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政府委員(横田信夫君)
政府提出案の四十條と四十三條の意味について申上げます。
予算の彈力性をここで設けましたのは、先ほどから議論がありますように、
会社の
事業というものはやはり
一つの生産的
事業でありますので、この
予算には
事業特性としての
弾力性、
予算の本質を闡明いたしたものであります。この彈力性
予算として、
事業は当然マーケットの変動、即ちお客さんの需要が殖える、そうすればおのずから
事業量も殖える、相当な経費も要る、こういうような場合においての
事業予算としては相当
弾力性を持つべきものである。この本質を闡明いたしたものであります。併しその本質を明らかにして行く
内容、それはどういうことか、この本質だけであとは全部
規定せずに、縛らないかということになりますと、四十三條で本質は明らかにして行くと、こういう形にな
つておるわけであります。「
予算総則にはへ
収入支出予算、継続費及び債務負担行為に関する総括的
規定(
予算に與えられる第四十條に
規定する
弾力性の範囲を定める
規定を含む。)」、と、こうな
つておるわけです。その四十三條の第六項では「役員及び職員につ対して支給する給與の総則」これはきめられたものがこの給與の総額について
予算総則で定める、こういうことにな
つておるわけであります。なお
関連條文としてもう
一つ見て頂きたいのは、七十二條の給與準則に、「
公社は、その役員及び職員に対して支給する給與について給與準則を定めなければならない。この場合において、この給與準則は、これに基く一
事業年度の
支出が
国会の議決を経た当該
事業年度の
予算の中で定められた給與の総額をこえるものであ
つてはならない。」、この
三つが相
関連して参るわけであります。その
関係でどういうことに相成るかと申しますと、この給與総額の
制限を設けました
趣旨は、これは御
承知のごとく、
公社の
目的というものは、やはり
公共性を維持しながら、併し
経営能率を上げて行くというところにあるかと思います。従来官庁
事業におきまして一般輿論といたしては、なお且つこの能率を上げる余地は十分ある。給與は低いかも知れんが、なお暇なんじやないか、もう少し働けるんじやないかというのが、官庁事務に対する輿論の御批判じやないかと思
つております。そういう意味におきまして、給與総額の
制限というのが付いた、即ち同一の作業量であるときにおいては、この作業量の中で、同一の作業量である場合に、人数も減らす、給與べースも殖やす、こういうふうにや
つて行くのが本当の
事業じやないか。できるだけ作業が同じならば人が減
つて行
つた場合には給與ベースを上げてよろしい。これが七十二條の
趣旨、本質であろうと思います。しかしそういう場合において給與総額の
制限を設けるということは現在の現状においては、この給與総額の
制限というものは或る程度意味がある。しかしこれが
公社事業というものを今後非常に発展いたしまして、
経営管理者並びに従業員というものが完全に企業的に完成いたしましたときに、これをどうするかという問題はそのときに出て来る。即ち国民なり
政府なりすべてのものが、
公社というものは手放しにいたしてもできるだけ能率を上げて、高能率、高賃金で行くということは言わなくてもいいんだ、全部任してしまえというところまで
公社というものが信用を得た場合は、この給與総額の枠というものの撤廃ということも
考えられるのじやないかと思いますが、現状においてはそういう意味において給與総額の
制限を設けるという意味がある。そこで先ほどお話がありました次の問題に移るわけでありますが、そういうことにして給與総額の
制限は意味があると思うわけですが、併しその場合におきましても、作業量が殖えて来る、いわゆるマーケツトの
拡張によ
つてお客さんの需要が殖えて来る。それに対して作業量が殖えて来る。こういう場合においても、飽くまで固定性を持つかということになりますと、この固定性を持
つて動けないということにな
つて来ると、
予算総則の第四十三條で「(
予算に與えられる第四十條に
規定する
弾力性の範囲を定める
規定を含む。)」と、これによ
つてそういう場合においてはこの
予算総則に彈力性を設けて行くことができる。それを
国会が至極御尤だと思えばそういう範囲の
弾力性は持たせる。その場合においては給與総額についても、固定的なものと、
予算総則に加わ
つたその彈力的な問題と相待
つて、これが
一つの
制約になる。こういうような
関係にな
つておるわけであります。