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1952-03-05 第13回国会 参議院 通商産業委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月五日(水曜日)    午後三時四分開会   —————————————   委員の異動 三月五日委員山田佐一君辞任につき、 その補欠として山本米治君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹中 七郎君    理事            古池 信三君            中川 以良君            結城 安次君            栗山 良夫君    委員            松本  昇君            山本 米治君            高瀬荘太郎君            島   清君            西田 隆男君   政府委員    大蔵省主税局税    制課長     泉 美之松君    通商産業政務次    官       本間 俊一君    通商産業省通商    企業局長    石原 武夫君    資源庁長官   始関 伊平君    中小企業庁長官 小笠 公韶君   事務局側    常任委員会專門    員       山本友太郎君    常任委員会專門    員       林  誠一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○電力割当配分計画に関する件 ○企業合理化促進法案衆議院提出)  (第十二回国会継続)   —————————————
  2. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今から通産委員会を開きます。
  3. 中川以良

    中川以良君 電力割当配分計画は、仄聞いたしますところによると、今公益事業委員会を中心に種々論議をされておるようであります。殊に一昨日の日本経済、又本日の朝日新聞等にもこれに対するいろいろ論議が出ておりまするが、私が考えまするに、今の計画を聞きますと、非常にどうもこれ又大企業偏重になり、供給力の見方その他等におきまして過大なる算定等をされておりまする場合には、このしわ寄せは全部やはり中小企業に参るように思うのであります。こういう点につきまして、これは只今審議しておりまする本法案にも関係をして来ることでございます。併し私どもはこの決定を見るまでこの法案を通すとか通さないというようなことは別問題といたしまして、本来ならば電力特別委員会がかくのごときものは早く取上げていろいろ審議をすべきであろうと思いますが、不幸にして只今電力特別委員会がまだできておりませんので、本通産委員会において速かにこれを取上げて研究をすべきだろうと思いますので、只今までの交渉の経緯等につきまして公益事業委員会並び安本当局資料を持つて来て本委員会において詳細なる説明をしてもらいたいのであります。これによつて委員会いろいろ要求意見等を十分に公益事業委員会政府側が取入れまして、最終的の決定をなされるように私は希望をするものであります。然るが故に一つ来るべき土曜日の午前中にでもこれの説明を求めて頂きたいと私は存ずるのであります。
  4. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今中川君の御提案に対しまして、さよう取計らいますることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) さよう委員長のほうにおきまして取計らいいたします。   —————————————
  6. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 次に企業合理化促進法案を議題といたします。通告によりまして高瀬君に発言をお許しいたします。
  7. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 企業合理化促進法案につきまして二、三質問をしたいと思います。この法案趣旨につきましては、現在の日本経済の実情から申しまして非常に結構な、是非必要な法案だと考えておりますが、その内容につきまして二、三質問をして見たいと思います。  この法案の第三條に規定されております技術向上促進の問題につきまして試験研究費補助が出されるということになつておりますが、従来通商産業省所管試験研究費補助というものがあるわけで、それとどういう点が違つて来るのか、又その予算の点につきまして工業技術庁所管補助金とどういう関係になりますか、その点を先ず承わりたいと思います。
  8. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) お答え申上げます。只今質問のございました三條の補助金投術研究に関する補助金は、従来通産省におきまして予算を取りまして補助金を交付しておりましたものと同じでございます。従つて、この法案によりまして初めてこういう制度ができるということではございませんで、従来ありました補助金交付制度法的根拠を置いたということになつております。只今工業技術庁補助金という点についてお尋ねございましたが、この関係通産省といたしまして、主として工業技術庁予算が附いておりますので、それと全く同じものを対象にいたしましてかような法的な根拠が作られたわけであります。
  9. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 只今お答えでありますと、今までやつてつたところと全く実質的に変りがないのではないかというように思いますので、折角こういう特別の法案作つておやりになるという趣旨が徹底しないように思うのであります。無論技術向上を図るという点から言えば同じようなことでありますから、一緒にしても差支えないものではありますが、何かこういう法案を出して特に技術向上促進を図ろうということでありましたならば、ただ今までのものをそのままにして、そしてこの法案だけに入れるということじや非常に物足りないように思うわけであります。この法案によりましてそれがまあ法律的に根拠付けられるということでありましたけれども、今までのままでもできることでありますから、この法案がなければできないということでないんで、その点も甚だ物足りないような気がいたします。併しまあできれば非常に結構なんで、その点はいいといたしまして、予算の点が今までよりも、この法案を出すのを契機として非常に殖やすことができるということならば、これも意義があるかと思いますが、そういうようなお考えか見込かありますのですか、それをお伺いします。
  10. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 最後にお尋ねございました予算の点につきましては、二十六年度は御承知のように鉱工業試験、いわゆる中間試験と申しております中間試験的なものと、それから技術研究試験、合せて補助金として計上になつておりますが、四億五十万、二十七年度につきましては只今国会に出ております予算は四億五千万、同額でございます。先ほどお話がございましたようにかような法案をなくても実施できるという点は御指摘通りであります。我々といたしましては、かような法案ができますれば、それに応じて財政支出の面におきましてもできるだけ増額をいたしたいという希望で、予算編成当時大蔵省にも折衝いたしたわけでございまするが、いろろな財政的な理由からいたしまして、二十七年度としては二十六年度同額、四億五千万ということに一応決定しておるような次第でございます。
  11. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 予算のほうもこの法案ができる前、工業技術庁関係で出した補助金予算と同じ程度しか二十七年度においても計上できないというお答えでありますが、日本財政事情からいえば非常に困難な点もあるので、一面からいえば了承されるわけでありますが、技術向上の必要が非常に緊急であるというような意味からいえば、ほかのほうの予算を或る程度切り詰めても、これは緊急に是非ともやらなければならない問題でありますので、この特別な法案作つて、特にその方面促進するように今までよりも一層努力しようという機会でありますから、当局としては予算的措置について今後十分に御盡力を願いたいと思います。  次に第六條と関連いたしまして、設備近代化促進の問題をお尋ねしたいと思います。設備近代化促進是非とも必要だということは、これも常識で、当然なことでありますので、何とかそれが十分に達成されるような方法をとらなければならないと思います。それがためにこの法律の第六條以下がきめられたものと思いますが、この規定されたような内容程度では、この法律が目指しておりますような設備近代化促進が果して達成されるかどうかということについて疑問がありますので、その点をお尋ねしたいと思います。この法律案で見ますと、近代化に必要であつた機械等設備につきまして、初年度に五割の減価償却が許されるという点に重要なポイントがあるようであります。五割の減価償却を許すということが近代化をしようとする業者にとりましてどういう効果が挙るとお考えになりますか、その点をお尋ねしたいと思います。
  12. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) お答えいたします。この第六條で、近代的な設備につきまして特別償却制度を設けました主たる狙いは、御承知のように我が国の現在の産業設備が非常に立ち遅れておりますので、これを至急に近代化をし、近代的な産業にまでレベルを引上げるという必要性からいたしまして、民間におきましても相当さような計画作つておられます。ただ何分御承知のように新しい設備相当巨額に達するわけでございまして、従いまして極く一般的に申しますと、新しく非常に多額の投資をいたした場合におきましては、その資産の償却分コストの上に相当の重荷になるという点が一つ問題があるわけです。御承知のように現在はまだまだ世界的な経済事情が変則でございますので、相当収益も上る余地もございまするが、将来これが現在のような経済情勢が一変いたしまして、平和な状況になりました場合には、現在よりも更に一層激しい国際競争にさらされるということを考えなければならんと思います。つきましてはそういうような新しく取得いたします設備につきまして、今のうちに半額程度償却をいたして置くことができますならば、将来国際競争が更に激烈になりました曉におきましても、そのコストに占める償却分負担が非常に軽くなりますので、競争ができるということになると思います。そういうような観点からいたしまして、近代的な設備是非早急に設置すべきような業種につきまして、近代的な設備についての特別償却を設けたのであります。これは諸外国でも同じような制度をとつておるのでございまして、英国等初年度四〇%、そのほかに通常の償却を加えた額を初年度償却を認めておると思いますが、諸外国につきましてもさような制度をとつておりますので、我が国におきましても同じような制度是非とる必要が、将来の競争のためからもどうしても必要だというふうに感じまして、かような制度を設けた次第であります。
  13. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 今のお答えのような趣旨は確かに理論的に御尤もなことでありますが、ただ設備近代化促進しようという趣旨から申しますというと、企業者にとつて近代化を実行することが便利であるようにしてやろうということが一番大切じやないかと思うのです。今のようなお話でありますと、まあ将来の経営の安全を図るというような趣旨から、企業者がそれがやれるようにしてやろうと、こういうことになるかと思いますけれども、近代化促進しようという趣旨とは少し間接になるのじやないか、促進させようというのには、若し近代化をしたならばこれだけの面接すぐに便利がある、或いは恩典があるということでなければ、趣旨が通もないじやなかろうかと思うのでありますが、そういう意味からいいまして、これが何らかの意義を持つておるのかどうか、それについてのお考えはどうでございますか。
  14. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 只今指摘ございましたように、確かにこの制度で参りますると、各企業近代的設備を取得した曉におきましては特別の償却が認められるということになりまするので、先ず近代的設備をやらん限りこの制度恩典と申しますか、適用がないのでありまして、従つて設備近代化促進する上におきまして非常に間接的であるという点は御指摘通りと思います。ただ民間業界いろいろ話を聞きましても、新規に設備を作りますると非常に巨額な金が要りまするので、差当り非常に巨額な投資をいたしまして、生産費がその施設だけから勘定いたしますと、必ずしも採算がよくないというケースが非常に多いわけです。さような場合に、非常に既存の安い帳簿価格になつております設備から出て参ります収益によりまして、短期間に新らたに投下した設備償却ができるということになれば、企業といたしましては、将来長い目で見ましてさようなことをやることが非常に望ましいのじやないかということで、かような制度でも、業界としては是非希望しておる向きは相当多数ございまして、さような面で相当効果かあると考えております。それで更にもつと今後設備近代化をしようという者について特別の何か助成をするとか、或いはそれに対応すべき恩典を与えるということにいたしますれば、設備近代化促進するという趣旨から申しますれば更に一歩を進めたことになりまするので、産業方面立場から申しますと非常に望ましいと思いまして、我々もさような点も実は一時考えておつたこともございますが、さような面につきましては、或いは国家財政から直接さような近代的設備をやる場合に補助金を出すということも考えられましようし、或いはすでに現に生じております利益のうち、この特定の、さような目的で積立てた場合に、あらかじめ税の軽減をして行くというようなことも一案かと思いますし、それに準ずる方法考えられるかと思いますが、一面国家財政は税制の面から、或いは税の負担の均衡とか、いろいろなさような面からいたしまして、設備合理化のためだとは申しましても、それの受ける恩典が余りに他に比して過ぎるのじやないかという観点もございますので、一応かような程度の案が現状としては先ず最も適当じやないか。かような制度につきましては諸外国における例もございまするし、又この程度制度にいたしましても、民間といたしましては、少し長い目で見ますれば、相当有効な措置になるのじやないかというふうに考えます。
  15. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 只今お話には出て参りませんでしたが、この法案を提案されたかたがたの御意見或いは委員会での御意見なんかの中に、最初に五割の償却を認める、そうしてそれが損金として計上されるために税金が安くなる、所得税が安くなる。それだから非常な恩典が与えられて、それによつて促進が図られるのだというようなお考えがあるのじやないかと私はお察しするのでありますが、私は決してそうはならない。五割最初償却いたしましても、あと償却を又少しずつして行くという結果になりますからして、ただこの規定によりますというと所得税関係つまり課税延期ざれるという結果になるだけでありまして、あとでやつぱり納めなければならないので、少しも軽減にも免税にもならないものだと私は思うのです。無論課税延期されるという点で或る便宜が得られるということはあるかも知れませんが、若しこれによりまして課税軽減されるとか免除されるのだと考えたら非常な間違いだと私は思います。ですからそういう点もはつきり考えて、誤つた考えからそれによつて課税軽減とか免除が行われるから促進されるのだと、こう考えられてはならないと私は思います。そうしますというと結局今局長からお答えがありましたように、実際は応接には余り実質的な利益が得られないという結果になつて、ただ経営政策の問題として将来の安全を図るような方策がとりやすくなるというだけの効果しかないように思うのです。そうしますとこの法案作つて、そうして近代化をうんと促進しようという趣旨から言いますと、余りに効果が薄過ぎるように私は思うので、どうもこの六條の規定で以て近代化促進する効果というものは余り期待できないように私には思えるのであります。殊に先ほど局長からもお答えになりましたように機械を取替えますというと当分の間はどうせ収益は減るものであります。ですからたとえ課税延期というような意味償却が許されるといたしましても、実際問題としてそれができるかどうかも非常に疑問であります。利益の多い企業ならば将来の経営政策考えてそういうこともできましようけれども、利益の余り挙らない、或いは小規模の企業なんかになりますというとこういう恩典は殆んど効果がないというふうに私には思えます。若し本当に真劔に設備近代化の必要を考え法案を作るということでありましたならば、そんな生ぬるい、余り効果のないようなものでなくつて、もつと効果の挙る、そうして一般に大企業にも中小企業にも効果の挙るような方法を講じなければならないと思うのであります。その点でどうも非常に物足りないように思います。殊に予算的措置をどの程度なすつたかというようなことについて、この委員会で審議されました記録を拝見いたすというと、大体その資料としては、今までの実績からいつて、多分こういう事業は二十七年度においてどういう機械をどの程度新らしくするだろうというような予想の下で、その資料に基いて予算措置考えた、こういうようなお話でありますが、その程度のことならば、何もこんな法案を作らなくたつて事業がやろうとしておることでありまして、これによつて特に促進されるという結果にはなりそうもないのでありまして、そして予想なすつておるような事業でありますと、事業相当繁栄しておるし、自己資本の調達も割合簡單でありますし、そう特別に促進を講じてやらないでも、必要に応じた近代化は実行されるものが大部分じやないかと思います。そうするとどうもこの法案狙いというものと内容というものが非常に食い違つて来るような結果になると私は思うのであります。ですから若し課税手段によつて有効な方法を講じようというのならば、さつき局長からお話のありましたように、近代化設備投資のための利益蓄積に対して課税免除をするというような方法をとるか、或いは近代化設備投資金というものをその年度利益から別個に扱つて、これに所得税を課さない、こういう方法をするか、そうなればもつと積極的な効果が現われるだろうと思います。併しまあこれは課税工段による方法でありまして、もつと有効な方法は、やはり局長がさつき言いましたように、何と言つても資金的な措置をすることだろうと思います。最も有効な促進法としましては、近代化に必要な資金供給についての特別な処置を考えられるほうが必要で、それさえあればこういう法律がなくたつて近代化は急速に実現すると私は考えております。御承知のようにフランスでモネープランというものがあつて設備近代化に非常に努力しておりますが、その効果が撃つておるというのは、アメリカからの援助資金をこれに振当てているという結果でありまして、そういう資金的な援助手段が講じられませんというと、どんな法律作つて見たところで近化代促進は私は十分できない、こう考えております。只今局長お話では、まあ将来その方面もできるだけ考えたいというようなお考えでありますから、そういう趣旨で以て今後十分に御努力を願いたいと思います。  それで次には六條の対象になります設備範囲、つまりこの法律適用される対象範囲についてもいろいろ問題があると思います。これはまあ今まで委員会で以て随分論議されたようでありまして、その点は論議が盡されておるかと考えます。ただ併し産業の種類によりますと、個々設備だけを別別に取上げて対象にしたのでは、折角目的とするような促進ができないものがあるように思います。私は素人でよくわかりませんが、金属鉱山設備等につきましては、そういう意見書受取つてつて、読んでみますと、如何にも尤もなように思います。つまり個々設備一つ一つだけを考えないで、一連設備というものを考える必要があるというようなことでありますが、そういう点についてはどうお考えになるか、伺いたいと思います。
  16. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 先ほどお話ございました課税の問題につきましては、單なる課税延期であるという点は、私も正にその通りであると思います。たまたま初めの年度におきまして実際上の減税が見られるということは確かである、従つて差当り社内留保が殖えるという点で或る程度効果はあると思いまするが、税の問題といたしましては、單なる税の繰延べに過ぎないという点は御指摘通りだと思います。いろいろお話ございましたように、設備近代化をいたしますためには資金問題の重要であることは御説の通りでございまして、お話のような点に今後できるだけ努力をいたしたいと思います。本法案に更に不十分だという点につきましても、我々産業立場から見ますと、御指摘の点は十分納得の行く点で、今後十分研究をいたしたいと存じます。  その次の、今お尋ねの例を鉱山にお挙げになりましたが、一連設備対象にしなければ大して意味がないのじやないかという点は一応御尤もでございます。それは山に限ることはございませんで、例えば普通の工業におきましても、新設の工場を作るという場合が、これはたびたびございますので、さようなものを全部対象にするほうが、合理化促進する見地から申しますと効果が十分挙ることはお話通りだと思いまするが、本法案でかようにきめましたのは、一面二十七年度或いはその後におきまする税の減収という点も併せて考慮いたさなければならん事情にございましたので、さような点からいたしまして機械設備だけをこの法案としては取上げることにいたしたような次第でございます。ただこの機械設備は、先般来委員会でもお話を申上げておるのでございますが、御承知のように現在租税特別措置法で、かような近代的な設備につきまして三カ年間五割増しの償却制度を認めておりまするので、そのうちから特定の今度政令できめまする業種につきまして機械設備を認めるという一般の方針でおりまするが、これらの設備につきまして不可欠の附帶的設備というのは当然でございますので、本法案機械設備を指定いたしますときは、本体の設備に不可欠な機械設備についても或る程度これは大蔵当局とも十分お話を申上げまして、附加えたいというふうに考えております。ただお話のように十分のところまではちよつと参りかねるかと思いまするが、できるだけさような線に沿つて考えて行きたいというふうに思つております。
  17. 高瀬荘太郎

    高瀬荘太郎君 適用対象の問題でぜひ不可欠であるというような場合には関連した設備引括めても考えるというようなお話でありましたが、若し合理化というものを本当に促進しようという考えであれば、産業の性質からいつて、どうしてもそうならなければ合理化促進ができないという場合には、この点十分にお考えを願いたいと思います。それと関連して、必要ではあるけれども、大蔵省税収との関係から思うように行かなかつたというようなお話でありますが、これもまあ現在の財政状態から言えば一面止むを得ないかと思います。けれどもこの合理化促進して産業を振興させれば、いずれ税収は又殖えるのでありますから、そういう点もよく大蔵省お話になつて、一時的な税収減少ということは大蔵省にも十分納得してもらつて、思い切つたこの法案での施策を進めるように御盡力が願いたいと思います。  今まで御質問申上げましたような点から言いまして、この法案趣旨には無論賛成でありますが、併し法案内容につきましては、余りにその趣旨と食い違つて十分効果を挙げられないようになつているという感が深いのであります。そうしますと折角法案作つても何も役に立たないという結果になるのじやなかろうかと思います。で役に立たないだけならば差支えありませんけれども、実際に技術を向上させましたり、設備近代化図つて合理化促進するということは、日本の現在の経済から申しまして、緊急にどうしてもやらなければならないことでありますから、それが実現されないということになることは甚だ遺憾でありますし、日本にとつても甚だ困つたことになると考えます。ですから無論この法案はあつても害はない。或いはあつてもなくてもいいというような効果しかないように私には思えますが、別に害がないというのであれば、反対する理由は少しもありません。けれどもそれではこの法案作つた目的が達成されないと私は考えまするので、この法案内容から言いますというと、何だか羊頭を掲げて狗肉を売るという感が深いわけであります。ですから只今申上げましたような点を、できるだけ早い機会に十分考慮をされまして、本当に羊頭を掲げて羊肉を売る法案にされることを、希望して、私の質問を終ります。
  18. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ほかに……、ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  19. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記を始めて下さい。
  20. 結城安次

    ○結城安次君 企業合理化法が大体只今高瀬さんのおつしやつた通り惡法でないことは確かだが、大企業偏重ということは免れない。それで私どもが先般来お話いたしておりますのは、中小企業をどうするか、中小企業がよくならなければ、大企業だけ直したところで日本産業は確立するものじやない。昨日ですか、自動車工業会というのがありまして、ちよつと顏を出して見ると、外国の例えばドイツのフオルクスワーゴン、これは非常に小型だけれども、よくて安いそうです。日本の小型ダツトサンやトヨペツトに比べて能率もよい。大きさは少し小さいかも知れませんけれども、大変いいそうです。而も値段が大変安い。これにコンピートするために調査してみますと、自分のところで幾らやつても下請のほうが、中小企業がよくなつておらんから、そのしわが最終の組立工場に来るのだということを言つておりましたが、その通り実際日本産業を確立するために、本当に企業合理化法の目的にあるごとく、海外においても十分に競争し得るというためには、中小企業を育成助長しなければ、到底この目的は達成されないことは御承知のことと思うのであります。そのことが一つも謳つていないのであります。これが甚だ我々には不満なんだということが一番初めからの論点になつておるので、これは是非中小企業の育成助長、それには只今高瀬さんのおつしやつたように、何よりも資金を世話してやる、運転資金或いは設備資金を世話してやるということと同時に、今困つておる税の取立て、これを軽減してやる、この二つが非常な大きな点だということは当然のことなのです。これらのことをどうして通産省は助けてくれるか、如何なる手段、如何なる方法でこれを、中小企業を助けて育成助長してくれるかということを、できるならば閣僚懇談会あたりで一つ通産大臣が話して、大蔵大臣から預託金というのはどこどこで幾らか、これは中小企業に殊に紐付きで廻してやる、或いは税はどうする、それから今度の賠償物資の工場の機械ですか、あれはこういうふうに転用させるという、細目はここで私は申しませんが、こういうふうに中小企業に転用させるというような具体的の案を、できるならば明日、最後になりますが、これはこの間の打合せで、明日やつて何かきめようというお話もありましたので、若しこの間の打合せ通りに行きますれば明日あたりがしまいになると思いますが、明日でも通産大臣から我々は責任ある話を聞いてこれに対する態度を決定したいというふうに私は考えますが、これを強く委員長を通じて要求して置きます。
  21. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 了承いたしました。
  22. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 今いろいろお話出ましたが、これの取扱いにつきましては先ほど理事会を開いて一応意見の一致を見た点があるので、私はその点について委員長が然るべく取計つて頂けるものと考えて、先ほどからずつと発言を愼んでおつたのでありますが、その辺はどういう工合になるのでありますか。若しそういう委員長で取計つて頂くということでない、普通の委員会通りにしやつて行くということであれば、又そういうふうに私も発言をいたさなければならんと思いますが……。
  23. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記をとめて下さい。    午後三時四十九分速記中止    —————・—————    午後四時二十四分速記開始
  24. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記を始めて。
  25. 中川以良

    中川以良君 本法案につきまして私ども検討を加えまするのに、ややともすると本法案は大企業にのみ偏重をしておる傾きがありまして、今日最も重要なる中小企業に対する考慮が非常に払われ方が少いように考えるのであります。そこで私どもは中小企業合理化のためにも、先ず今困つておりまする金融の問題を、一つ相当の枠を定めてこの金融の処置を講ずること。これに伴いまして預託金の金利の引上げを緩和する、更にこの預託金の増加等に対する措置を講ずること。なお金融債の引受等に対しまする特段の措置を講ずる。更に中小企業の税制の面におきましてもこれに対する対策を確立してもらうということ。なお中小企業の販路の開拓、輸出の促進等に対しまして政府が一段とこれが対策に対して熱意を傾倒してもらう。それから更には大企業中におきましても合理化が今日十分にできないような大企業がございまするので、こういうものに対するところの助成対策を確立をすること。更に又電力の割当、その他産業の振興政策に関しましては飽くまでも均等合理化を策してもらう。こういうような点はこの委員会においてすべての者が要望をいたしておりますることであります。  そこで委員長は、これらの点に関しまして一つ通産大臣に本委員会の総意としてお申入れを願いまして、通産大臣はこれによつて関係経済閣僚と十分にお話合いを頂いた上において、できるだけ早い機会において本委員会において飽くまで誠意ある、政府を代表したところの御答弁を我々は要求をするものであります。これを伺つた上において初めて私どもは只今審議しておりまする本法案の討論に入ることができると思うのであります。この点につきまして委員長の然るべき御処置をお願いを申上げる次第でございます。
  26. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今中川君の動議に対しまして皆さん御異議ございませんか。
  27. 西田隆男

    ○西田隆男君 中川君の今の御発言は至極御尤もな御発言だと思うのでありますが、それはこの法律案を審議する上においてだけ起きた事態ではなくて、この法律案が提案されようが提案されまいが、絶対に政府としてはやらねばならんことなんです。この法案の審議の過程においてそういうことを、あなたが今言われた、閣議で決定して、経済閣僚が寄つて話して、結論を得て当委員会に報告ができれば結構だと思いますが、今までできなかつた、自由党内閣では。恐らく経済閣僚懇談会を開いて結論を得るということは不可能ではないが、なかなか困難であろうと思いますが、なお当委員会で皆さんがよろしいということであれば結構でありますが、むしろそれよりもこの法案の中に明記されておる中小企業企業診断の問題、これに対する経費の計上が非常に少い。だからこの経費を殖やすか殖やさんかは長官に聞いて見なければわからんが、殖やすことによつて中小企業の診断が一層活発化される、或いは近代化機械化が促進されるということになれば、この審議の過程においてはそれが第一歩だと思いますが、今中川君の言われたことが実行に移されれば反対しません。併しなかなか困難だろうと思いますので、私の意見だけを述べて置きます。
  28. 島清

    ○島清君 懇談の席上では中川君から然るべき御意向を承わつておりましたので、私はその意味を抽象的な意味において非常に賛成でございますが、肉附けをする意味において中小企業に対する金融の処置というものは、要するに合理化をしたくてもそういう合理化の資金がない、そうして日本経済再建上どうしてもこれは合理化を必要とするんだというような企業に対しては、政府が別途に一応大きな枠を日本産業に占める中小企業の地位に鑑みて、それに相当するだけの金融の処置を別途に講ずる。こういうような意味において了承いたして、中川さんの動議に賛成したいと思います。
  29. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私は今中川君の動議に大体討論に入る前の措置として賛成いたします。討論に入りましてからどういう工合になりますかは、今中川君の述べました動議に応ぜられて、政府がどういうような態度を御決定になるかによつておのずからきまつて来ると思うわけであります。それで政府側にもう一度、私は今まで随分廻りくどい表現をして注文をつけて参りましたが、簡單に一言だけ考えていることだけを述べておきたいと思います。それはたまたま企業合理化促進法が出て来たので問題になつたのでありますけれども、先ほども申上げましたように、昨年の春以来業界がだんだん不振になるに従つて、この委員会ではいろいろな産業関係の問題を取上げて調査をして来る間に、何とかしなければそれがならんという気持が恐らく私は全委員において一致していると思うのであります。その結果が今日の状況になつているものと、一つ通産当局においてはとくと御理解を願いたい。そうしてそのことはどういうことかと申しますと、現在の通商産業省の政策というものは、ここで明らかになつておりますように、大企業偏重主義であるということが指摘される、又省のほうにおいても大体さように了承せられているところでありますが、今一番中小企業が困つております問題は、国内的には資金、或いは税金等の問題で四苦八苦している。その問題に四苦八苦しているということが、一つであります。第二点は、仮にその問題が解決せられるにいたしましても、国内の購買力或いは海外の輸出市場の状況等を考えて、折角努力して、合理化その他の努力をして作り上げました品物がうまくさばけないというところに悩みがあるわけであります。こういうふうな非常に現実の厳しい姿を私どもは全国各地を廻つて業者と会つて、そうして深刻に聞いているわけであります。一方大企業、特に企業合理化法の対象になろうとするような大企業におきましては、これは余りに……これは言葉が率直過ぎて軽卒であるかも知れませんけれども、とにかく国からあらゆる面で有形無形の助成を受け、そうして而もそこで作られたところの製品は特需関係のものがだんだん多くなるような傾向でありまして、従つてその供給先は先ず安定しておるものと見て差支ないわけです。従つてここにこうして二つに分類してみますと、如何に中小企業、これは大企業の中でも……、そういう言葉が穏当でなければ取消しますが、時局的産業でないもの等の苦悩が嚴しいかということはおわかり願えると思うのです。これを何とか改善しなければ、私は日本経済がやはり非常な茨の道へ入り、そうして遂には思わないような事態か起きるようなことにならないとも限らないと思うわけです。そういう点を通商産業省はとくと考えられてそうして関係各省とも打合せをせられて、私どもが納得をし、又この委員会を通じて国民が納得をしまして、中小企業者が明るい気持になり得るように善処せられたいというのが、只今中川君の御動議であろうとも私は思うわけです。さような意味で一つ御研究を願いたい、こういうことをお願い申上げる次第であります。
  30. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今中川君の御動議に大体賛成のようでありますので……、ただ西田委員からの閣僚懇談会の問題はどうでありましたか。
  31. 中川以良

    中川以良君 私は閣僚懇談会を開けということは申上げないのです。関係経済閣僚とお話合いの上というように申上げたのであります。
  32. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) では中川君の御動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めまして、さよう委員長のほうにおいて取計らいます。  本日はこの程度において散会いたしたいと思いますが……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) それではこれにて散会いたします。    午後四時三十五分散会