○
政府委員(
本間俊一君) 提案の理由を申上げます。
日本製鉄株式会社法廃止法の一部を
改正する
法律案についてその提案理由を御
説明いたします。
日本製鉄株式会社法廃止法は、
日本製鉄株式会社が
企業再建整備法の規定による決定整備計画に従い昭和二十五年三月三十一日解散して清算事務に入
つたのに伴い、
日本製鉄株式会社法を廃止すると共に、これに伴う経過措置を規定したもので、昭和二十五年八月五日
法律第二百四十号を以て公布施行されたものであります。旧
日本製鉄株式会社法の規定によれば、いわゆる一般
担保制度の適用により社債の発行に当
つて工場抵当法による工場財団を組成する必要がなか
つたため、同社の資産については全く工場財団の組成に必要な措置が講ぜられていなか
つたことに鑑み、
日本製鉄株式会社法廃止法を制定するについては附則第五項乃至第七項を設けて
日本製鉄株式会社の第二会社である八幡製鉄株式会社及び富士製鉄株式会社の二社に対して財団組成のため猶予期間を認め、二年間を
限つてなお一般
担保による社債の発行を許容すると共に、見返
資金等の
担保についても特例を認めたものであります。併しながら何分にも官営八幡製鉄所以来の長い歴史と厖大なる資産のため、財団組成手続は予想以上に煩鎖であり、多くの日時を要したのみならず、かたがた同法制定当時から客観情勢も全く一転して我が国鉄鋼業の合理化は内外から強く要請されることとな
つて参りましたため、これら二社の設備
資金需要額も同法制定当時の予想に比し著しく増大し、組成を必要とされる財団の
範囲もおのずから大となり、
従つて同法に規定された二カ年間の期限である本年八月四日までには所要の財団組成を完了することは極めて困難とな
つて参
つたのであります。若しこの期限内に財団組成が完了できない場合においては社債の発行も困難となり、
従つて今後の
資金の調達に多大の支障を来し、鉄鋼業の合理化にも極めて大きな影響をもたらすことが予想せられるのであります。
従いまして、
日本製鉄株式会社法廢止法の附則第五項乃至第七項に規定された期限を、いま一年延長することが適当であると認められます。これがこの
法律案を提出する理由であります。
何とぞ愼重御審議の上速かに御協賛をお願いする次第でございます。
次に
商品取引所法の一部を
改正する
法律案につきまして提案の理由を申上げます。
昭和二十五年八月二十日を以て、
商品取引所法が施行されましてから約一年数カ月を経過し、その間に設立されました商品取引所は十一カ所を数えますが、それらは、商品の価格の形成及び売買取引の公正化を通じて、国民経済の適切な運営に寄與して参
つたのであります。申すまでもなく、商品取引法は商品取引所の組織、商品市場における売買取引の管理等について定めているのでありますが、同法施行後、商品取引所における売買取引の安全、商品取引所の自治の伸長等について、現行制度に適正な改善を加える必要が生じて来たのであります。従いまして右の趣旨から、それぞれ必要な事項の
改正について立法化することといたしまして、本
法律案を提出する次第であります。
本
法律案は、右の趣旨に鑑みまして、大要左のような措置を内容といたしております。一、売買取引の安全を強化するため、(1)商品取引所は、会員又は商品仲買人の定員を設けることができるようにし、(2)商品仲買人の使用人で取引所の登録を受けたものをして委託の勧誘に従事させることができるようにし、(3)特別
担保金を設けることができるようにすること。二、商品取引所の自治の伸長を図るため、(1)商品仲買人の登録に関する商品取引所の事前の承認を認め、(2)商品仲買人の届出書は、商品取引所を経由するものとすること。
三、商品取引所、会員又は商品仲買人に対する監督につき遺憾なきを期するため、
関係条文を整備すること。四、その他法文の字句修正といたしまして、(1)会員の新加入又は商品市場において売買取引する商品の追加に係る純資産額
調査は、会員と
なつた日以前三十日以内の日の現在におけるものとすること。(2)商品仲買人の登録申請書の記載事項に委託を受ける商品を追加すること。(3)商品仲買人の所属する商品取引所の名称が変更したときは、商品仲買人の登録変更申請手続を省略するものとすること。(4)商品仲買人の受託業務の庭止届はすべての商品市場におけるものとすること。(5)商品取引所審議会の会長及び
委員の
手当等については別に
法律に定めるものによるとすること。
本法案の趣旨及び内容はおおむね以上の
通りでありますので、何とぞ愼重に御審議の上、成るべく速かに御協賛下さるようお願いいたします。