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1952-06-14 第13回国会 参議院 通商産業委員会 第49号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十四日(土曜日)    午前十時五十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            小林 英三君            松本  昇君            結城 安次君    委員            中川 以良君            山本 米治君            小松 正雄君            島   清君            境野 清雄君            西田 隆男君            石川 清一君   政府委員    中小企業庁振興    部長      松尾 金蔵君   事務局側    常任委員会專門    員       山本友太郎君    常任委員会專門    員       小田橋貞壽君   参考人    東京商工協同    組合連合会副会    長       菅谷 頼道君    東京織物問屋同   業組合理事長  樋口 裕人君    東京洋品協同組    合理事長    竹田理三郎君    東京精密機器工    業協同組合理事    長       五藤 斎三君    中小企業振興会    会長      松沢 隼人君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (中小企業金融対策に関する件)   —————————————
  2. 松本昇

    理事松本昇君) これより委員会を開会いたします。本日は御案内の通り中小企業金融実情に関し参考人かたがたから御意見を承わりまして、中小企業金融対策の確立に資したいというのが趣旨でございます。参考人かたがたは御多忙のところ本委員会のためにわざわざ御出席を頂きまして誠に有難うございます。本委員会では中小企業の問題に頗る大きな関心を持つておりまして、中小企業に関する小委員会を特に設けてこれが検討をいたしておる次第でありまして、先日は商工中金を初めといたしまして、各種中小企業金融專門機関から金融事情を聴取いたし、本日は事実上その継続でありまして、従つて業者側から御覧になりましたところの実際の立場においての御意見なりを私どもに教えて頂くようにお願いをしたいのであります。それで議事の進行でありますが、最初参考人かたがたからお一人で十分乃至十五分ぐらい御公述を願い、全部終りましてから御質問申上げるということに取計らいたいと思いますが、これで如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松本昇

    理事松本昇君) それでは御異議ないものと認めて、さようにいたします。只今申しましたように主題は中小企業金融でありまするが、私どもはこの金融中小企業対策の重要なる一環として考えておるのでありますから、必ずしも金融問題に限つたことではございませんで、その他につきましても御腹蔵なき御意見の御開陳をお願いしたいと思うのであります。それでは取急ぎ先ず菅谷さんからお述べを願います。東京商工協同組合連合会会長菅谷さん。
  4. 菅谷頼道

    参考人菅谷頼道君) 中小企業金融制度というものは非常に大きな問題になると思うのですが、これをどういうふうに制度を作つたほうがいいかというような御質問の御趣旨じやないかと思うのですが、それには政府のほうでもいろいろ前に何か資金のプールの銀行でも作つて中小企業金融機関にこれを流すとかいうような話を伺つたのですが、業者としてはそういう新らしいものよりも既存の金融機関を拡充強化してもらいたいというような意見を前から持つております。それでそれには現在商工組合中央金庫と、それから国民金融公庫、こういうような機関があるのですが、この性格というものをもう少し明確化したほうがいいのじやないか。前から国民金融公庫商工中金縄張り争いというか、それからそれに附随いたしまして大蔵省通産省縄張り争いというか、そういう問題でそういう官庁の争いのために中小企業全体のためになかなか資金が流れて来なかつた、こういうようなことになつておりますので、そういう社会政策面金融産業政策面金融というようなことを明確化する必要があるのじやないか。それを少し通産省大蔵省で話合いをつけてはつきりしてもらいたい、そう思います。それからそのためには資金をどういうふうにしなくちやいけないか、現在非常に中金なんかでは協同組合金融に対して資金安定化を欠いておるわけです。それは政府資金が非常に短期に預託されたり、或いは商工債券の民間の消化率によつて政府がそれを六割か何か消化して行くというような方法のために、非常に資金安定化を欠いておる。で、資金量安定化を先ず図つてもらいたい。それからそれには政府がどういうふうにしなくてはならないかというような問題はおのずからそこから出て来るのでありますが、やはり資金安定化、それから現在資金の問題につきましては、中小企業者にとつて非常に大企業と不公平な立場に置かれておるという実例を、時間がありませんからお話いたしません。弱小企業が共同することによつて企業と対等の立場経済競争がなし得られるか、そういうものの考え方から政府協同組合というものを育成助長しておるわけなんですが、これが現在の資本主義下におきましての優勝劣敗を決しておるところの金融という面から見ますると、非常に不公平である。なぜならば現在商工中金協同組合に貸出しておる金利日歩三銭です。短期三銭、長期三銭五厘、それに今度組合自体手数料を取るわけです。手数料を取らなければ組合はやつて行けません。だから組合手数料を取ります。それは組合によつて異なるのでありますが、大体二銭から五銭くらいの手数料を取つて組合を運営しておるわけです。中小企業者の弱小なまのはそのほかに信用保険料、これが三厘取られます。それから若しくは信用保証協会保証料、これは三分取られます。それから大企業からの下請に対する支拂が非常に遅延しておる。それで手形も大体九十日がまあいいほうで、現在百人十日ぐらいの手形を発行しております。百八十日、半年ですね、そのくらいの金利を、そういう高率のものによつて中小企業者が割引かなくちやならない。こういうような状態そうすると、中小企業者というものはかれこれ日歩十銭ぐらいの割引料支拂つておる。一方市中銀行重点的に大企業に対して資金を流しておりますが、これは短期日歩二銭六厘、そうするとその差というものが非常にあるわけです。こういうような問題は放つて置くというわけには行かないと思うのです。これは一つ経済暴力という言葉を使つてもこれは決して過言ではないと思うのです。こういうように中小企業者はその金利を拂うことによつて何ら資本蓄積にもならない。そういうような状態に置かれておりますので、こういうものに対しては政府はやはり低利資金を如何にして流すか、逆算的に市中銀行並み中小企業者に金を貸付けるためにはどんなふうな方法をとればいいか、逆理的というか、逆算的というか、そういうようなやはり政策を立てなくちやいけないのじやないか。そのためには政府余裕金、これを非常に低利なもので以て中小金融機関に流す。若しくは信用保険制度ができましたのですが、これは非常に皆さん使つておらないのです。それは信用保険料の問題、これがあるのでそういうものは政府が全部負担してもいいのじやないか。僅かばかりの保険料を取つてそれが必ずしも中小企業育成になるかどうかという観点から信用保険料というものはこれは政府負担したほうがいい。それから若しくは又中小企業特別会計というようなものを作る必要があるのじやないか。農林漁業資金融通特別会計というようなものがあると同じように中小企業特別会計というようなものを作つて、これらとも繩張り争いにならないように幾らはどこと幾らはどこと、こういうような細部のものを一つ作つてもらう必要があるのじやないか。大体そう思うのですが、今大きな問題になりますのですが、こちらに中小企業安定法というようなものを作られているようですが、私の考えからするとむしろ中小企業安定法といつてちよつとした僅かの業種対象とするんじやなく、中小企業振興法というようなものと取組んでやられるべきじやないか。それには今言つた金融中小企業特別会計とか、こういうような資金の量の安定化と、それから資金低利化、そういうような問題、それから大企業下請に対する支拂の遅延に対して、労働者には労働基準法があるごとく、この下請支拂基準法というようなものを我々は叫んでおるのですが、そういうものも引つくるめたような大きな観点から中小企業振興法というようなものと一つ議会は取組む必要があるんじやないか、そういうふうに思うのです。最近アメリカではトルーマンが、これはやはりこの軍需生産をするために大企業に流れることを非常に恐れて、中小局部工場だけ、こういうものを設置して中小企業者にも直接仕事が行かれるようなものを作つてアメリカにおいてその対策というと非常に通産行政というものは、商務省の行政というものは中小企業一つ重点を置いておる、そういう見地からいろいろな金融制度を立てられたほうがいいんじやないか、そういうふうに考えるのであります。まだ参考人かたがたくさんいらしておるのでこの辺で失礼さして頂きます。
  5. 松本昇

    理事松本昇君) どうも有難うございました。それでは次に東京織物問屋同業組合の副理事長樋口さん。
  6. 樋口裕人

    参考人樋口裕人君) 菅谷さんの話といろいろ重複いたしますので、重複を成るたけ避けるようにして私の意見を申上げたいと思います。中小企業金融の問題につきましては、もうこれはすでに新聞等にも出ておる通り、極めて金融情勢は悪いということになつておりますが、資本主義経済の下において中小企業金融が悪くなるということは、これはもう極めて当然のありふれたことなんでありまして、商業採算の点から言つて中小企業でいわゆる金融機関が面倒を見るということはですね、決して大企業に対すると同じような工合に行かない、極めて不利であるということが、そうなつて来ることがこれはまあわかり切つたことです。この金融の問題をどういう工合に打開するかということについては、まあいろいろ方法があると思うのですけれども、先ずとにかく重要なものから取上げますと、中小企業組織がないということが第一で、第二はその中小企業に対する税の問題から考えて、中小企業自己資本蓄積余裕が残らないという点があります。更に行政措置の問題において比較的軽んじられているというのが今までの情勢であります。この三つの上から検討して行かなければこの金融の問題がなかなか解決できないと思います。そこで金融中小企業に対する実情につきましては、今菅谷さんからお話がありましたので、商業者のほらの立場金融状況を申上げますと、いわゆる市中金融機関というものは、先ほど申上げました通り企業に対するほど、そう商業採算がゆるくないという建前から、これに対する金融方法というものはですね、いわゆるインフレ状況にありました終戦後から昨年の三月頃までの間は中小企業に対しても或る程度金融の途がついたのですが、それはインフレ状況の下にあります、まあ早く言えば金融機関でも物を買つておけば損はないから今のうちに買うべしという考え方設備にいたしましても、今のうちに設備いたしておいたほうが得だという考え方からインフレ融資したという、ちよつとまあこれは卑屈な言い方ですけれども融資ができたわけですが、昨年の三月頃以降物価の変動が激しくなつて参りまして以後は、これは物へ金を貸すという手がなくなつたわけでありまして、中小企業に対する金融の仕方が主として対人信用というところに置かれて来た。従つて融資のつき得る業者の範囲というものは極めて狭くなつた。こういうのが実情でありまして、なお金融機関融資をしてくれます場合も非常にその著しい特徴といたしましては、企業内容に非常に立入るという傾向が強くなつて参りました。これはいわゆる金融業者の心理として考えられることなのでありますが、企業の細かい内容にまで金融機関が立入るという情勢になりましたことは、これは企業自主性というものを失いつつあるという現象であると私は見ておりまして、中小企業のためにこれは何とかしなくちやいかん。早くいわば銀行の丸抱えになつておるという形勢が見受けられるわけなんです。ですから中小企業自主性を回復するためには何としても中小企業独立経営ができるための資本蓄積、内部の合理化ということが必要になつて参りますのですが、資本蓄積という面におきましては、これはどうしても税の問題を取上げなくちやいかん。で、今日は御承知通り中小企業というものは多く法人の形をとられておるわけなんです、五十万円、百万円といつた法人も何十億という法人も一様に法人税法によることは、多少のそこに差異があるといたしましても、そういうことはこれは特にその税法に改正が常に行われておるというような面から見ましても、中小企業者はその都度非常に困惑をいたしております。それは今のような組織が不完全であるがために複雑なる税法が常に変動するということに、こういう面からもなると思います。それから中小企業の場合は恐らく同族会社の形式をとつております同族会社に対して特に税率が加算されるというようなことは、これは中小企業の面の資本蓄積を更に圧迫さして行く、こういうこともありますが、中小企業といたしましては大企業以上に税金問題については困つておるこの問題を中小企業に対してどうやつて解決するかということを是非通産委員として取上げて頂きましていま少し簡素にして運営し、又完全な組織納税者が間違いなく納税できる方法を図つて頂かない限りは中小企業といたしましては納税のために要する手数、間違い、そのために追徴その他の負担を受けるというようなことのために資本蓄積がますます遅れるということになつて来ると思います。更に中小企業信用を高めて金融の途をつけるという方法といたしましては、中小企業の自治的な団体によつてその業界の利益を擁護し、なお発展を図るという組織がここに法的に確立されることを私は切望するのです。戦前は御承知のように同業組合というものがありまして、戦後におきましてはいわゆる独禁法、事業者団体法というものがありまして、中小企業自由経済の下に保護されているというのが実情であります。各業種別にこれが団体を結成いたしまして、そうしてそれによる法的根拠によつて自己防衛手段が講ぜられる、こういう方法を立てない限りには中小企業信用なり安定なりを期することは不可能である、かように考えます。その面において一つ施策を要する、かように考えます。更に中小企業は日本の産業構成の面から考えますと、御承知通り圧倒的な七、八〇%という構成をなしておりまして、これが経営者従業員の数を数えました場合に莫大な人員になつておるわけでございまして、中小企業に対しましてはこれを一つ経済問題乃至は産業問題として取上げるよりも更に大きな社会問題として取上げるということ、施策が必要であるのではないか。そういう立場から割出しますと、現在の中小企業庁のごときはまだまだ組織といたしましては非常に御承知通り、まあいわば外様と申しますが本省以外のことになつておりまして軽んぜられているというように我々は考えます。これは一つの労働省が必要であるというような考え方と同様に中小企業省が必要であるくらいに議員諸公はお考え下さつて、これは社会問題、政治問題として中小企業の問題を取扱つて頂く、そうしてこれが育成方法を講ずるという方法をとつて行くという行政面措置を更に私は皆さんにお願いをいたしたいと思います。申上げました要点によりまして、要するに中小企業信用度を高め、組織を強化し、それから政府行政措置による育成方法を講ずる、こういう方法を講ずることによつて、初めてそこに中小企業金融の問題も無理のない行き方の金融の途が成立つことと、私はこういう大きい観点から一つ意見を述べたいとかように存ずるのであります。
  7. 松本昇

    理事松本昇君) それではその次に東京洋品協同組合理事長竹田さんにお願いします。
  8. 竹田理三郎

    参考人竹田理三郎君) 只今前段二氏のかたによつて、大体御意見は政治的な面に重点があつたと思うのでありますが、私は立場を変えまして、私どもの実際の業態の内容を申上げまして御参考にいたしたいと思うのであります。而も今日参考人としてお呼び頂いております中で最も細かい、要するに零細な業者団体でございます東京都内にございまする洋品店の七百二十八名の団体でございますが、只今組合資本金が一千三百四十万円でございます。そうしてこの団体が現在如何なることをやつておるかと申しますと、その事業内容に触れて見たいと思うのでありますが、只今組合共済事業、即ち火災、水害、或いは弔事、見舞というような即ち共済事業、それに金融事業をいたしております。で、金融事業としましては東京商工組合信用金庫業者の今日現在の預金総額が二千二百万円でございます。これは組合員個々が預金しておりますもの、それからそれを見返りとしまして必要を迫られるかたがたからこの組合を通じて貸出しておりますのが千九百万でございます。更に東京都の斡旋によりまする帝国銀行からの小口融資、これは昨年暮以来継続しておるわけでありますが、現在これを一千万円組合が借受けて転貸をいたしております。金融事業としてはこの二つでございます。  次に扱い商品の共同仕入でございます。大体年間三億二、三千万円のものを組合員のための共同仕入をいたしておるわけであります。従つてこの品物を、品物によつて業者転貸をしておる、こういう形でございます。その他経営指導経営指導につきましては税務関係或いは店舗の改造、そうして店員の指導、こういう面を組合として以上四つの大別しますれば仕事に分けていたして参つておるのでございます。さて私どもがこの四つ仕事のうちの第三番目に申上げました商品転貸、即ち共同仕入という問題でございますが、只今商工中金から組合金融として現在四千一百万円の借入をいたしまして、それだけの仕事を継続しておるのでございます。併しながら七百余名のうちのこれを完全に利用されておりまする者は、大体五百でございます。全部とは申上げられません。こういつた実情でございます。従つてこれがその数で割つて頂きますならば利用度合もおのずから出るわけでございます。  次に組合員事情は然らばどうであるかとかように考えましたときに、大体平均いたしまして年間商い高が平均いたしますと六百五、六十万円が中心でございます。大きいものに至りましては年間八千万もやつておるものもございますが、極く小さいものは年間漸く二百五、六十しかできていないという業者もございますが、その中心が今申しました数字でございます。そこでこれらのかたがたが然らば金融面はどうなつておるかということを見ますときに、一応市中銀行への取引をいたしておりますものは組合員の中の大体六六・七%になるようでございます。七割弱でございます。それが市中銀行当座を持つて取引をいたしております。残りの三五%程度のものが信用組合或いは相互銀行等に結付いて当座取引をいたしております。僅かなものでございますが四、五%のものはその他に属するわけでございます。さて一応銀行取引は以上のような状態でございますが、さて経営上どうしても手持資金では到底賄い切れない、組合からもそうした線で融資或いは商品幹旋ができておりませんのでありますが、それのみによつては賄い切れないことによつて借入をしなきやならんという場合の、要するに融資先のパーセンテージは次のような数字でございます。先ず市中銀行につきましては一〇%、一割でございます。それから三五%が信用組合或いは相互銀行等でございます。なお国民金融公庫につきましては僅かに五%、それから自己資金によつて経営を持続しておりまするものがざつと二五%、なお二二、三%のものはこれはその他という見出しで申上げたいと思うのでありまするが、それは友人或いは親戚、それから商店街日掛等から借りておるもの、こうした実情でございます。従いまして以上を要約申上げまするなら、市中銀行取引はあるが、さて借りようとする場合には殆んどその対象じやないというのが現状でございます。従つて組合への依存が強くなり、更に信用金庫並びに相互銀行等に頼ろうとする面が非常に強くなつております。なお、金融につきましては大体そうした事情に置かれておりまするので、次に業者の今後必要とする……今後と申しまするよりは、今現実に更に必要を感じておりまするものは、大資本企業即ちこの場合申しまするなら、我々の小売商から申しまするなら、デパートに対する一つ対策といたしまして、おのずと扱う商品の專門化を余儀なくされております。又当然なことであろうと思います。そうして在庫の充実を図らなきやならんという点で資金が必要になつて来ると思います。更に店鋪改造がこれ又時々刻々と進んで参りますることから、止むを得ず手持資金がなくつて店鋪設備を改善して行かなければならんという面がございます。こうした関係、更に数は少いながらにも従業員の将来を考えましたときに、これ又その補導と申しますか、教育関係、例えて申しますと夜間の学校に通わせる、或いは本を買つて読ませるとかいうような施設が、これは将来どうしても預つておる子弟に対しましてはそうした考え方を店主としては持たなきやならんのがこれは当然でございます。従つて以上三点につきまして新たに資金を要求されておるわけでございます。  次に、かような状態零細業者でありまするために、自己資金によつて賄い切れないという現状がますます濃くなつて参つております。而も最近商品の価格が安定しておりませんことによつて、やはり分相応な負担を担つております。更に一面税金につきましては、もとより業者自体帳簿等も完備しておらぬ点はございまするが、およそそういうことをおかまいなしにやはり過去と同じく当てがわれた、上から押付けられる査定によつて無理やり税金を取られておるのが現状でございます。従つて今言われまするように、資本蓄積などは到底思いよらぬという現状でございます。  次に金融機関のあり方を申しますると、私ども零細業者として考えますることは、先ず一番理解ございまするのは何と申しましても組合金融である商工中金が一番理解がございます。次に信用組合、或いは相互銀行等が我々の立場を本当に理解して融資を頂いております。従いましてこれらの中小企業金融専門店へ……專門機関通産省としては極力低利な而も長期資金が流れまするように要望申上げたいと思います。なお只今お話がございましたが、我々中小企業という中の一員として考えますならば、巷に噂されておりまするように、中小企業庁が何か縮小されるがごときようなふうに聞き及んでおりまするが、これはまさに時代逆行だと申上げたいと思います。少くも中小企業のその国内的負担を担つておる点を考えましたときに、我々中小企業者はもつと国際水準まで引上げてもらわなきやならん、或いは経営合理化というようなことにいたしましてもやはりその指導育成中小企業庁中心となつてこれを推進して頂かなければならんという時期に当つておるにもかかわらず、何かそうしたことが非常に我々が伺うときに実に遺憾千万だと思うのであります。どうかこうした点は是非本委員会等に大きく取上げて頂きまして、我々の立場を御賢察頂くようにお願い申上げたいと思います。それから私どもが直接に商工中金、要するに組合金融というものの体験から考えますることは、折角立派にできておりまする信用保険制度でございますが、聞くところによりますると借入れんとする組合も無論その負担をしなきやあならんことはこれは止むを得んと思うのでありますが、金融機関がやはり同じく負担されているというようなことを聞き及んで非常に私ども遺憾だと思います。若しそういうことで持続されるならこれは金融機関自体の負担にもかかるのだから、当然信用保険制度というものを活用されないことになるというのが実態じやないかと思うのであります。で、これは借方のほうの負担は止むを得ないといたしましても、貸方のほうの負担だけは絶対に今後免除して頂くことによつて初めて資金の保証制度の実施が円滑に行くであろうと、かように考えるわけであります。なお重ねてお願い申上げておきたいことは、我々の中小企業の重要性は今更申上げるまでもないのでございまするから、これらに向つて金融政策というものについて特段の御配慮を願い、特に既存の金融機関を強化拡充これを育成して頂くという方針に是非持つてつて頂くことをお願いいたします。以上。
  9. 松本昇

    理事松本昇君) どうも有難うございました。では次に東京精密機器工協同組合理事長の五藤さんに一つお願いいたします。
  10. 五藤斎三

    参考人(五藤斎三君) 只今までお述べになりました数氏の参考人かたがたからいろいろ中小企業金融問題のあり方についての理想論のお話がありましたので、私はこの金融問題に関しましては成るべく具体的な問題を申上げてみたいと存ずるものであります。近来は中小企業問題が非常に重要性を認められまして、各方面に取上げられて参りました結果、現下の最も重要な問題でありまする中小企業の金詰りの打開に関しましては国会、政府或いは業界の指導層におかれましてもいろいろと御配慮が加えられて参りました結果、短期の運転資金の充足に関しましてはいろいろの施策ができて参つたかと思うのであります。で、これは必ずしも万全の布陣ができておるというわけでは勿論ありませんけれども、多々ますます弁じなければならないことは当然でありますけれども短期資金の問題に対しましてはいろいろの施策がだんだんとその緒について参つたと思うのであります。それに比較いたしまして長期資金の欠乏が著しく逼迫いたしておる。これはもう隠れなき事実であると思うのであります。工業の面で申しまするならば設備の改善復旧或いは拡充に関しましてはどうしても長期資金を必要といたします。又商業資金の中での適正なるランニング・ストツクを持つためにはやや長期の運転資金を必要とするのは申すまでもないのでありますが、これらの供給が著しく欠けておる。これはもう皆様お認めになつておるところであろうかと存じますが、この面に対する施策がとかく遅れがちであるということを御認識を願いたいと存じます。で、最近、曾つて日本の産業界の一大勢力であられた日産コンツエルンの総帥でありました鮎川義介氏が中小企業助成会というものを組織せられまして第三国のソヴイエト思想の圧迫を受けておる逃避資本を日本に迎え入れて、これを日本の中小企業長期資金に導入しようという画策をやつておいでになりますることは御承知通りであろうと思うのでありますが、すでに国会の外資委員会でもそれを問題にしておられるかのように承わつておりますが、私も先日鮎川氏の説を縷々承わつて参りました結果、約三十億円の第三国外資を導入してそれを亜東銀行という特殊の銀行を通じ、中小企業助成会というものを通じて日本の中小企業界に主として長期資金を供給しよう、二年据置、三年償還という合計五年間長期資金に限つてこれを供給しようと、こういうことが画策せられておるようであります。これは先ほど申しました現下の長期資金の欠乏に悩んでおります国内中小企業者間におきましては早天の慈雨のごとく期待をかけられておるのが実情であると思うのであります。ところでこの細かい條件等を承わつてみますというと、この第三国の資本が少くも年に二割を補償をしてやらなければならない。それを運営をいたしまする経費を加算いたしまするならば少しも利益ということを見ないでもどうしても年に三割乃至三割五分、恐らく月三分ぐらいの利息を徴収することを余儀なくせられるのではないかということが見通されておるところであります。これでも瀕死の企業は喜んで使うだろうということを鮎川氏は深く期待をしておられるかというふうに見受けられますが、私どもはこのような高いコストの金利によつて日本の中小企業が本当に長期的に育成せられるとは思わないのであります。私どもは一応これは反対でありまするが、併し国内において国内の資金を動員してそういう方面の要望に応えるという施策が現在どこにも見当らないというところに、そういつたような考えもとらざるを得ないという状態にあるということを一つ御認識を願つておきたいと存じます。  そこで具体的にこの長期資金の充足を如何にすべきかということでありますが、占領下においてアメリカの援助によつて生れました見返資金が設備の改善にのみ使わせるというイデオロギーによつて放出せられながら、これが十分なる成果を挙げ得ていない。とかくそれが年々に余りがちであつて、もう本年度によつてこれが打切られようとしておりながら、未だそれが十分使われていない。こういうことが甚だ遺憾ではないかと思うのであります。これはいろいろの原因があると思うのでありまするが、これは見返資金そのものが占領政策の申し子であるというところからいろいろ制約を受けまして、自由な使途が考えられないということもありましようけれども、その取扱の上におきましてはとかく疏通が阻まれまして、十分なる運営の妙が得られていないという、こういうことは否めない事実であろうと思うのでありますが、一例を申上げまするならば、印刷工業が設備拡充をしようとして見返資金を要求いたしました場合に、教科書印刷をするのは国民必需品の産業であるけれども、雑誌を印刷したり、その他の印刷業は国民必需品工業とは認められないということで、それを通すために中小企業庁あたりが非常な努力を拂われなければならなかつたというような実情もあるのであります。それから又一般教育のために国内で行われております産業の中でも学校の教育器具を作りまする理化学機械を作る産業等は、これは国内の必需品産業ではない、こういつたよらな見方から見返資金の利用範囲からオミツトせられておる。こういうような状況もありまするように、これがとかく非常に狭い枠の中でのみしか運営されないということからこれが非常に余りこんでおる。これはこの長期資金の確保が非常に痛切でありまする今日甚だ遺憾なことであると思いまするので、恐らく本年度に限られますこの見返資金の運用に一段の改善を加てられまして、本来の使命である長期資金の充足にこれが十分活用できますように、又開発銀行に引継がれました復金の中小企業枠の回収金も開発銀行においては直接中小企業には投資されないかのように承わつておるのでありまするが、これも間接の方法によりますなり何らかの方法によつてこれが更に中小企業に再投資ができますように十分御配慮願いたいと存じます。そうして従来国家資金金融機関に流れまするのに中小企業専門金融機関の性格のあります中金や国民公庫、或いは信用金庫相互銀行等に流れておりまするのは甚だ喜ばしいことでありまするが、統計の示すところによりまするならば、国内的の中小企業資金の放出の額は何と申しましても、一般銀行のほうにその大部分を依存をしておるということが事実であるのであります。殊に地方銀行におきましては、大体中小企業対象として金融を図つておる。都会地におきましても昨年東京に設立せられました東京都民銀行、或いは大阪不動銀行、泉州銀行、その他各地の中小企業を專門の対象とする地方銀行が続々生れつつあるのでありまするが、これらにも国家資金を十分に注入をしてやりますことによりまして、中小企業金融の全般的な疏通を図るゆえんではなかろうかと存ずるのであります。長期金融制度に対しましてはこの程度といたしまして、一般金融機関の運営の問題に関しまして若干申述べさせて頂きたいと存じます。最近昨年来の世界的景気の中だるみから由来いたしまして、経済活動が低調になりました関係から非常な金融難を叫ばれながら金融機関においては資金がだぶついている。コール・ローンが非常にたくさん放出せられておるということもこれは皆様の御承知通りであるのでございまするが、これは一面には銀行自己の安全のために必要以上に貸出を引締めておるというところに由来するところが一つあると私のほうは考えるのであります。これらの問題に対しましてはよく事情を把握して頂きまして、金融機関指導を国会の力によつておやりを願いたい。このように思うので、私は一般金融機関に余り関係を持つておりませんが、例えば商工中金の数日前の評議委員会で示されました年次財務報告を見てみますというと、昨年の年末には二百十二億の貸出があつたのが、三月の末日書には二百一億円に減つておる、その間十一億余円の減少を見ておるということでありまするが、それに対しまして余裕金状態が約十四億くらいあるように見受けられたのであります。この十四億の余裕金に対しまして、要求拂いの預金、その他のコール・マネー等を総計いたしますと、二十一億になつておつたかと存ずるのでありますが、銀行のオーバー・ローンがやかましく論議せられておりまする今日でありまするが、要求拂い預金の二十一億に対して余裕金が十四億あると申しますのはこれは余り余裕綿々に過ぎるではないか。こういうふうに考えられるのでありまして、僅か三月の間に十数億円の貸出残が減つておるということは一般経済活動低調に起因することは勿論でありましようけれども、一面におきましては非常に貸出が厳選せられ過ぎておるという面があるかのようにも見受けられるのであります。これらの点に関しましても適切なる御指導が與えられたいと思うのであります。それからいま一つ中金の運営の問題でありまするが、御承知通り中金が組合金融をやりまする場合には原則的に組合理事者の個人保証をとつておるのであります。これは組合金融でありまするので、組合の協同精神の発露として理事者が個人で保証をするということはこれは美しい問題でありまするので、イデオロギー的には非常に結構なことでありまするが、これは行過ぎますというと、どうも組合の疏通を阻害するという面があると思うのであります。例えば甲も乙も丙も丁も理事者が全部中金の融通を受けます組合におきましては、相互扶助の形の上に成るべく多くの資金を引出そうと努力をいたしまするが、中には組合指導階層の中に中金の組合金融の利用のできないような、具体的に申しますならば手形的な商売をしていないという業者もあるので、それらの金を全然借りない、理事者が借りる、理事者のためにいつも個人的な保証だけをしてやらなければならん、こういうことが起るのでありますが、そういう場合には成るべく融資の厳選をよせということが先ず組合の内部で起つているのであります。このことは金融の安全化という点から見ますると、まさに理想的な組織でありまするし、中金自体の貸出の安全のためにはもとより最上の方法でありまするけれども、一般中小企業金融の疏通という面から見ますとまさに逆効果を発揮する場合が多々あるのであります。或いは中金法、或いは中金の定款業務規定等の中に何か規則の上で、こういう制度をとらなければいかんというふうになつておるかと存じておつたのでありまするが、その後いろいろ研究をいたして見ましたところがそれは全然そういうことはない、当局においてもあえてそれを希望しておられないかのように承わるのでありますが、ただ中金自体の営業の安全率を確保するという観点からこれを強行しておられるのではないかと思うのであります。これらの点も、例えば全然中金を利用し得ない理事者の混つておりますような場合はそれが理事長であろうと、専務理事であろうと原則的にはそれは個人保証を要求しないといつたような運営をいたしますような御指導を願いたいと私は考えるのであります。それから又中金の営業の状態を見てみますというと、昨年新らしい法令の施行によりまして途の開けました組合員、個人が中金と直接取引のできるという進歩を見た問題でありまするが、これもその條項が施行せられました結果すでに今日三億六千万円の個人預金が中金に受入れられているようであります。ところでその直接個人預金に対しまして個人に直接貸しをいたしましたのが三月末日で一億八百万円しかない、こういうことも一つの問題点ではなかろうかと思うのであります。中金は多く国家資金によりましての割引商工債券、或いは一般無記名の形になつております利附商工債券を発行しておりますので、とかく金利のコストが高くつき過ぎる、こういうことが一般識者の認識しておることでありまするし、常に中金自体もそれを憂えておられますが、これを救済いたしまするには一般金融機関的な預金を多く集めなければならんということはこれは自明の理であります。ところがそれが全国に営業網を持つております中金にして僅かに昨年以来約半歳の間に三億六千万円しか預金が集まらない。東京都民銀行は昨年の十二月十八日に開業をいたしまして未だ六カ月に満ちませんのでありまするが、今日すでに十三億になんなんとする預金を東京都だけで集めまして、自己店鋪は僅かに三店鋪に過ぎないのでありますが、商工中金におきましては全国四十数個所の店鋪によりまして僅かに三億六千万円の預金しか集まらない。これは要するにそれに見合うところの個人融資をもつと積極的にやるべきではないか。私はこう考えるのでありまして、集めた金の三分の一に足りないくらいしか個人貸をしない。これはそういう方面に何らかの制約が加えられておるのではないかという気がいたすのでありまして、これらの点からも改革が行われまして、そして短期長期資金が充足をいたしますように金融制度及びその運営に関しましての改善策を献言申上げたいと思うのであります。  最後に申上げたいのはまあ先ほど皆さんからもお話がありましたが、中小企業庁の内局かの弱体化の問題でありまするが、私ども行政機構簡素化には全面的に賛意を表するものでありまして、むしろ通産、農林、安本を打つて一丸とした産業省を作る程度の思い切つた簡素化を行なつて頂きまして国費の軽減を画期的にやつて頂きたいが、今日論議せられておりまする各省設置法の内容を承わつておりますというと、中小企業庁を内局化しても長官の給料がひとり浮くだけであとに一向軽減にはならないというようなことを承わりました。これは何としても我々は反対せざるを得ない。何か中小企業がこれに代る大きな国家的な保護を頂戴ができるという見通しでもありまするならばこれは又格別だと思うのであります。これらの点に関しまして昨年中小企業庁で立案せられました中小企業専門金庫法のようなものを皆様いま一度お考えを頂きまして、これも大蔵省の横槍によつて国民金融公庫の拡充案ということで龍頭蛇尾に終りまして二百五十億の最初通産関係の御立案に対して大蔵省が二百億円案を出し、而もそれが実際実行に移されましたのは僅か三、四十億の国民金融公庫の拡充案に化けてしまつたというふうなことは私は甚だ慨歎に堪えないと思うのであります。ここで一つ中小企業専門の小委員会の当委員会におかれましてはこれらの点を今一つ顧みられまして大きな施策をお出しになられる、止むを得ず中小企業の内局化を承認せざるを得ない場合は一つそういうお土産を我々に頂戴したい、こういうふうに考えます。  いま一つの問屋金融下請金融の問題でありますが、これは私專門の分野ではありませんけれども、考えまするのに問屋金融というものは戰前におきましては相当のウエイトを持ちまして、いわゆる下職というのがお店と申します問屋に依存をいたしまして、それらの金融的保護によつて企業を維持しておつたのは隠れもなき事実であります。勿論その半面には利潤の搾取というような悪い面もありましたけれども、とにかく金融的には問屋の保護を受けておつたと思うのでありまするが、戰後におきましてはこれらの問屋さんが殆んど蓄積資本がなくなりまして今日ではその実力を持つていない。逆に問屋に納めます企業者が長期手形をもらつてそれらの下職が問屋の資金を維持しておるというような逆な現象も見えるのでありまするが、これに関しましてはいつも論議せられながらその実行の面において非常な困難さが考られる。問屋さんというのはその具体的な担保力になる、見合うものを多く持つておらないということで金融操作上非常に困難だということをよく聞くのでありまするが、そこで私はその琉通策といたしまして商品担保の金融の強化ということを是非考えて頂きたいと思うのであります。これは私年来主張を申上げておるのでありまするが、大企業に関しましては例えば貿易商社、或いは大きな輸入業者等におきましては保税倉庫、或いは国内の営業倉庫の倉庫証券によつて金融の途が図られておりまするが、中小企業を維持いたしておりまする問屋においては殆んどその仕入、ストツクいたしておりまする商品資金化されない、こういうことに大きな隘路があるのではないかと思うのであります。これを何らかの形において商品担保金融が図られまするならば問屋金融というものに一歩前進ということが現われて来るのではないかと思うのであります。下請金融の問題といたしましてもこれ又非常に論議せられておるところでありまして、下請業者の犠牲において親企業者が金融操作を行なつておるかの感を深くする。現在の下請代金の遅延、或いは棚上げの問題はこの経済道義の上からもこれは許しがたい問題でなければならんと私は思うのであります。何とかこれが琉通ができますような法制化を要望したい、こういつたような声が非常に多いのであります。下請代金疏通基準法といつたような何かそれを縛る法制化を要望したい、こういうことを考えておるのであります。又一面には下請金融の疏通に関しましては注文書を担保にして金融を図る、こういつたような一つの途を開いて頂きたい。勿論これは将来の再建を目標といたしまするので信用的要素が非常に多くなりますので信用保険、或いは信用保証制度の活用を伴わなければできないことは申すまでもありませんが、とにかく注文書担保の金融の途を開く、そういうことによりまして下請金融の疏通が或る程度図られるのではないか、このように考えるのであります。  三番目に運転資金か、設備資金かという問題でありますが、この運転資金短期の運転資金はだんだんとその途が備わつて参りつつあるのでありまして、いま一層の皆様の御努力によつてこれは所期の目的を達することができると思うのでありまするが、長期運転資金が今日全く欠けておる、手形の割引はもう九十日を超えるものは金融業者は受取らない、百二十日の手形をもらつた場合は、これはどうしても三十日は抱いておつて向う九十日以内にならないと金融業者が取つてくれないというような実情があるのであります。若しも運転資金というのは原則的に六十日程度のものだ、九十日を超えるものはこれはもう運転資金じやないといつたような観念が金融上余りにも支配的にありまするので、こういう面からも商業金融が非常に阻害せられておる。今日はだんだん問屋と言わず、親企業と言わず手形の発行を澁りまするばかりでなく、発行いたしました手形が百二十日、或いは百四十日、甚だしいものは六カ月というような手形が発行されておる。これは事実支拂を棚上げせられたと同じでありまして、利用のできない手形でその親企業なり問屋さんは支拂をしたのだと、こう言つておる。これは甚だ歎かわしいことであります。何とかこれが金融機関によりまして救済のできますような方途を一つ御考慮願いたいと思うのであります。一つ短期手形を割引いたします場合にとかく金融業者においてこの手形の審査等に非常に時日を要する点でありまして、僅か三十日四十日の手形の審査をいたしまするのに十数日とか、或いは二十日になんなんとする調査期間を要求せられますので事実上運営する期間が非常に短くなる、殆んど借りたと思つたらもう返さなければいかんと、こういうような状況もありますので、これは金融機関の運営の問題でありまするが、これらの点につきましても実際のそれらの面に御経験の深い松本委員長さんあたりの御考慮を特に一つお願い申上げたいと存ずるのであります。それからやはり商品担保金融が疏通をいたしまするならば運転資金の疏通に大きな役割を演ずることと思うのでありまするが、これはひとり問屋さんばかりじやありませんで、物を作ります業者のほうにおきましても季節的な変動によりまして冬物、夏物の差もございましようし、或いは教育に関係する物資を供給いたしておりまするような業者におきましては学期の初めと学期の終りとには売行が全く違いまするので、半年は物を作つて備蓄をしておき、半年はそれを販売するというような営業を余儀なくしておりますようなものが多々あるのであります。そういうような業者に対しましてはその備蓄、或いは季節の変転によりましての或る一定の期間のストツクに対しましては商品担保の金融が望ましい、ただこれは営業倉庫で預りませんので何らか手を打たなければならんのでありまするが、例えば協同組合の都道府県單位の連合会あたりに国家が資金を御放出を願つて共同倉庫を作らせる、そうしてその倉庫のものを評価する評価員を常備さしておく、こういつたような援助策を講じて頂きまするならば中小企業のそういう季節的な備蓄製品が資金化しまして運転資金の疏通に大きな役割を演ずるのではないかと思います。その池中小企業の設備資金の拡充に関しましては不動産担保の金融が是非とも望ましい。これは長期信用銀行の発足によりまして一部の産業に対しましては明るさが考えられますが、これもどうも中小企業的な運営はなされないだろうというような想定が下されておるようであります。これは何とか中小企業の唯一の資産でありまするところの工場或いは敷地建物の不動産金融の疏通を考えて頂きたいと思います。今日金融業者が異国同音に申しますることは、土地ならば新地であり、家ならば空家であるならばこれは担保になる。土地の上に家が建つており、家の中に人が住んでおり、或いはそれを使つておる場合は、基本的人権の尊重せられた居住権というものの民主的な解釈を余儀なくせられる今日においては、それは担保力にならないのだ、こういうことを言われまして、殆んど金融的にはこれを担保にとられないというのは御承知通りでありますが、今日だんだん安定に近付きました段階におきましては、少しこれは考え直す必要があるのじやなかろうかと思います。往年のような担保のパーセンテージは得られませんでも、とにかく合法的にこれが正式な担保として認められる。こういうような形を是非とも招来をして頂きまして、中小企業の根本的な設備資金の拡充に一つの役割を演じさして頂きたいと思います。間接的な設備資金の問題に対しましては、各都道府県の中で数府県実施をせられております機械貸付制度、昨年度東京都におきましては、一億円の地方予算を以ちまして機械を業者に貸付けましたようでありますが、これは五カ年の無利息年賦償還であります。長期資金として間接的な大きな役割を果しておると思います。で本年もなおそれを金融的に結び付けて、より大きく拡大して東京都はやろうという構想を持つておられるかのように承わりますが、国のほうでもこれらの面について一つ一段の御配慮が願いたいと思います。聞くならく、最近もとの賠償機械を中小企業のために拂下げる。これに対しては通産委員会及び企業庁においても非常な熱意をお傾けを願つておることを拝承しまして、私は非常に心強く感じております。ただこれに対しましては、大蔵省に反対がありましたように承わつておるのでありますが、これらについては是非とも一つ中小企業に有利なように、いろいろ議論もあります、余りスクラツプ等にするのは穏当でないという議論もある。それはいろいろ議論を盡した結果で結構でありますが、とにかく中小企業重点的にこれを拂下げられまして、而も相当の価格で拂下げられます場合は、長期割拂の金融利息と結び付けてこれが行われますように、十分なる御配慮を頂きたいと思うのであります。  以上三項目の御設問に対しまして具体的な問題を申上げましたが、一言私申上げたいことは、どうも金融問題というのは非常に逼迫をいたしておりまするので、金融問題に中小企業対策が集中せられます憾みがあるのでありまして、金融問題さえ解決すればすべての中小企業問題はもうそれで十分だ、こういつたようなお考えがややもするとあるかのように感ずるのであります。私は金融問題というのはこれは餓えて腹のへつているものに粥を食わすようなもので、その衰弱した体を直す効果はありましようが、積極的にそれが社会活動をするというところまでは金融疏通だけでは行かん、どうしても総合的な中小企業対策というものが、樹立せられなければならん。こういうことを痛感いたすのでありまして、通産委員会の中に中小企業委員会をお持ち頂きました皆さんの御熱意に非常な私は感謝と期待を持つものでありますが、日本のインフレ経済ももはや安定の最初の段階に近付いておりますので、これからは一つ恒久対策的な中小企業振興策を一つこの委員会でお取上げ願つて、各方面に亘つて一つ御審議して頂きたい。金融問題は現下の焦眉の問題でありますから勿論御考慮を願わなければなりませんが、同時に先ほど樋口さん、竹田さんからお述べになりました税の一段の軽減の問題、これは一定の国費が必要でありますので、行政簡素化によつて国費を軽減いたしますとか、或いは直接税を間接税に置き換えますとか、或いは中小企業にいま少し軽くして大企業とのウエイトを衡平化するとか、いろいろの見方があろうかと思いまするが、とにかく税を軽減いたしますことによつて中小企業自己資金蓄積を行い得るような政策が政治的に取上げられなければ、私は中小企業問題は百年河清を待つ状態に終るのではないか。いつも追つかけられて、応急対策、応急対策といつて、どうも死にかかつてからカンフル注射をやらなければならんというようなことを年中やつている結果に終るのではないか。こんなふうに私は考えるのであります。税の問題、或いは企業合理化促進法というように……大企業のためには租税臨時措置法によつて企業合理化のために外国から輸入した機械に対しては五〇%の償却を特に認めるというような規定もできておりまするが、これらは中小企業にどうも恩典が及ばない憾みがあるように思うのであります。これらも一つ御考慮願いたいと思います。  それから又今論議の対象になりつつあります中小企業安定法の問題でありますが、これも混乱せる中小企業界のためには必要な施策であると思うのでありまするが、一面におきまして社会生活を脅やかす消費層の圧迫ではないかというイデオロギー的な反対が非常にありますることは御承知通りであります。これが繊維産業とか、その他少数の国民生活必需品産業に限つて業種を指定しているというところに、その非難が集中せられておるゆえんではないかと思うのであります。私はもつと視野を拡げて、輸出産業の中の国民生活の必需品産業でない業種にこれを逆に適用いたしますならば、プラスの面が非常に出て来る、外国に非常なダンピングをいたしておりまするようなものを自主的に、或いは法的に統制をいたしまして、適正な利潤をそれに得させるというような効果がその面から起つて来るのではないかと思うのであります。で十分なる御審議はこれから行われることと思いまするので、これらの面も一応お考え置きを願いたいと思います。とかく日本の中小企業は濫立の弊がありまして、同種の企業が競争的にやつて、ただ物を安く売る、これはコストを切下げることによつて安く売るのではない、マージンを剥いでしまつて赤字経営で物を安く売るという弊が非常に多い。こういうことは中小企業者自体が経済観念に非常に欠けておる。こういつたような面も一つ総合対策の中で教育的な施策を大いにおやりを頂きますようなふうに、どうか一つ各方面の施策を併せて中小企業専門委員会におきまして十分御討議を願いたいと存じます。甚だ長うございましたが、これで終ります。
  11. 松本昇

    理事松本昇君) どうも有難うございました。ちよつと皆さんにお諮りいたしますが、樋口さんは時間の都合で早く御退席になりたいという御希望なので、この際最後に松沢さんにお願いして、若し樋口さんに質問がございましたら……。
  12. 小林英三

    ○小林英三君 一緒に質問をしたほうがいいと思いますが……。もう少しどうです。
  13. 島清

    ○島清君 あと一時間くらい御辛抱を願えないですか。
  14. 樋口裕人

    参考人樋口裕人君) 大変勝手ですが、あと十五分くらい……。
  15. 松本昇

    理事松本昇君) それでは次に中小企業振興会会長の松沢さんにお願いいたします。
  16. 松沢隼人

    参考人(松沢隼人君) いつも参議院の通商産業委員会の皆さんがたが中小企業問題について非常に熱意を以て御心配下さいまして、こうした機会を頂いたことを厚くお礼を申上げたいと思います。時間がございませんから極めて簡單に、実は先ほどお手許にお配り願いました資料に基きまして意見を述べさせて頂きたいと思います。三つの資料をお手許に差上げてございますが、一応お目通し願いながら私の意見を聞いて頂きたいと思います。実は去る十日に全国の中小企業の決起大会が催されまして、その際決議されました宣言決議の書類がございます。そのうちの項目をお目通し願いまして、税対策金融措置対策の二点につきまして意見を申上げさせて頂きたいと存じます。  中小企業の問題は金融の問題と税の問題が主なる問題でありまして、この二つが解決つけばとにかく当面の危機を脱し得られるのであります。先ず私は先ほど来の参考人から述べられたことと重複を避けまして、問題は長期の安定資金が如何にしたらば中小商工業者に流れるか、この問題についてどうしても考えて頂きたいことは、政府としても中小企業金融問題については保険法を作り、又預託その他に、見返資金等によつて少々ではありますが、中小企業のために一応金融措置を考えておるのでありますが、折角の施策がどうもその目的通りに下へ流れて来ない、ここに大きな問題があると思うのでございます。例えばつい先頃政府が百五十億の金を市中銀行或いは中小企業金融機関に預託をされておりますが、その金の大部分が中小企業のところへ流れないで、そうしてむしろ金融機関が従来借りておる金の返済金にこれが大部分充てられてしまつた。特に市中銀行においては、先ほどどなたかからもお話がございましたが、非常にオーバー・ローンというようなことが叫ばれておつたが、この金が来たので、取りあえずそれを日銀へ皆返してしまつた。表てから見れば大分金の状態がいいようでありますが、実際はそれは数字の上から見たものだけであつて、本当はその金が下へ流れませんから、むしろ金詰りはひどくなつておるのが実情であるということが指摘されておるのであります。このことは今月号の東洋経済にも指摘されておるのでありますが、過日信用組合の総会で銀行局の銀行課長の大月氏が出られた、その際にもこの問題が出まして、大蔵当局としてもこれを認めておるのでありまして、全く困つたものだというお言葉でございましたが、実際折角の、この危機を脱するために出して頂いた金がなぜそういうようなことで下へ流れないかということは、これは金融機関側に言わせれば、三カ月という短期であるということが大きなネツクになつております。貸して若し戻らんと困るという心配から、いい借手が見付からんというようなことが口実になつているのでございますが、いずれにしてもそうした金融機関の熱意が得られたい、協力が得られないということによつて、その金が下に流れないということは否めない事実であります。そこでどうも私はこの大会で決議された国民の総意をお伝えして是非これは御考慮を願いたいと思いますのは、この第一に掲げてございます「中小企業金融通法を制定し、長期安定資金五百億の即時放出を政府に要求する。」この問題でありますが、どうしても特別会計法を作つて頂いて長期安定資金の枠を先ず中小商工業者作つて頂く、そして特別会計を、今の農林漁業資金融通法と同じような特別会計作つて頂いて、そして先ずコストの安い金を流して頂く途をどうしても確立してもらわなければならない。同時にこれが資金の公共性を失つておるところの普通銀行を通じて流すようなことを現在しておるから折角政府の見返資金であつても、又今の保険法によつて一応保証を政府がつけたにもかかわらずこれが運営されない。預託も今のような始末でございますから、どうしても上から下まで通るいわゆる中小企業金融体系というものをどうしても確立して頂く。中小企業金融はあの手この手でしなければならんと言われておるのでありますが、そのあの手この手ではどうにもなりませんから、一本にまとめて行くという制度の確立をして頂く。即ち農林漁業金融体系と同じ体系を中小企業金融体系に一つ確立して頂きたいということをお願いしたいと思うのであります。そしてその裏付として農林漁業に三百二十億、十五カ年の七分五厘という低利資金が出ているのでありますから、少くとも十五年なんでいう気の長いことはなくても結構ですから、五カ年くらいの期間、そして少くとも一割程度金利ということで先ずこれを、ルートを作つて頂くことになりますならば、今の企業合理化の問題、今後のいわゆる輸出産業の振興の問題、すべてここから始まつて来ると思うのであります。今の金融行政のあり方では、折角親心を持つて枠を作つたものがどうしても本当に生きて下に流れて来ないという点を特に御注意を願いたいと思うのでございます。中小企業庁が調べた数字によると、つい最近の調査で各銀行から融資が出されているうち、三百万円以下のものの工場に流れておるものは全融資額の二六%であると発表しておるのでございますが、全く中小企業に対しては従来の銀行、既存の金融機関は極めて冷淡であるということは既定の事実であります。といつて中小企業金融機関というものは中金初めの信用組合その他いろいろ中小企業專門機関がございますが、併しこれはとても現在のいわゆるコスト高の資金では到底安く、そうして中小企業に何とかして成るべくたくさん流れるようにしようといつても、これは実行不可能になつておるのです。例えば商工中金資金運用のコストを検討して見ても、商工中金自体は少くとも二銭四厘程度商工債券によつて集める、コストがかかると言われておるのであります。又信用組合等においては少くも三銭五厘程度資金コストがかかるのであります。無盡会社においてもそういうことがあるのです。要するに細かく日掛やその他によつて零細な金を集めて来るのでありますから、どうしても資金コストが高くつくのであります。従つてどうしても安く貸して上げたいけれども、どうにもならんという実情でありますから、少くも今の政府特別会計等によつてコストの安い金を流してもらうことによつて、これをそういう熱意を以てやつておる商工中金というような、現在のいわゆる農林中金と同じような立場でこれが代行をしておるものに……農林漁業融通法を農林中金が代行しておると同じように、この商工中金にこれを扱わせる、そうしてこれをその系統機関である信用組合等にこの窓口を扱わせるというようなことにして頂きますれば、その金が真直下に流れて来るのであります。大きな鉄管を上から下へ流してもらうことが理想でありますが、そう多くは望めませんから、せめて竹の篠の樋でもいいから下まで流れるルートをどうしても作つてもらわないことには、これが実際救われないという現状でございますので、この是非とも融通法等をお考え願いまして早急にこの実施ができるように御配慮を願いたいと思うのであります。これはすでに本委員会でも熱意ある議員のかたがたの御発議ですでに検討をなされておるように聞いておるのでありますが、どうか、これを急速に実現を見て金融体系を作つて、いわゆる特別会計作つて、そうして中小企業金融という一つ行政が本当に金融措置がすつきりしたものにして頂くように特別な御考慮をお願いしたいと存ずるわけであります。  次は税の問題でありますが、この税の中でどうしても取上げて考えてもらわなければならないことは所得税の免税点の問題であります。これはまあ具体的な問題として是非これを取上げて頂きたいと思いますのですが、現行五万円に漸くなつたのでありますが、これは戰前御承知のように暫らくまあ二千円までからいわゆる税金を納めた、まあ当時は免税点という言葉がなかつたのでありますが、二千円というのが長く続きました。それがまあいわゆる有権者の資格になつて、多額納税議員の選挙権を獲得できたというのが二千円でございました。ところが当時葉書が一銭五厘でありました。その葉書が現在五円でございますから、時の二千円が六十五万円ということにならなければ追つつかないのであります。にもかかわらず五万円ということでは余りにも実情と副わない計算になるのであります。すでに米国では百万円、邦貨に換算して百万円までは免税点でございます。所得税の免税点が百万だということになつておりますが、我が国では百万円というところまでは到底望めませんけれども、少くともまあ生活程度も違いますが、二十万円くらいは当然なことであるという点について、これは一つ考えて頂きたい。生活保護法で養老院その他に收容されておる人々に対して最低生活の保障を政府は月大体三千円の線でやつておるのであります。で、而も一家が五人暮しであるということになりますと養老院で最低線の生活が国庫によつて保障されておる、全部を集計しても十八万円になるのであります。少くとも一人前の生活をして行くとして最低線は従つてどうしても二十万円でなければならないという基礎がそこにあるのであります。従つて二十万円程度まではどうしても免税点として引上げる、そうすれば漸く屋台店を開いたばかりの未亡人に三万、五万だという恐しい税金をかけなくても済むことになるのであります。私はこういう観点に立ちまして、是非ともこの免税点については大幅に一つ生活を保障をしておる、最低生活を保障しておる憲法の精神から言つても、これは二十万円にすべきが至当である。生活保護法の最低線を比較しても以上二つの点を十分一つ御検討願いまして、先ず税の免税点というものを一つ大幅に引上げるように促進願いたい。これが先ず税の大幅引下げの断行の中の主なるもの、なおその他ここに並べてございますが、一々申上げておると時間が来ますし、又賢明な先生がたにおかれてはすでに御検討のことでございますので省略いたしますが、以上の二点につきまして特にこれを成るべく今国会あたりにおいて是非とも一つものにして頂くように特に要望申上げまして皆さんの格別な一つ御配慮をお願いしたいと存じます。  資料の中で最終に申上げておきますが、群馬県の経済部が発表しておる信用保証協会の問題と、信用保険の利用状況等の表をここへもらつて参りましたので、参考にこれを提出します。一応極めて金融機関が保険金の契約を持つていながら殆んど熱意のない状況が多いという問題、なかなか保証協会の保証においてもそううまくは行つていないというような実情も表を見て頂けばわかるのであります。私も信用組合経営し、又全国の信用組合の協会長としていろいろ末端の金融機関のお世話をしておるのでありますが、いろいろな面でどうしてもこの金融体系を確立してもらうことと、そうして特別のいわゆる長期低利資金を流して頂いて、中小企業一つ振興に資して頂くことは極めて急務であるということを切に感じておりますので、特に本委員会でこの問題をお取上げ頂くように要望いたしまして私は終りにしたいと存じます。
  17. 松本昇

    理事松本昇君) それではこれから一つ皆さんの、委員かたがたの御質問に移ります。
  18. 島清

    ○島清君 松沢さんと菅谷さんにちよつとお聞きしたいのですが……。
  19. 松本昇

    理事松本昇君) 樋口さんがお急ぎになるのですが……。
  20. 小林英三

    ○小林英三君 樋口さんが時間の関係でお帰りになるようでありますから樋口さんの先ほどのお述べになりました御意見の中で簡單に質問を申上げます。先ほど銀行中小企業に対する融資企業内容に立入つて銀行が余りに立入り過ぎる、中小企業自主性を侵されるようなことになるというような御意見がありましたが、これはやはり銀行が会社ですから損害を受けないために或る程度中小企業内容に立入つて、調査をするということは当然のことであろうと思いますが、内容に立入るということに対してどの程度のことを実際やりますか、それを伺いたい。もう一つ法的根拠のある強力な中小企業団体を作りたいものだという御意見でありましたが、それを承わつておきたい。
  21. 樋口裕人

    参考人樋口裕人君) 金融機関中小企業者経営内容に立入ると、こういう点につきましては勿論金融機関といたしましては、自分の融資の安全を図るために、貸付先の内容を検討するということはこれは当然なんですが、要するに問題は限界にあると私は思います。その限界が例えばバランス上のケースがどうか、或いは売上げ又は仕入の統計ですとか、或いは事業を拡張するための場合の資金計画とかそういつた面について内容を検討する、乃至内容の説明を求めるということは、これは当り前のことなんですが、更にそれ以上に今時分が売りどきではないか、その持物は一つ早く売つてしまえ、乃至は仕入はここらで打切れとかいうようなことになると、実を言うと、やはりそれを担当しておる業者のほうがよく知つているのですね、ところが金融機関の建前で行きますと、自分の貸した金を早く回収するとか、安全にそれを他へ転向するとかいうような金融機関の都合のために、みすみすこれを見切らなくともいいという商品を見切らすということになると、儲かると知りつつこれは買えないという面があることを私は指して言つておるわけです。普通の契約を結ぶ場合の相手の資産状態を知り、信用状態を知るという程度の干渉についてはこれは極めて当然なことなんですなあ、その商社なり企業者の経営状態の推移について説明を求めるとか、調査をするということは当然と思いますが、先ほど申上げたような一例はこれは金融機関としては、金融力によつて他の企業を支配するという領域にまで入りつつあるという傾向が私は見られる点を遺憾と考えるわけであります。それから同業者一つ組織が必要じやないかという意見につきましてはです、これは御承知のように終戰後独占禁止法ですとか、或いは事業者団体法等が布かれまして、そうしていろんな同業者間の連絡をとる面にも制約を受けているわけなんです。ところが中小企業の場合に独占禁止が起るということがあり得ないということは、これはもうわかり切つた話ですね。それから事業者団体法の場合にも、これはもうすでにいろいろ御検討になつていると思いますが、組織が十分できている企業体に対して初めて適用できるわけです。組織が極めて簡素で、特に商業組織の場合におきましてはですね、例えて言えば、時間の問題等につきましても、これは国際情勢に応じた営業方針にしなけりやなりませんので、問屋の面について言いますれば、東北なら東北方面の業者がわざわざ来たのに、営業時間は何時までというようなことでなかなか打切ることができないわけですね。ですから中小企業の場合には、労働基準法通り仕事事業者団体法通り経営ということは、これは実際問題としては甚だやりにくいわけです。ところがそれをまあ無統一に、統一できずに、それは実行できないという行き方をするよりは、そこに同業者以外の利害を共通にするものの一つ組織ができますと、それによつて法的根拠によつておのおのの業種に適当した経営操作をやつて行く。それからその業種の自衛策を講ずると同時に発展策を講ずるということがもう現在の経済状態が、一応の安定とならなくても、つまり軌道に乗つて参つたときにおいては必要になつて来る、かように考えるわけでありまして、金融の面も税の問題も、そこに組織化されて、そして業者がおのおの或る程度組織を以ちまして、そしてそれによつて解決して行くという方法をとりませんと、個々のケースによつてそれじや金融機関をどうする、乃至は税の問題をどうするということを検討いたしましても、これは非常な手数がかかるし、ケースケースにおいて煩瑣な問題ができますから、これは同業者は自然発生的にそうなると思いますが、行政措置からもそれを促進させるという方法が必要になつている時期が、もうすでに来ているのじやないかと私は思うのです。
  22. 小林英三

    ○小林英三君 先ほどから各参考人の各位からして非常に有益な御意見を拜聽しておるのであります。ただ松沢さんなんかも非常に熱心に団体作つて中小企業のために大いに気を吐かれたということはよく承知をいたしております。併し大企業のように強力な業者の横の繋がりと言いますか、全国団体等の横の繋がりというものが、まだ中小企業の代弁者として大いに政府或いは国会或いは対外的に主張するような団体がまだできないんじやないかと私は思うのです。日本の九〇何%を占める中小企業、先ほど樋口さんでありましたか、或いは菅谷さんでありましたか、アメリカ中小国防工場庁というようなことを言われましたが、これは向うでは中小企業が非常に強力な全国的な団体作つて、或いは各省ごとに又は連合的な団体を作つて政府に常にその発言をしておる。これは多分先ほどおつしやつたことは仕事の面で……金融の面もそうでありましようが、仕事の面で大企業ばかりに軍需生産を流さないで、中小企業にも相当の仕事を流せ、こういうことが選挙とタイ・アツプして出て来つつあるのじやないかと思つております。例えばこの委員会に皆さんに参考人として出て頂くことにいたしましたのも、委員会としてはどの団体のどういうかたに参考人として出て頂いて御意見を承わつたらよろしいかということはきめるわけに行きません。これが全国の中小企業を統一した統一的な意見であるということは未だ我々はきめ得ないわけであります。こういうような縦の連絡機関が今日までできていないと思いますが、どうでございまするか。松沢さんその点は……。
  23. 松沢隼人

    参考人(松沢隼人君) まあ中小企業団体というものが一応七つほどあるわけですが、すつきりした一つの統一されたものというものができないために、いろいろ個々におのおの特徴を持つてつてはおりますが、今御指摘の通りでありまして、最近の状況としては、せめて一つ立法措置その他国会に要望するようなものについては一つ全国団体が協議会を作つて、そうしてその協議会で一つ一本にまとまつて強力に一つ推進して行くようにして行こうじやないかという最近話合いが付きまして、一応日中連の中に連絡場所を置いて、時々会合して進んで行くというような段階で、まあその方向で苦しんで参りましたので、だんだん考えて来たということです。今まではどつちかというと、どうも中小企業の特徴でばらばらで、てんでに勝手なことを言つているというような段階から少し最近は躍進してそういう傾向にございます。できればまあ事業者団体法というものでも作つて頂いて、何か昔の商工組合中央会というような形のもので、何か多少一つ補助金でも出してもらつて経営が成立つようにやつて頂くと経営も促進できると思うのです。その点をお考え願いたいと思います。
  24. 境野清雄

    ○境野清雄君 松沢さんがおつしやつたように、先ほどから参考人の皆様から個々には非常に有益なお考えを拜聽しておるのでありますが、全国中小企業としてかくあらねばならんという、統一した無理のない意見を海外に発表する強力な団体で、大蔵大臣は勿論呼び付けて聞く、或いは政府に対してはもう当然の権利として、これを日本全部の中小企業として意見を開陳する、或いは国会に対しては勿論であるとというようなのは、先ほどおつしやつたように何か中小企業の調査費みたいなものを出さして、そうして先ず固まつて行くということも必要じやないかと思うのです。
  25. 松沢隼人

    参考人(松沢隼人君) その通りであります。
  26. 樋口裕人

    参考人樋口裕人君) 大変勝手いたしますが、ちよつと私時間の都合がありますので、失礼さして頂く意味で、実は私ども立場から一言発言さして頂けますか。
  27. 境野清雄

    ○境野清雄君 樋口さんに質問していいですか……。樋口さん、東京の織物問屋の同業組合でございますね、先ほど樋口さんのお話金融問題ですが、私は織物問屋の金融という問題は相当私はむずかしい問題じやないかと、こう思つておるのであります。これはもう御承知通り戰争前の金融体系というものは、織物に関する限り現在の集散地の問屋の金融というものは根本から変つておるのじやないか。例えば戰争前の集散地の問屋という存在は一つ金融機関の役目まで果しておる、そうして現実の問題としまして、地方の中小企業である絹、人絹の織物業者というものが織りましたものを、産地における買付商が大体手形は三十日くらいの手形を出して中小企業業者からこれを買集める。そうしてそのものをあなた方集散地の問屋に二十八日ぐらいの手形を出しておつた、そうしてその二日くらいなもので操作をしまして、現実には地方における買付商というものは、金融はあなた方の金融というものに依存して、それによつて買付をしておつたというのが戰争前のいわゆる織物問屋の金融措置である。ところが戰争の後におきまして、今日特に甚だしいと思うものは、依然として日本の地方の買付商は中小企業企業家に対しては三十日ぐらいの手形を拂つておるにもかかわらず、集散地の問屋は六十日乃至九十日という手形を拂つておる。そうして集散地の問屋自体は、小売商に尋ねましても、三十日ぐらいで金をあげて来ている。逆に見まするならば、今日の集散地における問屋の金融というものは、一つ金融措置として中小企業である絹、人絹のメーカー或いは産地における買付商が集散地の問屋の金融を手伝つているというようなことが現実のこの問屋の現状じやないか、そういうような形で日本における問屋業というものが、例えば輸出にしましても、内地にしましても、そのもので完成するはずはない。特に今日まああなた方のほうは織物の問屋でありますから、別でありますが、大体例のマーチヤント式の大商人のほうは、織物自体によつた損害ではなく、いわゆる新三品の油脂であるとか、生コムであるとか、皮革であるとかいうようなものが二百七十億以上の損失をこうむつたものが、殆んど今日では繊維に転嫁されて来た。そのために繊維の大恐慌というような形体に相成つておる。こういうので、私どもはあなたのほうのいわゆる問屋金融というもの、特に織物に関する問屋金融というものをどうすることが一番是だと思われるか、それから又今のようなしわ寄せが地方の中小企業である絹、人絹のメーカーに行つておるのでありまするが、なかなか中小企業としての金融措置というものは完全に行かないじやないかと、こんなようなふうに考えるのですが、あなたのお考えとして、いわゆる集散地の問屋金融の一番簡單に片が付くと申しますか、一応そういう措置が講じられ得まして、これは不適品は別ですが、適品に関する限りは四十日から、五十日からの手形で買い得るという段階に至るにはどんな金融措置ならでき得るとお考えですか、そのようなところをお伺いしたいと思います。
  28. 樋口裕人

    参考人樋口裕人君) 御質問に関連して私の意見言つて、実は今日私はお先に失礼しようと思つておつたのですが、実情は今境野さんのお話通りであります。尤も売つた品物の代金が三十日で回收されるという段階には行つておりません。これは少くとも在庫品と売上品をいろいろ平均すると六十日というようにはなつておりますが、併し一カ月の問屋の生活というものは今の境野さんの先ほど言われた通りであります。それで一般的にどうすればいいかということなんだと思いますけれども、いろいろ戰後の経済のでこぼこはありますけれども、問屋ぐらい貧乏になつたものはないでしよう。これは資本構成から当然そうなるわけなんです。私どもにいたしましたところで、十五年前に親父から十万円もらつた金は今でも十万円なんですから……。問屋の資本構成というものは大部分流動資金であるから、商人は今皆参つている。ところが工業の場合には再評価というものはそのまま資本利益になる、こういうようなことになるのであります。商業の場合には価格差益金があれば、これは政府が遠慮なくとつてしまう。こういうことになつて来て商業特に中間商業である問屋の金融というものはこれは一番目立つているわけです。それが今境野さんのお話のような取引状況を生じておるので、これが続く限りは、中小企業はなかなかもう金融の面で楽にならないです、取引に関する限りは……少くともそこでどうしたらいいかということなんですが、今のとにかく貧乏を回復するということを問屋にしてやらなければならない。それにはいろいろな対策があるでしようが、先ず第一に考えられることは、先ほど五藤さんの意見一つ出ていたような、手持商品に対する融資方法ですね、これが先ず第一、それから店舗その他の不動産に対する融資、それから更に問屋は都市に集中しておりまして、都市の問屋が戰災の被害をこうむつております。その問屋の必要とするつまり施設の増設について、例えば店舗、車輌その他の問屋機能を発揮するための資金について対策を講じて行かなければならないということですね。こういう行き方と、それから今度は税に関連して参ります。税の場合は織物については特に言えることは、季節の関係がありまして、商品のつまりリヴアリエーシヨンについて、償却について今度五%ですが、殖えることになりましたが、これをいま少しく幅を拡げまして、戰前はたしか一割であつたと思いますが、戰後のように物価の変動がひどい場合には、戰前以上の商品償却という面を認めるということ。それから売上金ですね、売上金の償却について貸倒れ準備金、これの率も成るほど多少認められておりますが、併し問屋の面における貸出率というものは、これは売先の非常に弱体化している面が多いのですから、商品償却をいま少し認めると同時に貸倒れ準備に対するものをもう少し大幅に引上げてもらいたい。それから税率については、先ほど申上げた通り中小企業、特に国内織物を扱う問屋に対する税は、これはちよつと重過ぎますね。だから税の面の対策による資本蓄積を助成して行く、こういう方法をとらない限りは、これは完全な問屋事業の改善までは日が遠いということになります。まあ主たる対策としては、そういうことをお願いしたいと思います。細かい点はいろいろありますが、店舗の建設に対すること、乃至はその問屋に必ず必要な設備というものに対する融資方法を別に考えて行くことも、これは是非考慮に入れて頂きたいと思います。
  29. 松本昇

    理事松本昇君) それでは樋口さんのほうは時間の御都合で、よろしうございますか。
  30. 樋口裕人

    参考人樋口裕人君) 大変勝手ですが……。
  31. 松本昇

    理事松本昇君) ちよつと政府側の出席者を申上げます。中小企業庁の振興部長の松尾君、それから大蔵省銀行局特殊金融課からも見えています。
  32. 島清

    ○島清君 私先ほど松沢さんにも、全国を一本に統一された意向を反映するような機関についてお聞きしたがつたのであります。これは小林さんがお聞きになつたので、先ほど松沢さんにお尋ねすると申しましたが、これは省略いたします。菅谷さんにちよつとお聞きしたいのは、金融機関が既存のものの拡充強化でよろしい、こういうような御意見でございましたが、五藤さんから御指摘がございました通り商工中金においては資金の需要が非常に減退しいる。先般商工中金の豊田さんにおいでを頂きまして、私たちは豊田さんからこのお話を承わつたときに、そのときにそれは商工中金のほうで非常に厳選をしているので、資金の需要は高まつているのだけれども、窓口のほうに減少の数字で現われていたのじやないか、だから運営の問題について批判されるべきであつて中小商工業者資金の需要が減退したと見るのは少し皮相な見方ではないか、本質をつかみ損なつているのではないかというような質問を私は先般の委員会でやつたのでございまするが、若しそうであるといたしますならば、既存の金融機関を強化しても、やはりこういつたような同じ姿が現われて来るのではないかという心配が持たれるわけでありまするが、その既存の金融機関の拡充強化とおつしやいまするのは、どういうような意味の拡充強化を意味されているのか、御説明願いたいと思います。
  33. 菅谷頼道

    参考人菅谷頼道君) 只今島さんからお尋ねの概存の金融機関の拡充強化というような問題は、これはおつしやる通りですね。運営の問題だと私も考えるのですが、同時に現在非常に面白くないのであります。これは御存じの通りですね、転出が不振になつておる、特需も余り出ない、こういうところの資金量が減つて来ているというような問題もありますが、そういう問題になればなるほど、今度は非常に業者としては救済資金的なものがこれは要求されるわけです。大商社、大企業者は今救済的な金融によつて漸く再生して来たと同じような状態中小企業者にも当然現われておるのであつて、それが協同組合を通じて中金に行つた場合、中金では救済的のような金融は取扱わん、やはり安全な方法を講ずるために資金量が相当高まつておるにかかわらず、窓口では貸出さないというような現象だろうと思う。私の言う拡充強化というような問題は、そういう点を運営的に改めてやれば相当資金量が各国民金融公庫、それから信用金庫、相互銀行、そういうところに相当の資金量が要るというようなことは言われておるので、これは中小企業庁で以てやつたんですが、産業合理化審議会、それの資金分科会というのがありまして、そこで以て、我々も行つたのですが、これを見ましてそのときにまあ大ざつぱですが、調査した数字があるのです。それは商工中金には現在運転資金として二百二十億幾らと貸付けているのですが、これは実際に窓口に来て貸してもらいたいというのを全部貸出すれば、どのくらいになるか、それは昨年十月から十二月くらいの調査でありますが、これによると大体三百二十億くらい要る、そうすると、百億くらい足りない、それから国民金融公庫なんかにしましても、これが二十四億出ているわけですが、これが大体七十八億くらい欲しい、相互銀行は千三百二十六億貸出している、併し実際の資金量というものは二千百二十三億、こういうようなものが欲しい、こういうので、いろいろ信用金庫などありますが、相当資金を要望する声があるのですが、今言つたような現状と、自己保存のために運営がそうなつて、高いものに資金が流れて行くような調子になつておるのです。私の言う拡充強化というような問題は、これを強化という問題に一つ重点をおいてお考え願いたいのですが、これはやはり中金なんかもそうですが、各金融機関中小企業専門の金融機関に流れる金が安定化を非常に欠いている、それは政府資金が預託されるのですが、それは非常に二カ月とか、三カ月とか短期である、そうすると、中金なんかの例をとりましても、その期間内に返さなくちやならん、そうすると、どうしても一月前くらいから非常に締める、締めるから業者も金が借りられないために不平が起つて来るのですが、そういうようなものに対して政府はもう少し長期に、又低利に貸出すべきじやないか、そうでないと、先ず安定化ということを図らなければ、常に中小企業というものは金に悩まされ続けてばかりいるじやないか、そうして国会に陳情に来て、政府の預託を延ばしてくれというような陳情が繰返されて行く、そういうようなところから、まあ強化する意味はそういう意味にとつて頂きたい。長期資金低利にやつて安定化してもらいたい、そういう問題、それから先ほど私が低利資金の問題で話したのですが、これも金利だけを考えて見ても、中小企業者というものは何ら余裕というものを持つていない、利益の分が全部割引量になつてしまう、こういうような現状なんです。まだ御説明が足りないようでしたらお話申上げます。
  34. 島清

    ○島清君 中小企業庁の係のかたがお見えのようでございまするから、ちよつとお聞きしたいと思いまするが、参考人かたがたからの意見もお聞きの通りだし、更に同僚の小林君から、強力に組織化された、日本で一本化された、例えば日経連みたいなああいつたような組織体を作つて、そして強力に中小企業の意向が政府に反映せられるようにしなければならない、私たちもそう思いますが、それを担当しております中小企業庁考え方を聞かせて頂きたいのと、それに対して、その必要を認めておるのか、必要を認めておるとするならば、今までにどういうような組織指導方針を以て臨んで来たか。又それがないとしまするならば、将来これに対してどういうような態度で指導して行きたいと思われるか、こういうような問題について御説明を頂きたい。
  35. 松尾金蔵

    政府委員(松尾金蔵君) 只今お話中小企業が一本に自分たちの声を反映するような団結と申しますか、そういう中核体となつて声を反映するような組織が欲しいという点は、これは勿論私どももそういう必要を従来も痛感をいたしております。今後ますますそういう必要が多くなるであろうというふうに考えております。ただ現状におきましては、御承知のように中小企業者団体といたしまして、任意の団体は非常に多種多様にあるのでありますが、これを法制的にきちんとした形に、まとまるという形のものでは御承知中小企業協同組合法による組合があるのであります。当面そういう意味で形をきちんとするという意味から申しますと、協同組合法の中にそういう意味の全国の協同組合の総結集された形の団体というようなものを法制化するというようなことをいたしますと、これは非常に中小企業者の全国的な団体としてはつきりした形をとるのであります。従来そういう意味の法制化をしばしば研究いたして参つたつもりでございます。ただ先ほど申しましたように、現実問題といたしましては、取りあえず法制化をして見ましても、そういう全国的な団体が法制化の後に、或る一定の期間に、そういう法制化の線に沿つた団体ができるということが或る程度見通しとしてはつきりしていないままで法制化するということも、余りに現実と法制との間のギヤツプができることは好ましくないというので、今まで実は先般の協同組合法の改正の際にも、そういう研究の結果まだこの際時期尚早ではなかろうかというような判断を一応いたしたのであります。これも決していつまでも時期尚早だというわけに参らないと思います。又全国的な中央団体といたしましては、現在では恐らく不十分ではあると思うのでありますが、一応日中連というようなものがあるのであります。実は私ども現状の日中連の活動状況又その財政の基礎というようなことを考えて見ますと、非常に動きのないような、十分な活動を期待しにくいような状態にもありますので、従来の曾つての商工協同組合或いはその中央団体のようなあの当時のことも考えまして、実は本年度の、二十七年度の予算要求のときには、こういう中央団体に補助金を交付するようにしたいという意味の予算要求も実はいたしたのであります。ただ非常に残念なことには、我々の要求或いはその説明が不十分だつた点も勿論あるのでありますが、現実の日中連の活動状況その他を見まして、まあ予算査定当局の十分な納得の行くような状態になかつたという点が、やはり予算要求が通らなかつた一面の原因であろうとも思われますので、今後はやはり法制の問題と同時に、実際的な中央団体の何と申しますか、別に政府が音頭をとつてどうこうということでは決してなくて、まあいわば盛り上つて来る全国的な団体の動きを私どもは見守ると同時に、そういうことを期待しておるというような考えでおるつもりでございます。
  36. 小林英三

    ○小林英三君 今の振興部長の島君に対する御答弁にあつたのですが、これは今のお話では現在の日中連というものを頭に入れて、そういうことをお考えになつておるのですか。或いは全国の各業界の中央団体ができて、その上に中小企業の横の連絡を作るというような構想ですか。
  37. 松尾金蔵

    政府委員(松尾金蔵君) その辺はまだ私どもの考え自体がはつきりしていないし、まだ研究不十分な点があると思います。
  38. 小林英三

    ○小林英三君 私は若し将来通産省において、中小企業のためにそういう全国の強力なる団体を作ろうという御構想があるとすれば、これは今まであつたものをまとめるだけでなしに、新らしく起つた全国の団体の横の連絡をとつて、それは一つの創意によりて作るというお考えでなくちやならんと私は思われる。
  39. 境野清雄

    ○境野清雄君 私は大体先ほど来ほかの用事があつて出たり入つたりしておつたのですが、大体参考人の皆様の中小企業に対する御熱意のほどはよく承わつたので、私どものほうとしても考えておることを簡単に申上げて、皆さんに私どもの考えている中小企業の考えているものを一つ御批判願いたいと思うのであります。大体私は中小企業問題は、先ほど五藤さんのおつしやつた通り金融問題によつて全部解決する問題じやない。併し目先は金融問題に重点を置かざるを得ない。これは日本経済の宿命的なものでありまして、言換えれば、私は中小企業自体は日本経済においてはどうも兎の足みたいなものじやないか。前足が短かいのでありますから、これはインフレーションの坂を上るのは非常に楽でありますけれども、昨年の三月以来日本の中小企業に対する経済の機構が、こういうふうな横這い状況になつて来たら、もうよちよちしておるのです。これが一応デイス・インフレ或いはデフレというような下り坂になれば、今の現状のままでは全部谷間に転がり落ちて死んでしまうというような日本の中小企業現状じやないか。今のうちに何とか前足を伸ばさなければならない。伸ばす一つ方法として、極く小部分を占めるのが私が金融措置でありまして、あとは企業経営合理化その他非常にむずかしい問題がありまして、そうしてそれは政府の相当なる支援がなければ、私は独自ではなかながやれないという現状にあるのが私は中小企業状態だと思う。併しながらそれにはカンフル注射的な取りあえずの金融措置というものを完全にやつてもらわなければ、これはもう前足の伸ばすことがなかなかでき得ないのではないか。取りあえずの緊急問題としては金融問題、その金融問題自体が、それじや政府自体がどんなふうに今行なつておるのかというようなことになりますと、これは今皆さんからお話のありました通り、或いは臨時特別法を設けてという松沢さんのお話もある。これは私は非常に結構なことだと思うのでありますけれども、私どもはそういう飛躍的なことよりも、実際問題としては、現在やつておる商工中金なり、国民金融公庫資金源が不足しておる。これはもう私ども商工中金の利子は大体三銭を上廻つておる。こんなことで中小企業の実際経営ができるかできないかということは、これはもう一言でわかる問題なんでありますけれども、さて金利の問題に行くことよりも、資金源を先ずとらなくちやならんということで、私どもとしては資金源の拡充だけにまだ進んでおるので、これの金利の問題にまでは触れられないで、或る程度資金源が押えれば、これはどうしても金利の問題に行きまして、いわゆる一銭台に下げないことには、今の中企業は完全発達なんかするはずがない。例えば今の銀行の問題にしましても、たまたま保険法を作りまして七五%、二五%というものは銀行自体が取つておいて百万円に対して七十五万円しか貸さない。そうして二十五万円というものは定期預金や何かにしておきましてそうして七十五万円のもので百万円の金利を拂わなくちやならない。こういうような矛盾の声も相当全国的にあるのじやないか。又両建預金自体を見ましても、今日の経済がこういうような変則な経済になつておりますので、百万円の資本金の皆様方は一カ月にどうしても一千万円以上の取引をしなければ、会社経営ができ得ないというようなところで、利益が二分であろうが、一分であろうが、そういうことは無視して三分の両建預金の積立金だ、或いは五分の積立金だというようなことを銀行に強要せられまして、百万円の会社は勿論一千万円以上の定期預金も持ち、そうしてその借入金がこれも両建的に一千万円以上のものがある。資本金と同額のものを一カ年利ざやで稼ぎ出さなければならんということが、私は今日の中小企業の実態じやないか。そういうふうなもので、目先は何とか泳いで行きましても、日本経済の九〇%以上を占めておる中小企業が完全発達して、そうして世界の貿易場裡に馳駆しようなんということは到底考えられないのじやないか。こういうような面に関しましては、一つ振興部長も来ておられるようですから、中小企業庁としても、もつと私は強くならなければならないのじやないか。これは少くも今の資金源というようなものを見まして、これは昨年の十三月の統計でありまして今日でも幾分の違いがあるくらいで、昨年の当初から数字的には殆んど大きな違いがない状態になつておるのでありますが、昨年の十二月に大体中小企業総体に出しておる金が六千二百億、六千三百三十八億というような金が出ておりまして、それに対して中小企業庁政府自体が鐘と太鼓入りで叩いておる商工中金といつたものが二百十二億、僅かに総体の三・四%、大蔵省がこれも又中小企業問題はおれのほうで片付けるぞというような銘を打つておる国民金融公庫は僅かに九十七億、総体の一・五%、合せましても四・九%、然るにその当時における相互銀行、従来の無盡というようなところが千三百億から貸しておつて、総体の二一%貸しておるのじやないか。こういうようなものがありながら、政府自体が鐘と太鼓入りで叩いておる中小企業専門的の金融の問題を取扱つておるこの専門機関は、僅かに総体の四・九%、五%足らずだ。こんなもので私は中小企業金融がその緒にも付いたとは言えないのでありまして、少くも六百億円、一〇%のものが出なければ、私はこれはもう緒に付いたということは言えない。本格的に動くのには、どうしても相互銀行と同じような二〇%近い千二百億円の金が出なければ到底駄目なのじやないか。又同時に同じように十一月頃、いわゆるこれは十一大銀行が自主的にやつたんだからというふうに逃げられるのかも知れないのですけれども、全国に六十五カ所という中小企業に対する特別店舗というようなものを銘打つて作つたのでありますけれど、このものの十一月の残高を見ますと、大体二百四十億の残高がある。中心企業には僅かに九十五億か九十六億しか貸していない。中小企業金融店舗と銘打つているものが四〇%以下より金を貸していない。中小企業にはこれを逆に見ますと、羊頭を掲げて狗肉を売るのでありまして、中小企業の金を集めて本店に持つてつて企業に流してしまう、こういうような懸念が相当あるのでありまして、私どもはこういうような一方的なものをやつて行かなくちやならんのじやないか。先ほど松沢さんのお話では大体五百億、それから菅谷さんのお話では千何百億というようなことのお話がありましたが、そういうような御要求をなさる場合には、私としては五百億はこういう部門、こういう部門で、そうして現実には千何億というような数字も私はお出しを願いたい。どうも従来の中小企業からの陳情その他を拝見しますと、どうも合理的でなくて、ぶつつけるような計算を出しておる、そうしてそれが現実化していないというようなことが非常にありますので、私は金融措置はそういうような段階を経て行かなくちやならんのじやないか。少くとも私ども中小全業の小委員会松本委員長を擁しまして私ども中小企業に真向から取組んで行こうというものは、いわゆるステップ・バイ・ステップで一つ一つやらなくちやならんのじやないか、そして実現をしたいというのが我々委員一同の念願なのであります。その点をもう一つ十二分に参考人の皆様方もお含み置きを願いまして、私どもが今申上げましたような線で何とかして資金源の拡充を図りたい、資金源が或る程度確保できるようになりまずと、私たちが直ちに飛び込んで金利の引下げする、こういう段階で行き、そうしてそれができますれば、その次の段階に進んで行きたいというような意向で、大体当小委員会としてはやつておりますので、この点も十二分に参考人の皆様も御了承願いまして、そうして今後とも私どもに何かと専門的の知識をお教え願いたい。私どもが飛躍的なものを持つて行きましても、政府はなかなかそれを飲み得ないであろう。私ども中小企業庁を十二分に監督もしますし、又中小企業庁自体もそういう活躍ができるように私ども大蔵省と一戦をやる、尻押しをやるつもりであるのでありますけれども、そういう点も十二分に御了承賜わりまして、参考人の皆様も今後とも一つお手伝いを願いたい。我々といたしましては、中小企業問題は到底いつまで経ちましても解決しないのでありまして、一歩でも前進することを私どもの当小委員会としては希望しておりますので、私はそういう意見を述べましては甚だ当を得ないかと思いますけれど、この委員会自体を作りました当初から、そういう希望を私は強く松本委員長に申上げておりますので、その点を一つ参考人の皆様も御了解を願つて、今後とも一つ委員会に何かと御資料なんかを御提供願いまして、そうしてステツプ・バイ・ステツプで一緒に手を握つて進んで行きたい、こう思いますので、折角皆様方から先ほどから貴重な資料なり、或いは公述なりを願いましたので、そのお礼がてら私の思つておりまする中小企業に対する考えを申上げたのでありますが、若し何かそれに大きな間違いがある、或いはこういう点はこうだとお話がありましたら、御忌憚なく申して頂いて私ども参考にいたしたい、こう思う次第であります。
  40. 五藤斎三

    参考人(五藤斎三君) 只今境野議員さんから御鄭重なお礼と我々に対する御激励の言葉を頂きまして非常に有難うございました。又当委員会で焦眉の急であります金融問題に重点をお置きになつて、然る後に順を追うて中小企業問題の解決に挺身をさつて下さる、こういう御決意を承わりまして誠に敬意を申上げる次第であります。日本経済の比喩を兎の足にお譬えになりましたのは誠に同感でありまして、その中の金融問題を先ず解決することによつて一つこの足を伸ばして行こうということは私ども非常に結構なことだと思います。ただ一つ重ねて私は御認識を得ておきたいと存じまする点は、金融問題は先ほども申上げましたが、これを解決することによつて次に企業が健全な発達をし、利潤を生む、その基礎を作ることは申すまでもないのでありますが、このような混乱せる経済の中におきましても、皆一様一律に弱体企業だけではないのでありまして、中小企業の中にも相当の創意、工夫を持ち、又人に超えた勤勉さを持続いたしまして、相当の成果を挙げておる企業も多々あるわけでありまして、そういつたようなものの助長策といつたような面も政策の上に一つお取上げを願いまして、プラスになる面を更に大きく御推進を願いたい。金融の疏通いたしますることは、直ちにそれがすぐ資本蓄積にはならんのでありまして、むしろ中小企業負担の軽減或いは利益の擁護、そうして経済観念の養成によるそれ自体の蓄積といつた、こういう指導の面を併ぜて行なつて頂くことによりまして、今後の中小企業振興策が一段の進歩をいたしますることだと存じまするので、どうか一つ応急的に金融問題に挺身頂きますることは非常に結構なことでございますし、有難く存じますると同時に、他の政策につきましても、並行的な御考慮を願つておきたいと思う次第であります。
  41. 松沢隼人

    参考人(松沢隼人君) 今境野先生からいろいろ熱意あるお言葉を頂いて非常に嬉しくお礼を申述べたいと思います。併し私は実際に金融問題と最近取つ組んで中小企業問題から遂に中小企業金融の中にまで飛込んで、さてやつて見まして、つくづく感じておりますことから、いろいろ実際に取つ組んだ体験から申上げまして、結局中小企業金融というものが極めて複雑怪奇である。いろいろなあの手この手があるのでありますが、結局どんないい制度が生れ、いろいろ商工中金の募金が流れる、或いは公庫を増強してもらう、或いはその他いろいろ流れる途を作つて頂くのでありますが、どうも例えば国民金融公庫の場合でも折角今国会で資金量が殖えて、やれやれこれから全般的に相当な資金量が流れると期待していると、そこに北海道に地震があつたから、これに十六億出せ、或いは島根県に災害があつたから、そつちへ何億出せ、こういう要求が政府筋から出て、結局相当まとまつたものが、こういうものに集中されておる、結局私はそういう災害その他のときには幾らでも銀行なり、もつと資金量のある枠から出せるのじやないか、そろ思う。こいつをすぐ中小企業に、折角零細企業を助けるための一つの社会政策的ないわゆる精神が十二分に織込まれた公庫に対して相当、建設大臣あたりがみずから乗込んで行つて、殆んどまあおどかして枠を取つておるというような実情を私は見まして甚だ慨歎に堪えなかつたのであります。どうもそういう傾向がございますから、やはり折角暫定措置としてまあ先生方がお骨折り願つて作つて頂いた枠がどうも大きく……、勿論それも中小企業者がみずからいろいろやる余地があろうかと思いますが、やはり正常な全般的な枠を拡げて行くということには、それはやはり支障になるわけであります。そういう季節的な突発的な問題については、やはり別な災害対策というようなことで金融措置一つ大きなところから持つて行くように考えてもらいたいということをお願いしたいと思うのでございます。なお融通法の問題でございますが、これはやや前途遼遠な高邁ま理想だということになるかも知れませんが、決してそういう問題でなくて、商工中金は折角これだけの歴史を持つて相当な資金量も稼いで努力しておるのでありますが、今の中金のあり方で行きますと、実際政府から出ておる政府出資は僅かに二百万円である。それであとは殆んど商工債券を発行して、そうして銀行やその他の機関から資金を非常な努力をして集めて来ますから、どうしても資金コストが高くなる、だから政府機関でもなく民間機関でもなく、何だかあいまいなような性格を持つておるのがいわゆる商工中金であります。どうしてもこういうことでは、いつになつて中小企業の大本家としての性格を確立することはできないことは必然だと思いますので、法の中小企業協同組合のほうが、制度として認められておる一つ商工中金が親銀行となつてこの傘下に信用協同組合が入つておる、そういうことによつて一つ商工中金の欠陥は、何といつても預金が集まらんということと店舗が少いという事柄であります。よく大蔵大臣も言われておりますが、商工中金商工中金といつても、商工中金に注ぎ込んで見たところで店舗が四十余りしかないじやないか、それだけでは解決が付かないという、尤もな話であります。これの窓口が全般的にどこへでも、少くとも相当な、人口十万以上ぐらいな都市には窓口がなければ絶対に役に立たない、群馬県の問題を一つ取上げても、やはり平均に行かないという憾みがあるわけであります。ですから、どうしても信用協同組合というような制度で系統機関として認められて、丁度農林中金が農業系統機関で全般的な組織網を持つて一万四千の農業協同組合が農林中金にぶら下つて金融体系というものができておると同じような体系が出て来なければ駄目だという結論に到達しておりますので、やはり商工中金に対しても楽な政府出資によつて、これを運営代行さして行くという制度を農林業務と同じに作つて行く以外に、大幅にコストの安い安定資金を得る途はほかにない、結局政府にいろいろ要望して見ても、なかなか商工中金に出資をするとか、何とかいうようなことはなかなかむずかしい現状でございますので、これはやはり性格の問題もありますので、完全な政府機関でないということでそれがつかえる。どうも少くも協同組合育成して産業施策を遂行して行くという面から行けば、どうしても商工中金にもつと安定資金を與えて評判のいい商工中金にして行かなければならん、それにはどうしても安定資金を扱わせるという以外に途がないという結論に達しておりますので、何とか一つこれはやはり中金法等も改正して、今の農林中金くらいな力を持つようなものにしてもらうことによつて、上から下まですつきりした一つの途が開ける。それと中小企業金融というものはいろいろ途が開けておるのでありますが、これを何といつても忠実に行うのは商工中金であります。例えば今度のいわゆる昨年から実施を見た保険法においても、その実績の現在百四十四億の枠で昨年度出たのが約五十億でありますが、それの大体七割までは商工中金が保険を付けておる、一番やはり熱意を持つておるのであります。それから信用組合についても先ほど表を差上げましたように、やはり熱意を持つて保険を活用しておる、こういう事実から見ても、やはり一つのイデオロギーを持つた金融機関としての商工中金をやはり育ててもらう、そうして手足をぶら下げて少くも国民公庫がやはり四十幾つの店でありますが、これの代理所というものが四百今ありますので、大体行渡つて公平に行つておるのであります。それと同じように商工中金に信組というようなものをそれに代用して、もつと窓口を大幅に拡げてそこへ流し、安定資金を確立して行く以外にないというふうに考えられますので、併せて一つ是非これはやはり緊急の問題であり、又極めて根本的な、金融対策の根本策でもございますので、是非とも一つものにして頂くようにお考えを併せてお願いしたいと存じます。
  42. 境野清雄

    ○境野清雄君 ちよつと簡單に、今松澤さんからいろいろ御注意を受けましたので私も申上げますが、何か商工中金その他の問題で大変松沢さんのほうから何か私どもの勉強が足りないようなお小言を頂戴しまして甚だ恐縮でありますけれども、私のほうとしては、実は商工中金その他は十二分に調査しておるのでありまして、時間がありませんから一、二の点だけ私のほうから御報告して御了解を得たいと思うのであります。これは私から申上げるまでもなく、今の商工中金は昭和十一年の十二月にこれは発足したのでありまして当初は一千万円の資本金でありましたものが三千万円まで拡充され、それが二十三年の四月の再建整備によりまして、四百二十万円という資本金に減額された、当初におきましては、政府は半額出資であつたので五百万円出しておりましたものを、今日では二百十万円きり出しておらない、こういう状態になつておる半面、この商工中金資本金というものの構成を見ましても、政府出資は僅かに二百十万円、それから見返資金から四億九千万円、千億から二百十万円を引きました九億九千七百九十万円ですか、そのものが協同組合の出資というようなものによりまして、十四億九千万円という資本金ができておるのでありまして、このもの自体があるのにもかかわらず、商工中金のこの定款の二十六條と三十七條を見まするなら、これは理事者以下評議員までが政府任命であります。こういうようなことに相成つておりますので、私どものほうから逆に見ますならば、役員さんが一カ月に交際費で使う金でも、政府で出しました二百十万円くらいのものは一カ月で使つてしまう、こういう状態に相成つておるにもかかわらず、商工中金に対して政府は権限を振廻すというようなことは、これは以ての外であるというふうに私どもは従来から考えおるのでありまして、この点から見ましても、政府はこの商工中金に対して何とか資金源を見付けまして、十億くらいの出資をしなければ、殊に政府は二十六條、二十七條の商工組合に対する定款を改正してもらいたいというようなことを強く私どもは従来から大蔵大臣に要望しておるというような点が一点、それから先ほどどなたかから、資金源が出てもそれがいつも吸上げられてしまう、そうして中小企業自体に流れない、これは今更申上げるまでもなく、三月におけるところの商工中金への政府からの九億の資金源の導入というようなものが実現しましたときにも、すでに九億は出しましても、そのうちの五億四千万円は農林中金へ返してしまつた、併せてルース台風に対する二億四百万円は返してしまつて、九億という鐘と太鼓で謳つてあるものが、現実に流れるものは一億五千万円くらいきりないというのが現実でありまして、私どもの小委員会としましては、これはもう実際松本委員長の配下で十二分に勉強しておりますので、決してやり損いなんかはやりませんから、松沢さんも一つ御安心を願いたいと思います。決して私どもは知らんでやつておるのではない、十二分に各省の問題は処置しておる、例えば私どもは今日九十八億から残つております、復金の返済金というものを、開発銀行を通してこれを中小企業へ流すというような問題が先般来政府から出ておるのでありますが、中小企業自体というものと開発銀行というものを睨み合せをしまして開発銀行の機能の中にこれは確かに中小企業に流すのがありますが、今の開発銀行の窓口、これで果してこれができるか、でき得ないかということは私から申上げるまでもないのでありまして、私どもは九十八億というもの自体を私どもは何とかしたい、これは一カ年に償却して来るものは八億か、九億でありますが、むしろ私どもは未回收金の中の取り得るものは一つ見返担保にしても金を貸さないかというようなことを中小企業のほうへ強く私どもはやつておるのでありまして決して皆さんの御心配になるほど不勉強でやつておるんじやないのでありますから、この点は一つ十二分に御了承を願つて、当委員会を御信任を願いたいと思います。
  43. 五藤斎三

    参考人(五藤斎三君) 商工中金の問題につきまして非常な御熱意のあるところを承わりまして、非常に嬉しいのでありますが、ただお言葉の中に、商工中金の役員、評議員まで政府任命であるので、政府資金の二百万円くらいは一カ月の交際費にでも使つてしまうくらいだろうという御想像を拝聴いたしましたが、私も実は年来中金の評議員を任命されておりまして、相当の熱意を傾けて機会あるごとに中金へも出向きもいたしまするし、年に一回の評議員会には行つて大いに言辞を弄しますが、驚くなかれ一年を通じて車賃五百円もらうだげであります。これはもう決して民間から出ておりますこれらの機関商工中金を浪費いたしておりません。それで今後は一つ進んで中金の運営に携わるような理事者まで一つ民間の業界からお取入れがありますように強く御考慮願つておきたいと思います。これは一つ経営の民主化という点からも去ることでありますし、それから今御心配になりましたような政府任命の役人的な理事者で運営しておるので大いに浪費しておるのではないか、こういうような点もこれはありといたしますならば是正できる問題であると思いますので、今後どうか一つそういう点も御配慮置きを願いたいと存じます。
  44. 松本昇

    理事松本昇君) どうも大変お忙しいところを長時間に亘りまして、誠にどうも有難うございました。では本日はこれを以て散会いたします。    午後一時三十二分散会