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1952-06-14 第13回国会 参議院 地方行政委員会 第52号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十七年六月十四日(土曜日) 午後二時二十一分開会
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
西郷吉之助
君
理事
中田 吉雄君
委員
石村 幸作君
高橋進太郎
君 宮田 重文君
岡本
愛祐
君 館 哲二君 原
虎一
君
衆議院議員
門司
亮君
政府委員
地方自治政務次
官 藤野 繁雄君
地方自治庁次長
鈴木
俊一
君
地方自治庁行政
課長
永野 士郎君
地方自治庁財政
課長
奧野
誠亮
君
地方自治庁公務
員課長
佐久間
彊君
事務局側
常任委員会專門
員
福永與一郎
君
常任委員会專門
員 武井
群嗣君
—————————————
本日の会議に付した
事件
○
地方公営企業法案
(
内閣送付
)
—————————————
西郷吉之助
1
○
委員長
(
西郷吉之助
君) それではこれより開会いたします。本日は
地方公営企業法案
に対する
質疑
を続行して参ります。
岡本愛祐
2
○
岡本愛祐
君 本
法案
に対する
衆議院側
の
修正点
が大体きまつたようでありますが、それについて先ず最初に
政府委員
から
説明
をさせて頂きたいと思います。
西郷吉之助
3
○
委員長
(
西郷吉之助
君) 今その点につきまして、
提案者
の
門司
さんに只今連絡していますから追
つて
見えると思いますから、その際
修正案
について
説明
いたさせますから。
岡本愛祐
4
○
岡本愛祐
君 了承いたしました。
原虎一
5
○
原虎一
君 第
一條
の第二項の「
地方公共団体
は、
政令
で定める
基準
に従い、
條例
で定めるところにより、
地方公共団体
の経営する
地方公営企業
以外の
企業
に、この
法律
の
規定
の全部又は一部を
適用
することができる。」これを御
説明
願
つて
おきたいのです。それは具体的な例がありますれば例を挙げて御
説明
願いたいと思います。
鈴木俊一
6
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) これは第
二條
の一項を受けておるわけでございますが、第
二條
の第一項では
水道
について五十人以上、
軌道事業
、
自動車運送事業
、
地方鉄道事業
は百人以上、電気、ガスは三十人以上というふうな
相当
大
規模
の
地方公営企業
だけを抑えておるわけでございます。
範囲
も一応、
附帯事業
は含みまするがこの
範囲
に限定をいたしておるわけでございます。かように限定いたしました
趣旨
は、後のほうに出て参りますように
地方公営企業
としてこの
法律
の
適用
を受けますると特別に
管理者
を置かなければならないとか、
管理者
と長との
関係
とか、或いは
企業
の
管理規程
その他
相当
行政
について
独立性
を
組織
の上で持
つて
来るわけであります。又殊に
財務
の点に至りましては
特別会計
を設けること自体が、現在もそうな
つて
おりまするから特に問題はございませんが、いわゆる
発生主義
によりまして普通の
一般会社
と同じような方式の
企業
の
経理
をとることになるわけでございます。これは普通の
地方公共団体
の現在までの通常の
職員
の
知識経験
をこえておると申しますかやはり
相当
の専門的な
知識
を必要としておるのでございます。
会計
の
関係
はさようなことで或る
程度
複雑に
なり
詳しくなるわけでございますが、そういうような点から申しますると、この
規模
を余りに小さくいたしまして小さな
地方公共団体
の
公営企業
に皆
適用
するということに
なり
ますると、非常に無理な複雑な
組織
を設け複雑な
行政手続
を要求することに
なり
まして無理であるのであります。殊に新らしい
制度
でございまするので
相当
大
規模
のものに当然に
適用
する、こういう
原則
を第
二條
第一項ではきめておるのでございます。二項では、
従つて
さような
原則
的に
適用
をする
範囲
が絞
つて
おりまするが、併し
地方団体
が複雑な
組織
に
なり
複雑な
会計制度
にな
つて
も差支えないと、こういう場合にはそれを抑制する必要がございませんので、そういうものは
條例
でこの一項に列記しておりまする以外の
公営企業
にも
適用
して行
つて
いい、又ここに列記してありまする
企業
で、
水道事業
で例えば四十人、五十人未満というようなものにも、即ち
規模
以下のものにも
適用
して行く、併しそれはいずれも
條例
で自主的にきめさせようということでございます。併しながら
條例
できめさせるときの
基準
を
政令
で設けることにいたしておきたいというのはそういう
意味
でございます。そうして
條例
で
適用
いたします場合におきましても、この
公営企業
の
規定
の或る
部分
だけをばらばらに
適用
するということは
意味
がございませんので、
管理者
の
規定
或いは
会計
の
規定
というものを一体として要するに全部的に
適用
いたしまするか、或いは
会計規定
だけを
適用
するというふうにいたしますか、さような実情に応じまして
適用
の
範囲
を区分いたさせることが必要であると思うのでありますが、さような区分を
政令
で
基準
として定めるようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
原虎一
7
○
原虎一
君 その「
政令
で定める
基準
に従い」とありますから
政令案
というものはできておるのでしようか。
鈴木俊一
8
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) これは後刻書面で御参考に供したいと思います。
原虎一
9
○
原虎一
君 それからこれはまあ
字句
にとらわれるように
なり
ますが一応明らかにしておく必要があるのですが、第
二條
の二行日にあります「常時雇用される
職員
の数が」とな
つて
おりまして要するに
適用
対象
企業
なるものは
職員
の
人数
で定めると。そこで、この
職員
とは、ということになるのですね。この
解釈
をどこかで與えておりますか。
職員
とは、ということですね、この
解釈
、どこか與えるところがありますかな。
佐久間彊
10
○
政府委員
(
佐久間彊
君) この
職員
につきましては別に
解釈
は出るところはございませんですが、いわゆる
地方
で雇
つて
おりまする
吏員
というものもそのほかの
職員
も全部含めまして百人ということにな
つて
おります。
原虎一
11
○
原虎一
君 例えば
職員
一人、二人の
認定
によ
つて
三十人に
なつ
たり二十八人に
なつ
たりする場合があるのですね。ですからこれは一応
只今法審議
の上においては明確にしておく必要があるのではないか、こう思うのですね。これに
適用
するのですから任意的でないわけですね。結局は
人数
が、これだけと明確になればこの法によ
つて公営企業体
を作らなければならんわけでしよう。強制になるわけですね。そうするとやはり私は、
職員
とは、ということを一応明確にしておく必要が生ずるのではないかと思うのですね。
鈴木俊一
12
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) 御尤もでございます。
只今公務員課長
から申上げましたが「常時雇用される
職員
」かようにな
つて
おるわけでございますので、この
企業
のために常時專従いたしておりまする
職員
の数が五十人であるか百人であるかということの判定の
基準
になると考えておるのであります。
原虎一
13
○
原虎一
君
あと
は
常識的判断
でいいと思いますけれども、まあ
労働関係
から起きて参るものは、例えば
水道事業
が五十人ですね、この場合に
労働関係
からいうと
職員
は成るべく
公共企業体
にな
つて公営企業労働関係法
の
適用
を受けるのですね。例えば
当局
は四十八人と見ておつた、併し
職員側
がこれは明らかに五十一人おると、こういうふうに言つたときに争が起るわけですね、そういうときの
認定
は
職員
の数できめておるだけに「
職員
とは」ということを明確に……、そういう争が生じたときには
行政訴訟
のようなものを起さなければならんのか、その
認定
をどこでやるかという問題ですね、これは起き得ると思う。そう数は多くはないかも知らんが起き得る問題だと思うのですね。
鈴木俊一
14
○
政府委員
(
鈴木俊
君) その点は先ほど申上げましたように常時この
企業
のために專徒雇用される
職員
の数という具体的の
認定
の問題でございますが、
管理者
と或いはいわゆる長その他の
地方公共団体理下者側
、或いは
議会側
と
企業
に従事しております
職員
との間に
認定
について違いを生ずるというようなことはまあ余りないと思いますけれども、御指摘のごとく全くないということはあり得ないと思います。さような場合におきましてはこれは結局
地方公共団体
の経営する
企業
であるわけでございまして、
当該地方公共団体
において長
なり議会
なり
一応この
法律
につきましての運営の
認定権
と申しますか、そういうものを
地方公共団体
が持つことになると思うのであります。
従つて長
がこれについてのその
団体
だけの限度におきましては
認定
の
権限
を持つと思いまするが、それが
法律
の定めておるところに違反をしておるという場合におきましては
行政事件訴訟特例法
によりまして
権利関係
の
確認
ということで訴訟いたし、それによ
つて
果してこれが常時雇用される
職員
の数が
法定基準
に達しておるかおらないかという事実の
確認
を
行政訴訟法
よ
つて
最終的に行い得る、さように考えております。
西郷吉之助
15
○
委員長
(
西郷吉之助
君) それでは
門司衆議院議員
から
衆議院
におきます
修正案
について
説明
をして頂きます。
門司亮
16
○
衆議院議員
(
門司亮
君) それでは私から
衆議院
におきまして
修正
をいたしました
修正
の
部分
について、
修正
の案文並びにその
趣旨
を御
説明
申上げたいと思います。
地方公営企業法
に対する
修正案
でありまして
地方公営企業法案
の一部を次のように
修正
する。 (1)第九條第十二号を第十四号とし、第十三号として次のように加える。 十三 その
権限
の
範囲
内において
労働協約
を結ぶこと。 こういう
條文
を一応挿入をしたわけであります。これはこの九條の
管理者
の
権限
の
範囲
において行いまする
事務
の担任につきまして、ここにずつと十二まで羅列してありまするが、その中に
労働協約
に関することが書いてありませんため、私どもはこれを
管理者
の持
つて
おります
権限
の
範囲
内において
労働協約
を結ぶことができるということに改めたのであります。これはこの
法案
と密接な
関係
を持
つて
おりまする
地方公営企業労働関係法案
の第
七條
に(
団体交渉
の
範囲
)ということがありましてこの中にやはり「
労働協約
を締結することを妨げない。」という
條項
を書いておりまして、同時に一から五までの
個條
をずつと挙げておりますので、これらの問題につきましてはやはり
管理者
が
自分
の持
つて
おります
権限
の
範囲
内でやはりこれに基いた
労働協約
を結ぶことができるということにいたしましてこの
親法案
ともいうべき
地方公営企業法
と
地方公営企業労働関係法
との
調整
を図つたわけであります。次に (2) 第十
五條
の一項中「
地方自治法
第百七十
二條
第一項の
職員
でを削り」、ということにいたしましたのは、この
地方自治法
の第百七十
二條
の第一項というものは「前十
一條
に定める者を除く外、
普通地方公共団体
に
吏員
その他の
職員
を置く。」とこう書いてございます。この「
吏員
その他の
職員
」というのは、長又はその
理事者
の定めまする
一つ
の
補助職員
でありまして、
従つて
これがやはり
理事者
の意見で採用された者が、この
管理者
の管理いたしておりまする手業の中に入
つて
来るということに
なり
ますると、一応「
管理者
の
権限
に属する
事務
の執行を補助するものは、
管理者
が任免する。」とこう書いてありまするが、併しながら実際の問題といたしましては、丁度今日までありました例えば
都道府県
の
本庁関係
から派遣されて来た
職員
それから
地方
の
職員
とありまして、非常に
運営上困つたの
でありますが、そういう形がやはりこの中に出て参りまして、一方においては
管理者
が
自分
の
権限
の
範囲
内で定めた
職員
、更にこの
地方自治法
の百七十
二條
の一項の
規定
に基いて
理事者
のほうから
補助職員
として参りました者との円満なる
調整
を図りますることのためにも、この「
地方自治法
第百七十
二條
第一項の
職員
で」という
規定
を削除いたしまして、そして
職員
につきましては
補助職員
につきましても、
管理者
の
権限
においてこれを任免することができるというふうに改めて参
つたの
であります。 その下の「補助するものは」を「補助する
職員
は」と改めましたのは、さつき申上げましたような
理由
において
字句
の
修正
をいたしたのであります。それから (3) 第三十六條中「別に
企業職員
の
労働関係
に関する
法律
」を「
地方
公営企業労働関係法
(
昭和
二十七年
法律
第 号)」に改める。と書いて 参りましたのは、この
法案
を提案されましたときにはまだこの
地方公営企業労働関係法
が提案されておりませんし、これがまだ通過いたしておりませんでしたので、こういうふうに
字句
が書いてあ
つたの
でありますが、すでに
衆議院
では
地方公営企業労働関係法案
が通過いたしておりますので、ことさらにこの
企業職員
の
労働関係
に関する
法律
というよりも、わかり易くその名前をそのまま承継したほうがいいというので改めたわけであります。
従つて
そのほかに何も他意はないのであります。 それから次の三十
七條
におきまして、第三十
七條
第一項中「
管理者
は」これを削
つたの
であります。更に第二項中の「
管理者
は、」はこれを創りまして、そうして「
前項
の
職階制
においては」に改めて参
つたの
であります。これは
企業職員
については
管理者
が一方的に
職階制
を定めたり、或いは
管理者
が一方的に
企業職員
の「
職務
の
種類
及び複雑と責任の度に応じて分類整理しなければならない」というようなことにな
つて
おりますが、併しながらこれも先ほど申しましたように
地方公営企業労働関係法
の
七條
におきまして
団体協約
ができるようにな
つて
おりまするのに、更に九條に
団体協約
を結ぶことができるという
規定
を挿入いたして参りましたのも、挙げて
団体交渉
の
範囲
においてこの
手続
を定めてもらう、
理事者
の一方的の
職階制
ではなくして
団体交渉
においてそれらのものを
一つ
処理して行くようにいたして参
つたの
であります。 それから更に三項を制
つて
おりつますが、これは
原案
におきましては「
人事委員会
を置く
地方公共団体
においては
人事委員会
は、
職階制
の
実施
に関し
管理者
に
技術的助言
をすることができる。」こう書いてありますが、
仕事
の実態から見て参りまして
一般職員
と非常にその性質を異にいたしておりまして現場における
仕事
でありまして
一般事務員
と同じような採用の仕方或いは
職階制等
に対してきめらつれるということも如何かと存ぜられますし、それから前條において
管理者
の一方的の
職階制
の制定に対しましてこれを創除いたしまして、そうして
団体交渉
の
範囲
にこれを任しましたので、
従つて
一の
人事委員会
の
助言
を削除することがいいと考えましたので、
人事委員会
の
管理者
に対する
技術的助言
をすることの
條項
を創除いたして参
つたの
であります。 それから第三十
八條
の第三項中の「
給與額決定
の」というのを削
つたの
であります。この「
給與額決定
の」という
文字
を削りましたので、
従つて
三項は「
企業職員
の
給與
の
種類
及び
基準
は、
條例
で定める」こう改めて参
つたの
であります。これが
企業職員
の
給與
の
種類
であるとか或いは
基準
であるとか、或いはこれらの具体的に申しまするならば
給與
をどういうふうにして支拂わなければならない、或いは
給與
の
種類
はこういうようなものであるということは、これは一応やはり
條例
で定める。併し
給與
の額の
決定
というようなことにな
つて
参りますと、非常に細かいところまでこの
條例
で定めるというようなことにな
つて
参りまして非常にこの
基準
という
文字
が強くな
つて
参りまして、その
條例
に縛られて、折角の
労働者
の
団体交渉
その他できめようといたしまする
給與
その他に対して、多少
なり
とも支障があ
つて
はならないということで、
従つて
「
給與額決定
の」という
文字
だけを削除いたしまして、ここでは先ほどから申上げましたように
給與
の
種類
というようなごく大
ざつぱな基準
だけは
條例
で定めるということに改めて参
つたの
であります。それから更に第三十九條でありまするが、「第一項第五号及び第八
号並び
に」を「第一項第五号」に改めて参りましてそうして「及び第八
号並び
に」という
文字
を削除いたしたのであります。この
地方公務員法
の第
八條
の第八号におきましては「
職員
の
研修
及び
勤務成績
の
評定
に関する
総合的企画
を行うこと」とな
つて
おりますが、先に申しましたように
人事委員会
の
管理者
に対する
助言
の
條項
を削除いたして参りましたので、
従つて
これと同じようにやはり
地方公務員
の「
研修
及び
勤務成績
の
評定
に関する
総合的企画
」を
人事委員会
がするようにな
つて
おりまするので、
人事委員会
の
助言
を廃しました以上は、やはり
地方公務員法
の第
八條
の八号も削除することが正しいと思いましてこれを削除したわけであります。更に第三十九條におきまして「第三十
七條
」の次に、「第三十九條第三項」を入れましたのは、この
地方公務員法
の第三十九條第三項は「
人事委員会
は、
研修
に関する
計画
の
立案
その他
研修
の
方法
について
任命権者
に
勧告
することができる。」と書いてありますが、これもやはり
前段
も申しましたのと同じような
意味
で挿入することにいたしたのであります。それから次に「第四十條第二項」を入れたのでありまするが、やはりこれも「
人事委員会
は、
勤務成績
の
評定
に関する
計画
の
立案
その他
勤務成績
の
評定
に関し必要な
事項
について」
勧告
をすることができる、こういうことで
地方公務員法
ではやはり
人事委員会
にその
勧告権
を非幣に大きく與えておりますので、これもやはり
前段
に申上げましたと同じ
理由
で
適用
をしないことにいたしたいと考えたのであります。次に第四十
五條
の第三項から第四項までをやはり
適用
しないようにいたすことのためにこの
字句
を挿入したのでありまするが、第四十
五條
の第二項は「
公務
上の
災害
の
認定
、療養の
方法
、
補償金額
の
決定
その他
補償
の
実施
に関して異議のある者は、
当該都道府県
の
人事委員会
に対し、
人事委員会規則
で定めるところにより、
審査
の
請求
をすることができる。」こうな
つて
おるのであります。更に第三項は「
前項
の
請求
があつたときは、
人事委員会
は、直ちにこれを
審査
して裁定を行い、これを本人及び
当局
に通知しなければならない。」第四項は「第二項の
規定
による
審査
の
請求
は、時効の中断に関しては、裁判上の
請求
とみなす。」こういうような
條文
にな
つて
おるのであります。
従つて
これに対しましても
前段
に申上げましたようにやはり
人事委員会
にすべてが委嘱されるような形にな
つて
おりますので、これも
地方公営企業労働法
の第
七條
の中にやはり「
労働
に関する安全、衛生及び
災害補償
に関する
事項
」というのが
団体交渉
の
範囲
の中に挿入されておりまするので、これをやはり
団体協約
によ
つて
きめております。そうして
団体交渉
によ
つて
これを定めて更にこれを
労働協約
にして頂くことにいたしまして、
人事委員会
のこの
審査
その他の手数を省きまして、そこで
労働組合
に対しまして或いは
労働者
に対しましては
従つて労働基準法
の
適用
をできるようにいたしたいと考えて参
つたの
であります。以上が大体
修正
をいたしました総体的の
趣旨
でありまして、要約して申上げまするならば、
地方公営企業
に従事いたしております
労働者諸君
の身分その他につきまして或いは懲戒その他につきましても、できるだけこれを私
企業
と同じように
団体交渉
の
範囲
でこれを
決定
して、そうしてこれがやはり
団体協約
として結ぶことができるようにいたしましてこれに従事いたしておりまする
労働者
の基本的の
権利
というものを我々はできるだけ尊重して行きたいということでこういう
修正
をいたして参
つたの
であります。以上極めて簡單でございまするが、一応
修正
をいたしました
趣旨弁明
にかえておきたいと思う次第でございます。
西郷吉之助
17
○
委員長
(
西郷吉之助
君) 今の
修正案
について御
質疑
はございませんか。
原虎一
18
○
原虎一
君 大体
自治庁
の意向も聞いてやつたと思うのですが、その点はどの
程度
に了解ついておるのですか。
門司亮
19
○
衆議院議員
(
門司亮
君) その点につきましては実は
修正
をいたしまするときに
各派
の
諸君
に寄
つて
頂きまして更に
自治庁
からも事実上出て頂きまして、そうして一応の了解を得て、
衆議院
におきましては
共産党
を除く
各派
の
共同提案
の形で提案いたしたものでございます。
原虎一
20
○
原虎一
君
共産党
を除く
與党
、野党全部の
共同提案
なんですか、
與党
も加わ
つて
。
門司亮
21
○
衆議院議員
(
門司亮
君) その
通り
であります。
西郷吉之助
22
○
委員長
(
西郷吉之助
君) その他に
門司代議士
に御質問ございませんか。
岡本愛祐
23
○
岡本愛祐
君 ちよつと一点伺
つて
おきたいのですが、
政府
、
原案
には第三十九條にかつこの中に「第一項第五号及び第八号」とあるのですが、この八号は
適用
することにしていいのですか。
門司亮
24
○
衆議院議員
(
門司亮
君) いや八号は
適用
しないことにしております。
岡本愛祐
25
○
岡本愛祐
君 ああそうですが、除くのですね。
八條
は
適用
しないがこれは
適用
する。今度やはり
適用
しないことにな
つたの
ですね。
門司亮
26
○
衆議院議員
(
門司亮
君) さようでございます。
適用
しないことにな
つたの
です。
岡本愛祐
27
○
岡本愛祐
君 それでいいのですか。なぜ間違えたのですか。
佐久間彊
28
○
政府委員
(
佐久間彊
君) 間違えたのじやございませんで、
政府原案
におきましては
職員
の
研修
、それから
勤務成績
の
評定
につきまして先ほど御
説明
のありました第三十九條第三項、第四十條第二項におきましてそれぞれ
人事委員会
が
任免権者
に
勧告
することができるという
條文
があつたわけであります。この第
八條
の第八号はその
條文
を受けまして
人事委員会
の
職務
として布かれたのであります。
あと
のほうの三十九條第三項、第四十條第二項が先ほど御
説明
のありましたような御
趣旨
で削除に
なり
ましたので、
適用外
に
なり
ましたので、この
点八條
も続けてな
つたの
であります。
西郷吉之助
29
○
委員長
(
西郷吉之助
君) 他に
門司
君に御
質疑
ございませんか。他の点について御
質疑
ありませんか。
岡本愛祐
30
○
岡本愛祐
君 第
二條
の第一項ですが、なぜこの
事業種類
によ
つて
五十人に限定されたり、百人に限定したり、三十人に限定したり、まちまちにな
つて
おりますか。
鈴木俊一
31
○
政府委員
(
鈴木俊一
君)
地方公営企業
の
企業法案
におきまして定めておりまする点は、
組織
の点と
財務
の点、
労働関係
は別個にな
つて
おりまするが、この
組織
なり
財務
なり
に関しまする
規定
といたしまして、
地方公営企業
をいかに
公共性
の
原則
を保持しつつ
経済性
の
原則
にマッチせしめるかということを考えたわけでございまして、そういう点から申しますと或る
程度組織
にいたしましても
財務
にいたしましても複雑なる
行政処理
を必要とすることに
なり
まして、先ほど申上げましたように
相当
の専門的な、殊に
会計経理等
につきましては専門的な
職員
の配備を必要とするわけでございます。
従つて相当程度
の大きな
規模
のものであることが必要にな
つて
来るわけであります。殊に新しい
制度
でございまするので仮にそれが非常に合理的に運用せられることに
なり
まして、将来これをできるだけ広く普及をして行くということに
なり
ましても、先ず差当
つて
は
相当
規模
の大きな、基礎のしつかりしたものに強制
適用
して、
あと
は実際
団体
が
適用
してもらいたいと、又
適用
を受けても十分その能力があるという自主的な
判断
をいたしましたものに
任意適用
をして行こうと、こういう考えでございます。そこで大体五十人、百人、三十人と申しますのはさような見地から
人口
十万前後というところで
企業
に従事いたしまする
職員
の数を一応統計的に比例しましてかような
一つ
の目安を立てそれを若干
調整
いたした数字でございます。
岡本愛祐
32
○
岡本愛祐
君
日本都市交通労働組合連合会
というところから請願が出ております。そのうちで
下水道事業
、
自動車運送事業
及び
地方鉄道事業
に常時これに従事する
職員数
を百人を五十人にするという希望が出ておる。又最近に
水道事業
の
職員
の場合が五十人が多過ぎるから三十人くらいにしてほしいというような
陳情
も出ておるのですが、
人口
十万前後の
都市
をとつたと言われるのだが、今のような
陳情
はそういうことにおいてほかのバランスが崩れるということに
なり
ますか。
鈴木俊一
33
○
政府委員
(
鈴木俊一
君)
地方公営企業法
で直接
規定
いたしておりまするのは
組織
なり
会計経理
でございますが、
労働組合職員団体
のほうから特に重点を置いてこの
規模
の引下げ、言い換えれば
適用範囲
の拡大を要望しておりまするのは主として
労働関係
の問題にからまるわけでございます。
労働関係法
は別個に
立案
をせられておりましてこれにつきましてはかような人員の制限をいたしていないのであります。これは当初
基準
を
一つ
にしたらどうかというようなこともいろいろ考えたのでございまするけれども、どうもこの
労働関係
と
組織
なり
会計経理
との
関係
の
原則適用範囲
というものは若干ずれても止むを得ないと、
労働関係
におきましては
企業
に従事いたしておりまする
職員
の利益保護が、現在提案をいたしておりますような
地方公営企業労働関係法
のほうの方式、
組織
にいたすほうがよりよくかような施設の
地方公務員
の利益にもなるというふうに考えまして、これらについてはかような
規模
の
決定
を設けないて、大
企業
に従事いたしまする
職員
にいずれも
労働関係
のあの
法律
を
適用
することにいたしておるのであります。
従つて
労働組合
なり
職員
団体
の要望しておる点はそれによ
つて
私ども満たされておるのではないか、むしろこれは
公営企業
の
組織
管理という面、或いは
会計経理
という面から如何なるところで抑えるのが適当であるかということをめどにしてかような
基準
を作つたわけでございまして、これは新しい
制度
で又
相当
殊に
会計経理等
につきましては従来の官庁の現金主義の
会計
方式とは異
なつ
た発生、主義の方式をとると、各種の償却
なり
その他の
企業
経理
の方式をと
つて
おりまするので、やはり
相当
程度
の大
規模
のものでございませんと第一次的には無理ではないかと考えるのであります。将来これを更に引下げて一般的に
適用範囲
を拡大するということは考えられるのでありますが、第一段にはかような
程度
が適当であると、こう考えておる次第でございます。
岡本愛祐
34
○
岡本愛祐
君 なお
陳情
では
水道事業
の中にそれと密接な
関係
のある改良下水事業も加えてもらいたいという希望も出ておるのですが、
水道事業
ばかりでなく改良下水事業を含むというふうには入らんものですか。
鈴木俊一
35
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) 下
水道
につきましてはやはり
相当
多額の資金を投下いたしませんとこれが行な
つて
行けないわけでございまするが、今日の段階におきましては下
水道
は未だに普及の
程度
が非常に少いわけでございまして、先ず指定施設を設ける段階になければならない、かような段階についてはこれを独立採算制をとるという一般の
公営企業
の中に入れますると、これは実際において独立裸算が困難でございまするし、又
水道事業
等を合せまして独立採算の経営にいたしますると、
水道
料金というものもおのずから多額にとらなければならないというようなことで、無理に独立採算をとることが無理に考えられるのであります。そういう
意味
で
原則
的な
適用
の
範囲
にはこれを書きませんでしたが、併しすでに独立採算が可能であるような段階に普及度が達しておりまするような
下水道事業
につきましては、これは二項の
條例
によ
つて
当該
団体
がやるということで十分目的を達成するのではないか。上
水道
と下
水道
を同時に経営をいたしておるものでも、例えば名古屋は或る
程度
独立採箕が可能な段階にな
つて
おりまするから、これは併せて二項によ
つて
これを
適用
して行くという途を囲いておりまするので、この点も心配ないというふうに考えておる次第であります。
原虎一
36
○
原虎一
君 関連してですが、一番問題になるのが改良事業下
水道
の問題になると思います。改良下水なんかは自治体が
政令
で定める
基準
に
従つて
條例
で定めるというこの
條文
でやり得る可能性があるか、或いはそういうものは
政令
で定める
基準
に反するということになるのか、その点を伺
つて
おきたい。
鈴木俊一
37
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) この
政令
で定める
基準
は先ほど申上げましたようだ、この
地方公営企業法
の「
規定
の全部又は一部」とありますが、令部
適用
の場合は問題ないといたしまして、一部を
適用
いたします場合に、勝手にバラバラにとるということでなく、やはり或る
程度
合理的に一部を
適用
する、或いは
会計経理
の
規定
だけを
適用
する、
管理者
の
規定
だけを
適用
するということは、どうも実際的でございませんので、さような
適用
の
範囲
等についてどの
種類
の
規定
を一部として
適用
するかというようなことを
基準
として特に
政令
で定めたいというふうに考えておりますので、
企業
の
種類
についてこういうものには全然
適用
しないのだというようなことを書けないことはございませんが、そこまで今考えてはおらんのでございます。
従つて
今のお話のような改良下水につきましては、特にこれを
任意適用
の
範囲
から除こうという考えはございません。
原虎一
38
○
原虎一
君 除こうという考えはないが、自治体が
任意適用
でき得るように実際的にな
つて
いないわけですね。
鈴木俊一
39
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) その
通り
でございます。
原虎一
40
○
原虎一
君 全体的な問題で例えば資料によりますと、上
水道事業
では
法律
適用
を受ける事業数が七十くらいにな
つて
おりますが、主なる自治体の意見を徴してこの
法案
を作るために参考にされたのか、その
立案
経過を
一つ
お示し願いたい。
鈴木俊一
41
○
政府委員
(
鈴木俊一
君)
地方公営企業法案
につきましては、御承知のごとく
地方公務員法
の附則二十項に
公営企業
の
法律
を作ることを
規定
せられまして以来、
政府
といたしましては各方面の意見を徴してお
つたの
でございまするが、只今いろいろお話のございました各方面の
労働組合
、
職員
団体
或いは
水道
協会或いは大
都市
の
公営企業
を担任いたしております局長、その他の専門家或いは各大学
なり
その他におきまして、
公営企業
の殊に
会計経理
の実態について研究しておられる人たち、或いは国鉄
なり
専売公社等という方面の専門家の人たちというような各方面の意見をあらゆる機会、あらゆる
方法
において聽取いたしまして、又
立案
の過程におきましても、その試案を各方面に参考に供しまして意見を徴してかような
法案
を作つた次第でございます。
原虎一
42
○
原虎一
君 岡野国務大臣が今日
労働
委員
会に御出席にな
つて
、いろいろ
公営企業労働関係法
の
関係
で重要な点を御質問申上げたのですが、
労働関係法
とは直接これには
関係
がないと言えばそうですが、併しこういう
法律
ができましてそれに
従つて
労働関係法
ができているという形になるわけですが、問題は
企業
体が円滑に運用されて第
一條
にある目的に副わなければならぬが、その点は
労働関係
にある。これは主として経営、
財務
、資金等がそれに付いてなければならないが、申すまでもなくこの
企業
体の円滑なる運営がなくては発展ができないのでありますから、問題は
労働関係法
が非常に重要なんです。ただ
特別会計
ということになれば、現在でも恐らく自治体は
特別会計
でや
つて
いるのが殆んど全部とい
つて
いいわけですが、そういたしますと、これが次官がお見えにな
つて
おりますからもう一度伺いますが、
労働関係法
に基いて自治体と
労働組合
との
労働
條件に関する紛争は、最後的には
地方
労働
委員
会の仲裁になるわけですが、これは過去の
公共企業体
、専売、国鉄等の紛争の解決経過から見まして、斡旋、調停も同様ではありますが、そこでは片付かない、結局仲裁に行きます。仲裁にまで行けば、これは仲裁裁定が最終的
決定
でありまして労使双方を拘束するわけであります。要するに履行の義務がある。そのときにおける
地方
自治体がその仲裁裁定を履行しなければならない責任というものは、
地方
自治体の長に明確にな
つて
いるわけです。そういうことで
地方公営企業労働関係法
並びに
地方公営企業法
を作
つて
行くということになれば、一番目的とするところが非常にこう或る場合においてはぼかされておる。言い換えれば骨抜きにな
つて
いるわけです。こういう点について
労働
省
関係
と
自治庁
とが十分に協議されて
公営企業
体の円滑なる運営を如何にして達成するかについて検討され、又
労働
省と研究されたかという点についてお聞きしたいのであります。
鈴木俊一
43
○
政府委員
(
鈴木俊一
君)
地方公営企業
に従事いたしまする
職員
の
労働関係
の問題でございまするが、今お話のごとく斡旋調停或いは調停仲裁等によりまして案ができ上りました場合におきまして、それが予算上、資金上可能であるか不可能であるかというような問題、殊にそれが不可能な問題であるということにつきましての
認定
でございまするが、当該
職員
の利益の保護、地位の保障ということからいたしまして、
企業
の
管理者
なり
或いは
地方公共団体
の長が協約に従いまして或いは調停
なり
裁定に従いまして、さような内容の
給與
をすることについて事実上差支えないと同意をいたしましても、それについて
地方
議会において反対である、
地方
議会が承認しないという場合においては、結局その内容のものが成立しないことに
労働関係法
にはな
つて
おるわけでございますが、この点につきましては私ども
自治庁
と
労働
省とは
相当
長いこと検討をいたしまして現在提案されておりまする
労働関係法
の
規定
は、一面
職員
の側の利益と又
地方公共団体
といういわゆる
地方
住民の全体の
公共性
という見地からの要請、この二つの調和をとるということを考えまして、そうしてかような
労働関係法
にありますような内容のものを用意いたした次第でございまして、
職員
の側だけの利益から考えますと、若干
部分
ではありまするけれどもそういう点があろうかと思いますが、半面
地方公共団体
が経営する
企業
という性格か申しますると、やはり
労働関係
注に示されておりまするような方式によ
つて
両者の調和を図るということが一番
地方公営企業
の実態に即した解決のかぎであるということで、かような
原案
に落着した次第でございます。
原虎一
44
○
原虎一
君 時間の
関係
もありますが、これは
事務
当局
、
鈴木
次長、大臣の考えにつきましては午前中
労働
委員
会で伺
つたの
ですが、さて
事務
的に考えてお開きしたいと思いますが、今の御
説明
では抽象的で当り前の普通の御答弁ですが、要するに仲裁裁定というものが如何なる責任と形において実現に努力されなければならないだろうかということが明確にな
つて
いないわけです。というのは今次長から
説明
がありましたが、この
地方公営企業労働関係法
で行きますも、裁定が下つた場合にその裁定を
地方
の議会が先ず承認するかしないかをきめなければならんというわけですが、そうしますと仲裁裁定というものは二審
制度
のような形にな
つて
おる。仲裁裁定がすぐ両当事者を拘束して、ただ
公営企業
なるが故に
地方
の議会の承認を経なければ履行できないというのならばわかりますけれども、仲裁裁定が一応下つた、併しそのときにはまだ
労働者
のほうは拘束するが、
理事者
の
地方団体
の長のほうの拘束は議会が承認しなければ拘束を受けないということに
なり
ますれば、これは仲裁者自身もどこを相手に責任ある折衝をしたりなんかできるのか非常にその点はあいまいにな
つて
おります。
公営企業
である以上は勿論議会の承認なくしてはいかなる
決定
でもそこまでは履行できないわけですけれども、裁定それ自身は当事者双方を拘束するということは当然考えられるのです。これは国鉄、専売の裁定は当事者双方を拘束するわけであります。ところがこの
地方
公労法によりますと拘束しないのですね。こういう点は
労働関係
の直接の担当の庁ではありませんが、
公営企業
の円滑な運営という点から考えれば当然仲裁裁定が罷業権を剥奪した代りに出ておると思うのですから、その仲裁裁定というものは非常に権威あらしめるというものでなければならん、この点を
鈴木
次長は
労働
省と十分折衝されたけれども、
労働
省はどういう主張であつたか、
労働
省のいうままにな
つて
おるのか、どうも
労働
省の考えは私に言わせれば反動化しておる。専売公社に
適用
する公企労法よりか後退しておるのです。公企労法は一応裁定がありますと、公社と
労働組合
は拘束はあります。ただ議会が予算措置に対して承認しない限りは公社が履行できないのです。今度は
地方
公労法は、それは今申上げましたように仲裁裁定は下つたばかりで何の拘束をしない、この点私は非常に理解できないのです。これはあなたのほうはまあ直接の所管問題ではないけれども、こういう
地方
公労法ができると
なり
ますとこれは問題が却
つて
残
つて
、裁定が下つた、それを履行してもらうために
地方
議会に猛烈な運動をしたり、それから長に向
つて
猛烈な運動をしなければ折角下つた仲裁をどこが責任を持
つて
履行するかわからない。長にも運動し議会にも運動して、そうして仲裁を履行して下さいということをもう一遍
労働組合
側がお願いしなければならない。そこに單なるお願いで済まないで
相当
世論の喚起のためにいろいろな運動を展開しなければならん。折角の仲裁はあつたけれども仲裁履行のための運動は或る形における争議が続くという形になるのです。そういう点をどういうふうにお考えにな
つて
労働
省と折衝されておられたのか、この点を先ず私はお伺いしたいのです。
鈴木俊一
45
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) 仲裁裁定等で予算主査金上可能な支出を内容とする協定、これは申すまでもなく協定の両当事者を拘束するし、
従つて
管理者
がそれにつれました
給與
の引上げその他の支出をしなければならんということになるわけであります。予算上資金上不可能と申しますることは、結局議会にかけて承認を経ました予算によ
つて
、当該
地方公営企業
というものはやはり
地方団体
の
企業
でございますから
地方団体
の予算というものには拘束される、
従つて
予算を超えて支出を必要とするようなかような内容の協定について直ちに
地方団体
自体を
一つ
の裁定で拘束するということは、やはり専売、国鉄公社のようないわゆる公社という
一つ
の国の資本でやるものではございますが、国とは別個の法人格を與えられたものでございますとさような考え方も成り立つかと思うのでありますが、
地方公営企業
につきましては
特別会計
という形ではありますがとにかく
地方公共団体
の直接経営する事業でございますから、予算上或いは資金上不可能であるというものにつきましては、やはり所定の
手続
に
従つて
議会の承認を経るということにな
つて
初めて効力を生ずるということは、これは
地方公共団体
という性格、又
地方
公共団対の公営事業に従事いたしまする
職員
も、
地方公共団体
の
職員
としていわゆる全体の奉仕者という建前があるわけでございまするので、一般の私
企業
の
職員
というものとはどうしても建前が違うのではないかというところから、この
公営企業労働関係法
の
規定
というものは一般の
労働関係法
に比較いたしまして若干の拘束を受けざるを得ないのではないか、かように考えておるわけでございます。併し予算上質金上と申しまするが、
地方公営企業
につきましては、この
公営企業
法案
において予算の方式はこれを文言方式にいたし、通常の官庁の予算方式と異なる形にしておりますので、予算自体が
相当
の彈力性を持
つて
おるわけでありますし、更にいわゆる彈力
條項
というものを設けておりまして
企業
の收入が殖えますならばそれに相応して一定の支出が可能であるような
規定
をも
公営企業
法の中に設けておるわけでございましてさような点から申しますると、予算でくくられるとは申しましても、普通のいわゆる
行政
経費に比較いたしますると非常に彈力性があり、且つ寛大なる拘束であるわけであります。その拘束をも超えた協定であるという場合におきまして、これが一般の予算超過の支出或いは予算外の支出ということで議会の承認を経るということに
なり
ますのは、これはどうも
地方公共団体
の経費支出という建前から申しまして止むを得ないところではないかというふうに考えておるわけでございまして、これらの見地から
労働
省との間にかような
労働関係法
案の提出ということに相成つた次第であります。
原虎一
46
○
原虎一
君
鈴木
次長の御
説明
で行きますと、予算上質金上可能なるものは拘束を受けるということは、
條文
で行けば地公労法のどれとどれによ
つて
そういう結果に
なり
ますか、一応伺
つて
おきたいと思います。
鈴木俊一
47
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) この点は
労働関係
調整
法のいわゆる仲裁の
規定
が、
原則
的には仲裁裁定は両当事者を拘束するわけでございまするが、それに対する特例を特に
公営企業労働関係法
の中では第十條に、予算上資金上不可能な資金の支出を内容とする如何なる協定もこれは拘束しないということを書いておりますので、特にかような十條によ
つて
制限をされておりません限りは、これは一般の
労働関係法
の
原則
によ
つて
裁定が両当事者を拘束するという
原則
的効力を生ずるものと考えられるわけであります。
原虎一
48
○
原虎一
君 そうすると十條の反対
解釈
ということになるんですか。
鈴木俊一
49
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) その
通り
であります。
原虎一
50
○
原虎一
君 そこでこういう現実の問題が起きておる。仲裁裁定が起きた場合において、仲裁
委員
は労使双方の十分なる意見も徴し、事実調査もした結果裁定が下るわけであります。そうすると下つた場合において、仮にその裁定は私はいい加減なものでないと思います。実際において仲裁
委員
は
地方公営企業
体の
経理
実情を十分調査した結果において裁定を出すわけであります。併しそれは自治体の長は何ら責任がなくて、その裁定全体を議会が承認するまでは何らの責任を持たない、こういうふうな私は
説明
も
労働
大臣から聞いたし、
條文
解釈
はそうな
つて
おりますが、この点は
自治庁
はどうですか、間違いはありませんか。
鈴木俊一
51
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) 只今の原
委員
の仰せに
なり
ましたことをもう一度お話願いたいと思います。
原虎一
52
○
原虎一
君 予算上資金上不可能な裁定が下つた、併しその予算上資金上不可能なる裁定といえども仲裁
委員
は
地方
自治体の管轄内にある
公営企業
の経営内容を一切調査し、それから自治体の長の意見も徴してそうして第三者から見て妥当
なり
という仲裁裁定を下すわけであります。かくのごとき裁定が下されてもそれに何ら長は拘束を受けないで、その裁定そのものを予算措置ができるできんというものでなしに、裁定そのものが正しいかどうかということを議会で承認し、議会が承認した後において予算措置を長がやる、こうなるわけであります。これは仲裁
委員
としては一切の責任をも
つて
そういうことをあなたがたは仲裁
委員
がや
つて
くれるというお考えですか。これは私はそんなばかばかしい仲裁
委員
は御免こうむると、こう
なつ
た場合はどうなるか。私はそこまで今日は実は連合
委員
会では
労働
大臣に伺わなかつたけれどもこれは非常な問題である。というのは現在国の公労法というもののたしか十六條
関係
と思いますが、これが非常に不備のために
労働
委員
会では五日間に亘
つて
いろいろな学者、実際に当
つて
おる人の意見を徴して、例えば慶応大学の藤林敬三教授なんかの陳述した意見は、一体
政府
が公社を拘束せずして裁定そのものを議会が審議するようなことならば、私共は仲裁
委員
を御免こうむるというような陳述をされておる。公社が拘束を受けて予算を国会に出してその予算は国会が認める。認めん、こういうのならば
自分
はうなずけるけれども、国家最高の機関が予算を認めない、半減すべし、仲裁裁定の
理由
はあるけれども予算上できないから半減すべしとか三分の一にすべしということを国会がきめるならばうなずけるけれども、
自分
らの裁定が正しいかどうかという二とを又再審議されるような形においてはもう仲裁
委員
なんというものはやりたくない、こういう意見である。
従つて
私は若し今度のこの地公労法によ
つて
行けば全くそうなんです、藤林敬三氏が言つたように全く自治体側の責任というものは議会がきめるまで誰も持
つて
いないというような形において裁定を行うということになると、そうすると一体
地方
労働
委員
会の仲裁
委員
というものが良かれ悪しかれ議会がきめるんだからいい加減にや
つて
おけばいいというようなことにならんとも限らないし、逆にそういう不見識のものならば
自分
らは
委員
で仲裁をやることはおことわりしようという問題が起きないとは言えない。まあ私共がこの場合仮に仲裁
委員
だつたらそんなたよりないものならやめたほうがいいということになることは憂うべきことである。この問題を私は言
つて
おるのです。
鈴木俊一
53
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) 公労法の十六條の
関係
につきまして御指摘のようなむずかしい問題がありますことは私共承
つて
おるのでございますが、先ほどもちよつと申上げましたように国鉄、専売公社というような
地方公共団体
と別箇の或いは
地方公営企業
のための公法人を作るということに相成りますると、今の公労法と同じような建前の
規定
の仕方が可能であろうと思うのであります。公労法自体についても御指摘のような、少くとも予算に計上をして出すという拘束力を與えてもよいのではないかと、こういうような御意見も無論あろうと思いますが、この
地方公営企業法
におきましては、やはり
地方公共団体
の本質がそもそも
公営企業
を経営することにあるのだということから、
地方公共団体
から別箇の
組織
を切り離して
公営企業
を経営いたしますための法人を設けるということは、これは
地方公共団体
の魂を奪
つて
しまうことに
なり
ますので、さような法人を別箇に設けるということは適当でない。そこで
地方公共団体
の
組織
自体といたしまして
公営企業
の
組織
を如何にすれば
公共性
と
経済性
の調和のとれた
組織
が考えられるかということで考えたのがこの
公営企業
法案
であるわけであります。そういう点から申しますと国の場合の国鉄専売公社と国の予算というものとの
関係
よりも、やはり
地方公営企業
の場合における予算上質金上可能か不可能かという問題は、より
地方公共団体
の性格に強く影響を受ける、形式的に申しますとさような感じがいたすのであります。併しながら実質的な解決といたしましては、私共の案におきでましても国の公労法の場合と殆んど変りがないような形で
立案
いたしておるのでございますが、極く理論的に問題を詰めて申上げますと、やはり今申上げましたように、やはり
公共性
というものの影響をより多く受け得る形にな
つて
おるわけでございます。今御指摘のようなおよそ仲裁をいたします場合に、仲裁
委員
の人たちが
地方公共団体
の財政の状況
公営企業
の経営、
経理
の状況というものも十分知悉した上で裁定をでしたのであるから当然これによ
つて
拘束せらるべきものであるということは、それだけのことを考えますると誠に仰せの
通り
であると私共思うのでございますが、
地方公共団体
の長にいたしましても、或いはいわんや
企業
の
管理者
にいたしましても、いずれも自己の財産を運営するというのではなくて、やはり
法律
なり
條例
なり
或いは予算
なり
よ
つて
定められた限度においてのみ行為能力を持
つて
おるわけでございますから、その予算
なり
の限度を越えた行為能力というものはないわけであります。それで若しも
労働協約
というものが
地方公共団体
自体と締結できるというふうな立て方をとりまするならば、むしろ協約を締結する前にその協約について議会の議決も経てそうして
団体
としての意思
決定
のすべての
手続
を経た上で組合と協約を締結するということに
なり
まするならば、これはもう協約自体が
地方公共団体
を拘束するとこう申してもいいと思うのでありますが、さような
手続
をとらないで
管理者
なり
長だけが、議会の
権限
できめます
事項
までも協約を締結する、或いは全然
地方公共団体
の本来の機関でない仲裁裁定の機関が、
地方公共団体
の行為に
相当
するものをやるということでは、それによ
つて
地方公共団体
が拘束されるということは、どうも
地方公共団体
の一般的な性格から申しまして、呑み切れないわけであります。そこにいわゆる
公共性
というものがあるわけでありまして、さような見地から、一面から見ますと甚だ不徹底ではございまするが、かような方針で調節いたすより外ない、まあかように考えております。
原虎一
54
○
原虎一
君 そういたしますと仲裁裁定か
地方
自治体を拘束するという
法律
に
なり
まと、いろいろな他の
法律
関係
でそういう拘束
條項
が入る
法律
は違法になるということはありませんか。
鈴木俊一
55
○
政府委員
(
鈴木俊一
君)
地方公共団体
の意思
決定
の方式というものが、まあ自治法
なり
その他の自治
関係
法律
で定ま
つて
おるわけでございますが、その
原則
を特に
法律
によ
つて
変更をするということは、
法律
の
関係
だけから考えまするならばこれは或いは可能かと考えまするけれども、今の
地方
自治の本旨に基いて
地方公共団体
の
組織
運営を定めなければならないというこの憲法の現定は、
地方
自治の本旨という点から、やはり
組織
運営を
法律
で定める場合においても、
一つ
の保障を與えておるというふうに考えるわけであります。そういう
意味
から申しまして
地方公共団体
の活動というものは予算によ
つて
きまる。それがやはり
地方
自治の本旨に合致するものであ
つて
今のそれを越えた方式として即ち一般の執行機関
なり
、議決機関の方式によらないでこれを拘束するというのには、例えば裁判所というような、憲法が直接さような地位を與えておる機関によ
つて
地方公共団体
が拘束されることは、これは当然でございまするけれども、
法律
的の効力を前提といたしまして、さようなところまで拘束力を及ぼすということは、やはり憲法上問題があるのではないかというふうに考えるわけでございます。
原虎一
56
○
原虎一
君 契約を結ぶのではなくして、仲裁裁定という
一つ
の予算上資金上直ちには履行できないものが
一つ
の判決の形においてこれは拘束はするけれども、契約ではないのですね。その裁定というものを履行する
手続
をとる義務が私は長にあ
つて
何ら違法ではないと思う。すべてそのよしあしは最高機関の議会がきめて行く、そうしてその
法律
に基く裁定が下
つて
、そこの長と
労働者
と
労働協約
を仮に結んだとします、併しそれは條件を付して議会の承認を経なければ履行できないですから、議会の承認の
手続
をとる長は責任を持
つて
然るべきものである。この点が持たしていない。何故そういうことにな
つて
おるか。
鈴木俊一
57
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) 仲裁裁定の結果きまりましたことを長に対して予算上当然にこれを計上せよという拘束的な力を與えるという
程度
のことは、御指摘のごとく、それが憲法問題に撃がるとまでは私どもは考えませんが、そこまでは一政策上の問題になると思いまするけれども、教育
委員
会の例えば経費の計算等につきまして、現在教育
委員
会のほうにおきましても、いわゆる二重予算の方式があるわけでありますが、これも併し義務的な拘束力を長の予算編成権に対して與えていないのであります。裁判所によりまして義務付けられましたことは、これはもう憲法上当然やむを得ないことでありますし、さようあ
つて
然るべきでありまするが、その他の場合におきましては
地方団体
の予算の編成ということについてはできるだけ拘束力を與えないで、そうして自主的な予算の編成が可能であるように
制度
上いたしたいというふうに私ども考えておるわけでございます。そのことがやはりひいては
地方
自治の本旨という上からも要望されるのではないかと思うのであります。併しお説のごとくせめて予算編成権を拘束するというぐらいのことはよかろうというのも
一つ
の御見解と思いまするが、私どもはまあ今申上げましたように考えておる次第であります。
原虎一
58
○
原虎一
君 大体今日採決する予定でございますか。
西郷吉之助
59
○
委員長
(
西郷吉之助
君) その点申上げますが、まだ
衆議院
がこれから本会議にかけますので、今日はちよつと。
原虎一
60
○
原虎一
君 今日むりでしたら私も速記をやめてもら
つて
よろしいのですが。
西郷吉之助
61
○
委員長
(
西郷吉之助
君) やむを得ず月曜にいたそうと思いますが、できるだけ今日
質疑
をお盡しにな
つて
頂きたいと思います。
岡本愛祐
62
○
岡本愛祐
君 今原さんの触れられた公労法の第十六條の
規定
、それは私も当時参議院の議院運営
委員
会の
委員
の一員でありまして、一番初めのこの問題の
適用
に関して関與したのですが、私もどうも
政府
の
解釈
には納得できない点が多か
つたの
であります。その十六條の
規定
と、今度審議しております
地方公営企業法案
の姉妹法といいますか兄弟の
法律
である
地方公営企業労働関係法案
の十條に同じような書き方をしておる。そういう問題がある
條文
をそのまま取入れることについては非常におかしく思うのであります。もつとはつきりとしなければならないと思うのであります。原さんが今日連合
委員
会でいろいろ質問なす
つて
おられた。私もやろうと思
つたの
ですが機会がなか
つたの
であります。それでついでに私はお尋ねしておくのですが、あなたがた直接の御責任者でないけれども
関係
はなす
つたの
でありましようからお尋ねします。第十條と第十六條の一項と書き方を違えてある
字句
を少しひつくり返してある。それはつまり現在の公労法の十六條の第一項は、「
公共企業体
の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も、
政府
を拘束するものではない。「今度の書き方は、十條で「
地方公営企業
の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も」そこまでは同じですが、「
当該地方公共団体
の議会によ
つて
所定の行為がなされるまでは、
当該地方公共団体
を拘束せず、且つ、いかなる資金といえども、そのような協定に基いて支出されてはならない。」とありまして、つまり片一方の「又国会によ
つて
所定の行為がなされるまでは、そのような協定に基いていかなる資金といえども支出してはならない。」という「国会によ
つて
所定の行為がなされるまでは」というのを資金の支出だけにわけてあ
つたの
を、今度上に持
つて
行
つて
「
地方公共団体
の議会によ
つて
所定の行為がなされるまでは、
当該地方公共団体
を拘束せず」、こういうふうに持
つて
来た。まあここにちよつと違つたところがあるように思うのですが、それは何か意識しておられますか。
鈴木俊一
63
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) 御指摘のごとく若干表現は違
つて
おるのでございますが、今御指摘に
なり
ましたように順序を顛倒したという
程度
でございまして、特にこの表現によ
つて
別個のことを現わそうということではありませんで、法制技術上の問題といたしまして、よりなだらかな表現に変えたというだけでございます。
岡本愛祐
64
○
岡本愛祐
君 それでは今度の
地方公営企業労働関係法案
のほうの十條を読んでみますと、そういう支出を内容とする如何なる協定も
当該地方公共団体
の議会によ
つて
所定の行為がなされるまでは拘束しないというので、大分わかり易く
なつ
たような気が私はしておるのです。同じことではなくてそこで少し変更をしたじやないかと思うので、そうすると
当該地方公共団体
の議会によ
つて
所定の行為がなされる、第二項によ
つて
「
前項
の協定をしたときは、
当該地方公共団体
の長はその締結後十日以内に、これを(中略)議会に付議して、その承認を求めなければならない。」これはまあ現行と同じでありますが、これは重複するのですか。その点は同じと考えておられるのですか。
鈴木俊一
65
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) 御指摘のごとく、この十六條は表現といたしましては非常に不明瞭でございます。不明瞭なる表現ではございまするが、
政府
がこれによ
つて
只今考えておりますると同じような内容のことをよりよくわかりやすく表現しようというのがこの十條でございまして、
従つて
政府
といたしましては
解釈
上何らこれに変更を加えていないという考えでございます。
岡本愛祐
66
○
岡本愛祐
君 そこで私はその当時、今の増田副幹事長が官房長官で主として答弁に当られ、又
あと
で当時の
労働
大臣の
鈴木
さんの答弁と食い違いが起つたりしたのでありますが、増田君は第二項の但書を楯にと
つて
「
当該地方公共団体
の議会がその締結の日から十百」、第三項の「
前項
の
規定
により
当該地方公共団体
の議会の承認があつたときは、第一項の協定は、それに記載された日付にさかのぼ
つて
効力を発生するものとする。」で、これはまあ今度の
規定
ですが、そうすると
地方公共団体
が承認しなかつたときは、もう遡
つて
効力を発生しないのだから駄目だ、こういう理窟であ
つたの
です。そのとき私は言
つたの
ですが、それはおかしいじやないか、その読み方は論理に反するのだ、ないならば、逆は真
なり
ということがあるのだが、この
当該地方公共団体
の議会の承認がなかつたときは発生しないというのは、犬は動物である、こういう命題があ
つて
、犬でないから動物でないとこういう論理を使
つて
おるのだ、それはおかしい、犬でなくても猫でも動物であるのだ、犬でないから動物でないというのは非常におかしい、それでやつぱり私は、あなたもおつしやりみんなもおつしやつたように、「
政府
は、」その時は
政府
、これは
地方公共団体
ですが、一応拘束されるので、そして承認しなかつたときには債務としてまだ残
つて
おるのである。その債務はいずれ
地方
公共
企業
の予算上又は資金上可能な場合が出て来る。そのときには又承認して拂わなけりやならない。で、もう一度、この時に承認しなかつたからとい
つて
永久にこの債務は消えてしまうというのじやない、こういうふうに考えているのですが、どうですか。そう読まなけりやならないのですか、この十條は。
鈴木俊一
67
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) この点、まあ十六條の問題としては私所管でございませんのでなんでございますが、今一旦協約が締結され或いは裁定が行われた場合におきまして、その裁定
なり
協定を議会に付議いたしましてそれを承認しない、即ち否決したということに相成りまするならば、その問題はやはりそれで解決をしたというふうに一般的には見るべきものではないかと思うのであります。この裁定の内容がまあ如何ような内容にな
つて
おりまするか、過分なものであるか或いは過分でないものであるか、これはやはり裁定の内容によ
つて
も違うと思いまするけれども、まあ多くの場合それら全体を
一つ
として考えなければならない性質のものが多いと思うのでございます。さようなものでございまするならば、一旦議会に付議いたしまして議会がこれを否認したということに相成りまするならば、それでその裁定は遂に効力を生じないというふうに現行法においては
解釈
せざるを得ないのでございます。この十條の
規定
におきましてもさように
解釈
せざるを得ないのではないかというふうに考えるわけでございます。
岡本愛祐
68
○
岡本愛祐
君
政府
の従来の御
説明
の仕方はそれでいいのですが、これは大いに疑問があるので、もつとこれははつきりせられるといいと思うことでありますが、まあこれは当面の問題ではありません。それでまあそれは附け加えて申しておいたのでありますが、今度
衆議院
の
修正案
につきまして
政府
の意見を開いておきたいので、あります。大体この
衆議院
の
修正案
は、当
委員
会に来ております
地方公共団体
の
労働組合
のほうの意見、それを取入れられたものと思います。そこでお尋ねしたいのですが、初めの
政府原案
におきまして
八條
と九條の
関係
です、
労働協約
を附け加えた問題でありますが、第
八條
に初めの
政府原案
では
管理者
が行えない
事項
即ち
地方公共団体
の長がやることの中に「
労働協約
を結ぶこと。」とこうあ
つたの
ですね、それをこういう
労働組合
の意見によりましてそれを削除した。それが我々のところに提出された
政府原案
にな
つて
おると思うのであります。そうするとこの
政府原案
では
八條
と九條とどちらにも「
労働協約
を結ぶこと。」というのが入
つて
なか
つたの
ですね。それはどういうわけだ
つたの
でしようか。入
つて
ないとすると、これは当然この四の「
地方公共団体
の長」であることとはならない。
佐久間彊
69
○
政府委員
(
佐久間彊
君) 只今のお尋ねにつきまして経緯を申上げます。
政府
は一番最初の案としましてこの
八條
に「
労働協約
を結ぶこと。」というのを入れておつた時代があ
つたの
でございます。そのときの考え方といたしますると、恐らくこの
労働協約
の内容と
なり
ます
事項
が予算に
関係
する問題或いは又
條例
を
修正
しなければならない、実はできないような問題、そういうようなものが恐らく
相当
多いのではなかろうか、そういたしまするとそういう
労働協約
を
管理者
と締結をいたしましても、予算
なり
條例
なり
、議会に提案をいたさなければならないようなものにつきましては、
管理者
限りでは何ら問題は解決されない。それでその
労働組合
といたしましても、折角締結いたしましてもなかなか実現が思うように捗らないというようなことに
なり
まするので、それならばいつそ長を
原則
として相手方にする、で、無論この長が
管理者
に委任をいたしますれば、これは委任の一般原理によりまして
管理者
が相手方に
なり
得るわけでございまするが、長を立てることを建前といたしまして第
八條
に
規定
するのがよいのではないかという考え方をいたしてお
つたの
でこぎいます。併しながらその後よく検討をいたしてみますると、
管理者
限りでも十分
権限
内でなし得る、解決のできる問題も
相当
あるわけでございます。大体そういうものにつきまして一応長にしておいて、長から委任をさせるということよりも、端的にそういう問題につきましては
管理者
を相手方として
労働協約
を締結することができるというふうにいたしますることがむしろいいのではないか。そういたしますと
労働協約
の内容といたします
事項
につきまして、それぞれ長の
権限
に
関係
いたしまして
管理者
だけでは処置ができない問題であるか、或いは
管理者
の
権限
内で処理できる問題であるかということによりまして、或いは長が相手方になる、或いは
管理者
が相手方になるというふうにいたしますことのほうがより適当ではなかろうかという考え方に
なり
まして、両方とも
労働協約
をどちらの
権限
にするということを書かないで、こういう
解釈
で参りまして、協約の内によ
つて
権限
の属するところのものを相手方にしよう、こういう考え方をいたしたのであります。今回
衆議院
の御審議におきましては、成るほど実体はそういうことでいいが、併し全然何も書いてないと、その点があいまいでぼやかされて来る、そのことをめぐ
つて
却
つて
争いが起るようなことがあ
つて
も困るからそういう
趣旨
ならそういう
趣旨
で、
管理者
の
権限
の
範囲
内において協約を結ぶということで明文を入れたほうがいい、こういう御店見がございましてそのような
修正
をいたしたのであります。
岡本愛祐
70
○
岡本愛祐
君 それでは
衆議院
の
修正
をしたのは念のために挙げたのであ
つて
その
権限
の
範囲
内において
労働協約
を結ぶということは初め
政府
としては考えておつた
通り
である、こういうことですね。
佐久間彊
71
○
政府委員
(
佐久間彊
君) さようでございます。
岡本愛祐
72
○
岡本愛祐
君 じやその点はわかりました。それから十
五條
の「
地方自治法
第百七十
二條
第一項の
職員
で」というのを削つた
理由
ですね、それをもう一度
政府
のほうから御
説明
を願いたい。
佐久間彊
73
○
政府委員
(
佐久間彊
君) これも実際の
意味
につきましては別に違つたお考えでお削りに
なつ
たようには存じておりません。私どもの承わ
つて
おりまするところではこの「
地方自治法
第百七十三條第一項の
職員
で……」ということが上にかぶさ
つて
おりますると、本来この
法律
によりますると
地方自治法
第百七十
二條
の特例といたしましては、長が任命権を持つべきものに
相当
する
職員
につきまして全部
管理者
が任命権を持つ、ただ主要な
職員
につきましてはあらかじめ長の同意を経る、こういう建前にな
つて
おりまするのが、「
地方自治法
第百七十
二條
第一項の
職員
で」ということを上に書きますことによ
つて
、何かその
管理者
の
任命権者
といたしました
趣旨
はぼやかされて見える。そういうようなことであればこれをむしろとつたほうがいいのではないか、こういう
趣旨
のように承わ
つて
おります。
岡本愛祐
74
○
岡本愛祐
君 それではそれも
政府
と同様の考えである、念のために削つたといういうわけでございますね。次に三十
七條
の第一項中
管理者
を削
つて
、又二項中に
修正
した、そして第三項を削つた、これは大体
職階制
を設けることについて
労働組合
が非常に反対であ
つたの
ですが、
職階制
は一応残しておる、なぜこういう
修正
をされたのですか。それについて
政府
側からもう一度御
説明
にな
つて
下さい。
佐久間彊
75
○
政府委員
(
佐久間彊
君) 三十
七條
につきましては只今お言葉もございましたように、
職階制
というものを
企業職員
には全然
実施
をしないことがいいのではないかというような御質問もあ
つたの
でございます。併しながらこの
職階制
と申しますのはそこの二項に書いてありますように、
職員
の
職務
の
種類
、複雑さ、或いは責任の度に応じて分類整理いたしまして、それによ
つて
人事管理を合理的に科学的にや
つて
行こう、こういうことでありまするので、その
意味
でそういうような事柄は
一般職員
でありますと
企業職員
でありますと両方とも必要なことである。むしろアメリカ等におきまする発達の沿革を聞いてみましても
企業
体等におきましてこの効用がいち早く認められて、それからだんだん発達して来たというようなことも承わ
つて
おりますので、
政府
といたしましては
企業職員
であるから
職階制
を
実施
する必要ないということは毛頭考えていないのであります。ただ
一般職員
と
職務
の内容が違いまするので、おのずからその
職階制
の内容は
企業職員
の実態に即応したようにして行かねばならない。そこで
地方公務員法
の二十三條の
職階制
に関する
規定
よりもずつと簡單な
條文
にいたしておりまして、
企業
の実態に応じてその
職階制
が
実施
できるような建前にしておるのだということを提案の
趣旨
として御
説明
申上げたのであります。その結果その
職階制
を
実施
することの必要なことは御認識されまして、ただここで御
修正
に
なり
ましたのは一項、二項で
管理者
が
職階制
を
実施
すると、こういう建前を「
管理者
は」と書いてありますと、何かこの
條文
によりまして
職階制
を
実施
することが
管理者
の専属的な
権限
に
なり
まして、これが
労働協約
の
団体交渉
の対象にならないようなふうに受取れるという御
説明
があ
つたの
であります。私どもといたしましては無論この
職階制
の内容と
なり
まする
給與
、その他のことにつきましては
団体交渉
の対象に
なり
ますことは、
労働関係法
の第
七條
の
規定
から見て当然でありまして、むしろ
管理者
が
実施
をいたします場合にも
団体交渉
で
労働協約
できまりました内容によ
つて
実施
することになるのだというふうに予想いたしておるわけでありますが、そういうような御
趣旨
で、同じような
意味
でありますが、「
管理者
は」ということを特に削つたわけであります。それから第三項につきましては、これが私どもとしましては
管理者
がそういうことで
職階制
を
実施
いたします場合に、
人事委員会
をおいておりまする
地方公共団体
におきましては、
人事委員会
が
一般職員
につきまして
任命権者
と別に
一つ
の人事
行政
についての専門機関としておるわけでありますから、この
職階制
につきましても特に
人事委員会
はそういう
行政
の専門機関といたしまして平素から研究をいたしておるわけでありますから、この
管理者
に対しまして技術的な見地から
助言
をすることができるということにいたすことがいいのじやなかろうかという
趣旨
で
政府原案
ではおいてお
つたの
でありますが、これに対しましては同じ
職階制
につきましても
一般職員
を対象とした
職階制
を平素研究しておる
人事委員会
であるから、
企業職員
についての
職階制
についてわざわざ
技術的助言
をさせるということは適当でない、むしろ却
つて
一般職員
のような頭で
企業
の実態に即さない
助言
をするようなことも起り得るのじやないか、そういう懸念があるからこれは創つたらどうだ、こういうことがございましてこれは
修正
に
なつ
たわけであります。
岡本愛祐
76
○
岡本愛祐
君 もう
一つ
聞いておきますが、三十
八條
におきまして第三項の
給與
額の
決定
というのを
衆議院側
では削つた、これは
職員
組合のほうは第三項については当然
団体交渉
の
方法
を以てすべきであるから削除すべきであるという意見が出てお
つたの
であります。まあそのつもりで削られたと思うのでありますが、
給與
額の
決定
の
基準
は
條例
で定められないということに
なり
ましたのですか。
佐久間彊
77
○
政府委員
(
佐久間彊
君) この
政府
の
原案
におきましても実は
団体交渉
で
給與
を
決定
いたす方式を認めました以上は、
一般職員
のように
條例
で
給與
の額の詳細、例えば何級何号俸という
給與
表のようなものまで
一般職員
については
條例
できめていたのでありますが、そのようなことまで
條例
できめることは
団体交渉
を認めた
趣旨
に合わない。そのような考え方からこの第三十
八條
第三項で
種類
と
基準
とに限定いたしました
趣旨
は、
種類
と
給與
額の
決定
額そのものはきめておりませんが、
給與
衰そのものではありませんが、あの
給與
表の前提と
なり
ます
一つ
の
基準
、例えば最高額と最低額の間のきざみ方はどういうような
原則
でや
つて
行く、或いは能率給をどの
程度
加味するといつたような
給與
表
決定
に至るもう
一つ
前の段階の
給與
の
基準
額を
條例
としてきめて、その他を
団体交渉
によ
つて
きめるということにし、なお又
団体交渉
によりまして現在の
條例
と牴触する問題につきましては、無論
労働関係法
の
條例
によ
つて
処置をとるわけでありますが、そういうようなことで
原案
はできたわけであります。それに対しまして全部
條例
を外してしま
つて
団体交渉
に一切委してはどうかというような議論もあ
つたの
でありますが、
地方公共団体
の経営いたします
企業
であります以上は、極く大枠だけを
條例
で議会の全体の意思で一応きめて、その枠内でも
つて
団体交渉
をするということが当然ではなかろうかということを申上げたところ、その点はそうであろうというふうに御理解頂いたのでありますが、ただこの大枠だけを
條例
できめておいて、
あと
の細目は
団体交渉
に委せるのだという
趣旨
につきましても御了承を頂いたのでありますが、ただそういう
政府
側の気持を
給與
額の
決定
と書いてありますと、どうもそれをそういうふうにとれない。むしろここで
給與
額を
決定
するということは、
給與
衰何級何号で幾らになるということまで
條例
できめるようにこれではとれるという御指摘もございまして、極く大枠だけを
條例
できめておくという
趣旨
から、むしろ
給與
額の
決定
という
字句
を取つたほうが
政府
側の気持とマッチするし、又
衆議院
の
修正
をいたしました骨子にも合うということで
修正
にな
つたの
であります。
岡本愛祐
78
○
岡本愛祐
君 それでは
給與
額の
決定
という字を削つたことは、
給與
の
基準
という中に
政府
が
原案
で考えておつたような
給與
の大枠というようなそういうようなものは
條例
できめて行
つて
差支えない、こういうことに
衆議院側
も了承しているわけですね。
佐久間彊
79
○
政府委員
(
佐久間彊
君) そうでございます。
岡本愛祐
80
○
岡本愛祐
君 それははつきりしておかないとこの点非常に大事な点ですから念を入れておきます。
宮田重文
81
○宮田重文君 一点お伺いしたいのですが、二十
一條
の料金のことなんですが、これは公正妥当なものでなければならない、それで
あと
のほらに行
つて
「
公営企業
の収支の均衡を保持させるように」ということにな
つて
おりますが、従来は料金の
決定
については、同じくそういうような形で料金が
決定
されているのですが、そのような面は今後どういうふうに
なり
ますか、その点伺
つて
おきたいのであります。
鈴木俊一
82
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) この点は個々の事業法規によりまして定められております制限につきましては、当然これがかぶ
つて
来るわけでありまして、
従つて
ただここでの料金
決定
は一般
原則
をかように表現いたしたということであります。
西郷吉之助
83
○
委員長
(
西郷吉之助
君) ほかに御
質疑
はございませんか。 それでは本日はこの
程度
にいたしまして、月曜日の午後にでもこの
法案
を上げて参りたいと思います。本日はこれにて散会いたします。 午後四時十五分散会