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吉川末次郎君 始まりには、現在の
自治体警察をむしろ
国警よりも重点を置いておる。現行
警察制度の精神は、日本の民主化を実現するということのためには必要である、だからその方向に推進したいというふうに
考えておるというような御答弁があ
つて、だんだんと
質問して参りますと、もう一、二回の
質問のあとには本心多お出しにな
つておる。しつぽがすでに出ておるのであります。今のお言葉の中には、
自治体警察は日本の国情に副わない、そうしてその理由として挙げられるところは、住民が勝手にそういうことをきめたのであ
つて何も
政府がそういうことをしたのではない、これ又非常なる欺瞞でありまして、これはあなたはおいでにならなかつたと思いますが、
斎藤君の前にはたびたび私は今まで言うたことでありますが、住民投票というものが、丁度ワイマール
憲法下において、ヒトラーが人民主権を
規定したところのワイマール
憲法の形式だけをうまくつかみまして、そうして議会政治を通じて、多数の投票という形で以て独裁権というものを確立したのと同じに、日本の封建的な残り滓的な観念が
国民の間に強く根ざしておる。殊に
地方の小
都市や或いは農村にそれが頑固として根を張
つておるのに乗じて、そういう形だけの民主的な住民投票という欺瞞を通じてあれをおやらしに
なつた。若し民主主義を育成して行きたいというならば、その
自治体警察について、能率の上からいろいろ機能の阻害を来たすようなことがありますならば、他の方法で幾らでもこれは私は矯正して行く途が
考えられるし、或いは
財政的の面からも、或いは附近の
自治体警察を共同させて、その地域でその機能を発揮させるというような方法も
考えられる、いろいろな方法が
考えられると思うのですが、そういうことを少しも
考えないで、何らかの欠陥が暴露されるというと、直ちに奇貨措くべしとして、そうして
自治体警察を廃止する方向に行く。今のあなたのお言葉つの中にすでに出ておる。
自治体警察は日本の国情に合わん、それがあなたの御本心、吉田
内閣の御本心なんです。そういうような本心で、そうしてただ
国民をごまかすために、ああいう住民投票というような制度をとつたに過ぎないのです。而もあなたは、この現行
警察制度を飽くまでも育成して、民主主義の発展に資さなければならんという見解をおとりになりますならば、又
政府はそういうことを、それに反対するような方向に
警察制度の改革を
考えていないとおつしやいますが、あの
警察制度は
政府案として出されたのであります。
議員案として出されたのではない。我々が出したのではない。
政府が出して来たのです。
政府が
自治体警察を一年の間に八割までは廃止することができるところの
法案を
政府みずからが出して来たのではありませんか。そういう行動をしながら、千三、四百ほどの
自治体警察の中の千百足らずまで一年の間に廃止するような
法案を
政府みずからが出しておいて、
自治体警察を育成するのであ
つて、
自治体警察を廃止するということは
考えていないということがどうして言えるか。又
公安委員会の廃止の問題についてもそうであります。今日の
警察制度の基本をなしておるところは何でありますか。
自治体警察と
公安委員会です。警察行政の対象になるところの人民が、警察官吏というものを
指導するところの立場に立つということであります。バイ・ザ・ピープルのポリスであるということです。それが即ちデモクラシーの上に立つところの
警察制度の基本的な精神であります。ところが
自治体警察に対しては、今あなたがしつぼをお出しに
なつたように、これは御反対であります。
国警一本化にしたいというところの本心は、今の御答弁に完全に暴露せられておるのであります。
公安委員会についても、或いは行政
委員会というものは、これはあなたは日本に合わんものである、つまらないものである、よくないものであると御答弁に
なつたのであります。アメリカにおいても行政
委員会というものが非常に批判の的にな
つておるということをお言いになりました。非難の的にな
つておるのではない、批判があるということは、私も多少存じております。併しながら私はそういうことを答弁いたしました野田君にもそのときにいろいろな
資料の提出をして、軽率にそういうことを申したことは、何らの根拠のないところの
政府当路者の、アメリカの
行政組織に対するところの無知識の暴露以外の何ものでもなかつたということは、その後におけるところの
内閣委員会の
審議の状況、我々から提供いたしました
資料、我が党から出ておりますところの
内閣委員会の諸君等の活動を通じて、又その他の会派の諸君の活動を通じて、野田君のその暴露いたしましたところの、アメリカの行政
委員会に対するところの無知です。そういうことと、更にしんにゆうをかけたような無知に根ざして、今あなたは
公安委員会の廃止的な
意見を述べていらつしやつた。これこそは私は民主主義を否認し、現行制度の基本であるところの
公安委員会も、
自治体警察も否認して、
最初に私の
質問いたしましたところの、戦前の
警察制度への復帰、
国警一本化ということをあなた自身が今私に御答弁にな
つておるのであ
つて、私はそのように解釈いたします。なお私の解釈に対して御不満がありますれば承わりたいと思います。行政機構の、行政
委員会に対するところのアメリカには非常な批判があるということであります。それはあります。一部あります。併しそれは全部を支配するような
意見ではありません。フーバー
委員会というものが、戦時中の行政機構の拡大化されたものを整理するために、フーバーが
委員長になりまして、いわゆる行政整理の
委員会が開かれて、そうして各方面に亘
つていわゆる行政整理が行われたのであります。その一環といたしまして、行政
委員会に対するところの批判があつたことは、それは事実であります。併しながら野田君が無知を暴露いたしましたように、あなたもまたそれに対するところの、失礼ですが無知を暴露していらつしやる。あなたの無知を証明するところの
資料を持
つて来いと仰せられますならば、私は今すぐには出せませんが、幾らでも
資料を出します。それは非常な間違いであります。そういうことはありません。又そういう見解をとられるならば、明らかにそれは
自治体警察と
公安委員会のその根本の精神にしておるところの現行
警察制度の全面的な否定そのものであります。