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説明員(
谷垣專一君) この
鉱害の問題と地上の
農民の問題は、これは石炭を掘れば必ず陥落するのでありまして、
程度の差があるにいたしましても、必ず陥落をいたします。そこでこの
法律には出ておりませんが、実際申しますというと、通産省のほうでや
つておられるであろうと思いますが、採掘の方法なり或いは又地上に非常に重要な物件のあるような場合に、その採掘を禁止するなり、そういうような
制度がこの
法律とは別個に励行されなければならないと存じます。それでないと、極端に言いますれば、石炭はどんどん掘
つて行く、そうして地上と
関係なしに石炭を掘
つて行けば、必ず地上は
鉱害を受けるわけでありますから、どんどん石炭がある限り掘
つて行くと、上からどんどん陥落して、上の
農地が困る。こういうような絶間のない悪循環を繰返して行
つて、起きた
被害を直して行くというようなことを続けて行くことは、どつかで何かはつきりした
目度がつかぬ以上、妙なことと思われるのでありまして、これは当然この
法律のほかに
前提といたしまして、地上の問題と
鉱業の採掘の方法との間にそれの調整をする施工方法が励行されなければならんと
考えます。そうしてそのことはこの
法律では書いてないので、恐らく通産省のほうでほかの
鉱業法なり或いは何かの法で御用意され、励行されていることと思いますが、その問題はそういうふうにせざるを得ないのではないかと思います。それから、併し実際問題として、でき上
つた鉱害についてどうするかということになりますれば、外国の例にありますように、
鉱業権者が直接
被害者と話合いをして、
鉱業権者の
責任で
被害を完全に
補償して行く、或いは
損害賠償を、
原状回復をや
つて行くという
責任がありますれば、これは
鉱業権者が採掘をいたす場合には十分な考慮が払われる可能性が強いわけであります。併しそれはそれぞれの
鉱業のあり方によ
つて違うことでありまして、この
法案ではそれを国が手を出しまして、国が
補助をいたして
原状回復の線まで持
つて行く、止むを得ないものだけは
金銭賠償をや
つて行くという
法案にな
つておるわけでありまして、その点についてはこれは
農民の側におきましても、
原状回復されるということに対しては期待をいたしておる、かように
考えます。このどこにそこの条文の確約があるかと申しますれば、これは
原状回復ということを必ずしも謳
つてはおりませんが、
実施計画、
復旧工事というものは、これは大体
原状回復若しくは
効用回復することを目当てにしてやる
工事でありますから、全体的にそれが流れておると思います。ただ若干、
工事の今申しましたやれない
部分における打切りの問題、これが起
つて来るかと思います。この
工事の対象になる
事業費が非常に高いために
工事の対象にならない、或いはいろいろ問題がありますためにこの
法案の施行の、この
法案が命じております
工事の対象にならない地域もやはりあろうかと思います。又不安定で安定していない、陥没が安定しておらんがために今
工事に着手することができないような地区もかなりあるわけであります。そういうところにおきましては従来の
鉱業法による当事者同士の代償
関係、
補償関係が残置して、残
つて行くわけであります。でありますからその点についてはこの
法案が持
つております
原状回復的な性格というものは一つの進歩である、かように
考えております。