運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-02-05 第13回国会 参議院 通商産業委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月五日(火曜日)    午後一時四十九分開会   —————————————   委員の異動 二月一日委員大山郁夫辞任につき、 その補欠として松浦定義君を議長にお いて指名した。 二月四日委員入交太藏君、大野木秀次 郎君及び田方進辞任につき、その補 欠として愛知揆一君小林英三君及び 松平勇雄君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹中 七郎君    理事            古池 信三君            結城 安次君            栗山 良夫君    委員            松平 勇雄君            松本  昇君            加藤 正人君            山川 良一君            小林 孝平君            島   清君            西田 隆男君            松浦 定義君   委員外議員            油井賢太郎君   国務大臣    通商産業大臣  高橋龍太郎君   政府委員    通商産業政務次    官       本間 俊一君    通商産業省通商    繊維局長    記内 角一君    経済安定本部産    業局長     近藤 止文君   事務局側    常任委員会專門    員       山本友太郎君    常任委員会專門    員       小田橋貞壽君   説明員    通商産業省通商    化学局アルコー    ル第二課長   井上  猛君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○企業合理化促進法案衆議院提出)  (第十二回国会継続) ○通商及び産業一般に関する調査の件  (産業界安定方策に関する件)  (繊維事情に関する件)   —————————————
  2. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今より委員会を開きます。  先ず第一に企業合理化促進法案取扱に関する件につきましてお諮り申上げたいと存じます。それにつきまして專門員から取扱方に関しまして説明を要求しておりますから許します。
  3. 山本友太郎

    專門員山本友太郎君) 同法案取扱方に関して問題となつております点を一応御説明申上げます。企業合理化促進法案は、御承知のように昨年の十二月十二日衆議院において可決されまして、同日附を以てこちらに送付になつておるのでありますが、途中自然休会等もございましたので、二月九日に大体六十日に相成るわけでございます。そういたしますと、これ又御案内のように、憲法の第五十九條第四項によりますと、「参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。」という規定に相成つておるのでございます。憲法解釈上、「国会休会中」とございますが、この休会中は議決された休会に限るという只今解釈になつておりますので、昨年末から今年の一月の三十一日までの間の休会は、御案内のように議決休会ということになつておりませんので、従つてその間三十七日間というものは、審議期間の中に加算されて来るという計算上、只今申述べましたように二月九日になりますと六十日に相成るのでございます。勿論本日から考えますと、今暫らく先の問題ではございますが、只今見通しから申しますと、二月九日までに当院においてこの法案の結論を出すということは、恐らく技術的にも困難でなかろうかという見通しの下に立つておりますので、この際衆議院側に対しまして、参議院の意のあるところを通達いたしまして、向う了解を求めておいたほうが適当でないかと存ずる次第でございます。そこで委員長手許におきまして一応案といたしまして、向うに申述べます草案を作つておるわけでございますが、これを朗読いたしまして議題といたしたいと思います。    企業合理化促進法案取扱に関する件   参議院通商産業委員会において審議中の企業合理化促進法案は、去る十二月十二日衆議院において可決送付され、来る二月九日を以て六十日の期限に達するが、実質的にはその間三十七日の休会期間があり、又同法案第六條の重要産業の指定に関する行政当局態度決定を待つて慎重審議しようとする当委員会申合せによつて遷延しつつあるもので、故意に審議を引延ばしたものでないから、当委員会態度を諒とせられ、同法案に関する限り憲法第五十九條第四項を適用することなきよう取扱に万全を期せられたい。  こういつた意味合いのことを書類によりまして一応当委員会委員長から衆議院通商産業委員会委員長宛書類を送りまして、必要に応じましては更に詳しく巨頭を以て委員長から衆議院通産委員長説明して了解を求める。併せましてこの法案が一応自由党民主党並び社会党右派共同提案の形をとつておられます関係もございますので、できましたならば委員長相互の折衝と並行いたしまして、御賛成を得れば、少くとも参議院側自由党並び民主党或いは社会党右派の線からも、衆議院側に対しましておのおのの、各連絡のある党派に対しまして、同じような趣旨の御連絡、或いは御了解を得て頂きますれば、当委員会のこれに対する態度は非常にはつきりして、爾後問題を起すことなく、相当更に期間を頂いて十分に慎重審議できるのじやなかろうか。かように考える次第でございまして、問題点はこの点でございますので、この取扱方につきまして只今より御協議願つたらよかろうかと、かように存ずる次第でございます。説明は以上の通りでございます。
  4. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今山本專門員からの御説明によりまして、この取扱方法につきまして、如何取計らいましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ありませんか。……では委員長にお任せ下さいまして、只今お話のように委員長中村衆議院委員長にさよう申込をいたしましてお願いをする、それから各党派のかたがたにおかせられましても、さよう御努力願う、こういうふうにいたすことにいたします。   —————————————
  6. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 次に公報によつて御通知申上げました産業界安定方策に関する件を議題といたしたいと存じます。加藤君。
  7. 加藤正人

    加藤正人君 産業界の安定に関する問題について討議をされるのでありますが、私は綿業界に関する安定についていささか政府の所信をお伺いしたいと思うのであります。先ず私の御質問いたしたいと思います点を全部一度朗読いたしますから順次お答えを願いたいと思います。  今や我が国繊維関係商社を中心とする我が国貿易界は未曽有危機に直面しておる。金融梗塞手形取引の麻痺に起因する商社の倒産は、すでに昨年四月頃より問題となり、七月の頃より、更に十月末より十一月にかけて次第に具現し、今や二、三月危機が叫ばれるに至つた。而も商品売掛代金決済難は、商社と直接取引関係を持つ紡績会社にしわ寄せられ、勢い紡績会社はかなりの営業利益を計上しながら、商社の支払決済不可能のため経理上異常の困難に陥り、原綿資金の調達にも窮する実情にある。そもそもかくまで商社を弱体化した原因は、遠因、近因一にして足らないが、現下のオーバー・ローンの素因と言われておる政府戦時補償の打切り、朝鮮動乱以後米国軍需資材等大量買付に端を発した世界相場の奔騰に伴い、政府によつて行われたいわゆる備蓄輸入に呼応して商社の買進んだ諸物資が、昨年六月のマリク提案によつて反転下落の一途を辿つたことによる打撃、近くは昨秋米綿大豊作の声に起因する。パキスタンその他の契約不履行キャンセル等による諸影響は、ただでさえ資本の蓄積を喪失させる商社の上にのしかかり、遂に今日の破綻を招くに至らしめたものである。さて、原因はいずれにしても、今日これを徒らに詮索するよりも、一日も早くこれに対処し、官民一致これが善後策を講ずることが喫緊事であると思考する。  現在商社紡績間でこげつきになつている手形は、概算約四百億円で、これが障害の根本となつている。これら手形決済は到底商社の自力では如何ともなしがたいことが明白である今日、何とか適切な方策を考究せねばならん。過日来紡績商社市中銀行の三者で小委員会を設け、これが解決策を見出さんと努力しているが、問題が非常にむずかしいため目下停頓の形である。併しこの問題が未解決である限りは、新規輸出商談は完全に行われがたく、滞貨の漸増、海外市場喪失等等こもごも惡條件を累積する慮れがある。政府はこの問題を如何に考えるか。この問題は結局政府資金の動員によるより他に良策はないと思うが、この点如何。  上述のごとき日本の国内問題が海外市場に反映し、勢い輸出商談は目下沈滞の形で、これを昨年今頃の商盛に比較して真に感慨に堪えないものがあるのであるが、而も生産は日々何らの制限なく行われ、昨年十二月の生産は実に十七万余梱に達している。かくては海外市場日本品に対し弱気買控えとなり、余る物に値段なしのたとえで、市況はいよいよ惡化し、商社の中には損失覚悟投売りをなすもの頻発し、自然国際的にも著しき惡影響を与え、英国は勿論、米国オランダ等においてはこれをアラーミングな増錘の結果であるとし、必然日本綿業は再び過剩設備、即ち過剩生産の重圧に耐えかねて安売りによる世界市場の撹乱を再現するに至らんとの危惧を抱くに至るべきは明白である。折も折日米英綿業会談を目前に、かかる事態の発生はその影響するところ誠に寒心に堪えない。昔日においてはかかる場合有効需要を適正に勘案して業者申合せにより生産を調節することが可能であつたが、事業者団体法のなお存続する今日においてはこの適切有効なる手段をとり得ないのは誠に遺憾至極である。自分は前国会において平和條約の審議に際し、特にこの法律の改廃に関し再度に亘り政府善処方を要望し、吉田総理はその都度快く私の希望に副う旨確約せられた。自分はこの機会において本問題に関するその後の経過を政府に質さんとするものである。事業者団体法関係決議操短等方法なしとすれば如何なる方途によつてこの危急に対処すべきか。目下紡績業者はそれぞれ各自の判断に基きいわゆる自粛操短のごとき姑息の手段によらんとしつつあるが、もとよりこの種の方法に多くの期待を持ちがたいことは明らかであつて、結局有効なる方法政府施策においてその目的遂ぐるよりほかに途なしと思考せられる。  一昨年六月の四百万錘紡績設備制限撤廃後の増錘状況を見るに昭和二十五年六月末三十五社、三百八十八万五千三百五十錘、昭和二十五年十二月末五十一社、四百三十八万一千一百四十七錘、昭和二十六年六月末六十四社、五百五万四千六百十錘、昭和二十六年十二月末九十一社、六百三十六万六千五百一錘となつており、昭和二十五年下半期には約五十万錘、昭和二十六年上半期には約六十七万錘、同年下半期約百三十一万錘を増加し、特に昭和二十六年には年間実に二百万錘に近く、我が国紡績史上曽有の急激な膨脹を遂げたわけである。この数字経済安定本部自立経済審議会が昨年一月十五日に発表した繊維綜合調整案と比較すると、同案では年間平均運転可能錘数昭和二十六年度四百七十万錘、二十七年度五百三十万錘、二十八年度五百九十万錘を見込んでいる。従つて現在の設備状況は右の計画をすでに多く上廻つていることは勿論、昨年十二月通産省の行なつた第九次紡績設備確認によると、すでに六百四十九万錘の綿紡設備が存在し、而もこのまま推移すれば本年即ち二十七年中に最低六百七十万錘、最高七百万錘までの増錘が敢行せられるものと見られる。これは誠に由々しき事態と言わざるを得ない。紡績業者自身としては、この過剩設備制限について何ら主張すべき立場ではないが、一国の繊維行政を掌る通産当局としては、漫然黙過すべき問題でないと思う。当局は果して如何なる対策を用意しつつあるか、是非承わりたい。然らば前述の当面せる諸事情に鑑み、綿紡績としてはそもそも何ほどの生産量が適当であるかというならば、これは輸出並びに内地向け有効需要を勘案してこれを決定することが最も合理的であると考える。即ち昭和二十七年の見通しを、仮に年間綿布輸出十三億ヤール、綿糸輸出八万梱、綿雑品同七万梱、特需十二万梱と仮定しますと、内需を月約六万六千梱として国民一人当り三ポンド六八とすれば、年間百八十七万梱、即ち月産十五万五千梱の生産が必要となる。この場合の原綿所要量は約一百七十九万二千俵である。然るにこの生産量確保のためには二OS一錘量〇・七四ポンド、平均番手輸出三〇・六S、内需二三S、操業率九五%とすれば五百二十三万錘で足りる勘定である。尤もこれは需要量に相当の余裕を持つた計算であるが、綿糸月産十五万梱と抑えれば、現有設備六百五十万錘に対し二五%の操業短縮が最も適当である。又この計画は一九五一—二年綿花年度において、我が国が確保可能の米綿並びに各種雑綿合計百六十五万俵の原綿量の面より算出してもほぼ同一の結果となり、頗る時宜に適した措置といつていい。  以上申述べた通り我が国綿紡績設備国民経済現状に照らし相当過剩であり、従つてその生産量内外有効需要に対して多きに過ぎるため、自然業界の安定を妨げ、同時に外国の不必要な危惧心を招き、これを漫然放置しておく場合においては或いは日本綿製品輸入抑圧の口実を供する虞れなしといえないから、本問題の適切な処理は一日も速かなるを必要とすると思う。輸出貿易の大宗である綿業のかかる現状は決して一紡績業界の問題でなく、日本経済全体の問題として真劍に考慮せられるべきであると考えるが、以上の諸点中特に設備の問題は近く開かれる日米英綿業会談で必ず取上げられると思われる。この程度設備日本として是非とも必要であるならば外国の批判を一々顧慮する必要はないが、上記のごとく種々なる支障を醸している以上これは捨て置きがたい問題であると思う。これに対する政府の見解とその対処策を具体的に承わりたい。
  8. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 只今加藤君の述べられましたことは、私も非常に重大な問題と考えて深く関心を持つておる次第であります。いささか私の考えておりますことを述べまして御答弁にいたしたいと存じます。  先ず生産量の問題でありまするが、綿製品需給見通しは、内外の政治、経済情勢景気動向等に左右せられる面が多く、確実なる推定は困難でありますが、差当り数カ月の問題としては、内外需要の急激な伸長も期待できないので、綿糸月産十五万梱程度十分需要を充足できるように考えられるのであります。従つて月産能力二十四万梱に及ぶ施設を以て無制限増産を行うことは繊維価格の一層の低落を招き、漸く安定の緒を示した輸出市場を惡化せしめ、繊維業界全体の市況を深刻化せしめ、延いては国内景気一般の惡化を招くこととなる。他方においてはドル資金の窮屈な現状におきましては、綿花輸入を無制限にこれを行い得ないことは明らかでありますから、この面からも綿業操業度を適正な水準に維持することが合理的であることは言を待たないのであります。もとより政府といたしましては国民衣料の豊富低廉な供給を確保することが肝要であると考えまするが、同時に経済界の混乱を回避し、輸出安定増進を図ることが是非とも必要なので、この際政府としては輸出増進施策を強化すると共に、外貨資金とも睨み合せまして原綿輸入量に適当な規制を加え、これによつて綿業の適当な操業度を維持したいと考えておるのであります。業界としても輸出増進に格段の努力を払うと共に、現状に適応した生産自粛を行わるることを切望するのであります。  次に金融問題でありまするが、綿業界における現下金融上の困難につきましては只今お述べになりました通りでありまして、如何にも重大な危機に達しておるのだと私は考えます。これは加藤氏もお述べになりましたように、昨年種々の原因商社の負担するに至つた損額を、如何にして填補して弁済せしめるか、この問題が解決の鍵であります。元来私は昨年の夏、七、八月頃にこの問題が深刻化されました時分に、当時私大阪へ参りまして、綿業界商社側のいろいろ御意見を聞いたのでありますが、その当時私がお尋ねしたのは、この解決は要するにこの金融策についていろいろの陳情を聞きますが、あなたがたのほうで、ともかくこういう巨大な損失が出たのであるからして、紡績業者のほうと問屋側のほうでその損失をどういうふうに解決して行くか、どういう割合で負担するかということをおきめにならんというと、金融業者もなかなか決心ができぬわけである、その問題に触れるというと、私が大阪へ行きました当時は、両方の業者諸君も触れることを避けておいでになるような感じを受けたのです。昨年にこの解決が本当にできていなくて、まあ一時見送るという解決であつたのが、今日まで残された問題が今日又起つて、一層この金融の困難を来たしておるのであろうかと私は考えます。さてそういうことはいずれにいたしましてもよろしいのでありますが、この問題の解決の鍵であるところは、要するに一般市場の改善と企業経営合理化健全化を図ることが根本問題でありまするが、そういうことを言つても、現在の火を消すことが先決問題であるというような状況になつているのだと思います。根本問題の一つは、需要を無視して増産をした、そういうことも差控える必要があると、考えるのであります。私は差当り措置といたしましては、やはり直接の利害関係者である商社紡績銀行の三者間で、隔意ない御協力を遂げられ、相互扶助の精神を以て打開策を見出さるることが第一必要だと思います。実際にはこれは非常に、余りに大きな問題でありまするので、すでに三者間の御協議は進んでおりますが、まだ目鼻がつかないというのが現状であります。通産当局もこれにつきましてはいろいろ苦心をいたし、又直接業者諸君ともいろいろ話合いをいたしておるのでありますが、幸いに綿花借款も成立いたしまして、将来金融難打開の徴候も存しますので、必ず事態は好転することと考えるのでありますが、局面打開のためには政府としてできるだけの措置をとつて行き、関係各方面とも御相談し、御尽力をいたしたいと考えております。なお先刻の御発言のうちに政府資金運用云々というお言葉がありましたが、これも一つ方策だと思います。思いますが、これには又いろいろむずかしい面もあります。折角苦心をいたしております。私は、この三月危機ということがよく言われておりますが、これは切抜けることができるのじやないかと私は信じております。これは同じような言葉を昨年の夏も大阪業者諸君に述べたのでありますが、要するに我が国の現在では、金融を極度に統制をして、財界整理と言いますか、それに外科的手術をすることを避けて、徐々に整理をして行こうというのが年来の政府の方針でありますので、日本財界ではパニツクが起きるというようなことは私は考えられないと思います。それは誰が政局に当りましてもそういうことを放つて置くことはようしないわけであります。ところがこの三月危機、先だつても或る所で私は三月危機というものは考えられないのだということを申しましたれば、私が非常に楽観をしておるように誤解されて、その後いろいろな質問を、受けたのですが、これは決して楽観ではないのです。考えようによつては悲観であるかも知れない。日本の今の経済界というものは三月危機であるとか、十二月危機であるとかいうものは存しないのだが、年中危機、一年中或る程度危機がある。ただ丁度手形の切替時が十二月に多いとか、三月に多いとかいうことでそういう説が出るのでありますが、私は決してこれは日本財界楽観しておるのではないのであります。年中或る程度危機があると言わなければいけないのだと思います。  次に設備の件でありますが、御承知通りこの一両年間紡績業のみならず各種産業においてかなり活溌な設備の新増設が行われ、その結果一部の産業におきましては、過剩設備傾向を生ずるに至つたのであります。綿紡績業におきましては先刻加藤委員より各面に亘つて詳細な数字を挙げられまして、私はそれを繰返しませんが、昨年末現在において運転可能の錘数は六百四十八万錘であるという数字通産省では出ておるのであります。これは一ヵ年半に六割以上の増設に値いしておるのであります。今日の輸出及び内需の充実のためには、加藤君の御意見もありましたが、大体五百万乃至五百五十万錘で十分であると思われますので、すでに設備過剩の傾向は歴然としておると言わなければならないのであります。我が国経済におきましては、電力不足産業設備資金梗塞はかなり深刻であり、電力、石炭、造船、鉄道等重点的基礎産業部門以外の産業投資は、或る程度これを抑制することが、国民経済的見地から要請せられておる状態でありますから、すでに過剩設備を擁しておる紡績業者といたしましては、これ以上の増錘自粛することが業界全体の利益であると共に、国民経済的に申しましても必要なことであるのであります。比較的不要不急産業における生産設備の新増設に対しましては今後政府如何なる措置をとるべきかということにつきましては、目下慎重に検討中であります。私はこのために何か法的措置が必要であろうと考えております。よくビルディングの濫設が問題になりまして、例えば東京などにおきましてはすでに過剩であるのではないか、これに対して何か抑制すべきではないかというような意見が盛んでありますが、我が国の現在のように資金梗塞し、資材も乏しいその際に不要不急施設は、重要産業と言いますか、それへ数えられております今の鉄のごときについてでも、設備過剩の面があれば再検討をする必要があると考えております。そういう法的措置をとるということになりました場合には、どういう産業に適用すべきかという問題が起るのでありますが、その際には紡績業のごときは第一に取上げなくてはいかん現状だと私どもは考えております。なお先刻ちよつと申し落しましたが、紡績業者自粛操業をするということは今日の事業者団体法その他で制約を受けてできないのだというお言葉がありましたが、その通りであるのであります。私は昨年の臨時国会のときも、独占禁止法並びに事業者団体法につきましては大幅の改正が日本産業のために必要だという意見を持つておることを述べたのでありますか、甚だ遺憾でありまするが、まだその点はいろいろな事情がありまして、私の意見は実現していないのであります。輸出組合というようなものがダンピングを阻止し、海外の信用を維持して行くためにも必要でないかという加藤君の御意見でありますが、これ又私は同じ意見を持つております。昔の輸出組合は少し行き過ぎた点がありまして、かなり非難があつたのでありまするが、そういう行き過ぎた点は又何かの方法でそれを止めることができる。ただ昔そういう点があつたからと言つて、現在甚だ必要に迫られている輸出組合というものがいつまでもできないということは、私は非常に遺憾に存じております。成るべく速かに輸出組合というようなものができることが必要であるという私の意見は今日なお変つておりませんで、その方向に努力いたしたいと存じております。又努力いたしつつあるのであります。
  9. 加藤正人

    加藤正人君 生産調整お答えの中に、原綿輸入量規制を行なつて、その目的を遂げたいというお話でありましたが、原綿輸入量規制するというのは、どういう方法規制されるのですか。
  10. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) これは二つ面がありますが、一つは御承知通りドル資金の問題でありますが、現に只今も御承知のように百二十万俵米綿輸入する、米綿輸入ではそれで制限をしているわけであります。ところが現在の施設から見ますれば二百万俵が必要なのでありましよう。施設を動かす面から言いますと……大体それを適正なところに百五十万俵と言いますか、百七十万俵と言いますか、適正なところで原綿輸入を抑えて行く、そういう意味で申上げたのであります。
  11. 加藤正人

    加藤正人君 そうしますと、紡績にはいろいろな種類がありますけれども、全体として輸入を抑え、そうして何かの比例によつて割当てるという意味になりましようか。
  12. 本間俊一

    政府委員(本間俊一君) お答えをいたしたいと思いますが、只今通産大臣が原綿輸入の問題について申上げましたのは、国際間のいろいろな事情によつて、無制限には入らないという状況にあるという意味を申上げたのでございまして、無理に輸入を抑えるというような考えで申上げたのではないのでございますから、その点はどうか御了承賜わりたいと思います。
  13. 加藤正人

    加藤正人君 生産を調節する一手段として原綿輸入量によつて規制をするというお答えがあつたから、そういうふうな自然御質問をするようになつたわけであります。まあいずれにいたしましても、私は生産の調節にはどうしても事業者団体法を改廃しなければならんという強い主張を根強く持つているわけであります。政府は何故に、もう私が、この問題について論議を始めてから一年以上たつのでありますが、どこに支障があつて、どうしてこれがいつまでもできないのか、私はそれはいささか政府のその筋に対する説明の熱意が欠けているのではなかろうか。これが民主主義に反することであるとか、実際独禁法の精神に反するというようなことであるならば、これは大いに慎まなければならんのでありますが、そのような問題については、恐らくワシントンなどではよく了解しておられると思うのでありますが、何故にこの出先との交渉がかくのごとく難航をしているのでありますか、私には不思議でならんのであります。その点について安本のほうの御交渉は今日どういうふうになつておりますか、御説明を承わりたいと思います。
  14. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 今の加藤君の御質問ですが、今のは実は安本のほうから一つ御答弁をしてもらいたいのですが、今見えておられないそうですから……。今の何は私自身にも何でそれが関係方面で了解ができないのかに苦しむわけなんです。
  15. 加藤正人

    加藤正人君 ちよつともう一つ、大臣がお急ぎのようですからもう一言お伺いいたしますが、この二、三月危機は先ずなかろうというお見込でありますが、これはもうなかなかむずかしい問題でありますが、二、三月の危機大阪方面で言うのは今まで決済を延ばしていた手形決済期が二、三月に及ぶ、そのときにこの決済方法がなければそこに危機初めて現わるということを予想して言つておるんであろうと思います。要するにこの金融問題は成るべく業者間で相互扶助の美徳を現わして解決すべしというお話でありましたが、現に我々紡績業者輸出商社及び市中銀行と話しておるのですが、これは停頓して今は進んでおらないという状態です。そのことは問題が非常に大きいので最近一回の会合があつたときに輸出商社のほうから我々紡績業者のほうに、百五十億円だけを棚上げしろ、そしてそれをいつ決済するとも何らの説明がないということなんであります。こういうふうで、それは成るほど相互扶助の美徳をおのおの発揮すればいいのでありましようけれども、なかなかこれではできない。通産行政を掌つておられます通産大臣か誰かが大いに挺身してこの問題を扱つて頂きたいと、今日ではそういう段階ではなかろうかと私は思います。通産省はこの金融問題は大蔵省の所管であるからと言つて多少御遠慮になるようでありますが、この問題の起つておるのは通産関係でありますので、私は何らの御遠慮は要らんと思うし、大蔵大臣その人が最近大阪の造幣庁の貨幣大試験に臨場したときに言われた操短に関する意見のごときは、如何に大蔵大臣がその方面の知識を欠いておるかということを我々はあきれたのであります。その話は紡績業者間に今操業短縮が論議せられておるが、以ての外のことである。アメリカは物資が余つておるのでいいのである、日本もそうありたい、であるからどんどん生産して物を溜めたらいいじやないか、即ちこれが資本の蓄積である。若しそういうことによつて滞貨金融のようなものが必要ならば政府はどんどんこれを貸付ける、又貿易商社資金が足らなければ自力資本即ち増資をどんどん行え。これは誠に結構な話でありますが、大蔵大臣は毎年この貨幣大試験のときに行つてはこういうできないことを言われるのが吉例になつておりますから、私はそのくらいのことと思つて聞いておりましたが、今日のような疲弊困憊しておる貿易商社が増資をするといつても、誰がこれに応募するかというようなことは自明の理でありますし、どんどん滞貨に対する金融をするといつても、どこにどういう方法でするというような説明が何らない。なお原綿から製品に変えるということで、それが資本の蓄積であるというならば、誠にこれはおかしい話であります。日本に何らのプラスになりません。ただ売れない品物を余計に作つておくということであつて、物の形が変るだけであつて、それは何らの資本蓄積に役立つものではないと思うのであります。こういう認識を欠いておられる大蔵大臣だけに御遠慮してお任せになつてつては、百年河清を待つようなものである。私は繊維産業紡績その他についての主管大臣である通産大臣が、この際蹶起されて、或いはこの大問題になつております当面の金融対策審議会というような官民の会合を持つて、そうして相互扶助によるというようなことでなく、もう少し突き進んだ論議を交わしたほうが、問題の解決が早いのじやないかと私は思うのであります。そういう点について、何か審議会のようなことについてのお考えはどうでありましようか。それを最後に承わりたい。
  16. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 審議会云云につきましては、まだ何も考えておりません。問題にいたしておりません。なおこの解決のために微力の私が乗出してよければ、いつでも乗出すことにいたしますが、まだちよつと早過ぎるのじやありませんか。よろしく御激励を願います。有難うございました。
  17. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  18. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記を始めて下さい。
  19. 島清

    ○島清君 大臣がお帰りになる前に一言だけ、加藤さんの質問と大まかに申しますと関連をします問題についてお聞きしたいと思いますが、当委員会におきまして先般中小繊維産業危機打開策に関する請願を受けまして、それから福井の労働組合の諸君からその事情を聞いたんでございまするが、六項目ぐらいに亘りまして事情説明をお聞きしましたが、その内容につきましては、大臣も去年の十一月でございまするか十二月でございまするか、お越しになつたようでございまするからして、向うにおいでになりました際に陳情を受けられたと思いまするので、私はこの内容についての御説明はここで申上げる煩を避けたいと思いまするが、大臣が行かれた場合でもやつぱり労働組合の諸君から私たちが事情を聴取したと同様な陳情の條件はあつたと思うのです。そこで大臣がお帰りになりましてからも然るべくこの條件に同情的な御解決の手を打たれなかつたので、この福井の諸君が東京まで出て参りまして陳情をするという段取りになつたと思いまするが、大臣は福井まで行かれましてこの事情をどういうふうに観察をされまして、そうしてこの福井の、私たちが労働組合の諸君から聞いたような事情でございまするならば、又私たちは新聞を通じてよく知つておりまするので、こういつたような事情だと思いますし、当委員会といたしまして実情を調査にという一応委員会の決定を見ているわけでございまするが、こういう実情を御視察、御覧になりましてどういうふうな感じを持たれたか、それに対しましてどういう手を打たれたかどうか……。で、私が大臣の、この通産行政の面から福井のこの陳情を受けた問題を眺めますると、大臣は視察のしつぱなしでございまして、何ら手を打ちなさつていないように思えるのですが、若しそうだといたしまするならば、大臣はこの福井の人絹なんかはどうなつてもいいというお考えでおられるかどうか……。速記があつてなおお話しにくければ、只今加藤さんの質問にお答えなつたと同様に、福井の諸君もそう言つておる、五万台ぐらいの工場設備があると、そういうものに対しては何か一つ原綿糸の市価安定のために立法をしてもらいたいというような陳情もあるのですが、どうぞ一つ速記があつて言いにくければ外してもらつてざつくばらんに大臣としてのお考えをお漏らし願いたいと思います。
  20. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 私は福井に視察に行きましたが、まだ一カ月にならない……。
  21. 島清

    ○島清君 もう二月ですよ。
  22. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 一月の十六日です。
  23. 島清

    ○島清君 そうですか。
  24. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 又その後帰つて来て繊維局長にも福井はああいう事情ですから……そのときこの点を言つたのです。で、繊維局長或いは中小企業庁にもその旨はよくすぐ伝えて研究をさしておるのですが、ちよつと一カ月と三カ月と……私の怠慢を責められれば非常に問題があると思う。それだけ弁明しておきます。これは放つておるのではないのですよ。まじめに研究しておるのですよ、それは……。それは福井のまあ機が多いのでしようが、窮状はそれはもう今の大阪に少しも讓るところはない。而も中小企業が多いだけそれだけ苦慮しておりますが、まだ今ここでそれの対策について私申上げる程度に至つておりませんから、暫らく御猶予を願つておきます。ただ組合員諸君の言われることも如何にも御尤もで、私ども意外に思うほどあすこは低賃金になつておるのですね。そのときに組合諸君は、我々労働組合でこの工場なら工場、企業なら企業を保証をするからして、それを認めて、金融の途が開けるように努力をしてくれという熱心な意見がありました。で中小企業だけじやない、大企業でももう倒れる寸前になつてつたものが、労働組合の、何と言いますか、覚醒と言いますか、奮発によつてそれが回復した事例はたくさん私は知つておるのです。非常にこれは有難い。だが金融業者金融を考えるときに、そういうことは参考には当然すべきだと思うのですが、法的にそういう何ができるかどうか、これはまだ大分問題が残つておると思うております。これも事務局のほうに移しております。まあこのくらいで今日は一つ……。
  25. 結城安次

    ○結城安次君 通産省審議会が幾つあるか、ちよつとお伺いしたいのですが……。それではよろしうございます。大臣は審議会というものはどうお考えになるか。私は現在までの観念によりますと、審議会というものは、役所が本当に民意を問うための審議会でなくて、役人が自己の責任を審議会に転嫁するということのために利用されるほうが私は多いと思う。昭和二十二年以来できた審議会は私はずつと見ております。どうもあらゆる点で、つまり民心と申しますか、何か産業自体の本来の姿を考えずに、或る方面の運動か或いは御自身の考えか存じませんが、いわゆるおもねるといいますか、頼まれたものを果すというか、それを審議会の名前に託して実施したのが多い。いわば審議会の委員というものは責任はありません。簡單に言うと、先生方は審議会が済めばおしまいです。それですから、審議会の答申に対しては殆んど責任を負つていません。過去の審議会の委員は自己のやつたことについて現在の情勢がこれに対して惡かつた場合に、あのときの答申は僕は責任を負わなくちやならん、僕は自己の仕事或いは一切から退職すると言つた人は一人も聞きません。どうも今の審議会の多くは、役所から、これは惡いことですが、活用されて、役人の責任逃れの場所のような気がする。現在審議会が幾つもありますが、私は指摘しますが、ややその傾きが多いと思う。審議会に対しては大臣はどうお考えになるか、お伺いしたい。
  26. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記をやめて。    〔速記中止〕
  27. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記を始めて。  只今油井君から大臣に対して委員外の質問を簡單に行いたいという申出がございましたが、これをお許しいたしてもよろしうございますか、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないと認めます。油井君。
  29. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 実はちよつと私体が惡くて、簡單に……。
  30. 油井賢太郎

    委員外議員油井賢太郎君) この際政務次官がおいでになつておるし、又繊維局長も見えておられるので、貴重な時間をちよつとお許し願つて質問させて頂きたいと思います。  実は先ほど島さんからも話があつたようですが、我が国輸出貿易で以て相当ウエイトの重いいわゆる繊維事業についての政府の考え方と方針について御意見を承わりたいのであります。それは福井あたりからも盛んに言われておるようですが、日本輸出の絹織物というものに対しまして、最近の状況を見ますというと、全く飢餓輸出そのもののような状態を現出しておるのであります。御承知のように商社が大分潰れまして、そのために金融等の関係から投売りをする、まあ繊維品の投売りによつて結局生産地の業者、生産業者というものは原料と引合わないような製品をどんどん作つて出さなければならないというような状態になつております。一例を申しますというと、輸出羽二重のごときは一匹四匁羽二重というものが大体七百円見当の工賃がなければならないのに、三百五十円乃至四百円であくせくとしておりながらこれを海外輸出せざるを得ないというような状況になつておる。而もこれを統制すべき、或いは計画生産をすべきようなことは許されておらない。こういうふうなことになつておるのですが、政府の根本方針としてどういうふうに考えておられるか。殊に繊維局長あたりはこの点については十分御検討になつておられると思うのでございますが、この際御意見を承わつておきたいと思います。
  31. 本間俊一

    政府委員(本間俊一君) お答え申上げたいと思いますが、先ほど大臣も御答弁いたしたのでございますが、まあいろいろな国際的な関係などもありまして、御承知のような苦境になつておるわけでございますので、今政府といたしまして考えておりまするのは、やはり根本的にはどうしても需給の関係を考慮しなければなりませんので、その方面からと、当面の金融問題をどうするか、この二つの方向から考えておるのでございますが、すでに設備ができ上つておりまするものにつきましてどうするかということは、いろいろな関連もございまするので非常に困難な問題でございますが、取りあえず新らしい設備に対しましては法的措置是非とも講じなくちやならんという考えで只今進んでおるような次第でございます。それから福井県の例も御引用になつての御質問でございますが、これは福井県ばかりではないのでございまして、関東地方にも同様の問題がございます。ところがいろいろ調査をいたして見ますると、組合化されております所もございまするし、又業種によりましてはまだ組織化されない、組合化されない面も実はあるような次第でございまして、仮に私どもが所管をいたしておりまする中金から金を流すという場合を考慮いたしましても、組合化されてない所には流れないわけでございまして、なかなかそういつた実情にございまするので、対策も従つてむずかしい状況になつております。そこで是非とも県当局のほうとも相談をいたしまして実効の挙る一つ方法を考え出そうというので、只今繊維局のほうで案を練つておるような次第でございます。
  32. 油井賢太郎

    委員外議員油井賢太郎君) いや、私の質問はですね、金融対策ばかりで以て輸出貿易の飢餓輸出というものを防止することができないのじやないか、もつと根本的方策を立てなくてはならないのじやないかということを承れつておるのです。一体金融を幾ら図つたところで、今言つたように損をしながら……大体本間さんも隣県人の関係を御存じでしようが、福島県の川俣あたりに行つて輸出羽三重を売つておるような機業地に参りますと、月に二千円、二千五百円くらいの工賃しかもらつておらないのであります。どんなにみじめな状態であるかということははつきりわかつておるのです。そういう地方の人々の血と汗の結晶がダンピングとして海外に出されてドルを稼いでも何にもならないのじやないか、輸出羽二重のごときは五十億円から一種類でも出ておるという形です。それに対して日本人が非常な労力を無駄に使つて輸出増進しなくてはならないということではこれは何にもならない、それに対する政府としてのお考えが何かおありになるかどうか。この間、正月政務次官はたしか神戸で以てラジオ討論会等において貿易対策を御発表になつておられたけれども、もう少し突つ込んだ、掘り下げた対策を一つこの際おありかどうかということを承わりたいのです。
  33. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 只今川俣のお話などございましたが、現在行われておりますダンピングの傾向はむしろ需給の関係よりも金融相場、換金のための投売り、例えばLCを得ますると、それを銀行へ持つて行けばLCならば金融がつく、従つて一刻も早く投売りをしてLCを獲得し、これによつて金融をつけて次の差迫つておる手形決済して行くというふうな手段に講じられておると思うのであります。従いましてこれの根本はやはり金融問題を解決しなければならない。そのためには結局産地の方面の金融もさることでありますが、やはり輸出商社の方面の金融ということを先ず考えて行かなければ根本の解決にはならないというふうに我々は考えておるわけであります。勿論これが或る程度進展して参りますと、今度は生産量の問題にも絡んで来ることですから、そういう際におきましては、やはり生産調整の問題なり、或いは現在やつておりますが、軽目羽二軍等について、マフラーその他につきましてチエツク・プライスという制度をとつておりますが、こういう問題を解決するなり、或いは輸出組合が幸いにして承認を願うというようになれば、この方面から輸出調整をするというふうなことも考えて参らなければならんというふうに考えておる次第であります。
  34. 油井賢太郎

    委員外議員油井賢太郎君) 私は今の問題について政務次官のいわゆる金融だけの対策で以て切抜けられるかどうか、この点について簡單に御返答願います。
  35. 本間俊一

    政府委員(本間俊一君) 御指摘のように、需給の関係を離れて根本的な対策がないのでございまするが、御指摘のような需給の関係調整をするという考えで只今案を練つておるようなわけでございます。で、先ほども申上げましたように、新設の設備に対しましては、ほぼ関係省の間に意見がまとまりつつありますけれども、既存の設備につきましてはまだ話合いがまとまらない段階にあるのでございますので、その旨を先ほど申上げたような次第でございまして、決してこの問題は金融だけで解決するというようなふうには考えておらないことを申上げたいと思います。
  36. 油井賢太郎

    委員外議員油井賢太郎君) それでは具体的に、先ほど申しましたように極く零細企業家というのは工賃が低くてもやつて行けるのです。むしろいわゆる中小企業の、中の部に属するほうになるというと、これは相当の経費がかかつて、到底零細企業とは太刀打ちできないというので、中企業が最近倒産、破産を来たしておる例が多いのですね。結局さつき私が引例を申しましたように、普通なら七百円工賃がなくてはならないのを、三百五十円、四百円でどんどんやつているという零細企業者があつて、その零細企業者の、いわゆる労働基準法や何かにかからないところの事業が標準になつて輸出産業というものが行われるのでは、これは飢餓輸出にならざるを得ないのです。これに対して政府は対策がおありかどうか。
  37. 本間俊一

    政府委員(本間俊一君) お答えをいたしたいと思いますが、実際は御指摘のような面もありまして、なかなか中小のかたがたの組合化と申しますか、組織化と申しますか、というようなものが思うように、まあ進んでおらないような状態でございます。そこで私どもといたしましては、只今小規模にやつておられる機屋さんを直ちにその操業をやめさせるというような考えは持つておらないのでございまするけれども、中小の企業者に対しましてはできるだけ組合化と申しますか、組織化を慫慂いたしまして、促進をいたしまして、そうして全体を睨んで対策を講じたい、こういうふうにまあ考えております。従つて、今直ちに、例えば飯能で機屋をやつておるというようなかたがたの営業を今直ちにとめるというふうには考えておらない次第でございます。
  38. 油井賢太郎

    委員外議員油井賢太郎君) そこで政府の対策として今の自由放任経済主義を、この輸出産業に限つては何らかの方策を立てて行きたいと、こういうふうに考えていいのですか。
  39. 本間俊一

    政府委員(本間俊一君) そういうふうに考えてよろしうございます。
  40. 油井賢太郎

    委員外議員油井賢太郎君) その具体的方策をここでお示し願えれば幸いですが、例えば昔の同業組合みたいなものでしたら、加入脱退がこれは自由ではない。それから、処罰規定も相当あつたのです。現在そういうものは何にもないのです。そういうことについて具体的な方策を考えておられるのですか。
  41. 本間俊一

    政府委員(本間俊一君) 協同組合法の問題に関連をいたしましても、只今申上げるような問題がございまするので、御指摘のような点も含めまして只今研究いたしております。
  42. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  43. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記を始めて下さい。
  44. 島清

    ○島清君 この機会に私、アルコール工場の払下の問題についてちよつとお聞きしたいのでございますが、今、政府が持つておられるところのアルコール工場の十一工場でございまするが、それを払下げるという御方針の下に、その一部工場が払下を見ておるようでございますが、この北海道の工場が払下になりましたのが二十六年の六月ですか、六月に払下になつた工場が十二月にこれを閉鎖いたしまして、而もその工場に働いておりましたところの労働者の諸君の給料に対しても遅配欠配を続けて、それで閉鎖をいたしております場合でも、いわゆる労働法規なんかに規定されておりますところのものを履行しないで、遅配欠配になつてつて、その給料だけでやめさせておる。まあこういうような実例もあるようでございますが、この問題は労働委員会の所管に属しましようからして、私は労働問題を内容とする問題には触れませんが、払下になりまする場合、六月に払下げて十二月に閉鎖をしなければならないというような、人か法人か知りませんが、に払下げるということについては、どうも世間の疑惑を受けますので、ここらのいきさつについて御説明を承わりますと同時に、更に私はこれは只今申上げた通り、この従業員に対するこういう取扱というものは、これは当然に労働問題として重要問題だと思うのですが、なぜこういつたような、人といいますか、法人といいますかに、世間の疑惑を受ける事態を招来するような払下の仕方をしたかどうか。それからあと未払下になつております工場に対しては、どういうような考え方を持つておられるかどうかというようなことについて、ちよつと御説明をお聞きしたいと思います。
  45. 本間俊一

    政府委員(本間俊一君) アルコール工場の払下が実は閣議できまりましたのは、二十五年の八月でございまして、お示しのように二十六年度の六月に払下をいたしたのでございますが、会計法上の規定がございまして、払下をいたしまするときには、競争入札をやるということになつておるものでございまするから、実はその当時、その規定に従つてつたのでございます。ところが、御指摘のように工場の経営がうまく参りませんので、十二月に閉鎖をいたしたのでございますが、これは当然まあ役所のほうとしても責任を感じなければならん問題でありますので、賃金の問題は斡旋をいたしまして、そうして解決をして、閉鎖をしておつたというふうに私ども聞いておるのでございますが、その賃金の問題につきましては、なおアルコール課長からでも詳細に御説明いたさせたいと思います。それから更に工場を払下げたいということで、只今いろいろな研究をいたしておるのでございますが、北海道の例もございまするので、できるならば一つ確実な団体なり公共企業体なりで円滑に経営の参りまするような話合いと申しますか、交渉と申しますか、これを一つ十分つけ得ました上で措置をいたしたい、こういう考えで只今この問題を研究いたしておるような次第でございます。
  46. 井上猛

    説明員(井上猛君) それでは、只今政務次官からお話になりましたことをちよつと附言して申上げますが、北海道の二工場払下に際して一応買受人に当つたわけでありますが、その後金融のほうはなかなかむずかしくなりまして、結局六月払下げしまして七月以降賃金の遅払いという恰好になつておるわけであります。いろいろ金融機関とも折衝いたしまして、十二月十五日分までの遅払い給料を一時融資して頂きまして、組合のほうも今後の工場の再開の見通しというものが今のところなかなか目途がつかないということで、失業保險を受けるという点もございまして、むしろ組合のほうからこの際遅払い給料をもらえば一時全部退職しまして、再開に至るまで失業保險に頼る、こういうふうになつて一応解決したようなわけでございます。
  47. 島清

    ○島清君 今政務次官からの御説明によりますと、会計法に縛られてどうしても公入札しなければならん、こういうような主義でよんどころなかつたという御説明でございましたが、将来の問題は北海道のこの事実に鑑みて経営の可能な団体等に対して払下げたいというような御希望のようでございますが、誠に趣旨結構でありますが、これは会計法を改正しないでそれがやれるわけでございますか。
  48. 本間俊一

    政府委員(本間俊一君) これは会計検査院のほうと、大蔵省のほうと相談いたしまして競争入札をいたします場合に、大体何と申しますか、人数を限定すると申しますか、そういうような方法もあろうかと思うのでございまして、まだどの地域ということもなかなか実はきめにくい情勢になつておりますので、まだそこまで進んでおりませんが、是非とも北海道の失敗を繰返さないようにしたいという気持で只今おるような次第でございます。
  49. 島清

    ○島清君 是非そういうような御配慮の下で御処理願いたい。これはお願いしておきます。
  50. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 本日はこの程度で散会いたします。    午後三時三十三分散会