計制度をあらかじめ万全の備えをさせておく必要があると思いますので、この点は新らしい公社移つて、又これも総裁の問題になるかも知れませんが、十二分にその制度を完備するようにしておいて頂きたい。  それから次の問題に移りますけれども、今度の公社には普通の会社と違つて、いわゆる株式のようなものはない。で、資本の評価をして見れば、例えば二千億とか二千数百億とかいう数字は出るでしよう。併しこれは例えば減価償却をする場合にどういうふうな率でどのくらいの留保をする、或いは保険に掛ける場合にどのくらいの保険を掛けるかというような問題に関連しての資産の評価になつて来るであろうと思うのであります。そういう建前行つた場合に、一体この納付金というものの制度が私は根本的にはどういうふうに観念していいか非常に疑問があるわけです。若しも納付金を毎年しなければならんような建前料金の基礎をお作りになるなら、それは料金が高過ぎるために起つて来る剰余金であるから、むしろ料金制度としてそういう納付金を出さなくてもいいように料金を下げるべきじやないかということも考えられるのであります。ただ安いだけがいいんじやないのですけれども、毎年きまつて何億或いは何千億というように納付金をとらなくてはならんというように政府部内では考えておられるのか、或いはここに条文に書いてあるように、剰金が仮に事業の進展によりまして或る年度に非常に剰余が出た場合に、そのときだけ例外としてこの納付金というものを国庫に納めるということになるか、或いはこう書いてあるけれども、大体或る額を予定して納付金を毎年少くとも幾ら幾らを納めなければならんというふうに政府内部では話合ができておるのか、これは納付金の性格というものにも関連する問題でありますが、政府内部ではどういう途をおどりになつておるのか、従つて納付金というものについてはあなたがた政府委員のほうではどういうふうに観念しておられるか、その点お尋ねいたします。
  13. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 只今お尋ねの点につきましては政府提出原案国会衆議院における修正されました点があるわけでありますが、政府原案におきましてのこの納付金というものにつきまして、これは第六十一条でありますが、この六十一条の「残余の額は、あらかじめ予算で定めるところにより国庫に納付すべき場合におけるその納付額を控除し、積立金として整理しなければならない。」と。この意味につきましてもやはり原則はこの利益金というものは積立金として整理しよう、併しあらかじめ予算で定める場合にこれは先に除いて行くのだ、この具体的な問題については予算として国会で十分御審議して頂くと、こういうことで、このきめ方についてはいろいろ問題がありまして、実は確たる内容をどういうものにしたらいいかということについてはまだ結論は卒直に申しまして出ていなかつたのであります。このきめ方は、いろいろきめ方の問題はあると思いますが、いずれにしろあらかじめ予算で定めるという場合はそれを控除すると、こういうもので、それを年々やるかどうかということにつきましてもこれは勿論国会でおきめになることでありますが、政府自身としてどうするか、年々出すべきか出すべからざるかということについても実は結論は出ていなかつたようです。卒直に申しましてそういう情勢であります。この国会の御修正趣旨によりますと、我々国会の御修正の案を拝見しますとその点が但書になつておりますので、むしろ国会の御修正趣旨はこれは私たちの御答弁の限りではないかも知れませんが、見てみますと、国会の御修正のほうではむしろ例外的に考えて行くことでこれははつきりしておるんだと、こういうように読めるわけであります。
  14. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それてこの納付金に関連しまして、これからおきめになる料金制度基準の問題でありますが、一応はこういうふうな修正が今あなたの解釈されるようなふうに考えられるとすれば、料金決定に当つてはともかく事業を遂行するに必要な経費を、特別会計になりますから、これは当然収入を以て充てなきやならん。勿論それには金利も入りましようが、そういつたことをやつてそして別にこの公社の毎年の会計から余剰を生み出して国庫に納付する、或いはこの余剰の金を将来の建設資金に充てるというようなことはお考えになつていないんだろうと思うのですが、この点は如何ですか。
  15. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 料金原則をどうするかという問題は実はこの法文の中へ出ておりませんが、この問題は別途只今衆議院のほうに提出になつております営業法案の中の問題になると思います。この料金原則は勿論煙草等とは違いまして、この事業の性質上サービスを提供いたします対価、これをお客さんから頂くという趣旨でありまして、この料金実費主義によつて立てて行くのが当然だと思います。ただ広い意味実費でありまして、その実費の中に何が入るかということになりますれば、当然減価償却費も入つて参りますし、利子も入つて参ります。一番問題はどの程度拡張生産というものを入れるかどうかということが一番むずかしい問題だろうと思います。これはこの拡張生産というものを或る妥当な範囲ですれば幾分認めていいんじやないかということも相当問題になることだと思います。いわば元手に対してどの程度を認めたらいいか、これはやはり一つの問題たろうと思います。併し只今料金は御承知のようにこの拡張生産原則にするという意味で現在の料金はきまつていないわけであります。で、それをやつて行くときに経費が場合によつて不用額なつた場合もこれは利益になるわけでありますが、その不用額というようなものも例えば補修物品が十分使われなかつた、これは或る意味において補修が十分進行しなかつたという場合も一応利益金として出るわけであります。これは物として残る場合と金として残る場合があるわけでありますが、その利益金というものが出て、これによつて棒立金として整理される。そうするとその積立金の使途の問題につきましては、この積立金利益剰余金として積立てられるわけでありますが、これは必ずしも金で持つておる必要はないと考えております。従いましてこの積立金というものは利用方法として拡張生産、いわば新らしい設備建設をしてお客さんに対するサービスを増加して行くという方面に利用するのが当然かと考えております。
  16. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 そこで、今御説明があつてこの中で又疑問が生じたのですが、つまり再生産のための費用というものはとつておかなければならん。これはまあ私は当然だと思うのです。あなたの言われた言葉意味は或いは誤解しておるかも知れませんが、拡張生産と言われたが、この再生産のほうは当然これは毎年償却して行かなければならんということにもなるので、当然だと思うのでやつてくれなきや困る。併し私が問題にしておるのはこの拡張のほうなんです。将来の電信電話拡張費というものを料金によつて相当大きな部分を持つて行く、料金に背負わして行こうということにつきましてはこれはここのところに相当疑問があると思う。そういうことも考えられないことはないでしようこういう特別の公社でありますから……。そういうことも考えられることはないが、一方において例えば電信電話債券或いは長期若しくは短期の借入金というものを考えておるわけですから、そういう制度によつて建設費というものは原則としてこれで賄つて行くんだということでなけりやならんのであります。それを十年なり十五年なりの長期で以て毎年料金の中で或る部分を借りた金の償却に充てて行くということで足りるので、そのほかに又料金から出て来る収入を相当大巾に割いて将来の拡張に充てるということはどうも会計建前としてはおかしいと思うのです。ただ具体的な問題になつて参りますと、一体その再生産か或いは拡張かという認定がむずかしい場合があることは私も了承いたします。例えば或る電話局機械類を古くなつたから坂換えるという場合には、これはまさに再生産ではありますけれども、その機械に或る程度の今までなかつたような設備も附加えて行くということになりますと、これは拡張費が入つて来るということになるだろうと思うのです。その点でどこまでが拡張費であつて、どこまでが再生産費であるかということは具体的な場合における判断は非常にむずかしい場合があると思います。併し私申上げておる趣旨はこれは極端な場合を考えれば直ぐわかることであります。料金によつて電信電話拡張費を賄つて行くんだという建前をとることは、この法律趣旨から見るとおかしいんじやないかと思うのですが、この点もう一遍はつきり御答弁願いたい。
  17. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 只今お話私も大体同感でありまして、この減価償却費或いは借入金の償還というようなものは或る程度見込まなきやいかんと思つております。これは料金はそういう意味の広義の実費主義によるべきはこれは当然だと思います。併しそれを従業員努力なり経営のやり方によつてこれをできるだけ剰余金を余して行く、その場合の利益金の処分として先ほど申上げましたのですが、少し言葉が足りなかつたかとも思つております。料金原則の点につきましてはお話のようなことではないかと私も考えます。
  18. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 この点は趣旨がわかりましたからこれ以上追求はしませんけれども、毎年剰余金が出てそうして大きな積立金ができたり或いは国庫納付金ができたりするということは私は非常におかしいじやないか、従業員努力或いは経営の仕方の改善ということもそれは勿論ありましよう、ありましようが、これは毎年毎年今までそうしなかつたようなものが附加つて行くということはこれは考えられないだろうと私は思うのです。若しそういうことだと、これは予算の立て方の基準になる数字が余りに甘いからということになるだろうと私は考えます。そこでその場合に毎年そういつたことが起る場合には予算を拵らえるときにそれについては、例えば日本電信電話はどこを見ましても、これはもう補修、取換えをしなければならんような機械類が大部分で、非常に困つた現状にあることは私が言うまでもないのですが、そういう方面の再生産、あなたは再生産と言われたが、そういう方面に主力を注いでどんどん新らしい能率のいい機械に取換えて行くということを原則にして行くべきであると思うのであります。その点もう一遍承りたい。
  19. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) このお話の毎年々々剰余金が出るようであれば料金の再検討とか或いは従来の設備のいわゆる取替え的な経費に充当してサービスを向上すべきだ、よりその方面に金を使うべきである。お話の点は私も大体そういうように考えます。
  20. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それからついでに今積立金の問題になつたのですが、一つ伺いたいのですが、従来私は何回となく電通省に対しまして異常災害の場合における積立金も準備しなければ企業が運営できないのじやないか。成るほど官庁事業でありますから、これは他保険につけるということはこれは無理かも知れません。併し今までの統計をとつて御覧になつてもすぐわかるように、必ず日本では毎年どこかに大きな台風被害、或いは地震の被害というものが必ずある。その度に十億、或いは数十億というような大きな被害電信電話事業が受けておることは私から指摘するまでもないと思うのです。そのたびにあらかじめ予定できない事項であるからこれは予算化するわけにも行かないんだ、やはり災害があつた後にこういう災害があつてこのくらいの復旧をしなければならないから、これだけの復旧費を要求いたしますというので、国会に出して、それで初めて災害復旧にとりかかれるというようなことでは電信電話はいつまでも復旧工事に追われてしまつてどんどん悪くなる一方だと私は思うのです。災害が幸いにして起らない年は別でありますが、従来終戦以来例を見ましても相当大きな災害があつて、而もその年のうちには復旧されていない、相当、二年も三年もかかつてやつと台風被害なんかが復旧されるという状況なんですが、そこで私が申上げましたように、積立金の中に災害復旧のための特別の積立金というものをあなたがたは御考慮になつておるかどうかということをお聞きしたい、これは或いは普通の業務勘定経費として立て得るかも知れません。併し立てておられない場合にはこういう積立金の中でそういう災害復旧というものはどんどん災害が起つた都度支出しで行くんだから、行けるんだからというような仕組をお考えにならないかどうか。今年私は九州へ行つて参りましたが、昨年の台風被害が今年の春の九州の管内の状況から言いますと、やつとどうにか電信電話はつくようになつたけれども、本格的復旧はこれからだということです。こうなりますと恐らく今年一杯かかるんじやないですか。そういうことでは私はいけないと思うのですが、これには積立金制度を大いに活用される必要があるんじやないかと思うのですが、何かそれについて確乎たるお考えがありますかどうですか。
  21. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) お話の点よくわかるわけでありますが、実はこの点については本法におきます考えといたしましては、従来予備費というものがあつたわけでありますが、今後公社会計において考えます予備費は実は災害復旧を予定する予備費、この予備費というもので考える、従来の予備費と申しますのは実は事業特殊性による予備費業務量が多くなつたらそれに使うという意味を含んでの予備費であるわけでありますが、今回ここにそういう業務の伸縮による経費の支出というものはこれは予算弾力性としまして当然そちらのほうから出て来る問題だ、業務量も多くなれば収入も多くなるだろう、それだから当然経費は出して行く、従つてこれはむしろ事業会計としては予備費として考えるべきものではなかろうか、予備費として考えて必要なものは災害復旧その他欠くべからざる事業、これについて必要があれば飽くまでも計上して行きたい、こういうつもりでおります。なおその問題のお話の点はこういうことに触れて来るかと思いますが、この災害復旧その他の避けることができない理由による予備費というものを経費の支出の面において上げて行きましてもいわゆる資金がない、金がない、いわゆる予算使用の枠と申しますか、それとしては上げておりますけれども、片一方で或いは事業収入が減つて来る、従つて金がない、何とかしてやらなければならんという場合にこれを使つて行く、結局これを使つたために欠損が出て来るという場合にその結果がどうなるかと申しますと、このあとの積立てた積立金を崩して当然行つていいということにこれは相成つておるわけでありまして、その点は実質的にはお話のような線でこの問題は解決できるのではなかろうかとこう思つております。
  22. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 その点も私は承知しておるのです。併し予備費では解決できないのです、というのは予備費というのは恐らく或る年に、例えば昭和二十七年度に十億なら十億という予備費を計上する、昭和二十八年度にも千億なら十億という予備費を計上することだとすれば、併しそういう災害復旧費というものは年によつて非常に多い年と少い年とがあるわけです。必ずどこかにありますけれども、これは運輸省の気象台方面で統計をお調べになればすぐ出て来るわけです。気象台の人たちはもつとなぜ各官庁が自分のほうの気象業務についての数十年来の貴重な統計資料を利用してくれないかということを言つておるのです。私は再三電通省政府委員に対しては今までその点強調しておるのです。ですから例えば今年は三億くらいの災害しかない、併し来年は二十億の災害があるとしますと、十億の予備費を計上されても、これじや今年はいいけれども、来年は十億の範囲内でしか復旧できない、ですからその点は予備費というものを毎年の予算に計上されて承認を受けるわけです。私が言つておるのはそういうものを事業会計らしく毎年例えば幾ら、或るパーセンテージを、これは気象台の関係をお調べになれば出て来ますからパーセンテージでもいいです。金額でもいいですが、それを余つた年には積立てておいて、そうして翌年災害が起つた場合にそれを使つて行くというような方法をおとりにならないとこれは解決できない問題じやないかと考えますので、この積立金をどういうふうにして活用するかという問題に関連して、災害復旧費をどう取扱うかということをあなたに聞いておるわけです。そこまでのまだ配慮をしてないとすれば、今後この積立金の運用に関してそういう災害復旧はこういう前々からの、数年前からの積立金があるとして、それを十分に活用できるような措置を講じて置かれるのが適当であると考えるのであります。若しそれについて何か御意見があれば承わりたい。
  23. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) お話の点大分私のほうも了解ができて参りましたが、お話の点は公社予算につきまして、この法案にもありますように勘定区分も必要によつては流用してよろしいというようなこの法案になつておりますが、いずれにしろ災害があつて、それでこれを復旧しなければいかん、これは何をさておいてもとにかく優先的にやるべきだというお話誠にその通りであります。ただ問題はその災害を原へ復旧するときに、ついでに復旧するならば改良的なものを同時にやるという問題で、いつもこの問題が相当大きいわけでありますが、少くとも復旧は何をさておいてもやらなければならん。従つてこの基準としての予算範囲内でほかのものをたとえ落してもこの復旧を先にしなければならんということは当然言えると思うわけです。その場合に従つて予備費というのはこれは予備費として一応はとつてありますが、予備費を超えてもこの予算執行上においてお話趣旨に副つてやるべきだと考えます。その場合に御心配の点は積立金の運用のほうにおいて場合によつてその積立金の金を全部使わずに、一応或る程度この方面に充当できるような運用の仕方を考えろ、そうしないと、場合によつてそうやろうと思つても資金の糞詰りでできないことがあるかもわからん、その辺をよく研究すべきだ、こういうように私考えたわけでありますが、これはそういうように研究したいと思います。
  24. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 まだ私そこまで言わなかつたのですが、あなたの御想像通りで毎年の予算に計上する予備費というものは余りがあれば積立金として整理する、但しあらかじめ国会の承認を、議決を経た場合には国庫に納付する、こういう原則を書いてあるのですね。併し私は災害というものは年によつて非常に違う、併し必ず日本ではある。或る年は少い、或る年は多いだろうから、その多い年でも迅速に、急速に災害復旧をするだけの予算的措置を制度上としても講じて置かなければ嘘じやないかということから災害復旧に関する積立金制度、これは積立金という名前をつけてもつけなくてもいいですが、災害復旧についてすぐにそれに対処し得るような資金的な措置を会計制度の中に盛り込んで置かないと、従来やつておるようなことを繰返すだけじやないかと考えるので、これは積立金という中で、今のこの条文だけから行きますと一番適当な項目だろうと思うので、この積立金制度というものの運用を気をつければこれはうまくできる人じやないかということを意見としては持つておるわけですから、あなたの御答弁になつたようにこれはどういう事態が起つても困らないように括用するようにして頂きたい。
  25. 山田節男

    ○山田節男君 六十一条のちよつと質問が出たのですが、関連質問として六十条原案国庫納付金制度というものをお聞きします。建前から言えば損失の補填に充てる、なお残余があつた場合にはあらかじめ予算で定めるところによつて国庫に納付する、これは私どうも公社法案を、公社いわゆるパブリツク・コーポレーシヨンという本質から見て、いわゆるニユアンスがどうもぴつたり来ない。その一つがやはりこの六十一条の国庫納付金制度です。これは言うまでもなくなぜ国営のものを公社に移すか、その根本はやはり何といつても第一には財政の自主性を持たす、一つのインタープライス企業として行く、殊に電信電話、殊に電話を公社にするということはもう国営では復旧もできないし、電話のサービスの改善或いは拡張もできない。そこに匙を投げて、もう止むなくこれは公社にするのです。そういうことになればこの電話の場合は殊にこれはもう財政の自主性を持たして、今の新谷君の話もあつたように復旧だけでも大変、更に厖大に上つて来ておる、堆積しておる電話の需要を如何にして充すか、そのために公社を実は我々が審議しておるのでありまして、そういうことになればこの国庫納付金制度というものは公社のいわゆる本質からいえば、これはもう一つ企業性を持たすということになる。国営じやない、この法案をみますと鉄道公社法或いは専売公社法とは違つて国庫に納付するという建前になつてつて、反対に損失があつた場合に国庫から交付金をもらう、専売公社でいえばこれはたしか価格差補給金という規定があつてそういうふうな損失の填補としての保障がある、ところがこの法案を見ますと鉄道公社とは違つて損失を来たした場合に国庫の交付金制度はない、そういう建前からすれば、これはもう国庫納付金というようなことは大体この法律の構想を描くときにあるべきものじやないのです。それを依然として、今の納付という、国庫納付金ということについては鉄道公社を真似た、そこに私は公社法を今度作る場合の構想に本当にこれを企業として自主性を持たしてやる、これは財政、人事、管理においても、或いは会計制度においても自主性を持たすということになれば、国庫納付金ということは考えられない、或いはアメリカの場合をみてもパブリツク・コーポレーシヨンということになれば国庫に納付するということはこれはもう常識上は考えなくてもいい、殊に芦田内閣のときにできた専売公社国鉄公社、我々も審議に与かつたのですが、鉄道公社の場合は違うのです。もう或る程度のものはできておる。電話の場合は、電信にしても施設の改善、これはもう厖大な金が要る、こういうことになれば法の趣旨からすればむしろ国庫納付金というものは考える必要は常識から言つてもないと思う。それをあえてここに考えて、非常に何といいますか、あらかじめ予算で定めるところによつて云々としてありますけれども、私はどうも市の役員、或いは第一章、第二章に比べて、どうもパブリツク・コーポレーシヨンというものの性格をキヤツチしてないから、その一つの現われとしては財務的な国庫納付金というものの言葉を出すことすらおかしいと思う、これは横田局長はこの法律の立案者の当面の責任者の一人として、これはどういう構想で書いたのか、国鉄公社でやつておるからまあ体裁悪いから国庫納付金を納めないのだが、まあこれは書いておけば体裁がいい、国会通りやすくないか、私はそういう軽薄なことではないと思うが、一体どういう構想をいわゆるパブリック・コーポレーシヨン、いわゆる公社としてお考えなつたか、その動機なり、その構想、これは一つ承わつておきたい。
  26. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) お答えいたします。六十一条政府提出案におきまして、利益金が出た場合には先ず損失の補填に充てて、残余があるときは、あらかじめ予算で定めるところにより国庫に納付すべき場合における納付額を控除して積立金として整理する、こういたしたわけでありますが、これは実は国鉄との比較がありまして、国鉄の場合はお説の通りいわば公共企業体としての国有鉄道を作つているけれども、いわゆる丸抱えの思想で、損失があれば国庫から交付金を出す。利益があれば国庫に納めろ。併し国庫に納める場合は予算積立金として積立てることを規定した場合には、これは積立ててよろしいと国有鉄道の場合はなつているわけであります。で、これは公共企業体としてできます以上は、政府の丸がかりでなしに、やはり公共企業体として独自の経営の管理の能率を上げて、経営責任を持つて行きたい。そうなれば丸抱えの損失があれば国庫から補助を受けるということでなしに自立的にやつて行くということが望ましいと考えたわけであります。これが第一点であります。  若しそうであれば、今お話の点は交付金もやめる代りに納付金もやめたらどうか、こういうお話だろうと思います。この交付金の根拠如何、こういうことであろうと思います。先ずこの問題につきまして料金は先ほどお話がありましたように、この広い意味実費できめるべきだ、従つて初めからこの料金というものは、例えば政府出資に対して初めから配当をするというだけのことを前提にいたしてきめるべき料金じやないと、こう考えておりますが、併し利益ができて来た場合に、一体利益金というものの処理をどうすべきかということになつて参りますと、理論的に考えますならば、これはこの利益金の処理は先ほどお話がありましたように、先ずお客さんのためになるように使つて行くというのが一番だと思います。その行き方は先ほどお話がありましたように、料金を値下げするという方法もあれば或いは今の設備サービスをよくするようにするために使つて行くというのもある。その意味で先ずお客さんに向いて剰余金を使われて行くのが第一の要素である。第二にはやはり事業自身です。その他経営管理について全力を尽して行く。従業員に或る程度のものを返して私は然るべきじやないかと考えております。併し同時にその出資者としての政府にこの利益があつた場合に、一部を納付するということもこれを非常に不当だということもできないのじやないか。これは或る程度のその意味の理論上の根拠がある。併し先ほど山田委員からお話がありましたように、これをそうすべきか或いは今の電話事業のような非常に需給不均衡で、殊に拡張資金に困つているような場合、そちらにせずに、むしろ拡張資金に渡すというようにすべきか。これは具体的な事情を前提にして判断すべきじやなかろうか。従つてこの具体的事情を判断するのは国会が一番最適の権威者である。そういう意味におきましてあらかじめ予算でこれを定める。予算で定めて、予算でそういうようにすべきであると国会考えるならばそうする、こういう構成をとつたわけであります。
  27. 山田節男

    ○山田節男君 これは御存じのように国鉄の場合にはいわゆる広義の資本説、ところが電信電話の場合には狭義の資本説と本当にこれは三つある。これはあなたが靱次官か、資本金は百六十億だ、これは佐藤大臣が去年新聞にもお話しになつたように三億七千万ドルと言えば千億以上のものた。そういう狭義の資本説をとつて、普通の事業つたらこれは儲からなければいけない。当然の話だ。ところが先ほど申上げたように電力の復旧或いは新設は厖大な金がかかるのです。現在の施設につきましても日本のは陳腐極まる。電信電話の施設が非常に陳腐である。ですから狭義の資本説というより鉄道公社の場合よりも非常に有利な経営形態になつている。国鉄の場合にはそういう広義の資本説でああいう公社にしたわけですが、併し又これはサービス事業ではあるけれども、現在の施設の改良という点から来れば、電信電話と鉄道の場合には実際違うと思うのです。而もその法律を作つたときと時代が違うから、先ほど申上げたようにこの電信電話公社の今後の使命、公社なつた理由、その使命を完徹させないから今のような交付金制度というのは、公社の場合から見て考えるべきじやないと思う。これが常識じやないかと思う。それをあえて国庫納付金予算で定めた場合には国庫納付金国庫に納付する、そういうことを書かれたアイデアですね、狭義の資本説をとつた……、非常に有利な、非常に儲かり過ぎるものだから、そうして剰余金があつて損失を補填してもなお金が余り得る余地がある、こういう構想でこういう原案国庫納付金制度を入れられたのかどうか、この点をお伺いしたい。
  28. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) お話の点二点あるわけでありますが、第一点の鉄道公社との関係で、鉄道公社のほうの広義資本説との関係でありますが、実はこの納付金の問題と今の鉄道公社との、この公社における資本金の規定の仕方の問題は直接実は交付金の問題とは関係ありません。というのは国鉄公社の場合におきましても、国鉄公社施行法で結局資本金としまして国鉄公社の挙げましたのは、狭義資本説によつて公社本文はそうなつておりますが、施行法で資本金はやはり資産から負債を引いたものを以て資本金として充てるようにいたしております。従つてその点は同様であります。ただもう一つの点の納付金の理論的根拠はどこにあるかという問題については先ほど申上げた通りでありますが、なおこの種資本金と、それから納付金との関係如何という問題は、第三点として今お話の中に言われた中に、やはり幾分含まれているのじやないかと思いますが、やはり資本金と納付金と同様に見て行くか。これはやはり将来に残された問題であろうと思つております。資本金の納付金というものを資本金と関連を持たして行こうという考えもできないことはないと思います。例えば資本金に対する五分という、五分なら五分というものを以て納付金の限度と考えようというようなことも考えられんことはないと思います。併しこの問題については具体的な場合はその問題をどうするかということを予算で御制定願うということを考えて行くよりほかにないのじやないかとこう思つております。
  29. 山田節男

    ○山田節男君 そうしますと今のあなたのお考えでは、公社法というものにはやはり一つのこういう政府の国有の財産を現物出資でやる、公社であるからしてそういうような経営形態からは、いわゆる公社という経営形態からは国庫納付金制度というものは当然あるべきものだ、こういう考えでおられるわけですね。
  30. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 実はこの問題は理論的に申しますと、この料金原則との関係が相当入つて来ると思います。で料金原則をきめる場合は、今の実費、広義の実費でありますが、その実費にプラス或る程度のいわゆる利潤率というものを見て料金をきめるという原則を採用いたしますとするならば、そういう料金原則も立ち得るわけであります。只今はそういう料金原則でなしに、それは入つておりません。いわゆる利潤、利子というものを全然入れておりません。従いましてこの税金も免税特権を持つて頂いているわけでありますが、なおこの納付金の場合におきましても、原則としてでなしに利益が出た場合はどうするか、その利益金の処分としてまあお客さんを第一にすること、従業員のことを考えること、これも当然であるけれども、やはり政府の出資という意味においてこれも考える、利益金が出た場合において考えるということも全然理論的に成立ち得ないのじやなかろうと、こう一応考えたわけであります。
  31. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 電信電話事業では前前から当委員会で問題になつておりますように、要するに建設資金というものが非常に問題だと思います。建設資金が従来の官営事業であります場合には、非常に一般からの債券とかその他の借入金が制約されて事実上財政資金を使う以外にないということで窮屈だつたわけなんですが、今度公社になれば、この点は相当財政的には巾が広くなつて、つまり金を借りることができやすくなるというような特質がなければならないわけなんです。  そこでこの法律案を拝見しますと、例えば長期或いは一時の借入金でありますとか、或いは電信電話債券というような特殊の債券というものが考慮せられ、政府としては国庫余裕金の一時使用、或いは政府からの貸付等が規定されておりまして、一応巾は相当広くなつているということがわかるのでありますが、まあ第一に伺いたいことは、これによりましてこの電信電話事業建設資金について、従来よりも非常にたやすく減ることができるような確信がおありになるのかどうか、と申しますのは、従来は財政資金なり或いは場合によつては見返資金というようなものを使つてつたわけですが、見返資金ももう今年で打切りになるだろう、或いは財政資金のほうも資金運用部のほうの金は今度は一般のほうの電信電話債券のほうに切替えられるのだというふうにも考えられるので、一体建設資金というのはどこから出て来るのか。或いは電信電話債券はこれは資金運用部を当てにしているのだという御説明があるかも知れませんけれども、ただそれだけだとしますと、従来の資金計画と余り変りのない資金計画しか樹立できないと私は考えるのですが、公社になつて一体つまり新しい方向としてはどういうところが重点であり、それに対して資金獲得の確信がどこまであるのか、これまでの見通しにおいてお答え願いたいと思います。
  32. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) お尋ねの点は公社の本質としての経営の自主性を持たして行くという問題は別といたしまして、拡張資金の点だけに限つて、どういう利点が差当りあるだろうかというお話、実際的に即しての見通しをお聞きになつたのであると思いますが、これは実はむずかしい問題でありまして、昨年も本年ももうすでにガリオア資金の使用はできなくなつておりますが、昨年も本年も資金運用部資金からの借入金を以て拡張資金に充当いたして来たわけであります。併し公社になりましてのちも、やはり資金運用部資金に頼る面が非常に大きいと思つております。これはまあ少くとも従来の実績、或いはそれ以上に我々としては希望いたすわけでありますが、これは資金運用部資金の全体の枠の問題である。その運用に対する国策的な問題できめる問題であります。我々としては少くとも従来のもの、或いはそれにプラスが貰えれば非常に結構だとこう思つております。それがプラスになるだろうかという問題につきましてはこれは今後日本の経済界が相当変つて来る。或いは日本の投資銀行が認められて来る。或いは今の建設公債と申しますか、建設公債に限らず、建設的な長期資金に対する日本の金融政策の推移の問題と関連する問題でありますので、この問題の如何によつて日本の経済実力とそういう問題によつては相当一般的に発展し得る可能性も全然ないことはないとは思います。併し差当りは恐らくそういう問題の一般的なこの電信電話債券の引受或いは借入金というものの、銀行からの借入というものはむずかしいかと思つております。ただ条件付のこの引受というものがあるだろう。条件付の募集引受がなされるだろう。その条件付と申しますのは御承知のように今非常に相済まないわけでありますが、電話の需要に対して我々の供給力が非常に少い。設備が非常に不足している。で、自分のところの村の、或いは目分の町の、或いは自分の市の、或いは自分の県の通信基礎設備を特に殖やしてくれるのなら金を出したいというようなところもあるわけでありまして、そういう条件付のところにおける引受電信電話債券の引受というものが或る程度考えられて来るだろう、こう考えております。差当りの現実的な見込はこれ以外にない。少し長い将来を考えれば今の長期債の問題に対する一般金融政策の推移と日本の経済実力によつて将来は生れ得る余地があるだろう、こう考えております。
  33. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 御説明を伺つて非常に失望したのですが、そうしますと、借入金とか債券に関する規定はただこれをなし得るという途を開いておいただけで、目前の資金不足の問題に対しては特別に新らしい解決方法にはならないであろうという御説明のように聞こえます。それではいけないと思うのですが、これは金融機関なんかとも十分連絡されたかどうか知りませんけれども、例えば同じように電信電話債券を発行する場合でも官営事業の場合には公債という形になり、国がその債券に対しましては責任を持つわけでありますから、もつと担保力は大きいのじやないか。ところがこの電信電話債券につきましては、今度非常に極限されて担保力も公社というふうになつておる。而もここではどうなりますか私まだお聞きしないのですが、この電信電話債券についてはいわゆる担保付の社債と同じように担保を提供して債券発行ができるのかどうか。それも法文の上では明らかでないわけです。一方から言いますと六十八条ですかに、「公社が電気通信幹線路及びこれに準ずる重要な電気設備を譲渡し、又は交換しようとするとでは、国会議決を経なければならない。」というので非常に財産の処分ということについては厳重な制限規定がある。その前提となるような担保に提供するというのは恐らくここには法律の規定がないとできないのじやないかというように類推解釈がされるのでありますけれども、この電信電話債券というものには担保を提供するということはつまり公社の持つておるあらゆる機械設備その他の施設を担保として提供することを考えて、いわゆる担保力を増し信用力を増すというようなことはお考えにならないのかどうかですね、その点も伺いたいし、それから今のような御説明だとすると、特に条件でもよくしないと、電信電話債券というのは引受けてくれないのじやないか。やはり資金運用部の資金を銀行に流して、それを銀行で引受けてもらうというのは、いわゆる紐付の融資を資金運用部に頼む以外に方法がないのではないか、こういうことになつて来るわけです。まあこれでは折角公社を作つて非常に違つた見地から資金獲得も容易にして行かなければならんという設立の一つの大きな目的が十分達成せられないのではないかということを私は懸念するのです。その間の事情はどういうふうになつておりますか。
  34. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) いろいろ有難い御忠告を頂きまして感謝する次第でありますが、実はこの問題につきまして勧業銀行そのほかの銀行とも実際上の問題をいろいろ打合わせてみたわけであります。で、只今先ほど少し抽象的に申上げ過ぎましたが、只今の情勢としまして今の担保付社債の発行にいたしましても或いはその条件が相当有利でありましても、現在の情勢におきましてはこの社債発行についての現状は金融機関としてそれを完全に背負う力がありません。従つて今年間、大体四百億ぐらいな枠しかこれがない。発行限度がないというのがこれが実情であります。而もその四百億というものを金融機関を通じてこれは出ておりますが、その実際というものは銀行が日本銀行から金を借りまして、それで引受ける。それを担保付社債としまして、お話がありましたように、日本銀行がこれを貸出の担保にしてある。それを条件にして銀行が引受けておる。こういう廻り持つた関係で動いておる。その金融政策の方法としてはこれをそういうように抑えて行くという金融方針をとつておりますために、これが銀行が自力で民間蓄積資本としての余力が相当できて自力で行けるようになつたらこれは別としまして、今の経済実力としてはやはり日本銀行へ尻を持つて行かなければできない。日本銀行へ尻を持つて来られた場合の限度というものはこれぐらいしか認めない、こういう関係になつておりますために、四百億ぐらいであるとすれば先ず第一に持つて行くのが現状においては実は電力、船舶こういうものを中心にいたしておりますので、余り余力がない、こういう状況であります。それもまあ実は抽象的に申上げたわけでありますが、併し先ほど申上げましたような条件付な消化においても、これは実質的に相当私は全体的に非常に大きな金でないけれどもこれは実際益するところは相当あるだろう、こう思つております。
  35. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 これ以上この問題について追求しても無理だと思いますからこの程度にしますけれども、私は公社にする一番大きな眼目はいろいろの制度事業体らしく改善するということのほかには全般の問題としては資金繰をよくする。つまり官庁会計から離れてもつと広く資金を吸収できるような組織にし、その制度を樹立する。そうして一般の資金が単に財政資金だけでなしに、より多く使われるようにして電信電話の発達を図るというのが大きな目的になつておると、提案理由にもこういう趣意のことを述べておるわけであります。この一つの目的である資金計画樹立に必要な債券とか借入金とかの制度が一応間口だけは拡げておいたけれども、それが実を結ぶかどうかは今後の財界、金融界の情勢如何にかかるので、今のところは見込がないというのでは、これは非常に私は将来に対しましても今の日本の実力から見ますと、いつそういう時期が来るかということを考えますと非常に心配に堪えない。これは単に政府委員に注文しただけでは無理かと思いますけれども、内閣として十分この点を考慮されて最善の方法をおとりになつて、こういう折角制度ができましてもそれが死文になつてしまうというようなことのないように十二分の努力をして頂かなければ困ると思います。その点は私の意見として附加えておきますが……。それからさつきちよつと触れましたが、六十八条に関連して、譲渡とか交換とかいうことは普通の場合では考えられないのですけれども、何故一体こういう条文を置かれて特にこれを明記しなければならないのか、これによると重要なものだけは譲渡交換は国会議決を経なければならんというので、事柄自体は当然過ぎるほど当然であると私は思いますけれども、こういうことをやるようであれば、一体この公社の本来の目的に副わないわけですから、公社が改変でもする以外にはこういつたことはあり得ないだろうと私は思います。特にこれを置かれた理由はどこにありますか。若しこれを置かれるとすれば先ほどもちよつと申上げましたように、金を借りることを容易にするために、担保に提供するというようなこともこれと並行してやはり規定しないと実際上これは却つて理論じやなくて実際上困ることがありはしないかということを心配するのですが、その点は大丈夫なのですか。
  36. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) お尋ねの点、二点あつたと思いますが、第一点の第六十八条のような規定をなぜ置いたかという問題であります。これは卒直に申しまして、こういう規定は国有鉄道にもありまするし、すべての公社にあるものでありますから、こういう規定を入れたのが第一の理由であります。それからこういう問題がこれが動く場合が想定できるかという点につきましては、こういう場合は或る程度考えられはしないかと只今つております、というのは国際電気通信株式会社ができる、その当初において国際電気通信株式会社が直接直ぐそれをやるのが適当かどうか、これは問題がある。併しその後において場合によつてそのものが電気通信設備がそちらのほうに行つたほうがいいというのができて来た場合に、やはりこの国会議決を経てこれをやつて行く、最初の場合は今の会社法の法案にありますようにあの法案でやつて行く、そういう問題が考えられるかということになりますと、例えば先般来政府委員から話がありましたように只今のところは海岸局というものは国内通信とそれから国際船舶と両方やつております。で、これはむしろ国際電信株式会社ができましても、ここ当分はやはり公社がやつたほうが能率的で国家的、経済的だろうと思いますか、その海岸局というものか、場合によつて国際通信のほう、国際船舶に対するものが主になつて来るというような逆になつて来る場合には、これは却つて譲渡して行くというほうがむしろ経済的だということも考えられる。それから今の中央国際電報局、電話局とそれから送信所或いは受信所を結ぶケーブル、このケーブルも国内ケーブルと共用しておる範囲においては、これはむしろ公社が持つてこの専用を会社に貸して行くというほうがいいかと思いますが、これが将来それがコントロール線として国際電報局、電話局と送信所を結ぶ専用のものになるということになつた場合にはやはりこういうことも考えられる、こういうように考えております。  第二点のお話の、この社債を財団抵当或いは担保付社債に変えたらどうかというお話がありましたが、実はこの点はこの公社のような場合には必らずしも担保付にしなくても、それによつて消化が左右されるよりは、むしろ利率の問題が中心になるだろうという全体的な関係を見まして実は担保付社債にいたさなかつたわけであります。
  37. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 説明を聞いて又疑問が生じましたので併せて質問しておきますが、只今のような説明をされますと、こういう点が又問題になつて来ると思う。つまり政府案による国際電信電話の会社、これが仮にできるとしましてもこの会社の支配力を公社が持たないようにして自由に活動させるようにしたいということを述べられて、その現われとして公社の持つておる株式がこれを大蔵省に譲渡して、大蔵省はそれを成るべく早く一般に公開して払下げるのだと、こういう建前です。この場合に、六十八条の場合に当てはめて見ますと、一体会社としてはこの場合に恐らく増資をしなければならないでしよう、こういうものを譲り受ける場合には……。又増資株でも引受けるということになつて来るのじやないかと思うのですが、そうしますと、又同じような手続をするというような規定が必要になつて来やしないかと思うのです。将来譲り受ける設備というものは現在の資本に比べましていつも必ずしも軽視する程度のものであるということは言えないわけですから、相当大きなものを又株式として譲る場合があるのだということを考えざるを得ないのです。そういう場合が又初めの株式の処分に関する規定と違つた方向に行くので、将来についても同じような方法をとらないとおかしいのじやないかという疑問も生じて来るわけですね。そうでないとこれはこういう場合は現金で以て取引をするのだということでも書いておかないとその点が首尾一貫して来ないと考えますが、これは私の杞憂に終れば結構ですが、一応理窟の上ではそういうふうな問題も起つて来る可能性は十分にあると思います。それから今の御説明の中で担保付の債券というものを考えなかつたのだということですけれども、それで本当に大丈夫であれば私も心配はしないのですけれども、従来まあ公債なんかでも信用力の問題が云々されておるわけです。殊に社債になりますと最近は非常に担保付の社債が多いだろうと思うのです。まあ債券でありますから特別の形をとつてこれはそんなにしなくても公社という信用力のあるものが背後についておるから大丈夫と言われるかも知らんけれども、民間の金融機関が或る限度を超えてでもこれに融資をしよう、債券の引受をしようという場合には、やはりこれは金融機関としても場合によつては国が損失を補償をしてくれという例も最近はあるくらいです。相当に担保力、信用力というものを重大視するわけです。必ずしも設備だけには限りませんが、例えば料金収入を担保にしてくれとか、或いは設備を担保にしてくれという場合が金融機関としては相当進んで行つた場合は好ましいけれども、そういう場合が必ず起つて来るということです。これは私の意見になるかも知れませんが、そういう場合が非常に多かろうということを予想し得るのです。今日は財界のほうのことをよく知つておられる稻垣委員がおられるので、あとで又稲垣さんの意見を拝聴しますけれども、そういう傾向にあるということは事実です最近は……。それをあえて担保はもう付けなかつたのだ、それはもう大丈夫なんだというあなたの御説明を聞いて果して安心できるかどうか、私自身としては非常に危惧を持つわけです。
  38. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 只今お話の第二点は別としまして、第一点のほうの問題でありますが、この最初の現物出資とこれとの関係についてこの六十八条の運用についてなお現物出資株を持つという現象が起きるのではないかというお話でありますが、実はこれは現物出資を全然予定いたしておりません。この場合は勿論譲渡と交換だけでありまして、若し現物出資を予定いたしますとすれば、ここに現物出資のことを明記しないとできないと思います。これは変態出資でありますので、あの法律で明記した場合だけしかできない。従つてこれは勿論お話のごとく公社が今の国際会社との関係でそういう問題があるとすれば、国際会社なら金を賃つてこの設備を譲渡する、こういう場合だけを予想いたしておるわけであります。
  39. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 私はまだ多少お尋ねすることもありますが、これは主として所管大臣に聞きたい点だけでありますから、一応会計に関する章は私としての質問を一応打切つておきます。
  40. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) それでは実は、今日は会計から先のほうにも入りたいのですけれども……。
  41. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それでは、この監督とか罰則についてちよつとよろしうございますか、この監督の関係ですが、非常に簡単明瞭な規定を置いておられると思うのですが、七十六条、原案では七十七条になつておりますが、非常に復古調の規定が出ております。これは折角趣旨から言えば公社が自由潤達な活動をさせるようにしたい。郵政大臣の説明によれば何もかも総裁がきまつてからでないと本当の組織とか制度とかきまらないのだということも言つておられますし、又大蔵大臣権限なんかも余りに干渉して来ると非常に公社がやりにくくなるので困るのだという意味政府委員からの答弁がありましたが、七十六条のように、非常に昔あつたような何でも監督上必要な命令で以て出せるようなことにしておくと、これは時と場合によつて或いは人によつて非常にこれは悪用される虞れがある、それがためにあなたがたが今説朗されておるように公社の活溌な活動というものを阻害される虞れがあるのじやないか、こういうふうに監督上必要な命令をすることができるとやつておくと、私が公社側なら大事な問題は一応とにかくどんな命令が来るかも知らんというので、所管大臣に伺いを立てて後にでないと何事も処分ができない、何事も決定ができないというようになり勝ちだと私は考えるのです。これに対しましてもつと制限規定を置いて本当に公共の利益を阻害するような虞れがあつた場合に、監督命令を出して方向を変えて行くことができるという工合にでもして置くならまだしも、積極的に監督上必要だ、これが少しAよりBの方法のほうがいいだろうというのでどんどんこれで命令されると、これは公社設立の趣旨から言うと非常に妙な結果になると私は思います。この点はどういうふうにお考えですか。
  42. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) この七十七条の「監督上必要な命令」につきましては、この第一条に規定する目的を達成するため特に必要があると認めるときはという点におきまして、これが濫発されるということは実はないという解釈の下にこの法文を実は我々としては御提出いたしたわけでありますが、従いまして勿論これで建設上の命令はできない、又こういう書き方の場合は大体法務府あたりの解釈もそういう程度の狭い意味に解すべきだというように解しておるようでありまして、むやみに広くならないものと私たちは了解いたしております。
  43. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 その点はこれは裁判所の判決を見ないとわからないけれども、ここに第一条には非常に卒直的に書いてあるのです。合理的、能率的な経営の体制を確立するとか、設備の拡充を促進するとか、国民の利便を確保するとか、公共の福祉を増進するというような目的を掲げてあるのです。これ自体はもうその通りで何ら喙を入れる必要はないと思います。こういうことの目的であればどんな命令でも出せるのだ、こういうことになつて参りますと、仮に公社の総裁はAという方法をとるのが第一条の目的を達成するのに一番いい方法だと思つてその方法をとろうとする、その監督官庁である所管大臣は、そうではなくてBという方法が一番その目的を達成するのに必要な適切な方法であると考えたならば、そのBという方法を監督上必要な命令として発することができるわけでしよう、そういう場合を私は心配するのです。これが官庁がこういつた被監督者に対して監督権を振いがちであつた過去の悪い経験に徴しまして一般に非常に恐れられておる、逆に能率的及び合理的能率的な経営の体制を確立するということを阻害するとか或いは拡充の促進を阻害するとか、公共の福祉に反するような方向に持つて行こうとした場合には、勿論それは電信電話事業のために、国民のために大臣は責任上命令を出しても監督して行かなければならんと思いますけれども、併しそういつた、前に申上げたようなことはこれは総裁に任かされるでしよう、任かされるならば一応は任かしておいて、そうしてそういう、それに反するような方向に向つたとき監督命令で取締つて行く、監督して行くということが望ましいのじやないか、この第一条の目的だけを掲げてこれで安心だということは、これは監督官庁のかたが今おられるからいいけれども、あなたがた公社に入られて、二、三の管理官から七十六条一項を非常に自由に解釈されて、今あなたが答弁されたように解釈されて監督命令をどんどん出されたらあなたがたは非常にお困りになるだろうと思います。ということは七十六条一項が非常に制限なしにやつてひど過ぎる、もつとこれに制限を加える必要があるということを私は申上げておるのです。
  44. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 非常に有難い御注意を頂いたわけでありますが、我々政府提出者といたしましてはこれを達成するため特に必要があるという意味で、その意味が出ているのじやないかと実は了解いたしておるわけでありますが、それ以上になりますと今のような御心配を、そうあつてもなお且つ非常に心配だと、我々は余り心配ないと考えておりますが、これは法律というものは運用の如何によつて、相当運用者の如何によつては相当濫用されることもあり得るということはあると思いますが、先ずこの程度で行けるのじやないかとこう思つております。
  45. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 これ以上言いませんが、あなたがたの趣旨を私は曲解しておるとは思わないのです。誤解しておるとは思わないのです。今の御説明のように濫用しちやいけないのだという趣旨はあなたがたと同感だと思いますが、併し立法技術としては非常に配慮が足らなかつたのじやないか、今申上げたように法律趣旨から言つてもつと公社が潤達にやらなければならんということを強調しておいて、而も戦争前にあつたような非常に広汎な殆んど柵のない監督権限を主管大臣に与えて行くというような立法技術をおとりになつたことを、非常に配慮が足りなかつたのじやないかという結論になるというのですが、これ以上は意見になりますから私はこの程度にしておきますが、これはのちほどお伺いしたいと思います。
  46. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いろいろ同僚委員質問に対する説明を承わつてわかつたのでございますが、第四章の財務及び会計については私総括的に質問しておらなかつたので、ありきたりのことからお尋ねしたいと思いますが、今だんだんの御説明のあることのような財務会計制度公社たるにふさわしく、その公共性に鑑みて第一条の目的を達成するのに十分であるというふうには思われない部分が、今の監督の場合のこともそうでございますが、一般的に郵政大臣に拘束を受ける、或いは政府に拘束を受けるというような部分考えられるんですが、どういうところが一つ特徴であるというようなことを先ず先に拡げておいてお示し願つておきたい。
  47. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) この財務会計に関して公共企業体らしいところはどこかと、こういうお尋ねであります。これは要するに比較の問題だと思いますので、現在の国営会計におけるところのものとの違いの点の主たるものを申上げたいと思います。  第一は、経理原則にあります財産の増減及び移動をその発生の事実に基いて経理する、これはいわゆる発生主義会計と申しておるものでありまして事業会計としてはこれが会社あたりも当然であります、で、勿論日本の会社事業におきましては大体決算中心で行つておりましたために、日本の会社においてはいわゆる予算統制というものの発達しておる会社は余りないわけでありますが、併し大きな企業になつて参りますと、会社の場合も予算統制ということがだんだん必要となつて来る、その予算統制という予算というものもやはり企業会計においては発生主義会計的な予算をとつて行くということが当然でありまして、予算的にも決算的にも発生主義会計をとつて行く、で、そういう意味事業でありますので、やはり経理原則として発生主義会計原則をとつて行く、いわゆる現金主義会計ではない、今の国の予算というものは大体現金主義会計であります。  次に予算弾力性、これもやはりこの事業予算というものはいわゆる基準的な予算であつて事業予算というものはそれによつて企業経営管理を能率的にして行くという基準予算的な観念で進んで行くべきだと、そういう意味弾力性予算というものが企業予算の本質であるというその本質を第四十条に掲げたわけです。その四十条に掲げたものが、この原則が具体的にどう現われるかという問題が相当ここに問題でありますが、その問題の現われ方がこれで十分かどうかという点には幾分問題がありますが、先ずこの程度で行けば現在より相当進歩しておる、こう申してよかろうと思います。で、この弾力性の現実の現われ方をこの予算総則で表わして行くというような考え方をいたしておるわけであります。で、なおその特に縛る事項弾力性の限度というものも表わし、同時に特に縛る必要がある場合はその予算総則で縛る問題を明記する、その縛る問題が一から七までに具体的に掲げてある事項については縛つて行こうということが明記されておるわけであります。  そのほか予備費の点は先ほどちよつと新谷委員からの御質問のときにお答えいたしましたが、この事業予算弾力性からしていわゆる市場即ちマーケット、お客さんの要望によつて業務量違つて来る、それによつて収入が違い、支出が違つて来る、これは当然弾力性内容として出て来るものと考え予算費として従来その中に入つたものを除いて予備費災害復旧その他欠くことのできない需要に基くものに限つて来たわけであります。  それから継続費、これは事業として当然でありますが、これは今度の一般国家会計においても一応成立いたすことになつておりますが、これは年度の制限があります。こちらのほうでは必要な年度の制限を別に設けずに必要な年度までに亘り得る継続費というものを事業費として考えて行きたい、こういうようになつております。それから小さい点は随分ありますが……。
  48. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もうそれで……、今お話なつたような点が国鉄公社等から比較されてこれのほうが公社経営上いいという点でやはり考えられた点なのですが、具体的には国鉄公社財務会計制度違つておる点を指摘しておいて頂きたい。
  49. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 経理原則についてはむしろ国鉄のほうの実際もこちらのほうに移行いたそうと努力されております。併しなおこれが徹底していないためにこの発生主義会計原則というものを事業予算においても明確にするということをはつきりいたしてないために、国鉄におかれましても実は今決算において二重決算をされております、これは非常に無駄な努力だろうと思います。これを発生主義会計を徹底するということによつて今の二重決算というものがなくなる、これは実は非常に簡単な言葉でありますが、実は執務上非常に大きな面倒が違つて来るわけで、而も又これは余り二重決算をやることによつて事業を益することがむしろ非常に少い、むしろ形式主義によつて或る意味において会計報告の真実性を場合によつてはごまかさなければいかんというようなことさえ起きるというような場合もあるわけでありまして、これは実質的には非常に大きな問題だろうと思つております。決算の二重性がこれによつてなくなつて来る。それから予算弾力性の点につきましても本質を明らかにしたいと、その具体的な現われにおきましてはこの予算総則を今後どうきめて行くかによつて実質的に相違が出て来ると思うのであります。で、この予算総則のきめ方が今後進んで行けば実質的にも相当違つて来るだろう、こう思つております。それからお話のような点での大きな問題の違いだけを拾つて行きますと、流用、繰越の点についてはこれは法律で明らかにいたしておりますが、国鉄のほうでは法律よりはむしろ実行上こういう方向へ持つて行くよう、予算総則で持つて行くようにいたしております。それは法律でむしろそれをはつきりして行きたい、こう思つております。  それから資金計画につきましては今の発生主義会計をとつたために、事業予算としては発生主義会計をとる、で、現金主義会計でないので、現金自身の動きをどうするか、現金自身の動きは別に資金計画で見てほしいということを非常にはつきりいたしまして、この点は大体国鉄と似ておりますが、小さな点で少し改良を加えたわけであります。  それからその資金の問題に関連しましてその資金の利用範囲が六十七条に現金の取扱いと出ておりますが、国庫の預託の原則国鉄と同じように採用いたしておりますが、但書業務上必要あるときはと、で、これは業務上必要あるときはほかの銀行、郵便局等を利用できる、これはやはり実質上相当大きな利益があるわけであります。業務上、運営上能率を上げ得る場合があるわけでありまして、これは国鉄の場合にはただ資金の保管の安全上必要があるだけとなつております。それからなお予算の構成の問題につきまして、ちよつと前後いたしますが、四十四条のこれが相当大きな違いになりはしないかと思いますが、収入支出予算を勘定の別にする、これは御承知のように国家予算は款項乃至部局別ということになつております、これは事業会計については勘定別というのが本当であろうと、勘定別にいたしまして、而もその勘定剛の流用ということも先ほど御質問が出たように、場合によつて基準を定めてこれをやつて行くという場合に、決算的にこれが両方の勘定間の流用というものが或る事項決算的にやつた場合に入組んで来るということも当然であります。それでむしろ会計の重点は真実の法則のほうに重点を置いて、その原因を探究して行くという方法がむしろ企業会計方法としては望ましい方法であります。それを或る程度徹底できるようにしたい。それから決算のことは先ほどの原則からして二重決算のないようにいたして行つたわけであります。それから今の企業としましての利益及び損失の処理については先ほど話がありましたようにこれがいわゆる企業体としての考え方の一番大きな違いの問題だろうと思いますが、今の国鉄公社或いは専売公社政府まるがかりになつておる、損があれば交付金をやる、利益があると納付金を納める、こういう形のまるがかりなつておるものを、これを折角公共企業体といたしますならば公共企業体経営努力を、成果を挙げて行つて、その成果が公共企業体事業、結局お客さんに最も大きく影響するわけですが、公共企業体の本質としておる、こういうような態勢をとつた点、それから借入金は、国鉄公社の場合は借入金は民間からできないようになつておりますが、これはできるようになります。まあ大体大きな点は以上申上げましたようなことでありまして、先輩といたしましての国鉄公社も、あれは成立いたしましてからたしか二度ばかり会計経理のほうは改正になつたわけです。最初の国鉄公社成立のときと比べますと、国鉄公社もたしか二回の改正によつて会計経理の原則は大分進んで参つた、その進んで参つたものに対して今比較申上げたような幾分の進歩を示しておる、或る事項につきましては私たちは実行上には相当の進歩にもなると、こう実は考えておるわけであります。
  50. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 念のために伺つておきますが、国鉄公社なり、専売公社なり、電信電話公社なりの将来の財務及び会計制度は一般的には共通な面が多いと思いまするし、総合的には政府としても考えられると思いますが、特殊な業態から、特殊な財務会計制度について殆んどこの公社だけで立法措置なりその他を行なつて行けるということが大幅に考えられるものですか、どうですか。
  51. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) お話の点につきましてはこういうことじやないかと思いますが、公共企業体というものについて共通する原則があるとすればむしろ公共企業体財務会計法というか、そういうものに統一して行くのが本当の方向じやなかろうかという御質問のように一応拝承いたしました。この点は、お話の点は誠に御尤もでありまして、我が国における公共企業体というものは今発展過程にあると思うのです。これは非常に進んで参りましたならば、そういう公共企業体についての共通法という方向が或いは本当かと私も考えております。ただこの発展過程にありますために、この公共企業体についての非常に進んだ形の共通的な法規というものが今すぐできるかということになると相当問題がある。で、御承知のように今の専売公社のような事業と煙草の価格等は、これはいわゆる広い意味においても実費主義ではありません。そういう意味のあの煙草専売公共企業体というものと国鉄或いは我々のような電信電話公共企業体というようなものと全然一緒の原則にしていいかというとそこに相当問題がある。それを抽象的に今すぐ共通化するとすればよほどこの問題について検討して行くべき問題だ、お互いその意味で現在は各公共企業体特殊性を見ながら進めて行つて、将来或る時期になれば共通法を作つて行くというほうがむしろ事態に適するのじやないかと、こういうふうに考えております。
  52. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 話は違いますが、先ほどの御答弁の中に基準予算という言葉を伺つたのですが、基準予算の先ほどの御説明なら初めからわかりきつたことなので、予算の流用などということを大臣の認可を必要としないのじやないかと思うのですが、こういう点は公社として不都合はないわけですか。
  53. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 先ほど四十条の予算弾力性、いわゆる弾力性予算の御説明をいたしますときに基準予算という言葉を使いましたが、この基準予算考えも非常に広い範囲があると思います。基準予算の作り方、この弾力性予算内容のきめ方というものが将来の進歩、どの程度まで進歩するかという問題にやはり問題が残つていると思いますが、本法においては弾力性予算範囲は本法できめる限度においてこの弾力性予算が出て来る、この四十条は原則である、こういうように解釈をしておるわけであります。
  54. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私はそういうことなら逆に縛られるほうの予算じやないかと思います。これはどういうことなのかわからんですが、基準を定めるに止まつてあとは実行上流用その他が許容せられて、決算ではつきりしたものが出て来るという建前であれば、その執行過程における事態について公社の責任だけにしないで大臣がいろいろそれについて管理されるということでは自由な企業経営ができないのじやないかという疑問を持つので伺つたわけなんで、法律に定める範囲での弾力性ということであれば、やつぱり公社経営としての理想であるか、理想に行く途中の段階であるものか、その点ははつきり結論付けられないわけですね。
  55. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) お話の点につきましては現在の事態を前提いたしますと、この程度弾力性を与えることが妥当であろうという意味であります。お話のごとく将来永久にこれでいいかという問題についてはなお問題があると思いますが、併しこの国営事業の長い歴史を経て参りはしたこの事業には一つの伝統もありまして、これが一挙に而も本当に能率を上げて行くということについて国民、国会政府すべての方面が完全にこういう制約も全部取つてしまつて安心だという段階に行つた場合に、なおそれをとつて行くかどうか、これはこれからの公社経営管理者並びに公社従業員努力と共に国民の認識の下に発展するのが妥当じやないだろうか。現在の事態においてはこの程度の拘束があることも現在の事態にむしろ適当するのじやなかろうかというふうに考えております。
  56. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは前に大臣にお伺いしてあつたかどうかわからんので、尤もではないかと思つて聞いた公聴会における意見でしたから、一応取ついでお伺いしておきますが、政府の資金その他に直接関係のあるものだけに、政府と申しましても財政当局を関与せしめ、その他の予算等は郵政大臣の所管だけにとどめて、従つて国会における予算の承認なんということも資金その他のことに関してだけにして、あとは参考としたほうがいいのではないかというような意見がどなたかからあつたようですが、そういう公社経営というものも理論的にはあり得るのですか。
  57. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 理論的にはこの公社形態、公共企業体の発展過程ということにあると思いますので、理論的にはいろいろ考えられると思います。で先ほどお話いたしましたように結論としてこの程度が妥当であろうという結論に達したわけでありますが、理論的にはお話のようなことも考えられないことはありません。
  58. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では四十一条に入りまして馬鹿らしいことをお尋ねいたしますが、「郵政大臣は、前項の規定により予算提出を受けたときは、これを検討して適当であると認めたときは、」とありますので、これを検討して適当であるなしを、実際的に作業を進めるかたは私は郵政大臣ではないと思うのです。管理官のお二人が実際これを処理せられて、大臣とだけの関係において決定になつて大蔵大臣と協議されるものか、或いは郵政省という一つの機関において何らかの形式の会議等による決議でその答申が決定せられるのか、手持を伺つておきたいと思います。
  59. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 郵政大臣は、前項の規定により、予算提出を受けたときは、これを検討して適当であると認めるという場合にこの郵政大臣の部下たる管理官が郵政大臣の職務を分担いたすということはこれは当然のことだろうと思います。で、この場合の郵政大臣の見方というものはやはりこの主務官庁といたしましてのこの公社事業か適当であるかどうか、この事業計画が適当であるかどうかということが中心になつてこの予算が検討される、こういうふうに考えるわけであります。これが大蔵大臣に送付されまして、大蔵大臣のほうがこれを主として資金関係を前提にいたしまして、国家資金全体との関係、或いは政府資金全体との関係を睨み合せながら大蔵大臣は又これを見て行くと、こういう関係になると了解いたします。
  60. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大蔵大臣は主として資金関係の面から見るということは大蔵大臣としてそれは明らかなんですか。その程度に止め得られることはあなたのおつしやる通りなんですか。
  61. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) これは政府内部の機構の問題でありますが、勿論大蔵大臣も国務大臣でありますので、全体的な意味からの検討もやられることとは思いますが、今申上げましたのは大蔵省所管事項としては主として資金関係を見て行くということが中心になるだろうと思いますということを申上げたわけであります。
  62. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 なるだろうと思うのではなくして、関係になるものとしてそういうことを希望する、期待するということだけのことではないですか。  皆さんお尋ねになつておりますからずつと次に飛んで参りまして五十二条のほうに進みますが、暫定予算というものは具体的にどういう場合に作られるのですか。
  63. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) これは年度全体の予算について審議がなかなかむずかしいという場合に一カ月或いは二カ月、この活動というものは停止できないのでありますので、こういう一カ月二カ月の暫定的なものを一応国会議決を経て、その後本物の予算議決が出ましたらその中に溶け込んで行くと、こういう種類のものであります。
  64. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ちよつとわからないのですが、こういうことは毎年あるのですか。
  65. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 我が国の現状におきましてはこれはよほど例外かと存じております。ただ国家予算の実例といたしまして、イギリスあたりはこれは殆んど毎年暫定予算をやつて後本予算をやる、こういう方法をとつております。現在の日本においては現在の状況が続く限りにおきましては例外的な問題であろうと、こう考えております。
  66. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関係して、五十条のほうに戻りますが、「予算作成後に生じた避けることができない事由」ということは業務量が殖えたとか、或いは災害が起つた等々のことがあるのですが、無論従業員等のベース・アツプその他もあるでしようが、予想されるものはまあそれら以外に毎年どういうことがあるのですか。
  67. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 今お話業務量の増加というような問題につきましてはこれは事業でありますので、マーケツトの変動というものは始終あるわけであります。これは必ずしも追加予算提出の事由になるべきものじやないのじやないかと思いますが、例えば今の物価の大きな変動というようなことで予算を変えなければならない。或いは人件費の大きなべース・アツプというようなことで場合によつて料金も変更しなければならない、こういうような場合があるわけであります。そういう場合には主としてこの場合の追加予算の問題になろうかと存じます。
  68. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これはうちの党で話合つたことで変なことですが、ここで聞くことかどうかわかりませんが、占領下の進駐軍関係、現在で言えば駐留軍関係の電話設備等、これらのことについては従来まで十分な、何と申しまするか費用が支払われて、損だとか何だとかということはなかつたのですか。
  69. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) お話の従来の進駐軍、いわば終戦処理費で処理いたしておりました時代の問題でありますが、この場合に頂く金としましては、料金として頂く。これほお客さんから頂くと同じことであります。或る意味お客さんであります。その料金として頂く場合と、それから進駐軍専用の設備を作る、その設備資金は、今お話しのごとくそういう設備を作るときではコミュニケーシヨン・オーダー、いわゆるCOが出て来る。そのCOに対しての必要な設備資金は終戦処理費から買う。その料金にしろ今の設備資金にしろ、貰う前に進駐軍の中におけるコントローラー、担当者の認承というものが必要になつて来るわけであります。それがあつてからあと貰うという手続を経ておるわけであります。で、料金にしろ、そういう手続でありましたために、幾分頂く時期が遅くなつているというような場合もありましたが、これもだんだん事務処理が早くなつて、漸次早く頂くようになつてつて来ておりました。それから設備資金のほうも大体順調に入つて来ておりまして、ただたまたま向う全体の資金の枠とこちらの枠と両方の問題があるわけでありますが、食違いがある場合は幾分その論議で遅れるというようなことがありますが、大体順調に入つて来ておるわけであります。
  70. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 将来そうすると駐留軍関係の通信施設その他によつて追加予算が組まれるというようなことはございませんか。
  71. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 現在までの見通しによりますと、新らしく予想外に通信設備が殖えるという見込は我々としては余り持つておりません。お話のものは恐らく平常の通信、現在ある通信の利用でなしに設備の問題だと思いますが、今のところそういう予想は持つておりません。
  72. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 非常に遠い将来のことをお尋ねするので変ですが、駐留軍が撤退するというようなとき、その通信施設の撤去その他、或いは移転等でもいいですが、それらの諸費用は公社の赤字にならんように全部貰えるというふうに考えておられますか。
  73. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 使用で出て参ります設備、使用で建設された設備の所有権は勿論日本のものでありますが、それの所属がどちらになるかという問題は実はまだ未解決な点が残つております。ただそれをいずれにしましても駐留軍の施設には一般の公衆通信として利用できるようなものもありますし、それから非常に僻遠の地の飛行場あたりで公衆通信と余り関係のないものと両方あるわけでありますが、これは今行政協定細目においてその措置を駐留軍のほうといろいろ相談いたしておる途中でありまして、いずれにしろ余り損にならないようにできると考えております。
  74. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それから念のために法律用語の解釈を承わつておきまするが、よくこれから出て来る準用するということは、そのまんま用いるということですか、それとも或る程度のことを言つているのですか。この五十条、五十一条、五十二条……。
  75. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 私も余り法律の専門家、権威者ではありませんので、非常に通俗的でありますが、この四十一条の二項から六項までの規定と申しますのは手続の問題であります。そういう同じような手続について、この手続は追加予算の場合にも同じようにこれを考える。で、適用するといたさない意味は、この二項から六項までの文字を正確に判断いたしますと、四十一条の二項というものも、「前項の規定」と前項を言う場合には、最初の予算も全部含めた意味予算であります。だから文字通り同じ適用じやない、準用だと、内容的には同じようなことを手続でやるんだと、こういう意味のときにこれを使うんだと了解いたしております。
  76. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 さつきもお伺いしたのですが、予算の流用のところで大臣の認可を受けるということは、実際上は実質的なものですか、形式的なものが多いと考えられますか。
  77. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) これも将来の問題でありまするので、政府機関が特にどういうように考えるかということは残された問題でありますが、まあこれを現状から常識的に考えてみますと、流用の場合に問題になるのは、例えば交際費をどうするか、恐らく交際費あたりは現在のような一般のやり方から見ると、政府自身は流用制限の項目に目をつけるのじやないかと一応考えられるわけであります。こうなればそれは或る程度実質的になります。それからここに法文が出ておりますが、給与総額というものは、ここに出す以上は恐らくこの給与総額とほかのものとの流用についての制限はつくだろうと……、これもそういう意味では或る程度実質的であろうと思います。大体現在想定されるものはそんなところじやなかろうかと一応考えます。これは併し私の申上げますのは、国鉄あたりの実例から見まして実情がそう想定されるだろうということであります。
  78. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今の御答弁では、大臣が監督的な立場で実質的にやるんだろうという一例に交際費への流用だろうということは、これはまああなたは役人でおつて交際費の流用だろうというふうに御判断なさるには特にそういうやつぱりやられなくちやならんような根拠があるわけですか。
  79. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 先ほども申上げましたが、これは私の言葉が不十分でありましたが、今の国鉄専売公社の実例を見てみるとそういうことになるかもわからない。いずれにしろそれをおきめになるのは、四十三条にありますようにこの五十三条の第二項の規定による経費の指定、これは国会でおきめになるのでありますので、十分その辺は国会の皆様がたにおいてこれを必要であるかどうか御認定願いたいとこう思います。
  80. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ちよつと飛びますが、五十五条へ行つて会計検査院にも四半期ごとの資金計画を出さなくちやならんということは、やつぱり一般的なこれは会計法上の根拠等から軌を一にするために出ている条文でございますか。
  81. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) まあ前例もそうなつておりますが、なおこの公社というものが政府の全額出資の公共企業体でありますし、会計検査院は大体株式会社につきましても、政府が二分の一以上持つている場合は会計検査院が検査し得ることになつております。そういう意味でこの公社会計については必要に応じて勿論実地検査もできると、こういう機関でありますので、公社の大きな資金の動きについてやはり検査院は状況を知つておくということは必要であろうと思います。そういう意味において、前例もそうであるし、実質的にもこういう規定は必要であろうと思います。
  82. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 次に五十四条に戻りまして、但書を削除せよという公述があつたようでございますが、但書があるものとしまして、あらかじめ郵政大臣の承認を受けるという時期はいつまででなければならないことになりますか。
  83. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) これも先ほど御答弁いたしましたように、予算総則できまりまして五十四条第一項但書経費の指定と……、これは国会で特に必要だと認められればこういう場合ができて来るわけでありますが、その場合においては、これは経費の金額については「あらかじめ」というのはこの本文のほうと合わして読んで頂きますればおわかりかと思いますが、「使用することができる。」その使用の前あらかじめとこういう意味であります。
  84. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで三月三十一日までの間にという意味のことですか。
  85. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) これは使用しようとするならば使用の前にあらかじめ郵政大臣の承認を受けなければ使用することができないぞと、こういうことであります。だから必ずしも三月三十一日までに承認を受けなくてもいいということになるわけであります。
  86. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その後でも、翌年度でもいいということですか。
  87. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) これは繰越使用でありますから、これを非常に延ばすことはこれは不当の問題だろうと思いますが、翌年度初めにこれを承認を受けて使用するということで結構であります。
  88. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 具体的にはこれは公社決算書が出てからのことになりますか。
  89. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 決算書の出ない前になります。
  90. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうしてまあこういう規定を作らなければならなかつたか、又その規定を作らなければならない理由とするところが、根拠があるとすれば、或いはこの但書は削除になつたほうがいいのではないかというふうにも想像されるのですが、どういうことで支払いが終らないというふうな場合がありますか、主として……。
  91. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) これは継続的な事業でありますので、いろいろ予定の計画というものは、三月中にこういうことをやろうというやつが三月にできなくて四月以降に跨がるということはいろいろ努力いたしておりましてもたまたまできることは止むを得ないことは相当あるかと思います。例えば三月に電話番号簿を発行しようということでかかつて行きましたが、三月にその印刷契約ができなくてその印刷契約が四月になつて来た。併し番号簿の発行ということはこれは予定通りやらなければいけない、そうするとこれは四月になつてからこの印刷契約をして金を支払つて行くということが当然必要になつて来るわけであります。そういう意味事業としては当然そういうふうに、勿論その場に会計決算自身は三月末を以て帳簿は打切つて行くわけでありますが、それに予定いたしておる経費というものはやはり笠年度になつても使つて行くということはこれは差支えないんだということにいたしたわけであります。
  92. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この五十四条の一項は郵政大臣の承認をあらかじめ必要とし、三項では爾後に郵政大臣、大蔵大臣会計検査院に通知しなければならないとあつて、大蔵大臣会計検査院には爾後の通知だけで済むようになつておりまするが、どういうわけで第一項ではあらかじめ郵政大臣の承認を受け、大蔵大臣に通知しなければならないとかいうふうな規定はないのですか。
  93. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) これは主務大臣として郵政大臣が監督上見て行くならば、これについてその主務大臣にこの事項は任して然るべきことじやなかろうか、併しその結果は大蔵大臣会計検査院にも通知しておく、その結果会計検査院は勿論妥当かどうかということについてなお場合によつては検査をしてもよろしい、大蔵大臣は今の資金関係そのほかの関係からやはり通知だけは受けておく必要がある、併しこの承認自身はやはり事業上必要かどうかという意味主務大臣が中心になつて見て行けばよろしいと、こういう法の趣旨であります。
  94. 小笠原二三男

    ○小笠原二三君 第五十五条では資金計画はあらかじめ大蔵大臣提出しなければならないというふうになつてつて、そしてそれらも含む予算の執行における繰越支払の部分については爾後でもよろしいということがどうも私わからんのですが。
  95. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 実は資金計画のほうは、この資金計画の中には勿論政府からの借入資金というものも入つております。そういう意味におきましてこの資金計画を大蔵大臣に出すことによりまして、この二項で書いてありますように、大蔵大臣がその資金計画では駄目だと思えばそれを郵政大臣を経て公社に通知する、こういう資金計画政府から借りる予定になつてつても、政府のほうと大蔵大臣のほうではちよつとその資金繰りからそれは貸せられないぞということになれば、公社が直ぐ変えて行くという意味におきまして、この資金計画はあらかじめどうしても大蔵大臣に出て行かないと公社自身も困るし、勿論これは当然実質的に大蔵大臣がこれによつて行動を起してもらわないと困るわけです。
  96. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 五十五条の二項から解釈すれば、五十五条の一項では大蔵大臣の承認を得なければならないということのほうが正しいように思いますが、如何ですか。
  97. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) この資金計画自身につきましては、この政府からの借入資金の限度額というものが予算であらかじめ政府の検討を得て、それを内閣から国会提出されるわけであります。従つて限度額自身については大蔵大臣はすでにこの限度額についての見通しをつけて、それを今度は四半期ごとという問題でありますので、その四半期ごとについては、この大蔵大臣のほうへ提出したやつについてこれはできんという場合だけ報告をもらうということで、むしろ簡易な手続で支障がないと、こう思われるわけであります。
  98. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 併し簡易であろうがなかろうが、五十五条の二項はこれは大蔵大臣権限と認められていいことじやないんですか。
  99. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) これは三項にありますように、大蔵大臣は承認というよりこの場合においてはその意味でむしろ或る程度強いのでありまして、実施することができる限度を通知すると、その通知をされたら三項で公社はその通知に基いて資金計画を変える、当然変えるべき義務まで負う、政府の金はこれは貸せられないんだ、年度全体としてはいいが、成る期は困ると言つて来たら資金計画公社のほうが変えるべき義務を負わしておるわけでありまして、このほうが事務のほうも迅速に運ぶし、大蔵大臣権限を侵すどころじやなしに、むしろ大蔵大臣の資金計画でありますから大蔵大臣の言い分に従つて行こうと、こういうことになつておるわけであります。
  100. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まあここぎりではよくわからないのですが、そうすると五十五条の一項は正しくは郵政大臣を経て大蔵大臣提出しなければならないと、こういうふうなことになるのでばございませんか。郵政大臣てはどういうことで提出するわけですか。
  101. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) この第五十五条におきましては、資金計画状況をお知らせする意味でありますので、公社としての資金計画の金の動きをお知らせする。で、事業収入につきましては、取入金については大体これも予想で、まあ全然絶対に違わんということはありませんが、大体公社事業収入の入り工合は公社が一番よくわかると思うのでありますが、この資金計画のうちにはそのほかに政府借入金或いは民間の借入金、こういうものが入るわけであります。その状況郵政大臣、大蔵大臣会計検査院と、この三者に一緒に出そう、この問題を一々経てと書かなくても、このほうは一緒に出したほうがいいんじやないか、おのおのこれについては見方が変る大臣であり、大蔵大臣は殊に自分のほうが貸すほうから見て、その資金計画から見て、自分は貸せられないということになつたら直ぐ通知してもらわなければいかんという意味で経てとせずに同時にと、こういう法の構成をとつたわけであります。
  102. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 次に移りまして、さつき六十一条についていろいろお話があつたようでありまするが、私御尤もな御意見と伺つたのですが、その前に表現上からこのまま解釈することが正しいかどうか。ちよつと伺いたいことは、予算で定めた国庫納付金、このものが損失の補填に充てたこの残余金よりも金額が多いときには、残余金全部を国に出せばいいということでございますか。
  103. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) お話のごとく、若し予算で非常に多額の納付金を書いたといたしました場合に、その場合において、利益金がそれ以下であつたという場合は、勿論利益金範囲内になる。利益金を越した額をたとえ予算に書いても、利益金から欠損額を引いたその残額だけが勿論納付の対象になる、こういうことでございます。
  104. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 国庫納付金全額でなくても、その場合は利益金だけでよろしい。又逆な場合は、公社に残分として、積立金として残る部分がある、こういうような考え方から来る国庫納付金というものは、さつきあなたがいろいろ御答弁になつ企業という立場から言えば、どういう意味合いのこれは納付金なんですか。
  105. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 先ほど少しいろいろ御説明いたしまして、必ずしも私の説明で御納得の行かなかつた点も多かつたかと思いますが、この納付金は、経営利益ができた場合に、その利益をどう処分すべきか、その処分のし方といたしまして、これはお客さんのほうと、事業体と、或いは従業員も含めた事業体、それから出資者としてのほう、この三つのほうに理論上これが、利益金が還元されて行くということが、一応理論上考えられるのじやないかということを申上げたわけであります。なお、こういう書き方にいたしました根拠はどうかということになりますと、実は国鉄公社と比較して御覧願うとよくわかると思いますが、国鉄公社の場合は、残余があるときは、その残余の額は予算で定める、予算積立金として整理すべきことを定めた場合以外は国庫に納付すると、こうなつております。即ち、その行き方は原則として国庫に納付するのだ、こういうことの書き方が国鉄公社の場合であります。で、この本法におきましては、原則としては、これは企業自身の努力によつて行くのだし、これは企業体自身の努力だから、原則としては積立金に行くべきだろう。併し出資者たる者の利益金の場合の反対処理としてこれだけとあらかじめきめた場合は、それだけは出資者のほうに持つて行こう。で、原則はやはり積立てる、その伸縮性のほうを、経営努力或いは経営能率による伸縮性のほうを積立金のほうに持たして行く。伸縮性を納付金に持たせるのでなしに、伸縮性はむしろ積立金のほうに持たせるべきだろう。これは別個の企業体として経常の管理を任して行く以上は、そちらのほうの建前が当然じやなかろうか、こういう建前であります。
  106. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 施行法で見ると、政府は無償で土地や建物さえも負してくれるようです。それほどまでにしておつて、片方では出資に対する何かに該当するものであるという意味合があろうとなかろうと、まあ何らかの形で納付金をとるという考え方は、どうも公社経営ということについて理解がないようにも思われるし、そういうふうに企業によつて利益を生んだら、国庫納付金がこの六十一条によつて期待されるというようなことであるならば、企業活動の自由というようなことはもう少し大巾に認められなければならんじやないか。例えば予算の流用もそうですし、特にこの六十二条になりますか、長期借入金或いは一時借入金は限度願が国会の承認を得ているにもかかわらず、具体的には郵政大臣のその都度都度の認可を要する。或いは四半期ごとの資金計画提出し、それについてああだ、こうだと文句が出て来る。そうして金だけは、利子を挙げて出せ、出すことが期待されるということはおかしいじやないかとまあ考えられるわけです。
  107. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) お話の点、二点あつたと思いますが、実はこの施行法の十一条に、政府は無償貸付けすることができると、これは実はこの規定を置いておかないと政府は不動産を貸付ける場合に無償で貸付けることは全然できないわけでございます。これは、それができるという権能規定を置いたわけで、実際に無償でやるかどうかというのは、これはその事態に合うようにやるということでございます。その事態に合うようにやるということはどういうことかと申しますと、実は電気通信と郵政事業と分れた時です、郵便局をどうするかという問題があつたわけでありますが、郵便局を両者に分けるというか、両特別会計に分けることは却つて面倒だろう、だからその意味で、郵便局は電信電話もやつてつても一切郵政特別会計にくつつけよう、その代りその建物についてはこれは無償で使用できる、実費はこれは別の意味において負担いたしますが、そういうことができるような体制にしよう、それから監督事務庁舎につきましても、郵政電通一緒に使つているものが過去の関係で相当多い。これはお互いに無償で使わそうということになつて来たわけです。これが実質上の処理としては一番妥当な方法だ。それを公社になつてもやはり続けて行こうじやないか。従いまして地方の公社の建物で郵政方面で使つているものがあれば、公社のほうからも郵政に無償で貸すわけであります。従つて若し公社が無償で貸さぬということになれば、これはできると書いて置いても賃さぬということになるわけであります。そういう問題でおりまして、ただ公社のほうが無償で貸すということは、国でありませんので別に法律規定を設けて置きませんでも公社が国へ無償で貸すことができるわけです。だから別に規定はないとこういうことであります。その問題と従いまして納付金の問題とは直接関係はないと一応考えております。   それからまあ納付金制度を作るのならもつと経営に自主性を認めたらどうかとこういうお話で、その具体的な例として六十二条に、長期借入金又は一時借入金及び電信電話債券の限度額が予算できまつているのであるから、具体的な一々の場合にこの認可を受けるということの必要はないんじやないか、郵政大臣が認可をする前に大蔵大臣に協議する、こういうことはいらんじやないかとこういうお話であります。一応御尤もでありますが、実はこれを郵政大臣が認可する前に大蔵大臣に協議すると、こうなつております趣旨は、現在の状況としましてはこの金融担当、財務担当大臣と申しますか、財務担当省のほうにおきましては、こういう窮屈な金融情勢でありますので、現実において今までの実情を見ると、電信電話債券の引受けをした後に、最後に廻り廻つて大蔵省財務当局のほうに尻を持つて来る、いつも尻拭いをしてやらなけりやいかんというような場合が相当ある。で、そうなると、先にやられておつて尻拭いだけ持つて来られたんでは、これは財務当局としても困る。従つてこれは限度だけでなしに一々の場合にやはり認可にかけて大蔵財務当局に協議してほしいのだとこういうことであります。これもそういう意味で現在の情勢では財務当局の言うことは一応理窟が合うんじやなかろうかとこう思つております。
  108. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もう一点伺いますが、この国庫納付金を納めて、利益金積立金となつてその積立金が誠に少い。その後において経営上掲失が出て来る。それで利益金である積立金でそれを補填する。そして不足がなお出ると、それは繰越欠損金となる。これの補填は公社自体の経営の合理化ですか等々を以てだけやればいいと、そういうふうに制約されて来る場合があると考えますが……。
  109. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) お話通りでありまして、これは要するにこの事業といたしましては独立採算を前提にいたして行こう、従つてこの原則建前は、お客さんヘサービスを提供してお客さんから頂く料金、これは全体的に言いますといわゆる実費収入で、その料金でこの事業をやつて行こう、政府の補填金を前提にして事業をやるんでなしに、お客さんから頂いた料金事業をやつて行こう、独立採算でやつて行こうとこういうことであります。従いまして物価騰貴そのほかの異常なことがありました場合にも、やはりこれは料金考える。従つて必要な場合には料金値上げということも或る程度は必要なこともある。先ほどもお話が出ましたように、料金の値下げということが経営上できるようになれば誠に幸いなことではないかと思つておりますが、要するに料金収入源として事業を営んで行こう、こういうことであります。そういう意味で欠損金について政府の交付金でやつて行こうというつもりはこの法案としてはないわけであります。併しこれは、そういう本法の原則はこれで通しているわけですが、勿論いろんな、よほど予想できざるような問題が起きた場合にどうするかという問題は、これは例えば民間の事業においても、場合によつてはこれは政府が尻拭いをするという場合の必要な場合も起きるというようなことも考えられますし、そういう異常な場合には、むしろ必要があれば単独法で行くべきだ、この事業自体の建前から行けばやはり料金でこの事業をやつて行くという、独立採算の事業を貫徹して行きたいとこういう趣旨であります。
  110. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 経営上損失を生じるような可能性のある予算提出した政府並びにこれを承認した国会、それから経営自体として損失を起した公社、これらはその責任はどういう関係になるのですか。
  111. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) この問題は先ほどちよつとお話いたしましたが、公社会計につきましては会計検査院が検査をする。この検査いたしましたものが国会提出されて来るわけでありまして、この会計検査の結果によりまして若しその経営のやり方において非常にまずい点がある。これは結果的にこれを考えて行つて、十分この経営のやり方を、検査院の決算を通じてこれを十分国会のほう、或いは政府のほうでも、政府はまあ政府機関として検査院でありますが、十分これを御検討願う。経営上土非常に4当だ、或いは非常にまずいということであれば、これは政府自身がこの役人の責任を問うて行く、或いに若し政府の監督法が悪ければ、国会政府自身の責任をおとりになる、こういう責任の筋道かと存じます。
  112. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは変な話ですが、私たち国会議員としては非常に困る場合があると思うのですね。公社はこれならば経営上損失を生じないと考えられる、妥当だとする予算案の案を出す。政府はそれを適当に切る、そうして国会に出して来る、国会政府与党が大数を占めておつて、これは一切の議員の責任で国会予算一が通る。そうして出た損失は丁度政府の吹き飛ばした限度内のものだつたようなことが出て来るというと、どうも我々としては困る、その予算を審査した建前から非常に困る問題が起るようにもまあ考えられるわけですが、これは私きりの考えですが、郵政大臣にお伺いしますが、国庫納付金予算上出して来る場合に、政府はそれの理由或いはその金額を算定する基礎というものはどういうところに置かれるのでございますか。
  113. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 今の納付金を知ることができると申しますか、そういうことになつておりますが、まあ先ほど来納付金制度についての作りました理由はしばしば横田政府委員からお話申上げておりますので、重ねて申上げませんが、その趣旨に副つて納付金が具体的に考えられる。問題は具体的な場合に理由その他を十分に勘案して見なければならないことで、今抽象的にお答えするのは時期ではないような気がいたす次第であります。
  114. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 横田委員はその理由等においてお答えになつたと言つておりますが、私は各方面からこういう考え方もあろうというようなお答えは聞きましたけれども、政府の一貫した国庫納付金なるものの根拠付けということは明らかに聞いておらんように思うのですね。横田政府委員どうですか。
  115. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) この納付金を設ける理論的根拠として申上げましたのは、利益金があつた場合に、この利益金の処分としてどう考えるべきか、この利益金の処分としては、理論的に考えられることは先ずお客さんの利益になるようにこの利益金が使われる、これは公共企業体として当然ではないか。
  116. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは聞きました。
  117. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) これは料金の値下という問題もあればサービスの向上のための設備を作つて行くというような問題もある、サービスの向上のための経費に使われる、それから事業体従業員も含めての事業体のほうに使われて行くということも一つの要素である。それから出資者たる政府のほうに行くのも一つの要素である、そういう意味で理論的根拠としては納付金の根拠はあるのだ、恐らく今大臣のおつしやつたことは、そういう意味の理論付けとしては私が申上げたということをおつしやつたのではないかと一応私考えます。
  118. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 横田委員の御答弁のうちの後段のところだけが政府側としての理由になるところかと思うのですが、公社自体が、利益金サービスのために、或いは設備拡張のために使う。これは当然のことだと思う。政府がそれを取上げて又公社にやつて、そのほうに使わせるというようなことがないのですから、だからそういうことは政府側も国庫納付金公社からとることができる理由にはならない、そうではなくて、私は政府側が国庫納付金を得る理由というのは何かというのでその後段になつている理由をもう一度伺つておきたい。
  119. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) お客さんと事業体と、それから出資者と申上げたのですが、政府は全額出資いたしております。その意味におきまして、この利益金の処分といたしまして、この三者にこの利益金が還元されるということは理論的な根拠があるのじやないか、その意味で出資者の問題も含めて申したわけであります。
  120. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 政府を出資者とする公共企業経営というものはあるのですか。それに利益金をやるのだ、出資に対応する所得があるのだ、そういう公社経営というものはあるのですか理論的に……。
  121. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 理論的に私はあると考えます。で、御提出いたしておる法案がそういうことを鮮明にいたしたわけであります。
  122. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 公社経営経営の合理化なり或いは国民へのサービスなり、そういう事業運営上の必要をもつて出て来ておることであつて利益金の分配を目的として出て来ている企業体だとは私は考えられない。そうしてこれは政府出資ということで、確かに公社としては資本金と言われるものではございましようけれども、これはやはり大きく言うならば国自体のものだと思うのですね。それらの関係がどうも私素人なもんですからわからんのですが、利益金の分配が出資者或いは受益者等々においてなされるという建前でこの国庫納付金制度があるということはどうも私納得できないわけです。そういう意味の理由であるというならば、そういう意味の理由であるならばこれは明らかに損をしたときは、公社が損をしたときは出資者がその損を補填し、或いは国民が、受益者がその損を補填するような方法、まあ料金の引上げとか何とか考えられべきじやないか、ところがそれは政府はしないのです。そうして利益金の分配だけは得られるというのですね。私そういうところから素人の考えとしておかしいのじやないか、こう思うわけなんです。而も若しもその出資者の利益金の分配だというならば、それは客観的なやつぱり算定の基礎標準があつて然るべきじやないかとも思われるのです。それは抽象的なことで、このときにならなければ具体化されないということではないと思うのです。そういう意味合いであれば大臣の御答弁は少しおかしいと思う。それから又もつと考えて見たい七とは納付金が、利益金があつたとき、ということを横田さんはおつしやつたが、この法律はそうでないので、利益金があつたときではないのです、予算できめられるわけです。それが現実にとれるかとれないかは、全額とれるか一部とれるか、全然とれないかはわからないが、予算できめられるものなんです。利益金があるかないかはわからない、にもかかわらず利益金というものを算定して出して、それのうらのこれだけは国庫に納める予算というのはどういうことなんです。
  123. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) ここに書いてありますように、経常利益を生じた場合だけでありまして、たとえ予算で参りましても、利益金がゼロの場合は納付金はゼロ、一つもないのでありまして、その意味におきまして、私は利益金を生じた場合に、その利益金の処分だと申上げたのでありまして、予算であらかじめきめた場合においても、利益金がなければ、ゼロであれば、納付金もゼロだ、こういうことになるわけであります。で、なおそのきめ方の問題についてはいろいろな方法考えられる、この考え方については、今大臣がおつしやつたように、今からこれを論ずるのは一応早計だということになると思いますが、非常に例外的な場合にこれを考えるという方法もあれば、或いは利益金に対する比率で考えるという方法もあるし、或いは金額で考るという方法もあるし、いろいろな方法があるだろう、これはその具体的な場合について、国会で十分御審議を願いたい、こういうことであります。
  124. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 国会で御審議願いたいと言われても、この予算書によつて利益金が生れるものか、生れないものかということの御審議はこれはなかなか容易でないことだろうと思うので、政府利益金と認めるものが幾許かあつて、それのうちのこれは一部を国庫納付金として考えられるのが正当だと思うので、利益金が予想されるから国庫納付金をこの程度に止めるのだと、そういうような予算吉はどういう形で客観的に作られるものが、私にはどうもわからない。民間会社等では予算書に利益金が上つているのですか。
  125. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) お話のごとく、この審議において、例えば今ちよつとお話いたしましたように、この予算の、予算自身としては、これは利益金がないようになつておるとしても、これは利益金、結果的に出て来るという場合によつて利益金が若し出たら、この今の三者というものを考えて、例えば利益金の若し出た場合は三〇%は出資者に寄越せということも、これも考え得られることであります。そういう意味でのこの納付金のきめ方です。これが妥当かどうか、この具体的な場合は、出たときに御審議を願いたいと申上げたのはそういう意味であります。お話のごとくこういうきめ方はむちやじやないかというような納付金のきめ方のものが出たら、国会のほうでこれはむちやじやないかということで御審議を願えればいい、こういうことであります。
  126. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あらかじめ予算で定めるものの中に、予算の款になるか、項になるか、目になるか知りませんが、国庫納付金が出るだろうと思います。その国庫納付金というものは金額を示さないで三〇%というような予算書が出るのですか。
  127. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) これはそういう意味におきまして、この何は収入支出予算の中に書くのでなくして、予算総則の中に書くようになつております。従いまして必ずしも金額ということはこれは定めないわけであります。
  128. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あなたはさつき私が質問した場合にこうお答えになつています。この損失補填の残余が国庫納付金額よりも少いという場合には全部貰うのだ、残余は利益金です。要するにそれを全部貰うのた、ところか今のあなたの御答弁では、予算総則等によつて利益金の何%を貰うとかいうふうに利益金の一部を貰うということについて肯定しておられる、そうしたら先ほどのお話とこれは違うのじやないのですか。
  129. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) それは今その御意見、お尋ね趣旨、私はこう了解いたしたのであります。若し納付金を金額できめて、その金額というものが大きなものであつて、今のような事態になつた場合どうなるかという御質問のように承わつたのでそう申上げました。で、その金額をそういうような方式できめた場合においては、この予算総則できめる場合の金額でそれぞれきめられんというものではありません。予算総則ではそれもきめ得られます。そういう場合において、そういうことも考えられる、こう申上げたわけであります。
  130. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうもこういうふうにだんだん私聞いて見るというと、結局利益金の全部なり、一部なり或いはまるまる取れないでもよろしという、取ると、こういうようなことで何ら客観的な基礎、基準がないように思うのです。出資者の立場で公社から取らなければならんというものがあるなら客観的に如何ような場合でもそれは資産全体に対する、対応するようなものを取るべきだと思う、そういうことは取らないでおつて利益があつたらそれを取る、それは若しも悪用されれば利益があるように予算上は組んで、いつでもその公社から金を引揚げて行くというようなことになりかねないとも限らんと思う。でこの前、昨日横田政府委員お尋ねしました場合、まあ暫定的に二十九年度までのことに関しての話ですが、資産の再評価が決定しないでおる場合の資本金というものは、もう帳簿価格による資本金額で小さいものである、当然これはそうすればその段階における利益金というものが算出されるとしましても、その利益金は将来において資産再評価がされて、それが減価償却のために、別途あなた御承知のように金があつてそして資本金なら資本金というものは帳簿価格で小さくなる、減価償却のための金はちやんと別に設けて行く、こうなればますますこの利益金というものは正当な資本金でないものの形の資本金に対応して大きく出て来るのじやないか、不当に大きく出て来るのじやないかということを考えられますが、それらと即応して見て、ここで言う若しも利益金というものがそういう形のものだつたらこれは望ましい形の公社利益な、利益金にはならんじやないかと思う、そういうような場合だつたら、これは二十九年度以降に再評価された差顧が施行令で、政令によつて云々とあるようですが、たしかこれは十五条か、十五条でない、何条かにあつたように思いますが、政令で定めるというようなことですが、資本金に繰入れたほうが、これは利益金というものは不当に出て来ない、公社事業経営上は利益じやないかというふうにも思うのですが、これらの点は如何ですか。
  131. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) お話の御質問意味がだんだん私にもはつきりして参りましたが、昨日申しましたように今の固定資産というのは帳簿価格になつております。若しこの帳簿価格そのままで減価償却をやらなければならんといたしまするならば、これは今お話のごとく設備を食い潰しながら利益金が出て来る、これはその利益金を処分して行つたらこの公社事業というものは潰れてしまうじやないか、このお話御尤もだと思います。それは昨日御説明いたしましたように現在もこれではどうにもならないので、一応固定資産は帳簿価格に載つておるけれども、減価償却というものは概算評価いたしまして二千七百億を前提にいたして今の減価償却はいたしております。目下減価償却は損費に落ちる、損費に落ちたものを除いて初めて利益金というものが計上されて来る、こういうことになるわけでございます。それから再評価した場合にこの再評価差金と、貨幣価値の変動による再評価差金というものとこの資本剰余金との関係でありますが、勿論公社の資本といたしましてこの七月一日以降に公社の資本はどうなるかという問題でありますが、貸し方における公社財務諸表といたしましては個々に負債と、この負債の中には流動負債もあれば固定負債もある、負債と資本と、それから引当金勘定と、こういうことになるわけでありますが、この資本の中には政府出資金と、それから七月一日以降に出て参ります積立金、いわゆる利益剰余金、その利益剰余金積立金、即ち昨年度までに実施というか、これは二、三年あとのことを予想しておりますが、積立金なつ利益金公社は成立後の利益金と、これになるわけであります。そのほかに資本剰余金ができる、この資本剰余金を、従つて資本剰余金も資本の一部でありますが、政府出資金との関係においてどうするかという問題は将来の問題として残る、併し一応資本剰余金としてこれを計上いたして処理して行くのが現実であろう、こう昨日申上げた山けであります。それでこの資本金の百六十億というものが出た場合兵この今の出資者としてこれが考え方の問題になるわけであります。だからいろいろなときに政府の出資の百六十億というものが場合によつて今の納付金基準になるかもわかりません。或る考え方としてはこの出資金の百六十億に対して納付金のきめ方を、百六十億のきめ方に対して五分なら五分ですね、こういうその五分という金を、金又は利益金の三分の一、どちらか低いほうを納付しろというようなきめ方も考え得られることは考え得られるわけであります。こういういろいろな考え方があるけれども、これは先ほど大臣が言われたように将来の問題として考えて行くべきじやないか。今ここでそれをどれだということは早計に過ぎる、こういうことであります。
  132. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 よくわかつたと申上げておきます。ただ最後にこの関係でお伺いいたしますが、この国庫納付金の今度の法律の基礎になつだのはそうじなければならない、公社経蔵は政府と出資者の関係でそうなければならん、そうすべきであるという観点に立つてこれがあるのか、政府公社との関係においてはそういうことはあつてもなくても差支えないことである、一方の必要によつてこの際こういう規定があるのであるというだけに止まるものかどちらであるか、結論的にだけお示し願いたい。
  133. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 政府としてこの納付金制度は必要のように考えます。先ほど横田君からお話があつたように、出資者に対する利益の分配というような意味制度としても必要のように思います。ただ問題になりますのは、この書き方でもおわかりと思いますが、現在の電気通信の実情から申上げますと、政府利益金の配当をするより国内の整備をするほうが実は必要であります。従いまして現在の段階といたしましては我々としては公社内に積立てるということを大体原則考えて参る、かような考え方でございます。
  134. 山田節男

    ○山田節男君 さつきの国庫納付金の問題ですが、これは先ほど横田政府委員にも質問申上げたのですが、この公社は国営のものを公共企業体に移す、これは政府か現物出資をするわけですから、公社にする理由は要するに電信電話サービスをよくしよう、これが本体ですね。そして国会並びに大臣内閣がその上において最終的にこれを支配、監督するという建前になつておる。応公社にするということになつた以上ば、やはり企業経営の自主性と言いますか、いわゆる独立採算を徹底させるのが、やはり公社を、公共企業体をますます繁栄ならしめると私はこう思うのです。今大臣はこれは政府が出したものであるから原則としてこれは国庫納付金は納めるべきものだ、こういうふうにおつしやるのですが、私はこの公社というものの精神はそういうものじやないのだ、こう思うのですが、やはり大臣公共企業体はやはり原則として国庫納付金というものはやるべきだ、こういう御見解ですか。
  135. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 納付金はやるべきだと申しますとちよつと感じが違うのでありますが、制度として納付金制度は考うべきだということであります、というのは只今申上げますように出資者の利益配当の途が開かれておるというのが建前ではないかということを申したいのであります。ただ実際の問題といたしまして本年度いくらの納付金を出すとか或いは出さないとか、こういうような問題は公社経営しております事業の実態と睨み合せて、又国の財政とも睨み合せて決定すべき問題でないが、かように考えまして具体的の点には触れないのであります。この点誤解のないように願います。
  136. 山田節男

    ○山田節男君 その点これはさつきも横田政府委員にも言つたのですが、殊に電信電話事業公社にするということはこれは並々ならん事業です。これは悪くすれば赤字の経営になるということも覚悟しなければならんと私はそういうふうに思う。そこでこの公共企業体、一公社は成るべく国費でやるべきだが、公社というものは公法人である。民営じやないのですから公社企業の自主性と言いますか、これを持たれるのには、私は国庫納付金制度というものはあるべきでない、成るほど今の専売公社或いは殊に国鉄公社でありますと納付金制度がある。その代り損失の場合は、これは交付金というものがある。電信電話公社の場合これは借入金ができる。しかも利子を付けてこれは交付金じやないのですね、ですから鉄道公社を作つた場合と、今回の電信電話公社を作る場合と客観情勢も違い、事業の本質も違う、並びに今回こうした公社に移行するという動機も違う。いわゆる公社即ち。パブリツク、コーポレーシヨンということになりますと納付金制度というものはあるべきでない。成るほどこれは過去特別会計制度の場合は納付金制が損だろうが何んだろうが納付金制をとる、そのために現在までの電信電話事業が非常にうまく行かなかつたということは、むしろこういうものにかかつていた、むしろ一般会計にこれは犠牲になつて電信電話事業が犠牲になつて搾取されたような形になつて来たのではないか、こういうような観点から大臣の今おつしやつたように、公社というものに移行する動機から考えても、鉄道公社はどうであろうとも、この際は公社の本質から見て国庫納付金、そういうようなことは考えないほうがいい。私はそう考える。大臣はやはり国庫納付金制度というものは、公社の本質として当然あるべきものだ、こういう御見解かどうか、これを確めたわけです。
  137. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 公社は御承知のように、政府関係機関といえば、これはもう性格が合うたろうと思います。従いまして政府自身、国自身が直営をしておる場合とは違うわけであります。かように考えますると、出資者たる国の利益を何らかの方法で擁護する規定があるのは、これは当然だと思います。従いましてこれは前段と言いますか、根本の問題で、公社政府機関ではないか、従つて政府機関であるならば、これは政府利益をもらうというのはおかしいということは当らない。むしろこの場合は、政府関係機関ということで区別して然るべきじやないか、かように考えます。で、問題はこの公社経営をして参ります場合に、御指摘通り現在の状況から見れば、その利益金公社に積立てて、そうして自主的な方法で自立的な体制の下に内容を整備するということが最も急務を要することだとは考えます。考えまが、この公社が資金をいろいろ民間その他等から集めて参りますことを考えますると、出資者である国自身の利益を擁護されるのは、これは当然のことだとかように考えます。
  138. 山田節男

    ○山田節男君 今の大臣政府の、政府と言いますか、国家の出資、出資というと如何にも公社というものの一つの財産、従つて国の手から遁がれる、であるからそういう恩恵を受けたものであるから、利益金があるならば納付金をすべきだ、こういうような考えだと思うのですが、公社の場合は、これはもうやはり国会並びに内閣政府が、これはやはり支配しておるのです、最終的に……。ですからこれはもう純然たる民間的な考えをする必要はない。儲けがあつてもこれは追利主義の事業じやない。サービス事業です。ですから若し剰余金があれば、飽くまでサービスの改善、電信電話事業というものは、これはとにかくもう非常に遅れて、国民に対して非常に迷惑をかけておるから公社にするのだ。ですから政府が出資したのだから利益があれば国庫に納付すべきだという考えが、公社というものに対する本質を、私は正当に把握されておらないからこういつたような、いわゆる私さつきも言つたが、非常にこの法律全体から見て鉄道公社という非常に異例な公社を真似ようとする。併しこれは公社の本質じやない。ですから私は今の大臣が、政府が出資しておるから利益があつた国庫に納めなければならん。公社そのものはこれはやはり国のものです。であるから国会が人事までに承認を与えるということになつて来る。ですから国家が出資しておるから、利益があれば納付金をしなければならんというふうな考えが出る。私は公社というものは、如何にもこれは公法人なのですから、そういう出資しておるから利益があつた場合には、剰余金があつた場合には、国庫へ出さなくちやならんということが、我々が言うところの公社に自由奔放な経営の自主性を持たせる。少くとも財政の弾力性を持たせて機動力を持たせる趣旨に反するのじやないか。私はそういうふうに解するのですが、どうも横田局長並びに大臣公社に対する考え、これはまあのちほど大臣質問がありますが、こういうアイデアは役員の場合においても、経営委員会の場合においても、非常に公社の観念から言えば歪曲されておる。私はこれは大臣がそういうふうに言われるなら、それとして大臣の意見として了承しますけれども、公社の本質としてはそうあるべきものじやない、私はそういうような見解を持つております。これが国際通念です。ですから私はさように申上げておきます。
  139. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私ももうここの部分質問をやめようと思いましたが、大臣からはつきりした御答弁を伺つたので、それでは国営で一般会計であろうが特別会計であろうが、やつている場合と、公社経営でやつている場合と、建前はその利益金というようなことについては違うのだということになるというふうにはつきり考えられる。ところが国が公社に出している資産そのものには、公社自体の収入から減価償却等もして、それは政府からの資産を維持して行くだけの金は注ぎ込んで行くわけです。私はそういう意味においてもうたくさんじやないかと思うのですが、これは素人考えかとも考えますけれども、政府の出した資産が損害を受けて、大きな損失を与えたというようなことであれば、私はそういう場合は問題だろうけれども、毎年度政府から出されている資産に対しても減価償却等もしておつて、そのほかに利益金を入れるということなら、これはその利率の如何にはかかわらず国がもう純然たる民間の投資者というようなものと余り変らないじやないかというふうな考え方を私持つのですが、国が直営している場合さえも収入国庫に納められれば、経営上のそういう資産等についてはやつぱり国庫からも金が来る。ところが公社の場合は金は出すが、そのほうは収上げて来るが、何かあつた場合には出して行くというようなことはない。それらのことを考えると、どうも大臣のおつしやることが真実そのものであるのかどうか、私もはつきりわからない。わからんからまあ御主張として承わつておきますが、その限りにおいては、衆議院修正しました六十一条の但書については、大臣の意図とはこれは違つて相当ゆるめられておる、「あらかじめ予算をもつて国会議決を経た場合においては、」ということであつて、その大臣の言われるような原則的な規定ではないのです。ですからそういう建前から行けば、これはこの法案は成立したものでありませんから、今なら御意見を伺つて政府の主張はできると思う。で、念のために伺つておきますが、この但書のような修正追加については、政府は断乎として反対であろうと考えられるのですが、御意見は如何ですか。
  140. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 六十一条のこの修正は、私どもの政府の説明を明確にいたしたものですが、この書き方はちよつと混合しやすいように書いてありますが、これは明確にいたした。利益金というものを公社内に積立てるということを原則にしまして、あらかじめ予算で定めた納付するものだけを、その金額は国庫に納付することができる、こういうことにいたしたので、これは原文よりもその点を明確にしたもので何ら差支えないのでございます。
  141. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は衆議院修正は原文を明確ならしめた修正だとは必らずしも、衆議院側のほうの意見等を聞いて、そうは思わない。この場合においてはというところがそれぞれかかつて来るのですが、それは政府の意思によつてそういう場合もあり得ることを規定しただけのことなんで、政府の意思によつてそういうこともあり得ることを規定したことだと思う。ところが大臣のおつしやるのは、べきであるという原則的な建前にあるわけなんですから、私はそういう建前から言えば原文のほうが明確だと思うのですが、どうですか。
  142. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 原文と申しますか、政府の提案したほうが場合によりましてはいろいろ解釈されるというか、範囲がやや広いように考えられるので融通が付くように考えられる、併し衆議院修正したところによりまして本来が積立金にするのでございますという原則をはつきり明確にして、そうして特にこの但書で限定した場合にのみ納付ができるということになるわけです。だから衆議院修正が一層明確にその場合を限定している、かように考えます。
  143. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすれば私さつきお尋ねした必要のある場合という観念で行うのか、利益国庫に納めるべきものという観念に立つのか、という場合から言えば明らかにそれは後者でなくて前者の問題だと思うのです。
  144. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) この但書がありますゆえんのものは、只今申上げるような本質的な問題からスタートしておるものだと思います。本質的なものでないならばこの但書は不用だ、規定すべきでない、併し本質的なものだと申しましても、その場合日を限定しておる、かように私ども解釈しております。で、これは先ほど申しましたように公社一つ政府関係機関でありますが、直営といいますか、国自身が直営しておる場合と明らかに違うのであります。従つて先ほどお話になりましたように、減価償却を厳重にやつて財産の原価が維持できればそれでいいじやないかということでありますが、納付をするのは、その減価償却を十分にやりまして、而も積立もしましてなお利益金がありまして、それを処分をする場合のことが規定してあるわけであります。これは公社の性格から来る当然のことだと思います。
  145. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私はそういう場合に、それは利益金の限度、金額によつて相当左右される理由でありますけれども、少くとも政府であるものが国民全般の利益のための公社事業を行なつておるのであるから、国民全般の意思によつて作られている政府がまあ基本的に利益金を取るのが原則だということよりは、私は政治としてはこれは国民の利益のために直接還元されて行くということが公社経営の本体ではないかというふうに思われるんです。何もあえて好んで税金その他によつて政府がこの財政を賄つて行く場合にこの公社の金に手をつけるのか、それは無論限度がありますけれども、そういう途を開いておるということだけならいいのですけれども、それが具体的にどう現われて来るかによつてはこれは相当問題が残ることだろうと私は思うのです。で、まあ委員長も気が気でないようでありますから……。
  146. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 今小笠原さんが最後に言われた通りであります。これは意見が完全に一致したように私は思うのです。
  147. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 全然違う。
  148. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 途が開かれていると申しますか、今幾ら納めるかという問題でないので、先ほどから申上げますように具体的な問題として只今それを申上げるわけには行かないと申上げましたのはさような理由であります。
  149. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 先ほどから山田委員、小笠原委員質問通り私も同感なんですが、政府に納付するのだという原則に立つておられると、要するに事業サービスをするのだということが、納付することが原則となれば、やはり国民なり我々が期待しておるところの事業の発展が期し得られないということもあるので、これに対してやはり反対すると同時に、これとあべこべに国鉄のごときは大きな損失のある場合は政府から交付金を受けることができるということになつておるにもかかわらず、電通に限つてはそうでないというこの処理方法は、日本の国情から言つて大きな災害もあり得るし、又今度のような大きな北海道のごとき地震或いは又戦争のごとき大きな損失があつた場合は、もう一遍に、これはもう公共企業体なつたがために、仮に民間の資金も一遍に駄目になつてしまうという大きな事態が起らんとも限らないので、その点について国鉄電信電話公社の交付金についての見解を一つ納得行くように御説明願いたいと思います。
  150. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 損失があつた場合に交付金を受ける、一般会計からの援助を受ける、かように考えますると、利益があつた場合には一般会計に納める、これは大体反射的に考えられることであります。事業自体を自主的に片附けるといたしますれば、本来その利益金は業体自身が処分するのだというのが建前でありまして、従つて欠損が生じた場合にはその赤字決算をするということになるわけであります。併し利益を積立てておけば、その積立金によつて過去に生じた赤字も消して参る、どこまでも独立採算の建前にあるわけであります。かように考えることによりまして国としての監督も実は軽減されるわけです。従つて赤字の場合に補填を受けるということは、如何にも一応非常な利益があるように考えられまするが、事業の本体から申しますと自主性がその点では欠けるわけであります。今回の公社におきましてはその制度を特に避けたわけでございます。先ほど来申上げておりますように納付金云々の問題は納付金の途といいますか、必要な利益金の処分をいたしまして、なお且つその利益配当というようなことを考えました場合に、こういう納付金の途が開かれておるということでありまして、これは自主性を何ら損わないものであります。
  151. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 そうしますと結果から行きますと納付金制度は書いてある、併し交付金制度は今国鉄があるけれども、公社は今必要ないのだ、仮に先ほど申しました通り日本にも大きな何と申しますか、損失をする場合も多い国情でありますのに、国鉄が交付金制度を持つておるにもかかわらず、公社は特に必要ないという大臣の見通しと我我と違うところなので、これ以上申上げません。
  152. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) もう一つ明確に申上げますと、赤字があれば一般会計からの補助を受ける、これは一年一年の決算によるものであります。そういたしますと、その一年々々に予算といいますか、事業資金が打切られるという恰好になるわけです。この点は私どもとしては賛成しかねるものであります。やはり事業資金といたしましては、先ほど来申上げたような所要な方面にその利益金が処分されるということが根本原則でなければならんというのが建前でありますから、公付金はない、併し納付金制度だけ設けられておいて、これは片手落ちじやないかという感じを持たれると思いますが、そういう意味ではないのであります。この点は誤解のないように願いたいと思います。
  153. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今の質問に関連して又伺いますが、この国庫納付金は何ら使途等が指定されないで一般財源として入つてしまうというだけの納付金でございますか。
  154. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 納付いたしますれば只今言われるようなことになると思います。
  155. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうするとこの国庫納付金は国のほうの一般会計収入予算額が載るわけでございますか。
  156. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 一般会計収入になると思います。なお先ほどから私の言いましたことについて或いは誤解があつてはいかないと思いますので、ちよつと附け加えさせて頂きますが、私先ほどから説明いたしましたのは勿論政府提出原案であります。従いまして国会でこういう改正をされた結果これをどう解釈すべきか、どういう立法の精神か、これは国会のほうの御説明が正確かと思います。恐らくその意味政府提出原案について私は先ほどからいろいろな方法についても申上げました。その意味政府提出原案についてはいろいろ広く解釈する余地があるだろうと申上げたわけでありますが、これは私の説明する範囲ではありませんが、この衆議院修正案を見て、これを字句通り私解釈いたしますればこの但し書によつて只今大臣が御説明になつたようにこれは途が開かれた、必要な場合に例外としてこういうこともあるんだというような意味で、途が開かれたんだというように私国会のほうの提出案は解釈すべきじやないかという気はいたします。併しこれは国会のほうでの修正案の御説明は私の説明の範囲外でありますので、御了承願います。
  157. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういう気がいたしますれば衆議院修正案には政府委員としてはすべて反対の立場に立たれるということになるわけだと思うが、それは答弁を要しません。が、私さつきお伺いした一般歳入として入るという場合に、あなたがさつきおつしやつたように予算総則で公社予算のほうでパーセントで示すということもあり得るということでしたが、一般歳入の国家予算のほうもパーセントで出すわけですか、そういうこともあり得ますか。
  158. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) この一般会計納付金の問題につきましては、これは御承知のように国家の収入支出予算のもとは、一番大事な点は、支出の固定制であります。収入につきましては御承知のように一般会計におきましても収入が予定以上に入つてつてもこれは政府の責任ということになつていないと思います。その意味でこの支出の問題はこれは国家予算のほうの政府の支出の予算のほうにおいての問題でなくて、これは収入の問題でありますので、予定以上の収入が一般会計に入りましてもこれは差支えないものと考えます。それをどう使つて行くかにつきましては、支出予算として支出のほうから一般会計の支出の財源に何を使うか、その場合に前年度に入りましたものを、或いは前々年度に入りましたものを国家がその収入をどう使うか、支出の問題としてこれは国会で御審議になるものだとこう考えます。
  159. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そのことは十分わかります。私のお尋ねしておるのは一般会計における歳入予算にパーセントということで表示してやるということがあり得るか、具体的な金額を掲げないということがあり得るか。
  160. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) これは恐らくそういう意味でこのものは不確定財源でありますので、予備収入にいたしますか、いろいろそういう方法政府予算の組み方としては当然できることと考えます。
  161. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうするとあらかじめ予算で定めるということは、あなたのお話ではそれは公社予算における予算総則に限るということであります。ところが今お尋ねした場合は一般会計予算にもそれが載るということでありますか。
  162. 横田信夫

    政府委員横田信夫君) 公社予算におきましてはこの総則に載ると申すことを申上げたのでありますが、この収入を、これは不確定財源でありまして、一般会計予算編成上どうするかという問題になりますと、これと対応いたしまして今のような不確定財源であればこれは不確定財源として一般会計上は予備収入に挙げるという方法もあるわけでありまして、これはそういう方法は一般会計の編成方針としてとれる、こう考えます。
  163. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうようにとれるということであれば、それではそのままにしておきますが、大臣のおつしやつたように途を開いたものであるということを、又横田政府委員のおつしやるように例外的必要の場合も修正案のほうが規定したような気がする。そういうようなところと絡んで考えますと、そういう途を開いた限りにおいては、政府なり国会としては望ましい形は、その損失を補喧して、具体的に出て来た決算における利益金が、余りに当初の政府並びに国が見込んだ利益金、或いは国庫納付金を徴収すべきであろうという可能な金額とは違う、僅少であるというような場合には、この国庫納付金予算はあとで修正になるとか、或いはとらないこととするのか、こういうような規定がついておつてこそ全体として形が整のうのではないだろうかというふうにも考えられまするが、そうでなくてやつぱりその場合でもあらかじめ定めた予算額だけは、利益金の多少にかかわらずとるのだということが、私は途を開いたとかいう意味合い、そういう趣旨から言えばちよつと矛盾しておるのではないかというふうに考えられますが、如何ですか。
  164. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) お話を聞いておりますと、どうもだんだんわからなくなるので、少し今お話がありましたように建前として途を開いたということと、具体的な処置とが何だかこう絡み過ぎておるような感じが実はするのであります。先ほどパーセンテージ云々の問題もありましたが、パーセンテージで納付金をするということになつておるわけでは勿論ないわけでありますので、納付金の途としてさようなことも考えられるのじやないかという程度であるので、その点を具体的な問題としてお話し願うと少し話が絡み過ぎてわかりにくくなるのですが、納付金の問題はこの建前として途が開かれておる、実際問題といたしますれば、その原則であります社内留保と申しますか、いわゆる償却なりその他将来或いは過去の欠損のための公社内積立、これが原則になつて参ると思います。特殊な場合におきましてこの納付金に開かれておる途を如何に使うかということになるのだと思うのでありますので、この問題は将来の問題として考えざるを得ないのじやないか、ただそういう途を開くことがいいのか、悪いのかという議論はあるだろうと思います。その点については先ほど来申上げますように、公社としては政府が出資しておる、これは政府関係機関に対する政府の出資であります。而も公社は民間資金等をいろいろ集めて参るものでありますから、かような意味のことを考えますると、利益金の処分の場合において、出資をした政府も場合によりましては納付金を買い得る、かような途を開くのがこれが当然じやないか、かような議論に実は相成るのでございます。
  165. 山田節男

    ○山田節男君 これはどうですか、今日で会社法の質疑を打切るのですか。
  166. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 大体打切るつもりです。
  167. 山田節男

    ○山田節男君 これは、勿論質問を続けられていいのですがね、私前に大臣と丁度前後しまして、今日の財務会計のところで、役員のところで大臣にお会いできないので今日まで保留している質問があるのです。若し最後の質疑を打切るということになれば、その質問がなお保留してあるということを委員長のほうにおいてお含み願つて質問の続行をさして頂きたい、そのことをお含み願つておきたい。
  168. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 山田委員に申上げますが、何もこれで堅く打切るというようなあれじやなくて、明日は会社法を中心にしてやつて行く、それで最後に大臣に、最後というのはいつが最後になるか私も知りませんが、そこでいろいろまだ大臣に対する御質問もあろうかと思いますので、そこで一括して大臣に御質問を願うのが、一番順序としてはよろしいのじやないかと考えております。併しそれは明日会社法の際に御質問なすつても少しも差支えないと思います。
  169. 山田節男

    ○山田節男君 ですから、私が保留してあるのは逐条審議です。逐条審議の過程において大臣もお見えにならんしということを保留してあるのです。だから総括質問じやないのです、逐条質問、この点を誤解のないように……。
  170. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 了承いたしました。
  171. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あとでやるということであれば、私はこれ以上この件については質問いたしませんが、ただあとまだ残つております。それから大臣御出席にならないで問題点となつた四点ばかり、私だけの主観で残つたものがあるので、それはまあ大臣にお伺いしなくちやなりませんが、委員長のおつしやるように、これで、今日で打切りでないということであるならば、これで本日は散会して、又明日会社法をやるなら会社法をやつて結構でしようから、続行したらいいと思います。ただ委員長のおつしやるように打切るという意味ではないが、まあ打切つておこう、こういうようなことは議事法上できないことです。そういうことはやめておいて頂いて、本日は散会ということでですね……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  172. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 小笠原委員のおつしやる通りです、と申しますのは今日ばもう数も少くなりましたしいたしますので、それをきめますことは不当のようにも考えましたので申上げたので、只今の小笠原委員のおつしやるように議事は進めて参ります。
  173. 山田節男

    ○山田節男君 一つ動議があるのですが、明日会社法の逐条審議に入ることに仮になるとして、或いは、この会社法の総括的な質問の段階で、持株整理委員長をしておられた笹山氏、それから元の団四電気通信会社の株主代表の清算事務の責任者を呼んだわけですね。それでこれはこの審議に入る前に、そうしてもう一つ当時の逓信省として国際電気通信を接収する衝に当つた政府委員の人、このかたを一つ極く簡単でいいですから、大体わかつておりますけれども、一応政府委員からそのときの折衝の当時の経過を私は聞きたいと思います。これは会社法の審査に入る前に一つつて頂きたいと思います。それを一つお諮り願います。
  174. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 電気通信大臣もおられますのでお願いしておきます。どなたか政府委員のかたで、当時の衝に当られたかたの御説明を明日会社法に入ります勢頭に簡単にお願いいたしたいと思います。
  175. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように山下君が会社に関係した人で、清算に入る前の事情もよく知つておりますから、詳しく御説明いたさせます。
  176. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は山田さんの動議の趣旨には賛成いたします。ただ政府委員ということで、具体的にはその政府委員が山下さんであると、国際会社の当事者であつた人であるということについては私賛成できません。従つて趣旨には賛成いたしますが、当事者ならざるその当時の鈴木次官のようなかたを証人として呼んで一つ事情をよく開いたほうが私はいいと考えます。
  177. 山田節男

    ○山田節男君 これは小笠原君の言われるように、電通省の資料によりますと、山下通信監は当時の国際電気株式会社代表取締役というのを政府との実約書に署名せられておられるわけです。ですからそういう意味で……。
  178. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そのかたも必要だけれども……。
  179. 山田節男

    ○山田節男君 それよりもあそこにおられる山岸君ですか、技術的にと申しますか、鈴木次官よりもその当時の実際の衝に当つて特殊整理或いは当時のマツカーサー司令部に折衝したそのなまなましい所を聞きたいのです。だから更に当時の鈴木次官であつた人は、これは又私は別問題としていいことでありますが、私の申上げたのはやはり小笠原君の言われるように、山下通信監よりも当時の政府として実際の衝に当つた人からそのときのいきさつをお聞きしたいと思います。私はむしろ山下通信監よりも他のかたがいい、鈴木当時の次官ばこれは又別個に考慮してもいいと思います。
  180. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) できるだけ御希望に副うようにいたします。
  181. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで私は鈴木次官を証人として呼ぶということの動議を出しましたので、当事者である委員長委員長席を退いて理事を以てこの進行に当られるようにお願いいたします。又後日において考慮することとして本日は定足数もございませんが、これはあることとして散会するようこ……。
  182. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 小笠原委員に申上げますが、只今の小笠原委員並びに山田委員の言われましたことにつきましては、委員長において十分考慮いたしたいと思いますから、委員長にお任せを願います。
  183. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私はお任せすることはできません。任せるということであるならば、議事手続き上本日は定足数がございませんから流会の宣言をして頂きたいと思います。
  184. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  185. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 速記を始めて。  委員長にお任せを願つたことにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十九分散会