○
栗山良夫君 今のお話は通産省として、通産行政の立場から民間において兵器を製造しても、憲法の第九条第二項による戦力の放棄には触れない、こういう
説明であります。併しまあ、それ以上のことは法務府に聞いてくれというお話でありますが、私はそれは御尤もだとは思うのです。思うのですが、これは日本国の戦力というものは、
政府が貯蔵しようが民間が貯蔵しようが、憲法は日本国全体のことを
言つておる。今御
説明にな
つたような
程度では、私はちよつと理解しかねると思うのです。特に戦力、いわゆるウオー・ポテンシアルというものの定義は、国土、人口、天然資源、各種の産業、施設並びに各
計画等が包含されておる。戦力にはそういうものが包含されておるということは藤田嗣雄氏がやはり彼の著述で専門家として著わして、そのほか佐佐木惣一氏も日本国憲法論という中において、軍隊で持ち得る兵器、弾薬、爆弾、空軍や海軍で持ち得る航空機、船舶などの諸物又はこれらのものの製造をする施設は、第九条に言う戦力である。こういうふうに解釈しているわけであります。その他、私ここに資料を持
つておりますが、そういうものが戦力として認められるものだということにな
つております。特に美濃部氏の新憲法概論の中にも、一たび戦争が起
つた場合に、直ちに戦争に用うることのできるような潜在的な戦力を含むものだと、戦力を解釈しておる。即ち民間航空機又は船舶、飛行場又は港湾施設、機械工業、原子力研究等は、それだけでは戦力にはならず、これを保有しても憲法土差支えがないが、一定の限度を超えれば戦力に該当するものとして憲法上保有を禁ぜられることになる、そういうようなことがあります。その他今言われておるような簡単な割切
つた解釈にはな
つていないわけです。これは全部細かく出ておりますが、そういうのがありますので、私は疑問を持
つたわけなのであります。そこで今のお話だけでは、私ちよつと了解しかねるのです。これはひとつ
委員長の手許において、次回で結構でございますけれども、ひとつ憲法に照して、こういうものを作り、或いは貯蔵することが、或いは使用することが憲法の違反に
はつきりならないという、私どもの理解の行く
説明をひとつ願いたいと思います。特にこの前も指摘をいたしましたが、この兵器、航空機等の生産制限に関する件、これについては兵器、航空機、戦闘用艦艇、弾薬、そういうものまでも全部一応勘案してできることにな
つておりますが、これがな
つておるから、作
つても差支えないというのでは、私ども理解できないので、そういうものを外すことが憲法上いいか悪いかということを私ども
はつきりしておかなくちやならない、こう思うわけであります。
従つて今私の申上げました趣旨はおわかり願えるかと思うので、
委員長のほうでひとつそれを
はつきりさしておいて頂きたいのであります。この前私特に
発言を求めまして、若しどうしても理解が行かないということであれば、やはり
政府の最高
責任者である吉田首相にでも
はつきりそのことを伺
つておきたいとこういうことを申上げておいたのであります。非常に重要な問題であると思いますから、さように御了解を願いたいと思います。