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国務大臣(
佐藤榮作君)
お話の
通り電信と電話、それで收益
状態が違うんだが、それが分けられるのじやないかということを御指摘のようであります。御
承知のように電信の網はこれはもう津々浦々、全国到る所にまでその網が張られております。電話の普及度は電信の普及度とはすつかり違う、ここらに赤字が出ると申しますか、分離いたしました際に收支の問題が出て参るわけであります。ところが
設備の面から見ますると、国内の
電信電話は共用している部分が相当多いのであります。これはひとり建物だけを共用しているというだけではありません。これは中継線、線路自身を共用している部面があるわけであります。そこでこれは
事業の経営といたしまして、分離が
只今の状況といたしましては不可能であります。そこで
只今例にとられました個々の
設備を御覧になりまして、例えば海岸局の
設備はこれは採算がとれないんじやないか、そういうふうに
設備をばらばらにして
考えられるか
考えられないかという問題であります。国内の
電信電話と国際間のものはこれは分離が可能なんであります。
只今言われるような国内の
電信電話の
関係だとか、国内で通話をや
つております個々の局の問題というのとは違うのであります。これは
事業から来る特質でありまして、余り私が詳しく申上げるまでもなく、その程度のことはもう百も御
承知のことであられると思いまするので、その点は重ねて申上げませんが、それが分離可能である米国のような仕組でありますれば、電報会社もでき、電話会社もできるわけであります。
それからもう
一つ、次の問題といたしまして、国内の電話につきましても、一部民間で言われておりますように東京電話株式会社というものが可能か、大阪電話
公社というものが可能かと、かように
考えておりまするというと、これはできないことはないでありましようが、これを作ることによ
つての公益性の障害と申しますか、阻害と言うか、これは大変なものにな
つて来る。殊に
只今の通信状況は非常な短距離の通信も非常な利便を提供いたしておりますが、特に遠距離通信ということが大きく浮んで来て参
つて、又そのほうの必要性が痛感されておる状況から見ますると、国内の
公社を分断するようなことは、
事業の公益性を確保する面から
考えましてどうしても
考えが出て参らないのであります。で、先ほど第六次案とか第七次案とかいう
お話が出ておりますが、この
公社を作り、又会社を作るという結論を出しますまでには各方面からいろいろな智慧もつけられましたし、私どもといたしましてもいろいろ研究に研究を重ねて参
つております。従いまして第一次の案と最終案との間に懸隔のあるのは当然であります。で、先ほど申上げますような国内の
公社につきましては、これは
一つの
公社形態がもうこれ以上のものがないんだ、分断することもできなければ、会社にすることも不都合だというのが私どもが
最後に得た結論なのであります。この
観点に立
つて将来の料金
制度等を今後は十分
考えて参らなければならない。そこで昨日も
お話を申上げましたように、
日本国内の
電信電話の施設というものはこれは相当老朽しておる。又時代遅れがしておる。御
承知のように東京の中心地におきましても最も新らしい物ばかりが、新らしい電話機ばかりが使われておらないのであります。又交換方式等におきましても全国を通じて見ますれば、もう大変な陳情が参りますように、非常に古い旧式な物から、全く博物館にでも収めるようなああいう物から新らしい物まであるわけです。殊に今後無電というものが発達し、これを取入れるということにな
つて参りますると、これは收入状況等につきましても非常な
考え方をしなければならない場合が生ずるかもわからないと思いますが、
只今までのところは、先ほど来
議論がありましたように、
予算としてはこれは
只今の料金收入というものを基幹にして、新らしい
設備改善等は新たにその
資金を獲得して、まあこれによ
つてや
つて行こうということで、この収支の状況を見ておるわけであります。そこで最近新らしく作ります電話をまあ架設するということを
考えると、今の料金ではとても採算はとれません。併しながら今の
公社の収入状況が一応バランスがとれておるというゆえんは、この前料金の改正をいたしましたが、この料金の改正は非常に安い時にでき上つた、非常に安い時に架設された電話加入者も、最近架設する、採算のとれないような高い金を
払つておる加入者も、同様な料金を払うわけでありますので、そこで初めて
事業としては成立
つて参るのであります。この料金の問題は取りも直さず利用者の直接の利害に
関係があるのでありますので、この経営の衝に当る者といたしましては、これを簡単に取扱うわけには参りません。そこで料金に関しましてはこれは
法律で
定める
事項にもな
つておるような次第でありますが、
只今の状況では現在あります施設を十分働くようにして、新らしく
資金を獲得いたしまして、増備並びに改造、新設をいたして参る、そして料金はできるだけ安定と言いますか、引上げないような方法をと
つて行く。将来非常に利益が挙
つて、
一般物価等の
考え方から見まして、更に低料金のサービスができるような
状態を作ることが、これはもう理論的には望ましいし、又私どもの理想でなければならないと思いますが、今の状況ではまだそこまでは行きかねておる。かような
状態にあるわけでありまして、これを
一つここに分析されまして、東京の都民は非常な利益を受けておるが、山間の人は非常な負担をこうむ
つておるとか、かような分析
議論は成るべく暫らくあずけさせて頂いて、総体としての
事業経営を
一つ御批判頂きたいと、かように
考えます。