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政府委員(石原
武夫君)
只今委員長から
お話でございました問題について、
経過的に御
報告申上げたいと思います。独禁法の
改正の問題につきましては、御
承知のように、公正取引
委員会が所管しておられまして、そちらからお聞取り願うほうが適当と思いますが、
只今おいでになりませんそうですから、極く簡単に
通産省として考え或いは要望しておる点を申上げて御参考に供したいと存じます。
独禁法の
改正につきましては、前々問題にな
つておりますが、第一の点は
法律の四條に規定してございますが、共同行為と申しますか、いろいろ協定、カルテルの規定の緩和の問題でございます。これは御
承知のように、
生産価格、
販売その他技術の問題、各般の協定を禁止して、原則として禁止しておりまするが、これが最近いろいろ操短等で問題にな
つておりまするように、公共の利益に反せず、又国民経済上さようなことの
措置を講ずる必要のある場合が起りますので、適当に緩和規定を、緩和をいたしておきたいというのが主な第一点であります。
如何なる
範囲で緩和をいたしますかは、原則として公共の利益に反しない、その協定行為を行うことが公共の利益に反しないということで、その認定は
政府がさように認定した場合というように條件をつけたいというように考えております。
それから第二点は、国際的な協定、これは
法律の第六條でございまするが、海外の事
業者と国内の事
業者と第四條にきめておりますような各種の協定をいたしますことを禁止しておりますが、これも必要な
範囲内で絶対禁止ということではなくて、必要な
範囲で緩和いたしたらどうかということが第二点でございます。なお第六條につきましては、国内の貿易協定と申しまするか、その点が禁止にな
つております。これは先般の輸出組合法と俗に申しますが、あの
法律によりまして、その
範囲につきましては、独禁法の例外を認めまじたので、その点は問題がないわけでございます。海外の
業者と日本の
業者が協定をすることは全面的に禁止しはおりますのを、多少の必要の
範囲内で緩和をしてはどうかというのがこの問題の第二点でございます。
それから第三点は、事
業者間の結合と申しまするか、さような点につきまして、相当嚴格な各種の規定がございます。
一つは株式社債を保有する場合に相当やかましい規定がある。これは会社が持つ場合もございますし、個人が持つ場合もございます。会社の役員が持つ場合というように、各
段階に応じてそれぞれ制限の
程度はな
つておりまするが、現在の制限は少し嚴格に過ぎるので、もう少しこの点は緩和をいたしたらどうかというのが第三の
改正の要点でございます。
以上が極く簡単に申しまして、
あと細かい点は多少ございまするが、それが
改正点としては、以上の三点を
改正をして行きたいというふうに考えます。
それから次に
重要産業安定法と俗に言われております点の
経過について御
説明を申上げたいと思います。
この点につきましては、この
重要産業安定法というのは、別にはつきりした名前をさように付けておるわけでもまだございませんが、操短の
勧告に問題を発しまして、操等短の協定、或いはそうした
措置を独禁法の例外として新たに立法をしたらどうか、その立法の名称と考えておるわけであります。さような独禁法の例外であり、操短を実行できるような基礎的な法的根拠を作るという
考え方でございまするが、これの立法につきましては、目下
通産省内部で研究をしておる
段階で、はつきりかような内容で、こういう立法をするのだという結論には到達しておりません。従いまして、これは極く
経過的な御
報告になりまするので甚だ恐縮でございまするが、今我々といたしましては、先般来綿紡その他の操短の
勧告をいたしております。これは何と申しましても、現在の独禁法がございますので、それほど操短をするという経済上の必要性との妥協と申しますか、さようなことで
政府の判定で操短
措置が行われておることは御
承知の
通りであります。かようなことが今後とも必要であるならば、然るべき法的根拠を設けたほうがいいだろうという
考え方でございます。現在問題にいたしておりまするのは、
生産制限と申しまするか、操短を認めるといたしまして、
如何なる
業種にそれを考えて行くか、これは殆んど
業種を問わないで操短をするような経済的必要があれば、
如何なる
業種であろうとも認めて行くのであるか、或いはその
業種が国民経済上相当の重要性のある
業種に限るかどうかという点が問題になると思います。これは
通産省としてもはつきりした結論は実は出しておりませんので、目下各
業種の
事情その他について研究をいたしておるところであります。
それから第二点は、
如何なる場合に操短の協定なり或いは
勧告なり、命令なりをするかというその條件の問題でございます。これは
考え方が二つあると思いまするが、
一つは、およそ公共の利益に反しない、
消費者の利益を特に侵害しない限り、その
業界でも非常に
生産過剰にな
つておるようなことで、コストを割るというような状況なら、それでもいいのじやないかというように勢い広く考えるというのが
一つの
考え方でございます。次には、單に
業界だけの問題でなくて、勿論コストもあり、
価格がコストを割
つておることは当然のことでありまして、それが当該
業界を非常に不安定にし、国民経済的に見てもその問題が重要性がある、或いは輸出貿易の面から見ても非常に不利の情勢にあるという相当の條件が整
つたときに初めて
生産制限なり、操短を認めるかどうかという二つの
考え方があると思います。これも研究をいたしております。一応私の
手許では、今のところは今現在独禁法等がある
建前から考えまして、又日本の現在の
生産の状況が合理化等を要する点が相当多い点を考えまして、余り緩い條件で認めるべきじやないということを考えておりますが、まだ結論に到達いたしておりません。
第三点といたしましては、單に
業界の自主協定を認めるにとどまらず、アウトサイダーまで必要がある場合一定の條件の下に縛るかどうかという点であります。それからその次の問題は、さような操短の
措置を講ずるような際におきましては、新たに設備或いは増設設備を制限するかどうか、これが法的に制限の
措置を講ずるかどうかという点が問題でございます。
以上のような点について目下検討をいたしておりまして、まだいろいろな各
業種の実情も
調査いたしまして、どの
程度の立法をすることが必要かという目下研究をいたしておるわけであります。ただ他の方面との
関係から申しますれば、先ほど来ちよつと申上げましたような独禁法の
改正と当然一部関連を持
つて来るわけであります。今私が御
説明申上げたようなアウトサイダーまで縛るとか、或いは設備の
関係の規制をするということに相成りますれば、ただ独禁法の緩和という以上に出ることになるので、当然新たな立法が必要になる、それからもう
一つは、中小企業の
関係法を最近整備いたしました。これとの関連をどう考えるかという問題であります。これもまだ
法律化しておりませんが、これは議員立法で最近
国会で通過いたしました
法律でございまするので、それの適用の
範囲、適用外の部分について考えて見たらどうかというのが一応の
考え方であります。これも更に成案を得た上で両方併せて見て行くべきかということを検討したいと思
つております。
以上申しましたような三点について目下検討をしておるというのが実状でございまして、まだ大臣等の御決裁を得ておるわけでございません。まだ研究
段階ではつきりどの
程度の法案を考えて行くか、明確に申上げる
段階に達しませんが、
経過だけ申しますと以上の
通りでございますが、今のところその
程度でございますので御了承願います。
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