○
参考人(五藤斎三君)
只今までお述べになりました数氏の
参考人の
かたがたからいろいろ
中小企業金融問題のあり方についての理想論の
お話がありましたので、私はこの
金融問題に関しましては成るべく具体的な問題を申上げてみたいと存ずるものであります。近来は
中小企業問題が非常に重要性を認められまして、各方面に取上げられて参りました結果、現下の最も重要な問題でありまする
中小企業の金詰りの打開に関しましては国会、
政府或いは業界の
指導層におかれましてもいろいろと御配慮が加えられて参りました結果、
短期の運転
資金の充足に関しましてはいろいろの
施策ができて参つたかと思うのであります。で、これは必ずしも万全の布陣ができておるというわけでは勿論ありませんけれ
ども、多々ますます弁じなければならないことは当然でありますけれ
ども、
短期資金の問題に対しましてはいろいろの
施策がだんだんとその緒について参つたと思うのであります。それに比較いたしまして
長期資金の欠乏が著しく逼迫いたしておる。これはもう隠れなき事実であると思うのであります。工業の面で申しまするならば
設備の改善復旧或いは拡充に関しましてはどうしても
長期資金を必要といたします。又商業
資金の中での適正なるランニング・ストツクを持つためにはやや
長期の運転
資金を必要とするのは申すまでもないのでありますが、これらの供給が著しく欠けておる。これはもう皆様お認めにな
つておるところであろうかと存じますが、この面に対する
施策がとかく遅れがちであるということを御認識を願いたいと存じます。で、最近、曾
つて日本の
産業界の一大勢力であられた日産コンツエルンの総帥でありました鮎川義介氏が
中小企業助成会というものを
組織せられまして第三国のソヴイエト思想の圧迫を受けておる逃避
資本を日本に迎え入れて、これを日本の
中小企業の
長期資金に導入しようという画策をや
つておいでになりますることは御
承知の
通りであろうと思うのでありますが、すでに国会の外資
委員会でもそれを問題にしておられるかのように承わ
つておりますが、私も先日鮎川氏の説を縷々承わ
つて参りました結果、約三十億円の第三国外資を導入してそれを亜東
銀行という特殊の
銀行を通じ、
中小企業助成会というものを通じて日本の
中小企業界に主として
長期の
資金を供給しよう、二年据置、三年償還という合計五
年間の
長期資金に限
つてこれを供給しようと、こういうことが画策せられておるようであります。これは先ほど申しました現下の
長期資金の欠乏に悩んでおります国内
中小企業者間におきましては早天の慈雨のごとく期待をかけられておるのが
実情であると思うのであります。ところでこの細かい條件等を承わ
つてみますというと、この第三国の
資本が少くも年に二割を補償をしてやらなければならない。それを運営をいたしまする経費を加算いたしまするならば少しも利益ということを見ないでもどうしても年に三割乃至三割五分、恐らく月三分ぐらいの利息を徴収することを余儀なくせられるのではないかということが見通されておるところであります。これでも瀕死の
企業は喜んで使うだろうということを鮎川氏は深く期待をしておられるかというふうに見受けられますが、私
どもはこのような高いコストの
金利によ
つて日本の
中小企業が本当に
長期的に
育成せられるとは思わないのであります。私
どもは一応これは反対でありまするが、併し国内において国内の
資金を動員してそういう方面の要望に応えるという
施策が現在どこにも見当らないというところに、そういつたような考えもとらざるを得ないという
状態にあるということを
一つ御認識を願
つておきたいと存じます。
そこで具体的にこの
長期資金の充足を如何にすべきかということでありますが、占領下において
アメリカの援助によ
つて生れました見返
資金が
設備の改善にのみ使わせるというイデオロギーによ
つて放出せられながら、これが十分なる成果を挙げ得ていない。とかくそれが年々に余りがちであ
つて、もう本年度によ
つてこれが打切られようとしておりながら、未だそれが十分使われていない。こういうことが甚だ遺憾ではないかと思うのであります。これはいろいろの原因があると思うのでありまするが、これは見返
資金そのものが占領
政策の申し子であるというところからいろいろ制約を受けまして、自由な使途が考えられないということもありましようけれ
ども、その取扱の上におきましてはとかく疏通が阻まれまして、十分なる運営の妙が得られていないという、こういうことは否めない事実であろうと思うのでありますが、一例を申上げまするならば、印刷工業が
設備拡充をしようとして見返
資金を要求いたしました場合に、教科書印刷をするのは国民必需品の
産業であるけれ
ども、雑誌を印刷したり、その他の印刷業は国民必需品工業とは認められないということで、それを通すために
中小企業庁あたりが非常な努力を拂われなければならなかつたというような
実情もあるのであります。それから又一般教育のために国内で行われております
産業の中でも学校の教育器具を作りまする理化学機械を作る
産業等は、これは国内の必需品
産業ではない、こういつたよらな見方から見返
資金の利用範囲からオミツトせられておる。こういうような
状況もありまするように、これがとかく非常に狭い枠の中でのみしか運営されないということからこれが非常に余りこんでおる。これはこの
長期資金の確保が非常に痛切でありまする今日甚だ遺憾なことであると思いまするので、恐らく本年度に限られますこの見返
資金の運用に一段の改善を加てられまして、本来の使命である
長期資金の充足にこれが十分活用できますように、又開発
銀行に引継がれました復金の
中小企業枠の回収金も開発
銀行においては直接
中小企業には投資されないかのように承わ
つておるのでありまするが、これも間接の
方法によりますなり何らかの
方法によ
つてこれが更に
中小企業に再投資ができますように十分御配慮願いたいと存じます。そうして従来国家
資金が
金融機関に流れまするのに
中小企業専門
金融機関の性格のあります中金や国民公庫、或いは
信用金庫、
相互銀行等に流れておりまするのは甚だ喜ばしいことでありまするが、統計の示すところによりまするならば、国内的の
中小企業資金の放出の額は何と申しましても、一般
銀行のほうにその大部分を依存をしておるということが事実であるのであります。殊に地方
銀行におきましては、大体
中小企業を
対象として
金融を図
つておる。都会地におきましても昨年
東京に設立せられました
東京都民
銀行、或いは大阪不動
銀行、泉州
銀行、その他各地の
中小企業を專門の
対象とする地方
銀行が続々生れつつあるのでありまするが、これらにも国家
資金を十分に注入をしてやりますことによりまして、
中小企業金融の全般的な疏通を図るゆえんではなかろうかと存ずるのであります。
長期の
金融制度に対しましてはこの
程度といたしまして、一般
金融機関の運営の問題に関しまして若干申述べさせて頂きたいと存じます。最近昨年来の世界的景気の中だるみから由来いたしまして、
経済活動が低調になりました
関係から非常な
金融難を叫ばれながら
金融機関においては
資金がだぶついている。コール・ローンが非常にたくさん放出せられておるということもこれは皆様の御
承知の
通りであるのでございまするが、これは一面には
銀行が
自己の安全のために必要以上に貸出を引締めておるというところに由来するところが
一つあると私のほうは考えるのであります。これらの問題に対しましてはよく
事情を把握して頂きまして、
金融機関の
指導を国会の力によ
つておやりを願いたい。このように思うので、私は一般
金融機関に余り
関係を持
つておりませんが、例えば
商工中金の数日前の評議
委員会で示されました年次財務報告を見てみますというと、昨年の年末には二百十二億の貸出があつたのが、三月の末日書には二百一億円に減
つておる、その間十一億余円の減少を見ておるということでありまするが、それに対しまして
余裕金の
状態が約十四億くらいあるように見受けられたのであります。この十四億の
余裕金に対しまして、要求拂いの預金、その他のコール・マネー等を総計いたしますと、二十一億にな
つておつたかと存ずるのでありますが、
銀行のオーバー・ローンがやかましく論議せられておりまする今日でありまするが、要求拂い預金の二十一億に対して
余裕金が十四億あると申しますのはこれは余り
余裕綿々に過ぎるではないか。こういうふうに考えられるのでありまして、僅か三月の間に十数億円の貸出残が減
つておるということは一般
経済活動低調に起因することは勿論でありましようけれ
ども、一面におきましては非常に貸出が厳選せられ過ぎておるという面があるかのようにも見受けられるのであります。これらの点に関しましても適切なる御
指導が與えられたいと思うのであります。それからいま
一つ中金の運営の問題でありまするが、御
承知の
通り中金が
組合金融をやりまする場合には原則的に
組合の
理事者の個人保証をと
つておるのであります。これは
組合金融でありまするので、
組合の協同精神の発露として
理事者が個人で保証をするということはこれは美しい問題でありまするので、イデオロギー的には非常に結構なことでありまするが、これは行過ぎますというと、どうも
組合の疏通を阻害するという面があると思うのであります。例えば甲も乙も丙も丁も
理事者が全部中金の融通を受けます
組合におきましては、相互扶助の形の上に成るべく多くの
資金を引出そうと努力をいたしまするが、中には
組合の
指導階層の中に中金の
組合金融の利用のできないような、具体的に申しますならば
手形的な商売をしていないという
業者もあるので、それらの金を全然借りない、
理事者が借りる、
理事者のためにいつも個人的な保証だけをしてやらなければならん、こういうことが起るのでありますが、そういう場合には成るべく
融資の厳選をよせということが先ず
組合の内部で起
つているのであります。このことは
金融の安全化という点から見ますると、まさに理想的な
組織でありまするし、中金自体の貸出の安全のためにはもとより最上の
方法でありまするけれ
ども、一般
中小企業金融の疏通という面から見ますとまさに逆効果を発揮する場合が多々あるのであります。或いは中金法、或いは中金の定款業務規定等の中に何か規則の上で、こういう
制度をとらなければいかんというふうにな
つておるかと存じておつたのでありまするが、その後いろいろ研究をいたして見ましたところがそれは全然そういうことはない、当局においてもあえてそれを希望しておられないかのように承わるのでありますが、ただ中金自体の営業の安全率を確保するという
観点からこれを強行しておられるのではないかと思うのであります。これらの点も、例えば全然中金を利用し得ない
理事者の混
つておりますような場合はそれが
理事長であろうと、専務
理事であろうと原則的にはそれは個人保証を要求しないといつたような運営をいたしますような御
指導を願いたいと私は考えるのであります。それから又中金の営業の
状態を見てみますというと、昨年新らしい法令の施行によりまして途の開けました
組合員、個人が中金と直接
取引のできるという進歩を見た問題でありまするが、これもその條項が施行せられました結果すでに今日三億六千万円の個人預金が中金に受入れられているようであります。ところでその直接個人預金に対しまして個人に直接貸しをいたしましたのが三月末日で一億八百万円しかない、こういうことも
一つの問題点ではなかろうかと思うのであります。中金は多く国家
資金によりましての割引
商工債券、或いは一般無記名の形にな
つております利附
商工債券を発行しておりますので、とかく
金利のコストが高くつき過ぎる、こういうことが一般識者の認識しておることでありまするし、常に中金自体もそれを憂えておられますが、これを救済いたしまするには一般
金融機関的な預金を多く集めなければならんということはこれは自明の理であります。ところがそれが全国に営業網を持
つております中金にして僅かに昨年以来約半歳の間に三億六千万円しか預金が集まらない。
東京都民
銀行は昨年の十二月十八日に開業をいたしまして未だ六カ月に満ちませんのでありまするが、今日すでに十三億になんなんとする預金を
東京都だけで集めまして、
自己の
店鋪は僅かに三
店鋪に過ぎないのでありますが、
商工中金におきましては全国四十数個所の
店鋪によりまして僅かに三億六千万円の預金しか集まらない。これは要するにそれに見合うところの個人
融資をもつと積極的にやるべきではないか。私はこう考えるのでありまして、集めた金の三分の一に足りないくらいしか個人貸をしない。これはそういう方面に何らかの制約が加えられておるのではないかという気がいたすのでありまして、これらの点からも改革が行われまして、そして
短期、
長期の
資金が充足をいたしますように
金融制度及びその運営に関しましての改善策を献言申上げたいと思うのであります。
最後に申上げたいのはまあ先ほど皆さんからも
お話がありましたが、
中小企業庁の内局かの弱体化の問題でありまするが、私
どもも
行政機構簡素化には全面的に賛意を表するものでありまして、むしろ通産、農林、安本を打
つて一丸とした
産業省を作る
程度の思い切つた簡素化を行な
つて頂きまして国費の軽減を画期的にや
つて頂きたいが、今日論議せられておりまする各省設置法の
内容を承わ
つておりますというと、
中小企業庁を内局化しても長官の給料がひとり浮くだけであとに一向軽減にはならないというようなことを承わりました。これは何としても我々は反対せざるを得ない。何か
中小企業がこれに代る大きな国家的な保護を頂戴ができるという見通しでもありまするならばこれは又格別だと思うのであります。これらの点に関しまして昨年
中小企業庁で立案せられました
中小企業専門金庫法のようなものを皆様いま一度お考えを頂きまして、これも
大蔵省の横槍によ
つて国民金融公庫の拡充案ということで龍頭蛇尾に終りまして二百五十億の最初通産
関係の御立案に対して
大蔵省が二百億円案を出し、而もそれが実際実行に移されましたのは僅か三、四十億の
国民金融公庫の拡充案に化けてしまつたというふうなことは私は甚だ慨歎に堪えないと思うのであります。ここで
一つ中小企業専門の小
委員会の当
委員会におかれましてはこれらの点を今
一つ顧みられまして大きな
施策をお出しになられる、止むを得ず
中小企業の内局化を承認せざるを得ない場合は
一つそういうお土産を我々に頂戴したい、こういうふうに考えます。
いま
一つの問屋
金融と
下請金融の問題でありますが、これは私專門の分野ではありませんけれ
ども、考えまするのに問屋
金融というものは戰前におきましては相当のウエイトを持ちまして、いわゆる下職というのがお店と申します問屋に依存をいたしまして、それらの
金融的保護によ
つて企業を維持しておつたのは隠れもなき事実であります。勿論その半面には利潤の搾取というような悪い面もありましたけれ
ども、とにかく
金融的には問屋の保護を受けておつたと思うのでありまするが、戰後におきましてはこれらの問屋さんが殆んど
蓄積資本がなくなりまして今日ではその実力を持
つていない。逆に問屋に納めます
企業者が
長期の
手形をもら
つてそれらの下職が問屋の
資金を維持しておるというような逆な現象も見えるのでありまするが、これに関しましてはいつも論議せられながらその実行の面において非常な困難さが考られる。問屋さんというのはその具体的な担保力になる、見合うものを多く持
つておらないということで
金融操作上非常に困難だということをよく聞くのでありまするが、そこで私はその琉通策といたしまして
商品担保の
金融の強化ということを是非考えて頂きたいと思うのであります。これは私年来主張を申上げておるのでありまするが、大
企業に関しましては例えば貿易商社、或いは大きな輸入
業者等におきましては保税倉庫、或いは国内の営業倉庫の倉庫証券によ
つて金融の途が図られておりまするが、
中小企業を維持いたしておりまする問屋においては殆んどその仕入、ストツクいたしておりまする
商品が
資金化されない、こういうことに大きな隘路があるのではないかと思うのであります。これを何らかの形において
商品担保
金融が図られまするならば問屋
金融というものに一歩前進ということが現われて来るのではないかと思うのであります。
下請金融の問題といたしましてもこれ又非常に論議せられておるところでありまして、
下請業者の犠牲において親
企業者が
金融操作を行な
つておるかの感を深くする。現在の
下請代金の遅延、或いは棚上げの問題はこの
経済道義の上からもこれは許しがたい問題でなければならんと私は思うのであります。何とかこれが琉通ができますような法制化を要望したい、こういつたような声が非常に多いのであります。
下請代金疏通
基準法といつたような何かそれを縛る法制化を要望したい、こういうことを考えておるのであります。又一面には
下請金融の疏通に関しましては注文書を担保にして
金融を図る、こういつたような
一つの途を開いて頂きたい。勿論これは将来の再建を目標といたしまするので
信用的要素が非常に多くなりますので
信用保険、或いは
信用保証
制度の活用を伴わなければできないことは申すまでもありませんが、とにかく注文書担保の
金融の途を開く、そういうことによりまして
下請金融の疏通が或る
程度図られるのではないか、このように考えるのであります。
三番目に運転
資金か、
設備資金かという問題でありますが、この運転
資金も
短期の運転
資金はだんだんとその途が備わ
つて参りつつあるのでありまして、いま一層の皆様の御努力によ
つてこれは所期の目的を達することができると思うのでありまするが、
長期運転
資金が今日全く欠けておる、
手形の割引はもう九十日を超えるものは
金融業者は受取らない、百二十日の
手形をもらつた場合は、これはどうしても三十日は抱いてお
つて向う九十日以内にならないと
金融業者が取
つてくれないというような
実情があるのであります。若しも運転
資金というのは原則的に六十日
程度のものだ、九十日を超えるものはこれはもう運転
資金じやないといつたような観念が
金融上余りにも支配的にありまするので、こういう面からも商業
金融が非常に阻害せられておる。今日はだんだん問屋と言わず、親
企業と言わず
手形の発行を澁りまするばかりでなく、発行いたしました
手形が百二十日、或いは百四十日、甚だしいものは六カ月というような
手形が発行されておる。これは事実
支拂を棚上げせられたと同じでありまして、利用のできない
手形でその親
企業なり問屋さんは
支拂をしたのだと、こう
言つておる。これは甚だ歎かわしいことであります。何とかこれが
金融機関によりまして救済のできますような方途を
一つ御考慮願いたいと思うのであります。
一つは
短期の
手形を割引いたします場合にとかく
金融業者においてこの
手形の審査等に非常に時日を要する点でありまして、僅か三十日四十日の
手形の審査をいたしまするのに十数日とか、或いは二十日になんなんとする調査期間を要求せられますので事実上運営する期間が非常に短くなる、殆んど借りたと思つたらもう返さなければいかんと、こういうような
状況もありますので、これは
金融機関の運営の問題でありまするが、これらの点につきましても実際のそれらの面に御経験の深い
松本委員長さんあたりの御考慮を特に
一つお願い申上げたいと存ずるのであります。それからやはり
商品担保
金融が疏通をいたしまするならば運転
資金の疏通に大きな役割を演ずることと思うのでありまするが、これはひとり問屋さんばかりじやありませんで、物を作ります
業者のほうにおきましても季節的な変動によりまして冬物、夏物の差もございましようし、或いは教育に
関係する物資を供給いたしておりまするような
業者におきましては学期の初めと学期の終りとには売行が全く違いまするので、半年は物を
作つて備蓄をしておき、半年はそれを販売するというような営業を余儀なくしておりますようなものが多々あるのであります。そういうような
業者に対しましてはその備蓄、或いは季節の変転によりましての或る一定の期間のストツクに対しましては
商品担保の
金融が望ましい、ただこれは営業倉庫で預りませんので何らか手を打たなければならんのでありまするが、例えば
協同組合の都道府県單位の連合会あたりに国家が
資金を御放出を願
つて共同倉庫を作らせる、そうしてその倉庫のものを評価する評価員を常備さしておく、こういつたような援助策を講じて頂きまするならば
中小企業のそういう季節的な備蓄製品が
資金化しまして運転
資金の疏通に大きな役割を演ずるのではないかと思います。その池
中小企業の
設備資金の拡充に関しましては不動産担保の
金融が是非とも望ましい。これは
長期信用銀行の発足によりまして一部の
産業に対しましては明るさが考えられますが、これもどうも
中小企業的な運営はなされないだろうというような想定が下されておるようであります。これは何とか
中小企業の唯一の資産でありまするところの工場或いは敷地建物の不動産
金融の疏通を考えて頂きたいと思います。今日
金融業者が異国同音に申しますることは、土地ならば新地であり、家ならば空家であるならばこれは担保になる。土地の上に家が建
つており、家の中に人が住んでおり、或いはそれを
使つておる場合は、基本的人権の尊重せられた居住権というものの民主的な解釈を余儀なくせられる今日においては、それは担保力にならないのだ、こういうことを言われまして、殆んど
金融的にはこれを担保にとられないというのは御
承知の
通りでありますが、今日だんだん安定に近付きました段階におきましては、少しこれは考え直す必要があるのじやなかろうかと思います。往年のような担保のパーセンテージは得られませんでも、とにかく合法的にこれが正式な担保として認められる。こういうような形を是非とも招来をして頂きまして、
中小企業の根本的な
設備資金の拡充に
一つの役割を演じさして頂きたいと思います。間接的な
設備資金の問題に対しましては、各都道府県の中で数府県実施をせられております機械貸付
制度、昨年度
東京都におきましては、一億円の地方予算を以ちまして機械を
業者に貸付けましたようでありますが、これは五カ年の無利息年賦償還であります。
長期資金として間接的な大きな役割を果しておると思います。で本年もなおそれを
金融的に結び付けて、より大きく拡大して
東京都はやろうという構想を持
つておられるかのように承わりますが、国のほうでもこれらの面について
一つ一段の御配慮が願いたいと思います。聞くならく、最近もとの賠償機械を
中小企業のために拂下げる。これに対しては通産
委員会及び
企業庁においても非常な熱意をお傾けを願
つておることを拝承しまして、私は非常に心強く感じております。ただこれに対しましては、
大蔵省に反対がありましたように承わ
つておるのでありますが、これらについては是非とも
一つ中小企業に有利なように、いろいろ議論もあります、余りスクラツプ等にするのは穏当でないという議論もある。それはいろいろ議論を盡した結果で結構でありますが、とにかく
中小企業に
重点的にこれを拂下げられまして、而も相当の価格で拂下げられます場合は、
長期割拂の
金融利息と結び付けてこれが行われますように、十分なる御配慮を頂きたいと思うのであります。
以上三項目の御設問に対しまして具体的な問題を申上げましたが、一言私申上げたいことは、どうも
金融問題というのは非常に逼迫をいたしておりまするので、
金融問題に
中小企業対策が集中せられます憾みがあるのでありまして、
金融問題さえ解決すればすべての
中小企業問題はもうそれで十分だ、こういつたようなお考えがややもするとあるかのように感ずるのであります。私は
金融問題というのはこれは餓えて腹のへ
つているものに粥を食わすようなもので、その衰弱した体を直す効果はありましようが、積極的にそれが社会活動をするというところまでは
金融疏通だけでは行かん、どうしても総合的な
中小企業対策というものが、樹立せられなければならん。こういうことを痛感いたすのでありまして、通産
委員会の中に
中小企業小
委員会をお持ち頂きました皆さんの御熱意に非常な私は感謝と期待を持つものでありますが、日本の
インフレ経済ももはや安定の最初の段階に近付いておりますので、これからは
一つ恒久
対策的な
中小企業振興策を
一つこの
委員会でお取上げ願
つて、各方面に亘
つて一つ御審議して頂きたい。
金融問題は現下の焦眉の問題でありますから勿論御考慮を願わなければなりませんが、同時に先ほど
樋口さん、竹田さんからお述べになりました税の一段の軽減の問題、これは一定の国費が必要でありますので、
行政簡素化によ
つて国費を軽減いたしますとか、或いは直接税を間接税に置き換えますとか、或いは
中小企業にいま少し軽くして大
企業とのウエイトを衡平化するとか、いろいろの見方があろうかと思いまするが、とにかく税を軽減いたしますことによ
つて中小企業が
自己資金の
蓄積を行い得るような
政策が政治的に取上げられなければ、私は
中小企業問題は百年河清を待つ
状態に終るのではないか。いつも追つかけられて、応急
対策、応急
対策とい
つて、どうも死にかか
つてからカンフル注射をやらなければならんというようなことを年中や
つている結果に終るのではないか。こんなふうに私は考えるのであります。税の問題、或いは
企業合理化促進法というように……大
企業のためには租税臨時
措置法によ
つて企業合理化のために外国から輸入した機械に対しては五〇%の償却を特に認めるというような規定もできておりまするが、これらは
中小企業にどうも恩典が及ばない憾みがあるように思うのであります。これらも
一つ御考慮願いたいと思います。
それから又今論議の
対象になりつつあります
中小企業安定法の問題でありますが、これも混乱せる
中小企業界のためには必要な
施策であると思うのでありまするが、一面におきまして社会生活を脅やかす消費層の圧迫ではないかというイデオロギー的な反対が非常にありますることは御
承知の
通りであります。これが繊維
産業とか、その他少数の国民生活必需品
産業に限
つて業種を指定しているというところに、その非難が集中せられておるゆえんではないかと思うのであります。私はもつと視野を拡げて、輸出
産業の中の国民生活の必需品
産業でない
業種にこれを逆に適用いたしますならば、プラスの面が非常に出て来る、外国に非常なダンピングをいたしておりまするようなものを自主的に、或いは法的に統制をいたしまして、適正な利潤をそれに得させるというような効果がその面から起
つて来るのではないかと思うのであります。で十分なる御審議はこれから行われることと思いまするので、これらの面も一応お考え置きを願いたいと思います。とかく日本の
中小企業は濫立の弊がありまして、同種の
企業が競争的にや
つて、ただ物を安く売る、これはコストを切下げることによ
つて安く売るのではない、マージンを剥いでしま
つて赤字
経営で物を安く売るという弊が非常に多い。こういうことは
中小企業者自体が
経済観念に非常に欠けておる。こういつたような面も
一つ総合
対策の中で教育的な
施策を大いにおやりを頂きますようなふうに、どうか
一つ各方面の
施策を併せて
中小企業専門
委員会におきまして十分御討議を願いたいと存じます。甚だ長うございましたが、これで終ります。