○
委員外議員(
新谷寅三郎君)
委員外の
質問をお許し願いまして有難うございます。先ほど来
運輸委員のかたがたから御
質問がございましたので、大体私のお聞きしたいところも尽きておるのでございますが、ただ
一つ二つ、これは
運輸大臣と
大蔵大臣に主としてお尋ねしたいことでありましたが、
大蔵大臣がおられませんので、主管の
政府委員からでも結構でございますから、お答え願いたいのであります。申すまでもありませんが、
運輸大臣は先ほど、
日本の海運業の
自己資金の
造成を図り、資本蓄積をやらせるということを主にしてお
考えにな
つておるようでありますけれども、私は海運政策の
見地から見ますると、どうしても
只今の
日本の海運の現状から参りますると、今後
日本の海運が国際的に進出いたしました場合に、どういうふうな
方法で外国船と対抗して行くかという
対外競争力の問題、これを主として
考えなければならんと思うのであります。お調べでありましようが、本日頂きました
運輸委員会からの資料の中にも若干載
つておりますが、戦後
各国共非常にたくさんの船を造
つておりまするけれども、それぞれ我が国と違いまして、非常に海運に対しましては直接、間接の保護政策をと
つておるのであります。イギリスのごとき、ここに書いてありまするように、戦後数百万
トンの船を造
つておりまするが、定期船方面におきましては、イギリスの平均船価というものが、現在邦貨に換算いたしまして二万八千円くらいにな
つております。不定期船方面におきましては、平均船価が一万七千円くらいにな
つておるのであります。これは申上げるまでもなく、初年度において船価の四〇%までの特別償却を認めておる、そういつた政策が反映しておるのであります。
日本の船価はこれに対しまして、この調べによりますと、現在総
トン当り外航船で六万八千円と書いてありますが、これは恐らく小型の近海の外航船も入れたものと思います。本当の遠洋に出まする航洋船、これを見ますると、私は目分量でありますが、恐らく八万円は超えておるのではないかと思うのであります。こういうふうに世界の海運に比較いたしまして数倍の船価を持
つておる
日本の海運を今後どうして国際的に進出させるか、これは大問題だと思うのであります。のみならず、その他の条件としましても、例えば
船舶金融に関する金利のごときは、
日本は世界一高いのであります。イギリス、アメリカその他の海運国に比較することはできないのであります。こういうふうな惡条件を持
つておる
日本海運であり、而も船価が高い。このままではちよつと世界の海運市況が変
つて参りまする場合に、先ず繋船を余儀なくされるのは
日本船であります。早く今のうちにこの高船価を低船価に引下げる政策を、これは
政府全体としてお
考えにならないと、折角船をお造りになりましても、船は航行できないということになるかと思うのであります。でありますから、
運輸大臣、
大蔵大臣が、單に
運輸省或いは
大蔵省の
見地からでなしに、
日本の海運を育成して、そうして国際収支の改善を大いにやろう、或いは貿易に寄与しようというような大きな
見地から見まして、この海運を育成するのに、
対外競争力を培養するのに、どういうふうなお
考えを持
つておられるかということについて、これは根本的にお聞きしなければならんと思うのでありまして、その
一つの問題は、この
企業合理化促進法に関連する問題であると思います。でありますから、
運輸省が、今
大蔵省の
政府委員の言われますように、果してここに船が
適用されないという場合には、これに代るべきもつと広汎な海運の再建法と申しますか、そういつたものを用意される御意図がありますかどうか。若しそうでなければ、これは少くとも最小限度この合理化法に
従つて、海運も早く船価を切下げて、外国に出られるようにしておかなければいけないという結論になるのであります。その点
運輸大臣にお伺いしたい。それから、先ほど
政府委員のほうから御
答弁になりましたが、現在一番必要である貿易収支の改善にどの
程度役立ち得るかということも非常に大きな考慮、要素にな
つて、各種
産業を指定されるようでありますが、そういう
見地から申しまして、少くとも貿易外収支で仮に五〇%くらいの輸入物資を
日本船で運ぶという
前提に立ちましても、年間二億ドル以上の運賃をかけて来ないとその
程度にならないのでありますが、こういつた重要な国際収支に
関係のある海運に対しまして、これを除外しなければならんというのは、單なる今の
税収の問題だけでありますか、その他の問題も何かお
考えでありますか、その点を明瞭にお答えを願いたいのであります。單なる
税収の問題でありますれば、これは又
考えなければならんということになるかと思いますが、その他の理由がおありになるのでありますか、その点をお伺いしたい。