○
政府委員(柴田達夫君)
川本さんから御
答弁がございましたように、今の補足的な又御
説明によりまして、必ずしも対峙の場合だけではないという御言葉でありますが、やはり私はこの問題はいつまでも抽象的なことになるかも知れませんが、それからやはり具体的なケースも割切
つて行かなければならんと思うのでございますが、その第一段階のほうの
援助を求めた場合、やはりその
援助を求めたことが
職務執行上必要であるとみられるかどうか、
川本さんのお答えの
通りみられるかどうかということから
一つは割出さなければならないのじやないかと思うのです。確かに今のメーデーの騒擾の場合に全く戦闘力と戰闘力の対峙というような場合におきまして、こんな時に無事の民衆に
援助を求めて、
却つてこれに迷惑をかけたり不測なけがをするかも知れない、つまり
援助を求めた結果、応援した民衆は犠牲者を増すばかりだ、犠牲者を民衆の中に出すばかりだという時に、
援助を求めるということは
警察の本来の民衆の生命財産保護の
職務から申ますれば妥当ではないということが申されると思うのであります。補足的な御
説明にありました乱闘中の場合でも、もはやこの場合が一般民衆の出入を禁じまして交通を止めましてそうして
一つの局地的な地域というものを、全く
警察力が暴徒と対峙或いは入り乱れる場合もありましようが、鎮圧に当るという場合にむしろその一種の臨戰地帶のような区域にたまたま出くわして保護しなければならない民衆に
援助を求めるというようなことが妥当かどうかということになりますれば、多くの場合、そのような事態を
考えますならば妥当ではないのじやないかと思うのであります。ただいま一点は、この
法案の趣旨は、
援助を
警察官が求めた場合に、民衆側が何ら、この
援助の求めに応じてそれを助けなければならないという義務を負
つておるわけでは全然ないのであります。危
なつかしいことに何も手を出さなければならない義務があるわけではございません。にもかかわらず危急の場合に
警察官が
援助を求めたことに対しまして、自発的にその
援助の求めに応じて助けたという結果、そのためにけがをしたというような場合には、如何にもそれは気の毒だということから
災害給付の
法案を作るという趣旨があるのであろうと思うのであります。従いまして第一段階として、不当な
援助の要求があれば、これはもう全部駄目になる、併しそれは止むを得ない
援助の要求であ
つたと思われるというような場合におきましては、これを
援助したものはこの
災害給付のやはり
対象になるということになるかと思うのであります。第二のお尋ねにありましたむしろ気を利かして、見るに見かねて助けたという場合が一体入るかどうかという点につきましても、その見るに見かねたという事態が、全く危險なるところへみずから助ける必要もないのに助けたというような事態であるとか、或いは全く
一つの危急の場分であ
つて、
警察官は
援助の依頼ができないというような事態と見て助けたかということによ
つてきまるのであろうと思います。非常に個々のケースに当てはめる
説明としては右か左かに断定することはいたしかねるかと思うのでありますが、やはり個々のケースに
当りまして、
職務執行上の必要から
援助を求めたことが、執行上の必要と果して見られるかどうか、又民衆側がこれに協力
援助することが相当と認められる場合ということで、
援助したということが相当と認められるかどうかということは、やはり解釈の問題についてここに認定をしなければならない問題で、元来非常にむずかしい問題と思われますが、例にお引きになりましたようなメーデーの
一つの規格を決めて、あの現実のあの日の場合のように、皇居前の広場の中へ
警察力で、むしろ民衆に迷惑をかけないように両方が対峙し、或いは入り乱れてやるというような場合には、
職務執行上の必要ということはむしろ趣旨が合わないのじやないかというふうに私は
考えております。併しこれが又別なケースで、例えば犯人は非常に凶暴だけれども曾
つてありましたように、千葉県の鬼熊というふうな者がおる。これが山の中に入
つてお
つて、民家を荒して又次々と凶惡なる犯罪を繰返すという場合におきまして、別にこれを山狩りをして一緒にや
つてお
つてもその民衆が被害を受けるわけではない、こういうような場合に鬼熊が現わて或る
警察官が危急に瀕したというような場合であれば、これは当然
援助を求めた結果助けたというようなことならば、これは明瞭に該当すると思います。非常に抽象的で御満足ができないかと思いますが。