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1952-06-12 第13回国会 参議院 電気通信委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十二日(木曜日)    午前十一時十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     鈴木 恭一君    理事      山田 節男君    委員            大島 定吉君            寺尾  豊君            新谷寅三郎君           小笠原二三男君            稻垣平太郎君            水橋 藤作君   国務大臣    郵政大臣電気通    信大臣     佐藤 榮作君   政府委員    電気通信省電気    通信監     山下知二郎君    電気通信大臣官    房審議室長   大泉 周蔵君    電気通信大臣官    房人事部長   山岸 重孝君    電気通信省業務    局長      田辺  正君    電気通信省業務   局国際通信部長  花岡  薫君    電気通信省経理    局長      横田 信夫君   事務局側    常任委員会専門    員       後藤 隆吉君    常任委員会専門    員       柏原 栄一君   説明員    電気通信事務次    官       靱   勉君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日本電信電話公社法案内閣提出、  衆議院送付) ○日本電信電話公社法施行法案内閣  提出衆議院送付)   —————————————
  2. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) これより委員会を開きます。  日本電信電話公社法案日本電信電話公社法施行法案について昨日に引続きまして質疑をいたします。
  3. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 第三章の二十八条について、この「町村議会議員であるものを除く。」というふうになつて職員町村議会議員たることは認められておるというのですが、この理由は何ですか。
  4. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) このたび公社職員ということになりまして、公務員法の枠が外れるわけでございます。それで政治的行為制限についても、公務員法の枠などは外れますので、その結果と申しますか、それに伴いまして、一定の、地方自治体の議会議員になつても差支えはないということで、特に町村議会議員になることを認めたわけであります。
  5. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それならなぜ都道府県、市の議会議員たることを認めなかつたのですか。
  6. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) 町村議員だけなぜ認めたかという点につきましては、先ず町村議会が比較的短期間に開催されて、これに出席いたしましてもそれほど公務に支障はないということも考えられますし、又町村居住者の中において、こういう電信電話公社職員というようなものは知識階級であると存じますが、比較的知識階級の少い町村議会運営などに、こういう公社職員等が出て行くことも地方自治の上にむしろ役立つこともあり得るということ、それから然らばなぜ市会議員或いは都道府県会議員を認めなかつたかということになりますと、この点は理論的にはなかなかむずかしい点でございますが、市とか又県とかいうような単位になりますと、その権限範囲も広く、公社職員議員にならなくても他に自治体としての相当大勢の人を探し得ることになるわけであります。然らば市と町となぜ違うか、町のほうが場合によつては大きい所もあるではないかという御意見もあり得ると存じますが、これはまああるのでございます。国鉄専売公社の例に倣つたわけでございます。
  7. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 国鉄専売公社のそれに倣つてやるということについては、必ずしも納得できない。なぜならば過去における公社の基盤の上に立つて新らしい公社経営考えるというようなものが、そういうことだけを踏襲して来るということは、それだけの理論を以て踏襲して来るということは納得できない。又そうかと言つて町村知識階級が少いから、知識階級の多い従業員町村議員となつていい。市或いは都道府県議会はそこまでの必要はない。一般的に教養の高い人たちもいるので、それらで運営されて然るべきだと、こんなことも理窟にはならないと私は思う。この役職員規定する意味では議会議員を認める、認めんということは論議の対象外だ。そういうことは会社であろうが、その他一般人であろうが問題にならんので、ここでは国民として議員たる権限を持つておる従業員にそれの制限を加えているその理由を尋ねなくちやならんと思うわけです。そうして又それは然らば地方公共団体議員たることを認めるということであればわかるが、それを町村段階でとどめたということについては職務に対して支障を来たすというようなことだけが私は一応の理由として聞かれることだろうと思うのです。ところがそれにおいても町村議会開催数と市における議会開催数と何ら大した差異はないわけです。そういう点においても私は疑問を持つ。而も国鉄なり専売公社の場合のそれはいろいろの国鉄における内部の取極め、協定等があつて都道府県議会まで認める等々のことがあつたために、当時における政党の意思によつてそれが切られて、町村段階にとどめるというようなことになつたことは、理のないところに理を付けてそういうことになつたことは、これは天下周知の事実なんです。その場合にこの法を作るときの精神から言つて、客観的に問題を考える場合に、ただ単にそれを踏襲して来ていてそれでよしとすることは私は国民の基本たる従業員の基本的な権利を侵害するのじやないか。あなたのおつしやる理由だけであつては、それで明快な理由をお伺いしたいと考えるのです。
  8. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) 県会議員の線に参りますと、やはり、相当に政治的な色彩が強くなつて参りますと思います。そうしてこの公社が非常にやはり公共的な事業でございまするので、そういう点で職員県会議員を兼ね、それに出席し、又いろいろ政治的な影響力ということも考えられないこともございません。そういう点では御指摘県会議員になることを認めることが適当であるということは疑問であると存じます。市と町ということになりますとこれは非常にむずかしい問題だと正直のところ思いますが……。
  9. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 むずかしいのじやない。理窟がないのでしよう、それはあとで聞きますが……。
  10. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) その点は国鉄の例に倣いましたというふうに申上げます。
  11. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうもむずかしいということは、理窟つけようがないということにしか私は聞き取れないのです。いやいやそうでないというような理窟についてはあと大臣が述べるかも知れませんが、あなたからはそういうことしか聞きとれないのです。そういうことでは従業員の何と言いますか、活撥事業運営そのもののために志気を上げるということにも私は支障があると思うのです。が、それはそれとして大臣でないから、事務当局或いは将来の公社経営に当る側の人としてお尋ねしますが、都道府県会なり市会なりが相当政治的な動きが、色彩が強くなる、こういう御疑念でございますが、それがあつてこそ始めて私は逆に言うならば、公社経営活撥になされる機運を生むのではないかとさえ思う。財務、会計のほうで申しましても資金の調達或いはその他サービスの問題でも、地域的な、地方的な問題に関連していることがこの経営上非常に大きい、その場合に何らか公社の中からそういうかたがが議員となつて、そうして真に公社の意図するもの、或いは公社内容というものが各議会における議員諸氏に徹底するようなことになるならば、却つて公社経営運営が私はスムースに行く場合があるのじやないかと思うのです。又これは電通の問題でありまするが、最近現に起つていることで郵政などにおいての簡易保険の引上けなり、或いは預金部運用資金のこの資金運用郵政のほうに持つて来るとか来ないとかいうことは国民の輿論によつてこそきまることなんで、そういう場合において議会関係者の中にそういうかたがたがあつて、現に国民利益のためにサービス本位考えでいろいろ画策されるということは、私は公社立場にとつていいのじやないか、これは大臣に聞けば大臣政党大臣ですから、都合のいい場合には大いにそれは結構、都合の悪いときはこれは大いに悪いことなんで、大臣としては意見は違うかも知れませんが、事務当局にこのことをお伺いするのです。
  12. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) これは結局公社職員としてその仕事に専念するということが建前になつているわけでございますが、県会或いは市会等議会町村等比べてたびたび開かれることと、会期も長いというようなこともこれは比較の問題でございましようが当然考えられます。その点において仕事の専念ということについても問題が起り得るわけでございます。で、私たちとしてはそれを認めないほうが適当であろうと、こう考える次第であります。
  13. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あとにお尋ねしますけれども、第三十二条の一番最後に「休職者には、本条規定するものを除き、給与を支給しない。」ということで、給与を支給しない休職者の問題の規定があるのですが、この規定を活用して都道府県議会議員等相当の手当をもらつておるのですから、給与は支給されなくてもいい、休職でもよろしい、議員活動期間中は。それで議員活動をやめた場合には復職可能な途を開いて欲しい、こういうような職務支障を来さない理由を以て主張される場合には、あなたの今おつしやる根拠は失われると思うのです。こういう場合はどうですか。
  14. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) これは只今の三十二条第九項の「本条規定するものを除き、給与を支給しない。」、これは主としまして組合専従者の問題になるわけでありますが、まあそういうことも無論小笠原先生のおつしやる通り考えられるわけでございますが、併し公社職員として、やはり県会議員或いは市会議員、特に県会議員等につきましては政治的関係を非常に深くするという点については私たちは好ましくないと感じております。
  15. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は政治的関係を深くするしないということは、これは浅い深いの程度の差だけであつて地方公共団体における、自治団体における議員である立場においては、町村団体であろうが、市の団体であろうが本質的な相違はないと思う。ならせないなら一切ならせないのが本筋だと思う。ならせるとすれば一般的規定が必要だろうと思う。而もそれは従業員として、何ら国民一般権利である議員たることのための権利を放棄させることはできないわけなんです。それをきせることのできるのは、単に職務に精励しなければならないということによつて職務支障を来たすという事実問題に限られると思うのです。今までの理論的な立場から言えば、そうなる場合においては、例えば三十二条の、それは組合専従者のことを言つているのだといつても、そんなことは文章に明示されておりません。仮に明示された場合には、地方議員たる場合においては休職とし、給与をしない、こういう規定があれば、それで法律上は済むわけなんです。なぜそれをこういうふうに段階によつて打切つたか。これについてはやはり理論的に根拠がなければ納得しがたいものがあるだろうということを再三申上げておるのです。まあ大臣でもようございます。
  16. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 事務当局ではなかなか説明のつかない問題でありますので、事務当局にお尋ねになりましたが、私から申上げて見たいと思います。御承知のように、公社職員公社仕事に専念するというのがまあ当然の責務であります。又御指摘になりましたように、一般議員になる権利というものがこれは勿論あるわけでございますから、その両者調整のとれる点を一応法律で明記いたしたつもりであります。お話のように考えて参りますと、両者調整がとれるという点はどこにあるのかと申しますると、国会議員になりますれば、これはもう誰が考えましても公社職員両立はしかねるので、そういう場合休職にすればいいじやないかということでありますが、休職は止むを得ない場合に考え制度でありますので、本来の職員としてその仕事をしなければならないのかどうかという点を見なければならない。で、立派に国会議員になることを希望されるなら、これは公社職員をやめられて堂々とやられたらいいだろう。まあ国会の場合だと比較的はつきりいたして参るのでございますが、地方議会の場合に、県会状況考えますと、最近は県会開催日数その他もなかなか長期に亙ります。又開催される場所もこれはもう県下一カ所になるわけであります。かように考えますると勤務となかなか両立をしない。やはり一方に専念するという考え方から見ると、これはどうも適当でないのじやないか、そういうことで一番問題になりますのが、市の場合が一番問題になります。町村の場合でありますれば、勤務に勿論支障はあると言い得るかと思いますが、この程度は辛抱できる。むしろ町村会に出られて、そうして公職を果される、それが而も公社職員としての仕事のし振りに先ず影響しない、かような見方をするわけであります。問題は市の場合に一番問題になるわけでありまして、これは小笠原さんもよく御承知だと思いますが、鉄道の職員を市の議会議員がなし得るものにするかどうか、これはまあ非常な議論をいたしたのであります。市と申しましても大きな市とそれから小さな市といろいろあるものですから、場合によると人口の多寡によつて市の場合でも区別していいじやないかというような議論まで発展いたしたことを私記憶いたしておりますが、最後にはやはりどこかできめる問題になつて来るのでありますので、限界の点から見れば、市はやはり町村とは違い、行政区画も広いし、又仕事も非常に忙しいし、そのような意味市議会は外そうじやないかということに相成つたように記憶いたしております。やはりこの電通公社の場合におきましても、それらの職員が本来の仕事をする場合、又公職を果して行く、又その立派な権利を遂行するという観点から見まして、どの辺に筋を引くかということでいろいろ工夫をいたしたわけでございますが、町村はこれは辛抱のできることじやないかというので町村にこれを限つて市会並びに県会議員はなり得ないと、かようにいたしたような次第でございます。只今休職制度お話が出ておりましたが、休職制度は、これはまあ特殊の場合に考えられる制度でありますので、只今言われますような公民権遂行のために休職制度を採用しろという議論は、どうも公社側といたしましては少し無理なように思うのでございます。やはり公社職員としての業務遂行を本来に考え、そうして公民立場において主張なさいます場合においては、やはり公社職員というものから離れて頂く、これが建前であるのでございます。
  17. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 聞いて尤もなように聞えますけれども、私にはちつとも尤もなように思われない。今のようなお話ですけれども調整という問題でも、私は国会議員立場は一度も申上げておりませんが、市の場合に例をとりますと、町村における場合の議会活動と市における場合の議会活動対象になるものは同じものなんです。税の関係で言えば、住民税も直接市民或いは町村民である自分仲間影響のある問題、道路であろうと下水であろうと、すべて直接これは自分たち仲間影響のあることで、それについて他の人を頼んでのみ自己の主張を通すということで、公社のものは公社の人間によつてこれを代表して市議会等で働かせることができないということは、町村が許されておつて市のほうができないということはおかしいと思うのです。而も今の段階大臣はそういうことをおつしやつていますが、仮にこの電通公社固定資産税等徴収をされるというような事態になつて都道府県議会がこれの徴収をする、こうなれば税それ自体の問題だけでも公社利益する代表議会に送つて置かないと不都合だということに一般民間会社、その他で考えても当然な立場が出て来ると思うのです。こういうときにならば都道府県議会議員を出してもいいということになるかも知れない程度理由を以て、逆に或る段階でこれを切つているということが私はおかしいと思うのです。その従業員である者といえども市民であり、町村民であり、そうして直接影響を受けるものであるから、従つて仲間から代表を送りたい、そのことは公社としては許されないからやめて、それは勝手にやればよい、こういうことは、いわゆる調整の問題としては、私は行き過ぎておる部分があるのじやないか。而もその点において私の申上げておるのは、給料等をもらつて職務は遂行しないというようなことを考えるのでなくて、仮にそれも調整して無給休職にし、そうしてその活動をさせることを全従業員市民生活利益のために護つてやろうということが、政府直接の機関でない公社として考えられない理由はないんじやないか、そういう立場で私質問しておるわけであります。これ以上は申上げません。大臣お話があるならば伺つておきたい。
  18. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 只今小笠原委員の御意見、一部納得ができ、一部納得が私はできないのです。一部納得ができるという点はどういうことかと申せば、公社職員身分を持つている者を地方議会に送ることが公社利益にもなるのじやないか、こう言われるのです。これは一応納得が行くことであります。併しこの議員といたしましての職責なりを考えて見ますると、やはり公社職員であるという立場のみの主張でも実はないのじやないか。私ども町村議員になられることは適当だと思いますことは、公社職員が持ちまず公社職員という身分関係よりも、地方においてのいわゆる有識者と申しますか、実情がわかり、町村会等において一般利益になることを発言し得る力のある人だと、かような意味合いにおいて当然の被選挙権、これを活かしたらどうか、かような意味を実は持つのであります。公社自身の問題といたしましては、地方税お話は出ておりまするが、やはり本社の責任において、いろいろ遂行して参らなければならないことのように思います。又制度そのものから見ましても、各県まちまちな扱いを受けることは、先ず考えられないのであります。最近の地方税法等審議に当りましても、やはりこういう問題は全国的な問題として取扱われるべき筋のもののように考えるのであります。むしろ私ども考えますのは、公社職員公社利益のために発言の機会を得るということは、これは理窟と言いますか、理論は勿論わかるし、その感じもわかるのでありますが、その扱い方よりも、公社職員として立派な社会的信用を得ておる、そういう人たち公社職員であるために、地方議会に参画できないということは、如何にも気の毒だ。そこで特例を設けて、これは積極的にと考えても差支えないのでございますが、町村会程度ならば、公社職員たる職務遂行上別に支障を来さないということを実は考えておるのであります。同時に文公社利益代表されるということでありまするならば、これは公社職員でなければならないと、かようには私ども考えない。曾つて公社職員であつた、或いは公社事業について特別な理解を持ち、同情を持つかたである、こういうかたに広く公社利益代表の地位を買つて頂きたい、これが本筋ではないかと、実は考えるような次第でございます。大変意見がましいことを申して相済まないのでございますが、どこまでも公社職員といたしましては、公社事業遂行を第一義に考えて頂きたい。両立しない場合ができましたならば、これは公社職員をやめて頂く、そうして一方に専念して頂く、かように考える。而も一度公社職員であられたかたでありますならば、公社のためにも発言が願えるでしようし、更にもつと視野を広げての、大局に立つての御発言もできるだろうと思います。又同時に公社職員であられたと、こういうことだけで、公社に残つております職員との繋がりについては、別にこの公社を退くということによりまして、赤の他人になるとは私は考えないのでございます。この辺は実際上の処理としてどこで区別するかということが最後の落ちに相成るやに思うのであります。扱い方として一番議論があるのは市会の場合だろうと、県会の場合だろうと、比較的勤務地、或いは自分居住地等関係から見まして、これは一般的の規定としては止むを得ないかなという気持も出て来ると思いますが、市会の場合だといろいろ議論がある。尤も市会に参画し得ないところの市民ということになると、これはいろいろな議論が立つだろうと思いますが、私どもといたしましては、今の市会仕事等から見ると、市会には参画されないほうがいいだろうと、かような結論になつておる次第であります。一応附加えておきます。
  19. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まあ質問をやめようと思つたのですが、大臣も再三意見言つておりますから、私も意見をこの点について申述ベておきたいのですが、私再三申します通り公社自体町村はいいのだ、市は悪いのだ、県は悪いのだということを、自治団体議会そのものについて内容にまで立入つて、かれこれ言うべき筋合いのことじやないと思う。そうではなくて、私は職員たる身分を保持して、議会議員となられることが、公社経営内容に触れて支障があるかないかというだけの問題にかかわることだと思う。それが都道府県の、或いは市会のそれになると政治的にどうであるとか、こうであるとか、こういうようなことは余計な話だとさえ私は思つております。
  20. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) その通りであります。
  21. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それをこういうところで法律規定段階を設けておかなければならんということが私にはわからん。率直に言うならば、こういうものは内部的に、具体的にその土地の状況等に鑑み、或いは従事しているその職務内容等に鑑みて、ここに公社自体が許しもしてもらう、こういうような措置こそがいいのじやないか。これが規定せられて来ている。原本は国鉄或いは専売なんなりにある。又その当時こういう制限をせられたことは、そういうさまざまな正当な理窟を以てしたのではなくて、正当の考え、或いはそれが地方議会の現に議員であつた一部の者の考え等によつて、こういうことが規定せられたということは、何と誰が言おうとも、私はそれが真相だと思つておる。それでこういう新らしい公社経営について、過去の批判の上に立つてものを考えて行こうという場合に、電通公社それ自体こそがこういう問題をもつと慎重に扱つて行く、考えるべきじやなかつただろうか。それを安易に公社法がそうなつておるのだから、こつちもそうだとか、或いはちよつと出られるのは迷惑だとか、或いは政治的にどうだとか、こういうようなことは私は望ましい形でこの問題は考えられたということではないように、十数万人の従業員なら従業員はそれだけの理由を以てしては基本的な権利との調整において納得しないものがあるだろうということを、私は今でもまあ考えておるわけですが、これ以上この点は議論いたしません。
  22. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今のお話で、事務当局お話では、これも私の意思でないといいますか、その点が一言あるのでございます。これが政治的に動くとかいう問題は全然考慮のうちにないことでございまして、これは私から取消しておきますから、この点誤解のないように願いたいと思います。
  23. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まあこういう問題は、内閣が変らないうちはどうにもなりませんから、先ず変つたらこれもまあ完全にいいものに直ることとしまして、次に移ります。  この職員任用基準でございますが、この漠然とここに書かれておるんですが、実際的には任用基準としてどんな方法を考えておられるわけですか。例えばちよつと漠然と質問いたしましたが、その者の受験成績と言いますが、どういう受験なのですか。勤務成績と言いますが、どういうふうに評価するのですか。その他能力実証と言いますが、能力実証はどう客観的に評価するのか、そういう基準をどういうふうに構想を持つておられるか。
  24. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) その者の受験成績ということは、一口で言えば、試験制度を採用する。外部から新らしく任用いたします際に、やはりできるだけ公平に広くいい人材を集めたい、集めるのが適当と考えられますので、そういう新らしい職員の採用について原則としてやはり一定の試験制度というようなものをやつて行くべきではないだろうかと考えられております。又内部のすでにおりまする職員が、或る一定の職務、上の職務につくというような場合に、試験と申しますか、或いは選考と申しますか、その場合いろいろ方法がございますが、特殊の地位につくのには、やはり試験成績、試験というものをやりまして、この大勢の従業員のおります事業体としまして、広く人材を公平に見出す制度を採用して行くべきではないかということでこの受験成績という言葉が使われております。それから勤務成績と申しますものは、まあ勤務上の成果でございまする勤務実績と申しますか、執務に関連して見られた能力、適性というようなものを考えて、それをその人の昇進等に反映して行くということでございます。能力実証というようなものにつきましては、成績制度を確立することによりまして、できるだけその人の客観的な能力を判定するのに勤務評定制度、今公務員法にいつております勤務評定制度につきましてもいろいろ問題がございますが、それほど複雑なものでないにいたしましても、これだけ大勢の従業員のおります組織といたしまして、できるだけ広く公平に人材を抜擢し、昇進し得る途を開くためにはやはりこういう客観的な一つの勤務評定というような制度を設けるべきであるという考えから、こういうような言葉を任用基準として用いておるわけでございます。
  25. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうことは準備されているのですか。
  26. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) まだ具体的なものは準備されておりません。今研究中でございます。
  27. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じや公社切替になつた暁に職階等の格付は何によつてするのですか。
  28. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) 七月一日に公社になりますといたしますと、そのときには只今制度を一応大体そのまま踏襲して参ることにいたして、今後この問題につきましては、なお具体的に研究して、至急新らしい制度に移り変つて行くようにいたすべきであると考えております。
  29. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 公社になつてこのままの機構で、このままの人的配置でおつて、そうして機構改革に伴つて職員が、私は上り下りというのは、どれが上るのかどれが下るのかわからんが必ず行政機構が簡素化される場合には、長と名のつくようなものがダブつて来るわけで、上り下りが出て来るだろうと思います。そういうようなときは、この職員任用規定を以て客観的に評価してやるわけですか。お前は例えば施設長をちよつとやめて一般の方へ、現場のほうをやつてくれ、お前は運用長だつたが、お前は残つて局長になれ、自由裁量でそれはやるのですか。そのときはもうこういうものが準備されてやられるのか。
  30. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) それは只今その新らしい制度が、機構改正が大幅に行われるときにできているかどうかということは、今私としてはここで申上げかねます。
  31. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういう場合に、そんなら第二十九条は適用になるのかならんのか、お伺いしておきます。
  32. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) 二十九条の精神は、いつも適用になるべき性質のものだと思つております。
  33. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 精神でなくて二十九条そのものが適用になるかどうか、伺いたい。
  34. 靱勉

    説明員(靱勉君) 本条規定の趣旨は、結局情実人事を排斥するという基本的な基準をここに示してあるのであります。そこで現在におきましても新規採用の場合には、やはり一定の試験を行なつて採用いたしておりますので、今後公社におきましても勿論新規採用の場合には、試験制度で行く、それから現在おる人たちの機構改革等に伴う異動等につきましては、それは勤務成績能力実証に基いて行うということはこの法律規定通りでありますが、その方法の具体的なより正確なものがあるかどうかということについては、今政府委員からお答えした通りでございまして、これはなかなか運用任用試験をするということはむずかしい問題であります。それはどういうふうにしたら公平に最も職員が希望を持つてだんだんと昇進して行く、そこに全く情実がなく、その人たち能力成績等に応じて行けるような制度をできるだけ立派なものにしておきたい、現在におきましても、勿論何か標準を持つているのでありましてそれを具体的に申せば、或いは病気で出欠常ならざる者とか、或いはいろいろ事故を起しておる者というものはやはり勤務成績は良好でないという客観的判断は勿論できるわけです。と同時に勤務成績の中には勿論勤務年数というものも加わつて来るわけでございます。それらを按配しまして、公平な人事をやるということはこの二十九条の規定に従つてつて行くべきものであるというふうに考えております。
  35. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは郵政職員或いは郵政省の職員ではありまするが、公社の管理部門を担当する者、これらが公社任用される場合には、第三十九条の規定を適用するかどうかお伺いいたします。
  36. 靱勉

    説明員(靱勉君) 只今の御質問は郵政省の職員から公社職員になる場合の御質問でございますが、その場合にも勿論この規定は適用がある、こういうふうに解釈いたしております。
  37. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 念のために伺いますが、幹部級の職員採用についても受験せしめますか。
  38. 靱勉

    説明員(靱勉君) 受験につきましては、これは新規採用の場合におきまして、先ほど原則を申上げたのでございますが、郵政職員公社に参ります場合におきましては、やはり過去の勤務成績或いは能力というものを判定しまして、そこに選考の制度を行うということで、これは必ず受験をやらなければならんというふうには解釈していないのであります。受験の方法につきましては、結局選考も一つの試験の方法としても解釈できるのではないかと思いますから、実際申上げますと選考によつてきまるものというふうに考えております。
  39. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうふうに聞いて来ると又疑問が起つて来るわけですが、公社が新規採用をする場合に、民間の者と官側の者とにおいてそういう点において公正を欠くという誤解が起つたならば、やはりそれは職員任用というものは情実が入つたと言われても一言もないじやないか、そういうことを排除するためのこの規定だと言つていながら、仲間うちから公社職員になる場合には選考というふうな適当なことで、名指しで適当なポストに据付ける。民間からの場合は受験成績或いは勤務成績その他と言つても、それは民間会社のそれは全然官吏経歴として計算できないというような一般的な考え方でやられる、それでは真に人材の吸収ということはできないと思う。専売公社の総裁が参考人として喚ばれた場合の陳述を聞いてみますと、次官も聞いておつたかと思いますが、民間からの人材を吸収することが非常に困難だという事情をいろいろ述べておつた点を考えても、一方にはこの任用については厚く、一方には誠に客観的であるということでは公正ではないように思われる。やるならばやるというふうに厳格にこのほうは実施されて欲しいというふうに私は考えておるのですが、次官は如何ですか。
  40. 靱勉

    説明員(靱勉君) この試験制度というものは申すまでもなく非常にむずかしいのでございまして、学校を出た新らしい人とか、或いは過去にまだ職業に就いていないというような人を採用する場合には、一般的に基本的な能力と申しますか、そういうものを試験するというのが在来かなり客観化されて行われておる。併しながら一定の経歴を持つておりまして、その就くべき職務も官吏的なもの或いは、在来にもやつておつた仕事と類似している、現在電通省におりまして各省との関係考えてみましても、或いは財務会計の問題につきましても、特別会計的なものと一般会計的なものとありますが、やはり予算に対する財務会計に関する知識、経験というものが他のほうにおいて相当客観的に評定されておるという場合におきまして、どういう試験を行うかということ自体が非常に問題になるわけです。結局普通言われておるいわゆる試験というものにつきましては、客観的に適当な試験と認められるものでないと、行なつても何ら意味をなさない、結局採用する人をどこに就けるかそれに適しているか適していないかを調べるわけでございますから、広い意味の試験ということになりますれば、先ほど申上げましたように選考ということによりまして、試験の実態を持つ一番の本旨というものは、要するに情実人事を避けるという点にあるわけでありますが、その人の能力才幹等が或る程度できるだけ公平に覗き得ればいいというように私ども考えております。全体的に言つて今後公社では如何なる人でもすべていわゆる試験という形で採るか採らないかということにつきましては、まだそれは非常に困難ではないかというふうに考えるのであります。要するに非常に公平妥当な方法でこの二十九条の規定に従つて行うということだけは間違いないのでありますが、具体的にすべての場合にいわゆる試験というものを行うかどうかということについては若干疑問があるのじやないかと思つております。
  41. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私の申上げておる意図は、官側からの公社への天降り人事というような誤解、或いは実質的に弊害があるとするならば、その指弾される弊害を除去するためにもこういうことは公正にやらなくちやならんじやないか、これはもう観念論でありますが、官庁側の局長においては人事院試験は再三受けても落ちる、どうもしようがないから公社へ行つて局長級のところにふさわしいポストでこれを救済する、こういうようなことはなきにしもあらずと考えるのでありますが、一応承わつて置きますが、人事院試験等などで落ちた官吏がそれと同等程度公社の職階に就くことができますか。
  42. 靱勉

    説明員(靱勉君) 人事院の試験と申しまして、いわゆる一般に高級官吏の試験と称されたものにつきましては、いろいろと私ども意見を持つておるのでありまして、あれが絶対公正なものであるとは考えていないのであります。従いましてその他の実績に従つてやはり局長たる資格が十分ある。而もそれが客観的でないと困るのでありますが、どうも情実でやつたというようなことではいかんのでありますが、そういうような点は客観的な情勢を考えて、試験に落ちたから絶対に局長にはせんというふうに考えないほうがむしろ公平ではないかというふうに考えます。
  43. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もう一点伺つて置きます。直接これは必ず起るんじやないかと思いますが、郵政省における公社の監理官と公社の人事交流については、確たる方針がないといろいろそこに情実或いは思わざる疑惑を生ずるというような点があると思います。これらの人事交流についてはどういう方針をお考えになつておられますか。
  44. 靱勉

    説明員(靱勉君) その問題はかなり今後の問題に関連して参ると思いますし、又他の例を考えて見ますと、ともかく監督たる立場にある者と公社職員とがかなり交流されております。これは絶対にいわゆる天降り的に考える必要もない面もありますし、又一方におきましては公社郵政省の人事交流はもつと大いにやるべきだというような議論もあるわけでございますが、結局私どもこれにつきまして公社の監督をするのに、やはり事業の実態を知つておるという人が必要なのであります。郵政省におきましてそういう人がだんだんと養成されて来るということも考えますが、当分の間は、私ども考えとしましては、相互に弊害のない範囲におきまして交流があつて差支えないものというふうに考えております。
  45. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これもよほど慎重に扱つて頂く必要があろうかと考えるので、公社側の、現場側の者の士気を鼓舞して、真に能力を発揮させるというためには、何と申しますか、こういう官吏部門のかたの天降り的な人事が、不当な地位に厚遇せられるということが例となる場合においては公社側の士気は沈滞すると思う。こういう点は大臣においても十分お考えのことと思いますが、私たちとしても慎重に扱つて頂くことを希望いたします。  次に三十条に移りたいのですが、ちよつと下級職員のほうの関係で伺つて置きたいのですが、人事院規則のあれは八条、九条だつたかの条件付任用、そういう人事院規則における条件付任用というような、そういう制度公社なつた場合にどうなりますか。
  46. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) 当然人事院規則などは適用ございませんから、これは別個の立場で、例えば二カ月なら二カ月という見習社員というような制度を作るかどうかという問題が考えられ、想定されますけれども、今の条件付任用という六カ月の間ですね、いつでも無条件でやめさせることができるというあの制度をそのまま踏襲することはできないと思います。
  47. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 なほ三十条ですが、これはあとのほうで出て来る、予算財務関係のほうに出て来る給与準則の問題と関連があるのですが、この給与準則の基本的な考え方というものは、この三十条のこれによつて今構想はどういうふうに考えられているのですか。もう公社切換えになれば新らしい構想でやられると思うのですが、率直にお聞きしましよう。給与準則の案がございますか。
  48. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) まだできておりません。
  49. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 基本的な考え方は或る程度固まつておりますか。
  50. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) 給与準則の問題でございますが、給与準則につきましては、七月一日と申しますか、公社移行のすぐその際において新らしい給与準則というものはまだできないことになると思います。そして差向き只今制度を原則として一応踏襲して只今いろいろ研究いたしておりますが、これは組合との交渉の対象に当然なるものでございまするし、十分組合との交渉を尽して新らしい制度を制定して参りたいと、こういうふうに考えております。
  51. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 総括的な御説明の場合に、この給与は高能率高賃金という基本的な制度に立脚しなければならんと言つているのですが、それでそれによれば生計費というもののウエイトが薄くなるような、生活給という方面が薄くなるような常識的な考えを持たれます。で、私のお尋ねしたいのは、高能率高賃金の給与準則の体系において、生活給というものがどういうウエイトで考えられるのか、そういう点はもう基本的な構想があるはずだろうと思うので、こういう点を伺いたいのです。
  52. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) 生計費と申しますか、生活費は当然給与体系を考えるときには考えなければならない。一定の年齢に達した者が必ず自分の生計を営めるということを当然考えなければならない、これは高能率高賃金という制度においても最低限度の保障とということは当然考えるべきであると考えております。
  53. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは給与準則のほうに入つたときにもう少し基本的にお伺いしたい点なんで、今のところは一般的に伺つて置きますが、そうすると総括質問で大臣も御答弁があつた高能率高賃金というものにあの報償金という制度考えられるように伺つておるのです。報償金という制度以外に高能率高賃金としての体系には他の要素はもうないのかあるのか、考えがあるのかないのか伺つて置きたい。それからもう一つは、高能率高賃金という給与体系、賃金体系というものに報償金というものが理論的に入るのか入らないのか、この点伺つて置きたい。
  54. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) 高能率、高賃金ということは必ずしも報償制度だけの問題ではないと存じます。例えばオペレーターについて非常に能率を挙げて一生その仕事に従事しておる人に高い賃金を出して行くというような制度も当然一つの給与準則と申しますか、そういう体系のウエイトを考えられて行つておる問題だと存じます。それから只今の報償制度というものが給与体系の中に入つておるか入つていないかというお尋ねでございますが、これはやはり何と申しますか、個人々々の給与体系そのものには入らないのでございますが、やはり併しそれ全部を包含して給与全体の問題を見て行くわけでございますから、その点においてはやはり給与体系に入つておるものと考えられます。
  55. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 理論的に言われる能力給というものの一部分が報償金であるとお考えになつておりますか。
  56. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) そう考えております。
  57. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると報償金というものは恒久性がなくてはならん、一時的に打切られたり、或いは廃止になつたり、そうなるべき筋のものではないと思います。恒久措置があるだろうと思います。そう考えてよろしうございますか。
  58. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) いいえ、これは報償金の報償制度の建て方によるわけでございますが、私たち考えておりますのは、職員が大いに能率を発揮して頂き、そうして増収のあつたような場合にその一部を奨励金として出すということを主として考えておりますが、併し或る程度の一つの能率という基準がはつきり算定できる部面におきましては、その能率以上の仕事をした場合に、それにやはり出すというようなことは無論考えられるのであります。
  59. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だからまあ常識的に考えて、公社が年間何億という利潤を生んだ、その何%かは従業員に対して報償金として廻すというような基本的なものが考えられて、そうして毎年毎年それが恒久的に行われるということでなければ能力給の一部をなさないだろうと思う。ですからそういう意味において或る金額以上に利潤が上つたという場合には、当然報償金を出さなければならないはずなのに事業拡張の都合とか何とかということでそれは本年は出しかねるとか、或いはその率は低額になるとか、こういうようなことがあつて能力給その他含めて一切の給与体系ができるという場合においては不当だと思う。そういうことをやつてはならないと思う。そういう意味において私お尋ねしているのですが、その通りであるとなればそれで私は満足するわけです。
  60. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) 報償制度の作り方によるわけでございますが、只今小笠原委員のおつしやつたような線で作られるものと思います。
  61. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 給与準則は、これは基本的な問題ですからあとで伺います。  三十一条に移りまして、三十一条の規定そのものは大体、私変なことをお伺いしますが、公社切換えになる途端においてこれを適用して何らか措置いたしますか、一般的にこれを使つてこの際何らかいたそうという考えがございますか。
  62. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) 別にございません。
  63. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 三十一条の一の「勤務成績がよくないとき。」というのですが、勤務成績がよくないという判定の基準がございますか。
  64. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) これはできるだけ客観的なものこいたすべきでございまして、例えば時々と申しますか、よく休むというようなこと、或いは非常に遅刻、早引が多いというようなこと、或いは更に今後勤務表等について何かできるだけ合理的なものを作つたときに、長年続けてその表等があつた場合、いつも成績が最下位であるというようなことが考えられます。
  65. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だから将来はこれもやはり客観的な判定の基準なり基礎というものが内部的に作られてやる、上司の恣意、自由によつて措置されるものではないと考えてよろしうございますか。
  66. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) その通りでございます。
  67. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 次の三ですが、「職務に必要な適格性を欠く」というのですが、適格性ということがなかなか私にわからんのですが、これには職務職務によつて何人にも示される基準があるのですか。
  68. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) これは主として降職というような場合に考えられる問題だろうと思いますが、やはり課長なら課長として統御力が甚だ薄いというような、適格性がないというような判断、これも先ほど勤務成績がよくないという言葉と若干似ているかと思いますが、もう少し違う意味において、将来そういう職員能力成績を示すような制度を作ります際には、それぞれの職務について、例えば課長とか局長というような職に就いている人の場合に一体どういうことで判断するかということが明らかになりましたときに、それによつて当然課長として必要な能力が欠けているというような場合に、この必要な適格性というようなことが考えられるのではないかと考えます。
  69. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これはやはり客観的な基礎をそれぞれ御研究になつて、文句のないようにして仕事を進めて行くということになるわけですね。  四の「その他経営上やむを得ない事由が生じたとき。」ということで、誠に漠然としておるので、これは非常に何といいますか、大した法律で、「経営上やむを得ない事由」、これは明らかにしておく必要があると思います。これをみだりに使われたのでは、それはもう従業員諸君は安んじて職務に専念するということを遵奉できない。これは親切心を以て政府側から御答弁願つておきたいのですが、どういうことを指しておるのか列挙して頂きたい。
  70. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) この点は電信電話事業において先ず考えられますことは、機械化と申しますか、特に或る電話局が自動交換になるというような場合に、それまで手動式でやつておりましたために交換手が何人もいた、それが自動交換になりまして特殊の公衆台とか案内台というようなものを除いては要らなくなるというような場合が考えられております。
  71. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると昨年末あつた考な行政整理というふうに、機械的に何%天引するというような場合はこれの適用がないわけですね。供出制度みたいにしぼり上げられるという場合にはこれの適用でやることはないわけですね。
  72. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) 不当な人員整理ということは考えておりません。
  73. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 当不当というのは一番困る言葉なんでして、人員整理が正当に行われたというようなことはこれは滅多にあり得ないことなんです。不当なほうが九〇%以上であるのじやないかと思うのですが、若しも仮に去年のような事態がこれの適用でないとすれば、ああいうような、時の内閣政府政党の意思によつて供出的に人員整理をしなければならないとなつた場合には、この公社法におけるどこに根拠規定があつてそういうことができるのか、そういう可能性があるのかないのかということを伺いたい。
  74. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) 行政整理というような場合において、それをやる場合におきまして不当のことをやるということは、管理者としては勿論考えられないことでございます。
  75. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうでもないですよ。
  76. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) その点においてどうしても能率が上つてこれだけの人でやれるという判断がはつきりつきますならば、この条項によつてやるというふうになります。
  77. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、過去にあつたような機械的な、何といつたつてあれは一般的に言えば機械的だと思います。機械的な行政整理はやはりこの条項によつて、今後ある場合にはやられると、ここに基礎があるということでございますか。
  78. 靱勉

    説明員(靱勉君) おつしやる通りでございまして、この法律におきましても、公社におきましては給与総額というものは予算で国会の議決できまつて参るのであります。仮に非常に経営費を節約するというようなこと、或いはその他の理由給与総額を抑えられたというような場合、その理由というものがもう少し人員を整理して能率を上げて今の経営を維持しようというような意味によつてその場合には当然「経営上やむを得ない事由が生じたとき。」ということに該当するのでございまして、在来の行政整理に代るものがこれであるということに解釈せざるを得ないのでございます。
  79. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういう事態の場合のことを、私変なことをお伺いしますが、立法上規定しておかないと困るというのはどういうことですか。
  80. 靱勉

    説明員(靱勉君) 立法上今から規定して置かなければ困るという点でございますが、まあともかくいろいろ経営の合理化等が予想されます場合におきまして、初めからやはり法律に第四号の場合をはつきり規定して置いたほうが正当であるというふうに考えます。その際において特別立法するより、すでに考え得る場合におきましては、規定して置いたほうがいいんではないか、殊にこれは降職、免職の重要事項でございますので、「業務量の減少その他経営上やむを得ない事由が生じたとき。」ということをはつきり規定して置くのが正当かと思います。
  81. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今労働委員会にかかつている公労法の改正等もあるわけですが、そうしてこの公社団体交渉権その他を認められて、公社経営当事者のほうに対して対抗することができるようになつておりますが、この条項は、そういう交渉の範囲内ですか、範囲外ですか、こういう場合に、「経営上やむを得ない事由が生じたとき。」という場合には……。
  82. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) 結局これはこの法律の条文の範囲内において、更に具体的な就業規則というようなものができるわけでございます。それは当然団体交渉の対象にその規則そのものはなります。
  83. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その前の、整理されては困る、或いはそれだけの整理では多過ぎる、これだけにしてもらいたい、それでなければ職場における業務遂行には責任が持てない、こういう状態は交渉の範囲に入る……。
  84. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) それは交渉の範囲に入ります。ただ、それを判断して、これだけのものは減らせるという公社が見解を持つてやるわけでございます。
  85. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 よく事情がわかりましたが、次官の先ほどの御答弁ですね、政府が予算案を出し、国会がそれをきめて、きめられたことによつての金額的に人員を抱えて置くことができないために、何人かを整理するという場合、この法の適用でやるのだと、やらざるを得ないということですが、こつちのほう、この同じ法によつて給与準則の何と申しますか、基礎的なものを考えて努力して行くのはやはり私は公社側だろうと思うのですね。それがまあ政府の財政当局の措置によつて削減されると、そうしてやつて来た場合に、この法による三十一条の適用で整理して行くということになるのだと思う、手続上は。それで私給与準則の建て方、給与総額の建て方如何によつて、こつちのほうも左右されて来るということであれば、話は廻りくどいですが、経営上止むを得ない事由という中に、そういうものが含まれるということは、結果として、事実として含まれる場合があることだけを言うのであつて、そういう含まれ方は、公社としては困る、断じて公社としてはそういう含まれ方はすべきじやないという立場にこの三十一条のほうの立法の精神があるようにしておくべきではないかと私は考えるのですが、如何ですか。次官のように答弁されてしまつては、どうもつうつうになつてしまつてうまくないのですがね、これは。
  86. 靱勉

    説明員(靱勉君) 今おつしやる通りに私ども考えておるのでございますが、本条規定というものは、まあ勿論御承知通り、これはむしろ身分保障の規定でございまして、これでどんどんやるぞという規定じやないのでございます。こういうような場合でなければできないという規定で、これはむしろ身分保障の規定でございます。先ほど一例をとつて申上げたのは、その給与総額の減少というものが、やはり人員をもう少し整理して、公社経営を合理化いたさなければいかんというような要請に対して、公社納得した場合においてのお話でございまして、給与総額が少し減つたから、すぐこれでやるのだというような考えは毛頭ないのでございます。又そういうふうに行くべきものでもないようにこの条項は解釈しなければいかんと思います。
  87. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 次の三十二条に移りますが、この体職定は、国家公務員の場合と大して変りがないようですが、この例えば疾病等の休職なんという場合において、業務の特殊性から起つて来る他の公務員に見られない特殊な休職規定等を必要とするというようなことは何らないわけでございますか。これは一例なんですが、どうも公社なつたら公社らしい休職規定があつてもいいようにひよつと考えるわけですが、この点は国家公務員並みになかなかやかましい、今一般に国家公務員等においても、結核性疾患の場合の休職等においては、満二年なんというのではとてもだめだ、三年にしてくれというような要求等が非常に強い。これはまあ電通現場職員における特殊な疾病の状況などということは私にはわかりませんが、まあ一般的にそういう問題についてでも、公社であるならば、ゆとりを持つて考えられる部面が、まあ厚生福利のためにあつていいのではないかと思いますが、なぜこれは引移しみたいな休職規定をお考えなつたのかお伺いしたい。
  88. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) 只今のお尋ねのような趣旨のことは確かに考えられるのでございますが、一応この公社職員につきまして、まあ給与の上で政府関係機関と申しますか、そういうような点から、大体においてまあ政府職員とそうひどくかけ離れた給与体系も急には作られない。これはまあ給与総額の問題等からそういう裏はらになつて参ると思うのでありますが、その場合において、一般の公務員のものと同じ休職については、給与というものを考えて行くということが、まあ現状としては全体のバランスの上から妥当である、こういうことで、この点について細かい規定公務員法の場合と殆んど同じようになつております。それで、只今お話のございました結核性疾患というような問題について、電信電話公社として特別な問題があるということがまあはつきりいたしますならば、又これらのことも将来は当然考えて参るべき問題であろうと考えております。
  89. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 電通関係には専門の病院等もあるのですから、統計的に相当事情は判明しているのではないかと思うのですが、そういうことからこういう機会に速急に国家公務員の場合と変つた措置をしなければならんというような特殊な事情は認められないのですか。
  90. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) 只今申上げました、何と申しますか、案ですが、まあこれのはつきりした職業病と申しますか、そこまでの結論は今出ておりません。が、勿論我々そこらの点につきましては十分研究は今後も重ねて参るべきだと思つております。
  91. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まあ二年というところで急に結核性疾患者が全快するというようなことが統計的に出ているのですかということです。
  92. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) まあ二年ぐらいで……。その前に、今の結核の場合におきましては、結核の管理要項というものがございまして、一年間は休職にしないで行けるわけでございますが、まあ大体二年乃至三年で癒るべきものは癒るだろうというように考えております。無論これは正直なところみんな決して二年で完全に癒るとは申上げられません。
  93. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この三十二条は公聴会における公述人、国鉄公社のほうの従業員組合のかたも申されておつたし、電通組合の側でも非常に強い意思を以て或る項については削除するべきだという意見を持つておるようです。即ち公労法十五条によつて雇用の基礎的な条件に関しては団体交渉の範囲内に入る。そうすればこの休職期間或いは休職対象、これらについては個々に団体交渉に委ねて決せらるべきである。この規定は矛盾していないか、又矛盾しないとするならば、認められた団体交渉権というものは有名無実ではないか、こういう議論があるのですが、あなたのほうの側ではそれらの関係をどうお考えになつてこういう規定をお定めになつたのかお伺いいたします。
  94. 山岸重孝

    政府委員山岸重孝君) 只今お話のことは勿論考えられるのでございます。もつと原則的なものだけにして、具体的な期間とか或いは給与の額等は外す、身分保障の根本だけ書くという行き方は無論考えられるわけでございますけれども、現在、これも国鉄の真似をしているということで誠に能がないではないかということになるかも知れませんが、現在の状態においてはやはり国鉄等とバランスをとつてこういう規定を入れておくほうが妥当であると、こういう結論になつたわけでございます。
  95. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 経営者側においては妥当であると考えたくなるのは当然であつて、私その生な御意見を聞いたことについては誠に欣快に堪えません。併し我々立法府にある者としては、一切合財が公正に扱われなくちやならんと考えますし、公社経営における経営者側が頭脳であるならば、従業員は手足であります。これらの士気を鼓舞し、これらの自由な活動が尊重せられてこそ私は公社経営が活溌になるという基本的な考え方を持つておるわけです。近代的な労働関係を明確に規定して、そして労使と言うと当らないかも知れませんが、そういう関係において論議の結論が得られて、それが実践に移つてこそ、私は真に従業員職務専念の義務付けなり、或いは活撥業務遂行の意欲を引起すもとだと思つている。それであいまいな点があつてもときの政府考え方でこういう法律規定なつたんだということは一番納得しないところだろうと思う。それで若しも仮にこういう規定がさまざまああとするならば、保障するといつて半面取締つているほうが多いのですから、こうしてはならない、ああしてはならない、みんなそういうふうに項目ができているのですから、それならばその締括りとして第三十六条の「公社職員の労働関係に関しては、公共企業体労働関係法の定めるところによる。」というものの適用をもつと充実さすべきじやないかと思う。例えば先ほど申しました行政整理的な問題も三十二条の適用をせざるを得ない事態が可能性として残されておる。それは給与総額のほうが予算総則で決定せられてしまうというようなところにある。こういう点は非常に従業員側としては困る点であろうと思う。が、それにしても又この給与の問題を決定する場合に、民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定める、多分考慮するというのですから最終的な決定をするとき比較検討するということだろうと思う。ところが比較検討した場合においても、公社側としてそれだけ上げてやりたい、予算額も間に合うと仮に思つた場合においても、一般公務員はそうなつていない。或いは同じ実質的な現場業務をやつている郵政事業のほうの職員には特別会計において予算がないからそれまでに上げ得ない、従つて公社のほうも我慢してくれ、こういうようなことが紛争になり、仲裁裁定というふうな問題になつて来る。ところがその仲裁裁定は政府を拘束しない、公社を拘束しない、これならば何のために、こういう一切の規定従業員保障の実効が挙げられるか、何のためにこういうことをきめておるかということを言いたくなる。そうして而もこれは専売公社の秋山総裁も何回も繰返して言つたのですが、給与総額をきめられていることはもう困る、専売として困つている。又公共企業体労働関係法において、公社並びに政府を拘束するという規定がないために困つている。それによつて如何ほど専売公社経営がマイナスになつているかわからん。この際電通公社ができるというならば、このことについては飽くまでもそういう欠陥を排除してもらうようにしなければ、電通公社が成立つても我々同様の紛争と苦い経験を重ねるだけだろうということを言つておる。二十六条の公共企業体労働関係法のそうした部面についての改正について十分なお考えがあるかどうか、まあお伺いしたい。これはあと大臣に伺わなくちやならんのですが、先ずあなたに伺つておきたい。どうです。この法の全般的な体系として。
  96. 靱勉

    説明員(靱勉君) 理想体系としましては今おつしやられた通りと私ども考えております。
  97. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いや現実です。
  98. 靱勉

    説明員(靱勉君) そこで現実の問題といたしまして、ここに掲げてあります事項は勿論団体交渉の対象になるわけであります。勿論現在の公共企業体労働関係関係におきましては、いわゆる罷業権も認められていない形になつておるのでありまして、労働関係全体といたしまして、基本的な国の方針のきまるところに従つてこれは変つて来べきものだと思いますが、現在の法制上の建前におきましては、私ども一応他の国鉄等とも睨み合わせまして、これらの規定をむしろ場合によつては保障規定としまして設けたような次第であります。但し今おつしやられた諸点につきましては、今後漸次そういうふうに改善、発達して行かなければならんというような考えは持つておる次第でございます。
  99. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると次官としてはそういう形に公社経営が行くことが前進である、進歩であるとお考えになつておると了解してよろしうございますか。
  100. 靱勉

    説明員(靱勉君) その通りでございます。
  101. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あとはこれは大臣に伺わなくちやならんのですが、丁度第三章区切りがいいところですから、ここの部分だけはこれだけにしておきます。
  102. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) それでは午前は暫らく休憩いたします。午後は二時から開会いたします。    午前零時五十二分休憩    —————・—————    午後二時五十六分開会
  103. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 午前に引続きまして会議を開きます。小笠原委員はまだ第一章、第二章についての御質問がなかつたので、この際ございますればお願いいたします。
  104. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では簡単に一つ皆さんに追付くように質問いたしたいと思います。  第一条に関連してございますが、現在まででも電通省では建設の請負工事というようなものについて各種の会社があつて、この間大阪に行つたときもそうでしたが、旧電通幹部のかたがそういう会社の幹部になつておられる、そういう事情が非常に多いようでございまするが、而も毎年度の建設計画において、そういう会社の請負になつておるものが全体の半分ぐらいもあるとかというふうに聞いておるのですが、それらと今度のこの会社の問題はどういうふうになつて行くのかはつきりせんのですが、要するにそういうことから逐次実際的には建設工事関係は一切民営のほうに行くというふうになるのではないかという考えを持つかたがたもあるようであります。こういう考え方に対して、政府としてどうお考えになつておるのか、又今度切替えになるような場合に、そういう新らしい又会社等も作つて、それにやらせようというようなことを御計画になつたとかならんとかいう話も聞くのですが、そういうことの事実の有無についてもお答え願つておきたいと思います。
  105. 靱勉

    説明員(靱勉君) お答え申上げます。電気通信施設の建設につきましては、これはもう在来相当母前から民間の工事能力も利用するということをやつて参つたわけでございます。大体戦前におきましても、民間の工事能力を建設面に利用するということで、更にそれを相当強力なものにすると申しますか、余り小さなものばかりでは大きな工事の請負もできないというような関係がありまして、戦争初期におきまして、日本電信電話工事会社と申しますか、そういう会社が、これは勿論特殊法人ではございませんでしたが、形成された。終戦後におきまして、これはすでに御承知のように、解散されまして、その工事に従事していた人で電気通信省、当時の逓信省でございますが、逓信省に就職を希望する人は国際電気逓信株式会社の社員と同様にこれを引受けたという形になつておつたわけであります。併しながら、日本電信電話工事会社というものが解消いたしましても、勿論この企業というものは自由企業でございまして、別にそういう会社を作つてはいかんという法律的な規制もないわけであります。その後依然として小さな規模の会社相当存在いたしておつたのであります。併しながら、これにつきましては、関係方面から特に高度の技術を要する面につきましては、直営でやるべきであるという強い、指令というわけではなかつたのではございますが、勧告がございまして、時大部分直営の形態に持つてつておつたのでございますけれども、或いは定員の問題、或いは工事の実際的な形と申しますか、そういうような点から、どうしても単に電柱を立てるための土木だけしか請負に出せないという範囲では、到底建設工事の促進ができないというような実態を持つておつたことは事実であります。そこで、関係方面にも了解を得まして再び毎年度の建設工事の幅におつきまして民間の工事能力等を利用するのが便利であり、又なお経済的という言葉は単に安いという意味ではございませんが、経済的であるというふうに考えたものにつきましては、これを請負に付するということで進んで参つておつたのであります。併しながら、どうも建設工事の幅につきましては、なかなかこれは全国的に規則的に動いて行くものではありませんが、非常に高度な技術を要すると同時に、又地方的に考えて見まして、民間の工事能力をやはりこういう工事には直営工事を中心として入れて行く必要はどうしても否定できないという関係もありますし、又結局工事幅がだんだんと殖えて行く場合に非常に定員を増員して行くということも、必ずしも政府機関として十分これに対応できないという実態もありまして、更に工事請負の幅も拡げて行つたらどうか、それのほうがむしろ能率的であり、経済的であるというような面もありまして、最近におきまして、更に多少技術の高いものにつきましても、そういう能力があるものならば工事請負を出して行くという大体これは方針をとることにいたしております。
  106. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 第三条に移りますが、ここで「第一条に規定する目的を達成するために必要な業務を行う。」とありますので、関連して第一条の公衆電気通信事業というものの範囲についてお伺いしたいのですが、これも皆さん伺つてあるだろうと思うので、ちよつと国際電気通信事業、これはこの中に入るかどうかということを念のために伺つておきます。
  107. 靱勉

    説明員(靱勉君) 第一条の中には国際電気通信という意味が含まれております。
  108. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そのことはこの電信電話株式会社の行う業務とどういう関係になるのでしようか。簡単でようございますからお伺いしたいし、又法文上からそうだということになるなら、そういう国際会社に、公社が当然やり得る業務をやらせないというふうに公社側主張するならば、この会社のほうの経営が成立つて行くものかどうかという点が第二番目であります。それから第三番目としては、この第一条の目的を達成するために、公社会社に対して恒久的な出資等をやつて行くのかどうか、これが第三点であります。
  109. 靱勉

    説明員(靱勉君) お答えいたします。先ず第一点でございますが、施行法及び国際電信電話株式会社法案の附則で、現在の電信法をそれぞれ改正いたしまして、先ず公社関係におきましては、公衆通信業務と簡単に申上げますが、それは日本電信電話公社をして行わしめるというふうに改正いたしまして、そこで公社は一応この法案におきましては、七月一日から発足することになつておりますが、国際会社は施行の期日は来年の三月三十一日までの間に別に政令で定めるということになつております。従いまして、現在電気通信省の行なつております公衆業務は一切挙げて一応公社に移つて行くという形になつております。そこで国際通信会社法案の中におきまして、その附則で更に外国との公衆業務につきましては、国際会社をして行わしめることができるというふうに電信法を改正いたしております。その結果、国際電信電話会社は、国際公衆通信業務を行うことができる権能を与えられたわけでございますが、その場合において、それでは公社会社との業務の分配はどうかという問題に相成るわけでございますが、これは政府の方針といたしましては、原則として国際業務は国際会社をしてやらしめる。併しながら、すでに御承知のように、国際業務は現在殆んど全部無線通信によつて電信電話はやつておるわけでございますが、現実にはすでに通じておる朝鮮との有線海底線もございますが、そのほかにも将来海底線が復活するというような見込もある。それから又国際業務と申しますのは外国との間、又は外国船舶との間の通信ということになつておりますので、現に電気通信省の持つております海岸局におきましては、船舶との通信を、国内通信のみならず、外国船舶とも、現在これは非常に現在の数量は少いのでございますが、行われておる。そこで国際業務というものを国際通信会社をして原則として行わしめますが、海底線の処分の問題、或いは海岸局業務をどういうふうにするかという問題につきまして、どつちかに分けて行かなければならんわけでございますが、差向き公社において行なつて行くような、行い得るような態勢にいたしておきまして、両者の業務の分配というものは郵政大臣がこれを省令の定むるところによつて決定できるような態勢を考えておる次第であります。一応現在の法律改正としましては、その分配の点は明らかではないのでありますけれども、次に御審議を願いさするところの公衆通信法等におきましてそういう点は明らかにいたしたいと思つておりますが、現在の両法案におきましても、出資の場合におきまして国際通信業務に使用している設備をどの程度出資して行くかという点におきまして、公社会社との間に議が整わない場合には、郵政大臣がこれを決定して協議が整つたものとするというような規定がこの法案のうちに盛られてあるのであります。それらの範囲におきまして、相当業務の範囲も明らかになつて来ると、こういうことでございまして、政府としましては、両者をして競争せしめるというような考えは持つてないのであります。  それから次の御質問で、公社は一体これに対して会社がそういうものは俺はやらぬといつた場合にどうするかといつたような御質問の趣旨でございましたが、只今説明した通り会社の業務をそのように公社会社との間に、原則は国際会社である、例外的に会社に必ずしもやらしめるのを適当としないものを公社に保留しておくというような態勢をとりますので、その点につきましては、会社としては、会社法案の第一条の目的に従いまして、国際業務を十分やつてつて、公共の利益の増進に資せなければならん当然の責任を持つておるというふうに解釈いたしますので、その点におきまして、事実上会社が選択的にやるということがないようになり得るものと考えております。  第三の公社は然らば会社の資本を持つのかという質問につきましては、この法案に書いてございます通り、一応現物出資はいたしますが、遅滞なくこれを政府のほうに有償讓渡するということに相成つておりますので、公社は原則としてこの会社の株を保有することがないことに相成つております。
  110. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 二番目にお伺いしたことですが、財産讓渡イコール業務の分配というふうに規制せらるるということについては私どもはつきりわからぬのです。
  111. 靱勉

    説明員(靱勉君) お答え申上げます。その点は今少し言葉が足りなかつたのでございまして、決して財産讓渡直ちに業務の分配ということにはお説のように相成りません。併しながら、大体におきまして、現在無駄に今設備が余つておる時代でもございませんので、例えば、アメリカ向きの送信をする設備を全部この公社に現物出資して置きながら、この公社が又国際通信をやる設備をするということも常識的に考えられませんので、大体現物出資の幅におきまして、或る程度分界がきまつて参りますので、法律的な正しいきめ方は公衆通信法におきまして、その両者の業務の分配に混乱を起さないような規定を設けまして、昨日衆議院のほうへ提案いたしたような次第でございます。
  112. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしますと、今出て来ている法案が将来成立しない限りは、業務の分配は明確にならない、法律的に効果が出て来ないということでございますか。
  113. 靱勉

    説明員(靱勉君) 法律的に申しますとさようでございます。併しながら、これは結局この両法案及び施行法案におきましては、両者ができるようになつておりますが、実際上これは双方協定によりまして、円満にその業務の範囲は解決つくものと考えております。法制的な整備をするために更に公衆通信法というものも制定いたして行きたいという考えでございますし、会社法の施行も七月一日施行と相成つておりますので、それら相睨み合せまして、円満な解決がつくんではないかと、こういうふうに考えております。
  114. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、この公社法そのものには法律上国際会社に国際関係の通信事業をやらせなくちやならないとか、やらせるとか一切そういうような関連したことはないのであつて一般的に仮にこの公社法だけが通つて、そうして会社法のほうがうまく行かなかつたという場合には、この法のままで従来の電気通信省で行なつている事業が全面的に将来行われて行ける、こういうふうになると思うのですが、そう了承してよろしうございますか。
  115. 靱勉

    説明員(靱勉君) 仮に会社法が成立しない場合におきましては、公社がこの規定で全面的に在来通りやるということが可能であります。併しながら政府としましては、両法案を同時に提出いたしまして、これが両方国会の御審議を経て可決ということに相成りますればその範囲をどういうふうにするかということはやはりここに一つの国の意思があると思います。先ず第一に予算面におきまして、公社が国際通信をやるという予算を出したときに、政府が認めるかどうかの問題もありますので、公衆通信法ができなくても、その間の分配というものは政府の意思によつてかなりきめて行かれるものというふうに考えております。
  116. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だんだんにわかつて参りましたが、そうすると、さつきもお尋ねしましたが、公社側はこの業務は絶対会社側には渡さないということがあつてもいいことであるし、又そう主張される限り、会社側では公衆通信法のない限りは我々に渡すべきであると主張する根拠もない、こういうことになるわけですか。
  117. 靱勉

    説明員(靱勉君) 会社法が成立いたしまして、施行されまする場合におきましては、国としましては国際会社というものは国際通信のまだ会社法の逐条御審議は願つてないのでございますけれども会社法を見ますと、第一条に国際電気通信事業経営することを目的とする株式会社として、国の意思を決定いたしておきながら、全然これに国際通信をやらせないというような、そういうようなことは考えられない。
  118. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 全然でなくて、部分的なものについて、これは靱さん、これはこつちだというような主張がお互いにある場合のことです。
  119. 靱勉

    説明員(靱勉君) その点は只今説明申上げました通り、電信法の改正は両者がともかくできるようにいたしておりますので、原則がこういうものを除いて国際会社にやらしめるというふうな規定になつておりませんので、おつしやる通りなことになりますが、予算の審議等や何かにおきまして、先ほど申上げました公衆通信法が施行されない場合におきましても、そういう調整はできるものというふうに考えております。
  120. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 一応よく了解いたしました。「電気通信設備の設置及び保存」それから「通信用の機械、器具その他の物品の調達、保管、修理、加工及び検査」というときの保管、これはどういう区別があるのですか。
  121. 靱勉

    説明員(靱勉君) 第一号の規定はこれは具体的に例を申上げますれば例えば海上保安庁あたりで電気通信設備を作つてもらいたい、或いはその維持をしてもらいたいというような場合の委託のことを考えております。民間におきましては、先ず普通考えられませんが、他の政府機関におきまして、みずから建設保全ができるものであつても、電通公社に委託したほうが便利だという場合が相当あるかと考えられます。第二号の問題、例えば電話交換機を購入する場合におきまして、電通公社にいろいろ検査等も任せて、そこで調達してもらう、或いはその調達したものを設置してくれと、こういうような場合が考えられるのでありまして、第二号のほうは機械、器具その他物品個々のものでございます。
  122. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、これはいつか聞いた第二号のほうは、ホテル等の施設のものも保管修理を公社がやるといつたその具体的な例に該当する号ですか、この号は……。
  123. 靱勉

    説明員(靱勉君) 第二号のほうはホテルのいわゆるP・B・Xと言われておるようなものは、これは公衆通信の業務の幅になつて参りますので、それらは現在の電信法及び電話規則によつて規律されて来ることであります。
  124. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 第四条ですが、主たる、従たる、この事務所の区別は機構上実際的には具体的にどういうものですか。
  125. 靱勉

    説明員(靱勉君) 主たる事務所は本社を考えておりまして、従たる事務所につきましては、現在の機構におきまして、地方通信局を考えておる次第であります。
  126. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 通信部は従たる事務所でございませんか。
  127. 大泉周蔵

    政府委員(大泉周蔵君) 従たる事務所の観念につきましては、いろいろ研究をいたしました。商法その他におきまする従たる事務所の性格というのは、一番大きな効果は訴訟法関係の点が多いように見受けられます。それから或る契約をした場合のその履行の場所を定めない場合においては、事務所の地方履行の場所とするといつたような規定がありまするので、我々といたしまして訴訟法の場合における訴状の送達場所、或いは公社が被告になつた場合におきまして、提訴すべき管轄裁判所といつたようなものがこの事務所の主たる法律上の効果でありますので、そのような関係におきまする責任を持つ機関は電信電話公社におきましては、通信局でなければ実際上その取引の関係における責任を果すことはできないという意味におきまして、関係当局の向きとも相談いたしまして、通信局がよろしいということに決定した次第であります。
  128. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 通信局は事務所で、暫定的な今の機構のままで切替えられた当時における公社の名称で言えば通信部はそれは何になるのですか。
  129. 大泉周蔵

    政府委員(大泉周蔵君) この通信部と並びに管理所或いは取扱局というのは、そのそのおのの営業をする場所でありまして、この法律に言われる、いわゆる事務所ではないのであります。この点はあたかも国鉄におきまする駅とか或いは保線区、運輸事務所といつたようなものに当ると思います。
  130. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、個々の法体系上は主たる事務所、従たる事務所、或いは概括的に何と言います……。
  131. 大泉周蔵

    政府委員(大泉周蔵君) これは商法におきましては、主たる事務所というほかに営業所といつた観念もございます。この、商法の株式会社におきまして、事務所というものを設定しますときには、先ほど申しました通り法律論としましては事務所ということがその訴訟法上の問題として非常に意味を持つのでありまするが、その他のものを法律上何という名前にしなければならないかということは、別段この訴訟の関係については意味がないのでありまして、これを何というか、我々としましては取扱局或いは通信部と申してよろしいと思うのであります。
  132. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、取扱局等についてですね、今後郵政大臣の許可認可事項ではなくて、公社で自由に設置乃至廃止することができるということになろうかと思うので、これについては国会政府もですね、何ら関与することのない問題だけれども、その限りにおいては、国会に対する請願、陳情、そういうものはどういうことになるわけでございますか。
  133. 大泉周蔵

    政府委員(大泉周蔵君) この点につきまして、我々も立案当初非常に苦心をいたした次第でありまして、御承知通り国鉄の場合には、従たる事務所も主務大臣の認可が要らないということになつております。それから、この公社というものに対して、経営の自主性というものを与えることによつて経営の合理化、能率化ということを図る趣旨におきましては、執行の方法ということは、この執行経営委員会並びに執行役員に任されるものと考えるのでありまするが、と申しましても、このような公益的な事業につきまして、全部任せ切りということは立法の趣旨からも如何かということを考えまして、特に最も大きなものにつきましては、即ち事務所になるようなところというものは、主務大臣が十分見て行けるようにするのがいいではないかという意見が出まして、これは専売公社の例を習い、このほうがいいではないかというので、国鉄よりも一歩主務大臣の見られる範囲を広くした次第でございます。
  134. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 具体的になりますが、そうしますと、取扱局等の設置等について、地域の住民との利害を反映することについて十分な手続等御考慮でございますか。
  135. 靱勉

    説明員(靱勉君) 公社は、第一条の目的のごとく、ともかく我が国の現在悪い状態、電気通信の状態をより改善するために、こういう企業態勢を整備して行こうという目的の下に発足するのであります。只今指摘の、例えばどこに一局を設けろという請願、或いは現在あるものを潰してしまえというようなことに対しましては、最も大きな関心を持つておるわけであります。これが経営成績が上るか上らないか、本当に目的を達しておるかどうかという批判の対象になるわけでありまして、勿論そういう請願があつた場合におきましては、公社はそれに対して十分配慮すると同時に、又その請願の趣旨を充足できない場合には、詳細にその点につきましても御回答するということによりまして、なお郵政大臣一般的監督もございますし、予算の議決ということもありますし、なお又今回提案いたしました公衆電気通信法案を御覧になりますと非常にいろいろな点におきまして郵政大臣の認可を受けるような事項が更にこれ以上にあるのでございます。そういうことで国民利益を守るために御心配はないものと考えております。
  136. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 午前中から靱次官の御答弁を聞いていると、さまざまの条項のところでそういうことは絶対公社としては考えられない、併し予算面で縛られて来ると、さまざま考えて行かなければならん問題が出て来るというふうになつて、結局は郵政大臣にぎゆつと抑えられてしまうような公社経営になる場合のようなことがぼつぼつと予想されるのですが、そこで今私ふつと思い付いたのですが、国有鉄道のほうはあれはどういう関係でああなつたのですか、管理局ですかの奪い合いがあの当時大いに政治問題として行われたのですが、通信局のようなものが従たる事務所だということになりまするが、将来機構改革の上に立つて通信局の名称が変るかも知れないけれども、先ず通信局のようなものが殖えたり減つたりするというような場合も予想せらるるのかどうかというのが第一点です。それに伴つて郵政大臣に認可の申請をして行く場合に、ただ許可してくれということに対してイエス、ノーの意思表示だけであるのか。そこは望ましくないからここにせいというまでの積極的意思を加えた認可の権限郵政大臣が持つているのかどうか。又仮に持つていないとした場合に、予算上その他で攻め立てられて行けば、結局は郵政大臣の意図通りにならざるを得ないように広汎な政治的なものによつて締め上げられて来るのじやないかと思うのですが、それは一切排除できるかどうか。この三点お伺いしておきます。
  137. 大泉周蔵

    政府委員(大泉周蔵君) この認可ということは、その効力条件になるものでありまして、我々といたしましてはこの従たる事務所を或る所に置けとか、或いは置くなというようなことにつきましてはその申請した者に対してイエス、ノーということは当然言いますが、どうしてもこういう所に置けということが言えるか言えんかにつきましては、この法律の体系上十分考えて見なければならん点と思いまするがその点につきましての第七十七条の監督の規定につきましては、「郵政大臣は、第一条に規定する目的を達成するため特に必要があると認めるときは、公社に対し監督上必要な命令をすることができる。」とありまして、即ち郵政大臣が必要なる監督命令を出し得るのは第一条に規定する目的を達成するために必要があるときでありまして、それ以外の政治上の必要に基いて然るべく公社経営に干渉を加えるということはこの法律の精神上できないことと思うのであります。従いましてこの第一条の目的を達成するために必要なる限度におきまして郵政大臣公社に干渉することができると思いまするが、それ以外のものはこの法律としては排除さるべきものと思います。
  138. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そのことは記録にとどめてよく聞いておきたいところなんで、私も絶対そういうことはあつてはならんと思う。まあ出て来たときは改めて意見を聞く機会があるかも知れません。  第五条でございますが、負債の金額を控除した残額が資本金だということですが、これは前にも聞いたように思つたけれども、どうもはつきりいたしませんのでお伺いしますが、借入金というのは負債だろうと思いますが、法律上負債というのは借入金だけを言つているのか、その他どういうものがあるのか、お教え願いたいと思います。
  139. 横田信夫

    政府委員(横田信夫君) 負債の中には今お話の借入金、資金運用資金からの借入金とか、或いは公債、現在電気通信特別会計で持つております債務というのは公債、それから借入金、そのほか一時借入金というような短期負債もあります。それから借受金とかいうものはやはり借入金のほうに入るべきもので、まあ金額は小さいですがそういう種類のものがあるわけであります。
  140. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると今々の利益金とかいうようなものは資本のほうですか。
  141. 横田信夫

    政府委員(横田信夫君) 御承知のように普通貸借対照表で借方のほうに資産というのがあります。資産は流動資産、或いは作業資産、固定資産、こういうものがあるわけであります。その資産のできて来るものと金はどこから来るかと申しますと、今の借入金と、それから自己資本、それから引当金勘定というようなものがありますが、そういうようなものから出て来る。今の利益金というものが若し年度出て参りまするならば、利益金は積立金になるわけであります。積立金になつたものが、今の自己資本ということになつて参りまして、この積立金が政府の出資になる現在ある積立金が政府の出資になる、こういうことになるわけであります。
  142. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これはどなたかも総括質問のとき伺つたように思うのですが、切替の当時においては資産の評価はできないから帳簿価格で云々と言いましたが、帳簿価格以外の資産はどうなるのですか。
  143. 横田信夫

    政府委員(横田信夫君) 今お話申上げましたように、資産のほうに作業資産、流動資産、固定資産と出るわけでありますが、お話の固定資産は現在帳簿価格になつております。この帳簿価格になつておる固定資産を将来再評価ということは、これは考えて行かなければいかんということは当然だと思います。この施行法に二十九年までに再評価いたしたいということにいたしておりますが、現在は作業資産、流動資産、固定資産は帳簿価格であります。それに対処するものが今の借入金と自己資本、引当金勘定になるわけでありますが、その固定資産が帳簿価格であるためにやはり又そちらのほうに自己資本と載つておるものが低い金額になつておるということは当然だと思います。それを将来再評価した場合にどうなるかという問題のお尋ねじやないかと思いますが、将来再評価いたしました場合に、会計学上普通処理いたしますのはこういう場合の再評価がいわゆる貨幣価値の変動によつて生ずるという再評価があります。その貨幣価値の変動によつて来た再評価によつて出て参りましたものは普通資本剰余金として貸方のほうで処理する、これが慣例になつておるようであります。
  144. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 第二章の経営委員会のほうに移りますが、先般来委員長はこの法案審査を取急いでおる理由として、七月一日発足のために経営委員そのものの承認の問題も本国会でやつておきたいから、余裕は見てやりたい、早く上げたいということなんですが、そうしてみると、相当これは準備しているものだと思うのですが、人名まではここで発表せよとは申しませんが、経営委員としてどういう階層からどういうバランスで人を選ぼうとしているか、そういう基準等があるならばこの際参考のためにお示し願いたい。
  145. 靱勉

    説明員(靱勉君) これはこの前この委員会においても御質問がありまして、大体の観念を申上げておいたのでございますが、現在におきましてもこれはまあ内閣できめて出すということになつておりますので、人名等は全然私ども承知いたしておりません。
  146. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 第十条でございますが、これは再三質問したところですが、細かくお尋ねしたいと思います。この委員会が開かれる場合に、何と言いますか、発議することは各委員自由でございますか。
  147. 大泉周蔵

    政府委員(大泉周蔵君) この経営委員会が成立いたしました場合には、先ず委員長及び委員長を代理する者の互選が行われると思うのでありますが、その際この経営委員会の議事規則といつたものがそこできめられるものと思います。従いまして委員長だけが招集するか、或いはどういう招集の仕方をするかということはこの議事規則で各委員の決定に待つものと考えております。
  148. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いや、総裁は執行責任者だからというので、総裁並びにこれを補佐する理事者等におきましてプログラムによつて議題を出して事を決して行くというばかりでなくて、委員も自由にその議題を出し事を決して行くということができるかということです。
  149. 大泉周蔵

    政府委員(大泉周蔵君) 我々はこの規定によりましては経営委員が自由に発議できるものと考えております。
  150. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 次に第二項の各号についてですが、例えば予算等の問題について大臣折衝は総裁のみがやるのでございますか、委員長等も参画する場合が予想せられますか。
  151. 大泉周蔵

    政府委員(大泉周蔵君) この公社といたしまして折衝するのは執行役員の責任でございますので、公社が折衝するときはと、こういうお尋ねでございますならば、これは総裁並びにこれを補佐する者の責任と申上げることになると思いますが、実際上この経営委員会委員公社運営をよくするために交渉に当ることもあり得ようかと思いますが、それは経営委員会としての職責としてのものとは考えられない事実上の問題と考えるのであります。
  152. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 経営委員会の責任において折衝するということはあり得ない、ただ側面的に、或いは内面的に総裁に協力するという形が出たり、或いは大臣に呼ばれてその間の経緯を質されるというような場合等だけであるということでございますか。
  153. 大泉周蔵

    政府委員(大泉周蔵君) その通りでございます。この点について一つ補足して申上げますと、この経営委員会というものはどういうものかということにつきまして、例えば組合との交渉といつた場合に誰が責任を持つて交渉するのかという点につきましては、この委員会といつたものが交渉相手になるのは非常に困るといつたことがありまして、やはりこの公社代表する者というのが責任を持つということに我々観念をはつきりしたのでありますが、今おつしやいました例で言いましても、例えば政府と予算の折衝をするというときに、委員会として来る、或いは委員会委員として来るということにおきましては責任の帰趨が明白でないのでありまして、そのような交渉というものは経営委員会の決定に従つて総裁が行うのでありましようが、公社代表する責任というものはやはり総裁に帰するという工合に考えるのでありまして、実際上の問題としては経営委員が十分お働き願うでありましようけれども代表権としては総裁が持つという工合に考えております。
  154. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 くどいようですが、重ねてこの点をお尋ねいたします。そうしますと、予算折衝が総裁において難渋して来ますというと、委員会の決議になるまでの間、委員会の要請によつても、総裁は政府側と委員会との間を行つたり来たりしなければ最終的に委員会の議決が得られない、こうした場合もあると考えますが、そういう形になるわけでございますか。
  155. 大泉周蔵

    政府委員(大泉周蔵君) 我々の考えでは、この第十条第二項の規定政府に予算を提出する前の必要議決事項と考えたのでありますが、それが政府提出しました結果修正を命ぜられる等のことがございましたならば、これは又経営委員会の議決をもう一遍経なければ必要な条件を欠いておるものと考えます。経営委員会に予算を出す前にみんなきまつちやつてから経営委員会に据膳食わすといつたものでなくて、むしろ公社の財政でございますので、公社としてこれをいいか悪いか十分検討して決定しまして、それを主務大臣提出すべきものと思つております。
  156. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だから結局は修正議決等の場合もあるだろうし、本議決をしない間に折衝せしめ、それで総裁では埓があかんということで委員長が出て行つて真意を質すとか云々というような、経営委員会の議決によつてそういう行為をすることができないつのかどうかという点を別の面からお尋ねしておるのです。
  157. 大泉周蔵

    政府委員(大泉周蔵君) 経営委員会は重要事項決定機関でありまして決定をすることによつて新たに代表者を選ぶということは、昨日もお尋ねのありました通り、二十六条の場合だけでございまして、その他は代表権というものは法定してございます。従いましてこの公社の機関として働く場合に別の代表権限を与えることはできないものと思います。又今の御質問の点、そのようにこの経営委員会の議決を経ました予算につきまして政府が根本的にいじるということは実は公社経営としましては余り望ましくない行き方ではなかろうかと私たち考える次第でありまして、この公社の予算というものがほかから金をもらつて来るといつたようないわゆる政府の税金を引当にするのでございますならばいろいろな問題が起りましようけれども公社はその収入を以て支出を立てるといつた点が主でございます。今御質問の点で一番問題になりますのは交付資金を入れる、或いは政府から金を貸してもらうといつた点が主であると思いますが、一般事業計画におきましてはこの公社経営方法に対する経費の標準の立て方、予算と申しましても、大体経費の基準といつたような考え方でできておると思いますので、そのような方向がこの法律の目的といたしまする公益性、或いは国民の利便といつたようなものに副つているかどうかという点が主たる審査内容でありましてこの経営委員が十分御審議になりました内容について根本的にいじるというようなことが起ることは、すでに経営委員に対する不信任といつたことにもなろうか、ですからそのような事態というものは原則として起り得るものとは実は想像していないのであります。
  158. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私はこの問題については法律的に解明して頂くという意味でなくて、実際的な起り得る場合を想定してお尋ねしているわけなんです。例えば経営委員会は積極的な意思を持つかたがたが多ければ多いほどきめたことの効果が挙ることを期待してきめたいと思うでしようし、そのきめたいと思うことが政府の意図によつて自分たち考えるようにきめられないという事態も起つて来るでありましよう。そういう場合においてはこの経営委員は、議決というとやかましくなるかも知れませんが、申合せその他によつて経営委員会としては職責を全うすために政府のそれに対して批判をして声明を出すとか、或いは国会に呼ばれて関係委員会経営委員会はなぜこういう意思を決定したかというようなことを追究される責任はあるのですから……。そういう部面になつた場合に外部的に行動のとれないものが委員会の性格なんだということでだけでは収まらん場合が出て来るのではないか、そういうような自由がこの経営委員会にあるのかどうか。自分たちの職責を全うしたいということからだんだんそういうことが起つて来る可能性というものがあなたのほうには想像せられないのか。
  159. 大泉周蔵

    政府委員(大泉周蔵君) この点がこの経営委員会の形式が実際上非常にうまく行き得るのじやないかと思われますのは、ほかのほうの委員会のごとくこれが執行役員から遊離しました監督的なものだということになりますと、この点は厳密に区別せざるを得ないと思うのでありますが、この経営委員会は執行役員と共に経営の重要事項を決定して行く機関でありまして、その執行役員のいわば代表するものについては、法定されたる役員がやつておるわけでありますが、それがやりやすくするためにはどうしたらよいかということはこの経営委員会のかたがたが十分御研究になり、又援助されることであろうと思うのであります。それでいよいよ例えば資金を借りようといつたような場合におきまして、その借りるという行為それ自体をするのはやはり公社といたしましては代表権を持つもの以外はできないと思いますが、その資金の渡りをつけると申しますかそのような活動というものは経営委員会においてその執行役員を援助するためのことは、或いはそういうことは実際上はできようかと私は考えております。
  160. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この経営委員国会のほうに呼ばれて来ます場合に政府或いは公社の執行権に束縛されない自由な発言が許されますか。
  161. 靱勉

    説明員(靱勉君) 只今の御質問、国会等に呼ばれた場合におきましては、経営委員会経営委員会権限、職能のことについて十分説明なり答弁ができるものと考えております。即ちなぜこういうことにきめたか、そういう意思決定をしたかということに対して説明はできると考えております。
  162. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この程度にいたしまして、次に決算ということですが、これはこの前もお伺いしたときに執行上の諸問題について批判を加える意味の決算、批判を加える意味で決算を見るということなのだ、法律上は議決を経なければならないというのでありまするから、正しくは決算の議決だろうと思う。それがただ単に報告を聞いて批判をして、そうしてまあこれを国会に出すのがいいでございましようというだけのことは、責任のない形式的な議決ということになるのですが、私は議決とか、予算の議決といつたら動かすべからざるものとして責任を以て決定することだと思うのです。
  163. 横田信夫

    政府委員(横田信夫君) その点はお話通りだと思います。この決算というものが御承知のように一応従来の経営の実績というものが形になつてまとまるものでありますが、そのときに最後的に損益計算、或いは純益が出た場合に最後にこれは積立金に積立てる。その積立金に積立てる際にこれを繰越し決算を補填する、そういうようなことは当然やるべきであります。そういうことについて正当なるものとしてこれを議決するということになるわけであります。そのほかに経営的にこの決算を見て、この経営委員会というものが決算を見て将来の方策を意思決定をする一つの資料にして行くこと意味においての批判的な一つの素材になるということは、前々から申しましたような意味において素材になると思います。決算の議決それ自体は飽くまで議決としての効力であります。
  164. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすれば会計検査院等によつて検査しているのだから、そういうことにまで立入つてやる筋合いの決算の議決ではないというようなことではなくて、内部的な責任を持つものの立場で執行部に対する責任は追究でき得る議決でございますか。
  165. 横田信夫

    政府委員(横田信夫君) この決算において誤りがあればその誤りを訂正するように指摘して正確なる決算を出さしてこれを議決する、これは当然であります。それから今のこの決算の信憑性についてはこれはよい、真実性においてはよい、併しこの真実性を通じて見た場合将来へのいろいろ事業計画上の問題として成果をいろいろ見た末に今後はこれは不正じやないけれども、よりこういうようにしたほうがよいだろうという問題は、次の事業計画の問題のときに今度は建設的にこうすべきだということが新らしい従来の結末を見てここに出て来る、従いまして決算は一応今まで済んだことでありますので、一応不正の問題はこれは直すことになりますが、一応出て参りましたものについてそれをもとにして将来の事業運営の改良に資するということになりますれば、次の事業計画のところにその意見が入つて来る、こういうように考えて然るべきじやないかと思います。
  166. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 長期借入金とか、一時借入金とか、そういうことを責任として意思決定するその場合には借入金の使途と目的が明らかになつて、これが決定になる、だろうと思うのです。予算の流用等においてもそうだろうと思うのです。それが正当に行使されておらないというような場合が仮にあつた場合ですね、この決算は認められないという議決をするという場合にですね、その議決の効果はどういうふうに現われて来ますか。その効果が現われて来なければ経営委員会は意思決定機関としての責任というものはないことになる。否決された場合にはどういうふうに効果が現われて来ますか。
  167. 横田信夫

    政府委員(横田信夫君) この会社の会計におきましても決算はやはり取締役会議決、株主総会議決ということになつておりますが、これは過去の事実を正確にこうやつておつたということにおいてここに決算が真実の原則に欠けておるということであれば決算は承認しないことになると思います。これはやり替ということになる。併しこれはこれ以上にいいやり方があつたという問題については次の改良の問題になる。今お話の、御指摘のやつは最初にいろいろ事業計画そのほかの経営委員会が議決したその議決したことについて執行機関がその通りに行わなかつた、その責任を追究したい場合どうしたらいいか、こういう問題を御指摘なつたのじやないかと思います。これは決算に限らずすべての決議事項について、執行機関がこの議決に従わずに不当なことをしたという場合に、この執行機関を、どうやつて執行機関の責任を問うか、これは最終的には今の議決について、議決に従わない場合、議決事項がはつきりしていなかつたために、執行機関が十分でなかつたというのなら、その細目をはつきりさせてもう一遍決議する、それでもなお従わないという場合においてはこの決算を承認しないというようなことも起り得るかと思います。この場合においては今のこれについて政府がその執行機関を適当なる執行機関と認めるかどうか、認めなければ罷免権は個々の経営委員会が発動いたしませんので、政府がこれを判定するということになろうかと思います。
  168. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると政府だけが自発的に自主的に判定を下すので、経営委員会は責任を追究することを法律的に、何らかの手続的に国会なり政府に対してやつて行くということは何にもないわけですね、これは。
  169. 横田信夫

    政府委員(横田信夫君) 任命権についてはありません。併しこれは議決しないという権限はあるわけであります。
  170. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうも私たちのような団体のところで議決しないというようなことになつたり、或いは責任を追究されたり不当なことがあればとんでもないことになるわけですが、それを追究して行く手続がどうも経営委員会としてははつきりしない。ただ意思表示に止まるということだけではどういうものですか、疑義が残るのですがまあ時間が時間ですからこの程度にしまして、この郵政大臣の認可を受けるという事項、一般的な事項についてそれは執行部に属する権限だとか、意思決定に基いて執行して行く、両者絡んでいる権限だとかどうもあいまいな点があるわけですが、そういう一般的には郵政大臣の認可になるものについてもこれは意思決定機関の議にかける、これは意思決定機関の議にかけないというような判断は総裁の自由ですか。それとも一般的にこれは意思決定機関にかけなければなりませんか。
  171. 大泉周蔵

    政府委員(大泉周蔵君) この立法をいたしましたときには実は認可とか、或いは、国会の議決を経なければならんものを一通りつて見たつもりでありまするが、こまごまとしたものにつきましては、これは経営委員会の内部において、その他経営委員会が必要と認めた事項というようなことできめればいいのじやないか。例えて申しますと、我々これは立法の過程において研究したことをざつくばらんに申上げますと、例えば給与準則といつたような大事なことを掲げなくていいという理窟はないじやないかということを論じたのでありますが、然らば給与準則という細かしい第何条というようなことまで全部ここで議決しなければならんかというと、その根本規則を掲げろということは恐らく経営委員会でおつしやるだろう。併しそういうことを法律上の必要事項として考えるのはむずかしいので、経営委員会委員とされてどういうことが経営の重要事項かということを自主的におきめになつて、これは必要議決事項としてきめておくことによつて執行部はそれによつて縛られてしまうということにするのが経営委員会運営上いいものと判断いたしまして、第五号の規定によることとしたわけであります。
  172. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、例えば予算の流用などということが五十三条に規定されて郵政大臣の認可を受ける、これらのことは予算、事業計画及び資金計画というものの中に入つているような意味合いでここに列挙しないのか、その他必要な事項という中に入れたので、列挙しないのか、或いはこれは一号、二号というふうに列挙されるべき筋合のものかを法の体系上向つておきたい、一例として……。借入金等のことがきちんと載つている、然るに予算の流用などということは載つていない、この点です。
  173. 大泉周蔵

    政府委員(大泉周蔵君) この点につきましては我々立法の過程において予算というものを考えましたときに、この予算としてでき上つたもの即ち本予算、追加予算或いは暫定予算といつたものはこれは予算の中に入る、そういうものは委員会の議決を経なければいけないという工合に考えたのであります。ところがこの予算につきましては、公社というものは一般事業会計の原則に従つて、予算というものは縛るものでなくて標準であるべきだということから、この予算の流用というものは特に予算で流用してはならないときめられた以外のものは、予算の実施上適当且つ必要であるときは彼此流用ができるという建前にいたしたわけであります。この流用の権限というものは公社の本社自体で待つか、或いは地方の通信局に持たせるか、どの範囲を持たせるかということは公社において決定することでありましてこのような基準について、重要事項だから経営委員会の議決を経るべきであるということに委員会が議決しますれば、これは個々の必要議決事項になりまするし、それは総裁に任せるから総裁がきめろということになりますれば総裁の決定するところによりまして、この流用ができることになろうと思うのであります。
  174. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あとでこれは財務会計のところに来てからお尋ねしますが、そのために前以てお尋ねしたいのです。財産の問題でございますが、国有財産ですからそれは国が管理するといえばそれまでのことですが、取扱上実際は財産の管理は内部的にこの権限は執行部面のほうにあるのですか、経営委員会のほうにあるのですか。
  175. 横田信夫

    政府委員(横田信夫君) ちよつと私頭が悪くてはつきりわからなかつた点があるかと思いますが、こういうことじやないかと思います。現在の特別会計におきましてはお話のごとく国有財産であります。この公社が成立いたしますならば、只今先ほどお話がありましたように自己資金政府の出資金である。借入金はこの法案にありますように借金として残つていて、一応公債借金として残しまして、実質は公社が公債借入金については政府に借りて、政府を通じて国民から借りるという形になつている。財産自身は全部公社のものになるわけです。従つてこれは国有財産のうちから離れて来ます。この財産の管理自身は公社みずからやるということに相成つております。これを勿論管理するということは執行の段階でありますので、執行機関の権限なんです。その執行機関の権限の重要な事項について、この経営委員会が決定する必要ありといたしまするならば、これを五で取上げましてこれを決議する、その決議に従つて執行しなければならん、こういうことに相成るわけです。
  176. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると六十八条にある財産の処分という場合も、国会の議決を求める前提としては経営委員会の議決を必要とすると、こういうことになりますか。
  177. 横田信夫

    政府委員(横田信夫君) こういう問題は勿論これは重要なる事項として、取上げられることだと考えております。
  178. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 取上げられることだではなくて、議決を経なければならない問題ではございませんか。
  179. 横田信夫

    政府委員(横田信夫君) これはこの一から四までに明文では入つておりません。その他五で取上げる問題の中に入つているわけであります。それでこれは先ほどお話がありましたように、この法律の改正といたしましては、当然この取上げる問題ということについては、この経営委員会で自発的に取上げるという建前になつておりますが、事実上はその場合も勿論ありますし、それから執行機関のほうからこれは重要な問題じやなかろうかというので、持ちかけられる場合もあるだろうと、こう思つております。
  180. 山田節男

    ○山田節男君 ちよつと議事進行について、実は今日私は第三章の役員について大臣に質問したいと思つたのですが、まだお見えにならない。私四時半から中央労働委員会に呼ばれておりますので、大臣に対する、第三章の役員についての大臣に対する質問を明日に保留して頂いて、なお小笠原委員の質問を続行して……私待つてても大臣おいでになりませんから明日にしたいと思います。
  181. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 承知しました。
  182. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 第十二条についてはこの前いろいろ第三章の問題に触れてお尋ねしましたが、まあ国鉄公社のように、この任命の日の前一年間これらのものであつた者はいけないというふうに制限規定があるのですが、こつちのほうは役員たることをやめれば直ちに任命できるというふうに、殊に考え方が変つたのはどういうわけなのか、又この変つた考え方というものは、政府考え方であるとするならば、国鉄公社等も自動的に変つて行くかどうか。
  183. 大泉周蔵

    政府委員(大泉周蔵君) この問題につきましては、立案当時におきまして前例を聞きまして、いろいろ考えたのであります。それでこの条項の意図するところは、この委員或いは役員にも関係しますが、そのようなかたとしてなつて頂くに適当でないというものを現わしたわけなんでありますが、それが一年ならば一年前ならば絶対よろしいかと、一日欠けても絶対いけないかといつたような趣旨ではない。むしろこういう人は、或いはこういう勢力を及ぼす人がなつてもらつてはよくないだろうという精神から条文に現わしたのでありまして、このような条文を適用してやつて行くときに、その任命権者のかたがたがこの精神に反しないかどうかを十分考慮さるべきであつて現実的に申しますと、形式的にこのような役員であつてもまあ程度の如何、又そのかたが今おなりになつても絶対にこのような第三号の場合のごときものが、悪影響を及ぼす見込は全然ないのだ、実際関係ないかたがたであつて公平ないいかたであるというような場合であつても、あのような条項があるために非常に困る。それで国鉄のような場合なんかも非常に困つたことがあるために、又或いはそれが一年一日経つておれば絶対いいものかというと、そういうことではないのじやないか、こういうことでこれは一年がいいか、二年がいいか、半年がいいかどうかといつたようなことは、任命者に譲るのが適当であろうというような御意見があつて、これを削つたわけです。
  184. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これも党としては問題のあるところでありますが、時間がありませんから次に移りまして、この委員の報酬の問題について、十八条の公務員たる性質を持つている委員立場から言えば、報酬は出さなくちやならんだろうと思われますし、報酬を出せば今度は兼職禁止等のそれに触れて、間のエキスパートを委員として委嘱するということが如何かという実際的な困難が生じて来る、こういうようなことでございますが、いろいろこれは論議があつたことなんですが、ここにおいてもやはり兼職禁止の規定を適用しなければならんことはどうしても止むを得ない、どうしても報酬は出せない、こういう考え方ですか。
  185. 靱勉

    説明員(靱勉君) 報酬を出している場合には、必ず兼職を禁止しなければならんかということにつきましては私ども報酬を出しても兼職を認めていいと思つております。只今の御質問につきまして、どうしてもそうでなければならんということは、私どもないと思います。
  186. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうなつて来ると、なぜ報酬を出さないのですか。
  187. 靱勉

    説明員(靱勉君) 大体旅費その他……。
  188. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いや、と申しますのは、これも皮相な私の考えですが、報酬を出さない、従つて手軽な非常勤でやるかたはよろしうございます、総裁等がお呼びした場合だけおいで下さればいい、出た者についてはまあ形式上御承認さえ頂いておけばいい、そういうお手軽な経営委員会考えて総裁権力集中の考え方を現わしているというふうに、皮相な私の見解を持たせたら、これはうまくないことなんだろうと思うので、もうしつかわした理由お話つておきたいというわけです。
  189. 靱勉

    説明員(靱勉君) 経営委員会なり管理委員会或いは行政委員会につきましては、いろいろ議論のあるところでございますが、只今おつしやつたように非常勤であり、報酬もくれないから、まあ形式だけ利用しようというような考えで勿論この法律は作つておるわけではないのでございまして、又少くとも経営委員のかたがたも、或いは政府におきましても、又執行役員におきましても、経営委員会、この法律にきめてある非常に意思決定の最高機関である経営の基本的な方針をきめて行きたいという点につきましては、いずれも十分な認識を持ち、又その運用をして行かなければならんかと思います。その場合におきまして、それだけの重要なことをやるんだから、若干の報酬を出すべきじやないかということは一つの御意見で、勿論その点について報酬を絶対に出すべからずというような考えは持つてないのでございますけれども、まあ広く兼職を認めて、而も大局的な、而もこれは通信事業経営につきまして、十分な適切なる方針が決定できるようなかたを選ぶ場合におきまして、私どもとしましては旅費その他業務遂行に伴う実費だけの限度におきまして、無報酬ということが現在の状況におきましては一応いいんではないかというふうに結論を下した次第であります。殊に報酬をきめるということに相成りますれば、これはやはり国家公務員その他の関係を見まして、或いは勤務時間等を見て一つの決定がなされなければならんかと思います。その報酬の基準等につきましてもいろいろと新たに考えて行かなければならん問題があるものと思います。今まで非常にこの点は議論のあつた点でありますが、結論といたしましてむしろ報酬を出さないほうが却つて適任者を選べるのではないかというような考えもありましてこういうふうな決定をいたしたような次第であります。
  190. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 第二章については大体私わかりましたが、ちよつと飛ばしたので、前に委員のどなたかが伺つているかも知れませんが、十五条の「その他委員委員たるに適しないと認めるとき」ということは、この条以外にどつか法律的に内容規定されているかどうか、それがないとすればどういうことを指して委員委員たるに適しないというふうに想定しているのか、この点がやはり明らかでないと内閣が自由な意思で各号に該当しなくてもやめさせる措置をとり、国会の多数でこれを罷免して行くという心配がないわけでもないので、その点をお示し願つておきたいと思います。
  191. 靱勉

    説明員(靱勉君) この点は午前中に御質問がございまして役員の項におきましてこれを準用しておりましたので、その際に非常に問題になつた点でございまして、ほかにはこの具体的内容を示したものはございません。それからその点につきまして小笠原委員の御質問に対していろいろお答えいたしておきましたが、まあ法文の解釈としまして委員が左の各号の一に該当するときその他委員委員たるに適しないという場合には大体それに準ずるというような精神が強く出ているのでございまして、ここに及びとか何とかという言葉も入つていない点から見れば、先ほど御説明申上げたような場合に限定されておりまして、気に食わんから何でもできるというようなことを予想しているのではない。そういう仕事法律の解釈をむしろ誤つているのではないかというふうに考えております。
  192. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでよくわかりました。  これも前にちよつと伺つたように思つたのですが、今ひよつと気が付いたから最後に一点だけお伺いしますが、一章の五条で先ほどお伺いしましたら利益金が積立金になるということでございましたが、そうすると、何と言いますか、資産の評価はずつとあとになつて確定する、そうすると今々の公社の資本金というものが確定しないのじやないかどうかというふうに思うのですが、さつきあなたは貸借対照表によつて借方貸方云々で、そこに出て来るのが利益だと言うのですが、今年中におけるそれは資本金がきまらないで、資産の評価がきまらないでいて利益金というものが明らかに、ちよつとこれは私素人ですからわからんのですが、出て来ますか。
  193. 横田信夫

    政府委員(横田信夫君) 実は大分この国会の前のほうだつたと思いますが、この会期中です、これは資料御要求がありまして、あのときに作業資産、流動資産、固定資産がどれくらい、借入金がどれくらい、引当金勘定がどのくらいになるという表を差上げたと思いますが、お手許にあろうかと思います。
  194. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もらつたかも知れない。
  195. 横田信夫

    政府委員(横田信夫君) それを御覧願いますと、あれは三月三十一日、あの当時まだ確定いたしておりませんが、大体予想といたしまして三月三十一日現在を予想いたしまして差上げたわけであります。あれによりましてこの流動資産、作業資産、固定資産を加えましたものから、借入金の引当金勘定で引いたものが一応資本金になるわけでありまして、その資本金はそれは政府の全額出資になるわけであります。その中にどういうものがあるかと申しますと、これが固有資本と申しまして、特別会計できた当時からの固有資本と、それから積立金、それから繰入金、これはガリオア資金からの繰入金が実は百二十億、それに進駐軍の設備を作るための繰入金、それを合せまして百三十六億ぐらいですか、そのほかの今の固有資本と積立金を入れた約百六十億になるとかということの資料を差上げたわけであります。それで従つてこの公社ができるとき、即ち六月末におけるその六月末で打切つたときに、そのときまでにあつた積立金、利益金、これは積立金に当然入れて、それが政府の出資金の中に入つて来る、資本金に入つて来る。その後のやつは今後は公社自身の積立金としては公社全体の資本金には入るけれども政府の出資金には入らない。こういうことに相成るわけです。
  196. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすれば今度は来年の三月には七月一日以降の公社経営による利益金というものが確定しますかということは帳簿価格で資産を評価して今年中やつて行くわけですから、それで本当の資本金というものはずつと後になつて確定するわけですから、その間のことです、私の聞くのは。
  197. 横田信夫

    政府委員(横田信夫君) これは五条に書いてありますように、この法律の施行の際、この法案が予定通り若し御承認を得ましたら七月一日に公社ができ上るわけでありますので六月三十日、六月末日現在において決算を済ますわけです。その決算のときの積立金と、それから固有資本は勿論動かないのでありまして、固有資本と積立金とそれから今の繰入資本、これを合せたものがこの公社の資本金、それは政府の全額出資になる、こういう形であります。それでこの間差上げましたのは三月三十一日米の予想でありますのでその後における六月までの利益金が若し出まするならばこれは積立金になる、その額に加わつて来る、その後のものはこれは公社資本金にはならない。公社自身の積立金として利益金は積立てられる、欠損が出れば欠損の補填に当てる、積立金になつて来る。従いましてお話のごとく公社成立後における利益状況というものははつきりいたして参ります。それからちよつと今大事な点一点落しておりましたものですから……、決算が終了するのに約二カ月かかると思います。従いまして六月末から七月、八月、九月には六月末の決算ができ上るだろうと思つております。
  198. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、七月一日以降来年の三月末日までの間に会社法律上でき得ることになつて、国際会社が、そうしてそのほうに資産が譲渡になる、そうして又七月以降あり得べき利益金というようなものもそつちのほうに移つて行く。そういうことになれば、公社発足の当時の資本金というものは、それがこの出て行つた場合には、資本金額が減るということになるわけでございますか。それからもう一つは、二十九年なら二十九年に資産等の再評価をするというような場合に相成れば、それは資本金がぼつと殖えるというようなことになるわけでございますか。
  199. 横田信夫

    政府委員(横田信夫君) 今のお話は、先ず第一点は、七月一日に公社ができたといたしまして、その後会社が七月三十一日までの適当な日に分れるといたしましたときに、この資産関係はどうなるかと申しますと、この法案を提出いたしておりますところの会社に対して現物出資をいたして、その現物出資いたした株を政府に譲渡する。これは有償譲渡いたします。そういう形になるわけでありますので、現物出資いたしました設備は、これは設備は譲られるけれども、それに代るべき株式は一度入るこういうことになるわけであります。その場合に、この評価委員会の評価を受けることになりますので、この固定資産のうちの一部はそのときに再評価されるということになるわけであります。従いまして再評価されることになりまするならば、資産額の殖えた額というものは、先ほどちよつと御説明いたしましたように、いわゆる資本剰余金として貸方に載つて参る。それで資本剰余金を資本金に加えるかどうかという問題は、これは非常にむずかしい問題でありますが、これは国際会社の場合においても、これを資本金に加えるということは、別に増資という手続をするということであります。で、学説の通説によりますと、この貨幣価値変動による資本剰余金は、むしろ堅実な経営をやつて行くとすれば、資本剰余金は放つて置いて、資本剰余金としてこれを保有して行くというほうが経営上堅実だろう、こう一応考えております。
  200. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすれば、資本剰余金というものは、国際会社へ資産を譲渡して株式が政府に入り、売払つた金が公社に入る、それでそれが資本剰余金になる。そして将来又その他の公社所有の部分について資産評価するそうすれば帳簿価格による切替当時の資本金以上の剰余金が又出る。そうすれば両者を合せたものが資本剰余金となつて出て来る。そういう結果になれば、公社の資本金というものよりは資本剰余金というものは莫大な大きなものになるという結果になると考えていいわけでございますか。
  201. 横田信夫

    政府委員(横田信夫君) お話のごとく、この数字上において資本剰余金というものが資本金より多くなるということに相成りますが、この資本剰余金は、これは利益剰余金ではないのでありまして貨幣価値変動による資本剰余金というものは、利益剰余金としての処分をしないというのがそれであります。又これを利益として考えたら、会社はむしろ潰れるわけでありまして、これは資本剰余金は利益剰余金ではない。従いまして資本剰余金としての金額が資本金より多くなつても、これは差支えないものと考えております。
  202. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そして具体的には財産はそのままあつて動かないものの評価額だけが大きくなつた部分の資本和余金というものがただ帳簿上出て来るだけで、現金はない、片方、国際会社にやつたほうの部分の資本剰余金は現金として残る。こうなつて来るわけですが、その現金の部分は動かないものと、こういうわけでございますか。
  203. 横田信夫

    政府委員(横田信夫君) お話の点の国際会社に現物出資いたします以外のものの再評価をいたしましても、これは金は一つもできる問題ではありませんので、帳簿上の価格の書換えということになりますので、金は出て来ない。併しこれに基いていわゆる減価償却を正確にできるという問題に相成るわけであります。それから今の国際会社に現物出資いたします場合には、これは一度資産のほうの株になつてそれか現金に変るわけであります。その現金をどうするつもりかというお尋ねでありますが、この資産のほうに上りますのが、初めに株が上つてそれから現金になる。この現金は、今の帳簿上における資本剰余金が出て、その資本剰余金の貸方のものが現金になる。この現金をどういうふうに放つて置くつもりかというお話につきましては、これはいわゆる損費になるような使途は、これは会計上許すべきじやないと思います。併しこの金は、金で持つてつても、物で持つてつても、設備で持つてつてもいいのであります。従いまして、この金は、この事業といたしましては当然拡張再生産に当てて基礎設備の拡充に当てるというのが、経営上最も妥当な方法じやなかろうか、かように考えられます。
  204. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もう一度……どうも商売上のことはわからないのですが、資本剰余金の財産の減価償却として見て行くというようなことは、これは利益金の算定とは関係ないものですか。というのは、私さつきからお尋ねしているように、帳簿価格の資本金で発足して行つて、そうして最終的に再評価すると莫大な資本剰余金になつて来る、そういうことになると、本年度の帳尻に行つて減価償却というようなものを考える場合には、利益金というのはただ単に帳簿価格による資本金だけで見て、差引勘定で利益金というものが出て来るのではないように考えられる。最終的には資産の再評価が決定して、その物差で減価償却の部分も考えなければ、利益金という正当な計数が出て来ないのじやないか。来年や再来年では正当な利益金というものが生み出せないのじやないかというふうに、もつと常識的に考えるから、それをお尋ねしているわけです。
  205. 横田信夫

    政府委員(横田信夫君) お話の点は、事業の本元をお衝きになつておるわけで、まさに一番大事な点であります。実は現在すでに本国会において御承認を得ました予算におきましても、この事業を特別会計といたしまして、すでに減価償却ということをやらないと、事業は食潰しになり、設備の食潰しになるわけでありますので、この御承認を得ました予算におきましても、減価償却というものは、今の固定資産を一応概算再評価——非常に不正確なものであります——概算再評価いたしまして、それに基いての減価償却をいたしまして、それによつて御承認を得たわけであります。その概算額は約二千七百億ということで、概算再評価による減価償却は、御承知のようにこれは損費であります。で損費と申しますのは、勿論設備が何年かに亙つてそれだけ損耗して行くわけでありますから、その損耗して行くものを減価償却費として挙げるわけであります。これは損費であります。損費を……その後減価償却を除いて、初めてあとに出て来るものが利益金になるわけであります。その意味におきまして、この減価償却を御承認を得たのにつきましても一応概算再評価によつたものをやつておるわけでありますが、とこれは本当を言えばそう正確なものじやない。本当の正確なものにするためには、全国に亙る固定資産を棚卸しいたして本当にやる。これには相当の日数がかかるので、二十九年末までに御猶予を頂きたいというのがこの法案であります。それからその意味で、お話のごとく減価償却費というものは損費として立てて、それで或いは利益が出た、或いは損が出たということが初めて言えるわけであります。それからもう一つ、減価償却積立金というものはどうするか、そうやつて損費には立つわけでありますが、減価償却積立損費に立つた金額は、減価償却積立金として引当金勘定が残る。併しこれは金で持つておる必要もないわけでありまして、これは先ほども申しましたように、積立金というものは金で持つていようと、或いは設備であろうと構わないという意味において、これは現在拡張再生産資金にいたしておるわけであります。ちよつとお答えのピントが外れたかとも思いますが……。
  206. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 よくわかりました。私のお尋ねしたいことはそういうことなんです。そういうことが出て来るとですね、第三条の「法人」ということ、或いは第六条の「登記」ということ、その場合には、これも私わからんのですが、資本金等が……帳簿価格等で固定したものが、どこまでも資本金として行つて変更しない建前のものだということに、まあ考えて行けばなる。登記するということにしても、その点心は私わかりませんが……。
  207. 横田信夫

    政府委員(横田信夫君) 再評価いたしました場合の資本剰余金を資本剰余金として上げて行く、これを資本金に繰込むという方法も全然なきにしもあらずです。これは経営のやり方でありますが、繰込むまでは勿論資本金は変りません。先ほども申上げましたように、この問題は経営上から考えますならば、むしろ堅実な行き方は、資本剰余金として上げて行つたほうがいいだろうということでありますが、それを若し変えるといたしますれば、資本金はそのときに動くことに相成るわけであります。そのときに法律の改正を要する、こういうことであります。
  208. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると資本傘が変る場合には、そういう資本剰余金を入れるという場合と、二項の政府が出資するという場合だけに限るわけですか。
  209. 横田信夫

    政府委員(横田信夫君) ちよつとわかりません。
  210. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私の問うているのは、すつかり説明としてはわかつたわけです、私なりに……。それで資産の再評価による剰余金を資本金に繰入れる場合、資本金額の変更があるということと、二項により政府が出資する場合に資本金額が変る、こういう場合だけしか資本金額の変更は予想せられないが……。
  211. 横田信夫

    政府委員(横田信夫君) その通りでございます。
  212. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大変皆さんに御迷惑かけましたが、これで完了いたしました。
  213. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十四分散会