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1952-06-14 第13回国会 参議院 地方行政委員会 第52号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十四日(土曜日)    午後二時二十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    理事            中田 吉雄君    委員            石村 幸作君            高橋進太郎君            宮田 重文君            岡本 愛祐君            館  哲二君            原  虎一君   衆議院議員            門司  亮君   政府委員    地方自治政務次    官       藤野 繁雄君    地方自治庁次長 鈴木 俊一君    地方自治庁行政    課長      永野 士郎君    地方自治庁財政    課長      奧野 誠亮君    地方自治庁公務    員課長     佐久間 彊君   事務局側    常任委員会專門    員       福永與一郎君    常任委員会專門    員       武井 群嗣君   —————————————   本日の会議に付した事件地方公営企業法案内閣送付)   —————————————
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それではこれより開会いたします。本日は地方公営企業法案に対する質疑を続行して参ります。
  3. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 本法案に対する衆議院側修正点が大体きまつたようでありますが、それについて先ず最初に政府委員から説明をさせて頂きたいと思います。
  4. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 今その点につきまして、提案者門司さんに只今連絡していますから追つて見えると思いますから、その際修正案について説明いたさせますから。
  5. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 了承いたしました。
  6. 原虎一

    原虎一君 第一條の第二項の「地方公共団体は、政令で定める基準に従い、條例で定めるところにより、地方公共団体の経営する地方公営企業以外の企業に、この法律規定の全部又は一部を適用することができる。」これを御説明つておきたいのです。それは具体的な例がありますれば例を挙げて御説明願いたいと思います。
  7. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは第二條の一項を受けておるわけでございますが、第二條の第一項では水道について五十人以上、軌道事業自動車運送事業地方鉄道事業は百人以上、電気、ガスは三十人以上というふうな相当規模地方公営企業だけを抑えておるわけでございます。範囲も一応、附帯事業は含みまするがこの範囲に限定をいたしておるわけでございます。かように限定いたしました趣旨は、後のほうに出て参りますように地方公営企業としてこの法律適用を受けますると特別に管理者を置かなければならないとか、管理者と長との関係とか、或いは企業管理規程その他相当行政について独立性組織の上で持つて来るわけであります。又殊に財務の点に至りましては特別会計を設けること自体が、現在もそうなつておりまするから特に問題はございませんが、いわゆる発生主義によりまして普通の一般会社と同じような方式の企業経理をとることになるわけでございます。これは普通の地方公共団体の現在までの通常の職員知識経験をこえておると申しますかやはり相当の専門的な知識を必要としておるのでございます。会計関係はさようなことで或る程度複雑になり詳しくなるわけでございますが、そういうような点から申しますると、この規模を余りに小さくいたしまして小さな地方公共団体公営企業に皆適用するということになりますると、非常に無理な複雑な組織を設け複雑な行政手続を要求することになりまして無理であるのであります。殊に新らしい制度でございまするので相当規模のものに当然に適用する、こういう原則を第二條第一項ではきめておるのでございます。二項では、従つてさような原則的に適用をする範囲が絞つておりまするが、併し地方団体が複雑な組織なり複雑な会計制度になつても差支えないと、こういう場合にはそれを抑制する必要がございませんので、そういうものは條例でこの一項に列記しておりまする以外の公営企業にも適用して行つていい、又ここに列記してありまする企業で、水道事業で例えば四十人、五十人未満というようなものにも、即ち規模以下のものにも適用して行く、併しそれはいずれも條例で自主的にきめさせようということでございます。併しながら條例できめさせるときの基準政令で設けることにいたしておきたいというのはそういう意味でございます。そうして條例適用いたします場合におきましても、この公営企業規定の或る部分だけをばらばらに適用するということは意味がございませんので、管理者規定或いは会計規定というものを一体として要するに全部的に適用いたしまするか、或いは会計規定だけを適用するというふうにいたしますか、さような実情に応じまして適用範囲を区分いたさせることが必要であると思うのでありますが、さような区分を政令基準として定めるようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  8. 原虎一

    原虎一君 その「政令で定める基準に従い」とありますから政令案というものはできておるのでしようか。
  9. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは後刻書面で御参考に供したいと思います。
  10. 原虎一

    原虎一君 それからこれはまあ字句にとらわれるようになりますが一応明らかにしておく必要があるのですが、第二條の二行日にあります「常時雇用される職員の数が」となつておりまして要するに適用対象企業なるものは職員人数で定めると。そこで、この職員とは、ということになるのですね。この解釈をどこかで與えておりますか。職員とは、ということですね、この解釈、どこか與えるところがありますかな。
  11. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この職員につきましては別に解釈は出るところはございませんですが、いわゆる地方で雇つておりまする吏員というものもそのほかの職員も全部含めまして百人ということになつております。
  12. 原虎一

    原虎一君 例えば職員一人、二人の認定によつて三十人になつたり二十八人になつたりする場合があるのですね。ですからこれは一応只今法審議の上においては明確にしておく必要があるのではないか、こう思うのですね。これに適用するのですから任意的でないわけですね。結局は人数が、これだけと明確になればこの法によつて公営企業体を作らなければならんわけでしよう。強制になるわけですね。そうするとやはり私は、職員とは、ということを一応明確にしておく必要が生ずるのではないかと思うのですね。
  13. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 御尤もでございます。只今公務員課長から申上げましたが「常時雇用される職員」かようになつておるわけでございますので、この企業のために常時專従いたしておりまする職員の数が五十人であるか百人であるかということの判定の基準になると考えておるのであります。
  14. 原虎一

    原虎一君 あと常識的判断でいいと思いますけれども、まあ労働関係から起きて参るものは、例えば水道事業が五十人ですね、この場合に労働関係からいうと職員は成るべく公共企業体になつて公営企業労働関係法適用を受けるのですね。例えば当局は四十八人と見ておつた、併し職員側がこれは明らかに五十一人おると、こういうふうに言つたときに争が起るわけですね、そういうときの認定職員の数できめておるだけに「職員とは」ということを明確に……、そういう争が生じたときには行政訴訟のようなものを起さなければならんのか、その認定をどこでやるかという問題ですね、これは起き得ると思う。そう数は多くはないかも知らんが起き得る問題だと思うのですね。
  15. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊君) その点は先ほど申上げましたように常時この企業のために專徒雇用される職員の数という具体的の認定の問題でございますが、管理者と或いはいわゆる長その他の地方公共団体理下者側、或いは議会側企業に従事しております職員との間に認定について違いを生ずるというようなことはまあ余りないと思いますけれども、御指摘のごとく全くないということはあり得ないと思います。さような場合におきましてはこれは結局地方公共団体の経営する企業であるわけでございまして、当該地方公共団体において長なり議会なり一応この法律につきましての運営の認定権と申しますか、そういうものを地方公共団体が持つことになると思うのであります。従つて長がこれについてのその団体だけの限度におきましては認定権限を持つと思いまするが、それが法律の定めておるところに違反をしておるという場合におきましては行政事件訴訟特例法によりまして権利関係確認ということで訴訟いたし、それによつて果してこれが常時雇用される職員の数が法定基準に達しておるかおらないかという事実の確認行政訴訟法つて最終的に行い得る、さように考えております。
  16. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは門司衆議院議員から衆議院におきます修正案について説明をして頂きます。
  17. 門司亮

    衆議院議員門司亮君) それでは私から衆議院におきまして修正をいたしました修正部分について、修正の案文並びにその趣旨を御説明申上げたいと思います。地方公営企業法に対する修正案でありまして   地方公営企業法案の一部を次のように修正する。  (1)第九條第十二号を第十四号とし、第十三号として次のように加える。  十三 その権限範囲内において労働協約を結ぶこと。  こういう條文を一応挿入をしたわけであります。これはこの九條の管理者権限範囲において行いまする事務の担任につきまして、ここにずつと十二まで羅列してありまするが、その中に労働協約に関することが書いてありませんため、私どもはこれを管理者の持つております権限範囲内において労働協約を結ぶことができるということに改めたのであります。これはこの法案と密接な関係を持つておりまする地方公営企業労働関係法案の第七條に(団体交渉範囲)ということがありましてこの中にやはり「労働協約を締結することを妨げない。」という條項を書いておりまして、同時に一から五までの個條をずつと挙げておりますので、これらの問題につきましてはやはり管理者自分の持つております権限範囲内でやはりこれに基いた労働協約を結ぶことができるということにいたしましてこの親法案ともいうべき地方公営企業法地方公営企業労働関係法との調整を図つたわけであります。次に   (2) 第十五條の一項中「地方自治法第百七十二條第一項の職員でを削り」、ということにいたしましたのは、この地方自治法の第百七十二條の第一項というものは「前十一條に定める者を除く外、普通地方公共団体吏員その他の職員を置く。」とこう書いてございます。この「吏員その他の職員」というのは、長又はその理事者の定めまする一つ補助職員でありまして、従つてこれがやはり理事者の意見で採用された者が、この管理者の管理いたしておりまする手業の中に入つて来るということになりますると、一応「管理者権限に属する事務の執行を補助するものは、管理者が任免する。」とこう書いてありまするが、併しながら実際の問題といたしましては、丁度今日までありました例えば都道府県本庁関係から派遣されて来た職員それから地方職員とありまして、非常に運営上困つたのでありますが、そういう形がやはりこの中に出て参りまして、一方においては管理者自分権限範囲内で定めた職員、更にこの地方自治法の百七十二條の一項の規定に基いて理事者のほうから補助職員として参りました者との円満なる調整を図りますることのためにも、この「地方自治法第百七十二條第一項の職員で」という規定を削除いたしまして、そして職員につきましては補助職員につきましても、管理者権限においてこれを任免することができるというふうに改めて参つたのであります。  その下の「補助するものは」を「補助する職員は」と改めましたのは、さつき申上げましたような理由において字句修正をいたしたのであります。それから   (3) 第三十六條中「別に企業職員  の労働関係に関する法律」を「地方  公営企業労働関係法昭和二十七年  法律第  号)」に改める。と書いて  参りましたのは、この法案を提案されましたときにはまだこの地方公営企業労働関係法が提案されておりませんし、これがまだ通過いたしておりませんでしたので、こういうふうに字句が書いてあつたのでありますが、すでに衆議院では地方公営企業労働関係法案が通過いたしておりますので、ことさらにこの企業職員労働関係に関する法律というよりも、わかり易くその名前をそのまま承継したほうがいいというので改めたわけであります。従つてそのほかに何も他意はないのであります。  それから次の三十七條におきまして、第三十七條第一項中「管理者は」これを削つたのであります。更に第二項中の「管理者は、」はこれを創りまして、そうして「前項職階制においては」に改めて参つたのであります。これは企業職員については管理者が一方的に職階制を定めたり、或いは管理者が一方的に企業職員の「職務種類及び複雑と責任の度に応じて分類整理しなければならない」というようなことになつておりますが、併しながらこれも先ほど申しましたように地方公営企業労働関係法七條におきまして団体協約ができるようになつておりまするのに、更に九條に団体協約を結ぶことができるという規定を挿入いたして参りましたのも、挙げて団体交渉範囲においてこの手続を定めてもらう、理事者の一方的の職階制ではなくして団体交渉においてそれらのものを一つ処理して行くようにいたして参つたのであります。  それから更に三項を制つておりつますが、これは原案におきましては「人事委員会を置く地方公共団体においては人事委員会は、職階制実施に関し管理者技術的助言をすることができる。」こう書いてありますが、仕事の実態から見て参りまして一般職員と非常にその性質を異にいたしておりまして現場における仕事でありまして一般事務員と同じような採用の仕方或いは職階制等に対してきめらつれるということも如何かと存ぜられますし、それから前條において管理者の一方的の職階制の制定に対しましてこれを創除いたしまして、そうして団体交渉範囲にこれを任しましたので、従つて一の人事委員会助言を削除することがいいと考えましたので、人事委員会管理者に対する技術的助言をすることの條項を創除いたして参つたのであります。  それから第三十八條の第三項中の「給與額決定の」というのを削つたのであります。この「給與額決定の」という文字を削りましたので、従つて三項は「企業職員給與種類及び基準は、條例で定める」こう改めて参つたのであります。これが企業職員給與種類であるとか或いは基準であるとか、或いはこれらの具体的に申しまするならば給與をどういうふうにして支拂わなければならない、或いは給與種類はこういうようなものであるということは、これは一応やはり條例で定める。併し給與の額の決定というようなことになつて参りますと、非常に細かいところまでこの條例で定めるというようなことになつて参りまして非常にこの基準という文字が強くなつて参りまして、その條例に縛られて、折角の労働者団体交渉その他できめようといたしまする給與その他に対して、多少なりとも支障があつてはならないということで、従つて給與額決定の」という文字だけを削除いたしまして、ここでは先ほどから申上げましたように給與種類というようなごく大ざつぱな基準だけは條例で定めるということに改めて参つたのであります。それから更に第三十九條でありまするが、「第一項第五号及び第八号並びに」を「第一項第五号」に改めて参りましてそうして「及び第八号並びに」という文字を削除いたしたのであります。この地方公務員法の第八條の第八号におきましては「職員研修及び勤務成績評定に関する総合的企画を行うこと」となつておりますが、先に申しましたように人事委員会管理者に対する助言條項を削除いたして参りましたので、従つてこれと同じようにやはり地方公務員の「研修及び勤務成績評定に関する総合的企画」を人事委員会がするようになつておりまするので、人事委員会助言を廃しました以上は、やはり地方公務員法の第八條の八号も削除することが正しいと思いましてこれを削除したわけであります。更に第三十九條におきまして「第三十七條」の次に、「第三十九條第三項」を入れましたのは、この地方公務員法の第三十九條第三項は「人事委員会は、研修に関する計画立案その他研修方法について任命権者勧告することができる。」と書いてありますが、これもやはり前段も申しましたのと同じような意味で挿入することにいたしたのであります。それから次に「第四十條第二項」を入れたのでありまするが、やはりこれも「人事委員会は、勤務成績評定に関する計画立案その他勤務成績評定に関し必要な事項について」勧告をすることができる、こういうことで地方公務員法ではやはり人事委員会にその勧告権を非幣に大きく與えておりますので、これもやはり前段に申上げましたと同じ理由適用をしないことにいたしたいと考えたのであります。次に第四十五條の第三項から第四項までをやはり適用しないようにいたすことのためにこの字句を挿入したのでありまするが、第四十五條の第二項は「公務上の災害認定、療養の方法補償金額決定その他補償実施に関して異議のある者は、当該都道府県人事委員会に対し、人事委員会規則で定めるところにより、審査請求をすることができる。」こうなつておるのであります。更に第三項は「前項請求があつたときは、人事委員会は、直ちにこれを審査して裁定を行い、これを本人及び当局に通知しなければならない。」第四項は「第二項の規定による審査請求は、時効の中断に関しては、裁判上の請求とみなす。」こういうような條文になつておるのであります。従つてこれに対しましても前段に申上げましたようにやはり人事委員会にすべてが委嘱されるような形になつておりますので、これも地方公営企業労働法の第七條の中にやはり「労働に関する安全、衛生及び災害補償に関する事項」というのが団体交渉範囲の中に挿入されておりまするので、これをやはり団体協約によつてきめております。そうして団体交渉によつてこれを定めて更にこれを労働協約にして頂くことにいたしまして、人事委員会のこの審査その他の手数を省きまして、そこで労働組合に対しまして或いは労働者に対しましては従つて労働基準法適用をできるようにいたしたいと考えて参つたのであります。以上が大体修正をいたしました総体的の趣旨でありまして、要約して申上げまするならば、地方公営企業に従事いたしております労働者諸君の身分その他につきまして或いは懲戒その他につきましても、できるだけこれを私企業と同じように団体交渉範囲でこれを決定して、そうしてこれがやはり団体協約として結ぶことができるようにいたしましてこれに従事いたしておりまする労働者の基本的の権利というものを我々はできるだけ尊重して行きたいということでこういう修正をいたして参つたのであります。以上極めて簡單でございまするが、一応修正をいたしました趣旨弁明にかえておきたいと思う次第でございます。
  18. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 今の修正案について御質疑はございませんか。
  19. 原虎一

    原虎一君 大体自治庁の意向も聞いてやつたと思うのですが、その点はどの程度に了解ついておるのですか。
  20. 門司亮

    衆議院議員門司亮君) その点につきましては実は修正をいたしまするときに各派諸君に寄つて頂きまして更に自治庁からも事実上出て頂きまして、そうして一応の了解を得て、衆議院におきましては共産党を除く各派共同提案の形で提案いたしたものでございます。
  21. 原虎一

    原虎一君 共産党を除く與党、野党全部の共同提案なんですか、與党も加わつて
  22. 門司亮

    衆議院議員門司亮君) その通りであります。
  23. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) その他に門司代議士に御質問ございませんか。
  24. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 ちよつと一点伺つておきたいのですが、政府原案には第三十九條にかつこの中に「第一項第五号及び第八号」とあるのですが、この八号は適用することにしていいのですか。
  25. 門司亮

    衆議院議員門司亮君) いや八号は適用しないことにしております。
  26. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 ああそうですが、除くのですね。八條適用しないがこれは適用する。今度やはり適用しないことになつたのですね。
  27. 門司亮

    衆議院議員門司亮君) さようでございます。適用しないことになつたのです。
  28. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それでいいのですか。なぜ間違えたのですか。
  29. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 間違えたのじやございませんで、政府原案におきましては職員研修、それから勤務成績評定につきまして先ほど御説明のありました第三十九條第三項、第四十條第二項におきましてそれぞれ人事委員会任免権者勧告することができるという條文があつたわけであります。この第八條の第八号はその條文を受けまして人事委員会職務として布かれたのであります。あとのほうの三十九條第三項、第四十條第二項が先ほど御説明のありましたような御趣旨で削除になりましたので、適用外なりましたので、この点八條も続けてなつたのであります。
  30. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 他に門司君に御質疑ございませんか。他の点について御質疑ありませんか。
  31. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 第二條の第一項ですが、なぜこの事業種類によつて五十人に限定されたり、百人に限定したり、三十人に限定したり、まちまちになつておりますか。
  32. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 地方公営企業企業法案におきまして定めておりまする点は、組織の点と財務の点、労働関係は別個になつておりまするが、この組織なり財務なりに関しまする規定といたしまして、地方公営企業をいかに公共性原則を保持しつつ経済性原則にマッチせしめるかということを考えたわけでございまして、そういう点から申しますと或る程度組織にいたしましても財務にいたしましても複雑なる行政処理を必要とすることになりまして、先ほど申上げましたように相当の専門的な、殊に会計経理等につきましては専門的な職員の配備を必要とするわけでございます。従つて相当程度の大きな規模のものであることが必要になつて来るわけであります。殊に新しい制度でございまするので仮にそれが非常に合理的に運用せられることになりまして、将来これをできるだけ広く普及をして行くということになりましても、先ず差当つて相当規模の大きな、基礎のしつかりしたものに強制適用して、あとは実際団体適用してもらいたいと、又適用を受けても十分その能力があるという自主的な判断をいたしましたものに任意適用をして行こうと、こういう考えでございます。そこで大体五十人、百人、三十人と申しますのはさような見地から人口十万前後というところで企業に従事いたしまする職員の数を一応統計的に比例しましてかような一つの目安を立てそれを若干調整いたした数字でございます。
  33. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 日本都市交通労働組合連合会というところから請願が出ております。そのうちで下水道事業自動車運送事業及び地方鉄道事業に常時これに従事する職員数を百人を五十人にするという希望が出ておる。又最近に水道事業職員の場合が五十人が多過ぎるから三十人くらいにしてほしいというような陳情も出ておるのですが、人口十万前後の都市をとつたと言われるのだが、今のような陳情はそういうことにおいてほかのバランスが崩れるということになりますか。
  34. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 地方公営企業法で直接規定いたしておりまするのは組織なり会計経理でございますが、労働組合職員団体のほうから特に重点を置いてこの規模の引下げ、言い換えれば適用範囲の拡大を要望しておりまするのは主として労働関係の問題にからまるわけでございます。労働関係法は別個に立案をせられておりましてこれにつきましてはかような人員の制限をいたしていないのであります。これは当初基準一つにしたらどうかというようなこともいろいろ考えたのでございまするけれども、どうもこの労働関係組織なり会計経理との関係原則適用範囲というものは若干ずれても止むを得ないと、労働関係におきましては企業に従事いたしておりまする職員の利益保護が、現在提案をいたしておりますような地方公営企業労働関係法のほうの方式、組織にいたすほうがよりよくかような施設の地方公務員の利益にもなるというふうに考えまして、これらについてはかような規模決定を設けないて、大企業に従事いたしまする職員にいずれも労働関係のあの法律適用することにいたしておるのであります。従つて労働組合なり職員団体の要望しておる点はそれによつて私ども満たされておるのではないか、むしろこれは公営企業組織管理という面、或いは会計経理という面から如何なるところで抑えるのが適当であるかということをめどにしてかような基準を作つたわけでございまして、これは新しい制度で又相当殊に会計経理等につきましては従来の官庁の現金主義の会計方式とは異なつた発生、主義の方式をとると、各種の償却なりその他の企業経理の方式をとつておりまするので、やはり相当程度の大規模のものでございませんと第一次的には無理ではないかと考えるのであります。将来これを更に引下げて一般的に適用範囲を拡大するということは考えられるのでありますが、第一段にはかような程度が適当であると、こう考えておる次第でございます。
  35. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 なお陳情では水道事業の中にそれと密接な関係のある改良下水事業も加えてもらいたいという希望も出ておるのですが、水道事業ばかりでなく改良下水事業を含むというふうには入らんものですか。
  36. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 下水道につきましてはやはり相当多額の資金を投下いたしませんとこれが行なつて行けないわけでございまするが、今日の段階におきましては下水道は未だに普及の程度が非常に少いわけでございまして、先ず指定施設を設ける段階になければならない、かような段階についてはこれを独立採算制をとるという一般の公営企業の中に入れますると、これは実際において独立裸算が困難でございまするし、又水道事業等を合せまして独立採算の経営にいたしますると、水道料金というものもおのずから多額にとらなければならないというようなことで、無理に独立採算をとることが無理に考えられるのであります。そういう意味原則的な適用範囲にはこれを書きませんでしたが、併しすでに独立採算が可能であるような段階に普及度が達しておりまするような下水道事業につきましては、これは二項の條例によつて当該団体がやるということで十分目的を達成するのではないか。上水道と下水道を同時に経営をいたしておるものでも、例えば名古屋は或る程度独立採箕が可能な段階になつておりまするから、これは併せて二項によつてこれを適用して行くという途を囲いておりまするので、この点も心配ないというふうに考えておる次第であります。
  37. 原虎一

    原虎一君 関連してですが、一番問題になるのが改良事業下水道の問題になると思います。改良下水なんかは自治体が政令で定める基準従つて條例で定めるというこの條文でやり得る可能性があるか、或いはそういうものは政令で定める基準に反するということになるのか、その点を伺つておきたい。
  38. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この政令で定める基準は先ほど申上げましたようだ、この地方公営企業法の「規定の全部又は一部」とありますが、令部適用の場合は問題ないといたしまして、一部を適用いたします場合に、勝手にバラバラにとるということでなく、やはり或る程度合理的に一部を適用する、或いは会計経理規定だけを適用する、管理者規定だけを適用するということは、どうも実際的でございませんので、さような適用範囲等についてどの種類規定を一部として適用するかというようなことを基準として特に政令で定めたいというふうに考えておりますので、企業種類についてこういうものには全然適用しないのだというようなことを書けないことはございませんが、そこまで今考えてはおらんのでございます。従つて今のお話のような改良下水につきましては、特にこれを任意適用範囲から除こうという考えはございません。
  39. 原虎一

    原虎一君 除こうという考えはないが、自治体が任意適用でき得るように実際的になつていないわけですね。
  40. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その通りでございます。
  41. 原虎一

    原虎一君 全体的な問題で例えば資料によりますと、上水道事業では法律適用を受ける事業数が七十くらいになつておりますが、主なる自治体の意見を徴してこの法案を作るために参考にされたのか、その立案経過を一つお示し願いたい。
  42. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 地方公営企業法案につきましては、御承知のごとく地方公務員法の附則二十項に公営企業法律を作ることを規定せられまして以来、政府といたしましては各方面の意見を徴しておつたのでございまするが、只今いろいろお話のございました各方面の労働組合職員団体或いは水道協会或いは大都市公営企業を担任いたしております局長、その他の専門家或いは各大学なりその他におきまして、公営企業の殊に会計経理の実態について研究しておられる人たち、或いは国鉄なり専売公社等という方面の専門家の人たちというような各方面の意見をあらゆる機会、あらゆる方法において聽取いたしまして、又立案の過程におきましても、その試案を各方面に参考に供しまして意見を徴してかような法案を作つた次第でございます。
  43. 原虎一

    原虎一君 岡野国務大臣が今日労働委員会に御出席になつて、いろいろ公営企業労働関係法関係で重要な点を御質問申上げたのですが、労働関係法とは直接これには関係がないと言えばそうですが、併しこういう法律ができましてそれに従つて労働関係法ができているという形になるわけですが、問題は企業体が円滑に運用されて第一條にある目的に副わなければならぬが、その点は労働関係にある。これは主として経営、財務、資金等がそれに付いてなければならないが、申すまでもなくこの企業体の円滑なる運営がなくては発展ができないのでありますから、問題は労働関係法が非常に重要なんです。ただ特別会計ということになれば、現在でも恐らく自治体は特別会計でやつているのが殆んど全部といつていいわけですが、そういたしますと、これが次官がお見えになつておりますからもう一度伺いますが、労働関係法に基いて自治体と労働組合との労働條件に関する紛争は、最後的には地方労働委員会の仲裁になるわけですが、これは過去の公共企業体、専売、国鉄等の紛争の解決経過から見まして、斡旋、調停も同様ではありますが、そこでは片付かない、結局仲裁に行きます。仲裁にまで行けば、これは仲裁裁定が最終的決定でありまして労使双方を拘束するわけであります。要するに履行の義務がある。そのときにおける地方自治体がその仲裁裁定を履行しなければならない責任というものは、地方自治体の長に明確になつているわけです。そういうことで地方公営企業労働関係法並びに地方公営企業法を作つて行くということになれば、一番目的とするところが非常にこう或る場合においてはぼかされておる。言い換えれば骨抜きになつているわけです。こういう点について労働関係自治庁とが十分に協議されて公営企業体の円滑なる運営を如何にして達成するかについて検討され、又労働省と研究されたかという点についてお聞きしたいのであります。
  44. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 地方公営企業に従事いたしまする職員労働関係の問題でございまするが、今お話のごとく斡旋調停或いは調停仲裁等によりまして案ができ上りました場合におきまして、それが予算上、資金上可能であるか不可能であるかというような問題、殊にそれが不可能な問題であるということにつきましての認定でございまするが、当該職員の利益の保護、地位の保障ということからいたしまして、企業管理者なり或いは地方公共団体の長が協約に従いまして或いは調停なり裁定に従いまして、さような内容の給與をすることについて事実上差支えないと同意をいたしましても、それについて地方議会において反対である、地方議会が承認しないという場合においては、結局その内容のものが成立しないことに労働関係法にはなつておるわけでございますが、この点につきましては私ども自治庁労働省とは相当長いこと検討をいたしまして現在提案されておりまする労働関係法規定は、一面職員の側の利益と又地方公共団体といういわゆる地方住民の全体の公共性という見地からの要請、この二つの調和をとるということを考えまして、そうしてかような労働関係法にありますような内容のものを用意いたした次第でございまして、職員の側だけの利益から考えますと、若干部分ではありまするけれどもそういう点があろうかと思いますが、半面地方公共団体が経営する企業という性格か申しますると、やはり労働関係注に示されておりまするような方式によつて両者の調和を図るということが一番地方公営企業の実態に即した解決のかぎであるということで、かような原案に落着した次第でございます。
  45. 原虎一

    原虎一君 時間の関係もありますが、これは事務当局鈴木次長、大臣の考えにつきましては午前中労働委員会で伺つたのですが、さて事務的に考えてお開きしたいと思いますが、今の御説明では抽象的で当り前の普通の御答弁ですが、要するに仲裁裁定というものが如何なる責任と形において実現に努力されなければならないだろうかということが明確になつていないわけです。というのは今次長から説明がありましたが、この地方公営企業労働関係法で行きますも、裁定が下つた場合にその裁定を地方の議会が先ず承認するかしないかをきめなければならんというわけですが、そうしますと仲裁裁定というものは二審制度のような形になつておる。仲裁裁定がすぐ両当事者を拘束して、ただ公営企業なるが故に地方の議会の承認を経なければ履行できないというのならばわかりますけれども、仲裁裁定が一応下つた、併しそのときにはまだ労働者のほうは拘束するが、理事者地方団体の長のほうの拘束は議会が承認しなければ拘束を受けないということになりますれば、これは仲裁者自身もどこを相手に責任ある折衝をしたりなんかできるのか非常にその点はあいまいになつております。公営企業である以上は勿論議会の承認なくしてはいかなる決定でもそこまでは履行できないわけですけれども、裁定それ自身は当事者双方を拘束するということは当然考えられるのです。これは国鉄、専売の裁定は当事者双方を拘束するわけであります。ところがこの地方公労法によりますと拘束しないのですね。こういう点は労働関係の直接の担当の庁ではありませんが、公営企業の円滑な運営という点から考えれば当然仲裁裁定が罷業権を剥奪した代りに出ておると思うのですから、その仲裁裁定というものは非常に権威あらしめるというものでなければならん、この点を鈴木次長は労働省と十分折衝されたけれども、労働省はどういう主張であつたか、労働省のいうままになつておるのか、どうも労働省の考えは私に言わせれば反動化しておる。専売公社に適用する公企労法よりか後退しておるのです。公企労法は一応裁定がありますと、公社と労働組合は拘束はあります。ただ議会が予算措置に対して承認しない限りは公社が履行できないのです。今度は地方公労法は、それは今申上げましたように仲裁裁定は下つたばかりで何の拘束をしない、この点私は非常に理解できないのです。これはあなたのほうはまあ直接の所管問題ではないけれども、こういう地方公労法ができるとなりますとこれは問題が却つてつて、裁定が下つた、それを履行してもらうために地方議会に猛烈な運動をしたり、それから長に向つて猛烈な運動をしなければ折角下つた仲裁をどこが責任を持つて履行するかわからない。長にも運動し議会にも運動して、そうして仲裁を履行して下さいということをもう一遍労働組合側がお願いしなければならない。そこに單なるお願いで済まないで相当世論の喚起のためにいろいろな運動を展開しなければならん。折角の仲裁はあつたけれども仲裁履行のための運動は或る形における争議が続くという形になるのです。そういう点をどういうふうにお考えになつて労働省と折衝されておられたのか、この点を先ず私はお伺いしたいのです。
  46. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 仲裁裁定等で予算主査金上可能な支出を内容とする協定、これは申すまでもなく協定の両当事者を拘束するし、従つて管理者がそれにつれました給與の引上げその他の支出をしなければならんということになるわけであります。予算上資金上不可能と申しますることは、結局議会にかけて承認を経ました予算によつて、当該地方公営企業というものはやはり地方団体企業でございますから地方団体の予算というものには拘束される、従つて予算を超えて支出を必要とするようなかような内容の協定について直ちに地方団体自体を一つの裁定で拘束するということは、やはり専売、国鉄公社のようないわゆる公社という一つの国の資本でやるものではございますが、国とは別個の法人格を與えられたものでございますとさような考え方も成り立つかと思うのでありますが、地方公営企業につきましては特別会計という形ではありますがとにかく地方公共団体の直接経営する事業でございますから、予算上或いは資金上不可能であるというものにつきましては、やはり所定の手続従つて議会の承認を経るということになつて初めて効力を生ずるということは、これは地方公共団体という性格、又地方公共団対の公営事業に従事いたしまする職員も、地方公共団体職員としていわゆる全体の奉仕者という建前があるわけでございまするので、一般の私企業職員というものとはどうしても建前が違うのではないかというところから、この公営企業労働関係法規定というものは一般の労働関係法に比較いたしまして若干の拘束を受けざるを得ないのではないか、かように考えておるわけでございます。併し予算上質金上と申しまするが、地方公営企業につきましては、この公営企業法案において予算の方式はこれを文言方式にいたし、通常の官庁の予算方式と異なる形にしておりますので、予算自体が相当の彈力性を持つておるわけでありますし、更にいわゆる彈力條項というものを設けておりまして企業の收入が殖えますならばそれに相応して一定の支出が可能であるような規定をも公営企業法の中に設けておるわけでございましてさような点から申しますると、予算でくくられるとは申しましても、普通のいわゆる行政経費に比較いたしますると非常に彈力性があり、且つ寛大なる拘束であるわけであります。その拘束をも超えた協定であるという場合におきまして、これが一般の予算超過の支出或いは予算外の支出ということで議会の承認を経るということになりますのは、これはどうも地方公共団体の経費支出という建前から申しまして止むを得ないところではないかというふうに考えておるわけでございまして、これらの見地から労働省との間にかような労働関係法案の提出ということに相成つた次第であります。
  47. 原虎一

    原虎一君 鈴木次長の御説明で行きますと、予算上質金上可能なるものは拘束を受けるということは、條文で行けば地公労法のどれとどれによつてそういう結果になりますか、一応伺つておきたいと思います。
  48. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点は労働関係調整法のいわゆる仲裁の規定が、原則的には仲裁裁定は両当事者を拘束するわけでございまするが、それに対する特例を特に公営企業労働関係法の中では第十條に、予算上資金上不可能な資金の支出を内容とする如何なる協定もこれは拘束しないということを書いておりますので、特にかような十條によつて制限をされておりません限りは、これは一般の労働関係法原則によつて裁定が両当事者を拘束するという原則的効力を生ずるものと考えられるわけであります。
  49. 原虎一

    原虎一君 そうすると十條の反対解釈ということになるんですか。
  50. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その通りであります。
  51. 原虎一

    原虎一君 そこでこういう現実の問題が起きておる。仲裁裁定が起きた場合において、仲裁委員は労使双方の十分なる意見も徴し、事実調査もした結果裁定が下るわけであります。そうすると下つた場合において、仮にその裁定は私はいい加減なものでないと思います。実際において仲裁委員地方公営企業体の経理実情を十分調査した結果において裁定を出すわけであります。併しそれは自治体の長は何ら責任がなくて、その裁定全体を議会が承認するまでは何らの責任を持たない、こういうふうな私は説明労働大臣から聞いたし、條文解釈はそうなつておりますが、この点は自治庁はどうですか、間違いはありませんか。
  52. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今の原委員の仰せになりましたことをもう一度お話願いたいと思います。
  53. 原虎一

    原虎一君 予算上資金上不可能な裁定が下つた、併しその予算上資金上不可能なる裁定といえども仲裁委員地方自治体の管轄内にある公営企業の経営内容を一切調査し、それから自治体の長の意見も徴してそうして第三者から見て妥当なりという仲裁裁定を下すわけであります。かくのごとき裁定が下されてもそれに何ら長は拘束を受けないで、その裁定そのものを予算措置ができるできんというものでなしに、裁定そのものが正しいかどうかということを議会で承認し、議会が承認した後において予算措置を長がやる、こうなるわけであります。これは仲裁委員としては一切の責任をもつてそういうことをあなたがたは仲裁委員がやつてくれるというお考えですか。これは私はそんなばかばかしい仲裁委員は御免こうむると、こうなつた場合はどうなるか。私はそこまで今日は実は連合委員会では労働大臣に伺わなかつたけれどもこれは非常な問題である。というのは現在国の公労法というもののたしか十六條関係と思いますが、これが非常に不備のために労働委員会では五日間に亘つていろいろな学者、実際に当つておる人の意見を徴して、例えば慶応大学の藤林敬三教授なんかの陳述した意見は、一体政府が公社を拘束せずして裁定そのものを議会が審議するようなことならば、私共は仲裁委員を御免こうむるというような陳述をされておる。公社が拘束を受けて予算を国会に出してその予算は国会が認める。認めん、こういうのならば自分はうなずけるけれども、国家最高の機関が予算を認めない、半減すべし、仲裁裁定の理由はあるけれども予算上できないから半減すべしとか三分の一にすべしということを国会がきめるならばうなずけるけれども、自分らの裁定が正しいかどうかという二とを又再審議されるような形においてはもう仲裁委員なんというものはやりたくない、こういう意見である。従つて私は若し今度のこの地公労法によつて行けば全くそうなんです、藤林敬三氏が言つたように全く自治体側の責任というものは議会がきめるまで誰も持つていないというような形において裁定を行うということになると、そうすると一体地方労働委員会の仲裁委員というものが良かれ悪しかれ議会がきめるんだからいい加減にやつておけばいいというようなことにならんとも限らないし、逆にそういう不見識のものならば自分らは委員で仲裁をやることはおことわりしようという問題が起きないとは言えない。まあ私共がこの場合仮に仲裁委員だつたらそんなたよりないものならやめたほうがいいということになることは憂うべきことである。この問題を私は言つておるのです。
  54. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 公労法の十六條の関係につきまして御指摘のようなむずかしい問題がありますことは私共承つておるのでございますが、先ほどもちよつと申上げましたように国鉄、専売公社というような地方公共団体と別箇の或いは地方公営企業のための公法人を作るということに相成りますると、今の公労法と同じような建前の規定の仕方が可能であろうと思うのであります。公労法自体についても御指摘のような、少くとも予算に計上をして出すという拘束力を與えてもよいのではないかと、こういうような御意見も無論あろうと思いますが、この地方公営企業法におきましては、やはり地方公共団体の本質がそもそも公営企業を経営することにあるのだということから、地方公共団体から別箇の組織を切り離して公営企業を経営いたしますための法人を設けるということは、これは地方公共団体の魂を奪つてしまうことになりますので、さような法人を別箇に設けるということは適当でない。そこで地方公共団体組織自体といたしまして公営企業組織を如何にすれば公共性経済性の調和のとれた組織が考えられるかということで考えたのがこの公営企業法案であるわけであります。そういう点から申しますと国の場合の国鉄専売公社と国の予算というものとの関係よりも、やはり地方公営企業の場合における予算上質金上可能か不可能かという問題は、より地方公共団体の性格に強く影響を受ける、形式的に申しますとさような感じがいたすのであります。併しながら実質的な解決といたしましては、私共の案におきでましても国の公労法の場合と殆んど変りがないような形で立案いたしておるのでございますが、極く理論的に問題を詰めて申上げますと、やはり今申上げましたように、やはり公共性というものの影響をより多く受け得る形になつておるわけでございます。今御指摘のようなおよそ仲裁をいたします場合に、仲裁委員の人たちが地方公共団体の財政の状況公営企業の経営、経理の状況というものも十分知悉した上で裁定をでしたのであるから当然これによつて拘束せらるべきものであるということは、それだけのことを考えますると誠に仰せの通りであると私共思うのでございますが、地方公共団体の長にいたしましても、或いはいわんや企業管理者にいたしましても、いずれも自己の財産を運営するというのではなくて、やはり法律なり條例なり或いは予算なりつて定められた限度においてのみ行為能力を持つておるわけでございますから、その予算なりの限度を越えた行為能力というものはないわけであります。それで若しも労働協約というものが地方公共団体自体と締結できるというふうな立て方をとりまするならば、むしろ協約を締結する前にその協約について議会の議決も経てそうして団体としての意思決定のすべての手続を経た上で組合と協約を締結するということになりまするならば、これはもう協約自体が地方公共団体を拘束するとこう申してもいいと思うのでありますが、さような手続をとらないで管理者なり長だけが、議会の権限できめます事項までも協約を締結する、或いは全然地方公共団体の本来の機関でない仲裁裁定の機関が、地方公共団体の行為に相当するものをやるということでは、それによつて地方公共団体が拘束されるということは、どうも地方公共団体の一般的な性格から申しまして、呑み切れないわけであります。そこにいわゆる公共性というものがあるわけでありまして、さような見地から、一面から見ますと甚だ不徹底ではございまするが、かような方針で調節いたすより外ない、まあかように考えております。
  55. 原虎一

    原虎一君 そういたしますと仲裁裁定か地方自治体を拘束するという法律なりまと、いろいろな他の法律関係でそういう拘束條項が入る法律は違法になるということはありませんか。
  56. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 地方公共団体の意思決定の方式というものが、まあ自治法なりその他の自治関係法律で定まつておるわけでございますが、その原則を特に法律によつて変更をするということは、法律関係だけから考えまするならばこれは或いは可能かと考えまするけれども、今の地方自治の本旨に基いて地方公共団体組織運営を定めなければならないというこの憲法の現定は、地方自治の本旨という点から、やはり組織運営を法律で定める場合においても、一つの保障を與えておるというふうに考えるわけであります。そういう意味から申しまして地方公共団体の活動というものは予算によつてきまる。それがやはり地方自治の本旨に合致するものであつて今のそれを越えた方式として即ち一般の執行機関なり、議決機関の方式によらないでこれを拘束するというのには、例えば裁判所というような、憲法が直接さような地位を與えておる機関によつて地方公共団体が拘束されることは、これは当然でございまするけれども、法律的の効力を前提といたしまして、さようなところまで拘束力を及ぼすということは、やはり憲法上問題があるのではないかというふうに考えるわけでございます。
  57. 原虎一

    原虎一君 契約を結ぶのではなくして、仲裁裁定という一つの予算上資金上直ちには履行できないものが一つの判決の形においてこれは拘束はするけれども、契約ではないのですね。その裁定というものを履行する手続をとる義務が私は長にあつて何ら違法ではないと思う。すべてそのよしあしは最高機関の議会がきめて行く、そうしてその法律に基く裁定が下つて、そこの長と労働者労働協約を仮に結んだとします、併しそれは條件を付して議会の承認を経なければ履行できないですから、議会の承認の手続をとる長は責任を持つて然るべきものである。この点が持たしていない。何故そういうことになつておるか。
  58. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 仲裁裁定の結果きまりましたことを長に対して予算上当然にこれを計上せよという拘束的な力を與えるという程度のことは、御指摘のごとく、それが憲法問題に撃がるとまでは私どもは考えませんが、そこまでは一政策上の問題になると思いまするけれども、教育委員会の例えば経費の計算等につきまして、現在教育委員会のほうにおきましても、いわゆる二重予算の方式があるわけでありますが、これも併し義務的な拘束力を長の予算編成権に対して與えていないのであります。裁判所によりまして義務付けられましたことは、これはもう憲法上当然やむを得ないことでありますし、さようあつて然るべきでありまするが、その他の場合におきましては地方団体の予算の編成ということについてはできるだけ拘束力を與えないで、そうして自主的な予算の編成が可能であるように制度上いたしたいというふうに私ども考えておるわけでございます。そのことがやはりひいては地方自治の本旨という上からも要望されるのではないかと思うのであります。併しお説のごとくせめて予算編成権を拘束するというぐらいのことはよかろうというのも一つの御見解と思いまするが、私どもはまあ今申上げましたように考えておる次第であります。
  59. 原虎一

    原虎一君 大体今日採決する予定でございますか。
  60. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) その点申上げますが、まだ衆議院がこれから本会議にかけますので、今日はちよつと。
  61. 原虎一

    原虎一君 今日むりでしたら私も速記をやめてもらつてよろしいのですが。
  62. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) やむを得ず月曜にいたそうと思いますが、できるだけ今日質疑をお盡しになつて頂きたいと思います。
  63. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今原さんの触れられた公労法の第十六條の規定、それは私も当時参議院の議院運営委員会の委員の一員でありまして、一番初めのこの問題の適用に関して関與したのですが、私もどうも政府解釈には納得できない点が多かつたのであります。その十六條の規定と、今度審議しております地方公営企業法案の姉妹法といいますか兄弟の法律である地方公営企業労働関係法案の十條に同じような書き方をしておる。そういう問題がある條文をそのまま取入れることについては非常におかしく思うのであります。もつとはつきりとしなければならないと思うのであります。原さんが今日連合委員会でいろいろ質問なすつておられた。私もやろうと思つたのですが機会がなかつたのであります。それでついでに私はお尋ねしておくのですが、あなたがた直接の御責任者でないけれども関係はなすつたのでありましようからお尋ねします。第十條と第十六條の一項と書き方を違えてある字句を少しひつくり返してある。それはつまり現在の公労法の十六條の第一項は、「公共企業体の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も、政府を拘束するものではない。「今度の書き方は、十條で「地方公営企業の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も」そこまでは同じですが、「当該地方公共団体の議会によつて所定の行為がなされるまでは、当該地方公共団体を拘束せず、且つ、いかなる資金といえども、そのような協定に基いて支出されてはならない。」とありまして、つまり片一方の「又国会によつて所定の行為がなされるまでは、そのような協定に基いていかなる資金といえども支出してはならない。」という「国会によつて所定の行為がなされるまでは」というのを資金の支出だけにわけてあつたのを、今度上に持つてつて地方公共団体の議会によつて所定の行為がなされるまでは、当該地方公共団体を拘束せず」、こういうふうに持つて来た。まあここにちよつと違つたところがあるように思うのですが、それは何か意識しておられますか。
  64. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 御指摘のごとく若干表現は違つておるのでございますが、今御指摘になりましたように順序を顛倒したという程度でございまして、特にこの表現によつて別個のことを現わそうということではありませんで、法制技術上の問題といたしまして、よりなだらかな表現に変えたというだけでございます。
  65. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それでは今度の地方公営企業労働関係法案のほうの十條を読んでみますと、そういう支出を内容とする如何なる協定も当該地方公共団体の議会によつて所定の行為がなされるまでは拘束しないというので、大分わかり易くなつたような気が私はしておるのです。同じことではなくてそこで少し変更をしたじやないかと思うので、そうすると当該地方公共団体の議会によつて所定の行為がなされる、第二項によつて前項の協定をしたときは、当該地方公共団体の長はその締結後十日以内に、これを(中略)議会に付議して、その承認を求めなければならない。」これはまあ現行と同じでありますが、これは重複するのですか。その点は同じと考えておられるのですか。
  66. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 御指摘のごとく、この十六條は表現といたしましては非常に不明瞭でございます。不明瞭なる表現ではございまするが、政府がこれによつて只今考えておりますると同じような内容のことをよりよくわかりやすく表現しようというのがこの十條でございまして、従つて政府といたしましては解釈上何らこれに変更を加えていないという考えでございます。
  67. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そこで私はその当時、今の増田副幹事長が官房長官で主として答弁に当られ、又あとで当時の労働大臣の鈴木さんの答弁と食い違いが起つたりしたのでありますが、増田君は第二項の但書を楯にとつて当該地方公共団体の議会がその締結の日から十百」、第三項の「前項規定により当該地方公共団体の議会の承認があつたときは、第一項の協定は、それに記載された日付にさかのぼつて効力を発生するものとする。」で、これはまあ今度の規定ですが、そうすると地方公共団体が承認しなかつたときは、もう遡つて効力を発生しないのだから駄目だ、こういう理窟であつたのです。そのとき私は言つたのですが、それはおかしいじやないか、その読み方は論理に反するのだ、ないならば、逆は真なりということがあるのだが、この当該地方公共団体の議会の承認がなかつたときは発生しないというのは、犬は動物である、こういう命題があつて、犬でないから動物でないとこういう論理を使つておるのだ、それはおかしい、犬でなくても猫でも動物であるのだ、犬でないから動物でないというのは非常におかしい、それでやつぱり私は、あなたもおつしやりみんなもおつしやつたように、「政府は、」その時は政府、これは地方公共団体ですが、一応拘束されるので、そして承認しなかつたときには債務としてまだ残つておるのである。その債務はいずれ地方公共企業の予算上又は資金上可能な場合が出て来る。そのときには又承認して拂わなけりやならない。で、もう一度、この時に承認しなかつたからといつて永久にこの債務は消えてしまうというのじやない、こういうふうに考えているのですが、どうですか。そう読まなけりやならないのですか、この十條は。
  68. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点、まあ十六條の問題としては私所管でございませんのでなんでございますが、今一旦協約が締結され或いは裁定が行われた場合におきまして、その裁定なり協定を議会に付議いたしましてそれを承認しない、即ち否決したということに相成りまするならば、その問題はやはりそれで解決をしたというふうに一般的には見るべきものではないかと思うのであります。この裁定の内容がまあ如何ような内容になつておりまするか、過分なものであるか或いは過分でないものであるか、これはやはり裁定の内容によつても違うと思いまするけれども、まあ多くの場合それら全体を一つとして考えなければならない性質のものが多いと思うのでございます。さようなものでございまするならば、一旦議会に付議いたしまして議会がこれを否認したということに相成りまするならば、それでその裁定は遂に効力を生じないというふうに現行法においては解釈せざるを得ないのでございます。この十條の規定におきましてもさように解釈せざるを得ないのではないかというふうに考えるわけでございます。
  69. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 政府の従来の御説明の仕方はそれでいいのですが、これは大いに疑問があるので、もつとこれははつきりせられるといいと思うことでありますが、まあこれは当面の問題ではありません。それでまあそれは附け加えて申しておいたのでありますが、今度衆議院修正案につきまして政府の意見を開いておきたいので、あります。大体この衆議院修正案は、当委員会に来ております地方公共団体労働組合のほうの意見、それを取入れられたものと思います。そこでお尋ねしたいのですが、初めの政府原案におきまして八條と九條の関係です、労働協約を附け加えた問題でありますが、第八條に初めの政府原案では管理者が行えない事項即ち地方公共団体の長がやることの中に「労働協約を結ぶこと。」とこうあつたのですね、それをこういう労働組合の意見によりましてそれを削除した。それが我々のところに提出された政府原案になつておると思うのであります。そうするとこの政府原案では八條と九條とどちらにも「労働協約を結ぶこと。」というのが入つてなかつたのですね。それはどういうわけだつたのでしようか。入つてないとすると、これは当然この四の「地方公共団体の長」であることとはならない。
  70. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 只今のお尋ねにつきまして経緯を申上げます。政府は一番最初の案としましてこの八條に「労働協約を結ぶこと。」というのを入れておつた時代があつたのでございます。そのときの考え方といたしますると、恐らくこの労働協約の内容となります事項が予算に関係する問題或いは又條例修正しなければならない、実はできないような問題、そういうようなものが恐らく相当多いのではなかろうか、そういたしまするとそういう労働協約管理者と締結をいたしましても、予算なり條例なり、議会に提案をいたさなければならないようなものにつきましては、管理者限りでは何ら問題は解決されない。それでその労働組合といたしましても、折角締結いたしましてもなかなか実現が思うように捗らないというようなことになりまするので、それならばいつそ長を原則として相手方にする、で、無論この長が管理者に委任をいたしますれば、これは委任の一般原理によりまして管理者が相手方になり得るわけでございまするが、長を立てることを建前といたしまして第八條規定するのがよいのではないかという考え方をいたしておつたのでこぎいます。併しながらその後よく検討をいたしてみますると、管理者限りでも十分権限内でなし得る、解決のできる問題も相当あるわけでございます。大体そういうものにつきまして一応長にしておいて、長から委任をさせるということよりも、端的にそういう問題につきましては管理者を相手方として労働協約を締結することができるというふうにいたしますることがむしろいいのではないか。そういたしますと労働協約の内容といたします事項につきまして、それぞれ長の権限関係いたしまして管理者だけでは処置ができない問題であるか、或いは管理者権限内で処理できる問題であるかということによりまして、或いは長が相手方になる、或いは管理者が相手方になるというふうにいたしますことのほうがより適当ではなかろうかという考え方になりまして、両方とも労働協約をどちらの権限にするということを書かないで、こういう解釈で参りまして、協約の内によつて権限の属するところのものを相手方にしよう、こういう考え方をいたしたのであります。今回衆議院の御審議におきましては、成るほど実体はそういうことでいいが、併し全然何も書いてないと、その点があいまいでぼやかされて来る、そのことをめぐつてつて争いが起るようなことがあつても困るからそういう趣旨ならそういう趣旨で、管理者権限範囲内において協約を結ぶということで明文を入れたほうがいい、こういう御店見がございましてそのような修正をいたしたのであります。
  71. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それでは衆議院修正をしたのは念のために挙げたのであつてその権限範囲内において労働協約を結ぶということは初め政府としては考えておつた通りである、こういうことですね。
  72. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) さようでございます。
  73. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 じやその点はわかりました。それから十五條の「地方自治法第百七十二條第一項の職員で」というのを削つた理由ですね、それをもう一度政府のほうから御説明を願いたい。
  74. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これも実際の意味につきましては別に違つたお考えでお削りになつたようには存じておりません。私どもの承わつておりまするところではこの「地方自治法第百七十三條第一項の職員で……」ということが上にかぶさつておりますると、本来この法律によりますると地方自治法第百七十二條の特例といたしましては、長が任命権を持つべきものに相当する職員につきまして全部管理者が任命権を持つ、ただ主要な職員につきましてはあらかじめ長の同意を経る、こういう建前になつておりまするのが、「地方自治法第百七十二條第一項の職員で」ということを上に書きますことによつて、何かその管理者任命権者といたしました趣旨はぼやかされて見える。そういうようなことであればこれをむしろとつたほうがいいのではないか、こういう趣旨のように承わつております。
  75. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それではそれも政府と同様の考えである、念のために削つたといういうわけでございますね。次に三十七條の第一項中管理者を削つて、又二項中に修正した、そして第三項を削つた、これは大体職階制を設けることについて労働組合が非常に反対であつたのですが、職階制は一応残しておる、なぜこういう修正をされたのですか。それについて政府側からもう一度御説明になつて下さい。
  76. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 三十七條につきましては只今お言葉もございましたように、職階制というものを企業職員には全然実施をしないことがいいのではないかというような御質問もあつたのでございます。併しながらこの職階制と申しますのはそこの二項に書いてありますように、職員職務種類、複雑さ、或いは責任の度に応じて分類整理いたしまして、それによつて人事管理を合理的に科学的にやつて行こう、こういうことでありまするので、その意味でそういうような事柄は一般職員でありますと企業職員でありますと両方とも必要なことである。むしろアメリカ等におきまする発達の沿革を聞いてみましても企業体等におきましてこの効用がいち早く認められて、それからだんだん発達して来たというようなことも承わつておりますので、政府といたしましては企業職員であるから職階制実施する必要ないということは毛頭考えていないのであります。ただ一般職員職務の内容が違いまするので、おのずからその職階制の内容は企業職員の実態に即応したようにして行かねばならない。そこで地方公務員法の二十三條の職階制に関する規定よりもずつと簡單な條文にいたしておりまして、企業の実態に応じてその職階制実施できるような建前にしておるのだということを提案の趣旨として御説明申上げたのであります。その結果その職階制実施することの必要なことは御認識されまして、ただここで御修正なりましたのは一項、二項で管理者職階制実施すると、こういう建前を「管理者は」と書いてありますと、何かこの條文によりまして職階制実施することが管理者の専属的な権限なりまして、これが労働協約団体交渉の対象にならないようなふうに受取れるという御説明があつたのであります。私どもといたしましては無論この職階制の内容となりまする給與、その他のことにつきましては団体交渉の対象になりますことは、労働関係法の第七條規定から見て当然でありまして、むしろ管理者実施をいたします場合にも団体交渉労働協約できまりました内容によつて実施することになるのだというふうに予想いたしておるわけでありますが、そういうような御趣旨で、同じような意味でありますが、「管理者は」ということを特に削つたわけであります。それから第三項につきましては、これが私どもとしましては管理者がそういうことで職階制実施いたします場合に、人事委員会をおいておりまする地方公共団体におきましては、人事委員会一般職員につきまして任命権者と別に一つの人事行政についての専門機関としておるわけでありますから、この職階制につきましても特に人事委員会はそういう行政の専門機関といたしまして平素から研究をいたしておるわけでありますから、この管理者に対しまして技術的な見地から助言をすることができるということにいたすことがいいのじやなかろうかという趣旨政府原案ではおいておつたのでありますが、これに対しましては同じ職階制につきましても一般職員を対象とした職階制を平素研究しておる人事委員会であるから、企業職員についての職階制についてわざわざ技術的助言をさせるということは適当でない、むしろ却つて一般職員のような頭で企業の実態に即さない助言をするようなことも起り得るのじやないか、そういう懸念があるからこれは創つたらどうだ、こういうことがございましてこれは修正なつたわけであります。
  77. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 もう一つ聞いておきますが、三十八條におきまして第三項の給與額の決定というのを衆議院側では削つた、これは職員組合のほうは第三項については当然団体交渉方法を以てすべきであるから削除すべきであるという意見が出ておつたのであります。まあそのつもりで削られたと思うのでありますが、給與額の決定基準條例で定められないということになりましたのですか。
  78. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この政府原案におきましても実は団体交渉給與決定いたす方式を認めました以上は、一般職員のように條例給與の額の詳細、例えば何級何号俸という給與表のようなものまで一般職員については條例できめていたのでありますが、そのようなことまで條例できめることは団体交渉を認めた趣旨に合わない。そのような考え方からこの第三十八條第三項で種類基準とに限定いたしました趣旨は、種類給與額の決定額そのものはきめておりませんが、給與衰そのものではありませんが、あの給與表の前提となります一つ基準、例えば最高額と最低額の間のきざみ方はどういうような原則でやつて行く、或いは能率給をどの程度加味するといつたような給與決定に至るもう一つ前の段階の給與基準額を條例としてきめて、その他を団体交渉によつてきめるということにし、なお又団体交渉によりまして現在の條例と牴触する問題につきましては、無論労働関係法條例によつて処置をとるわけでありますが、そういうようなことで原案はできたわけであります。それに対しまして全部條例を外してしまつて団体交渉に一切委してはどうかというような議論もあつたのでありますが、地方公共団体の経営いたします企業であります以上は、極く大枠だけを條例で議会の全体の意思で一応きめて、その枠内でもつて団体交渉をするということが当然ではなかろうかということを申上げたところ、その点はそうであろうというふうに御理解頂いたのでありますが、ただこの大枠だけを條例できめておいて、あとの細目は団体交渉に委せるのだという趣旨につきましても御了承を頂いたのでありますが、ただそういう政府側の気持を給與額の決定と書いてありますと、どうもそれをそういうふうにとれない。むしろここで給與額を決定するということは、給與衰何級何号で幾らになるということまで條例できめるようにこれではとれるという御指摘もございまして、極く大枠だけを條例できめておくという趣旨から、むしろ給與額の決定という字句を取つたほうが政府側の気持とマッチするし、又衆議院修正をいたしました骨子にも合うということで修正になつたのであります。
  79. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それでは給與額の決定という字を削つたことは、給與基準という中に政府原案で考えておつたような給與の大枠というようなそういうようなものは條例できめて行つて差支えない、こういうことに衆議院側も了承しているわけですね。
  80. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) そうでございます。
  81. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それははつきりしておかないとこの点非常に大事な点ですから念を入れておきます。
  82. 宮田重文

    ○宮田重文君 一点お伺いしたいのですが、二十一條の料金のことなんですが、これは公正妥当なものでなければならない、それであとのほらに行つて公営企業の収支の均衡を保持させるように」ということになつておりますが、従来は料金の決定については、同じくそういうような形で料金が決定されているのですが、そのような面は今後どういうふうになりますか、その点伺つておきたいのであります。
  83. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点は個々の事業法規によりまして定められております制限につきましては、当然これがかぶつて来るわけでありまして、従つてただここでの料金決定は一般原則をかように表現いたしたということであります。
  84. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) ほかに御質疑はございませんか。  それでは本日はこの程度にいたしまして、月曜日の午後にでもこの法案を上げて参りたいと思います。本日はこれにて散会いたします。    午後四時十五分散会