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参考人(萩原信治君)
交通局の都バスの
立場から、
委員長さんが言われたところの
対面交通に対する
運転者としての考え方を述べた、と思います
対面交通が実施されてから、どういうことが
運転手にと
つて対面交通はいいのだということにな
つたかということは、従来、ともすれば
歩行者と
運転者というものは、対等の
取締関係におかれなくて、
運転手に対しては、見る、聞く、鳴らすというようなことが常に
取締法規によ
つて強制されているにもかかわらず、
歩行者に対しては、その点は案外
道路取締ということに緩慢であ
つた。併しながら終戦後におきましては、
歩行者に対しても、
違反すれば相当の
処罰をするのだというような法律ができましたが、ここにありまするような統計を見ましても、
歩行者の
違反件数というものは、実際はもつと多いんだけれ
ども、ここに取上げられておるものは、
歩行者がほんの僅かである。如何に
運転者と
歩行者を対等的に
取締る方法ができたとしても、実際の運用はこの統計に出ている
通り、
歩行者に軽く、
運転者に重いということが現実であります。そうしたような点から行きましても、この
対面交通が実施されて、見る、聞く、鳴らすという、
運転手にのみ課せられた問題が、
歩行者自身に対しても、前面から車が来ることによ
つて、大きな注意を喚起することができるし、そうした点で
運転者の
立場としては、
事故防止上、
対面交通は尊重すべきであるという
意見であります。そして
対面交通が実施される過程において、
運転手の望むところは、この、折角
対面交通というようないい制度が
歩行者に作られた。
事故防止上、作られたんだから、この訓練というものをよくや
つてもらいたい。如何に
対面交通がいいということにな
つたとしても、ひと頃、非常に
歩行者訓練に努力を払
つたのだが、最近では少しもその
歩行訓練というものが、
対面交通に対して訓練が努力されていない。これはむしろ努力してどんどん中年者以上の人に対しても、これを実施するようにさしてもらいたいということが、
対面交通に対しまするところの
運転者の
意見であり、又
対面交通はよろしいという
理由であります。
それから第
七條の
無謀運転につきましては、今までそれぞれ
トラックその他の
立場から申上げておりまするが、我々
交通局の
立場におきますると、今日
道路運送
車輌法という法律ができまして、従来、ともすれば
免許証を持
つているという
立場において、一方的に
運転手にのみ
事故その他
操縦上の
取締りについては、司法処分乃至は行政処分が科せられたものでありまするが、
車輌法によりますると、整備管理者というものができて、そうして整備上の問題につきましては整備管理者自身が一万円以下の、整備を怠
つたというような問題については整備管理者自身が、
罰金を科せられるという制度ができたということは、我々自身考えますると、非常に
自動車の
事故に対して、又
運転手の責任範囲に対して、いい法律ができたということを率直にこの点は申上げたいと思います。従
つてこの第
七條の第一項にありまするところの、「構造及び
装置における重大な
故障その他の事由により
安全に
操縦できない車馬又は軌道車を
操縦すること。」、これに
違反した場合には、二十
八條によ
つて懲役三箇月以下乃至は五千円以下の
罰金がある。この第
七條の第一項は
車輌法のたしか四十
七條だかに、
運転手として仕業、点検しなければならないということが十六項目かに亘
つてあります。この仕業、点検については、当局等におきましては
運転者が運行を開始する前に、それぞれ適否というものを、仮りに
ハンドル装置が適当であるか、否であるかというようなことは、
運転者自身がそれにチエツクして、それを運輸省のほうに、陸運局のほうに出させる。そういうふうにして構造上の不備というものを
事故防止上の見地から、補
つて行くのだということに更にしております。そういうようなことが現実に行われているとするならば、この第
七條の第一項というものは、決して仕業、点検が完全に行われているとするならば、そうした重大な
故障を持
つている車であるとか、全安に
操縦できない車というものを持出すという根拠はなくなるものであります。若し仮りにあるとするならば、それは出る場合には、仕業、点検して完全であ
つたのだけれ
ども、材質の、目に見えない材質の不良等によ
つて、途中において車輪が抜けるとか、シヤフトが壊れるとかがあり得ましよう。併しそうした場合に、この第一項が適用されることは我々から申せば非常に理不尽なことであると思うし、従
つて今日
車輌法の第四十
七條によ
つて、十六項目により仕業、点検して
運転手が出るということになりますれば、よろしくこの第
七條の第一項については、むしろ私自身としては、削除してもよろしいのじやないかということを申上げるものであります。併しながら、これは
交通局のバスというような場合には、今言いましたように整備営理者その他
検査制度等々というものが比較的完備いたしておりますから、そういうことが言えるのでありますが、小さい業者につきましては、なかなか今日そこまで整備営理制度というものが完備しているとは、私も
ちよつと考えられません。従
つてこの労務管理の
建前から行きまして、弱小経営体におきましては、
運転者自身に対しまして非常に構造上不備のある事車を強制して使わせるようなことがあるのじやないかというようなことも想像されます。又
運転者自身といたしましても、車を運行しておりますことによりまして
生計を立てております者ですから、そうした若干の
故障等につきましては、経営者が使えと言われて場合には、自己の
生計を立てる
建前から
言つても出る場合もあり得ると思うのであります。そうしたような弱小経営体におきまして、そういうことが現実に行われざるを得ないような現在の過程にある場合においては、やはりこの第
七條の第一項は、我々の
立場からすれば廃止すべきと思うのでありますか、せめてこれを第二十九條のいわゆる「三千円以下の
罰金又は
科料」というほうへ、過程処置として、経過処置としては変えることが望ましい問題ではないかというふうに考えるものであります。
それと最後にこの
処罰という問題につきましては、今日司法
処罰と行政
処罰、この二つが
運転者にはあらゆる
罰則として科せられて参りますが、それ以外に
交通局等におきましては、局内
処罰というものがあります。或いは
一つの
事故等によりまして、
運転手が、職務として
運転手をや
つておる者が、昇給が停止になる。それから減給されるとかということが職務上における局内
処罰にな
つております。従
つて一つの
事故件数等によりまして、内容は、
事故の内容はいろいろあるにいたしましても、司法、行政、職務
処罰と、三重の
処罰が来るのであります。従
つてこの点は非常に、
運転を業として
生計を立てている我々にと
つては大きな痛手なのであります。従
つてそうした面から見まするならば、全面的にこの
罰則という問題については、軽減してもらいたいということを総括的に申上げるわけであります。この場合は、あえて我々
交通局の
人間ばかりでなく
全国的の
運転業者は、それぞれそうした経営者、
会社の
処罰であるとかというものは、必らずこの
一つの
事故によ
つて負荷されると思います。従
つてこの三重の
処罰の問題については、これはあえて
交通局ばかりでなく、全
日本の
運転手にこの問題が全部かかつ
つて来ている問題ではないか。そういうように考えられまするならば、この私が申しますところのこの総括的に、この
罰則というものを軽減して生活を確保するようにしてもらいたいということを総括的に申上げるわけであります。
以上ございます。