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国務大臣(
佐藤榮作君)
お尋ねは非常に要領よく
お尋ねになりましたが、問題は
根本の問題でありますので、話が少し筋道を外れるかも知れませんが、その点お汲取りを願いたいと思います。
今回
機構改革をいたしました場合の
基本考的え方は、行政
制度審議会等の答申もありましたし、更に又その以前に国会等におきましても決議を頂いている筋もありますので、
電気通信省という国が直接経営する形態を
公社の形態に移そうと
考えたのであります。勿論国会等におきまして決議をなさいました
公社と今できております
公社というものは、
内容が同一というわけではありませんが、つまり
経営主体について
一つ何らかの
工夫をこの際進めまして、そうして真にこの公益性を十分発揮するような、又能率的な
制度を
考えて参りたいと
公社案を考案いたしているのでありますが、その際に電気通信の
業務を
国内部門と国際部門に分けることの当否、更に分けた場合の
経営主体を別にすることの当否、又分けるとすればどういうように
業務を分割するか等を、これは
業務と言いますより
設備でありますが、
設備を分割するか等をいろいろ
工夫いたしたのであります。
国内部門についての
公社ということにつきましては、
内容についての御議論は多分おありのことだと思いますが、この大まかな方向については或る
程度の御了承は頂けるのじやないかと実は了承もいたしております。併しそれにしても
会社を分けること
自身についてはこれは国会等の意思がはつきり出ているわけではないのでありまして、この点は
電気通信省と申すよりも、私
どもの特別な
工夫に基いて
会社を作
つたわけでございます。ところがこの
会社を作りました
基本的な
考え方は、
只今の新谷さんの
お話にもございましたが、国際的な通信を主体に
考えて見ますると、これは
国内における形態と申すよりも国際的な観点における形態、相互の間のことを
考えるほうが主体にな
つて参るのでありまして、外国等の例を見ましても、国際部門だけを分離している国は
相当多数あるし、又それらの形態は国の直接経営でなくして、
会社形態を採用しているところも非常に多いのであります。それらのことから
考えますと、過去において特殊使命を持
つて来た、もつとはつきり申せば軍事的にも
相当使われておりました電気通信施設と今日の電気通信施設は
考え方を
相当変えて
考えても然るべきじやないか、いわゆる国際的な形態、方向で物事を
考えて行くことが
事業の発展を企図する上から望ましいのではないかというような
意味から特にこの
会社案を
考えたのでございます。その
会社を
考えましたが、この
会社を作ります場合に非常に問題になりますのは、
只今お尋ねがありましたところのこの
会社に
設備を提供する範囲、
政府が現物出資する範囲を如何にするか、又その出資の価格、いわゆる評価を如何にきめるか、この二つが非常に重大な問題であるのであります。過去の
国際電気通信会社と申しますものは、これは
設備保有
会社でありまして、従いまして
只今お話になりましたように
設備だけを持
つている。そうしてそれが
国内においても国際的な関係においてもメイン・ルートであると
考えられるものはやはりこの
会社が持
つていた、その
意味において御
指摘のように、
国内の通信通話の場合にこの
国際電気通信の保有している施設を借りなければならないという事柄があ
つたかと思われるのでございます。今回の
会社といたしましては、出資される
設備は勿論保有いたしますが、同時に運営もこの
会社がや
つて参るつもりでおるのでありまして、
在来の
設備保有だけの
会社とは性格が違うわけでございます。そこでこの出資の範囲は如何にするかということはいずれ設立
委員会等におきまして最終的な決定を見るわけでございますが、今までの私
ども起案者としての
考え方から申せば、
国内幹線というものはこの
会社に持たすことは
考えておらないのでございます。できるだけ国際的な施設に実は限りたい。
国内において国際の幹線でもあるし同時に
国内でも使われる、その
国内が主であ
つて国際的に供用されるとかいうような部分は実はこの
会社には出資しないという
建前のほうがよろしいのではないか、一定の地域から地域を限りまして、そこから直ちに国際的な通信、通話に使われるような施設に限るほうが望ましいのではないか、実はかようには
考えております。併しその範囲がいずれ設立
委員会等において最終的の決定を見ると思うのでございます。
そこでもう
一つの問題は、その評価の問題であります。評価の問題は特に私
ども意を用いて、この
会社設立のためにとやかくの疑惑を受けることはこれは絶対に避けたいという強い
考え方を持
つておるのであります。そこで非常なむずかしい問題があるわけでありまして、恐らくこの
会社は先ほどの
お話にはありませんでしたが、その提供される
設備にもよりまするが、国際通信通話の取扱等から見ますると、
相当収益を挙げ得る
会社ができるのではないかということを
考えるわけであります。そこでこれらのことを勘案いたしました曉に、新しくできる
会社の資本金を幾らにするか、言い換えれば
政府が出資する施設を如何に評価するかということは非常に大きな問題であります。従いまして各界の、又専門的な知識を持たれる評価
委員会の議を経て評価を決定するといたしましても、
相当の問題を提供することに相成るのではないか、そこで最終的な
考え方としては、一応その評価
委員会で評価をいたもまするが、それによ
つて株式を発行するが、その株式はこれを大蔵省に
公社が有償で譲渡し、大蔵省はこの株式を時価によ
つて相当の期間のうちに処分して行くというような方法を採用いたしますれば、
只今申上げるような疑惑を受けないで実は済むのではないかというように
考えておるのであります。もう
一つは大蔵省がこの出資した株式を保有する、
公社が保有しないで大蔵省に保有さすというゆえんは、もう
一つはこの
国内の電信
電話を扱う
公社と国際の通信を扱う
会社とこの関係が親子関係になりましてもまずいと思いまするし、兄弟的な関係を持つというだけでもいろいろ問題があるように思いますので、
公社と
会社とは
業務上においては対等の立場で、相互に契約によりまして
委託業務をする部分とか、又
設備を貸借する部門についての費用等の負担を相互の契約で片付けて参りたいと思いますが、対
政府の関係においては、これはそれぞれ同一の立場において
政府が
監督指導して行くというような仕組にいたしたいと
考えておるわけであります。そうすることによりまして、
公社自身も独立した
考え方で経営が進めて行かれるのでありましようし、でき上
つた会社も
政府の
監督は受けまするが他からその資本的制肘を受けないで、これは自由に闊達な活動ができることに相成るのではないかと思うのであります。
そこでもう
一つ問題があるのであります。それは今日までの
電気通信省の採算の工合から見ますると、国際通信通話で
相当の利益を挙げております。そしてこの利益金というものが
国内の通信施設の整備のために、実は使われておるわけでございます。この金額の計算もいろいろまちまちでありますが、前年度の決算によりますると、先ず範囲等もいろいろ議論の余地があるかと思いますが、我々
電通省の
事務当局に問い合わして見ますると、十三億
程度の利益にな
つておるのであります。それは今日までは
国内の部門のほうに注ぎ込まれておるわけでございます。そこで国際の
会社を作
つたとしたら、この種の十三億
程度の利益が今度は
会社だけで処分されることによ
つて、
公社のほうに廻
つて来ないじやないかという問題が
一つあるわけでございます。併しその点は先ほど申しました大蔵省が一旦保有する株式を時価によ
つて売却したその代価が
公社に入
つて参りますので、
公社としては今まで利潤を生んでおりました施設をなし崩しで処分して行くということに相成るのでありまして、総体としての金額的な相違とは別といたしまして、理論的にはその間の決済は可能ではないかと、一応割切
つたつもりで案を出しておるような次第なのであります。これらの点は
お尋ねはなか
つたようでありましたが、
只今の
基本的な問題に関する
お尋ねであ
つたと思いますので、この機会に附加えて
構想を
お話申上げたのであります。