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1952-04-16 第13回国会 参議院 通商産業委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月十六日(水曜日)    午後二時三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹中 七郎君    理事            古池 信三君            小林 英三君            結城 安次君            栗山 良夫君    委員            中川 以良君            松本  昇君            山本 米治君            加藤 正人君            山川 良一君            島   清君            境野 清雄君            西田 隆男君   政府委員    公益事業委員会    委員     松永安左エ門君    公益事業委員会    委員      宮原  清君    公益事業委員会    事務総長    松田 太郎君    公益事業委員会    技術長     平井寛一郎君    公益事業委員会    経理長     中川 哲郎君    経済安定本部産    業局次長    岩武 照彦君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○委員長報告通商及び産業一般に関する調査の件  (電気料金改訂に関する件)   —————————————
  2. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今から通商産業委員会を開会いたします。  本日の議事に入ります前に連合委員会日程につき昨日経済安定委員長及び建設委員長と協議いたしました結果を御報告いたします。電源開発促進法案に関する三委員会連合審査は、今週は十七日午後一時より一回だけと決定いたしました。来週は二十二日(火曜日)、二十三日(水)、二十四日(木)の午後一時から開催いたします。又事業者団体法案に関する経済安定委員会との連合審査は十七日(木曜日)午前十時及び二十四日(木曜日)午前十時の三回とし、このほうは二回を以て一応終りたいという協定をいたしました。  これより本日の議題でありまする公報で御通知申しました日程変更いたしまして、通商及び産業一般に関する調査、いわゆる電気料金改訂に関する件を議題といたしますことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) さよう決定いたします。電気料金決定基礎となる電力需給計画については去る三月八日及び十八日の両日に亘り一応の調査を終り、本日は料金改訂案につき調査をいたす順序となつておりまするが、日程も余り少いことでありますから、先ず公益事業委員会から、一、今回の料金認可に至るまでの予定計画、二、各社料金改訂案の概要、三、各地聽聞会における陳述大要、四、聽聞会の結果、公益事業委員会において考慮しておられる査定方針の四点につき、一応の説明を聽取してから質疑に入りたいと思いますが、さよう取計らうことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めます。それでは先ず松永公益事業委員長代理から認可に至るまでの予定につき簡單に御説明を願いたいと思います。松永公益事業委員長代理
  5. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) それじや御免をこうむりまして着席のまま発言をお許し願います。  九会社から出ておりまする陳述書は、前回こちらで御説明申上げたように三月十五日を以て出ておりまして、それを整理調査いたした結果、二十日の公報に公示して二百から各地において聽聞会を開きまして十一日を以て終了いたしました。なお、この需給調整規則の一部改正がこれに伴いまする結果、十二日更に東京において聽聞会を別に開きまして、この聽聞終つた次第であります。  経過の一つとして申上げるのは、各聽聞会に従事しました委員の総会議を今日午前に開きまして一応各地聽聞の状況をお互いに報告合つて検討をしたのであります。又詳細な事務に関する相当調査を要すべき事柄について事務当局は直ちにこれらの整理にかかられることになつております。従いまして、只今いつからこれを認可するということを、本日の段階においては、予定はありまするけれども、はつきりしたことを申し上げることはできない事情でございます。これが申請認可に至るまでの大体のことを総括して申上げたつもりであります。  それから、通産委員会から御質問の第二の事項につきましては、少しく詳細に亘る点もありまするから、事務総長又は技術長、又は経理部長料金課長、それぞれ参つております。各地事情等も違いまするから、これは詳細に説明してもらうことにしたいと思います。  それから、二の、聽聞会における陳述大要については、大要事柄だけは私から申すことができると思います。で、私の聽聞会に直接臨んだところは、主に火力を中心とする九州に始まりまして、中国関西、三カ所参つたのであります。で、これについての概観は、詳細に申上げることができるのでありますけれども、これは一方に偏しまするから、今日承わりました東京北海道北陸中部四国等の大体の傾向を一応委員会として簡單に申上ばて見たいと思います。聽聞会において、火力地帶における、九州四国中国関西等のごとき、北海道もそうでありまするが、殊に火力料金標準料金に織り込む割合は、今日の現状において多いのでありまするから、各利害関係者は、地域差の増大することを避けたい、成るべく増大しないようにしてもらいたい、前回においても聽聞会においてそういうことを言うたのであるが、今度もなおその点を力説するということを、利害関係者方面お話がありました。これは、火力地帶における大きな、主な現象一つであります。で、私どもは、聽聞会でありまするから、一々討論あるいは弁明等はいたしておりません。けれども、御趣意のあるところは承わつて、本日の委員会にも報告をいたしておいたのでございます。次に、大口のものの割当を減らすことによつて、三千キロ以下の動力、そのほかに圧縮を加え、それが不合理になつておることがないかという、むしろ質問的のお話がありました。で、この点については、無論お答えすることはできませんが、数字をかなりお出しになつているかたについて、その数字の不備な点は、再提出を願えれば早くお出しを願いたいということをお願いしておきました。けれども、御希望のあるところ、中小工業にそういう御希望のあるということは、これは各地一般のお考えのように、本日の委員会の、聽聞会結論の話合いにも承わりました。それから、この主婦連盟を主とする方面において、定額料金が割高であると思う。これは一般家庭、殊に生活最低限度を維持している者にとつて負担が大きいのである。できるだけメートルに変更のできるところはしてくれという御希望が主にありました。前回は、これらの家庭よりの御陳述は、料金引上げ絶対反対という声が高かつたのでありまするが、今日は絶対反対という声よりも、むしろもう少し供給を便利にするように、そうして合理的にするように各電力会社サービスに努力するようにという御希望が多いかのように承わつたのであります。料金についての値上げはできるだけ小幅にとどめてもらいたいということは、家庭事情を御陳述になつてお話がありました。それから次に農業電力については、旧来農業電力供給規程を三カ月或いは三カ月以上としてあつたのを今回二カ月というふうに改正されておりまするが、これはニカ月は多いからもう少し減して、そうして農村の負担を軽減するようにという御希望がありました。これは各地ともそういう御希望が多かつたように、詳しくはまだ各区域は聞いておりませんが、大体そういう御希望が多かつたという話であります。私の聽聞会に列した三地域においては、その御要求がありました。それから又、私の区域には余りありませんでしたけれども、成る区域聽聞会においては、地元の料金、つまり電源地帶料金は特別割引すべきであるという御意見があつた所があつたと承わつております。これは直接でありませんので、ただ今日の委員会報告を申上げるわけであります。それから関係官庁においていろいろ御陳述がありました。御尤もと思う点もありまするが、例えば文部省関係者は、各地至るところ大学研究費が非常に高くなつたので困る、もう予算は取つてつて、今日そうされるのは学問の研究を妨げる慮れがあるから、これを考えてくれということを、各地とも御陳述になつております。確か中国における聽聞会と思いまするが、福岡と同じような意味の御陳述がありましたが、どうも文部関係のそういうことについては数字を少しもお示しにならん、どういうことがどういう研究費に障るのかということがどうも陳述に出ていないことが一つと、それから各官庁予算をお取りになる場合に、研究費は十分重点的に大学がお取りになつて、そうして電力を倹約するということなくして、おやりになるべきものであるにかかわらず、ただ漫然として、どうも電力費が上れば研究に困るというだけのことでは、聽聞会としての意味がはつきりしませんから、どうぞ数字をお出し願いたいと申して、その数字收集をいたしております。検討いたしていますが、これはひとり大学研究というばかりじやなく、他にもこういう問題が種々ありまするので、ひとりその問題のみ決定ができるかどうかは、まだ委員会において何らの話をしておりません。そのほかこまごまと至るところ御事情陳述がありましたが、大体において火力料金使用料の増額のため地域差が自然に起つて来ておる。この地域差を少くすることについての方法をとつてくれという御希望と、それから関西そのほかにおきまして、自分のところさえも電力が非常に不足しているのに、北陸、或いは場合によつて中部地方関西の少い電力で再調整をする、それを救済して行くということは非常に困るというお話等がありました。これは関西ばかりじやなく、さような水火再調整をいたしましたるために、各地間の融通を図るために起つた現象の一部に対する御不満であると推察いたしまして、私は多少、最後にそれらの御了解を求めるために、一言挨拶を申述べたこともあります。その点は略して置きます。  聽聞会における陳述は大体そういう有様でございますが、以上の結果により、公益委員会において考えておる査定方針についてということにつきましては、今日漸く全部持寄つて査定を始めております。今私ども方針を、かれこれ申上げるまでの段階に達しておるかどうか、多少お話することを躊躇する次第でありまするが、むしろ当委員会の御意見なり、或いは御質問なりというものによりまして、私として、或いは事務当局として、将来どうするかということの御質問に対し、或いはお示しに対して、私の考えをむしろ申述べたほうが適当でないかと思いまするから、若しさようにお許しができましたら第二の各社料金案、及び供給規程改訂案説明、殊に現行と著しく異なるものについては、具体的に説明することというこの第二項について事務当局から、需用協定については技術長、それから料金決定については料金課長、又は経理長がそれぞれ御説明を申上げることと思います。なお私の不備な点は他の委員又は松田総長より補足を加えることと思うのであります。大体私の陳述はこれで終ります。
  6. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) では松永委員長代理に対する質問をお願いいたしたいと思います。
  7. 栗山良夫

    栗山良夫君 僕は内容に入ります前に、今回の料金決定に至るまでの手続的な予定をお伺いをいたしたいと思うのであります。それは、只今松永委員長代理は、はつきりわからないけれども予定ならば一応申してもいいというような御発言がありましたが、結局本日初めて聽聞会後の委員会を開かれたわけであります。これをいつまでに結論を出され、そうして政府当局といつ頃打合せをせられ、そうしていつ委員会として料金案決定をし、そうして実際の料金引上げの時期はいつになるのか、これを予定で結構でございますから伺いたい。
  8. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) それでは松永より、今の栗山委員の御質問簡單にお答え申上げます。今日十六日でございますので、こちらの御意見等も今日できるだけよく承わり、又衆議院においての御意見も承わり、並びに各官庁の若し御異議があれば拜聽しますが、今日のところではまだ何ら、聽聞会においてのお話は承わりましたが、聽聞会後において各官庁からまだ公式に何らお話があつておりません。尤もお話がありとしますれば折衝を重ねまして、多分時間がありまするから五月一日には実施が可能であろうかと思つております。けれども、これは單に只今の御質問がありましたので申上げるだけであります。それを強行するとか、断行するとかいう、そういう謙虚ならざる心持で申上げているのではありませんから御了承願います。
  9. 栗山良夫

    栗山良夫君 参議院における委員会の本問題に対する意見はまだまとまつて公益事業委員会のほうへ届いてはいないのは御存じの通りでありますが、新聞等の報ずるところによりますと、政府は、去る九日の日に首相官邸におきまして、周東安定本部長官池田蔵相高橋通産相等経済閣僚出席をいたしまして、電気料金値上げに対する数項目につきましての意見をまとめまして、公益事業委員会と交渉をし、申入れをしたい、こういうことが決定したかに伝えられているのであります。従つて、そういうようなことが、新聞の伝えるごとく事実であるかどうか。それから若し政府が申入れているといたしますれば、その内容はどういうものであるか、これを明らかにせられたい。第二点は、公益事業委員会電気料金最後決定を独断でやつてもらつては困る、政府のほうと十二分に協議をいたしまして、完全合意の上で行れたいという主張、意思の表明があつたやに聞いておりますが、さようなことがありましたかどうか、この点も併せて承わりたい。
  10. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 第一の御質問も第二の御質問も、まだこちらに出ますまで、委員会においても、事務局においても何ら公式にも非公式にも通知があつておりません。この点申上げておきます。
  11. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、恐らく政府筋もいろいろなことを考えているのではないかということは殆んど確実に推定されるわけでありますから、そういう意見、或いは衆参両院における意見等は、聽聞会意見と並んで、最終決定せられるまでに十分付度をせられて決定されるお考えがありますかどうか、これを伺つておきたい。
  12. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) これは前回値上げのときも、たびたび聽聞会意見を尊重するにとどまらず、その結果の判断については衆参両院の御意見も十分承わり、又各官庁の御意見も承れるつもりでありますということは、前回も申上げておりまするが、今回もその方針に何ら変更はありません。
  13. 栗山良夫

    栗山良夫君 大体了解いたしました。それから私の前以てお尋ねをしておきたいことは、電気事業経理の安定に関する基本的な点について、一点松永委員長代理の御所信を伺つておきます。それは昨年度電力事業の再編成が行われまするときに、公益事業委員会等の当時の御説明によりますと、再編成を行うことによつて発送配電ブロツク別一貫経営が達成せられますると同時に、電気経理の安定を達成いたしまして、そうして日常における電力公益事業としての性格、或いは特定産業に対しては基礎産業としての性格を持つてサービスを続けて行くという、日常経営ばかりでなく、電源開発もみずからこれを行いまして、そうして電力増強には積極的な達成を図り得るものであるということが前提であつたはずであります。従いまして昨年度の料金値上のときには、この点がいわゆる投下資本に対するフエア・リターンの思想と結びつきまして、強く松永委員長代理も力説されたことは記憶に新たなところであります。ところが、只今国会において審議中の電力開発促進法案によりますと、その構想とするところは、昨年電気事業の再編成によりまして電気事業みずから電源開発に努めると、こういう看板でありましたものが若干事志と違いまして、電気事業者においてはさような力を出し得ない。従いまして開発会社を以て当らせなければならないということが提案者においても説明をせられておるのであります。それを更に突つ込んで考えて見ますると、これは経理的に、資金的に電気事業会社というものは当初目途せられたような電源開発を行い得る力はない、いわゆる外資の導入にいたしましても或いは国内資金の調達にいたしましても、只今電気事業者では行えない、結局電気事業の再編成は最初意図したところとは相当異なつ状態に止むを得ず落ち着かざるを得ない、こういう結論のように私どもは聞いておるのでありますが、この点が一番重要なところでありまして、再編成当時に松永委員長代理等が力説されたごとき電気事業の発達を望まれるといたしますならば、私みずかしら電源開発が行えるものである、そうして今電源開発促進法案に載つておりますような点が事実であるといたしまするならば、電気事業経営性格というものも必然的に変つて来なければならないと、こういうふうに思うのでありますが、この点は如何ですか。
  14. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 簡單にお答えをしたいと思います。何故簡單かと申しますと、賢明なる参議院通産委員会では、私が縷々老人の繰言を申さんでもよくその辺のところは御了承が願つておると思いまするが、ただそういう問題について世間世間というよりも、むしろ国会においても甚だ不明瞭にお考えになつておる点があろうかと思いまするので、或いは当委員会説明をする必要のないことまで申上げる無礼をあえてするかもわからんと思います。思いまするが、私がこの聽聞会そのほか……前に衆議院におまして、三月二十五日か二十六日かと記憶しますが、福田委員の御発言のうちに、すべてこの電力行政が乱れておるのは、電気編成そのもの間違つてつたからであるかのごとき御議論があつたかと思います。尤も私は速記録を再検討して今申し上げるわけじやありませんけれども、ただその聞いた、老人の多少聾の耳でもありまするから聞き違いもあるかも知れませんということを前置きして、それは大変な間違いで、再編成が惡い、いいという問題よりも、再編成が二、三年遅れたものであります。その結果として他の方面で許された再評価ということも許されることもできず、従つて償却することも税金がかかつてできない。プール計算によつて各社独立経理を立てることもできない。それで或いは政府依存主義、閣議の依存主義というようなことで、このすべてのことが弛緩状態を二、三年来たしたのである。殊に一番大きな原因は、水力開発を遅らしたことであります。若しその当時丸山地点のごとき大きなダムを関西で早く開発することができておつたならば、今日火力によるかかる混雑というものはなかつたであろう、ということで、一言丸山のことを申上げたのかどうか、詳しく知りませんが、速記録に大体その趣意を申述べてあります。今回聽聞会を開いて、主に私火力地帶を歩きましたが、すべての混雑、すべての電力料を殆んど一年のうちに二度も上げなければならんというような事情の起る原因の主なるものは、すべてが再評価を遅らし、水力開発もとだえ、従つて特殊産業が急激に増加したことに対して、これに対応するのには、古いボイラーを焚いて、能率の惡い石炭を焚いて、而もその石炭が非常な暴騰をし、欠乏をし、外国炭を輸入して、そうして足らざるところは、水力地帶に対して火力地帶が高い石炭を焚いて融通しなければならんというような状態で、その融通する関西電力においては更に不満を来たし、受けるほうにおいては高い電力料で買わんならん。そして安い特定産業等供給せんならん、赤字はいつまでも消えないという混雑状態、即ち需用方面供給方面の両方の無理からぬ混雑というものはこの電源開発、もう一つ言い換えれば、水力開発が非常に遅れておる結果であるということを申上げたのであります。それから各社のことについて随分お話がありまして、各社企業努力が足りない、或いはサービスが足りない、或いは自分合理化が足りないと申しております。これも今回の聽聞会において、各社陳述というものは詳しく出ておりますが、その人員の淘汰も、殆んど数千人の人員を淘汰し、そうして現場においてはむしろ人員不足を訴えて、これを補充するのにむしろ苦しんでおるくらいの人員的整理をしております。で、又軍役そのほか経営陣においても、相当な整理を告げておりまするが、これは私どももまだ十分なりと見ておりませんので、聽聞会においても、私聽聞会でさようなことを申すべきじやないと思いましたけれども、やはり各地においてどうぞ、電力不足をしておる、非常な貴重な電力であるから、成るべく合理化され、そして電力も十分に合理化して多く出すように努力すると同時に、需用家諸君におかれても、この貴重な電力を濫費せずに、そしてできる限り中小工業或いは家庭等にお廻しを願わなければ、二十七年は無論困難を想像しているけれども、二十八年に至つても、即ち来年に至つても、まだまだ安心という空気に達しておりません。併し幸いに需用者方面にも御協力を願い、各社においても非常に努力するならば、もはや仕事は順調になり始めたのでありますから、必ず国民生活産業の安定を来たすことは決して遠い先ではないということを確信を持つております、というふうに申上げました。それからなお、これに関して公益委員会の代表が、すでに新聞紙上でも余命幾ばくもなし、余命幾ばくもないのに、お前がたは電力料値上げをし、徒らに置土産をするだけじやないかという話がありました。一回聞いたときは無論黙つておりました。二回目も、討論すべき筋じやありませんから、黙つて聞いておりましたが、最後挨拶のときに、こういうことだけを参考に申上げますということを言うておきましたが、これも私ども委員として委員会に御報告を申上げたいと思いますが、どうぞ簡單に申上げますからお聞き取りを願います。私はこう申しました。余命幾ばくもないというのは、私のような、松永のような老人の話であつて委員会余命があるかないか、私、自分に何ら判断ができません。私は置土産自分余命がないからというて電力料を上げるというような、そんなけちな人間じやありません。それだけは申上げておきます。併し公益委員会簡單にあなたがたが今便利が惡い、どうも値上げしてけしからん、公益委員会はよその官庁の言うことも聞かずに勝手に値を上げる、あんなものはやめたほうがいい、新聞にも出ておる、大賛成だと、需用家各位が皆早呑込みに思われるということはどんなものでしようか。これはよくお考えを願つておきたいと思う。公益委員会性格及び法律の精神はレギユラテイブ・ボデイである。要するに電力が非常に高くなつて供給者が暴利を貧る、或いはサービスを怠るという場合は、需用家申請によつて、そうしてその申請が適当なりと公益委員会でも認めた場合は、各地にその聽聞会を開きまして、それは恐らくは五年か三年か、そういう後にそういうことは起るかと思われます。何となれば、この電源が相当開発され、各社経理がよくなる場合は、相当値段も引下げんならんときが来るでありましよう。けれどもこれを若し公益委員会をなくして、或いは甚だ失礼ですが、国会のみの議決、或いは当該官庁のみの閣僚議決によつて値下げを、一方的に民衆に諮ることなく、御決定なつた場合は、あたかも米の値下げをおきめになつて、そうしてそれが人民は何ら議論をする余地がなかつたごとき弊害に陥ることがないとは言えません。只今のところは電力、ガスが公益事業となつている。将来は或いは電話も、そのほか交通機関等公益事業の一部として国民は多大の関心を持たんならん場合が出て来る。かかる場合に、ただ政治の権力、或いは一方的制限と社会の安寧秩序との間の平衡を破るごときことあることは、甚だ民主政治の将来に心配に堪えない次第でありますから、只今はこの電源開発或いはそのほか再評価の結果、この料金値上げを或る程度適当なりと認めて、三日の公告において皆さんのために聽聞会を開いたのである。今は被告は電力会社である。あなたがたは原告の立場で攻撃しておられるけれども、他日あなたがたの中から、電力料の引下げを公益委員会に御申請なつた場合、適当なりと認める場合は、反対にその各電力会社を被告の一員たらしめて、そうして審問討議を始めて、その公正についてやらんならんときが必ず起つて来ることは、目に見える状態である。各文明国はことごとくその制度を最近とつている。アメリカのごときでも、レギユラテイブ・ボデイということは昔から、二十何年前からでありますけれども、三、四年前に、政治のほかに独立して、国民の公平を守る制度ができたのでありますから、これは私の置土産としてそういうものを壊さんように、あなたがたよくお考えを願いたい。余命幾ばくもないというのは私のことであります、ということを申上げました。これが大体聽聞会において申上げたことも、或いは衆議院においてお答えしたことも、私の精神において一賛しておるのです。それだけ申上げておきます。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
  15. 栗山良夫

    栗山良夫君 答弁は、私のお聞きしたのは少しぼやけて、ほかのことが大分長かつたのですが、もう少し簡單で結構でございますから、一問一答式にお答えを願いたいと思います。只今私、料金の問題と関連してそこまで触れましたことは、要するに現在の電気事業のあり方というものを根本的に検討をしなければ、この電気料金値上げの適否を判定することすらも困難な状態に、これはなるのではないかという懸念を持つておりますので、その点をお尋ねをしているわけでありますから、さような点を中心にして簡單にお答えを願いたいと思います。今の電気事業が困つておりますのは、電源開発がうまく行かない点、こういうことをおつしやつたのであります。再編成をやられましたとき、或いはその前の昭和二十五年の四月に、政府が再編成法案を国会出しましたときにも、その中心になつているところは、決して集中排除法による再編成ではなくして、積極的な電源開発をやりたいというのが主目的であるということが、政府の提案理由の説明の中にもあつたわけであります。そこで再編成された今日の実情を見ますと、電気事業を私企業として、営利事業として十二分に資金の調達のでき得るような経理の安定を図るということが第一前提になつている。それをしなければ、従つて最初に目途した電源開発も進まないというのが中心になりまして、この値上げ案の根本思想になつていると私は推量いたしているわけであります。ところが今日一番問題でありますることは、そういうような私企業として、営利事業として電気事業経理の安定を企図することが、国家的ないろんな要請で頭打ちをしているという実情が出ているわけであります。従いまして私は、電気事業の再編成の当時に考えられた構想の一端が、現実の問題として崩れたのではないか、崩れてはいないか、こういうことをお尋ねしているわけであります。崩れているということでありますならば、問題は別の観点から料金問題を扱わなければなりません。そこをお尋ねしているわけであります。
  16. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 崩れていないと思うております。そうして自分たちが今回廻りましても、各社についてそれぞれ社員等とも会つて見ましたが、非常な意気込みで努力いたしておることは事実のようであります。お話通り何ら再編成趣意は崩れておらんと思うております。
  17. 栗山良夫

    栗山良夫君 社員の努力等はこの問題と直接関係はないことでありまして、飽くまでも経理の安定ということが中心になるわけでありますが、そういう観点からしますときに、公益事業委員会は、昨年料金値上げ以後におきましても、電源開発問題を扱われるときに、一応問題を提供せられましたが、結局は開発資金は外資による、或いは国家資金を仰がなければならんということをおつしやつたわけでありますが、そういうことになりますと、電気事業が私企業としてやはり電源開発の担当ができない、こういうようなことをみずからお認めになつたようなことになるのではないか。
  18. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 電源開発の資金について、二十七年度につきまして政府の財務当局の御了解を得、これを各電力会社に伝達しておりますのは、三百億円の政府の貸金、それから百億の電気債を発行して、これを電気会社に貸してやる、この四百億を以つて大体政府資金を受取りまして、そうして電源開発の急ぐほうに、重要なる方面にそれをそれぞれ振分けつつあります。まだ全額の中の三分の一も頂戴しておらんのであります。従つてもう割振り等もあと三分の二はきまつておりません。けれどもこれを以て民間資金並びに自己資金等によつて、所定の二十七年度の工事を進行することは、企業努力を加えて必ずできるものであるというふうに、委員会としては認めておる次第であります。で、来年度以後につきまして、やはり公益委員会は、その方法につきまして資金計画を政府にお願いしなければならんのであります。が同時に、日本政府だけで果してそれだけの開発に対する金ができるや否や、甚だ憂慮しておりまするので、公益委員会としてはやはり外資の導入を或る程度必要なものと認めておりまするので、その辺について速かに外資導入のできるような基礎的計算を立て、そうしてその計算に基いて、或いは直接公益委員会がお手伝いをし、或いは又、日本の他の、大蔵省、外務省等の御助力を得て、外資の導入に進んで行きたいと思つて、目下開発につきまする大なる工事、即ち天龍川とか只見川とか北上川とか、或いは四国等開発について、それぞれ電源開発に向つて公益委員会において整備しつつあります。…
  19. 中川以良

    中川以良君 議事進行について……。栗山君の御発言中甚だ恐縮でございまするが、先ほど松永委員長代理から縷々お話になつたのでありまするが、私ども公益事業委員会性格を本日は論じているのではないのでありまして、松永委員長代理お話通りに、私は飽くまで、公益事業委員会が民衆の声を聞いて、公正なる運営の下に、との価格をきめて頂くという点について、本日は電気料金の点を取上げて、特に本委員会としては検討を加えて参つておるのでありまして、かく申しまするのは電気事業を攻撃する意味でもなく、殊に日本が今やまさに講和発効を目前に控えまして、そうして日本の産業としては重大なる時期に当面をいたしておりまするので、果してこういう電気料金で今後日本の産業というものは成立つか、どうかという点に、非常に私どもは懸念をいたしておる次第であります。そこで、各会社側からはここに申請書も出て来ておりまして、資料を実は昨日頂いたのでありまするが、これに対する先ず御説明をして頂きまして、今までこの各会社申請出しまするまでに、いろいろ内面的に委員会が指導され、又相談にもあずかつておられるものと存じますので、こういう点につきまして、殊に地帶間の融通量の問題、又地域差に関する問題等々につきまして、殊に本年は日米経済協力の線に沿うて供給量を随分無理をして出しておりまするが、これらの点に関連をいたしまして、中間的に今御審査になつておりまするところの、公益事業委員会といたしましての御感想なり、御意見なりを、先ず伺つてから、本格的の質問に入りたいと思います。これは事務当局で結構だと思います。この一応資料を頂いておりますが、これに対する御説明が何もございませんから、一応順序として伺つてから、栗山委員の御質問を伺うことにしましたら、一段とわかり易いと思います。
  20. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今中川君の御動議に対しまして御異議ございませんか。
  21. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は、この今の個別の計算を……果してこういう料金値上げをやる必要があるのか、どうなのか、その基本を私は伺つておるので、まだ私の質問したいと思うことの半分まで行かないうちに、やられたのでは、私の考えが全然通らないので、もうちよつと続けさして頂きます。
  22. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記をやめて。    〔速記中止〕
  23. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記を始めて。
  24. 栗山良夫

    栗山良夫君 先ほど松永委員長代理は、基礎的な計算を進めて、外資導入等の途を開きたいと言われましたが、それは率直に申上げますならば、昨年来言われておるあなたがたのお考えによると、電気事業経理の安定を図りたいということであろうと思います。その場合に、私は一番疑問に思つておりますことは、昨年あなたがたが御提案になりました七割の電気料金の値上については、理論的な正しさを以て強力な主張をせられたわけであります。ところが当時の政治的な、或いは国民の輿論等が加味せられまして、半分以下に、料金値上は最初の構想から比較して圧縮されたのであります。これは恐らく、当時あなたがたとしては御不満であつたろうと思いますが、今度の値上案によりますと、当時の値上の不足であつた分には言及をされないで、大体昨年八月の値上以後における物件費の値上り等、極めて数項目に亘る、ほぼ事実に近いような根拠を本にして申請が出されておるわけであります。そうしますと、本来ならば昨年の八月の、いわゆる再編成後における電気事業の根本的な経理安定を企画して、そうして電気事業が全責任を持つて電力の増強に邁進するという御方針から言いまするならば、今度の値上案というものは、更に昨年度政治的ないろいろな條件によつて圧縮せられました不足分までも当然加味せられる、そうして提案の理想を飽くまでも貫かれた要求額というものがなければならんと私は思うわけでありますが、そういうことを放棄せられましたことは、結局電気経理の安定に対する昨年八月の根本思想が崩れておるのではないか、そういうことの疑問を持つわけであります。この点はどういう工合にお考えでしようか。
  25. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 簡單にお答えしますが、別に崩れておると思つておりません。今回の料金の問題も、各社のものを一応聽聞会以前に検討しまして、そうして必要なる、割当増加等による出炭の増加量、及び石炭料金等、止むを得ざるものを一応認める。で、修繕費のごとき、これを過度に陥らぬように相当或る程度調べたつもりであります。それから新聞紙上問題となつておりますボーナスの問題のごときも、昨年はどういうわけだか、むちやくちやに不当なる要求なりとして各方面の圧迫を受けたのでありまするが、事実上従業員に向つて二カ月分の支給をしております。これは正式に認むべき問題と思います。それからフエア・リターンの問題につきましては、いろいろ考察して、その結果として配当一割五分を認めることは止むを得ないものであるとして、これを聽聞会に付して各方面意見も求めております。これについて私の承知した方面では、一割五分程度は多いというのと、一割五分なけりやとてもやつて行けるもんじやないという議論と相半ばしておるような情勢であります。若し一割五分のフエア・リターン配当というものが確定し、相当な修繕ができる、従業員に向つても適当な手当ができる、各社が、又各自が自粛することができたならば、日本の電気事業の再建もでき、従つて外資に対する信用の増加も必ずできるものと思うております。これを以てお答えとします。
  26. 栗山良夫

    栗山良夫君 どうもそこがはつきりしないのですが、フエア・リターンの理想はちつとも変えていないと、こうおつしやるのですけれども、現実にそれが正しいと、そして而も今度の料金値上げに入つておるのは物件費、石炭費の高騰等が主原因になつておりまして、昨年のときとは大分違うわけであります。そうすると昨年七割の値上げを要求せられて、あれが三割幾らに圧縮をせられたのでありますが、その圧縮をせられた分だけは結局フエアリターンの理想を曲げなくて済んだということでありますから、やはり当時水増しの要求であつたと、こういうことに理解してよろしうございますか。
  27. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 全部御指示に副う、御説に副うようにはならぬかと思いますが、前回値上げが足りたか足りなかつたかということよりも、事実昨年渇水によつて意外にもフエアリターンどころじやなくて、赤字が各方面に起りまして、黒字のある会社は僅かでありまして、この赤字を今回も修正して料金の原価の基礎に入れるか入れないかということについては、入れてくれという各社のかなり御請求も聞きました。聞きましたけれども、如何せん、さようなことは徒らに産業界に対する地域差を増加し、それのみならず電灯及び家庭等に向つて、この方面が集金の割合が非常に多いものですから、各社は自然そのほうに追い込まれて、そしてそのほうに活路を求めるということもあり勝ちでありまするために、この昨年のよつてつた計算の間違い或いは赤字等は、この際一切原価に繰込まぬ方針をとつたものであります。而して結論として、若し今回の料金が動くならば、一割五分が配当できる状態に達しますれば、必ず内外の信用を回復して電源開発ができると信じます。
  28. 栗山良夫

    栗山良夫君 いや、そこまで行かないのです。私がお聞きしているのは一つだけなんですが、要するに昨年の八月の値上げの時に七割値上げという案を提示された時に、一般産業等の多くは、一回に七割も引上げをするのは困る、せめて二段階にすべきであるという意見があつたことは御承知の通りであります。半分ずつに時期をズラして行うべきである、同時に行うべきでないという考え方は、昨年三割上げてこのたび又三割上げるという、そういう構想ではございません。あの当時の條件がそのまま継続するものとして、これを二つに分離してやられたらどうかという意見であつたわけです。ところが今度出されましたものは、あの八月の料金値上げ以後において発生した現実の物件費その他の価格の高騰が中心になつて構成されておるわけなんです。従つて私は、そこに今度の値上げにプラス昨年の理論的な要求をせられた残額というものが注ぎ込まれていなければ、公益事業委員会の当時強力に主張された精神というものは貫かれていないわけです。いわゆる電気事業のフエア・リターンから、電気経理の安定ということからする構想は保たれていないわけです。そういうことをお聞きしているわけです。
  29. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 昨年と本年と計算が、栗山委員の御質問通りに違つております要素はいろいろあろうかと思いますが、一、二思いついた点をお答えすれば、ロス軽減並びに各社の自力による経費の節約或いは水力の増産、これらに向つて相当なリターンを上げておることは、今度成績を表わしているという事実は無視することができんと思つております。でありますから今日は、過去のことよりも現実の事実において会社が生きる途、又需用家の多大の迷惑を最小限度に切下げて行きたいという公益委員会考えを以て終始しておる次第であります。
  30. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと大体わかりました。わかりましたから一つ資料をお願いしたいのでありますが、昨年の料金値上げ後に、七割の値上げを要求されたのが三割で大体事実上よかつた。よかつたのは、企業の合理化その他において吸收したというような御説明でありましたから、どの程度に吸收されたものかどうか、これを一つ御提出願いたいと思います。それがなければやはり或る程度私どもも理論的に進めておるので、余り政治的にばかりものごとを考えるわけに行きませんから、その点を……。今松永委員長代理説明で私了解いたしましたから、その資料の裏付けを願いたい。第二点としてもう一点伺いたいのですが、それは今度の値下げの中で、輿論は、大体若干内容的には問題がありますけれども松永委員長代理から聽聞会の結果を聞きますと、大した、絶対反対というものはなかつた。こういうお話でありましたが、併しこの料金値上げによつて、直接或いは間接に非常な各方面への物価に対する反響が来ることはもう否定できません。従つて、そういう場合に、公益事業委員会、或いは電気事業者から出されておりまする数種の生産品に対する値上げの影響等ではカバーできないようなものが起るのではないかと私は思います。結局最終的には国民家庭生活一は、いろいろな方面から跳ね返つて相当なものが来るに違いないと思います。而もそういうような原因を作りましたのは、電気事業者説明せられることが正しいとしますならば、石炭その他の物件費の高騰が中心になつておるということでありますが、これはやはり公益事業としての電気事業が、あらゆる方面に影響を及ぼさないとすることでありまするならば、電気料金値上げを避けまして、ほかに採るべき方法が私はあつたと思うのであります。そういう場合には、一つの方法としては国家で以てさような費用については補償をしまして、吸收をして、ほかに跳ね返りのしないように、根源で、のどもとで吸收するというような方法も考えなければならんと思いますが、そういうような点は、料金値上げの場合に全然お考えにならなかつたかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  31. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 全部の御返事は或いはできんかもわかりませんから又改めて申上げますが、電気料金の跳ね返りについて、不思議なる聽聞会発言を聞きまして深く考えなければならんことと思つたのであります。当委員会通産委員会であらせられて、ひとり電気の問題だけじやないのでありますから、私の電気に関する範囲においてのお話を参考に申しておきたいと思います。私が中部聽聞会を聞いたときに、中国における火力発電所は主に宇部興産会社の宇部炭鉱の石炭に依存しているのであります。この石炭供給條件によつて中国が受ける電力料金のコストは、大きな動きを見せることは当然のことであるのであります。即ち石炭そのものによる電力料金の跳ね返りというものが大きいことは当然であります。然るに宇部興産の代表者がおいでになつて陳述なさる場合に、今回の電力料は、中国は三割二分六厘かと存じておりますが、三割二分六厘の動力の値上げが宇部興産のごとき大口のものに及ぼす影響というものは、これこれこれこれであつて従つて石炭が非常に上る、石炭が非常に上るということは他の産業に非常な影響を及ぼすという御尤もな、又傾聽すべき御意見があつたのでありますが、私はそのときに御陳述のあと、よくわかりましたが、併し半面、昨年中国電力石炭を御供給になつておる料金、それから値段をお高めになつた結果、どのくらい中国電力のコストにおいて影響しておるかという数字を、あなたは御承知のはずであるから、どうぞもう一度御陳述を願いたい。それを参考に持つてつて、お互いの跳ね返りというものを警戒しなければならん、注意しなければならんということを、よく委員会でも討議したいということを申したところが、一向御陳述がなく、資料の御提出もなく、そのままお引込みになつたのであります。これは甚だ私は民主的聽聞会においては、自分一方のことを主張するばかりでなく、石炭そのものの跳ね返りも電力にどのくらい影響するということ、又その跳ね返りがとう影響するということを、お互いにその業務に関係しておるものは資料を提出しつて、お互いにそれがないように研究注意することが必要だと思うから、御注文をしたのでありますけれども、未だに宇部興産よりその資料の提出はありません。かかる事例は他の産業にもあることと思いまするから、御参考に聽聞会においてさような出来事があつたことを御参考に申上げておきます。
  32. 栗山良夫

    栗山良夫君 今のは、どうもはつきりしませんが、中川君からの御要望もありますので、私は恐らくこの料金問題をもう一回やることになつておりますね、そのときにもう一度重ねて伺いたいと思いますから、今日私が質問いたしました点はどうもわからない点がまだたくさんありますから、一つよく御整理をなすつて簡單明瞭に次の機会にお知らせを頂きたい。これだけ保留をいたして質問を譲ります。
  33. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ほかのかた、委員長代理に御質問ありませんか。
  34. 古池信三

    ○古池信三君 私は、この委員会の運営を最も能率的ならしめるために、できるだけ簡單質問をいたしますから、松永委員長代理も要点を簡單に御答弁願いたいと思います。第一にお尋ねしたいのは、この料金改訂基礎になりまするものは、申すまでもなく今後の需要供給の想定でありますが、現在公益事業委員会考えておられまする二十七年度以降の需給計画というものは、これは政府部内において、経済安定本部その他各省との間に、完全に意見の一致した計画であるかどうかということを、先ず以てお尋ねいたします。
  35. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 簡單というお話でありますから、簡單お話して、あとは技術長から詳しく不明の点は補充してくれます。経済安定本部よりこの四つの特掲産業、主に三千キロ以上大口の電力に属するものでありまするが、これについて相当多量の割増の要求があつたのであります。そこで到底、三百億キロワツトばかりの供給源に、その当時二十億前後のお話がありましたが、それは到底ないものはないので、出しようはありませんと言うて、はつきりお断わりをしたのでありましたが、幾らでも出せるだけ出してくれというので、十億くらいに折合おうというお話であつた。御承知の通り、三千キロ以上の割当は公益委員会の割当の権限はないのでありますから、これは安本の御意見を尊重せねばなりませんが、同時にないものを出すということは又できない話でもありますから、止むを得なければ小さい方面を圧縮するほかありませんが、これも又小口、三千キロ以下といえども、特需産業に関係のあるものも相当あります。又民生上必要なものもあります。でそう圧縮はできるわけではありません。けれども国家の要請として日米経済協力の線に沿うて電気事業者はともかく困難に打ち勝つて努力せんならんということも国民的常識でありますから、各会社の首脳部或いは專門家に向つて何とか割り出す方法を講じてくれ、で詳しいことは技術長から説明しましようが、要するに利用率を何%か高めるよりほかあるまい、それは行けるかどうかという問題、それから何%は火力を多く使うよりほかにあるまい、而してその火力に要する設備というものは完全であるかどうか、甚だ不完全な状態である。不完全な状態であつても何とかして手入れをして、キロワツト及びキロワツト・アワーを出すことに努力したいが、さて石炭の手当はできるのであるかどうか、いや石炭の手当は通産省で、或いは重油等において、できるだけは外国炭の手当もするというお話等もある。でこれによつて又各事業者にこういう役所からお話があるから君がたも一つ是非骨を折つてもらいたいということをやつておるのであります。ここに一つ困難な問題はこの三千キロ以上の特定工場というものはなかなか地方に偏在しておる。例えば東北地方に偏在しておる、或いは北陸に偏在しておるというようなことで、特にそれを増すということは、どこかの地域電力をその分だけ割減しをして、そうしてそこに余計に持つて行くということが一つ一つは三千キロ以下を幾らか割減しするという止むを得ない方法よりほかにないのでありまして、何とかして五億ばかりのものは出したいということで努力しましたけれども、安定本部そのほかなかなか五億では御承知にならん。又事実非常に困るということを、ここにも見えております安定本部の通産局長などは熱心にこれだけのものはどうしても割当なければ困るのだからよろしく一つ頼むと言つて、我々の役所の会議に出て下さつて数字を挙げて御懇切な話がありましたが、それじや私どもより直接業者をお呼びになつて、業者の意見もお聞き願つて得心さして頂きたい。それから又業者等が安本に伺つて、そうして事情を訴えてお話したけれども、是非或る程度作つてくれという結果、ようやく八億ばかりを火力水力の利用によつて出し、需用想定をきめました。この需用想定は聽聞会を開きまして、一般公衆の了解を得、安本にもこれ以上は困難でありますから、これを御了解願いたいということを申上げております。これがこれまでの経過であり、殆んど結論と申上げてもいい点に達しているわけであります。これを申上げておきます。
  36. 古池信三

    ○古池信三君 只今政府部内並びに電気事業者との間の折衝の経過については、非常に詳しく御説明があつたのですが、問題は結論であります。私がお尋ねしたいのは結論の問題で、最後にほぼ結論に近づいたごときお話があつたのですが、そこの辺が甚だあいまいなように見受けられるのです。実際問題としては安定本部、通産省その他の関係当局並びに実際電気供給に当る事業者との間の話合いははつきりついたのですか。もう一度結論をお伺いしたい。
  37. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 公益委員会のほうから申上げます。いずれ他の官庁からも御返事があることと思います。それから私の足らん分は他の技術部から補足してくれると思いますが、大体八億キロワツトを捻出して、そうしてそれを再調節して、関西北陸の間、中部の間、東京、東北の間等折返し再調節をしまして、それで以て火力においてはおよそ六円で基礎の計算を一キロワツトきめて、そうしてその量をどこから幾ら出すということをきめまして、大体私どものほうではそれをもう最後案に考えております。安本さんにおいていろいろ又御希望もありましようけれども、私どものほうでは、もうそれ以上に困難であろうかと確信いたしております。
  38. 古池信三

    ○古池信三君 今の御答弁を伺つておると、いろいろこう思うとか、或いは確信をしておるとかいうことで一方的なお話のように承わるのですが、もう一度お尋ねしたいのは、一体こういう料金決定の基本的な條件になる需給計画がさようなあいまいなことでは困ると思うのです。確定したものと認めてよろしいのかどうか、もう一度はつきり御答弁をお願いしたい。
  39. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 相当ものの折合いにつきましては、各官庁事情のあるところ、又国家の要請のあるところ、又各会社の実際の力、これらについて公益委員会只今の需用想定を、最後の案として、需給調節につきましてはそれぞれ聽聞会を開き、一応決定いたしております。だからこれに関する他の官庁の御意見は他の官庁からそれぞれ御陳述があろうと思います。私どものところはまあそんなところであります。
  40. 古池信三

    ○古池信三君 電気料金の主管当局者は公益事業委員会でありますから、料金決定されるときには、すでにこの計画は確定していなければならんと思うのであります。今のように、他の官庁意見を聞いてくれというようなことでは、その程度の段階ではまだ料金を低くするところまでは行かないと私は考えるのですが、その需給計画ははつきり政府部内において確定するまでは料金認可はおやりにならんつもりですかどうですか、それをお尋ねしたい。
  41. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 私どもは現在の段階において、今日差支えないものと思つて委員会もさようにきめております。併し他の官庁それぞれのまだ料金について、或いは割当についても御意見があろうと思います。これはよく尊重して御意見は承わるつもりでおります。
  42. 古池信三

    ○古池信三君 それではこの問題について最後にもう一つ確めておきますが、料金自体についても、更に電力量の需給関係の計画につきましても、他の官庁方面との打合せ、合意というものが完全にできるまでは公益事業委員会認可をしない、行政処分をしないと、かように我々考えて間違いございませんね。
  43. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 古池委員と全く反対考えを持つております。
  44. 古池信三

    ○古池信三君 私の意見と全く反対であるという御答弁でありまするが、そうしますると、他の政府部内の機関がこの需給計画なり、或いは料金改訂につきまして賛成しなくても公益事業委員会は独立独歩の立場で処分をしよう、こういう考えと解釈してよろしうございますか。
  45. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) どうもものの言いようで角が立つという言葉がありますが、この上老人が弁明いたしますと、徒らに他の官庁を刺激するだけでありますから、どうぞこの辺のところでお許しを願いたいと思います。
  46. 古池信三

    ○古池信三君 それではこの問題は又他日に譲ることにいたしまして、次に今回の料金改訂申請は率はともかくといたしまして、或る程度は公益事業委員会において認可されるものと考えられるのでありますが、一体若しも今回料金改訂認可されるとすれば、これを以て当分相当長い期間に亘いて料金の改正はないものとお考えになりますかどうですか。今後の予想についてお伺いしたい。
  47. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) これはすべて想定に属することでありまするが、水力開発を非常に古池さんも今の御意見等を肯定して、成るべく料金の安定化を図ろうとするためには、例えば関西にあつては丸山の工事等を促進し、九州にあつては上椎葉の工事等を促進して、一日も早くピークに出します石炭をできるだけ減らし、そうして料金の安定化をこれらによつて図ることを努力したいと思うております。従つてこれらの工事がいつ頃できるかということをいろいろ再検討してもおりまするし、近く又旅行して一々見たいと思うておりますが、今日確言はできませんけれども、どうもこの火力に依存する状態が二十八年度までは相当激甚じやないかと思います。従つて火力を使う量が無暗に増加する、或いは特需の産業が非常に増加した場合は如何なる対策をとるかということは二通り考えるのであります。それに黙つてついて行つて、割当をどんどん増して火力を使つて行くという場合、その石炭価格に変化がある場合は、これはじうしてもそういう料金の値上がそのたんびに頻繁に起つて来ることを惧れるのでありますが、御承知の通らに、この中国沿岸から姫路方面に至る、或いは他の方面に至るこの旧来の軍需工業の復興は恐るべき勢いを以て復興しつつあります。これらに向つて只今水力状態を以て二十七年から二十八年にこの復興に応ずるというようなことを考えましたならば、これはどうしても特別料金の方法をとつて頂くか、或いは自家用を自分でやつて頂き、そうしてこれらの問題を何か絶縁というと語弊がありますが、その間に一つ一線を画して、そうして他の中小工業、一般電燈電力に大なる変化のないような方法をとることが一つ考えられるのであります。何分とも水力開発が遅れた結果、火力依存ということが一つの大きなスペキユレーシヨンみたいになりまして、運賃の暴騰或いは暴落、炭価の変化、輸出輸入炭の状態、重油の減退というようなことが今後我が一般の電力料金に大きな狂いを起さんようにできるだけ工面せんならんと思うて目下研究しております。殊に随次聽聞会に諮つて、その構想が深いのでありますから、只今御返事はできませんけれども、余りに大きな変化を一般に及ぼさんように、たびたび値上をすることのないように各種の方法をとるほかないと思いまするが、只今お聞きの通りに、三千キロ以上の割当はまだ安本の手にありまして、これらについて公益事業委員会の自営権というものは阻害されておる、これらの事情も御諒察の上関係官庁とも御相談して三千キロ以上の割当といえども、或いは自家用の開発等について特別の官庁間の話合をする必要を将来の電力の安定のためにはしたいものと思つておるのでありますが、殊に通産委員会においてはその点の御研究を進めて頂きたいと思います。
  48. 古池信三

    ○古池信三君 将来の問題について確定的な御発言ができないということは、これはもう我々もわかつておりますが、長い間日本の産業経済界において非常に深い経験をお持ちになつておる松永さんのことでありますから、今の経験から見まして、この調子で行けば今後成る程度長い期間に亘つて料金改正をしなくてもいいか、或いは又三カ月や半年で改訂しなければならんような時期になるのか、その辺の委員長代理としての見通しをお尋ねしたいと思います。
  49. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 只今申上げたように三千キロ以上の割当問題のごとき、今回かなり混雑の基になりておるようでありますが、将来ともこの自家用並びに三千キロ以上の割当について公益委員会に今少し調節する力を与えて頂いて、将来の電力料の安定を図りたいと思うております。それからなお申添えておきますが、公益事業と言つても真のやるか取るかの商売である大きな産業と、それから小学校の子供が給食を受けるような普通の家庭の電熱、或いはそれを基として働いておる小口動力のごときは、これらはできるだけ安定を保たせて、そうして他の輸出産業のごとく自分で力のあるほうはその関係等において何かの方法を講じられて、殊にこの電力の問題にのみ負担させるということのないようなことについて、将来この委員会、殊に参議院衆議院の御尽力を願いたいと思う次第であります。
  50. 古池信三

    ○古池信三君 只今の御答弁によりますと、二つの事柄があつたように思うのであります。第一は三千キロ以上の割当或いは自家用の電力の問題等についてその権限を今は公益事業委員会が持つていないが、公益事業委員会のほうへその権限をよこすならば、将来電力料金の問題は相当長く安定する、こういうような御答弁が一つ。もう一つは将来小口のものは上げないが、輸出その他の大口の産業用のものは上げるぞと、こういうような御答弁と解釈してよろしいですか。
  51. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) まあ大体においてこれは私だけの意見であります。公益事業委員会全体の意見でない、松永意見とお聞き下さつて差支ないのであります。
  52. 古池信三

    ○古池信三君 今の割当の権限がどこにあろうと、将来の需給関係はそれによつてそんなに違うわけではないと思うのでありますが、今の第一点の御答弁は松永さんらしくない御答弁だと私はお聞きしたのであります。私がお尋ねしたいと思つた点は、要するに電気料金というものは昨年の八月の改正を契機として又今回改正をされる事態になつたのでありますが、こういうことがたび重なるということを国民は憂慮しておるのでありますから、経験の深い委員長代理として当分料金は据置きでやつて行けるという御発言があれば、それで国民も或る程度安心をするのではないかとかように思つてお尋ねしたのであります。そういう見通しについてははつきりしたお答えは得られませんですか、どうですか。
  53. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 古池さんの仰せの通りでありまして、なかなかいろいろなフアクターが未解決のものが相当多くございますので、これを日夜私ども解決をするように図つておりますが、公益事業委員会或いは電気事業者のみでできない問題等も相当ありますので、ひとえに御協力を願つて電力料金について安定をさすということは国民生活の安定、又同時に産業の安定でもありますから、その安定に向つて十分な努力をいたすつもりでおります。今後とも御教示を願いたいと思います。
  54. 古池信三

    ○古池信三君 この問題も一応この辺で保留いたしますが、昨年の電気料金改正以後において、各電気事業会社においては合理化に対して相当な企業努力が払われたと思います。例えば内部の機構の改革ということについては各会社ごとに相当満足すべきものが実行されたかどうか。殊に幹部のほうで会長制度を殆んど大部分の会社はとつておられるようでありますが、会長というものは本当に必要があるとお考えになつておるかどうか、この点をお尋ねいたしたいと思います。
  55. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 私はものに満足するということは一生涯人間社会ではないというのが私の根本の原則です。(笑声)けれども徒らに人を責めるだけが能ではありませんので、最近各社に向つて、ただ人を減らすとか或いはこれを倹約するということよりも、まだまだおよそ一千億円以上のものを購買し契約しておるのでありますから、各社はこれをその経理担当者或いは営業担当者等が責任を以てそれぞれ一厘でも一分でも縮めることができれば、それだけ電力料も安定し、各社の財政を安全にするわけであるから、責任をもう少しはつきりするように頼んで廻りまして、今回の旅行中も一々お願いして廻つて、漸く御承諾を得まして、最近と申しますか、或いは五月の総会と申しますか、それにおいてこの責任の部がそれぞれ明確化されるようになり、そうしてその明確化によつてそれぞれ担当者が責任を以て購買に当つても適当な良質、廉価なものを買うという努力をされることによつて、すべて料金面においても、或いは電源開発面においても安定と希望をもたらすことができるものと思つて、特にその点を強調し、最近漸く各社の同意を得ております。但し人事に関係する問題もありますし、殊に総会の決議を要する問題もありまするので、まだ具体的に御報告できませんけれども、私自身としては非常な確信を以て喜んで只今進んでおりますことを御了承願います。
  56. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 古池さんにちよつと申上げますが、まだ一回ありますからこの辺で次回に御質問願いたいと思いますが、如何でございましよう。
  57. 古池信三

    ○古池信三君 もう僅かなんですから簡單に……。
  58. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) それでは早く……。
  59. 古池信三

    ○古池信三君 簡單にお尋ねいたしますから、簡單に御答弁願います。それでは先ほどお尋ねした会長制度ですが、現在北陸電力は会長がなくて、社長だけで立派にやつておられるように仄聞しております。今後会長制度というものは続けて行く価値があるかどうか、御所見を承わりたいと思います。
  60. 竹中七郎

  61. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 申上げます。会長制度は大体において今回やめる会社が多いように聞いておりますけれども、残す会社ももとよりあろうかと思いますが、成るべく社長中心で業務を統率して行くようなことをお願いしております。
  62. 古池信三

    ○古池信三君 それでは最後にもう一つお尋ねしますが、ここにいろいろ資料が出ておりまして、中には配当の原資であるとか、或いは又従業員の賞与の原資等も入つておるように思います。そこで仮に或る程度料金改訂が実行されるとして、今後会社経営者並びに従業員諸君の熱意のある企業努力によつてそこにプラスが出た場合には、その企業努力の結果というものはどこに持つて行かれるように指導されるつもりですか、これを一つお尋ねしたい。
  63. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) お答えいたします。企業努力の結果は、要するに結果としては需用に向つてサービスがよくなること、これが唯一の目的でありますが、同時に財政そのほかの信用を回復して、電源開発の資金を国内においても、或いは外国においても得られるだけの結果を收めたいものということを專念考えております。
  64. 古池信三

    ○古池信三君 私のお尋ねしましたのは、今後の企業努力によつて予定以上の收入が上つた場合には、その結果はどこに向けられるかということをお尋ねしているのです。
  65. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) やはりそういう方面に向けます。サービスの改善と財政信用の回復、その全部の方面に向けます。
  66. 古池信三

    ○古池信三君 最後にもう一言申します。昨年の電気料金公聽会の際には、新聞の報ずるところによりますと、国民の輿論というものを松永委員長代理はそれは俗論であるとして排撃されたというように承わつておるのでありまするが、今回はまだそういうような評判を聞かないので私も喜んでおるわけであります。どうか一つ輿論は俗論であるというような誤まつた考えを是正して頂いて、十分輿論に耳を傾けて公正なる結果をもたらすように御努力を願いたい。かように考えます。御所見を伺いたい。
  67. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 最後に古池さんに御挨拶且つ御礼を申上げます。どうも老人のややもすると独断的のことを申上げて世間に過まちを来たしますが、ああいうことを必ずしも自分で言うた覚えはありませんが、新聞などによると、お前が言うたに相違ないと思われるのは私の不徳でありますから、今後とも気をつけますからどうぞ……。
  68. 中川以良

    中川以良君 私はさつき発言した通りに、一応説明を聞いてから最後の御質問をしたいと思つたのでありますが、たまたま今古池君御質問の中に、松永委員長代理電力の割当等についてはこれは安本、業者、公益事業委員会、三者の中で以て十分に確定したのではないというような意味の御発言であり、而も安本がいろいろ容喙するのは公益事業委員会を阻害をするのだというような意味の御発言があつたのでありますが、これは甚だ私はお互いに電力料金の公正なる決定を念願しております際に、いささか度を過ぎた御発言ではないかと思うのであります。これに関連して私がお伺いしたいことは、水火力料金調整の問題でありまするが、この地域調整の件につきましても、只今進められておりますることがすでに委員会といたしましては確定をしておられるのか、それとも今のお話のあつた通りに大衆の声を聞き、又その他国会等の意見等をもお聞きになりまして、これに対する将来更に善処をするという御意思があるか、それとも只今お話のあつた通り国会がそういうことを言うのは公益事業委員会の機能を阻害するのだというような御意見をお持ちかどうか、その点を一言承わりたいと思います。
  69. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 中川委員にお答えをします。第一の質問はどうもお話通り発言はせなかつたかと思いまするけれども、これは只今のところは水掛論になりますから速記録一つよくお読み下さつて、若しさような失礼なことを申上げておりましたら又御返事に上ります。私はさような失言はせなかつたかと思つております。それから第二の問題は、お前のほうは、言葉を換えてみると、押切つて何でもやるのかというようなお言葉のような意味に解釈しますが、決して押切つてやるとかやらんという問題ではなくして、これは非常な大きな大事な問題であり、相当慎重に審議は尽されておりました。決定すべき事項は決定すべき機能を持つたものが決定をしなければ何にもならんことになりまして、その結果は却つて国民に迷惑をかけるかと思いまするので、適当な決定の機が来ますれば、公益事業委員会はすべてを決定して行かなければならんと思つております。その前に十分に各方面の御意見を承わることは当然の任務でございますから、どうぞ惡しからずその辺に御援助を賜わらんことをお願いします。
  70. 中川以良

    中川以良君 よくわかりましたが、そういたしますると、今の地域料金調整の問題につきましても、松永委員長代理とされては、委員会においては十分に審議をしておるが、更に世論をよく聞き、又国会の意向等も十分に斟酌をして、更に慎重に最後的な断を下そうと思つておるのだと、こういうふうに承わつたのでありますが、それでよろしうございますか。
  71. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 結構でございます。
  72. 栗山良夫

    栗山良夫君 只今の古池委員松永委員長代理との質疑応答の中で非常に重要な問題がありましたので、私は経済安定本部に関連質問をいたします。従いまして、安定本部と公益委員会のほうと双方からお答えを願いたいと思います。  その一つは、この前岩武次長にお願いをしてありましてまだ資料が出ないのでありますが、三千キロワツト以上の需用の状況の調書を至急一つ出しを願いたいということをもう一度請求をいたしますと同時に、今言われたところでもはつきりしておりますが、非常に強い意思を以て三千キロワツト以上の特需に対して割安な電力供給したいという熱意を安定本部は持つておられるわけであります。そこで将来そういうような傾向が日米経済協力の線によつてますます拡大をして行くということになりますと、結局そちらのほうの電力というものは個別原価を割つた安い料金で送られておるわけでありますから、従つて電気事業経営に必要とする総括原価には変りがないということになりますれば、三千キロ以上の日米経済協力に基く特需電力が殖えれば殖えるほど料金値上げの時期は早くなつて来る。それで而も家庭用或いは小口等の動力料金の引上げをしなければならなくなる。これは必然的にそうなると私は考えるのであります。従つてそういうことをあなたは予見せられないか。なぜさように申すかと申しますと、二十八年度までは電力の増強の予定は微々たるものであります。発電所の開設とその他による増強は微々たるものです。従つて若しそういう時代が来れば戰争中と同じように家庭用の電力、或いは小口の電力の消費規正を行わざるを得なくなる。消費規正を行いますれば、そちらのほうの販売電力量が減つて来る。それで而も三千キロ以上の個別の大口電力に対しては、個別の原価計算よりも安く売るわけでありますから、結局総括原価全体は減つて来る。收入は減つて参りますから、それをカヴアーするためには家庭用或いは小口動力等の單価を引き上げざるを得なくなる。こういう現象が必ず私は出て来ると思いますが、その辺はどういう具合にお考えですか。
  73. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 前々回栗山委員から御請求ありました三千キロ以上の大口の工場の過去の消費実績並びに所要量につきまして、再々御請求受けまして実は甚だ申訳ありません。ずつと各官庁を督励してやつておりますが、本日までに原稿はでき上つておりますが、一部の業界におきましての分がまだまとまつておりませんので、多分明後日には刷り上りましてお目にかけられるかと思つておりますので、御了承願いたいと思います。  それから第二点の、特定大口の産業の需用が殖えた結果、電力料金が電燈、或いは小口動力のほうにはね返るのではないかというお話でございますが、これにつきましては、今後のいろいろな需用の推移にもよりましようし、或いは自衛力漸増等の措置との関係もあると思いますが、或る種の分野におきましては、若干は電力需用がその関係で殖えて参るかと存じております。併しながら今御指摘ありましたように二十七年度に比較しまして、二十八年度におきましては水力におきましても或いは火力設備におきましても、そう大きな出力の増加は期待できませんので、勢いこれらの需用に対しまして相当圧縮を加えざるを得ないだろうかと存じております。なお或いは自家発電のほうにおきましては、昨年来開発銀行の融資等を通じまして慫慂して参りましたものが若干は完成すると思いますので、その面で或る程度の補いがつくかと存じますが、大勢は供給力におきましてはそう大きな増加が見られないのじやないかと思つております。従つてその結果はできるだけ家庭用消費、或いは小口動力等の使用量の制限まで行わないで済みますように、大口産業間の調整を第一義に考えなければいかんと考えております。又お話がありましたこの大口産業料金が個別原価を割つて供給しておるではないかという御指摘でございましたが、これは前回の御質問のときにもお答えしましたが、我々としましては、大口産業電力料金が原価を割つて供給されるということは必ずしも期待しておりませんで、申上げましたように電燈、或いは電力、それぞれの個別原価計算によりましてメートル料金にされるのが適当かと存じております。従つて或いはその結果大口産業料金が上りまして、産業界が負担に堪えないとか、或いは特定な国際協力の面においてどうしてもできないとなりますれば、これはむしろ電力料金の面で処理いたしますよりも、でき得れば別途の措置で解決するのが妥当かと思つておりますので、料金にしわ寄せるのは本質ではないと考えております。
  74. 栗山良夫

    栗山良夫君 そこで私が申上げたのは、今後の特別日米経済協力による大口の電力需用の予想というものは私どもつていないわけですが、恐らく八億三千万キロワツトアワーの総量だけでは私は間に合わないのじやないか、もつと大きなものが予定されておるのじやないかと思いますが、そういう点についてどの程度の御研究なり見通しを持つておられるか、これが一番基本になると思います。而もそういうものが出て来た場合には、あなたは今小口等には電力の制限を及ぼさないで行きたいとおつしやつたのですけれども、これは不可能である。若しそういうものが出て来ればやらなければなりません。丁度戰争中にやつたと同じことなんですからやらざるを得ない、やつて而もそういうところの非常に高收益のある需用の量制限をするわけですから、結局單価を上げなければならない、料金の引上げをしなければならん、そうしなければ電気事業経営できない、こういうことに私はなると思いますが、そこのところのお考えをもう一度伺つておきたいと思います。
  75. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) そういう方面の需用がどういう方面に出て参りますか、余り想像もつきませんが、まあ一応考えられますのは、特殊鋼の面でありますとか、或いはアルミニウム辺かと存じておりまして、その他の面ではそう急激に大きなものが出て来ることは考えにくいのじやないかと考えております。なお大口の中におきましても、いろいろ今後の推移によりまして或る程度生産の伸びがとどまる業界もあるだろうと存じております。又伸びる業界もあるかも存じませんが、その点で或る程度は調整しなければいかんかと考えております。なおそれは全体としまして、特に小口或いは家庭電燈を制限するというのではございませんで、むしろ一般的な電力制限をやる時期が比較的早く来るということはこれは考えられると思つておりますが、むしろその際にどういう需用、或いはどういう業種を制限するかという一般の問題になりまして、必ずしも直ちに家庭電力を抑えますとか、或いは小口の需用を制限いたしますというふうなことには相成らんかと存じておりまして、その点は前回におきましてもいろいろ御説明したと存じております。
  76. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) この点はこれくらいにして、次に料金資料につきまして中川経理長から御説明願いたいと思います。
  77. 中川哲郎

    政府委員中川哲郎君) それでは御提出いたしました資料の説明をいたします。  本日配付いたしました資料のうち横書の昭和二十七年度電力需給想定表というものを一番上にいたしました資料がございます。これについて最初に御説明申上げます。  第一枚目の年計の電力需給想定表は、前回までの当委員会におきまして再三審議のございました点でございますので、これを省略いたしまして、第二枚目の会社別総括原価計算表というものがございますので、そこから御説明を申上げます。  今回申請になりました各会社の増加原価額を集計いたしましたものでございまして、一番右側のところに全国を合計いたしました金額が掲げてございます。この全国を合計いたしましたものについて便宜上御説明申上げます。この原価科目は現在の会計規定の科目とは整理が違つておりますが、昨年度の料金申請の際の原価科目に倣いましてこれを整理いたしましたものでございまして、全国を合計いたしました総原価額、即ち経費面とその他の收入を差引きました一番下の欄、純原価と申しますものが一千四百九十五億七千万円余になつております。これは前回の総括原価額が一千四十一億円でございましたので、それに対応いたしますと四割四分の増加になつております。この増加のうち昨年度に比べまして、各科目別に倍率という欄がございまして、原価額の増加倍率がそこへ出ております。一番上の役員給与と申しますのは、前回の原価額に対しまして九五%になつております。こういうわけでございます。以下さような数字で倍率が掲げてございます。今回の料金申請内容となつております総括原価のうち、昨年度の原価に照しまして殖えましたもの、これを大雑把に申しますると、いわゆる給料手当関係のものが一つございます。それから石炭費関係、もう一つは修繕費そのほか減価償却、それから支払利息、配当金というような資本関係のもの、大雑把に申しましてその五つの科目、即ち給料手当関係、石炭費関係、修繕費関係、減価償却費の関係、それから支払利息、配当金を含めました資本費の関係、この五つのものが大きな原価変動の内容になるわけでございます。その他の原価科目につきましては、大体会社側におきましても、前回の原価の申請の幅にこれを一応とどめまして、実際の面において殖えて参つて来ております経費等もございますが、企業合理化等でこれを吸收して行くという方針の下に重点的な原価科目のみについての原価の変更をいたしたいという申請をして参つておる次第でございます。  最初の給与関係のものでございまするが、これは役員給与関係ではおおむね前回の原価額よりも幾分下廻る程度でございますが、その次の給料手当につきましては、前回二百三十三億程度でございましたものが三百五億という原価額になつております。三割七分の原価騰貴ということになります。これにつきましては、基準となりまする従業員の数でございまするが、これは前回の計算にとりまして基準人員は全国平均で十三万六千七百二十人でございましたが、今回の申請におきましては十三万五千二百二十一人ということになりまして、前回申請人員よりも千四百九十九人全国で減少いたしております。この点は新会社が成立いたしました昨年五月一日の経費支弁の人員は十三万七千六百五人でございまして、その会社設立当時の人員申請人員とを比べますと二千三百八十四人の減員ということになつております。それから給料の單価でございまするが、これは前回の原価額が一万二百円ベースで計算いたされておつたのでございまして、それが今回の申請におきまして、昨年末の中労委の裁定のベース、即ち一万二千四百円をベースにとりまして、それに一月現在の人員の構成、家族構成等によりまして、平均給与額は一カ月当り一万三千三百五十六円という基準によつて計算いたされております。即ち昨年度のものに対しまして約三割程度、二割余になりますが、基準賃金の増加ということになります。基準外賃金につきましては、前回申請が基準賃金の全国平均について見ますると、二六・一四%でございましたが、今回の申請におきましては、この二十六年度の上期の実績と目標で、基準外賃金の率でございますが、二〇%程度に各社計算いたしまして、全国平均におきましては二二・七八%という基準外賃金の指数をとつております。それからもう一点特に原価額として殖えました点は、この給料手当の中に掲げられているわけでございまするが、期末手当といたしまして、二カ月分の額、即ち総額にいたしまして三十六億一千万円の給与額が計上いたされております。さようにいたしますと、原価よりの増額は約八十三億ということになるわけであります。次の建設振替人件費関係でございまするが、これは約三一五%のものを建設費に振替えまして、考慮いたすことにいたされております。それから法定厚生費、一般厚生費関係は、基準給与額の増額に伴いまして増加いたしているものでございまして、それの計上額はおおむね前回申請の計算値と同じ方法によりまして、例えば法定厚生額につきましては、法定額を見合いまして計算いたされ、又一般厚生費は基準賃金の六%という前回同様の数字で計算いたされております。退職給与金関係につきましては、基準賃金の一割というものに基準をとりまして計算いたされたものが、この数字でございます。次は石炭費でございまするが、これは需給計画の案に則りまして、前回石炭消費量六百五十万トン、前回の内国炭の平均單価四千四百八十六円でございましたのが、今回は石炭につきましては七百八十一万二千トンという石炭量のほか、重油として二十九万五千キロリツター程度の重油を見込んだわけでございまして、石炭換算いたしまして、全国で約七百三十万トンの石炭を計画いたしているわけであります。それの炭価は全国平均では、内国炭は一トン当り五千九百二十五円、それから外国炭は、当初の安本のほうの御意向の年間五十万トンの消費計画でございましたが、一トン当り炭価九千三百円という計算をいたされて申請を見ております。なお石炭のカロリーでございますが、前回はネツト計算におきまして、全国平均五千四百七十キロカロリー程度でございましたのが、今回は五千五十六キロカロリー程度に下つております。一キロカロリー当りの石炭費は、前回のが全国平均いたしまして八十二銭程度でございましたが、今回の申請は、内国炭につきましては一円十四銭程度、外国炭につきましては一円五十六銭程度の申請額になつております。これを平均いたしますと、キロカロリー当り一円十七銭という石炭單価になります。  それからその次の科目は、大きなものは修繕費でございますが、これは昨年の原価額に対しまして六十億円の増額と相成つております。計算の基礎といたしまして、各社別にそれぞれの設備に応じました修繕見積り額を集計計上いたしましたものでございまするが、昨年度の原価額と比べまして、いわゆるその後の間におきまして、会社が緻密な計算の結果、再建設費額といたしまして、昨年度とりました水力十万円が、現在におきましては十二、三万円程度になるという前提の下に、それぞれのそれに対する修繕費というものを考えまして計算いたされたものでございまして、総額におきまして約六十億円の増額になつておる。前回の額で足らないという点は、主として火力発電所の修繕費並びに配電部門における修繕費が前回の計算値では非常に不足であるというのが申請内容になつております。  それから少し飛ばして頂きまして、その次の原価科目の大きいものといたしましては、減価償却でございますが、これは昨年の認可を受けました減価償却法通り、定額法によりまして残存年数の間にこれを償却するというようにいたしたものでございますが、設備が昨年に比較いたしまして殖えております関係上、昨年再評価を七〇%にとめました四国中国九州北海道の四地区におきましては、ほかの地区通り九〇%ほどの再評価額を見込みまして、これに対する定額法の償却をいたしたようなわけであります。昨年度の減価償却、全国で百八億に対しまして、約十二億程度増額いたされたのであります。  次の大きな科目といたしましては、支払利息、それから配当金等の関係でございますが、支払利息につきましては、昨年度の価格に対しまして三十五億円の増額となりまして、ここに計上いたされておりますような八十八億七千万円にいう数字にいたしておるわけであります。これは主としてその後の設備の落成分の増額、こういうことに相成つております。  それから増資費用の償却並びに配当金、法定準備金及びそれに伴う税金でございますが、これは払込資本の倍額を増資いたしまして、七十二億の現在資本に対して、これを倍額の百四十四億に、それに対しまして一株一割五分の年間配当を見込む、こういうことに計算いたしておるわけでございまして、増資費用については、増資額の一割というものを三カ年償却で計上いたしております。法定準備金並びに税金は、これに伴う所要額の増額の数字を計算いたしたのでございます。  それから水力調整金九十三億七千九百万円、これは昨年度は百十五億でございました。これに対応いたしますると、約八割二分に下つたわけでございますが、水力調整金につきましては、昨年度の確定数字に対しまして、おおむね水力の賦課金のほうは二割を減少せしめるということにいたしました。その結果若干の地区で違いがございますが、これだけの減額になつたわけでございます。これの火力の地帶への補給金の出し方といたしましては、昨年度までは各火力地帶におきまする火力発電量の全量を見合いまして、一定の補給額を出したわけでございますが、今回が実質的には水力賦課金が減少いたしましただけのものをカバーし、更に昨年度より若干上廻つた支給額をいたしたいという見地から、各社協定いたしました結果、標準電力量で売ります標準電力量の販売量の中に含まれておる火力発電量というものを見合いまして、これは二十六年度の計算でございますが、それを見合いに火力補給金を出すということにいたしまして、それを逆に火力調整金のほうの收入額として計算いたされております。  以上が原価科目としての大体の説明でございまするが総額といたしまして昨年度よりも約四百五十億殖えておりまして、内訳といたしまして石炭関係が二百億殖えております。それから人件費関係では九十四、五億でございます。それから修繕費関係が六十億、減価償却が十二億、支払利息が三十二億、税金関係が十三億、配当が十八億と、こういう科目が主として大きい原価の変更になるわけでございます。以上で会社別総括原価計算表の説明を終らして頂きまして、三枚目をめくつて頂きますると、新旧料金收入計算表というのがございまするが、これは値上倍率を見まする関係上、本年度の需給計画で想定いたされました総販売量のうち標準電力量で売られまするものと、追加電力量で売られまするものとを計算いたしまして、それに対しまして現行料金を当てはめましたものが現行料金收入でございます。同じ販売量に対しまして、改訂料金を見まして計算いたしましたものがその次の欄でございまして、一番下の欄に値上倍率という数字が出ております。この値上倍率におきまして総合、標準、追加と三欄に区分いたされておりまするが、総合は全販売電力量の総平均でございまして、標準は標準電力量の値上倍率、又追加は同様の追加販売の値上倍率でございます。総合の欄及びその他の欄にも二段に欄が出ておりまするが、これは大口電力丙のうちに特別措置を会社側の申請においては計算いたしておるのでございまして、すでに御案内のように、昨年度の割当よりも本年度の割当が殖えました大口丙の需用におきましては、割当量のうちでも三%、全量の三%に相当するものも追加料金で計算したいと、これが会社の案でございまして、さようにして計算いたしましたものの見方でございまするが、三%分をそれは追加料金で計算するので、追加料金として見ると、こういう計算をとりました数字がこの総合の欄の下の欄になるのでございます。又この三%は割当量の中の計算であるので、それは標準量の変形と申しまするか、割当量までのものの一つの割当量に対する料金であるというふうに見まして、割当量内の料金変更であるというふうに解釈いたしますれば、その結果標準量の料金として計算いたします結果、標準量の料金が割高になりまして、その結果をいろいろ平均いたしました数字が上の欄となるのでございます。かようにいたしまして全国合計で見て頂きますると、総合の値上倍率は上の欄で申しますれば、一・三二八、即ち三割二分八厘の値上げになりまするし、下の欄でこれが三割七厘という値上率になるわけでございます。この点はいろいろ三%問題に絡みまして、それが値上倍率の標準にいろいろ疑義を生じましたので、かように二欄に分けて提起いたしたわけでございます。  それからめくつて頂きまして、各社総合値上倍率表というのが次の印刷に載つておりまするが、これは各社別に各供給種類別の値上倍率を求めましたものでありまして、一番上の欄に定額電燈の値上倍率が標準、追加、総合とこの三本建になつて計上されております。この欄で御覧頂きまして、全国合計が載つておりませんので申訳けないのでございまするが、定額電燈の全国合計の率を御参考までに申上げますると、定額電燈の総合の全国合計の倍率でございまするが、丁二二七と御記入を願いたいと思います。二割二分七厘、それから従量電燈は二二八三、二割八分三厘、それから大口電燈は一・三四七という数字に相成るかと思います。それから臨時電燈は一・二二七、電燈計が一・二六九でございます。業務用電力が一・三〇八、小品電力が一・三三二、それから大口の甲が一・三一五、大口の乙が一・三四六、大口の丙が一・三五八、特殊電力が一・四六九、一欄飛ばして頂きまして電力計で一・三三六、これは一・四二二に対応いたします三%の追加料金を見ました数字であります。全国合計が一・三〇七という数字に相成るのであります。  それから一番終りの印刷物でございまするが、各社個別改正料金表(早收料金)という印刷物がございますので、これが各社申請改訂料金の具体的料率でございまして、料金体系等はすべて現行のものと同一でございまするので、従つてここへ早收料金としてある料金單価の値上率として上つております点が昨年度の料率に対しまする値上げ倍率でございます。供給條件等は大概現行通りでございますと申上げましたのですが、ただ中部電力の従量電燈の最低料金のところ、最低料金が百八十円という数字がございますが、これは中部電力だけにおきましては最低料金で使いますキロワツト・アワーの、現行では一カ月十六キロワツト・アワーでございましたが、申請におきましてはこれを十一キロワツト・アワーに詰めて申請されております。第二段階標準料金という段のほうでは詰つたキロワツト・アワーだけが繰り込まれております。その点だけが供給條件としての変更になつております。あとは現行通りでございます。  それからもう一つ供給規程変更の概要でございますが、別途本日印刷としてお配りいたしてあるのでございますが、供給規程のうちで変更になつておりまする主な項目だけを申上げてみたいと思います。電気供給規程変更の概要という経営会議の印刷物でございます。いろいろ細かい点も書いてございまするが大きい点だけを申上げますると、一枚めくつて頂きましたところの「一般規程について」というところの(五)でございまするが、供給使用制限及び中止の際の料金の割引の條項の変更でございまするが、これは現在電力制限下におきまして、臨時規程として採用いたさしておりましたものを供給規程化したのでございまするが、更にそれを電力制限等も相当実施される見込みでございまするので、割引時間の規程の強化と申しまするか、時間数の関係をもう少し詰めましたのでございまして、電燈需用につきましては、今まで一日の必要点燈時間のうち送電の制限又は中止が二時間を超えた場合において初めて一日と見なしておりましたものを一時間を超えました分を一日と見なす。それから電力については八時間以上を一日と見ましたものを六時間以上を一日と見なすという点が変更になつております。その他は現行と同じ規程でございます。  それから聽聞会等で相当問題になりました点でございますが、二の料金規程のうちの(ニ)業務用電力及び大口電力料金の負荷率割引條項について負荷率の算定に当つては、その計算の基準となる電力は力率修正前の実際最大需用電力とすることにしたい。この点は従前は力率の割引のありまするものは力率を修正いたしまして、それから負荷率割引の計算を重複してやつてつたのでございまするが、今回の会社申請におきましては、力率割引と負荷率割引は別個のものであるということにいたしまして、力率修正前の数字負担する、こういう数字になつておるわけでございます。これに対し聽聞会等で相当大品等から現行の据置きを出されておるものでございます。  次にめくつて頂きまして、(四)に「契約電力三、〇〇〇キロワツト以上の大口電力契約需用家に対する割当の特例。」というのがございますが、これは先ほど申上げましたように、今回の大口丙の部門の割当増加に関係いたしまして、大体北海道、関東、東北のこの三地区はそれぞれその他の地区よりも大口丙の割当の増加に伴いまして約四億キロワツト・アワー、いわゆる第二融通契約によりまして電力の融通を受けたのでございまするが、これも料金が、出します地区の原価の関係上標準電力については六円、特殊電力について六十銭程度、平均いたしまして四円程度の電力になりますために、この殖えました分につきましては或る程度割高の料金を申受けるということになりまして、増加割当のありましたものに対しまして使用電力量の三%を超過料として計算いたしたい、こういう要求でございます。それが聽聞会等においても賛否いろいろ議論があつたわけでございます。それからなおこの項目に加えまして(ニ)には落ちておるのでございまするが、石炭スライド制に伴いました関係で、ございまして、現在まで追加料金はその地区の標準発電所の石炭の消費実績によりまして毎月スライド制を自動的にとつておるのでございますが、今回の申請におきましては北海道関西中国四国九州、この五地区におきましては、標準量におきましても火力発電所の標準量の中の五〇%から二十数%までそれぞれ入つております関係上、標準料金も四半期ごとにスライド制をとり得る途を残しておるということで申請になつておるのでございます。この点を申加えておきます。  三番目の「特別契約規程について」という事項は工事負担金規程でございまして、工事負担金につきましては従来いろいろ問題が多いのでございますが、今回の申請におきましては、現在の定額電燈部面につきましては、原則としましては工事負担金を申受けないということにいたしまして、一戸当りの負担額を五千円と相当引上げたわけでございます。契約電力五百キロワツト未満のものにつきましても或る程度料金の原価に含まれておりまする設備費に見合いますものを出しまして、それにサービス料二という指数を掛まして、その倍額までをこちらで持つということにいたしております。五百キロワツト・アワー以上のものにつきましては、工事費負担金によつて一遍出しましたが、その後の実際收入の変動によりましてこれを精算するといういわゆるアメリカ等でとつておる精算方式を採用しております。  (ニ)の農事用電力でございますが、これにつきましては、従来臨時供給として取扱つておりましたものを、潅漑排水用電力につきましは需用料金を二割引とするという割引制度をとりまして、又脱穀調整用につきましては、最低の使用期間を二カ月ということにいたしまして、その後の需用につきましては実績によつて料金徴收をするということに扱いを変えまして、農事用の電力の発揚に資したいという申請の意向を持つております。最後のページの裏、(四)開発援助資金というところに行きまして、これは今回の供給規程変更の中に或る程度将来の増加需用電力については、電源開発の資金面を一部仰ぐため、工事負担金とは別に電源開発用資金の充当計画として若干の融資を求めることがあるという旨の條項が挿入されております。これは或る程度の資金の援助をほかからも仰ぎ得る途を開きたい、こういう趣旨でこの規程を一応設定しました。以上が供給規程の中の変更状況の主なものでございます。
  78. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 中川経理長さんにお願いいたしますが、先ほど、前の資料、会社別総括原価計算表の説明書でありますが、昨年はこの説明書がついておつたそうでございますが、今年はないのでございますが、これも簡單説明書を資料としてお配り願いたいと思います。それでは本日はこの程度で散会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ではこれを以て閉会いたします。    午後四時四十六分散会