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1952-07-29 第13回国会 参議院 通商産業委員会 第67号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年七月二十九日(火曜日)    午後二時五十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹中 七郎君    理事            結城 安次君    委員            松平 勇雄君            山本 米治君            加藤 正人君            栗山 良夫君            小松 正雄君            島   清君            境野 清雄君            西田 隆男君   委員外議員    油井賢太郎君   政府委員    大蔵省主税局税    制課長     泉 美之松君    通商産業政務次    官       本間 俊一君    通商産業省通商    企業局長    石原 武夫君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    通商産業省纖維    局纖政課長   秋山 武夫君    通商産業省纖維    局衣料課長   江下  忠君   参考人    内地絹織物協    会専務理事   沼田 義雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○織物消費税法廃止に伴う特別措置  に関する法律案境野清雄君外二十  九名発議) ○通商及び産業一般に関する調査の件  (独禁法改正重要産業の安定に関  する件)  (報告書に関する件) ○継続調査要求の件 ○中小企業資金融通法制定に関する請  願(第二八七八号) ○自転車競技法中一部改正に関する請  願(第二八六九号) ○合板業特定中小企業の安定に関す  る措置法指定業種とするの陳情  (第一二九二号) ○印刷工業特定中小企業の安定に関  する臨時措置法案対象業とするの  陳情(第一二五一号) ○臨時石炭鉱害復旧法案中一部修正に  関する陳情(第一二六八号) ○纖維機械禁輸品目より除外等の陳  情(第一二八二号) ○電気設備復元反対に関する請願(第  二八七二号)第二八七三号)(第二  九三九号) ○電気設備等復元に関する法律制定  反対請願(第三二五二号) ○電気設備等復元に関する法律制定  反対に関する請願(第三二八三号) ○電気設備復元反対に関する陳情(第  一二五六号) ○公益事業委員会存置に関する陳情  (第一二四八号) ○電気工事従事者技能検定制度制定  に関する請願(第二九一〇号) ○水力電源開発促進に関する請願(第  二八七九号) ○議員派遣要求の件   —————————————
  2. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今より通商産業委員会を開きます。  先ず境野清雄君外二十九名の提案にかかる織物消費税法廃止に伴う特別措置に関する法律案を議題といたします。本案につきましては昨日提案理由説明を聽取いたしましたが、質疑に入る前に参考人といたしまして、内地絹人絹織物協会専務理事沼田義雄君から織物消費税廃徹に伴う業界打撃について、関係業界の代表としてその間の説明を聽取しようと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないと認めまして、それでは沼田君の発言をお許しいたします。
  4. 沼田義雄

    参考人沼田義雄君) 織物消費税廃止に伴う当時における業者手持品税相当額返還の要請につきましては、その理由等につきましては、御提案になられました理由書の中に明細に書いてある通りでございますが、先ず第一番目には、織物消費税は大体庫出税という建前になつておりますけれども消費者が当然負担すべき税率なんであります。従つて税を取る関係上、技術的に庫出税の形をとつておられるのでございますけれども生産者にいたしましても、問屋にいたしましても又小売商にいたしましても、全部立替拂いをいたしておるという考えを持つておる。従つてこの織物消費税が或る一定の日を限られて廃止いたされました場合におきましては、当然立替えてある税金はいずれかに補償して頂きたいということが第一番目であります。それから第二番目におきましては、昭和二十一年の九月の一日に従来一割五分でありました織物消費税が四割に引上げられました。勿論これは絹織物人絹織物毛織物、この三品種でございますが、その際に業者手持を詳細に税務当局はお調べになりまして、その税差額をお取上げになつたのです。一例を申上げますと、絹人絹織物だけで納めましたものが五億三千七百三十二万七千六百二円三十銭をその当時納入いたしております。従つて上げられたときに税差額を取られたのだから、廃止になつた場合にはお返し頂くのが当然ではないか、これが第二の理由であります。それから第三番目といたしましては、昭和二十五年の暮に酒税が引下げられました当時、小売商或いは問屋さんのお持ちになつてつた酒に対しまして、その下げられた税差額だけを大蔵省からお戻しになつた例があります。従つて絹人絹織物におきましても同じ、酒の税と名前は変りましても、我々は消費税と同じ建前ではないか、こう考えておるのです。それから第四番目といたしましては、昭和二十四年度産の産米の供出に対しまして、農家に対してその報奨用としていろいろな商品を配給せられましたが、綿、綿布、タオル、それから作業衣であるとかいうような纖維製品もその中に入つております。ところがこれが非常な値下りをいたしまして、農業会が非常な損失をこうむる、これは政府において当時何回かに亘つて五億七千万円のその損失額を補償された事実があります。従つて絹人絹織物におきましても同様ではないか、こういう四つの理由によりまして、政府のほうにお願いをいたして参つたのでございます。  そこでこの経過につまして概略御報告だけ御説明申上げさせて頂きたいと思いますが、二十四年の八月の二十七日にシヤウプ傳士織物消費税引下げ若しくは廃止せられるであろうというところの発表がありましたので、その対策といたしまして、業界はこのままに捨てておいたのでは、いつ一体それが引下げ、若しくは廃止が実施されるのか、その期間の如何によつて業界は非常に打撃をこうむる、従つて何らかの対策を講じなければならんと考えまして、九月八日大蔵省に参りまして、当時主計局長にお目にかかりまして、事情をいろいろと申上げました。早く実施してもらうということが一つの必要ではあるけれども実施日、現在における業者手持ちしておる商品引下げ、若しくは廃止された税差額を補償して頂くということであるならば、その実施日は御都合によつていつでもよろしいということを口頭を以てお願いをいたました。それから同二十三日に大蔵大臣に対して正式に陳情書を提出いたしたのでございます。ところが、実施日等につきましてもなかなか判明いたしません。実施されれば、当時四割の織物消費税が一気に引下げられると、織物で四割と申しますと、販売価格にいたしまして、問屋販売価格は二割七分八厘くらいになる、これが下るというと非常な打撃であります。ただ併し当時品物買控えをするということが配給制度になつてつた関係上許されません。できるだけ売ろうといたしましても、需要段階買控えるというので、自然ランニングストック以上を持たざるを得ない、その打撃の大きいことを恐れておつたと思うのであります。大蔵省当局におかれましては、ただ非常に調査が困難ということだけをお話になられまして、どういうふうに処置をとられるということは一向に御明言がなかつた。勿論大蔵大臣陳情書を提出いたしました。当時国会が開かれておりましたので、衆参両院議長にも請願書を提出をいたしました。その後大蔵省並びに関係方面に連日のようにお伺いして、この対策についての陳情を申上げておつた。この間におきまして通産省におかれましては非常に、特に纖維局におかれましてはこの問題につきましては、非常に御熱心に御協力頂きまして、特に纖維局長から大蔵省主税局長に対しそこの対策についての、御申入れすがあつたのであります。それに対しましての主税局からの御返事といたしましては、やはり先ほど私が申上げますような極めて漠たる状態対策立てようがないという状態で、品物は毎日のごとくに、特に絹織物のごときは二十四年六月一日から価格自由価格になつておりました関係上、毎日のように暴落をして行くという状態で全く収拾すべからざる状態に陷ることは予想されたわけでございます。そこでだんだん日がたつて参りますると同時に、大体二十四年の十二月の一日から実施されるであろう、或いは十二月の十五日から実施されるであろう、或いは二十五年の一月一日から実施されるであろうとかいうような話が伝わつてつたのでございますが、いよいよ二十五年の一月一日から実施されるということが判明いたしましたので、先ほど申上げますように、一月一日現在の在庫を何とかして調査いたさなければなりません。そこでその在庫調査方法等を詳細に文書にいたしまして、大蔵省に対しまして、こういう方法調査をする、従つてその在庫調査に対してはお立会いを願う、或いはほかの方法で御協力を願うように、若しこの調査方法が悪ければ、御指示によつて改めて参りたいということをお願いをいたしたのでございますが、依然として先ほど申上げまするような状態で何らの御協力がございません。止むを得ず我々といたしましては、当時各団体が、全国一円に団体がございましたので、団体職員のいわゆる第三者立証の形において、業者在庫調査の立会いという方法を以ちまして、一月一日午前零時現在の在庫調査をいたしましたので、その調査をいたしました数量に基く、並びにその中に含まれております税額がお手許に差上げてあると思いますが、絹人絹織物生産業者の場合におきましては一億四千九百万円、それから絹人絹織物卸売業者の場合におきましては九億二千八百万円、毛織物卸売業者の場合におきましては一億四千四百万円、それから既製服業者の面におきましては一億九千二百万円、それから小売業者の面におきましては十八億四百万円、合計いたしまして三十二億一千九百万円、九十四万幾らとありますが、一応三十二億一千九百万円の税額がその手持品税額に相当するものであるということの調査ができ上つたわけであります。当時の考え方といたしましては、業者といたしましてはこれが非常な打撃でございまして、何とかしてこれを補償して頂く、勿論これは税額だけでございまして、この織物消費税廃止するということのために、商品暴落によつてこうむりました損失は、これは先ず絹人絹織物だけで約十二億の値下りをしておる。その他のものを加えますと、非常に厖大な額になつておるのでございます。そこでこれを何とか補償して頂きたい、こう考えまして昭和二十四年の十一月二十一日には衆議院の大蔵委員会におきまして、それから二十五年の二月十五日におきましては参議院の通産委員会に共に私が御召喚を受けまして、そうして公述をいたしたわけでございます。なお国会の開かれるたびに実情を衆参両院議長請願書として提出いたしまして、常に御採択を得ておつたのでございますが、今日まで具体化せずに参つております。そこで今後いわゆる行政的措置によつて何とかこの方法を打開して頂く、さもなくんば訴訟等によつてというような意見もありましたので、訴訟を起しますために、その前提といたしまして大蔵大臣損害請求を出す必要があるということで、各団体別々に大蔵大臣にその不当利得金返還請求書を提出いたしたのであります。大体絹人絹織物業界におきましては、昭和二十五年の五月二十七日不当利得金返還請求書配達証明郵便を似て送付いたしております。  かような経過によりまして国会ごとお願いをいたしまして今日に参つたわけでございますが、この間におきまして業者がどういう状態にあつたかと申しますと、直接間接を問わず、このために倒産をいたしましたものが絹人絹織物業界だけでも、昭和二十五年中に一千万円以上の欠損を以て倒産をいたしましたものが百三十八件ございます。二十六年にこれによつて気息奄々状態になつてずつと参りましたものが、やはり一千万円以上のもので大体六十件ございます。この他に細かい倒産者というものは殆んど数うるにいとまない状態であります。非常に大きな打撃をこうむつたわけでございます。何とかこれに対して是非御救済の途を講じて頂きたいと、かように考えます。  私絹人絹関係のものだけを申上げましたが、幸いに既製服その他のかたも傍聽に参つておりますのでお聞き頂ければ大変結構だと思います。
  5. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 次に本件に関係いたしまして、纖維局纖政課長説明を求めます。
  6. 秋山武夫

    説明員秋山武夫君) 私政府委員になつておりませんが、特にお許しを頂いて御説明申上げます。  この問題は只今参考人沼田氏から詳細経過の御説明がございました。非常に実は古い経過を辿つておりますために、私どもといたしましては資料等を全部揃えてないのでありまして、実行上の問題としてかなりむずかしい点があると思つておるのであります。ただ只今民間側意見としてお述べになりましたように、理論上はこういう措置をとられることは、これは飽くまでも当然と考えておるのでありまして、実は多少政府内部の問題に触れるのでありますが、大蔵省との間に折衝をやられましたことは今回が初めてではないのでありまして、過去に亘つて数回この問題が取上げられております。そのうち曾つて大蔵大臣までに或る程度の了解を得る段階に達しながら、事務的に過去の資料の不備その他算定が非常に困難であるというような理由、或いは予算面において特に当時はまだ司令部の存在しておりました時でありましたから、そういう意味においての予算編成上の困難というような理由を似ちまして、遂に今日まで成功を見ておらんのでありまして、私どもといたしましては誠に残念に存じておる次第であります。只今もいろいろ御説明のありましたように、他の業種の例から見て若しできますならば、こういう措置をとられるということは通産省、特に直接担当いたしております纖維局の係といたしまして非常に望ましいことであると考えておる次第であります。
  7. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今大蔵省主税局を呼んでおります。委員のかたの御質問を願います。
  8. 島清

    島清君 それじや私から質問しますが、この法律の第一條で、とにかく金額を総額十億円として切つてあるのですね。十億円の範囲内において返して欲しいということなんですが、これは何かしら大まかなように思うのですが、どうしてこの十億という金額が切つてここに出されておるか、これは提案者からでもよろしいし、沼田さんからでもよろしいですが、御説明願いたい。
  9. 沼田義雄

    参考人沼田義雄君) いわゆる手持品消費税相当額計算につきまして税務当局が立会つて頂きますれば、そのときにはつきりと計算が付いたのであります。が併し絹織物以外のものはこの消費税廃止せられました二十五年一月一日午前零時まで統制が施行されておりましたから、価格算定というものは統制価格によつてはつきり明示されるわけです。ところが絹織物につきましては先ほども申上げましたように、二十四年の六月一日から価格統制廃止せられまして、自由価格になつたわけであります。なお又絹織物昭和二十二年九月の二十五日以前に比較いたしまして、九月の二十五日以降は片山内閣の新物価体系によりまして、人絹織物は約マル公の八倍、絹織物は五倍乃至七倍に引上げられた、さような状態一つ商品でも果して、例えば昭和二十二年九月二十五日以前に百円であつたものが、二十五日以降におきましては五百円乃至六百円に引上げられた、それが百円当時の品物であるか、六百円当時の品物であるか、勿論我々のほうの出入帳によりますればそれははつきりいたすのであります。そうした算定もなかなか容易ではありませんでしようし、極く最低の安い価格の場合の税によつて一応算定するという考え方で参りますれば、大体三分の一くらいになるのであります。そこが非常に大蔵省当局といたされましては御困難のようでございますので、そこで三十三億何がしの税相当額に対して、そうした限界の如何によりましては、三分の一くらいまで或いはなるかも知れんという考え方で十億の範囲内ということで書いたのであります。それからいま一つは、今までいろいろ折衝して参りましたうちに、大蔵大臣全額はむずかしいけれども、この程度はというような話しもあつたのであります。従つてこの程度ならば予算にも組んで頂けるのじやないか、こう考えまして最初から遠慮したという形になつておるわけであります。
  10. 島清

    島清君 そうすると、非常に政治的な含みがあつてのことのようでございますが、ここに第一條の中に、返してもらえばそれを取得するというかたがたのなにが書いてあるようですね。昭和二十五年一月一日午前零時において処理していた織物等製造者若しくは販売者又は政令で定めるこれらに準ずる者に対して返せということなんですが、これははつきりしておるのでございますか。
  11. 沼田義雄

    参考人沼田義雄君) それは調査表をちやんとグラフを作りまして、ひな型を作つて書込まれるようにいたしました。従つてこういうふうに業者別品種別にはつきりしておるのであります。これを集計いたしましたものがお手許に差上げました三十二億何がしということであります。勿論この分につきましても、この表並びに各業者から出されました明細な表を大蔵大臣には発送してあります。
  12. 島清

    島清君 そういうものが、三十何億というものがはつきりと出ておるのに、どうして十億ということでこんなに限つて来られたのですか。
  13. 沼田義雄

    参考人沼田義雄君) それは先ほど申げますように、大蔵大臣といろいろ折衝いたしました結果、司令部のほうとの関係もあるということで、その辺なら落着くだろうという話がありましたのでその数字を書出したのであります。
  14. 油井賢太郎

    委員外議員油井賢太郎君) 只今島さんからの御質問ですが、大体三十三億というのは、これは実際に拂つてある税金全額なんです。併し調査表等によつて税額が書かれておつても、実際の品物について前から持つておるものもありますし、それから又あと課税標準引下げというような措置をとつたことも事実あつたのであります。例えば昭和二十四年の九月あたりには二千円程度標準として税金八百円というものをとつたものが、十月、十一月あたり大蔵省当局あたりでも成るべく安くしてそれでは課税したらどうかということによつて、千五百円とか千円というような課税標準まで下げて税金をとつたものもあるのです。そうして見ますと、業者手持品の中のどれが一体どれだけの税金拂つたのかということは検討するのに実際は不可能です。そこでまあ例えば千円という最低課税標準額つたら、その千円に対して拂つた四百円という税金を以て拂戻しの対象とする、拂戻すということは語弊があるかも知れませんが、補償の対象になる金額、こういうふうに算定すれば大体三割見当のもので間に合つて、十億円で間に合うだろう、こういうことで数字を出したわけであります。
  15. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 税制課長が参りましたので、消費税廃止の際戻税措置を講じなかつた事情に関しまして、泉税制課長の御説明を願います心
  16. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 織物消費税は御承知通り昭和二十五年の一月一日以後廃止したのでありますが、それにつきましては、御承知通り昭和二十四年の夏に来朝されまして、九月の十六日にシヤウプ勧告発表されたわけでございます。それによりまして織物消費税は非常に減税するか、或いは将来これを全廃すべきであるということがその勧告に出ておつたわけでございます。従いましてその九月の十六日当時からすでに織物消費税はいずれ将来撤廃されるということがわかつてつたはずなのであります。従いましてその後実際に昭和二十五年一月一日以後織物消費税を撤廃するということが十月になりまして閣議決定をいたしまして、発表いたしましたけれども、すでに九月十六日当時からわかつてつたことでもありますし、それに応じてそれぞれ生産者のかた、卸売業者のかた、小売業者かたは対策を立てておられるはずであるというふうな見地から、織物消費税廃止した場合に戻税の措置を講じないということにいたしたのでございます。  もう一点は、当時、御承知かとも思いますが、織物消費税につきまして業界もいろいろ混乱いたしておりまして、脱税品がかなり多かつたのでございます。その脱税品であるかないかという見分けが非常に困難でございまして、従つて戻税を仮にやるといたしましても非常に事務的に困難を感ずる、税金を納めたものでないにもかかわりませず、税金を納めたかのごとく持つて来られた場合に、それを脱税品であるからというので拒否することがなかなか事務上できがたいというような事情もありまして、戻税の措置は特に講じなかつた次第でございます。
  17. 西田隆男

    西田隆男君 今税制課長お話を聞くと、九月頃から問題になつてつたんだから業者措置をともれておつたはずであるという御意見のようでしたが、税金を先に国が取つてしまつたあと業者措置を講ずるというのはどんなことをあなたは一体考えておられるんですか。
  18. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 御承知のように消費税消費者に転嫁するのが本来その本質になつておるのでありますが、場合によりまして必ずしも消費者に転嫁し得ない場合も起ることは経済事情からいたしまして止むを得ないわけでございます。シヤウプ勧告発表されまして、織物消費税は将来撤廃されるということになりましてから、非常に織物が不足しておりましたので闇値上つてつたわけでございますが、そういう勧告発表もあり、闇値は相当下つて行つたのでございます。従つて一般製造者のほうではそういう事情を考慮して織物生産を一時手控えるなり何なりされることと思うのでございます。それから卸売業者のかたは仕入れたものにつきまして織物消費税を拂つておりますから、現実にはそれがそれだけ織物業者負担になるということは、これは争い得ない事実でございますが、それを、漸次値が下つて行くに応じまして、売りまして、或る程度は全部自分が負担しないで、消費者に転稼し得る余地もあるわけでございます。ただ実際の例になりますと、値下りが相当急激でございましたので、場合によりまして、それを全部転稼し切らないで卸売業者のかたが負担しておるという事実は私も認めざるを得ないと思うのでありますが、そういう製造手控えとか、販売ということによつてそう急激な又消費税相当全額についての損失はこうむらないような経済的措置を講じ得たであろうということを申上げたのでございます。
  19. 西田隆男

    西田隆男君 一つ参考人にお聞きしますが、今税制課長のほうでは、製造業者生産手控えたであろう、卸売業者はこれは販売価格の面において負担をしたであろうけれども、それも全額ではない、その中で一部分は負担したであろうと思う、こういうふうな御答弁なんですが、生産業者が果して生産手控えをしたのか、しないのか、これはできた数量でわかると思う。卸売業者は今税制課長の言われたようなことで当時切抜けられると考えておられたのか、実際そういうことがあつたのか、それを一つ伺いたい。
  20. 沼田義雄

    参考人沼田義雄君) シヤウプ勧告発表されまして、値下りを来たして参りまして、えの問題が爼上に上りました丁度八九月頃が秋久物生産期でございまして、而も十二月に向つてはやはり正月に対しての暮の需要期になりますので、如何手控えようといたしましても、問屋は一応ランニングストックぐらい持たなければならん。従つて手に持つておりますものは、何としても税金は先に生産者がお拂いになり、納税済の判の押してあるものを問屋業者はちやんと検討して、それを仕入れるのでありますから、税金は確実に取られる。従つてつておりますものの暴落損害の以上に、更に立替えた税金が一月一日現在に残つておりますものには厳然として税額がはつきりしておるわけでありますが、商品は例年の暮よりはそれは生産も多少手控えられたでありましようし、手持は少かつたとは思いますけれども、何分にも秋久物需要期になつてありますので、通常ランニングストックぐらい手持いたしておつたのであります。従つて税金を、これによつて何らかの措置を講じて損を少くするという方法がございません。
  21. 西田隆男

    西田隆男君 税制課長に聞きますが、参考人は今のような話をしており、これは無理からんことと思うのですが、あなたは当時の日本の国内経済の情勢から判断して、闇取引が相当行われておつたというのが先入主になつておることが一つと、それから税金を拂戻すにしても、調査が複雑で正確を期し得られないという二つの理由をあなたは述べられて〇られるが、それで大蔵省として、業者から申請のあつたものに対してどういうふうなことで調査をしたならば或る程度正確なものがつかめるかというようなことについて考究されたりしたようなことがありますか。又業者から出ております資料を御検討になつたことがあるのですか。
  22. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 先ず最初にお断り申上げて置かなければなりませんが、私現在税制課長をやつておりますが、当時はそういう仕事をやつておりませんでしたのと、特に私は当時直接税のほうを分損しておりまして、間接のほうの分担でなかつたのでございまして、当時の事情を詳しくは存じない点があるのでありますが、先ず第一点の、当時十分調査をすればよかつたじやないかという御質問は、まあ或る程度脱税品につきましても戻税をやつても仕方がないのだという気持で調査いたしますれば、それは或る程度調査をし得たことと思います。ただそれが一月一日現在に持つておるものだけが損失をこうむつたので、それに対してだけ戻税すればいいということだけで救えるかどうか。途中で損しても売つた人もあるわけでございます。従いまして当時、すでに発表いたしました当時から戻税措置は講じないということを言つておりましたので、売り逃げて負担を免れた人もおるわけでございます。又売り逃げ切らないで一月一日に持つてつた人もあるわけでございます。一月一日に持つてつた人だけが損失をこうむつたので、途中で売つた人は安い値で売つてもそれは損失をこうむつたのではないということは言い切れない慮れがあつたと思うのでございます。そういつた事情からいたしますと、一月一日に所有しておつただけでなしに、途中の販売というようなことまでも十分調査しなければ正確を期せないし、到底そういうことはできがたいという点があつたのでございます。それから先ほど闇があつたかどうか、なかつたかという問題は、いろいろ当時の事情からいたしまして問題があろうかと思いますが、私どもは闇が相当あつたということを知つておるのでございます。それは織物消費税の課税高と、織物生産高からいたしまして、そういう推定ができるわけでございます。それからもう一点の業者からそういう申請書が出たのを見たかという点でございますが、それはいろいろ拝見いたしました中には、織物業者の協同組合と、それから税務署との立会いによりまして調べたところもあります。そういつたところにおきましては、或る程度正確な調査ができておるようにも考えられるのでございますが、何分全国的でございませんので、やはり公平な見地で見て、正確な調査ができがたいという点がありましたので、一部についてだけそういう調査がございましても、それを以て全般を律するわけに行きかねますので、今日までこういうふうな事態になつてつて来ておる次第でございます。
  23. 西田隆男

    西田隆男君 もう一点お尋ねしますが、今の税制課長の話を聞いておると、確かに業者の中で織物消費税廃止されたことによつて損失をこうむつたであろうことは考えられる。これが前提になつておると思います。従つて調査をしなかつたというのと、それから何故補償金をやらなかつたかという点については不確実である。一月一日現在残つておるものだけをやつたところで、途中で損をして売つておるものの数がわからない、極めて合理的な考え方です。全部がわかつたら全部損失を補填するのだという建前のように私には聞える。ところがわからないものがあるからわかつたものまでも支拂わんでよろしいという議論はどこからも生れて来ないと思う。従つて大蔵省としての、若しこの問題が、議員提案でこういう法律が出ておるのですが、こういうものに対して、今後あなたの言われたように、損失があつたであろうと大蔵省で認定のされるようなものについては補償すべきだという考え方を持つておられるのか、これをもう一遍一つ
  24. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) お答えいたします。この織物消費税の戻税乃至は損失補償の問題は、昭和二十五年から今日までしばしば問題になつてつたのでございます。併し、先ほども申上げましたように、当時税務機構を通じまして調査いたしました資料がございませんのと、今申上げましたように、果して誰に補償なり或いは戻税するのが公平であるかということのめどがつきかねますので、今日までそういう措置はとらないということにいたしておるのでございます。成るほどお話のように、一部について調査したものがあれば、あれだけのものについてだけ返してやつてもいいではないかというような御議論もあろうかと思うのでござまいすが、併しそれではやはり公平にはできないのでありまして、一部のものだけ返して、他のものには返してやらないということよりも、むしろ返さないなら一切返さないというほうが公平であるというふうに考えておるのでございます。
  25. 西田隆男

    西田隆男君 今のあなたのお話は少しおかしいので、これは大多数のものが売り逃げておる、わからない数字が大きいのだ、仮に百のうち八〇%がわからない数字だ、こういうことであれば、あとの二〇%はしなくてもこれは我慢してもらうということが成立つのだが、百のうち八〇%が売りねぐつて、二〇%は売つた、つまり八〇%残つておるという結論になれば、これはあなたの言うようにならない。逆にならなければいけないと思うのだが、この点はどうなんですか。
  26. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 昭和二十五年の一月一日当時、税務署とそれから織物業者の協同組合との立会いの下に手持高を調べましたのは、金沢の税務署と秋田県の一部、そういうふうな、税務署の数からいたしましても極く限られた数なのでございます。その調べられておる額が少いから、それを以て全体を律することができないというのでございまして全体のうちの大部分、或いは八〇%程度を税務署のほうで調べておりますれば、なおまだ考えやすいのでございますが、そういう事情にないというようなことを御承知願いたいのであります。
  27. 西田隆男

    西田隆男君 私の言つておりますのは、税務署と立会いの上で調べた数量がどうこうということを言つておるのではない。それはあなたのほうで説明されただけで、一月一日現在の在庫というものが大蔵省手許に出ておる。この在庫しておる数量が果して的確であるかどうか、大蔵省はどう認定するかという問題が一つと、あなたの御答弁の中の、一月一日現在最後に売りねぐつているものと、売り逃げた人もあるだろう、売り逃げた人は損をしても恐らく売つておるだろうと思う。そういう人の損失を補うということが発見できない、だからやらない、こういうような御答弁だから言つたので、一月一日現在の数量は、金額はここに書いてありますが、この数量はどのくらいかわかりませんが、数量が、例年の絹人絹織物その他のランニング・ストツクしておる数量との差額が、大蔵省はどのくらい違うと睨むか、或いはこの中であなたの言われるように、脱税したと言われる、脱税したものがどれだけ含まれておるように大蔵省は考えられるのか、そういう点を理論的に過去の実績から推断して行かれて、そうして結論を出して、数量は今あなたの言う百のうち二十しかないからやらないでいいのだという結論は生れて来ない。極めて抽象的な考え方で判断しておられるので、具体的に調査しておられない。そこに私はこういうことに対する問題が起きていると思う。これは業界のほうで一〇〇%のうち二〇%残つておるということでは恐らくありますまい。百のうち大部分売りねぐつておるという考え方業界は二十四年以来来ておられると思う。あなたの言われるのと私の言うのと違うのです。
  28. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) それは結局立場の相違になるかと思いますが、私ども業者のかたから提出されました三十二億という数字を信用できがたいと、こう見ておるからでございます。そのうち税務署の立会いで調べたものが極く僅かしがなくて、全体を信頼しがたいから、今日まで補償的な措置を講じて来なかつたし、又今後もこうする、議員立法がされますと別でございますが、政府といたしましてはそういう意思はないのでございます。
  29. 西田隆男

    西田隆男君 これはもう一遍聞きますが、二十四年の九月に織物消費税撤廃の問題が問題にされ、そうして「月一日、九、十、十一、十二と約四カ月間、二十四年度の四カ月間に日本で生産された絹織物、人絹ですか、その総数量が、毎期々々に生産者生産する数量、卸売に渡す数量、卸売から小売に行く数量、こういうようなものは過去の例からいつて或る程度予測はできると思うのです。そういうことを考えて予測をして、一月一日現在の在庫金額、出ております数量、これは不適正だ、どの程度のものが適当であろうかという的確な数字にはならんかも知れませんが、或る程度数字大蔵省で予見されるのではないか。従つて織物業者大蔵大臣宛に送つておる資料は、こういう点で不正確だと思われるという何か裏付けのある御答弁を願われないと、あなたのような抽象的な御答弁だけでは納得できない。これを税制課長はどういうふうに見て的確でないと判断されるのか、もう一遍御答弁願いたいと思います。
  30. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 今お話のような資料を以ちまして三十二億何がしかの数字のうち、どれだけが的確でないということは申上げかねるのでございまして、そういう資料がありますればすでに何らかの考え得る余地があるわけです。そういう判断をすることすらできない事情でありますので、今日まで補償的な措置を講じて参らなかつたというのが我々の現在までの事情に対する考え方なんです。
  31. 西田隆男

    西田隆男君 参考人お話の中にありましたが、織物消費税を値上げするような場合は、生産業者或いは卸売業者、或いは小売業者の所で税務署と立会つて数量を調べて、的確に、これも的確ではないでしようが、まあ的確に金額を調べる、下げる場合には調査ができない、これは私はわからない。取る場合にわかるならば、戻す場合にもわからなければならない。そういう努力を大蔵省でお拂いにならんと、抽象的な御答弁をされるということでは、それこそ憲法に保障された国民の権利を、いわゆる便宜的に侵害をするということにならないとも限らない。今の税制課長お話では、大蔵省としては何ら調査を進めておられないということだけははつきりしたわけです。だから法律案が出ておりますから、委員会で審査をする過程において、結論的にあなたがたが或る程度了承される資料が出て、検討して成るほどと思われたらこれは補償されると、こういうふうに我々は解釈するのですが、そう解釈して差支えありませんか。
  32. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 私どもといたしましては、重ねて申上げますように、的確に補償すべき基準というものが見出し得ないというように思つております。従いまして、果してこの法律案通りましても、適正な、公平な損失補償ができ得るかどうかということにつきましては自信がございません。ただ法律といたしまして成立いたしました上は、行政官庁といたしまして、この法律を執行するということは、勿論いたさなければならんというふうに考えております。併し実務上は非常に困難が伴うということを御承知願いたいと思います。
  33. 西田隆男

    西田隆男君 私は沼田参考人にもう一遍聞きますが、税制課長の答弁は、今あなたも聞かれた通り大蔵省としては非常に不的確だ、認定がなかなか困難だという観点に立つて答弁されておる。大蔵省はあなたがたの権利を擁護するため、あらゆる手段を盡して努力してみたけれども、こうだつたという結論ではないようですから、あなたは絹人絹織物協会の専務理事のようですから、大蔵省を納得せしめるに足るような的確な資料を御迷惑でもこの法案の審議中にこの委員会に出して頂きたい、これを一つお願いしておきます。
  34. 油井賢太郎

    委員外議員油井賢太郎君) 先ほど西田さんのお話の闇の商品が流れたかどうかという点について、税制課長から説明がありましたが、実際我々が調査した見当と大分違つておるのです。それは一体織物というものは、生産者が作るときには、税務署は常に絶えず注目して、一日何匹織り上げるどういうふうに、流れておるかということを絶えず監視しておるのであります。嚴重な監視をしておる中に抜けて参るというのは、いわゆる四割の税金というものを拂うのが惜しさに闇で以つて流す、こういうふうな状態になつておるわけであります。従つて闇で流すものを帳面に載せて、これだけ製造したとか、これたけ売つたとか、これだけの残金があるということは絶対にあり得ないことになつております。従つて税制課長が心配されるような、闇で税金のないものが流れているのは、飽くまでも裏通りの街道を通つておるものであつて、この調査に対して今回資料として提出されておるような数字の中には全然含んでおらない、かように我々は判定いたしておるのであります。その点をよろしく御了承願いたいと思います。
  35. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ちよつと私から税制課長にお伺いいたしますが、二十五年の一月一日に業者の組合が税務署に立会つてくれということを言つたときに立会つたのが神奈川とか秋田ということは伺いましたが、業者のほうが是非立会いを願いたいと言つたが立会わなかつたというのは、そのときのあなたは課長さんでなかつたかも知れませんが、その事情はどういうふうでございますか。
  36. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) そのときに業者から希望があつて立会わなかつたという例は余りないように考えております。結局業者のほうからも希望がなく、又私どものほうから立会つて十分調査しておけというような指令もいたしませんでしたので、そのままになつておるというのが実情であろうと思います。
  37. 油井賢太郎

    委員外議員油井賢太郎君) 只今委員長のお尋ねの点は、実はその当時この問題が出ましたとき、シヤウプ勧告が出たときから問題になつておりまして、廃止されるときは当然税務署あたりが立会つて、現品を調べるわけである、そういうわけでありまして、法律廃止と決定したときには業界から税務署或いは大蔵省に向つて要望したのであります。是非調査をしてもらいたい。ストック調査をして、拂戻しというようなことができるならば特別の措置を構じてもらいたい、そういう要求をいたしておりました。又地方においても、各税務署に業界から参りまして、一月一日の午前零時を期して何とか調査の途を講じてもらいたいという要求もいたしたのであります。ところが各税務署におきましては、大蔵省から何らの指令もないから、そういうことを我々がやることはできないといつて断られたのが実情でありまして、そういうふうな事情から一体大蔵省当局において一月一日現在の商品の出来高を確認できないといいますが、実際は大蔵省のほうで確認する意志がなかつた、こういうふうな状態になつております。
  38. 島清

    島清君 その問題と関連をして何かシヤウプ勧告が出る、それで閣議決定がなされた。それから更に二十五年の一月の一日を迎えたというてかなり段階的な期間があるので、それには対処するだけの業者の心がまえができておられなかつたの泉税制課長の一連の答弁のように伺えるのですが、それを伺つておりますると、成るほどそうかなという気もいたしますが、その前に今提案者の油井君から話をされたような意味において、書類上か何かの上で大蔵省のほうに何かそういつたようなものに対して、万遺漏のない調査をして欲しい、というようなことを書類か何かで申達をされたことがあるのでございますか。
  39. 沼田義雄

    参考人沼田義雄君) それは二十一年の五月の一日に一割五分から四割に引上げられました際に税務当局がお調べになりましたものがございます。従つてそういう方法によつて廃止された一月現在の在庫調査をすればいいのではないか、こう考えまして絹、人絹織物の場合においては、こういう調査をいたします、既成服の場合においてはこういう調査をいたします、それから麻製品の場合においてはこういう調査をいたしますということを明細にして、二十四年十一月十日付を以て大蔵省に差出してございます。それから先ほども申上げましたように、この調査方法がいけなければ御訂正又お指図を願いたいということもお願いいたしましたのでございますが、さようなものに対してもお指図がございませんでしたので、私どものほうとしては、一応一月現在の在庫を何とかして確認してしまわなければならないということで、前に大蔵省に差出しました文書の方法によつて調査をいたしました。
  40. 島清

    島清君 それは十二月の何日ですか。
  41. 沼田義雄

    参考人沼田義雄君) 二十四年十一月十日でございます。
  42. 島清

    島清君 泉税制課長にお聞きしますが、こういつたような書類上の処理はどうなつておりましようか。その当時どういうふうな処理をして、そうして今どういう工合に保存されて、それからあなたたちにどういうふうに引継がれているか。書類上の問題だけでよろしい。
  43. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 当時織物製造業者の組合などからそういう要望があつたということは事実でございます。ただ大蔵省といたしましては、事柄が発表になつてから廃止するまでの期間は相当日数のあることだし、その間に適宜な処分或いは生産手控えなどが行われるであろうから、当時から免税乃至は補償的な措置を講じないというつもりでございましたので、要望はございましたけれども、それを調査せよということを税務署に命令しておらなかつたのでございます。なおその書類は私最近確認しておりませんが、引続きまして私どもが保管しておるはずでございます。
  44. 島清

    島清君 通産省関係の係のかたがおられますか。
  45. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 政務次官もおられるし、秋山制課長、江下衣料課長がおります。
  46. 島清

    島清君 今泉税制課長は、お聞きの通り勧告がなされ、閣議決定がなされて、それで一月一日にそれが実施されたのであるから、業者においてはそれに対応する十二分な考慮と対策が講じられておつたはずだと、こういうことが一つの全体の理由になつておりまするが、この御答弁に対しまして、通産省の責任者といたしましてはどういうふうにお考えであるかですね、それがなし得ると思うのか、なされないと思うのか、又その当時なされたと思われるのか、そこうをちよつと御説明を願いたい。
  47. 江下忠

    説明員(江下忠君) 我々といたしましては、その当時の織物消費税廃止に関連いたしまして、業界の成行きにつきましては相当心配をしたわけでございます。只今税制課長からいろいろお話があつたわけでございますが、多少時間的な余裕もありました関係で、そういう面についてできるだけ損害を少くするというような努力を重ねたであろうということは一応推測できるわけでありますが、併しこれが全面的にそういう努力をした結果、損失が出なかつたかということについては、大きな疑問を持つておるのでありますが、恐らく相当部分については、損害を生じたであろうということは、只今沼田専務理事からお話のあつた通りだろうと思います。
  48. 島清

    島清君 大体そういうふうな減税の処置がなされる場合には、今起つておるような問題が当然に起るであろうという予測と想像はつくわけでございますが、当時商工省でございましたか、当時の商工省はそういう予測できる問題に対して、生産行政を指導監督される立場から如何なるような業者に対して指導をされたか、そういうことについて御説明を願いたい。
  49. 江下忠

    説明員(江下忠君) 実は私も最近来たばかりでありまして、その辺の事情につきましては、断定的なことは申上げられないと思いますが、ただ物売を所管いたしております局といたしましては、できるだけ業界が大きな損害をこうむらないように、行政上の指導はやつたことと思います。大蔵省とこの問題についての折衝において、大蔵省に対していろいろ申入れをしたであろうということも予測できることであろうと思います。
  50. 島清

    島清君 それは今私が聞いておることであつて、そうであつたであろうから、それに対してどういう対策を講じて来られたかということは、私が聞いておることであつて、若しそれがなされたか否か、勿論これはあなたたちがいつまでもその責任者でおり得ないということはよく知つておりますので、当時責任者のかたがどういうような行政的な処置をとられたか、今でも書類上のあれがあればお示しを願いたいと思うのです。それからもう一点は、今沼田さんがおつしやつたような、ああいう資料が今沼田さんが恐らく委員会のほうに提示をされましたときに、あれが果して私たちの審議の材料になり得ると思われるかどうか、当時の情勢を判断して、そこでああいう資料が我々の審議の良心的な資料になると思われるかどうか、ちよつと説明を願いたいのです。
  51. 江下忠

    説明員(江下忠君) 我々といたしましても、この損失算定につきましては、いろいろ研究はいたしたわけであります。大蔵省と随時連絡等もいたしまして、損失額の認定というようなことについて研究もしたわけでありますが、非常に困難であるという大蔵省側のお話によりまして、今日に至つておるのでございます。我々といたしましても確実に沼田さんのほうでお作りになりました資料が全然信用すべきものであるということは断定いたしかねると思います。併しその当時の情勢として、業界のかたが真劍に調査をされましたことでありますから、通産省としてこれが絶対に信用すべきものであるという断定はいたしかねるにしても、これが相当今後若しこの損失補填が認められるということになれば、いい資料になるのじやないかというふうに考えております。
  52. 島清

    島清君 沼田さんにちよつとお聞きしたいんですが、大蔵省に対してあなたたちのほうが十一月の十日にそういう自分勝手な資料をお作りになりまして、これを認めろというふうにお出しになつたということについて、一応了解いたしましたが、これは何か通産省側は何か業者といたしまして非常に相談のしやすい役所なんですが、この通産省に対して然るべく何と言いますか連絡、緊密な連絡をとられまして、その目的が達成するような処置を講じ得るかどうかをちよつとお聞きしたいと思います。
  53. 沼田義雄

    参考人沼田義雄君) 自分勝手な調べ方をして作つたというのではなくして、二十一年の九月の一日に在庫大蔵省が御調査になりました。その方法を採択したんですが、従つて前に大蔵省でおやりになつた通りに出したのでございます。勿論通産省に対しまして、こういうふうな方法によつて調査をいたしますので、一つ大蔵省へお口添えをお願いしたいというところまでは口頭で申したかどうか記憶ございませんが、かような方法調査をしたいと思うというので、参考資料として係のかたに差上げたように記憶をいたしております。
  54. 島清

    島清君 私が自分勝手ということを申したことを非常に気にさわられたようですが、若しあなたのものが信頼に足るような調査であれば、今頃この法律的処理をしなくてもいいはずで、あなたたちが自分勝手に作られて、それが認められなかつたからここに来ておる。それはあなたがたが良心的に作られ、従つて第三者をして得心せしめるような調査をしなかつたということは、今日この法律が出たことによつて証明されておる。そういうことを私は申上げるのでして、余り気にさわうんようにしてもらいたい。
  55. 西田隆男

    西田隆男君 明日の委員会にはこの問題の当時の纖維局長を……。   —————————————
  56. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) では次に通商及び産業一般に関する調査といたしまして、公報で御通知いたしました独禁法改正重要産業の安定に関する件を議題に供します。  本件に関しましては、先ほどの特定中小企業の安定に関する臨時措置法、並びに取引法案等の審議に際してしばしば論議されたのでありますが、最近新聞紙等において重要産業安定法案というような名称の法案も政府で立案中と伝えられるので、一応本件に関する政府側の意図、並びに紡績、化纖等に関する操短問題について、政府側の見解を承わりたいと思うのでありますが、本件に関しまして石原企業局長から御意向を伺いたいと思います。
  57. 石原武夫

    政府委員(石原武夫君) 只今委員長からお話でございました問題について、経過的に御報告申上げたいと思います。独禁法の改正の問題につきましては、御承知のように、公正取引委員会が所管しておられまして、そちらからお聞取り願うほうが適当と思いますが、只今おいでになりませんそうですから、極く簡単に通産省として考え或いは要望しておる点を申上げて御参考に供したいと存じます。  独禁法の改正につきましては、前々問題になつておりますが、第一の点は法律の四條に規定してございますが、共同行為と申しますか、いろいろ協定、カルテルの規定の緩和の問題でございます。これは御承知のように、生産価格販売その他技術の問題、各般の協定を禁止して、原則として禁止しておりまするが、これが最近いろいろ操短等で問題になつておりまするように、公共の利益に反せず、又国民経済上さようなことの措置を講ずる必要のある場合が起りますので、適当に緩和規定を、緩和をいたしておきたいというのが主な第一点であります。如何なる範囲で緩和をいたしますかは、原則として公共の利益に反しない、その協定行為を行うことが公共の利益に反しないということで、その認定は政府がさように認定した場合というように條件をつけたいというように考えております。  それから第二点は、国際的な協定、これは法律の第六條でございまするが、海外の事業者と国内の事業者と第四條にきめておりますような各種の協定をいたしますことを禁止しておりますが、これも必要な範囲内で絶対禁止ということではなくて、必要な範囲で緩和いたしたらどうかということが第二点でございます。なお第六條につきましては、国内の貿易協定と申しまするか、その点が禁止になつております。これは先般の輸出組合法と俗に申しますが、あの法律によりまして、その範囲につきましては、独禁法の例外を認めまじたので、その点は問題がないわけでございます。海外の業者と日本の業者が協定をすることは全面的に禁止しはおりますのを、多少の必要の範囲内で緩和をしてはどうかというのがこの問題の第二点でございます。  それから第三点は、事業者間の結合と申しまするか、さような点につきまして、相当嚴格な各種の規定がございます。一つは株式社債を保有する場合に相当やかましい規定がある。これは会社が持つ場合もございますし、個人が持つ場合もございます。会社の役員が持つ場合というように、各段階に応じてそれぞれ制限の程度はなつておりまするが、現在の制限は少し嚴格に過ぎるので、もう少しこの点は緩和をいたしたらどうかというのが第三の改正の要点でございます。  以上が極く簡単に申しまして、あと細かい点は多少ございまするが、それが改正点としては、以上の三点を改正をして行きたいというふうに考えます。  それから次に重要産業安定法と俗に言われております点の経過について御説明を申上げたいと思います。  この点につきましては、この重要産業安定法というのは、別にはつきりした名前をさように付けておるわけでもまだございませんが、操短の勧告に問題を発しまして、操等短の協定、或いはそうした措置を独禁法の例外として新たに立法をしたらどうか、その立法の名称と考えておるわけであります。さような独禁法の例外であり、操短を実行できるような基礎的な法的根拠を作るという考え方でございまするが、これの立法につきましては、目下通産省内部で研究をしておる段階で、はつきりかような内容で、こういう立法をするのだという結論には到達しておりません。従いまして、これは極く経過的な御報告になりまするので甚だ恐縮でございまするが、今我々といたしましては、先般来綿紡その他の操短の勧告をいたしております。これは何と申しましても、現在の独禁法がございますので、それほど操短をするという経済上の必要性との妥協と申しますか、さようなことで政府の判定で操短措置が行われておることは御承知通りであります。かようなことが今後とも必要であるならば、然るべき法的根拠を設けたほうがいいだろうという考え方でございます。現在問題にいたしておりまするのは、生産制限と申しまするか、操短を認めるといたしまして、如何なる業種にそれを考えて行くか、これは殆んど業種を問わないで操短をするような経済的必要があれば、如何なる業種であろうとも認めて行くのであるか、或いはその業種が国民経済上相当の重要性のある業種に限るかどうかという点が問題になると思います。これは通産省としてもはつきりした結論は実は出しておりませんので、目下各業種事情その他について研究をいたしておるところであります。  それから第二点は、如何なる場合に操短の協定なり或いは勧告なり、命令なりをするかというその條件の問題でございます。これは考え方が二つあると思いまするが、一つは、およそ公共の利益に反しない、消費者の利益を特に侵害しない限り、その業界でも非常に生産過剰になつておるようなことで、コストを割るというような状況なら、それでもいいのじやないかというように勢い広く考えるというのが一つ考え方でございます。次には、單に業界だけの問題でなくて、勿論コストもあり、価格がコストを割つておることは当然のことでありまして、それが当該業界を非常に不安定にし、国民経済的に見てもその問題が重要性がある、或いは輸出貿易の面から見ても非常に不利の情勢にあるという相当の條件が整つたときに初めて生産制限なり、操短を認めるかどうかという二つの考え方があると思います。これも研究をいたしております。一応私の手許では、今のところは今現在独禁法等がある建前から考えまして、又日本の現在の生産の状況が合理化等を要する点が相当多い点を考えまして、余り緩い條件で認めるべきじやないということを考えておりますが、まだ結論に到達いたしておりません。  第三点といたしましては、單に業界の自主協定を認めるにとどまらず、アウトサイダーまで必要がある場合一定の條件の下に縛るかどうかという点であります。それからその次の問題は、さような操短の措置を講ずるような際におきましては、新たに設備或いは増設設備を制限するかどうか、これが法的に制限の措置を講ずるかどうかという点が問題でございます。  以上のような点について目下検討をいたしておりまして、まだいろいろな各業種の実情も調査いたしまして、どの程度の立法をすることが必要かという目下研究をいたしておるわけであります。ただ他の方面との関係から申しますれば、先ほど来ちよつと申上げましたような独禁法の改正と当然一部関連を持つて来るわけであります。今私が御説明申上げたようなアウトサイダーまで縛るとか、或いは設備の関係の規制をするということに相成りますれば、ただ独禁法の緩和という以上に出ることになるので、当然新たな立法が必要になる、それからもう一つは、中小企業の関係法を最近整備いたしました。これとの関連をどう考えるかという問題であります。これもまだ法律化しておりませんが、これは議員立法で最近国会で通過いたしました法律でございまするので、それの適用の範囲、適用外の部分について考えて見たらどうかというのが一応の考え方であります。これも更に成案を得た上で両方併せて見て行くべきかということを検討したいと思つております。  以上申しましたような三点について目下検討をしておるというのが実状でございまして、まだ大臣等の御決裁を得ておるわけでございません。まだ研究段階ではつきりどの程度の法案を考えて行くか、明確に申上げる段階に達しませんが、経過だけ申しますと以上の通りでございますが、今のところその程度でございますので御了承願います。   —————————————
  58. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 次に公報にお知らせ申上げました請願及び陳情につきまして御審議を願いたいと思います。いずれも前回の審議を願つたものと関連がありますので、前回に準じて御処理を願つたらどうかと思います。ちよつと速記をとめて頂きたい。    〔速記中止〕
  59. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記を始めて。只今小田橋専門員から大体の説明を申上げましたが、私から申上げます。第一頁の陳情請願六件のうち、請願第二千八百七十八号は、採択して置いても内閣に送付に及ばず、その他五件、即ち請願二千八百大十九号並びに陳情千二百九十二号、千二百五十一号、千二百六十八号、千二百八十二号は、いずれも保留といたしたらどうかと思いますが、如何でございますか、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないと認めましてさよう決定いたします。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  61. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記を始めて。次に二枚目の電力関係請願陳情でございますが、これは請願第二千八百七十二号、請願第二千八百七十三号、請願第二千九百三十九号、請願第三千二百五十二号、請願第三千二百八十三号、陳情第千二百五十六号、陳情第千二百四十八号は保留、請願第二千九百十号、請願第二千八百七十九号は採択、さよう決定いたしまして御異ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) それではさよう決定いたします。   —————————————
  63. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) この際お諮りいたしますが、本委員会の通商及び産業一般に関する調査は、対象が広汎な諸問題に亘つておりますので、今国会開会中におきましても未だ終了するに至つておりません。従いまして開会中の調査未了の旨の報骨書を提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないと認めます。それではさよう取計らいます。  未了の旨の調査報告書の内容につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないと認めます。  それから委員長の提出いたします報告書には、あらかじめ多数意見者の署名を附することになつておりますので、順次御署名を願いたいと存じます。  多数意見者署名     島   清  加藤 正人     境野 清雄  西田 隆男     松平 勇雄  小松 正雄     山本 米治  栗山 良夫     結城 安次   —————————————
  66. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) なお本調査につきましては、休会中におきましても引続き調査を行うため、継続調査要求書を議長に提出したいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めます。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  68. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記を始めて下さい。
  69. 境野清雄

    境野清雄君 大体従来から当委員会で問題になつておりました海外派遣という問題もあるのですが、その当時は外貨予算関係からしてなかなか実現し得なかつたのですが、今日の情勢になりますと、各委員会の模様その他を伺いましても、或る程度外貨予算の獲得もでき得るんじやないかというような見通しがついて来ましたので、改めて当委員会でこれを早急に一つ御検討を願いたい、こういうことを私は一つ委員各位にお諮り願いたい。併せて休会中における視察の問題に対しましては、明日一日きり本会議がありませんので、明日の議運にかけなくちやならない関係上、早急に委員長理事の打合せをして頂きまして、明日それが出し得るような段階にまで一つお運びを願いたいと思います。
  70. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今境野君の御提案に対しましては、皆さん明日理事会を開きましていろいろ研究いたします。さようの点におきまして御了承を願いたいと思います。  本日はこの程度で散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) では散会いたします。    午後四時三十四分散会