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1952-04-14 第13回国会 参議院 通商産業委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月十四日(月曜日)    午後二時二十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹中 七郎君    理事            古池 信三君    委員            小林 英三君            結城 安次君            栗山 良夫君            中川 以良君            松平 勇雄君            松本  昇君            山本 米治君            山川 良一君            境野 清雄君            西田 隆男君            堀木 鎌三君   政府委員    通商産業政務次    官       本間 俊一君    資源庁炭政局長 中島 征帆君    中小企業庁長官 小笠 公韶君    中小企業庁振興    部長      松尾 金藏君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○委員長の報告 ○連合委員会開会の件 ○臨時石炭鉱害復旧法案内閣送付) ○中小企業等協同組合法の一部を改正  する法律案内閣送付)   —————————————
  2. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今より通商産業委員会開会いたしました。  お諮りいたしますが、会議順序を変えまして連合委員会に関する件を議題にいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めまして連合委員会に関する件を申上げます。  電源開発法経済安定委員会付託に伴いまして四月五日の経済安定委員長理事打合会に通産及び建設の委員長理事出席を求められました。当委員会におきましては、丁度私が都合が惡くなりましたので、境野委員出席して頂きました。その結果、経済安定委員長から連合委員会の第一日を十五日火曜日午後一時とし、提案理由及び説明を聽取した後成るべく当日資料要求及び質疑通告をされたい。その後の連合委員会予定関係委員長理事打合会を開いて協議したが、経済安定委員長としては十七日、十八日、及び次週の三回程度連合委員会を開きたい。公聽会連合委員会打切り後に経済安定委員会にて開くが、公述人の選定に当つては、関係委員会の希望を十分に斟酌し、委員外発言を求められたい旨を発言されたのであります。只今委員長理事打合会を開きました結果、本法案に対しまする連合審査申込をすることとして、日にちは十五日、十七日を差当り決定しました。打合会決定通りに取計らいまして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めましてさよう取計らいます。  続きまして連合委員会の件でございますが、事業者団体法の一部を改正する法律案、これは十二日に経安付託になつております。貴金属管理法の一部を改正する法律案、これはもう本審査になつております。大蔵委員会であります。この二つに対する連合委員会の件につきましては、申込をすることに理事会において御決定になりました。日にちの点につきましては委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めましてさよう取計らいます。  次にやはり順序を変えまして、第二の臨時石炭鉱害復旧法案予備審査でございますが議題といたします。先ず当局より提案理由説明を求めます。
  6. 本間俊一

    政府委員本間俊一君) 只今議題となりました臨時石炭鉱害復旧法案につきまして、その提案理由を御説明いたします。  石炭鉱業による鉱害復旧対策といたしましては、戰時中強行採炭に起因する特別鉱害総額約七十九億円に上るものが、すでに特別鉱害復旧臨時措置法によりまして着々と復旧されつつあるのでありますが、その他のいわゆる一般鉱害につきましてもその復旧を促進すべく、一昨年十二月第九回臨時国会におきまして、「国庫負担において鉱害地原状回復を断行すべく」、「審議会を設けて必要な法律を立案すべき」旨が、鉱業法案可決附蔕決議として、政府に対して要請されたのであります。  爾来政府といたしましては、石炭鉱害地復旧対策審議会資源庁に設置いたしまして、国内の鉱害事情調査を二回に亘つて行い、復旧費総額二百三十億円余に上る石炭及び亜炭鉱害の全貌を把握いたしますと共に、海外諸国鉱害事情調査を行い、石炭及び亜炭鉱害復旧対策早期立案に力を注いで参りましたが、その間地元関係者の意向をも十分聽取する機会を得まして、本年一月二十四日同審議会において要綱決定を見たのでありまして、その後成文化に慎重を期しつつ、漸く今日提案運びとなつた次第であります。  次にこの法律案の内容に関する主要な点を申上げますと、その第一は、復旧費に関する賠償義務者納付金負担並びに国及び地方公共団体補助金負担に関するものであります。鉱害復旧につきましては、賠償責任を負う鉱業権者又は租鉱権者が第一次的な費用負担者と考えるべきでありまして、現行鉱業法によりますと賠償義務者は、金銭による公正適切な賠償金被害者に支拂うべきことを期待しているのでありますが、復旧工事に要する費用全額原則として負担すべきものとはなつていないのであります。この法律案におきましては、現行鉱業法による賠償義務者負担原則的に引き上げることはせず、公正適切な賠償限度と考えられる金額納付金として鉱害復旧事業団に納付せしめることとし、これを復旧費に充当してなお不足する場合に、国及び地方公共団体一般公共事業の例に倣つて補助することといたしたのであります。即ち国及び地方公共団体補助金を支出いたしますのは、累積した鉱害復旧が、国土の有効な利用及び保全並びに民生の安定を図る見地から必要であり、且つ、賠償義務者がすでに限度一ぱい負担をしているといろ認識の下に、不足分を補いつつ、鉱害復旧について指導及び援助をしようという建前なのであります。従いまして公共土木施設のごとく復旧費全額賠償義務者負担となるべきものにつきましては、支出した補助金の全部又は一部の償還が行われる半面、加害者不明の鉱害及び賠償義務者事業廃止後の鉱害等につきましては、その補助金額の増加によつて復旧目的を完遂しようとしております。  第二は、鉱害復旧事業団に関するものであります。この法律案におきましては、賠償義務者被害者及び関係地方公共団体を基盤とする機能法人たる鉱害復旧事業団設立を要請いたしまして、鉱害計画的復旧事業の基幹たらしめ、復旧基本計画の作成、賠償義務者からの納付金等徴收及び復旧費支拂並びに復旧工事施行等業務を行わしめることとなつております。この事業団は、差当り九州及び宇部の両地域一つずつ設立される予定でありますが、必要に応じては、他の地域にも設立できるような体制をとつております。この法人設立企図は、只今申上げました必要業務の遂行に当りまして、関係地元民鉱害復旧に関する熱意を反映し、適正且つ合理的な運営によつて鉱害処理に関する自主的な努力と社会的な進歩とを期待するものであります。  第三は、復旧工事施行に関するものであります。鉱害復旧事業団は、もとより復旧工事施行者たり得るのでありますが、河川法道路法等既存法令により復旧工事施行者が定まるものにつきましてはその法令によつて規定された者、その他土地改良区、農業協同組合地方公共団体等事業団以外にも復旧工事施行適格者は、多数存するわけでありますので、復旧工事は、事業団及びこれらの者が各関係主務大臣の監督の下に行うことにいたしまして、従来の特別鉱害復旧方式を踏襲いたしますと共に、復旧費全額賠償義務者負担する場合には、賠償義務者自己復旧の途も開いております。  第四は、農地及び農業用施設復旧後の措置に関するものであります。御承知通り鉱害賠償規定金銭賠償原則によるべきか、原状回復原則によるべきかは、農地復旧問題にからんで最も複雑且つ深刻な対立のあるところでありまして、この法律案におきましては、復旧工事完了後のこの矛盾の解決のために特に一節を設けまして、慎重な妥協的解決を図つているのであります。我が国の水田を主とする農地復旧は、工事完了後においてもなお効用回復が十分でない場合があり、このことは年々補償という慣行と相待つて複雑な社会的関係を形成しているのでありますが、この法律案におきましては、復旧工事完了農林大臣検査を行いまして、効用回復が不十分なものについては、事業団補償金を支拂い、なお三年以内ならば毒検査を求めることができることにいたしまして被害者の利益の保護に万全を期すると共に、他面賠償義務者は、復旧工事完了後は、その復旧工事目的なつ鉱害について賠償請求に応ずる必要がなく、一定の時期において復旧工事目的なつ鉱害は消滅したものとみなされるに至るのであります。  第五は、家屋及び墓地の復旧裁定に関するものであります。家屋等鉱害は、農地鉱害と共に、鉱害対策として看過し得ないものでありますが、個人所有家屋性質上、国の補助金支出を期待することができませんが、現行鉱業法によりましても「被害者は、賠償金額に比して著しく多額を要しないで原状回復ができるときは、」「原状回復を請求できる」のでありますから、通商産業局長復旧工事施行に関する裁定制度を設けまして事案の合理的且つ円滑な解決に資することといたしました。  以上この法律案の骨子となつておりますところを簡單に御説明いたしましたが、この法律案は、現在累積している鉱害を一掃し、事を正常な状態に引きもどすことを目的とするものでありまして、国及び地方公共団体補助が永く行われるべきものであるとは考えられませんので、期限を附して十年の臨時立法といたしたのであります。もとより石炭鉱害問題の抜本的対策は、この法律案のみでなく、鉱害予防措置進歩地表陷落に関する測量制度の発達、更には地上地下万般権利関係調整によつて、今後の発展充実を期さなければならぬものと存じますが、この法律案鉱害対策において占める地位及び企図を御諒察され、何とぞ慎重御審議の上、速かに可決せられんことを希望いたします。
  7. 西田隆男

    西田隆男君 私は臨時石炭鉱害復旧法案が本委員会において今から審査されるに際しまして、それに関しましていささか委員会としては異例に属すかもわかりませんが、各位のお許しを得まして一言……、去る九日朝日航機もく屋号で遭難されました資源庁鉱害課長西尾善作君の死に対しまして、哀悼の意を表したいと思います。  一般鉱害に対する特別法の制定につきましては、提案趣旨説明にもありました通り、一昨年の十二月第九回臨時国会において鉱業法審議の際、鉱業法が規定する賠償当事者主義金銭賠償主義建前としておりますところから、国庫負担を加味した鉱害地原状回復を目標とする特別法を制定すべきことを要請し、特に当委員会におきましては鉱業法審議中においてこれに対する政府当局根本方針決定すべきことを強調いたしました結果、政府も遂に臨時閣議を開いて、審議会を設けまして必要な法律を立案することに決定したのであります。これが今回の臨時石炭鉱害復旧法案なのであります。西尾善作君はそれまでは專ら特別鉱害復旧臨時措置法担当者として、戰時中強行採炭に起因するいわゆる特別鉱害復旧に鋭意挺身されておつたのでありますが、石炭鉱害地復旧対策審議会が設置せられまするや、その幹事役の一人として、特別鉱害のほかに新たに極めて困難なる一般鉱害復旧立案者として全身全霊をこれに捧げて参つたのであります。爾来一年有半、ともかく応法案の形となりまして、只今提案理由説明を聞いたのであります。その間鉱業権者並びに被害者間の意見調整はもとより、法案性質上、大蔵省、農林省、建設省、地方公共団体等関係各省との折衝にも一方ならぬ困難が伴つたことは想像にかたくありません。同君の労苦に対しましては、満腔の敬意を表するものであります。聞くところによりますと、去る九日同君もく星号を駆つて九州に飛ぼうとされましたのも、九州現地における同法案説明会出席しようとするためであつたということでございます。文字通り法案のために一身を捧げ盡した尊い殉職であつたわけであります。提案されました法案そのものには問題点も相当にあろうかと存じます。特に立場々々における見解には相当の懸隔もあろうかと存じます。我々は今後当委員会においてこうした問題点を十分に究明しまして、特に法文上不明確な国の予算の支出方法等につきましては、徹底的にこれを検討して、その万全を期せねばならんと思います。逆説的な言い方ではありますが、これが立案者西尾善作君の霊に捧げる唯一の慰めかと存じます。この席上を借りまして西尾君の死に対しまして一言哀悼の意を表したいと思います。
  8. 本間俊一

    政府委員本間俊一君) 只今西田委員から御鄭重な御発言があつたのでございますが、当局を代表いたしまして一言発言をいたしたいと思う次第でございます。  御発言の中にもありました通り西尾君がやつと法案決定をいたしましたので、説明会出席をいたしまして加害者及び被害者の間に是非とも御了解を得ておきたいというような主張もございましたので、去る九日飛行機で立つたわけでございますが、御承知のような不幸に遭遇いたしたのでございます。只今西田委員の御発言にもありました通り本人一身を捧げまして、渾身の努力をこの法案に傾けて参つてつたのでございますが、それを正しく十分に御認識を頂きまして、定めし本人の霊も感謝をしておることと存ずるのでございます。異例措置をとつて頂きましたことに対しまして、定めし御本人の在天の霊も満足することであろうと存じます。一言不束かではございますが、感謝の御挨拶を申上げる次第であります。
  9. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 質疑は次回に讓ります。   —————————————
  10. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 議事を第一に返しまして、中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案議題といたします。提案理由につきましては先般説明されましたが、なお法案主要点につきまして小笠長官から説明を聞くことにいたしたいと存じます。    〔委員長退席理事池信三委員長席に着く〕
  11. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 今回の中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案改正要綱につきまして簡單に御説明申上げます。  今回の協同組合法改正の一番重要な点は、先ず第一に組合を組織し得る事業者の規模を引上げたことであります。即ち、従来協同組合組合員たるものは、常時使用する従業員が百人以下、商業者につきましては二十人以下ということであつたのでありまするが、これを三百人と三十人とに引上げたことであります。この点が基本的な改正の重点になつておるのでありまするが、今申上げました組合員たる資格範囲の擴大に伴いまして、従来公正取引委員会において排除し得る限度がありたのでありまするが、それを五十人から百人に引上げたというのが裏となつておることが第一点であります。  それからの第二の重要な点は、従来事業協同組合には他の事業協同組合とか連合会、或いは他の法律に基いておる協同組合の加入というものが認められておらなかつたのでありますが、これを認めたということが組合構成上、特に組合運用上非常に便利になつたところであろうと思うのであります。これが重要な第二点であります。  第三点といたしましては、主として事務的な問題が非常に多いのでありまするが、組合関係者から特に要望が従来繰返されておりました員外理事を認めること、従来は員外理事、いわゆる組合員たる資格を持つていなければ組合役員になり得なかつたという点を改正いたしまして、役員定数の、いわゆる理事定数の三分の一を限度として員外理事を認めることにいたしたことが、組合運営上から申しますると非常に便利になつた点であろうと思うのであります。その他の点につきましては、組合設立の問題であるとか、或いは総代会決議の事項であるとか、そういうふうな事務的な点を従来の組合法施行経験からして直さなければならんというものを直したのであります。  そのほかに第四点となりまするか、組合設立そのものが漸次多きを加えて参つたのでありまするが、その中には必ずしもその運営の当を得たものばかりではないのでありまするが、そういう組合運営の適正を図る、こういうような意味において、行政官庁が不法不当の場合には必要な命令をなして、そうしてこれを善導して行くというふうな項目を加えたのであります。  大体以上申上げましたことが、今回の改正の主要な点に相成つておるわけであります。簡單でありまするが、法文は非常にたくさんございまするが、主要な実質的な改正の要点は以通の通りでございます。
  12. 古池信三

    理事(古池信三君) 只今小笠長官説明に対しまして、御質疑がございましたらどうぞ御発言願います。
  13. 松本昇

    松本昇君 この中小企業協同組合法の一部の改正ですが、私ども常々この中小企業と申しまするが、今まで範囲が非常に人員において制限を受けておるので、実際の日本中小企業と申しますものは、今までのところは零細企業みたような人数で……実際の仕事をして行くには……もつと人数をたくさん使つておる人間が大体中小企業の中核をなしておるのじやないかというふうに常々考えておつたのですが、今度はそれがずつと人員も殖えて結構なんでありまするが、それと同時に商業工業とがどうも……中小企業と申しますとどうも工業のほうが普通考えられて、人員からすべてが工業が中心となつて商業が何だかのけものになるような感じが実はするのであります。今度のこの法案を拜見いたしましても、ここにございますように、第一のところで、工業のほうは三倍になつて、百人が三百人になつておるにかかわらず、商業のほうは二十人が本当ならば六十人になるのが本当、三倍になれば六十人になるべきものが、僅かに三分の一、工業に比べて三分の一しか上つていないというのは、実際如何にも商業というものを無視したようなふうにも見えるし、又事実商業をやつておるものでも中小企業に属するものは余り狭く二十人やそこらにせられたのではどうにもならないので、本当商業でも少くとも五十や六十人くらいは中小企業の中に属するのが私は当然じやないかと思うのですが、この点は一つ上げた率がどういうところに根拠があつてこういうふうになさつたのか。我々といたしましてはどこまでも、少くとも工業と同じくらいの率に引上げるべきが当然じやないか、こういうふうに考えるのですが、長官の御意見はどうですか。
  14. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 工業の場合におきまする百人を三百人に、商業の二十人を三十人に引上げて、引上比率が少し辻褄が合わんというようなお話でございますが、実は商業の面におきましては、多くの場合常時使用しておる従業員というものが多くないのであります。百貨店統計をとりますと、常時使用する従業員五十人以上を百貨店統計の中に入れておる、こういうふうな状況でありますので、多くの商業実態から見ますると、三十人見当で大体カバーできやせんか、こういうふうな考え方で三十人に引上げたわけでございます。で三百人、三十人という物差が、切り方が、非常にはつきりした理窟を以て線を引いたというので私はございません。はつきり申上げますと、なかなかむずかしいのであります。ただそれを正当付ける説明資料というものはございまするが、これははつきり正確な物差だと私は申上げません。ただこの程度漸次引上げて行こう、こういうふうな考え方でこの線まで引上げたというのが実情でございます。私は制度建前といたしましては、特に日本現状から申上げますと、日本中小企業実態というようなことから見ますると、頭の人数を切ることが適当かどうかという問題が逆に実はあるのじやないか。一応頭のほうは野放しにしておいて、その業界実情に即して、百人でも、ほかの業界が五十人というのが殆んど大部分だという場合に、百人が非常に大きな勢力を持ち得るという場合も考えられますので、そういうふうな場合に百人でも排除するというふうな彈力的な制度に漸次面して行くというのが日本中小企業現状から見て適当ではないかというふうに夫は個人的には考えておるのでありますが、これを漸次その方向に直して行く第一歩として、従来余りに低いところを引上げた、こういう実情でございます。
  15. 松本昇

    松本昇君 折角小笠長官がそういうふうな親心を以て、実際にこの中小企業をできるだけ育成して率いでになるというお心持はよくわかつて、非常に結構だと思うのでありますが、これは今申上げました工業にしましても三百人、三百人ということになりますと、私どものほうは、これは私見ですが、私どもの考えから言つたら、商業にしましても五十人や六十人は大体工業の三百人に匹敵するのではないか、余りに今の原案は少し低きに失するような傾きが非常に私はあると思うのです。これはただ軍商業と申しましても、表に、小売にしても卸売にしても店に出ておる者だけでなく商業といえば要するに事務的な、小使まで全部入れますというと、じきこのくらいの人数になつて、大体こういうところは中小企業のほうに当然入るべきはずだと思う。これは独禁法であるとか事業者団体法とかいろいろなものに関係することも出て参ると思いますが、ともかく、だから商業の面でも一つ人数の点においてこの際、この改正をされる際に商業も同様に、工業と同じような恩惠を受けられるように一つ是非御配慮願いたいと思うのであります。
  16. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) お話の点御尤もな点もございますので、将来十分考えて参りたいと思います。ただ施行後約三年近い、二年半ばかりでありますが、その間の経験から又人数のことも問題になるのであります。工業の面に非常に多いのであります。百人のときにも、例えば石炭鉱業のような場合に、百八十人二百人をレベルにするというふうにして、便宜な措置を講じております。従いまして商業の面で三十人に引上げましてなお支障があるというような場合には、運用上適宜な措置をとるということに公取あたりとも相談をいたしまして、その特殊な例に対しては対処して参りたい、こういうふうに考えております。
  17. 松本昇

    松本昇君 そういたしますと、一応法案はこういうふうな人数になつてつても、特殊なケースについては公取あたりとも話合つて同じような中小工業者の待遇と同じように見てもらうことができるようになるのでありますか。
  18. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) そういうふうに現に取扱つておりますし、そういうふうに将来も参りたいと、こう考えております。
  19. 西田隆男

    西田隆男君 第五十九條の剰余金配当の率を一割に上げられておるようですが、現在の協同組合剰余金配当状態一つわかつておれば知らして頂きたい。
  20. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) はつきりした手許資料がございませんですが、従来は年六分で抑えておるわけであります。それでこれは事業利用量に応じて割当が二本建で出て来るわけでありますが、その両者を合わして結局どうなるかということにつきましては、今手許はつきりした資料がございませんが、一応主として事業利用した、共同施設その他を利用した分量に応じた配当をして、あと出資に応じて配当を六分と抑えておつたのでありますが、この六分が今日の金利状況から見まして余りに低いので一割まで引上げる、こういうふうな事情でございます。御質問の現状資料がございませんが、できましたらお届け申上げることにいたしたいと思います。
  21. 西田隆男

    西田隆男君 今の五十四條の第三項の問題は、一つ資料を出してもらいたい。現実に配当をなされていないということなら一割に上げても意味をなさんのであります。中小企業協同組合実績そのものを一遍伺つて見ないと、この條文意味をなすかなさんかわからんのですから資料一つ出して頂きたい。  それから次に第百六條の、今までは「適当な措置を採るべき旨を指示することができる。」とあつたのを、「必要な措置を採るべき旨を命ずることができる。」というふうに今度変えられておられるようでありますが、協同組合ができて三年にもなるのに「指示することができる。」と変えるのならわかるのだが、逆に官庁の権限を強化しなければならないというようなことになるのはおかしいと思うのだが、これは協同組合そのものの実際運営がうまく行つてないからこういうふうな條文に変更されたのですか。その点に関するお考え方一つ伺いたい。
  22. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 御指摘の通り、行政庁の権限を強化する方向に改正が相成つておるのであります。その理由は、中小企業等協同組合法が最初施行せられました当時におきましては非常に自由主義的な、民主主義的な組合として生れたのでありますが、その後施行状況に応じまして御指摘の第百六條のような指示するという規定を附加えた、その後、現在組合数が二万五、六千という数字に相成つておるのであります。この多くの組合の中には中小企業等協同組合法の精神にそぐわない運用というものをやつているものが若干あるのであります。そういうふうな場合におきまして、指示をすると、直せと言つても聞かないという場合が出て来るのであります。これは組合員の多数の利益を擁護する意味におきまして、はつきりした運用改正させる、はつきり改正させる、直させるという根拠を盛つたほうが現在の実情に合うのじやないか、こういうような趣旨で強めたのであります。で、考え方、思想の流れとしては誠に後退的な流れがあるのでありますが、日本中小企業の一部にまだそういう実情がございますので、その実情に合わして、これは多くの場合ではありませんが、極く異例的な場合が多いのでありますが、そういうふうな趣旨からこの改正を加えたのであります。そういう事情であります。簡單でありますが……。
  23. 西田隆男

    西田隆男君 今の問題は非常に重大な問題であると私は考えます。官庁のほうで命令権を持つということになると、非常に細かな問題までもタツチしたがるのが大体今までの大きな弊害なんです。この條文を変更される場合もそれが又考えられる、この條文意味する、命令しなければならないというような事項はどういうものを大体考えられるかどういう行為を協同組合がした場合に官庁として命令を出すのだということを一つ具体的に例示して御説明願いたい。
  24. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) この命令を出し得る場合は、御承知通り頭に條件がくつついております。「組合業務若しくは会計が法令若しくは定款若しくは規約に違反し」ているという場合が一つ、「組合運営が著しく不当である」、問題は著しく不当であるかどうか、こういう場合が一番議論になり得るのだと思うのであります。で、著しく不当という場合は、例えば預金事業、預金の受入事業を認めちやいかん、これは問題としてはどうか知りませんが、貸付は認めてもいいが、預金は認めちやいかん、併しこれを出資の前渡しというような形、その他の脱法的な行為によつて金を集めて、そうしてそれを運用するというような、実は、事態が一部あるのであります。こういうことは法令の不備というふうなことになりまし、又組合員の利益の確保というような点から見るとなかなかよく慎重に考えなきやならんのであります。ところが実際上、一面から見ますと、法令若しくは定款或いは規約にはつきり当てはまらん場合、そういうようなことでありますので、そういう一部何と申しますか、合法的な形において運営しておるのが、本来の協同組合の趣旨に合わないというふうな場合に、そのやり方を是正させるという意味においての命令をとるということを実は考えておるのであります。で、これは多くはございませんが、若干そういう場合が出て参つたのであります。そういうような趣旨から、少し逆コースの感じがするのでありますが、こういうふうに直したのであります。
  25. 西田隆男

    西田隆男君 大体長官説明で、そう広範囲なものではないように了承はしますけれども、この條文の今の書き方、運営が著しく不当であると認めるというのは、解釈のしようではどうでも解釈できるので、この條文が適用される場合にはよほど注意して頂かないと折角作つた協同組合自身が怯えてしまつて、何にもやれないという結果を来たすと協同組合を作つた趣旨そのものがなくなつてしまう、その点はよく御注意願いたいと思います。  それから次にもう一つお尋ねしたい点は、第百七條のこの前の法律の「五十人をこえるものが実質的に小規模の事業者でないと認めるときは、」とありますが、この意味を百人と書いてありますが、松本さんからも先ほど御発言があつたようですが、百人をこえる人間で実質的に小規模の事業者でないと認める具体的な実情はどういうものを指して、この條文は書いてあるのか、その点を一つ説明願いたい。
  26. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) この点は先ほど改正要点を申上げましたときに組合員たる資格を百人から三百人に引上げたという裏として、公取の排除権の及ぶ範囲を五十人から百人に引上げたということを申上げたのでありますが、具体的な事例といたしましては、例えば的確でありますかどうか、小林さんがおられるので……間違つておるかも知れませんが、例えば鑄物の木桁、木枠を作るような工場をとつて見ますと、これは大体四、五人で殆んど作つておるのであります。で、組合を十人、二十人で作つておるような事業形態というものは非常に少い、そういうふうな場合に五十人とか或いは百人ということになると、それ自体すでに大きな企業になるということが考えられるのであります。従いまして比較的多数の事業者が小さい場合におきましては、少し大きいところが排除の対象になりやすい。五十人でありますと排除の対象になりやすいのでありますから、中小企業全体から見ますれば、中小企業の中で相対的に多くても、より広い意味から見ますと飽くまで中小企業である、こういうことが考えられるのでありますが、この中小企業という安定点をできるだけ引上げて行く、こういう意味において五十人を百人に引上げた、こういうふうな事情でございます。で、現在の中小企業等協同組合法は一方において組合員たる資格を三百人とか、三十人で切る、三百人とか五十人以内であれば安定しておるかと言えば安定はまだしておらない。この百七條の規定で五十人、この前は百人と二十人の間で、五十人以上でありまするとこの中小企業の中の相対的な大きさによつて公取が排除命令を出すという権能を持たしておいたのであります。これは中小企業の安定と、組合の中で安定するのに不都合であるというので、先ほど申上げましたような意味において百人まで引上げた、できるだけ絶対安全の領域を捧げると、こういう趣旨から引上げたわけでございます。
  27. 西田隆男

    西田隆男君 今のお話を聞きますと、この百七條の規定はただ百人という人数だけに重点を置いてあるのではなくて、企業の実態に重点を置いてこの人数というものは一応考えられておる、こういうふうに考えて差支えございませんか。
  28. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 企業の実態に重点を置いてあるという考え方がいいのか、数字に重点を置いてある考え方がいいのかという点になりますと、数字のほうが実質的に、法令的には重要な意義を持つておる、少くとも百人以内ならばその周囲の事情がどうあろうとも公取が排除権を行使し得ないということに実はなるのであります。この百人以上三百人との間にあります間は、公取が業界実態の見方如何によつて排除権を行使し得る、まだ一部不安定な形が残るということになる。こういうことになりますと百人というのは絶対安定地帶という線でありますので、非常にそちらのほうに重点があるというふうにお考え願つていいのじやないかと思います。
  29. 古池信三

    理事(古池信三君) ほかに御発言は……。
  30. 境野清雄

    境野清雄君 人員の点、これは松本委員からさつき質問しました問題ですが、これはどうも本質的に中小企業協同組合というものを人数で制限しているということは私はどうしてもおかしいと思うので言いますが、一体、前から見ますと百人から三百人となり、二十人が三十人になつて、漸進的になつておりますが、企業庁自体としてはこういうものは根本的な考えとして無制限に人員というものはとつてしまうということが本質的なお考えなのか、或いは最高限度のところまできめて三百人から五百人まで行けばそれでとめたいというお気持でいるのか、その点を承わりたいと思います。
  31. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) お尋ねの点につきまして、中小企業庁としてはつきりした意見をまだきめておりません。特に独占禁止法の規定の但書との関係もございます、二十四條ですか、それとの関係もございますので、そのほうとの関連を考えますと、何かここら辺に線を引こう、二十四條の但書による小規模事業者という規定ができない、それらの点から独占禁止法の成行と見合つて改めて考え直さなければならんことだというふうに考えておるのであります。ただ先ほど個人的な意見として申上げたのは、この独占禁止法の規定と併せて協同組合法のほうのこの規定というものは私は青天井のほうが適当ではないかと、こう実は考えておるのでございます。
  32. 境野清雄

    境野清雄君 なおこの商業部面を三十人というふうに限定したということは商業実態を把握せられて、三十人なら従来よりこの点まで入るんじやないかということをお考えになつたのか。言い換えまするなら工業のほうの面の百人が三百人ということになると、或る程度の業種の大部分というものは三百人までに限定されて、私は相当入り得るんじやないか、これは中小企業協同組合というもので、特に繊緒関係におきましては染色というような面に三百では幾らかは難色があるのではないかと思いますが、これは全国的に見て極く少数なもので、大体この三百人というもので、或る部分の包含はでき得る。併しながらこの商業面の二十人を三十人というもので、十人ぐらいのところではこれは私はそう大した工業面ほど効果はないと思うのでありますけれども、二十人から三十人に改めたために、従来からの業種のうちこういうものも入り得るという見通しがあるのかないのか、ただ三十人までは一応許される範囲ということで、三十人というふうに漠然と押えられたのか、その点を承わりたいと思います。
  33. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 只今お話がありました工業の面で百人から三百人へ引上げた、その三百人を引上げることによつてその実数がどれくらいかというと、現在の統計資料から見ますと工場として約三千ぐらいです。日本中小企業実態から申しますと、従業員数百人以下の企業者数というものは九八・三八%、これを三百人に引上げることによつて九九・四八%になる。実数で申しますと、約三千ばかり工場がこの百一から三百までの間に入つておる。こういうふうな形に相成つておりまして、数の上におきましては大した擴張にはならん、現実の問題として……。ただ組合運用上そういう企業が一つでも入つておりますと旗振りがはつきりして来る、社会的信用も殖えて来るというようなことで運用上の効果が相当期待できるのじやないかと、こう思うのであります。商業の面の問題につきましては、ここではつきり資料を持つておりません。三十人まで上げましたのは、先ほど申上げましたように一応の線でございますが、百貨店の統計を今とつておりますが、大体五十人以上全部百貨店に入つて来るのでありますから、現在の状況からいたしますと、現在、従来の二十人では入りにくいという問題がありますのは、旅館業その他のサービス業と、月賦販売業というものが実は案外人員を使うのであります。これらが大体三十人になると入るというような考え方から三十人まで引上げたのであります。今も申上げましたように、五十人以上が大体百貨店的な考え方で統計扱われておる現状から見ますると、三十人まで行けば中小商業者として多くのものをカバーできるというような考え方で三十人に線を引いた、こういうような事情でございます。
  34. 境野清雄

    境野清雄君 今のお話ですが、五十人以上百貨店形態に見るというようなところに相当疑点があると思いますが、これは百貨店式なものに五十人以上見るというのはどういうふうな見解で五十人以上百貨店というふうに見ておられるか。
  35. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 終戰後、指定統計として百貨店の統計を見ておるのであります。百貨店の販売統計調査というものを施行いたしておるのであります。これが五十人以上の販売店というものについてとつておりますので、現在統計上五十人以上というものが一応百貨店の領域と申しますか、に入るものだと一応考えていいのじやないかと考えまして申上げたわけであります。
  36. 境野清雄

    境野清雄君 そうすると二十人を三十人に改めるということは、見方によりますと、これは二十人を五十人に改めるというように、五十人になるともうそれがリミツトと解釈してよろしいわけですか。
  37. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) その点はリミツトと私は申上げにくいと思う。現在切り方のときに指定統計でとつておりますのが、五十人以上百貨店販売統計の調査の統計の調査の線に入つておる、そういうのを一つの参考にして三十人に上げたと、こういうことであります。従いまして百貨店の販売統計としてとつておるのが五十人以上だからそれは大企業なんだ、そういう結論にはならんと思うのでありますが、ただそういう一つの例もありますので、一応三十人ということにいたしておるのであります。
  38. 境野清雄

    境野清雄君 今の問題は又別の機会に中小企業の小委員会がありますから、そのとき專門の松本委員からでも内容をよく承わつてからこの問題に触れることとしたいと思うのでありますけれども、従来から中小企業等協同組合法の問題に関しては今の人員の問題と、それから預金事業を兼営として認めるか、認めないかということがいつも中小企業等協同組合法では問題になつておる。併したまたま今度の改正法案を見ますと、今申上あげた預金事業を兼営として認めるというような点が全然ないのでありますけれども、これについては中小企業庁自体はどんなお考えでおりますか承わりたいと思います。
  39. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 預金の受入の問題につきましては、実は政府部内の話が十分にまとまりませんので原案の中に加えておらんのであります。ただ私の個人的な経験から申上げまして、中小企業の組織下におきまする協同組合の位置、その仕事の意義というようなことから考えますと、特にその仕事を健全化さして行くというような点から考えますと、いわゆる金融事業における預金の受入というふうな派手な意味でなしに、地味な意味での預金の受入があるほうが事業性質上健全性を増すのではないかというふうに私は考えておるものであります。なおこれは余談のようでありますが、お話を後日にお讓りのようでありますが、今資料がありますので簡單に申上げますが、さつきの商業の問題でありますが、商業は三十人までで全商業者の中の九九・七%というものがカバーできる、いわゆる企業者数でミミ、こういうことに相成つておるわけであります。
  40. 境野清雄

    境野清雄君 今の預金事業の問題ですけれども、これは私から申上げるまでもなく、元信用金庫と信用協同組合を分けるときに、いわゆる従来から金融機関として市街地信用組合のようなものが発展して来た、それはどうしても金融機関だから公共的性格を持つておるじやないか、そうして信用協同組合のほうはそうでなく、協同組合形態で行つたので自立的な性格を持つているから、これが相容れないから、いわゆる信用金庫と信用協同組合と分けようというような形態に相成つておるので、そこで私どもとしてはこの協同組合というものが預金事業を兼営した場合にでも、これが何か政府部内でまとまらないということは、むしろ私どもとすると員外預金を集めるんだということになれば相当私は考慮の余地があるのではないかと思うのですけれども、従来から協同組合の育成強化というような問題は、中小企業としても相当熱を入れておられる、この強化方法の一つの方策として預金事業を兼営しておくほうが私どもとしては協同組合は強化もできるのではないか。こんなふうに思うので、是非私はこのものが政府のほうで修正できないならば、我々のほうから修正しても預金事業は兼営として入れてもらうほうが協同組合の育成強化のためには非常に役に立つのではないかというような強い考えを持つておるのですが、抵触しない範囲で、一つ中小企業庁の長官としてそういうような問題に関してどんなお考えであるか、一つ承わりたいと思います。
  41. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 私は先ほど申上げましたように、金融事業の一元化というふうな観念を協同組合の預金の受入問題についてはとらなくてもいいんじやないか。従いまして協同組合の預金の受入れを行うことによつて預金者の利益を非常に損するというようなことは恐らく起らんだろう、又過去の商工協同組合工業組合、或いは昭和七年から起つた商業組合のほうにおきましても預金の受入を認めておつたのであります、そういうふうな過去の歴史等から考えましても、余り心配しなくてもいいんじやないか、こういう考え方を実はいたしておるのであります。却つて御指摘のような員外預金の問題、或いは預金を受けた場合には一定の條件を附するというようなことがありましても預金の受入を認めることが貸付事業にいたしましても、或いは又共同販売事業、或いは又共同購入事業というようなものの援護の措置として役立つのではないか。こういうふうに考えておるのであります。そういうふうな事情でありまするが、いろいろな見解の見方がありますので、本法案の取りまとめに際しましては、そこまで話がまとまらなかつたというようなことから、その問題を後日の研究課題に残しておるというのが率直な実情であります。
  42. 境野清雄

    境野清雄君 もう一つ承わりたいのは、今私の申しました預金事業を兼営とするという場合には一つの免税規定ができるのではないか、言い換えまするならば国民貯蓄組合とか、印紙税法に関連して来る問題がありますが、こういうものに対して大蔵省側に難点があつて、その預金事業の兼営というものが入れられなかつたというようなことがあつたかどうかをお伺いいたしたいのですが……。
  43. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) そういうふうな特別な事案に関連してという意味ではなかつたのであります。
  44. 中川以良

    ○中川以良君 私が今御質問を申上げようとすることは、中小企業の小委員会においてお伺いしたいと考えておつたのでありますが、たまたま今日は長官も見えておりますし、又関連した資料も今頂戴をいたしましたので、本日は極めて簡單にお伺いをしたいと思うのでありますが、実は中小企業の金融の問題でありまするが、先般五十億出たのでありまするが、これが殆んど預託資金で短期間である。聞くところによりますと相互銀行のごとき二十七億も出ておるけれども、実際必要とする中小企業者に貸す手続上の問題、その他期間の点等によつて実行ができませんので大部分が市中銀行にこれを預金をしてその利鞘を稼いでおるというような現状にあるように承わつておるのであります。そこで私はどうしても中小企業に対しては長期の資金をもう少し面倒見てやらなければならんと思う。それにつきまして第一点は只今見返資金の特別会計がなくなりまして、見返資金の回收は、ことごとく只今日本開発銀行法の一部が改正されましてそれに皆回收をしておる。更に復金の従来中小企業に融資しておつた分も同様に開発銀行に回收されておる。こういう見返資金なり復金の中小企業に出しておつたところの金というものがこれ又この回收後においては中小企業に更に貸出すというようなことがこれは原則的に是非きめられなければならないと思うのでありますが、そういう点について中小企業庁として如何にお考えか、又如何なる手をお打ちになつていうつしやるか。これに関連した資料はここに出ておりますので、この資料につきましても同時に御説明を願いたいと思います。  それから第二点は長期資金を確保するためには今の資金運用部資金の中からやはり中小企業に貸付をしてもらわなければならんと思いますので、この資金運用部資金法の一部を改正をいたしまして、少くとも商工中金等にはこれから貸付ができるということを規定すべきではないかと思うのでありますが、これは法律改正を伴う問題でありますが、そういう点についてどういうふうに中小企業庁としてはお考えになつておられるかというような点を一つ長官の御言明を願いたいのであります。
  45. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 御指摘の通りに、中小企業のこの金融問題の中で、一番大事なのは長期資金をできるだけ多く導入して来るということだと思うのであります。ところが現状を見ますると、中小企業への資金源が、まあ少い中でも特に長期の資金源が少い、こういうのはこれは実際だと私は思うのであります。従いまして、中小企業へ長期の安定した資金を導入する一つの方法として考えられますのが、御指摘のような見返資金の貸付債権と、復興金融金庫の貸付、中小企業への貸付債権というものが一応考えられるわけであります。只今お話通りに、この両資金から中小企業へ貸付けられた債権は、開発銀行法の改正案の中において開発銀行へ引継がれると、こういうことに相成つておるのでありますが、私どもの希望といたしましては、引継ぐ場所が開発銀行でも結構でありまするが、それを中小企業へ再循環させるということをお願いいたしたいと思うのであります。そういうような趣旨で、開発銀行法の改正に関連いたしまして、政府部内におきましては、大蔵当局等に強い要請を実は出しておるのでございます。開発銀行といたしましては、私どもの聞いた範囲では、中小企業への直接の貸付というようなことは、まだやるような気配を見せておらんのであります。又実際問題からして相当煩雑なものがあると思うのでありまするが、これを特定の金融機関に委託して扱わせるとか、いろいろな途が考えられると思いますので、私どもといたしましては、この開発銀行に引継がせまする見返資金から貸した債権というものを中小企業へ再循環させるということを是非実現いたしたいものと考えておるのであります。できれば復興金融金庫の面につきましてもそう考えておるのであります。これはお手許にございまする資料の中にありまするように、見返資金の分が、いわゆるエード資金だけで三十三億というのが一昨年の一月に施行してから本年の二月二十九日までの見返資金からの分だけであります。更に二十七年度といたしましては、見返資金の分として二十億が予定されておりますが、これが全部消化されますと、ここに五十億余という金が長期資金として財源になるのであります。それから復興金融金庫の中小企業への貸付は、最後にございますように、相当大きな金額になつておるわけでありますが、これもできれば私どもといたしましては、この中には若干取立のために更に金融をつけるというような必要が起る場合も相当あると思いまするが、これを引継いで行くということにいたしたいと考えておるのであります。私は少くともこの見返資金だけは、再循環させるという方向に進みたいものだと考えておるわけであります。  お尋ねの第三点の長期資金源を得る一つの方法として資金運用部資金から、例えば商工中金が金融債の引受けのほかに直接に借入をするという途が開かれることを実は希望いたしておるのであります。ただ従来資金運用部資金の規定が、この一般会計から直接に貸出のできるものは特定されておりまして、その特定されたものが全部パブリツク・コーポレーシヨンと申しますか、半政府的な機関にのみ貸付けるということに限定されておるのであります。従いまして商工中金であるとかというふうなものを考えて見ますると、そこに貸付をする機関の性格論が若干出て来るのじやないかということを実は心配いたしておるのでありまするが、この点を何とか解決して、そうして直接の貸付の途を開くという方向に進みたいと思つておる次第でございます。  以上簡單でありますが……。
  46. 中川以良

    ○中川以良君 初めに伺つた例の相互銀行等に出ております今回の預託預金につきましては、実際中小企業に直接流れていないということが今言われているのでありますが、そういう点は御調査になつておりましようか、どうでしようか。
  47. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 実際どういうふうになつておりますか詳しいことは存じませんが、従来そういうことを耳にはいたしておりまするが、実態を詳しく存じません。なおよく調べてから御報告申上げたい、こういうことにいたしたいと思います。
  48. 中川以良

    ○中川以良君 それから只今も長期資金確保の面、差当りの問題としては、今御説明のありましたような三点が考慮されるのでありますが、将来の中小企業の資金源を確保するという意味におきましては、農業関係で農林漁業特別会計がございますように、ああいういうような中小企業特別会計というようなことは考えられるような段階に是非つて行かなければならと私は思うのでありますが、こういう点については中小企業庁のほうでは何か御構想をお持ちになつているのでありましようか、或いはお考えになつたことがあるか、その点を一つ承わりたい。
  49. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 農林漁業資金融通特別会計の場合と、中小企業の金融の場合とは若干違うと思うのでありますが、小くとも中小商工業現状から見ますると、これの経営の合理化、或いは技術の改善という見地から考えますと、ここに長期の資金を是非必要とする、その点から見ますると、農村におきまする土地改良と同じような関係に立つと思うので、従いましていわゆる設備資金を中心とした長期資金導入の組織として特別会計或いは別の金融機関を作るということが考えられると思うのです。ただ短期資金につきましては、むずかしいと思うのであります。長期につきましては、同じような考え方が若干の無理はあるにいたしましても、政策的に遂行できるのはやればやれる余地があるのじやないかと私は思うのであります。そこでこれを具体化する方法として曽つて中小企業金融金庫というようなことを実は考えたことがあるのでございますが、そのときの構想は先ほどお話がございました見返資金、復金の回收金、それから政府の出資というふうなものを材料にして資本金とするというふうな考え方でそれを進めたのでありますが、そういう線で若しも長期資金の財源を求めて行くということになりますと、その構想がもう一遍考えられていいのじやないか、と実は私は思つておる次第でございます。
  50. 中川以良

    ○中川以良君 いずれ小委員会が近く関会される存じますので、そのときになお詳細な御質問等を申上げたいと思いますが、そういつたような一つ資料をこの小委員会のときには是非お出しを頂いて、なお詳細なる説明をして頂きたいと思います。
  51. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 中川君の質問に関連してお聞きしたいのですが、御承知通り大蔵大臣は最近の金融情勢に鑑みて約百五十億の預全部資金を特に使うことを計画しておる、そのうちの百億は金融債の前貸のような運用において使う、あと五十億は中小企業に特別の融資を考える、こういうようなことを言つておるんですが、その五十億はどういうふうに使われることになつておるか、この点を御説明願えたら……。
  52. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 五十億の政府余裕金の預託のうち信用金庫に十二億、それから相互銀行に二十七億、それから農林中金に五億、商工中金に六億でしたか、そういうことに相成つておりまして、期間は半分が三月、あとの半分は四カ月、こういうふうなことに相成つております。これは実施に移したばかりでございますが、そうなつております。
  53. 松本昇

    松本昇君 さつき長官から、又くどいようですけれども人数につきまして今大体の感じからのお話があつたんですが、私どもはまあこれはあとでいろいろな資料で……今の大体九九・七%中小全体を含めて……殊に商業のほうはそういうような数字の御説明であつたんですけれども、実際問題といたしまして、この際中小企業というものを本当中小企業庁も育成して相当の線までそれをカバーして行く、中小企業というものの全体が都合よく発展して行くということを企図せられるならば、私五十人や六十人の使用人は大企業とはどう考えても考えられないと思うのであります、対象として五十人、六十人は。それで実際問題とすると、百貨店にしましても大きな百貨店には何千人という人数ですが、まあ五十人でも百貨店に形成されないこともないかも知れませんけれども、ちよつとした普通の、大企業と言わないで実際のスモール、極く小規模でない中企業を商業のほうでとりましても五十人や六十人を使つておる所は相当にあるのであつて、そういう業者が本当にやはり中小企業としての組合結成その他の特典を獲得するという意味からいつたらせめてこの際は無理に、尨大な数字でないので、やはり工業のできた数字で行くんですからそれは無理な数字を私どもは希望するわけではないんですが、やはりせめて実際商業もお認めになつておいでなら是非これだけは御改正して頂いて、せめてその六十人、つまり同じ比率で三百人ならばそれで六一体工業はカバーできると思いますが、商業は余りに三十人ではカバーの仕方が小さいように私は、これは感じなんですけれども、申上げてもう一遍この点について御再考を煩わしたいという希望であります。その点……。
  54. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 非常にむずかしい問題でありまして、先ほどから最初から兜をぬいであります、物差は正確でないということは実は申上げたんでありますが、ただ数字をいじくつておりますと三十人以上の企業というものが非常に商業は少いのです。そうして先ほども申上げましたような殆んど大部分というものが三十人でまあカバーできるものだと、まあそういたしたのであります。御承知通り、この数字の取り方の問題がございますと思いますが、日本商業者の大部分というものは御承知通りに小売商、而も家内労働でやつておるものが相当多いという関係もございまして、数字の基礎は非常に多く、三十人九九・七%何がしという数字になつて参るわけであります、更に松本委員お話のような、もう少し上げたらどうかという問題につきましては、私は立論が工業と同様だからということになるとちよつと納得できないんじやないかというふうに思うのであります、工業と同じ比率という意味では納得できないのでありまするが、まあ率直に申上げますと、このあたりで大体カバーできるんじやないかというふうに思つております。なおよく考えて見まするが、只今のところはそういうように考えております。
  55. 境野清雄

    境野清雄君 今の三十人で九九・七%であるということは、逆に見ますと、あれですか、三十人と五十人との間の中小企業というものは〇・三%だという解釈であなたのほうとしてはこの九九・七%というものは飽くまでも五十人までのものを基準にしてやつた統計だというふうに解釈してよろしうございますか。
  56. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) その点は商業者全体の総数から拾つて見るとそういうことになる、こういうことであります。従いまして三十一人以上の分というものが僅かに一%に達しない、こういうふうな現状になつております。
  57. 境野清雄

    境野清雄君 それからこれは小笠長官に質問してもどうかと思うので、私たちのほうとしてはいずれ銀行局長にお出掛け願つて聞かなくちやならないのですが、先ほどから盛んに堀木委員から聞いておりました五十億の中小企業への預託金の配分ですが、これはもう私どもはどうしても納得でき得ないので、相互銀行二十億、相互銀行自体としても私は果して従来のように無盡の当時のような中小企業対象の金融かどうかということには非常な疑点があるんですが、それは先ずおきましても、今の配分のような形で行きましても信用協同組合というものは落ちて行く、信用協同組合が落ちて行くということを政府に強く要望すれば、それは商工中金から廻したらよいだろう、こういうことになると、さて商工中金は六億だという形になつておりますと、私はどうしてもこの配分というものは納得でき得ないという形ですが、一応そういう五十億の配分をするということに関して従来から專門的にやつておる中小企業庁というものと大蔵省と連絡の上でこれを配分したものやら、或いは大蔵省で配分した後に中小企業庁へ了解を得て中小企業庁がその辺ならよいだろうというこうに御答弁になつたのかどうか、その辺のいきさつをお伺いいたしたいと思います。
  58. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 非常に痛み入つた御質問でありますが、実は大蔵省で原案を作つて頂きまして、それをこつちに見せて頂いて、そこで話合いの上きめた、こういうのが真相でございます。
  59. 境野清雄

    境野清雄君 話合いの上できめたということになりますと、中小企業庁自体も今の相互銀行に二十七億、信用金庫に十二億というようなものが現在の中小企業実態から見て的確なものだというようなふうにお考えになつたのでしようか。
  60. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 非常に急いでおりましたので、意見決定を早く急ぐというような事情で相互銀行自体につきましては若干問題が、相互銀行の中には大きいのもございますので、問題はあると思うのでありますが、取りあえずとして私どもも了承を與えた、こういう事情に相成つております。
  61. 境野清雄

    境野清雄君 若しそうだといたしますなら、私どもは甚だ遺憾だと思うのでありますけれども、例えば相互銀行というようなものに二十七億からの金を廻しましたのなら、それが実際に中小企業へ行くように二十七億の貸出に対しては応頭を百万円で切るとか、或いは二百万円までで切るとかいうような、中小企業へ実際廻る金額限度にして、いわゆる紐付融資のような形にしたものなら私は或る程度相互銀行へ相当過剰に行きましてもそれが現実に中小企業へ流れるということだけは事実、それはまだほかに議論はありますが、応そういう考えは持てる。併し、今のように野放しで二十七億というものを相互銀行へ廻しまするなら、これは必ず五百万程度か、或いは六百万円程度が大口に流れる危険性が相当あるのじやないか、そうなれば現実に中小企業へ廻らないというようなものが相当私はできて来るだろう今日の相互銀行は、御承知通り去年の六月の十五日にあの法令が出て以来の相互銀行の貸出ぶりというものは従来の無盡のときのような中小企業專門じやないということは現実にいろいろの事実が示しているのでありまして、特に中には相当な億というような資本金を持つておりまして、もう中小企業相手でない、むしろ銀行の、銀行も上の部に十一大銀行に属するような銀行経営をやつているものもあり、むしろ相互銀行という名目がついたために自分たちは一格上つて銀行業になつたのだというような観点から、得て大資本家のほうに金を流しているのが現実なのでありまして、そういうものに対して一応中小企業に流すように何か枠をつけるよをつけるように中小企業庁としてお考えになつたのかどうか、或いはそういうことをやつたら大蔵省が駄目だというのかどうか。その点のいきさつをお伺いしたいと思います。
  62. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 御承知通り中小企業への金融は個人の貸付の場合は多くの場合におきましては五百万円というのが一応の基準にしてあるわけであります。特に昨年におきまする銀行の貸付総件数で貸付総額を割つて見ますと、四十七万五、六千円というものが一件当りの大体の金額に相成つておるようであります。そういうような事情でありますので、組合の場合は別でありますが、個々の企業への貸付の場合は比較的少額の金融が行くというのが相互銀行或いは信用金庫におきましても考えられますので、特に頭を五百万円、或いは三百万円というふうな切り方というか、條件を付けずに、一応従来の情勢から見て中小企業へ流れるであろう、少額で流れて行くだろう、こういうふうな想定の下にきめたのであります。もとより相互銀行の中には御指摘のような大きいものがあるのでありますが、要は制度が本来中小企業向けの資金というように銘打つておりますので、その誠意を期待して進んで行きたい、こういうふうに考えたわけであります。
  63. 古池信三

    理事(古池信三君) 本日は大体この程度で質疑を打切つたら如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 古池信三

    理事(古池信三君) それではそういうことにいたします。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  65. 古池信三

    理事(古池信三君) 速記を始めて。本日はこれを以て散会いたします。    午後三時五十六分散会