○島清君 南さん、そのものの
考え方ですが、例えば
中小企業の安定を図るために
企業の
合理化をしなければならない、こういうことも謳われて参つたわけですが、
企業の
合理化と言いますると、直ちに資本家と言いまするか、事
業者側と言いまするか、そういうかたがたがそれを同意語のごとくに、すぐ首切りが始ます。
日本のように
企業の
合理化ということは裏を返せば従
業者を整理することのように誤解されて、そういうふうに銘が振われて来たわけです。ところがそういうような
状態では今日労働者は基本的な人権が、或いは又労働三法等の規定によ
つて相当拡充されている場合に、そうもやりかねないので、実際はお察しするに事
業者の諸君も困
つておられたと思うのです。ところが困
つている
状態、例えば福井の例をとれば、福井の労働
組合の諸君が本
委員会に来まして、福井の絹、人絹の苦境を打開してもらいたいというような、労働
組合側から率先いたしまして本
委員会に陳情して、是非
一つその事業を救
つてもらいたいという請願、陳情がわざわざあつたのです。ところが福井の事
業者側はこれに同調しないばかりではなくして、この労働者のそういう事業の救済
対策に対しましてむしろ反対をしているというような傾向があつたのですね。私はこの
法案の裏には、この労働
組合側のほうが労使一体にな
つてその事業を守
つて行こう、防衛して行こうというような動きに対して、そうじやなくて、事業を守
つて行くためには労働者を整理しなければならないのだというような
考え方に基くものが大半この
法案の趣旨としているところじやないか、そういうような疑いを私は持
つているわけなんです。どうも南さんの御説明を承わりましても、この疑いを私が了解する
程度の御説明を承わ
つてないわけなんですが、私やつぱり今日
日本が
国内的にも行詰り、
貿易的にも行詰
つている場合には、これを一人の犠牲においてしわ寄せをして
産業防衛をしようという
考え方よりも、こうなりますると、やはり八時間働いたものも九時間働いて、九人で食えるものを十人で食
つて行くのだというような、
国内的にはそういう人間的な、家族的な気持がなければ、私は
中小企業と言わず
日本の
企業を守
つて行くことはできないのだ。それは
貿易政策の余力を得まして、東南アジア或いは中共
貿易等が盛んになりまして、
日本の製品がどんどん
輸出され、更に
日本の必要とされるところの資材が諸外国から入
つて来る。安いものが入
つて来るというような
状態になれば話は別でございましようが、そういう道を封じておいて、そこで
企業が困ると、それは直ちに労働者のほうにしわ寄せして行く。そうしてそれを守
つて行く道は結局従業員の整理しかない。こういつたような貧困な
産業政策、
中小企業対策というようなものはどうかというような疑いを持
つているわけなんです。願わくばこういう非常に大ざつばなものの
考え方に対する
責任と言
つていいのか、何かわかりませんが、こういうものを納得の行くように御説明が願えるならば、幸い南さん福井の例をとられましたので、私は福井の例を申上げたのですが、そういうものも含めて、我我の納得するような御説明が煩わせるならば大変仕合せだと思います。