○
政府委員(山内
公猷君) 運輸省といたしましては、御存じのように私の関係しております
私鉄は
公益事業の
一つであります。
電気料金と同じように運賃は認可
制度にな
つております。それで
私鉄の運賃は昨年の十一月を境といたしまして全国的に
改訂をいたしたわけであります。大体数が百八十ばかりありまして、非常に大小様々の
私鉄を監督しておるわけでありますが、その運賃
制度におきましてもいろいろ千差万別の態をなしておるわけであります。それで
電気料金が上つたならば
私鉄の
経済状況はどうなるであろうかという問題でありますが、一応上つただけは支出の増に上
つて来るということは勿論でありまして、運輸省といたしまして運賃を固定して
考えております場合に、
電気料金がどうあつたらいいかということにつきましてはもう議論の余地もないわけでございまして、若し上げなければならないという事情、これは私も
公益事業を監督いたしておりますので、或る
程度わかるわけでありますが、その場合に成るべく安いのがいいということは当然であります。その際に
私鉄にはどういう影響があるだろうかという問題、或いは
私鉄の運賃を動かすかどうかということが非常に我々の関心の
一つになるわけでありますが、今大体におきまして百八十幾つもありますし、
私鉄の現状におきましてなかなか運賃を動かすことは困難であろうということは言えますが、運賃を絶対動かすことはできないとも言えないわけでありまして、と申しますのは、大体現在大電鉄の運賃が
昭和九年乃至十一年の
基準年次に比べまして百十五倍
程度にな
つております。この点でやはり
一般の
物価指数から比べて非常に低位に置かれておるということは言えます。その際に
基準にとりました、それじや
昭和九年乃至十一年の
私鉄の
経営が十分收支賄
つておつたかどうかということが
一つの問題になるわけでありますが、当時におきましては国鉄、いわゆる国鉄が現在の鉄道省でありまして、特別会計を持
つております。それで大半の
私鉄が補助金を受けておりまして、特に田舎のほうの小さな鉄道或いは電鉄におきましては補助金をもら
つておつた。当時すでに收支に赤字を出しておつた電鉄が、現在まだ
物価指数に達しないような運賃であれば、非常に現在
経営が苦しくな
つておるということは言えると思います。地方の電鉄におきましてはやめさしてくれという要望もたくさん来ておりますし、又
国家経済的に見まして、やめさせることは非常に
日本経済の縮小になるので困るという地方の要望もあります。その際には、地方のかたがたから
一つ運賃を上げて、まあ我々も協力するから電鉄の継続をしてくれというような
希望もありますので、運賃を上げるとか上げないとかいうことは
一般的に申せないわけでありますが、大体に関心の多い、例えばここら辺の東武或いは東急というような大
会社につきましては、目下運賃を上げるということは相当困難ではないか、かように
考えております。それでは百十五倍というような
物価指数に対して非常に低い運賃
制度で電鉄というものがどうして
経営ができるかという問題に移るわけでありますが、私たちその点について究明いたしておりますと、結局客がたくさん乘
つておる、戰後の状態がまだ戰前に復していないという関係にな
つております。それで電鉄の
使用する
電力というものは不可避的に年々増加いたしております。我々のほうから見ますと、何と言いましても
公益事業として一番大切なことは、朝夕のラツシユ、朝夕の通勤、通学の人々の足を確保すること、その輸送を楽にするということが私たちにおいて一番大きな問題でありますが、
会社の
経営から言いますと、この通勤通学の定期というものが七割乃至九割というような、非常に社会政策的に大きな割引をや
つておりますために、
原価を割
つて輸送しておる現状であります。そのために
電力を使うということは、ほかの
企業におきましてはそれだけ生産が拡充されて
利潤の
もとになるわけでありますが、電鉄
企業におきましては、
電力を使い、施設を拡充し、輸送力を殖やすということが、即赤字を多くするという非常に逆な恰好にな
つております。我々といたしましては、そういう問題はともかくといたしまして、交通業者の
公益性の使命から言いまして、どうしてもこの朝夕のラツシユの山を崩さなければならない。現在東京は御承知のように非常に人口が年々殖えております。そのためにラツシユの区間のピークで乘車効率が二八〇%或いは三〇〇%に近いという非常にまだ殺人的な混雑を来しておる線路も少くないのでありまして、我々としてはできるだけこのピークを下げて行きたい。それに対して昼間の輸送の乘車効率は五〇%というようなのがまあ常識的な関係でありまして、我々としては
電力を使
つても、やはり現在の輸送要請に適応するためには
会社に、もつと乘車効率を下げる、そのためには有効長を延ばし、編成両数を多くして、朝夕の通勤の殺人的な混雑を崩さなければならないという
指導をいたしております。ところが
電力が殖えるに
従つて火力分を取られ、赤字が多くなるということは、運輸省といたしましては非常に矛盾を感ずるところでありまして、この点において安本或いは
公益事業委員会にもその
説明は、私たち足りないかも知れませんが、本当に真劍にな
つて御
説明いたしておるところでありまして、是非
一つ御
考慮を願いたいと我々は切望いたしておる次第であります。何かまだほかに私たちに御質問がございましたならば答えさして頂きたいと思います。