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政府委員(
松尾泰一郎君) 前段におきまして御
意見のありました
輸出組合にも参加しないような
業者が悪いことをするのではないかというふうな
お尋ねかと思いますが、その点は第
二條、三條、四條を御覧願えればおわかりになると思うのでありますが、先ず
工業所有権又は
著作権を侵害する
貨物或いは原産地の虚偽の
貨物なり或いは
契約内容と著しく違うような
貨物を出したというような場合を、不公正な
取引といたしまして第三條におきまして不公正な
輸出取引をしてはならないという縛り方をしているのであります。若しそういうような
違反がありました場合には、戒告いたすなり、或いは戒告してもなお
違反するような
業者に対しましては、
一定の期限を限りまして、
貨物の
輸出停止を命ずるというような
方法をと
つているわけでございます。これらは
輸出組合ができなくても或いは
輸出組合ができた場合におきましても、
アウトサイダーは同様にこの
規定の
制約を受けるわけでありますので、できるだけこの
二條、三條、四條の
運用を円滑にしますために、今言いましたような悪意ある
取引といいますか、
海外にいろいろ問題を起すような
取引はこれでかなり防止できるのではないかと考えます。但しこれは根本は
輸出貿易業者或いは
輸出業をや
つている
製造業者の
良識に待つことが多いのでありまして、こういう
條文でこういう場合はいけないとしましても、なかなかその裏も出て参るかと思うのであります。なかなかこうい
規定をいたしましてもこれで全部がうまく行くかと言えば、必ずしもそうならんかと思いまして、根本的には
業界自身の
良識に待つほかいたし方ないと思いますが、
法律條項といたしましては、そういうふうな不公正な
輸出取引を一々列記いたしまして、御注意を願うというふうな
建前にいたしておりまするので、今後はかなり今
海外において若干起
つているような
非難の解消に役立つのではないかと思うわけでございます。
それからこの例えば
輸出業者の
協定、或いは
輸出組合の
結成等によりまして
国民生活に対する
影響はどうかという点、或いは
国内物価に対する
影響はどうかという
お尋ねでありますが、第五條なり、或いは第十一條の第二項等を御覧願いますればわかりますように、こういう
業者が
価格或いは
数量、
品質等について、
協定をし、或いは
統制をする場合は止むを得ない場合に限られているのであります。今も
お話にありましたように、非常に買叩かれをするとか、或いは
安売をやる結果といたしまして、
取引ができなくなるとか、或いは
余り安売をするために、
関係産業の利害と衝突をしまして、
輸入制限とか、
関税引上を誘発するような、いわば止むを得ない場合において、自己防衛的にそういう場合にのみこういう
業者の
協定なり、
輸出組合の
統制なりが発動をするわけでありまして、無暗にそういうことをやるわけでもございませんので、
一般の
国民生活に対する
影響というものは、我々としては
余りないのではないか。
経済というものは関連がありますので、若干の
関係も、
影響もあるかと思いますが、まあこの
輸出部面のこういう
調整がすぐそれは
国民生活に非常な
影響を及ぼすということは先ずないと見たほうがいいのではなかろうかというふうに考えております。従いまして
物価の面につきましても、
輸出業者なり或いは
輸出組合なりがこういう
価格の
調整をいたしました場合に、それが
国内の
物価を非常に引上がるような恰好になるかというとそれはそうでないので、
国内の
物価がどつちかというと非常に下り過ぎている。
下つた結果といたしまして
海外に非常ないろいろ
関係産業に
影響を与えるし、
あとから
あとからと値が下
つて、
向うの
輸入業者が困
つて、
却つて日本の物を買わないということを
一定の線で以て防止しようというふうな実情でございますので、
国内の
価格を釣上げるために
輸出業者が
協定をするとか、
輸出組合が
統制をするとかいうことは、これは法の
違反でもありましようし、そういうことは勿論許されるべきではございませんので、繰返し申上げますように、そういう止むを得ない自己防衛的な場合にこの
価格なり、
数量なりの
協定をいたずのでありまするので、その結果として
国内物価を釣上げ、
一般の
消費生活に
影響するということは先ずないと申上げたほうがいいのじやないかというふうに考えます。