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衆議院議員(
小澤佐重喜君) 次に
無料葉書の問題ですが、
現行法では、三万枚の
候補者のほうに
衆議院では提供することにな
つております。この問題も、
衆議院といたしましては、三万枚を存置すべしという
意見と、全廃すべしという
意見と、その中をと
つて、一万か一万五千ぐらいを残すほうがよかろうという三つの
意見がありました。その
理由は、三万枚あ
つても、どこの
選挙区にも有権者が約三十万から四十万くらいあるのだから、それに全部出せないものを、三万枚ぐらい出しても中途半端だ、それからこの葉書をもらうために、筆耕料が非常にかさむという
意見がありまして、廃止する
意見のほうが多かつた。併し折角
公営の郵便葉書を断わるというのもおかしいじやないかという
意味から、一万枚にしたのでありますが、ところが
選挙事務のほうで聞いて見ますと、この葉書の十五万円というのは、一番大きな国家の支出にな
つておる。一人十五万円ずつの支出でありますから、
候補者全部に出しますから、非常な国費の負担にな
つておる。そこでそういう
意見もありましたが、それでは全部廃止するということも困難であるから、一万枚にしまして、二万枚を節約しますと、相当の金額が、国の
費用が浮いて来るわけであります。その
費用で公報のほうの改善をいたしまして、従来の五百字というものを千五百字にし、でき得るならば、簡単な
政策ぐらいは表示できるというような公報にしたらいいじやないかということで、今のような三つの
意見がありましたが、結局三万枚を一万枚に改めるような結論に達したわけであります。
二十二は、
文書図画の問題でありまして、この問題につきましては、
全国区
参議院議員のほかは一切
ポスターを廃止する。これは
演説会の
告知ばかりでなくて、立
候補者の
ポスターも廃止するという建前で進んで参
つたのであります。ところがいよいよ
演説会を開くことになりまして、
個人演説会を……
立会演説会は
公営でや
つてくれますが、街頭はそれは要りませんけれども、
個人演説会を開く場合において、単純な、自転車で、今晩はどこの会場で
演説会がありますという宣伝だけではどうも心細いのじやないか、やはり新らしく
立候補する
候補者もありますから、一カ所に対して十枚ぐらいを
公営で出すのが至当じやないかということにな
つて、最終的に、一カ所十枚、合計四百枚というものを、
立候補と同時に
選挙管理委員会は
演説会の雛型を作
つて、場所と日時と名前だけを除いたものを
公職選挙法の
改正で各
候補者に与えるという結論に
なつたような次第であります。それからこの
ポスターを廃止いたしましたから、
従つて立候補を
公営による
掲示板において
掲示しなければならんのでありまして、従来はこの点は
費用の点からまちまちであります。例えば紙に名前を書いたり、或いは板でなく、不完全な、雨が降れば倒れてしまうというようなものもありましたので、こういうものを拡充して、適当に、板に消えないような墨で書いて、完全なものを立てる。又箇所も殖やすというような
意味で、
ポスターを廃した代りに、宣伝方法を
公営によ
つてこれを拡充しようという考えの下に進んで参
つております。それから勿論
全国区
参議院議員の問題は、どうしても
ポスターを廃止することができないということは、何しろ一村の三カ所或いは四カ所或いは十カ所で、三百名以上の
全国区
候補者を掲げるということは、事実上
公営ではできない。こういうような考えで、最近
全国区参議院のかただけは従前
通りにやる、
地方区でありますれば、立
候補者がありまして、大体定員が一人ぐらいのところが多いのでありまして、多くても三人か四人でありますから、
候補者が倍出ても、十人以内でありますから、これなら
候補者の
掲示ができるというので、そうした
選挙費用の節減の
意味で
ポスターを廃止したのです。
二十三は、
新聞紙、
雑誌の
報道評論の自由でありますが、これは非常に大きな問題を起しております。つまり当初取上げました
理由は、どうも
現行法では、
新聞紙法というものがなくな
つておりまして、
選挙が始ま
つてから、何何新聞という新聞を
一つこしらえて、そうして自分の利益のような宣伝をしてもいいし、例えば自分の応援に誰が来る、有名な人が来るという場合に、それの号外に名前を、
小澤候補のために誰々来るというように号外でも出すと、こういう宣伝ビラ等の
文書図画を
禁止しておりながら、新聞を悪用することによ
つて、特別の一定の
候補者だけが利益を得ることにな
つて来るから、何とかそうした脱法的な、或いは新聞を目当てにして金儲けをしようと、こういう新聞の
制限が必要じやないかという、これもかなり新聞社方面からも陳情があり、又
新聞協会からもいろいろな
意見がありましたが、その
意見を聞きつつ、この四つの条件に適したものは
評論ができるし、この条件に明らかに当てはまらんものは新聞の
評論はできないのだというような
規定がございましたが、この点については、大新聞社も相当反対をいたしております。反対をいたしておりますが、
委員会としてはこれでよかろうということに
なつたものですから、進んで参
つたのでありますが、恐らく本院に対しましても相当陳情があると思いまするが、何とか適当な方法で我々が希望しておつた点を補強しようと考えましたが、必ずしもこの四つの条項だけで私ども満足いたしておりませんけれども、どうもこれ以外にないものですから、この
程度にや
つたのでありますが、この問題につきましては、又本院で新らしい見地から御批判を願つたほうが結構じやないかと考えております。
それから二十四の
放送の問題でありますが、これは一時小
委員会の
審議過程におきまして、民間
放送をどうするかという議論が相当出て来たのであります。民間
放送を
選挙運動に使用するかしないかということは、非常に大きな問題になりましたが、いやしくも公平の
原則、どの
候補者も同時に均霑、而も公平ということは、経済的に恵まれた
候補者も、経済的に恵まれない
候補者も、同じ恩典にあずかるということが
選挙法の一番大事な問題でありますので、現在のように、民間
放送が広告料を主として許しておるような場合において、例えば先だ
つての
衆議院の
補欠選挙の第六区でありますか、その
候補者で利用した者が二人か三人あつたそうであります。一人の
候補者はいい場所をと
つたので二万円、片つ方は一万五千円ということを聞きましたわけであります。ところがこの民間
放送を無
制限に許すということになりますと、やはり値段が高いものはいい場所を利用します。でありますから金のある人が一番有利だということになる虞れが十分にありましたので、一応民間
放送々
選挙放送には
禁止するということに
委員会はな
つてお
つたのであります。ところがだんだん民間
放送協会とも交渉いたし、又向うからも陳情等がありました結果、いろいろ相談いたしました結果、現在のNHKが取扱
つておると同じような公平さを保
つて、同じような均霑さを保
つて、而も
費用の点においてもそう違わない条件で民間
放送が利用できるかどうかということを検討いたしたのであります。その結果、
事務的な問題もございますが、大体NHKと多少値段は違うかも知れませんが、これは勿論
公営であります。
公営の金額が多少違うかも知れませんが、
事務的にも可能であるという結論に到達いたしましたので、一応この民間
放送においても、大体NHKと同じような条件の下に民間
放送を使用することに最後の結論は
なつたような次第であります。併しこの民間
放送とNHK以外
放送機関は、すべて
禁止するという建前であります。例えば銀座の尾張町とか、或いは須田町とかに盛んに民間の
放送で広告をや
つておるのでありますが、ああいうものは使用しない、
禁止するという建前で、使用できるのは、NHKと民間
放送と、而も一定の規格の上に立
つて、これを許可されたものに対してのみ許すという建前をと
つておるような次第であります。