○
政府委員(小笠
公韶君)
お答えいたします。
中小企業の
合理化の持
つて行き方でありまするが、私はこういうふうにざつくばらんに実は
考えておるのであります。
中小企業の
合理化をどこから解いて行くかという問題の一番大事なことは、現在の
日本の
中小企業、特に中小工業というようなものを取
つて考えて見ますると、それ自体の経営それ自体が非常に微弱だ、弱いということにあると思うのであります。この弱さをできるだけ強めて行く。その強めて行く一つの
方法としまして組織化なり、或いは経営單位をできるだけ引上げて行くというふうな線を先ず取上げて行くことが大事であろうと思うのであります。即ち経営の個々の内部の
合理化の問題も非常に大切でございまするが、それよりも経営の外に向
つての
合理化を一つ
考えて行くという線が先ず大事だというふうに
考えておるのであります。その面から
考えますと、一つの問題は、具体的な問題として、これは非常に陳腐でありまするが、結局組織化を強力に進めて行く。その進めて行くに当りましての誘因というものをどこに求めて行くかということになると思うのであります。それにつきましてはこれはいろんな意味において何らかの
援助措置といふものを強めて行くというふうな形に持
つて行きたいというふうに
考えておるのであります。これが第一点だと思うのであります。
それから第二の
合理化の進め方の
考え方といたしましては、
日本の今日の
中小企業の現状は大
企業よりも比較的に困難なのは、安定した
資金がない、安定した長期の
資金が入りにくいというところに私は一つの欠点があるのじやないかというふうに
考えておるのでありまして、この面を今日の
経済情勢から見まして困難ではありまするが、できるだけ捧げて行く、増加して行くという線で
考えて参りたいと
考えるのでございます。もとより長期
資金のみに限りませず、差当りの
資金問題というものが非常に大事であるということは十分
承知いたしておるのでありまするが、真に中小工業の経営基盤の安定を図
つて行くという上におきましては、いわゆる底溜りの運転
資金というふうなものの供給にできるだけの努力を重ねて行くということが、
合理化、私はいわゆる
合理化というよりも、経営の安定へというような意味においての出発点であろうというふうに
考えておるわけであります。
それから、第三点といたしまして、
中小企業の問題は、
設備の
近代化、いわゆる
近代化という問題がございまするが、この
設備の
近代化の線と並びまして、正直に申上げまして、技術の立遅れという問題が私は最も
日本の
中小企業における弱点だと思うのです。この技術の立ち遅れをどうして少しでも引上げて行くか、向上さして行くかというようなことに
重点を置いた施策を
考えて行くということになろうかと思うのであります。そういうふうな
考え方を基本にいたしまして、
中小企業の経営の安定と申しまするかを図
つて行きたいというふうに
考えておるわけであります。ところが、実際の問題に当りますると、御
承知の
通りに、非常に
業種が多種多様にな
つておりまするので、十分な効果が非常に出にくいというふうな状況にな
つておるのでありまするが、私
どもといたしましては、先ず
中小企業の問題の
合理化というふうな
考え方の基本というものを、
只今申上げましたような三つの点に
重点を置いて、ここに一つの総合的な一つ
政策を進めて行くということに努力しなければならんというふうに
考えておるのであります。
それともう一つの問題は、
只今西田さんも御指摘の
通りに、
中小企業の一つの問題は、
経済的ないろいろな弱さの問題、
合理化、不合理性を直して行くという問題のほかに、これは
言葉は適当でないかも知れませんが、いろいろな意味において、社会的に弱いという問題が、私は一つの
中小企業を取巻く弱さの原因だと実は思うのであります。例えば、いろいろな場合におきまする自分の意思の表明すらなかなか自由にできないという業界も多々あるのであります。そういうふうな意味において、この
中小企業自体の、そういうふうな、今申上げましたような、弱い
中小企業に対する発言も代
つてやると、或いは代弁するというふうな組織をできるだけ強めて行くということでないといかんのではないかというふうに
考えておるのであります。この問題は、
経済政策というふうな
立場でなしに、しわ寄せという
言葉がよく使われるのでありますが、しわ寄せをできるだけ未然に防ぐというような
立場におきましても、そういうふうな線からの
中小企業対策というふうなものがどうしても強く進められなければならんのではないかというふうに
考えておるわけであります。
以上抽象的に申上げたわけでありまするが、そういうふうな
考え方に
従つて、然らば
中小企業庁は何をして来たの泥と次にお叱りがあるだろうと私は思うのでありまするが、
中小企業の対策の一つの問題といたしまして、私は、今申上げました組合の健全化、経営基盤のどうしても擴大というふうな線において、これを
金融政策と関連をつけつつ進めて行くという方向にできるだけ努力をいたしておるのであります。勿論
中小企業庁でや
つております個々の
企業に対する診断
制度というふうな問題があるのでありまするが、現在まで、昨年の十一月末現在でありまするが、七千工場くらいしかまだ実はできておりません。非常に手のかかるものでありまするが、こういうふうな個々の
企業自体をできるだけ診断して行くという手を講じつつ、一方において
先ほど申上げましたような組織化に
重点をおいて進めて実は参
つておるような状況であります。非常に抽象的な話でございまするが、私
どもはそういうふうな趣旨でできるだけの
中小企業の振興と言いまするか、そういう方向に力を続けたい、こういうふうに
考えておるわけであります。