○
政府委員(
賀屋正雄君) それでは
只今経済安定委員会に付託せられております外資に関する法律の一部を改正する
法律案につきましてその内容を御説明いたしたいと思います。非常に條文が込み入
つた規定になつておりますので、お手許にお配りいたしました外資に関する
法律改正の要綱によ
つて御覧になりますと、大体どういうことを規定しようとしておるかということがおわかりになろうと思いますが、別にお配りしております
新旧対照表によりまして逐條的に條文を御説明いたしたいと思います。その前に外資に関する法律が一体どういうようないきさつで制定せられたのか、それからどういうようなことを内容として規定しておるかということを概略、簡單に御説明いたしておいたほうがよかろうかと思います。
外資に関する法律は一昨年の五月に制定せられまして、六月から施行になつたのでありますが、いわゆる
外資導入に関係のあります法令といたしましては、終戰に伴いまして一時日本と諸外国との
経済取引は全面的に停止されたわけでありますが、それが外資に関する法律の制定されましたときよりも約一年前の昭和二十四年の三月に司令部から
メモランダムが出まして、これは
外国人の投資及び
事業活動に関するものでありまして、この
メモランダムに基きまして、いわゆる
ポツダム政令として、
外国人の
財産取得に関する政令、政令五十一号でございますが、これが昭和二十四年の三月に施行せられまして、これによ
つて終戰以来とまつておりました
外資導入その他
外国人との取引の再開が認められたのでございます。この
ポツダム政令によりますと、
外国人が日本で
財産権を取得する場合には、
外資委員会の認可を要する、その
財産権の種類といたしましては、
株式持分のみならず、土地、建物、工場、事業場といつたような不動産、その
賃借権等、いろいろの重要なる
財産権が含まれておりまして、
外資導入をいたします場合には、大体日本で
財産権の取得が行われるということからいたしまして、この
外資導入の事例は政令五十一号によ
つて外資委員会の認可を要するということになつて参つたわけであります。併しながらこの外資法のいわば前身とも申すべき政令五十一号はどちらかと申しますと、その制定せられました主な動機は、
終戰後日本が占領下にあるという特殊な立場に置かれておるということからいたしまして、日本が自由な立場でこの取引に応ずることができないという場合を予想いたしまして、諸外国が日本の経済に不当に不利益なり圧迫を加えるというような恰好で取引が行われることを防ごうという、どちらかと言いますれば日本の
経済保護という立場が多く、従いまして
外国人に対する関係におきましては取締的な性質がむしろ強く出ておると、そういう政令であつたのであります。併しながら日本が非常に要求いたしますところの
外資導入を促進いたして参りますためには、日本側の制度といたしまして、入つて来る外資に対して余りきつい取締をするという点ばかりが表に出て来るような制度があつては、なかなか外資の導入がはかばかしく進まない。外資を入れたいという以上は、それだけの外資に対する入りやすいような制度を整えて行く必要があるということが当然考えられるわけでございます。で、外資が入ります場合には、どういつた点で当時問題になつておつたかと申しますと、いろいろの制度的な障害と思われる点もあつたのでありまするが、一番根本の問題といたしましては、外資は当然收益を予想して入つて来るわけでありますが、この收益はただ日本で円貨で以て收益を上げるというだけでは外資の入ります誘因とはならないのでありまして、日本で上げました收益が自国の通貨に交換できるということでなければ、
幾ら日本で儲けましても、これは絵に画いた餅に過ぎないのでありまして、それを
アメリカ人の投資であればドルで以て回收できるということでなければ、なかなか外資は入つて来ない。そこで何らか
外資導入によつて生じます果実なり元本をドルに交換することについての保証の制度を設ける必要がなかろうかということが、
外国投資家側にも
相当要望が強かつたし、日本側におきましても、こういつた制度を考える必要がだんだん力説されて参つたわけであります。そこで先ほども申しましたように、政令五十一号で取締つておりました
財産権のうち、
外資導入に最も関係の深い日本の株式という
財産権の取得に関する規定をこの外資に関する法律の中に移して規定いたしますと共に、この外資に関する法律では、日本に対する投資に伴う元利金或いは果実、株式の配当といつたようなものについての送金の保証の制度を設けたわけであります。同時に、その当時の
外国人の心配といたしまして、日本に投資してもその事業が日本の政府なり
地方公共団体等によつて没收されるような虞れはないか、或いは国有化せられて、折角
外国人が投資したものが買收されてしまうようなことがないかというようなことも、当時
外国投資家側では非常に気に病んでお
つた事柄なのでありまして、この点につきましても何らかそういつたことに対しての保証の措置が法制的に考えられるべきだという議論が強かつたのでありまして、この点につきましても外資に関する法律の中に一條を設けまして、
外国資本の保護という
意味合いから、強制的に日本の政府なり
公共団体等が
外国人の投資しました事業を收用するといつたような場合におきましては、その補償金の
外貨送金について保護を加えるという規定を設けたのであります。
ところで、この外資に関する法律は、今申しましたように送金の保証をしようという目的で、それが一番大きな眼目としてでき
上つた法律でありますが、同時にその保証のし方といたしましてどういうやり方をしておるかと申しますと、日本は外資は非常に歓迎はしておりますけれども、どんな外資でも外資と名が付けば何でもかんでも導入を認めて行くという無責任な態度には出ない。外資を導入いたします以上は、当然それに伴つて将来に対して負担を伴うことは、これは国内における借金でも同様でありまして、
対外援助といつたようなもらいきりの金でありますれば、これは別問題でありまするが、いやしくも
民間外資としてコマーシヤル・ベーシスに立つた外資である以上は、当然将来に対して
国際收支の負担をしなければならんと、こういう点からいたしまして、外資を入れます際にも、日本の経済に貢献する度合の強いものから優先して導入を認めて行く。そうして、一旦導入を認めました以上は、これから結果的に生じます果実でありますとか、その元本については、これがあとで外貨となつて出て行く場合に、一々
為替管理法で嚴重な取締をいたしませんで、最初に入つて参ります場合に
日本政府が
スクリーンいたしまして、これが日本の経済の役に立つという判定を下した場合には、あとで出て行くほうを取締ることをしない。これによ
つて果実なり元本の送金の保証をする、こういうやり方になつておるのであります。で、最初に入ります場合に
スクリーンをいたします機関として
外資委員会が設けられ、
経済安定本部に附置せられたわけでありますが、これには当初は各省の次官によりますところの会議体の
行政機関でありましたが、外資法ができますと同時に、官庁側といたしましては、大蔵、通産、
外国為替管理委員会、この三つを代表いたします委員を加える、それから民間側の意見を
外資導入というような案件でも十分尊重して行く必要があるということから、三人の
学識経験者を入れる、そうして
委員長は
経済安定本部長官という形で、そういつた形ででき上りました
外資委員会というものが、認可という制度によ
つてスクリーンをして行く。そうして認可をいたしました
外資導入に伴う送金は
為替管理委員会で以て許可にかけるというようなことをしないで、自動的に送れるようにしよう、こういうことを内容といたしておるわけでございます。で、外資に対する
日本政府の態度としては、成るべくこれを歓迎するという
意味合いから、制限は徐々に外して行こうということが、外資に関する法律の第二條にも明定してあるわけであります。この外資に関する法律ができましてからだんだん
外資導入が軌道に乘りかけて参りまして、増加しつつあるわけでありますが、なお
平和條約の発効を機会に、今後もますます外資が入つて来るでありましようし、日本の期待も大きくなるということになりますので、この制限的な條文を成るべく外しまして、入りやすい態勢にして行こうということを考えまして、今回の外資に関する法律の改正案が提案となつたわけであります。今度の改正案のポイントはどこにあるかと申しますと、一つは今申しました、最初に入ります場合の
スクリーンをいたします
認可制度を整備いたしますことが第一点、それから第二点は、入りましたあとで、将来外貨で保証されますものの範囲を拡張するというのが第二点であります。
そこで條文の順序で御説明いたして参りたいと思いますが、この第一條から第七條まではこれは例えば定義の改正でありますとか、その他今回改正をいたします、実質的な点に伴つて、條文の整理の必要上改正を要するといつたような派生的な問題でありますので、説明を省略いたしまして、十四頁の第八條から説明いたしたいと思います。
第八條は見出しにもございますように「(認可、許可又は勧告の基準)」ということになつておるのでありますが、これは今申しましたように、一定の形の外資は
外資委員会の認可を要するという場合が第二章以下で規定されておるわけでありますが、その場合に
外資委員会がどういつた基準で認可、不認可にするかという基準を規定した條文でございますが、この第一項はいわば積極的な基準ともいうべきものでありまして、これこれに該当する場合に認可される。で、而も
国際收支の改善に有効に寄与するものを優先して認可するという規定であります。
〔
委員長退席、
理事小林英三君
委員長席に着く〕
第二項のほうはいわば消極的な基準でありまして、ここに列挙してあります場合に該当するときには
外資委員会は認可をしてはならないという規定でございます。第一項の積極的な基準のほうは、
條文整理以外には別段今回は変つた点がないのでありますが、第二項のほうで一つ重要な改正が行われておるのであります。二項のほうでも第一号、二号、三号は別段変りありませんが、変りました点は、この四号、五号というのが、四号一本に規定いたしまして、その四号を相当詳しく規定することになつたのであります。ここでどういうことを狙つておるかということを簡單に申しますと、今申しましたように、
外資委員会が、入つて参ります場合に認可をする、そして認可された場合には送金の保証がされるという態勢をとつておるわけでありますが、どういうものに送金の保証が与えられるかと申しますと、これはやはり日本の経済に寄与するものでなければなりませんが、この投資の裏付けとなつておりますところの資金が、外貨そのもの、或いは外貨と同等の価値のあるものでなければならない、そういう一般的な原則をとつておるのであります。つまり日本で
外国人が稼ぎました円で以て投資さしたと言つても、これは成るほど
外国人が投資いたしましても、そういつたものに基いて送金、将来果実なり元本を送金する場合に、ドルなり、ポンドといつたような外貨で送金することを認めるということはしないで、投資の際に現実に外国から外貨を持つて来るか、或いは外貨に相当するような価値のあるものを、現物を持つて来るというような場合でなければいけないという根本原則をとつておるのであります。そういたしますと、例えば
外国人が日本の株式に投資いたします場合に、最初にAならAという株に投資いたします場合には、外貨を持つて来て、その外貨を為替銀行を通じまして合法的に、ドルでありますれば三百六十円というレートで以て交換した円貨で以て株を買つた、従つてそれが
外資委員会の認可を受けてその株から生ずる配当金は配当のあつた都度
為替管理法による許可を得ないで自由に送金できる、こういうことになつたといたしましても、その外国投資家がAの株を暫らく持つておつて、今度はそれを売つてBの株に買い換えたい、こういう希望を持ちました場合には、今度はそのAの株を売つたときにはその売つて得た代金は、これはもはや普通の円価ということの取扱に従来の法律ではなるのでありまして従つてBの株を買つても、第一買うことについて認可が得られないし、従つてそのBの株の配当金の送金の保証も得られない、やはりBの株を買うためには又もう一度そこへ外貨を送金して来なければならない、こういうことになつておつたのであります。併しながらこれは投資家側に対しましては非常に大きな制限でありまして、一旦外貨を持つて来て或る株に投資しましても、何らかの事情によつてほかの株に買い換えたいというときに、それが認められないということでは、なかなか株に投資しようという意欲が出て来ない、こういうことが当然考えられるのでありまして、又日本の立場からいたしましても、最初にこのドル、その他の外貨なり、外貨に相当するような値打のある現物が入つておるなら、あとで入つた後に、その株がAからBに移つても差支ないのではないか、こういうふうな考慮からいたしましてこの際乘り換えを認めて行くことにしてはどうか。併し乘り換えをいたしますにつけても、あとのBの株を買うときに自由にするのではなくして、やはりBの株を買うときは
外資委員会の認可を要するということになつておるのでありますが、ともかくもそういつた認可を得さえすれば、転々とABCというふうに一つの株から他の株へ乘り換えて行く、そうして前通りに配当金の送金保証が得られると、こういうことにしておけばだんだん日本に対する投資も入りやすくなるのではないか、こう考えまして、その乘り換えができるように、つまり乘り換えようとするときの認可ができるようにするという趣旨で以て、この八條の第四号ができたわけであります。そこに十六頁以下イからヘまで細かい規定を書いてあるわけでありますが、このイに書いてありますのは、従来にありましたと同じような基準で外貨そのもの、或いは外貨と同等の価値のあるもの、これで以て株を買う場合には認可がされるという規定であります。それから口にありますのが、今私申しましたごとく典型的な乘り換えの場合でありまして、而も送金の保証を得ております場合に、その株を売つてその代金で以てほかの株を買うという場合には、やはり認可され、そうして新らしい株について送金の保証が得られるというのがロ号であります。但し、その売却いたしましてから次の株に乘り移るまでの期間を無制限にしておいたのでは非常にあいまいになつて参りますので、この間、又投機活動も相当起る危險性もございますので、この乘り換えと、それから次の売却と、それから次の株式の取得の認可申請との間には一カ月という期限を設けまして、一カ月過ぎたならばもはや乘り換えには使えないと、こういうことにしたわけでございます。ハは、この投資家が自発的に自分の持つておる株を売つた資金ではなくして、会社が解散して、その残余財産の分配を受けたという場合、その他こまごました場合を列挙してあるのであります。こういつた場合には、元持つておりました株が送金保証を受けております場合には、その会社において残余財産の分配があつた、その円で以てほかの株を買う場合には認可してもかまわない、そうしてその新らしい株について配当の送金の保証が得られると、こういうことになるわけでございます。相当ハ号は長い條文になつておりますが、これは残余財産の分配金と同じような取扱にいたすべき性質のものを列挙いたしたのでありますが、現実に起つて来る例は非常に少いかと思いますが、一応羅列して規定したわけでございまして、最後に又「その他政令で定めるもの」というもので規定を設けまして、全部拾い得る。即ち、外貨と同等な、一等最初に外貨を送つて来て、それが何らかに形を変えたものだ、従つてその形を変えたものは外貨と同じ取扱をしてやつて差支えないと、こう考えられる種類のものを網羅いたしたつもりでおります。これもやはり売却代金の場合と同様に、そういつたものが支払われましたときと、それからそれで以て今度新らしい株式を取得いたしますための認可申請との間が一カ月以上あつてはならないということは、売却代金の場合と同様であります。それから今、大体株だけのようにして御説明を申上げましたが、今度新らしく受益証券について、元本の回收金の送金保証をなし得る制度が後のほうの條文で認められて参つたのでありますが、この受益証券につきましても、受益証券を最初に取得するときに、相当の価値のある現物を持つて参りまして、受益証券に投資いたしました場合、従つてその受益証券の果実なり、元本の回收金が送金保証を得ておるというような場合に、それを売りましてほかの株式に買い換える、或いはほかの受益証券を買う、或いは社債、貸付金にするといつたような場合にも、やはりこの認可を与えることができ、而もその新らしい新投資について送金保証が得られる、こういうことにしようというのが、この二号の設けられた趣旨でございます。それからホは、以上述べましたところによつて、例えば株を売却したり、残余財産の分配があつた、そうしてこのほかの株に乘り換え得る資金を或る外国投資家が持つております間に、例えば相続、遺贈或いはその持つております外国投資家が法人の場合に、会社の合併が行われたという場合には、被相続人、被合併会社と同じように、その新らしい投資家に対しても、ほかの投資に使い得ることにしてやらなければ不都合が生じますので、これを認めようという趣旨であります。それからヘ号は、これはあとで御説明いたしますが、外国投資家預金勘定というのがこの法律によりまして今度新らしく作られることになつたのでありますが、この預金勘定から払戻しました円資金で以て株を買う場合には認可してもよいと、こういうことになつておるのであります。以上申上げましたようにこの第四号の條文は一番大きな狙いは、いわゆる株式について乘り換えができる認可を要しますけれども。或る株を買つたならば、従来は極端に言えば、未来永劫にその株をずつと持つていなければならないというようなことになつておりましたのを、このいろいろな事情その他の判断から、ほかの株に買い換えたいというときにはそれを認めて行こうというのが一番大きな趣旨でございます。
それから九條は
條文整理の程度でございますので省略いたしまして、九條の二でありますが、これが今申しました外国投資家預金勘定に関する規定であります。これは後ほど出て来ますところで触れて御説明するほうがよいかと思いますが、簡單にどういう趣旨で作られたかと申しますると、後に御説明いたしますように、今度株式につきましては元本自体の持ち帰りと申しますか、外貨の送金を保証し得る制度をとつておるのであります。それから受益証券につきましても大体同様の制度をとつておるのでありますが、併しながら今日の日本の外貨事情を考慮いたしまして例えば株を売却いたしました場合に、この売つた金を全部一時に引揚げるということは、日本の
国際收支に非常に急激な圧迫を加えることになる虞れもございますので、株式にいたしましても、受益証券にいたしましても売却したり、その償還があつた後一定の年限をおきまして、その間小きざみに五回に分けて二〇%ずつ送らせるというような措置をとつたのでございます。そういたしますと、そういつた元本の回收がありまして円貨が
外国人の手に入り、一時海外へ送金されないで国内に滞留するという事態が当然予想されるわけであります。その金を、この円貨を自由に
外国人が使えるということにいたしましてはこの間の経理が不分明になるという虞れもありまするし、又そういつた
外国人の持つております円貨は、いわば潜在的な対外債務とも考えられまして、そういつた性質のものが勝手に投資せられまして、不当に増大するというようなことは成るべく防いだほうがいい、こう考えられますので、将来は送金されるけれども、円という形で以て国内にとどまつている間は、一つの特別な勘定の中に入れておいてもらう、こういう措置をとつたのであります。第二項の第一号から第四号までの規定でありますが、大体こういう性質のものを入れるのだ、それ以外のものは入れないのだという規定にいたしたのでございます。
次は第二章でありますが、この二章にはいろいろな形の
外資導入についてどういう場合に
外資委員会の認可が要るかということを規定しておる條文であります。現行の條文によりますと、
外資委員会の認可を要します投資の形には三つありまして、第一が技術援助契約、第二は
株式持分、第三が社債、貸付金、この三つの形の投資につきまして認可の関係を規定しておるのであります。今回の改正では、この三つのほかに更に先ほど申しましたように受益証券、これは昨年創設せられましたいわゆる投資信託という制度によつて発行せられますところの受益証券、それから只今国会で審議されております貸付信託法というのが制定されることになつておりますが、これによつても受益証券が発行されるのであります。こういつたものに対する投資についての認可の関係を規定する條文を新たに附加えて参つたわけであります。第一の技術援助契約につきまして、どういつた点が従来と変つたかと申しますと、先ず第一には、従来は対価の支払期間が一年を超える場合には、この対価を国内で円貨で受取る場合であろうと、或いはその受取つた対価を海外送金する場合とを問わず、すべて契約をいたします場合に
外資委員会の認可が要ると、こういうことになつておつたのであります。この点を今回は改めまして、この
外資委員会が認可をいたしますのは、技術援助を受けまして、その対価を海外送金するという投資家が対価について海外送金の保証を得たいと、こういう場合にのみ
外資委員会が認可を許すことにいたしました。期間につきましては、対価の支払期間が一年である場合のみならず、契約の期間が一年を超える場合でも、とにかく対価を外国に向けた支払によつて受領しようという場合に認可がいる。ただ單に円貨で以て対価を受取つて満足すると、これは実際的には余り例が私どもは起つて来ないと思いますが、仮にあつたといたしましても、そういう場合には
外資委員会の認可は要らないということにいたしたのが第一点であります。第二点といたしましては、従来は一旦締結しました技術援助契約の内容の一部分を修正しよう、條項を変更しようという場合に、従来の規定のし方によりますと、変更されまする部分だけについての認可を受けるという途がなく、結局はこの変更された部分を含んで新らしい契約を締結し直して、全体の契約についてもう一度認可を受ける必要があつたのであります。これではいたずらに外国投資家に煩瑣な手続を課する結果になりますので、今回はこの変りました條項だけについて変更の認可の申請ができるということにいたしたのであります。技術援助契約について、変りましたのは以上の二点でありますが、次に
株式持分の規定はどういうふうに変つたかと御説明いたしますと、この十一條を御覽願いたいと思うのでありますが、十一條の元の條文はどういうことを規定しておつたかと申しますと、株式につきましては外資法では新株と旧株というのを分けて取扱をしておるのであります。外資法で新株と言いますのは、その株式を
外国人が引受けました結果、株を発行しておる会社の資産が増加するという場合、これを新株と言つておるのでありまして、例えば或る会社が新たに設立され、その株を
外国人が引受けますと、その払込んだ資金が会社の資産になるわけであります。それから増資をいたしますような場合にも、その株式を引受けますと、その資産になるわけであります。ところがこれに反しまして、旧株と申しますのは、すでに発行せられておる株式、いわゆる市場で上場されて売買されておりますような株式は旧株に該当するわけでありまして、これは幾ら
外国人が買いましても、それは日本人から
外国人に株主が変るだけでありまして、会社自体の経理関係には全然増減がないと、こういつたものをいわゆる旧株と言つておるのでおりますが、
外資委員会が従来認可を要しましたのは、旧株については全部認可が要る、それから新株につきましては、その株式を引受けたことに基く配当金の送金保証を求めるときには認可が要るが、そうでなくして配当金をただ円貨で受領するだけで満足するというような場合は、新株の場合はただ届出でよいと、こういうことになつておつたのであります。それからもう一つは、
外国人相互間の売買の場合、この場合も新株と同様にこの海外送金を希望する場合は認可が要りますが、そうでない場合は届出でよいと、こういう取扱になつておつたのであります。今度の改正によりますと、先ほど申しました新株で海外送金を希望しない場合、これが届出でいいという点は従来とは変りがないのでありまして、それが第二項に規定してあるのであります。それから
外国人相互間の売買のほうは、これはどんな場合であろうとも認可が要らないというのが第三項の一号に規定せられたわけであります。同時に今回の改正におきましては、
外資委員会の認可を要しないケースをたくさん挙げまして規定したわけでありますが、これはどういう場合かと申しますと、結局
外国人が投資しております株に当然の権利として付いて来るものである、或いはその株がちよつと形を変えたに過ぎないものであるといつたような、前の株と継続して投資を認めて行くべき筋合いのものにつきましては、新らしくその形変えをしましたり、新らしい株が割当られるときに一々認可の申請をしてもらうという必要もなかろう、又認可の申請があつてもこれを拒否すべき理由がないと考えられますので、そういう場合にはいつそのこと初めから認可を要らないことにしようという趣旨で第三項に十号、十一号までの規定を設けたわけであります。第一号は先ほども申しましたように、
外国人相互間の売買の場合でありまして、これはAという
外国人投資家がBという外国投資家に形を変えるだけでありますので、この場合は認可はいらない。それから第二号は、これは
株式持分を相続又は遺贈によつて取得する場合、この場合も相続、遺贈するという事実がありますれば、今更その株を持つことを禁ずるという、不認可にするということも考えられませんので、これは当然認可から外したがよかろうということでこの規定を設けたわけでございます。第三号の合併の場合も大体同様の趣旨であります。合併自体はそれぞれの国の法律で適法に行われます限り、資産が包括的に承継される際にその中の各一部分の日本の株式だけについてこれを認可申請にかけ不認可にするということも考えられませんので、これは初めから認可が要らないことにしようという趣旨であります。それから第四号は、これは第三号と違いまして、
外国人が持つております日本の株式の発行会社がほかの会社と合併して、或る外国投資家がAという日本の国の会社の株を持つておる、そのAの会社がBの会社と合併してCという新設会社となつたという場合には、Aという株式を持つておることに基いて当然新らしいCという会社の株が割当てられて来るのでありますが、これは当然この所有を認むべきものでありますので、これは初めから認可が要らないということにいたしたわけでございます。第五号は、これは新商法によりまして、会社の準備金の資本組入れが行われまして、それによつて新株が発行される場合があるわけでありますが、こういつた場合におきましても、これは前に持つております株に当然の権利として割当られて来る株式でありますので、認可が要らないことにいたしたのでけごいます。第六号は、これはいわゆる無償交付の場合であり、再評価積立金の資本への組入れをいたします際に発行される株式、これも当然不認可にして拒否するといつた事例も考えられないのでありますので、初めから認可を要しないということにいたしたのであります。第七号は、株式の分割併合というような事例の場合でありますが、これは当然前の株が形を変えるというのに過ぎませんので認可は要らない。第八号は、利益の配当に充てるために新らしい株が発行される、これも当然前に持つておつた株主の権利として発行されるものでありますので認可は要らない。第九号は、転換株式、転換社債が新らしい株に変わるという場合であります。これも形を変えるに過ぎませんので認可は要らないということになつております。第十号は、いわゆる敵産の処分を受けました財産が、これらのここに掲げております政令で回復されるという場合には、これは当然戰前の状態に復してやるべき性質のものでありますので認可は要らないということになつておるのであります、第十一号は、その他政令で定める場合、将来何らかの原因でこの
認可制度にかけるということは不適当と考えられるような事例が起りました場合には、この政令で定めることを要するのでありますが、ここで一つ考えられますことは、将来
平和條約が発効して通商航海條約が各国との間に締結されることに相成ろうかと思いますが、その際に若し日本が株式の取得といつたことについて内
国民待遇を与えなければならないということになりました場合には、日本で日本人に株式の制限をしてないという場合には、
外国人にも制限を与えてはならない、制限を与えることが條約違反になるというようなことが予想されますので、そういつた場合にはこの十一号によりまして、政令を設けまして別段
法律改正をやらないでもそのような事態に対処できるという用意をして置こうというわけであります。
それから十二條は、先ほども触れましたが、新らしく入りました規定で、受益証券について元本の送金保証をいたしますためにこの送金保証を要求いたします場合には、
外資委員会の認可が要るということにいたした條文でありますが、この受益証券につきましても
外国人相互間の譲渡の場合とすれば、相続、遺贈、合併といつた原因で以て取得する場合には認可が要らないという点は、株式の場合と同様でございます。
それから次に、社債、貸付金債権の取得でございますが、これは従来とは根本的に違います点を含んでおるのであります。従来は社債、貸付金の形において投資いたします場合に、どういう場合に
外資委員会の認可が要つたかと申しますと、
外資委員会の認可を要する他の事項と共に行われるという規定のいたし方をいたしまして、
〔
理事小林英三君退席、
委員長着席〕
例えば
外資委員会の認可を要する株式取得だとか、或いは技術援助契約、こうい
つた事柄と同時に、この貸付金が行われる、或いはその会社の社債を持つといつたような場合には
外資委員会の認可を要する、そうでない場合には
外資委員会の認可が要らない、但しこれは別に
為替管理法というのがありまして、このほうの系統で以て規制されるのは別問題でありますが、
外資委員会の認可は要らない、こういうことになつておつたのであります。ところが
外資委員会の認可は先ほど来縷々御説明しておりますように、送金保証の前提となる行政処分であります
外資委員会の認可は要るが、認可を得れば、あとで以てその元本なり利子の送金について
為替管理法の許可が外れて来る、こういうことになつておるのであります。従いまして今申しましたように、株式取得や技術援助契約なんかと共に行われないで、單独にこの貸付金だけをしよう、純粋に資金的な投資が行われるという場合には、
外資委員会の認可は要らない代りに、そういつた貸付金について、元利金の送金保証が得られない、こういう不都合があつたわけでございます。そこでこの点を何らか解決しなければ、こういつた資金的な外資は今後入るのがなかなか困難だと思われますので、今度の新らしい條文によりますと、
外資委員会の認可を要する事項は、一緒に行われる場合であると否とを問わず、この元利金は送金保証を要求する場合には
外資委員会の認可が要る、そうして
外資委員会が認可をいたしますれば、後に出て参ります條文によつて、元利金の送金が保証される、こういう規定のいたし方にしたわけであります。それから大蔵省との権限関係で多少入りくんだ條文が二項、三項とございましたが、これはこの際外したほうがよかろう、手続の簡素化という
意味合いから削除いたしたわけであります。それから
外資委員会が認可をいたします場合でも、この一年未満の極く短期の契約、貸付金契約、例えばその他国際商業取引の決済のためのいわゆるクレジツトの設定のような場合、こういつた場合には、送金保証ということをいたします実績も余りございませんので、
外資委員会の認可からは外し、これは
為替管理法の系統でそれぞれの主管官庁の許可なり承認をとつてやつて頂く、こういうことにいたしたのでございます。これにつきましても、この合併だとか相続、遺贈或いは外人相互間の移転の場合に認可が要らないという点は、株式受益証券の場合と同様であります。
以上で、大体この四つの形に分けまして、
外資委員会が認可を要する場合がどういう場合であるかということを規定いたしたわけでありますが、第十三條の二という新らしく入りました條文は多少違
つた事柄を規定しておるのであります。これは先ほど来御説明しましたように、株式にしろ、受益証券にしろ或いは貸付金にいたしましても、この
外資委員会の認可が要らないというケースは今度相当出て参つたわけであります。ところが
外貨送金の保証をいたします場合に、従来は認可があつたときには送金が保証される、こういうやり方になつておつたのでありますが、それが認可が要らないということになるとどういう方法によつて保証するか、認可が要らない株式を取得すれば無様件でその配当金なり、今度は新らしく元本の一定の範囲内の持帰りができることになつております。そういつた送金保証が得られるかと申しますと、そういうことにいたすわけにも行きませんので、そこで認可が要らない場合に送金保証を要求するときには、別に
外資委員会の指定の申請をして頂く、そこで以てこの
外資委員会が送金保証を与えていいかどうかという判定を下す機会を持とうというのがこの十三條の二であります。従いましてこの一号から二号、三号、四号、五号というふうに規定してありますが、これは大体株式の所で御説明しました認可が要らないケースに対応しておるわけでありますが、余り細かくなりますので省略いたしますが、とにかくそういつた認可が要らない場合に、而もその株は常に送金の保証があつた、そういつたものを相続、遺贈或いは合併によつて取得する、こういつたような場合には送金保証を継続して得たいと考えますときには、この取得の日から三カ月間を限りまして、
外資委員会に指定の申請をなして頂く、そうして指定のありました場合にはこの送金保証が得られるということにいたしたわけであります。
十三條の三は、これはすでに送金をすることができるようになつておりますところの投資に伴う果実なり元本を、まだその投資家が送金しないうちに、例えば死亡して相続が行われた、或いはその会社が合併されたという場合におきましては、被相続人なり、被合併会社が送る権利を持つておりましたわけでありますが、それを当然この相続人なり、新設の会社についても認めてやるべきものだと考えられますので、そういつた場合については、
外資委員会に確認の申請をやはり三カ月以内にして頂きまして、そうして
外資委員会が確認いたしました場合には、この前の投資家と同様に無條件に送金することができるようにしてやろうというのがその趣旨でございます。
ただ次の十四條は條件に関する規定であります。
外資委員会が認可をいたします場合に、従来は必要な條件を付けることができる、併し條件としてはいろいろ考えられますが、例えば送金につきましても限度を或る範囲に区切るというようなことも必要があればできることになつておつたわけであります。又為替管理の主務官庁がそういう條件を付けて欲しいということを
委員会に言つて参りました場合には、そういつた條件を付けなければならないということになつておつたのであります。ところが従来
外資委員会が付けますのは、この認可をするに際しということに限定されておりました。一旦認可をいたしましたあとで、以て、この條件を変えようと、むしろ変えて欲しいという投資家側の希望がありましても、
外資委員会はこれを変更することができなかつたのであります。ところがあとで何らかの事情によりまして認可の際には條件が付いたが、もはやその條件は不必要になつた或いはこれを除いて欲しいという希望がありました場合に、
外資委員会がこれを審査いたしまして、止むを得ない事情があると、認めたときに限つてこれを変更することができることにしようというのが、第十四條の第二項を新たに設けた趣旨であります。
第三章は送金保証に関する規定でありまして、実は今度の改正の一つの大きなポイントをなしておるわけであります。もとは十五條は一條でありましたものが、十五條の四まで相当複雑な條文に変つておるわけであります。十五條の基礎條文は、先ほど来御説明しておりますように、
外資委員会の認可があつたときには、
為替管理法でもはややかましい制限をしない、当然外国へ向けた支払が認められたものとする、こういう規定のし方によつて
外貨送金の保証をいたしておつたわけであります。これは技術援助の対価、株式の配当金、貸付金の利子、元本の償還金、これを一括して規定しておつたわけでありますが、今回は送金保証の範囲を拡張いたしたわけでありまして、それと同時に、ものによつていろいろ取扱が変つて参ります関係上、従来と同じように
外資委員会が條件を付けない限りは無條件に送金できる、技術援助の対価、それから社債、貸付金の利子、元本の償還金、これだけを十五條にいたしまして、株式、受益証券等の送金保証を別條に設けたわけであります。ただ十五條が前と変つております点は、先ほど御説明しましたように、従来は認可によつて送金保証をいたしておつただけでありますが、今回は指定という行為によつて送金を保証する場合も出て参りますので、これは先ほど御説明しました十三條の二に対応いたしまして、
外資委員会が指定をいしたました場合には、果実、元本の回收金の送金保証が得られるという條文が新たに入つて参つたわけであります。
十五條の二は、
株式持分と受益証券の果実、元本の回收金についての送金保証であります。そのうち、従来は株式についてはただ單に配当金のみの送金保証を満しておつたのでありまして、これは貸付金なんかと違いまして株式の形で投資いたします場合には別段期限というものがないわけでありますので、元本につきましては、従来は送金を保証しておらなかつたわけであります。併しながら
外国人が日本の株式に投資いたしましたら、それが永久に日本でブロツクされる、将来何らかの理由でこれを引揚げたいと考えましても、何らの保証がないというのでは、なかなか日本に対する株式の投資の意欲も起つて来ないであろうということが当然考えられますので、これについての何らかの途を新らしく設けたらどうかということが考えられまして、今回は配当金に限らず元本についても或る制限の下に送金の保証を与えることができるようにいたしたわけであります。そこで十五條の二の第一項は、従来通り果実でありますので、いわゆる配当金はこれは無制限に送らせる、それから償還株式の利益金を以てする償却金、これは株式ではありますが、初めから期限が付いておりまして、利益で償却するというだけでありまして、性質的にはむしろ社債と同じような形のものでありますので、これは入ります場合には、條件その他をよく調べまして適当なものを認可いたすわけでありますので、それについては無條件にその償却金を送らせるということにいたしたのでありますが、問題は第三号の
株式持分の売却代金であります。この売却代金につきましては、先ず第一に、三年間継続して持つておつた株式を売つた場合に限りということになつております。投資家が今日或る株を買つてすぐそれを売つた、その日からこれを持ち帰るということでは、これは日本の経済に何ら益するところがないのであります。むしろ弊害があるばかりでありますので、やはり或る程度引続いて持ち続けたものでなければならないという考え方から、一応三年という期間を設けまして、この三年間持ち続けた後に売却されたものでなければならないということを先ず第一に規定したわけであります。その売却代金につきましても、先ほど御説明しましたように円貨で国内に滯留いたします場合には、三カ月以内にこの外国投資家預金勘定に預け入れなければならない、その間に預けなければ、これはもはや送れなくなるということにいたしたわけであります。そうして三年たつた後、どういうような金額が送れるかということはこれは後ほど次の條文に出て参ると思いますが、先ず実体的に三年たつた後に売つた売却代金でなければならないというのが、この條文の規定しておるところであります。非常に長くごちやごちやと書いてありますが、これは実は長い括弧が二つ入つておるのでありまして、この括弧を除いて読んで御覧頂けば非常に簡單にわかると思います。この括弧を二つ設けました趣旨は、ここで取得の日から三年ということになつておりますが、この三年の起算点を特殊の場合には読み替える必要があります。例えば或る株を
外国人が買いまして、その株が先ほど申しましたように、発行会社が合併いたしまして形を変えた、ほかの別の形の会社になつておるというときには、その株を持ち続けた期間を三年というのはどこから勘定するか、或いは又最初に投資しました株が分割、併合があつて、形を変えて別の形の株になつたという場合にはそれはやはり最初の株、先ほどの合併の場合も一番最初に投資しましたときの所得日を三年の起算点にするという必要があるわけでありましてそのためにこの最初の括弧が設けられております。それからもう一つは、株を持つております間に相続、遺贈、合併が行われるということも当然予想されるわけでありまして、その場合の相続人が新らしく相続してから三年ということでは非常に不利でありますので、又合併の場合におきましても、合併によつて取得した日から三年ということでは非常に不利な取扱になりますので、この場合も最初の投資家が取得した日を以てこの三年の起算点とする、こういうことにする必要があるわけであります。これが次の括弧が設けられた趣旨であります。この二つの種類の括弧はあとのほうの條文にもたびたび出て参りますが、結局はそういうふうに三年という期限を設ける場合に、三年の起算点を相続、遺贈、合併といつたような場合に特殊な扱いをする必要からこういう規定を設けたのであります。非常に表面的には規定がごちやごちやしておりますが、事柄はそういうことであります。
それから第四号は、これは当該受益証券の元本の回收金であります。この受益証券の元本の回收金は、何年も持ち続けるといつたような株のような制限は設けません。約款により定められておりますところの期限が到来しまして、元本の回收がありました場合にはそれを送り得る、但し全額一時に送れないのでありまして、全額に制限が付くのはこれは次の條文に出て参るわけであります。この場合もやはり三月以内に外国投資家が投資家預金勘定に預け入れておかなければ、三月過ぎたあと続けて円で持つておつた者は送れないということにいたしておるのであります。それから第二項でありますが、これは先ず第一に残余財産の分配金の取扱をどうするかということで、これは株の売却代金が送金保証を認められる以上、やはり残余財産につきましても送金保証を認めて行く必要があるわけであります。これにつきましてはその期限の制限をどういうふうに見るかと申しますと、結局外国投資家が取得しましてから、やはり三年の経過後ということになつておるのであります。これは解散の場合には、投資家の意思によつて解散が行われるのではないから、その翌日から金額の限度は設けるにしても、送らせてやるべきではないかというような議論もあろうかと思います。但し又こういう場合も考えられますので、一応取得の日からといたしましたのは過半数、その会社の経営を支配し得るだけの株主になりまして、そうして例えば一年、一年半くらいの間に非常に荒稼ぎをいたしまして、そこで外国投資家が自分の意思で以て解散する、そうしてそれをその年から二割にいたしましても持ち帰るというような脱法的な行為をされるというような虞れもなきにしもあらずでありますので、これはやはり取得の日から二年ということにいたしたわけであります。それから第二号は、先ほど来御説明している外国投資家預金勘定の利子でありますが、これは無様件に送金を認めるということにしたわけであります。
十五條の三は、先ほど実体的にどういうものが送れるかということを十五條の二で御説明しましたが、今度はその金額についての制限でありまして、第一項は売却代金についての規定でありますが、これも括弧が入つておりますために非常にややこしいことになつておりますが、事柄を簡單に申しますと、結局毎年二割ずつ五年間に分けて送金できる、こういう規定でございます。その場合の二割と申しますのは実は二通りの計算の方法があるわけであります。例えば外国投資家が百株日本の株を買つた。それをまあ三カ年持ち続けておつて、三年たつた後にこの百株全部を売つた、その場合にはその全部の売却代金の二割を先ず最初送れる、その翌年又二割送れる、残つたものは、先ほど来御説明しております外国投資家預金勘定の中に入れておく、こういうのが一つの例でありますが、もう一つは、百株投資いたしまして、三年間持ち続けた後にこの全部を売らないで、その中の二割の株数の三十株だけを売つた、残りの八十株は依然として持ち続けるという場合も考えられるわけであります。その場合は二十株を売りました売却代金全部を一年に送れる、その翌年に参りまして又二十株分を売りまして、その代金を全部送るというふうに売却代金の二〇%でまあ計算いたします場合と、それから株数の二〇%で計算いたします場合と、この二つの方法のいずれによつてもいいような規定のいたし方をしているわけであります。それからもう一つ申上げておかなければならないことは、最高二〇%ということになつておりまして例えば或る年に二〇%送れるにもかかわらず送らなかつたという場合には、次の年に前の年の分と合わせて四〇%送れるかというと、それはできないのでありまして、或る年一年間送金をしません場合には、普通なら五年間で全部送れることになるのが、更に一年延びて六年になる、こういうふうに順繰りに後へずらして行く、とにかく毎年送れる金額は二〇%に限る、こういうことになつているのであります。第二項は受益証券の元本の償還金でありまして、これはもうその償還金を毎年二〇%の額で計算して、二〇%送れるということになつているのであります。残余財産の分配金につきましても、やはり毎年二〇%ということになつております。
第十五條の四は、先ほど十三條の三の所で御説明しましたように、このすでに送金を認められておりますところの技術援助の対価とか、元本、果実というようなものについて相続、遺贈、合併が行われました場合には確認の申請をして頂くわけであります。
外資委員会が確認をいたしますれば送金が認められるというのがこの十五條の四の規定でございます。
大体以上によりまして今回改正いたそうとしております重要な点を御説明いたしたわけでありますが、あともう一点だけ御説明を加えておきたいと思いまするのは、この二十四條、報告に関する規定であります。従来の二十四條によりますと、これは
外資委員会が認可をいたしました事項が現実に実行されました場合に、その事情を報告するということに過ぎなかつたのでありますが、これはそのままといたしまして、今度第二項を設けまして、そのほかにこの法律の施行を確保いたしますため必要がありますときには、随時広く外国投資家、その相手方のみならず、その他の
利害関係人からも次の諸点について報告がとれることにしよう。この一番大きな例といたしましては、例えば日本の会社が外国の会社と技術援助契約をする、技術契約をして新らしい製品の生産に乘り出した、ところが認可をいたします際に、いろいろ我々資料をとつて検討をいたすわけでありますが、そのときに予想いたしました通りの成果が果して挙つておるかどうかということが、今日のところではあとから調べる手段が全然ないのであります。これでは非常に困りますので、そういつた場合に、会社から実際にその後の進行状況を報告して頂くということができるようにしようというのが大きな狙いであります。そのほか
利害関係人といたしましては、株式投資の場合にその株式を発行しておる会社も入るでありましようし、又その外国投資家預金勘定の場合でありますれば、外国為替銀行などが入つて来るわけでありまして、こういつたものからも必要がありますれば報告がとれるようにいたそうという趣旨でございます。
大体以上で本文の説明は終りますが、このほか條文として非常にごちやごちやした條文が実は附則に四項ほど設けられておるのであります。この附則はなかなか読みにくい條文でありますが、結局どういうことを考えておるかということを事柄として簡單に申上げますと、先ず一つは、従来の法律によりまして
外資委員会がすでに認可しております場合に、送金保証があるわけでありますが、その送金保証の効果は、今度法律が変りましてもそのまま引継ぐというのが第一点、それからもう一つは、従来株式の取得について
外資委員会が認可いたしました場合に配当金の送金保証が得られただけであります。今度の改正によりまして、今後入つて参ります株式投資が、元本の償還金につきましても保証が得られることになるわけであります。前に入りましたものがあとから入りましたものに比べて不利な取扱を受けるということは非常な不合理でありますので、すでに
外資委員会が認可いたしました配当金については保証は受けているが、元本保証が受けておらないというものにつきましては、もう一度審査し直しまして、適当なものは送金保証の途を与えるということにいたす必要があるわけであります。その場合には、やはりこの改正法が施行されましてからやはり三カ月以内に指定の申請をして頂きましてそうして
外資委員会が指定しますれば、今度新らしい元本の送金保証も得られるということにしようとするのが、この附則を設けました大きな狙いであります。
大変長くなりましたが、一応條文につきまして、今回の改正の主な点につきまして御説明申上げた次第であります。