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参考人(古
垣鉄郎君)
只今の御質問の第一の点は、この
昭和二十七
年度においてはいろいろ事態が新らしく予想される、商業
放送テレビジヨン、平和條約の発効というような新らしい大きな事態に対処して、公共企業体としてのNHKの
番組はどこにウエイトを置くか、商業
放送とNHKの
放送との
番組がだんだん近似して来るが、その近似をしながらも公共企業体としての
日本放送協会は
番組のウエイトをどこに置くかという御質問であるかと存じます。この
予算にも書きました
通り、
国際知識の
普及徹底、それから第二には青少年教育の
放送、第三には
報道放送、第四には健全明朗な
娯楽放送。この四つが勿論公共企業体としての私
どもの
放送番組の四本の基本的な柱だと考えます。この四つを基本の柱として
番組全体を
編成するということ。これはいずれも国民全体の
生活の上に
放送でどうしてもやらなければならないことだと思いますが、特にこの二十七
年度は、これは先ほど御指摘の
通り非常に独特な時代でございます。従いましてこの四本の柱のうち私
どもが二十七
年度において更に
重点をどこに置くかということにつきましては、
講和條約の発効に伴いまして
我が国はその自主独立と共に
経済的な困難と、一面国際的な諸問題が再建の上に大きく浮び上
つて参
つているのでありますから、どうしても国家が直面いたしますこれらの諸問題の鮮明の上に大きな力とならなければならないと思
つております。第一は青少年の教育、青少年のための教養
番組ということ。第二には、
国際知識の普及及び諸
外国との
文化の交換というような
方面、更にはニユースや解説を通じまして、正しい社会のあり方についての把握に対して寄与したいというふうに考えております。青少年のための教養
番組に力を注ぎたい。と申します理由はくどくと申上げる必要はないかと存じまするが、何と申しましても青少年は次の時代を背負
つて立つ国民であります。殊に
日本の青少年はこの大戦の結果、諸
外国の青少年よりも更に気の毒な
立場にありますから、何としても
公共放送企業体としまして私
どもはこの青少年に対してできるだけのことをしたいと考えるのであります。これらの青少年の中には学校教育を受けられない者や、又更に高い課程の学問を
希望する社会人としての青少年が誠に多いのであります。これらの働きつつ学ぶ
人々のために青少年の時間又は若い農民といつた具体的な職業教育講座を拡充
編成いたしまして、家庭で勉強のできるような便宜を図りたいと考えております。これは更に社会人として
文化面に恵まれることの比較的に薄い婦人層とか、或いは農村を対象といたしました教養
番組の拡充にも努めたいと考えております。
次に
国際知識の涵養につきましては、これも更に附加えるところは少いと思いますが、新らしく独立を獲得して再発足いたします際におきまして特に大切なことと考えますので、
外国の通信社と連絡をいたし、又
海外に特派員を派遣いたし、ニユースを広汎な
地域から収集いたしまして、これに必要な解説を加える、そのほか
海外事情の紹介のために
海外の話題とか
海外通信とか、或いはアメリカ便りといつたような
番組を組んでいろのであります。ここに
国際知識と申しましてもこれは単なる知識ではなくして、
文化と申しましようか、宗教、哲学その他教養
方面の教養に関するものを包含して、
日本の国民が単に
日本の
文化だけに頼らないで、広く
世界の
文化を吸収して一層立派な国民に育
つて行くということを念願するのであります。そういう意味から新
年度におきましては、
外国の著名な芸能人、芸術家な
ども紹介し、交換
放送も盛んに行いまして、
外国の
放送文化を
日本に取入れ、同時に
日本の
文化も
放送によりまして諸
外国に
放送して
日本の
文化の紹介にも資したいというふうに考えております。更に
国内の諸問題にいたしましても、ニユース面は記者の
増員と通信
施設の増設を図りまして、迅速確実な二ユースと、平明なる解説によ
つて、正しい社会の現状を伝えることができますように着々準備をいたしておる次第でございます。更に以上の実施に当りましても常に世論の動向を調査し、科学的な
方法で世論の動向を調査いたしまして又部外の知識と協力を得まして片寄らない
公共放送であるように万全を期しておるのであります。
第二の御質問の点はこの商業
放送局が殖えて来て、そうしていろいろ
聴取者が減る場合、或いは料金を払わないで、結果として減るというようなことはないか、というような御質問でございます。
只今までのところはそういつたような傾向は殆んど見られませんが、そういうようなことが若し起りました場合につきましても十分研究をいたしております。又先ほど
大島委員の御質問のときにもその点に触れたかと存じまするが、
聴取者の見込等につきましては担当の
岡部理事から一層詳しく御答弁いたしたいと思います。